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What's new 2017.1~6

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無痛分娩ミス女性死亡 麻酔で呼吸困難、子も障害 17.6.29

(2017年6月29日 神戸新聞)
 神戸市西区の産婦人科医院で2015年9月、麻酔を使って痛みを和らげる「無痛分娩」で出産した女性が、生まれてきた長男(1)とともに重い障害を負っていたことが28日、関係者への取材で分かった。麻酔が脊髄の中心近くに達したとみられ、女性が呼吸できなくなったという。女性は低酸素脳症が原因の多臓器不全のため、今年5月に35歳で亡くなった。同医院は責任を認め、示談金を遺族に支払った。

 女性の遺族と代理人弁護士によると、医院は「おかざきマタニティクリニック」。出産に立ち会った男性院長は、脊髄を保護する硬膜の外側(硬膜外腔)に背中から管を入れ麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」を施した直後、外来診察のため女性のそばを離れた。その際、麻酔薬が硬膜外腔より深部で脊髄中心近くのくも膜下腔に入ったとみられ、麻酔の効果が急速に現れた女性は呼吸困難に陥ったという。

 女性は別の病院で緊急帝王切開を受け、長男を出産したが、低酸素状態となった。脳に損傷を受けたため、長期間意識が戻らない遷延性意識障害に陥り、今年5月12日に死亡。長男は生まれてすぐ呼吸・循環不全に陥り、脳に酸素が十分に行き渡らなくなって障害を負ったため、現在も入院している。

 同クリニックは昨年12月に院長の過失を認め、その後、遺族に示談金を支払ったが、遺族によると、女性の死後も謝罪に訪れたことはないという。

 女性の夫(32)=東京都港区=は「出産にリスクがあったとしても対応できると思ってお願いした。対応できないのになぜ、院長は無痛分娩をさせたのか。なぜ、その場から離れてしまったのか。防げた事故だと思う」と話した。

 同クリニックは神戸新聞社の取材に回答していない。

 無痛分娩を巡っては全国的な実施総数さえ不明だが、今年4月以降、大阪府和泉市、神戸市中央区、京都府京田辺市などで、麻酔や陣痛促進剤の投与を受けた妊産婦の死亡、重症化が相次いで判明。神戸市中央区の産婦人科病院の担当医師に対しては、死亡した女性の遺族が刑事告訴した。これらを受け、日本産婦人科医会は実態調査に乗り出している。


乳がん検診で盗撮 40代医師、府警捜査 17.6.29

(2017年6月29日 共同通信社)
 大阪府岸和田市で27日にあった市職員向けの乳がん検診で、担当した40代の男性医師が受診者をスマートフォンで盗撮したことが28日、市や岸和田署への取材で分かった。スマホに画像が残されており、署の調べに盗撮を認めたという。

 岸和田署は、府迷惑防止条例や軽犯罪法に違反した疑いがあるとみて捜査している。

 市や署によると、検診は27日午前から、市役所近くの職員会館の一室で行われた。不審な行動に気付いた職員が上司に相談し、午後になって市が110番。署員が医師を任意で調べ、スマホから上半身裸の女性の画像が見つかった。

 医師は医療機関から派遣され、27日は約150人を診察した。検診は28~30日にも予定されていたが、市は問題を受けて中止した。

食道に誤って気管チューブ、救急搬送の男性死亡 17.6.28

(2017年6月28日 読売新聞)
 茨城県常総地方広域市町村圏事務組合消防本部は27日、男性救急救命士(44)が心肺停止状態の男性(30)を救急搬送した際、気道に酸素を送るための気管チューブを誤って食道に挿入したと発表した。

 男性は病院で死亡、死因は窒息だった。同本部は、専門家でつくる協議会に報告し、誤挿管の原因や死亡との因果関係について調べている。

 発表では、ミスがあったのは15日夜。男性の家族から「食事中に倒れ、意識がない」と119番があり、水海道消防署絹西けんせい出張所から、この救命士と救急隊員3人の計4人が出動した。救命士は救急車内で、病院の医師に電話で指示を受けながら男性に挿管。病院到着後、医師が気道に入れ直したが、死亡が確認された。


医療事故、頻発医師27人、日医が指導・勧告 13~16年度 17.6.26

(毎日新聞社 2017年6月26日)

 日本医師会(日医)が、医療ミスや不適切な医療行為を繰り返していたとして、2013~16年度の4年間で医師27人に再発防止を指導・勧告していたことが、25日分かった。日医会員が医療事故に備えて加入する保険の支払い請求が多いケースについて、治療経過などを調べて判定した。民事裁判などでも被害者が異なるミスの繰り返しが表面化することは少なく、実態の一端が初めて浮かんだ。【熊谷豪】

 ミスを繰り返す医師は「リピーター」と呼ばれ、重大な医療事故が相次いだ1999年ごろからたびたび問題視されてきた。昨年12月には、愛媛県内の産婦人科医院で05年以降に死亡3件を含む6件の重大事故が起きていたことが発覚し、県が立ち入り検査した。

 だが、リピーター医師を見つけ出す国の仕組みはなく、15年10月に始まった「予期せぬ死亡」を第三者機関に届け出る医療事故調査制度でも、把握できない。

 国内の医師約31万人のうち、約12万人は日医と保険会社が共同で運営する「医師賠償責任保険」に加入している。医療事故で患者や家族への支払い義務が生じた際の保険で、日医は会員医師から請求があれば治療内容や結果を調べ、査定している。

 日医は13年8月から、この仕組みを医師の倫理と資質の向上に活用。弁護士らで作る指導・改善委員会が、医師側に問題がある事故重複例をリピーターと判定している。日医によると15年度までに19人が該当し、25日に開かれた定例代議員会で16年度は8人と報告された。氏名やミスの内容は明らかにしていない。

 対象となった医師は、地元の医師会から、重い順に▽指導▽改善勧告▽厳重注意――のいずれかを受ける。東京都医師会はこれまでに3件の指導をし、幹部が事故の経緯を聞き取った上で、危険性の高い手術を今後行わないと誓約する書面を提出させるなどしたという。

 リピーター医師を巡っては、日本産婦人科医会が04年から独自の事故報告制度を設け、事故を重ねる会員医師らへの指導や研修を課している。

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 ■解説

 ◇背景の追究必要

 損害保険の請求実績からリピーター医師をあぶり出す日本医師会の取り組みは、医療界自ら実態把握を進めるという点で評価できる。重要なのは、これを問題がある医師の再教育や排除に確実につなげ、医療安全の向上に役立てることだ。

 厚生労働相には医師の業務停止や免許取り消しの権限があり、年2回、医道審議会が厚労省から報告があった医師の審査をしている。だが、対象になるのは、診療報酬の不正請求や医療行為と直接関係のない刑事処分を受けたものが大半。医道審は2002年、刑事罰を受けていなくても明白な注意義務違反がある医療事故は処分対象とする方針に改めたものの、ミスの繰り返しを理由とした処分は12年の戒告1件しかなく、形骸化も指摘される。

 日医の取り組みは、強制力を伴わない「指導・勧告」で、ミスの内容も公表しないため、再発防止に向けた実効性や透明性に課題も残る。

 医療事故の遺族で「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」代表の永井裕之さんは「なぜミスを繰り返すのかを個人の問題にとどめず、せめて医療界の中だけでも情報共有して背景や深層を追究してほしい」と訴える。【熊谷豪】


子宮筋腫手術後に心肺停止 30代女性が低酸素性脳症 17.6.22

(共同通信社 2017年6月22日)

 千葉県船橋市は22日、市立医療センターで2015年、子宮筋腫摘出と卵巣部分切除の手術を受けた同市の女性(35)が、心肺停止による低酸素性脳症で寝たきりになる医療事故があったと発表した。市は過失を認め、約7千万円を賠償する。
 市によると、女性は15年5月1日、全身麻酔をして手術を受け、病室に戻った際に心肺停止となり、後遺症による低酸素性脳症と診断された。現在も入院中で、呼び掛けには反応するが会話などはできない状態という。

 市は、外部の専門家を加えた医療事故調査委員会がまとめた報告書を踏まえ「手術に問題はなく、心肺停止の原因は特定できなかったが、対応が迅速でなかった」としている。

検体取り違えで胃切除 潰瘍をがんと診断、愛知 17.6.22

(共同通信社 2017年6月22日)

 愛知県東海市の公立西知多総合病院で、患者2人の検体を取り違え、胃潰瘍の50代男性を胃がんと診断、手術で胃の3分の2を切除していたことが22日、分かった。一方、胃がんの80代男性は胃潰瘍とされて退院、現在は別の病院に入院している。
 病院によると、以前から末期の肺がんを患っていて体調不良で入院していた80代男性と、胃がんの疑いで受診した50代男性の精密検査を4月中旬に実施した。2人の検体を同じ日に病理診断するためのケースに移し替えたが、その際に取り違えたという。

 胃潰瘍と診断された80代男性は4月下旬に退院。50代男性は5月下旬に手術を受け、胃を切除された。しかし、切除した胃からがんが見つからなかったため、院内の事故調査委員会が調査し、取り違えが判明した。

 病院は既に両患者に経緯を説明し謝罪。50代男性は現在、通院しながら栄養指導を受けている。

 病院は「苦痛を与えた2人におわび申し上げる」とし、複数人によるチェック体制など再発防止策を講じるとしている。


ミトコンドリア注入の不妊治療、4人出産 国内初 大阪 17.6.22

(朝日新聞 2017年6月22日)

 不妊症の患者の卵巣組織の一部を使って卵子の質の改善を試みる不妊治療の臨床研究で、4人の女性が今年、双子を含む計5人を出産した。「HORACグランフロント大阪クリニック」が21日、発表した。海外ではこの方法での出産例があるが、国内では初。一方、効果や安全性について慎重な意見もある。

 クリニックによると、腹腔(ふくくう)鏡手術で卵巣から組織の一部を取り出し、組織に含まれる細胞からエネルギーのもとを作るミトコンドリアを抽出。別に取り出した本人の卵子に精子とともに注入して体外受精させ、子宮に戻す。

 日本産科婦人科学会の承認を得て、昨年2月から27~46歳の21人に実施した。大半が体外受精をしても受精卵がうまく育たなかった女性という。うち6人が妊娠し、27~36歳の4人が今年2~6月に出産した。治療費は体外受精も含めて1人約200万円で、患者が負担した。

 森本義晴院長は「今後は生まれた子の発育過程を5年間、慎重に見守っていきたい」と話している。

 ミトコンドリアは卵子の質と関係があると考えられ、別の細胞から移植することで、卵子の機能を改善し、体外受精の成功率を上げるのがねらいという。カナダなどでの30例以上の出産例があるが、妊娠率が上がるかどうかははっきりしていない。

 北海道大の石井哲也教授(生命倫理学)は「今回の臨床研究では、出産の事実だけで、子どもが生まれる確率が上がるかどうかという有効性は語れない。有効性が不明な不妊治療で患者に多額の費用負担をさせるのは研究倫理上問題だ。欧州の学会などはこの方法の効果や安全性に懸念を示しているので、生まれた子の状況を長期間みていく必要がある」と話している。(合田禄)


(ミトコンドリア注入の不妊治療)治療効果を証明できない 識者談話 17.6.22

(共同通信社 2017年6月22日)
 石井哲也(いしい・てつや)・北海道大教授(生命倫理)の話 今回の研究方法では、治療をしなかった場合との比較ができないため、有効性を証明できない。臨床研究の体をなしていないのではないか。有効性、安全性が不明なのにもかかわらず、患者に高額な費用を負担させているのも問題だ。注入されたミトコンドリアのDNAに異常が起きている恐れもある。生まれた子どもの健康は長期間、調べなければならない。この治療には欧州の学会などからも疑問が呈されている。日本産科婦人科学会や厚生労働省は、このような無責任な治療の実施を認めるべきではなかった。


韮崎市立病院にケア病棟 9月開設 17.6.22

(山梨日日新聞 2017年6月22日)
 韮崎市立病院は、入院しながら在宅復帰に向けた支援を受けられる地域包括ケア病棟を開設する。9月からの利用開始を目指している。

 同病院事務局によると、現在141床ある一般病棟のうち、43床を減らして地域包括ケア病棟を39床新設する。5階フロアを充てる予定。

 対象は、病状が安定しているが経過観察が必要な場合や、入院から在宅治療への変更に向けて準備が必要な場合。地域包括ケア病棟への入院は、主治医や看護師、理学療法士らが患者や家族と相談して決め、入院期間は原則として最長60日間。

 同病棟では、入院から在宅復帰に向けてより専門的な支援を受けられる。開設に当たって理学療法士1人が専従になる。必要に応じ患者1人につき1日当たり平均40分のリハビリの時間を設ける。

 中北地域では、地域包括ケア病棟が対象とする、回復期の患者を受け入れる病院が不足しており、増床を目指す県の地域医療構想に沿って導入を決めた。昨年度の同病院の一般病棟の平均稼働実績は69・1%。一般病床を減少させて回復期の専門病棟を新設することで、ニーズを掘り起こし、病院全体の稼働率を高めて収益性を確保する考え。

 同病院の秋山正樹事務局長は「在宅療養時の緊急受け入れも含め、医師、看護師、理学療法士が連携した体制を整備したい」と話している。

無痛分娩、別の母子も脳障害 京都の産婦人科医院を提訴 17.6.13

(2017年6月13日 京都新聞)
 出産時の痛みを麻酔で和らげる無痛分娩(ぶんべん)の施術ミスで、2012年11月に元大学准教授のロシア人女性(40)=京都市左京区=と長女(4)が意思疎通できない重度障害を負ったとして、夫(55)らが、京都府京田辺市の産婦人科医院「ふるき産婦人科」を相手取り、計約9億4千万円の損害賠償を求める訴訟を京都地裁に起こしていたことが、12日までに分かった。

 同医院をめぐっては、昨年5月に同様のミスが起き、母子が低酸素脳症による重度の障害を負ったとして、家族が計約3億3千万円の損害賠償を求めて同地裁に提訴している。

 訴状などによると、女性はインターネットで同医院を知り、局部麻酔を用いる無痛分娩での出産を決めた。陣痛開始後、脊髄を保護する硬膜の外側に細い管(カテーテル)を差し込んで、麻酔薬を注入する硬膜外麻酔を受けた。

 その後、女性の容体が急変。一時は心肺停止となり、宇治市内の総合病院に救急搬送された。搬送先で産まれた長女は低酸素脳症となり、女性は蘇生後脳症になった。2人は現在も寝たきりで、意思疎通ができない状態という。

 出産時の医療事故を補償する「産科医療補償制度」の原因分析委員会の報告書では、今回の事故を「カテーテル先端が硬膜を破って全脊椎麻酔になっていた可能性が高い」とし、「通常使用する量の2・5~4倍の麻酔薬を1回量として注入したことによる局所麻酔中毒」と結論付けている。

 夫側は、報告書などの指摘を踏まえ、医師に安全に麻酔を投与する義務違反があったと主張し、長女は自発呼吸がなく24時間自宅介護する費用や日本でロシア語を教える夢を絶たれた女性の慰謝料などを求めている。

 ふるき産婦人科は「取材には答えられない」と話した。

 無痛分娩

 日本産科麻酔学会によると、一般的な硬膜外鎮痛法では、硬膜外腔という背中の脊髄に近い場所に局所麻酔薬などを投与し、下半身の痛みだけをとる。心臓や肺が悪い妊婦などの負担を軽減するため用いる場合もある。2007年度に行われた医師による実態調査では、全国の硬膜外無痛分娩率は全分娩の2・6%だった。アメリカでは経腟分娩の約6割、フランスでは約8割が無痛分娩という。


患者死亡で和解金250万 愛知・半田の市立病院 17.5.9

(共同通信社 2017年5月9日)
 愛知県半田市の市立半田病院で2015年8月、子宮摘出手術を受けた60代の女性が出血性ショックで死亡する医療事故があり、半田市は8日、遺族に対して、和解金250万円を支払う方針を明らかにした。

 同市によると、女性は15年8月18日、子宮体がんの疑いで同病院に入院。19日に子宮摘出の手術を受けたが、執刀医が電気メスで血管を傷つけるなどし、大量出血を起こした。女性は20日昼に死亡した。

 医療事故かどうかを審査した県医師会医療安全対策委員会が16年3月15日に、病院の責任は否定できないと結論付けたことから、市は賠償金の支払いについて、遺族側と協議を続けていた。


ラグビー元日本代表が和解 手術失敗で引退と損賠訴訟 17.5.9

(共同通信社 2017年5月9日)
 左肘の手術に失敗したのが原因で引退を余儀なくされたとして、トンガ出身でラグビー元日本代表の真羽闘力(まう・とうりき)さん(39)=埼玉県吉川市=が、福岡市の整形外科病院に約1億2900万円の損害賠償を求めたさいたま地裁(松村徹(まつむら・とおる)裁判長)の訴訟は、病院側が約6千万円の和解金を支払う内容で和解していたことが8日、分かった。

 4月26日付。病院側代理人は「何もお話しできない」としている。原告側代理人によると、医療事故があったことに争いはなく、損害額を巡り協議を続けていた。

 訴状によると、真羽さんは2012年9月、ラグビーのトップリーグで福岡県に本拠を置くサニックスの選手として出場した試合で左肘を負傷。翌13年に同病院で靱帯(じんたい)の再建手術を受けた際、神経を傷つけられ指が動かなくなる障害が残り、選手を引退した。

 裁判記録によると、病院側は、医療事故がなかったとしてもトップリーグでの契約を続けられる可能性は低かったなどと主張していた。


がん探知犬全国初導入 尿かぎ分け判定 17.5.1

(河北新報 2017年5月1日)
 山形県金山町は、人の尿のにおいで、がんの有無をかぎ分ける「がん探知犬」による検査を来月にも始める。町の健康診断の受診者のうち同意した人を対象とし、日本医科大千葉北総病院(千葉県印西市)が分析を担う。健康診断に併せ、がん探知犬を利用するのは全国の市町村で初。効果が確認されれば、受診者に負担を掛けずに早期発見できる検査方法として、実用化が期待されるという。

 町などによると、検体となる尿は町立金山診療所が採取し、冷凍して千葉北総病院に送る。探知犬は試験管に入った検体の尿をかぎ分け、がんに罹患(りかん)していると判断したときは、振り返って担当者に伝える。

 病院側は探知犬による検査に加え、尿に含まれるにおい物質などを特殊な機器で精密に分析し、がんの有無を判定。約3カ月後に陽性か陰性かの結果を知らせる。

 同病院は宮下正夫教授(外科学)を中心に2010年から、がん特有のにおい物質や探知犬の可能性について研究を進めてきた。探知犬は同病院と提携する企業が育成に当たり、現在5匹が探知できる状態だという。

 宮下教授は「これまでの検査で、探知犬は早期のがんもほぼ100パーセントかぎ分けている」と説明。「最初の検査は尿を提出するだけでよく、体への負担がない。陽性の場合も他の検査データから、がんの種類の絞り込みが可能になる」と利点を挙げる。

 町がこうした検査を導入するのは、同町を含む最上地域の胃がんによる死亡率が全国でも高いことが背景にある。特に女性の胃がん死亡率は全国ワーストで、状況を重く見た鈴木洋町長が昨年10月、町に講演に来ていた宮下教授に協力を依頼していた。

 町は本年度当初予算に、同病院への委託料など1100万円を計上。探知犬などの検査を受ける町民も自己負担はない。

 鈴木町長は「がんの早期発見につながる可能性がある。住民が元気で暮らせる対策の一歩にしたい」と話している。


病院部長の義娘雇用と給与名目振り込み、受注の見返りか 17.4.29

( 朝日新聞 2017年4月29日)
 医薬品の臨床試験(治験)の補助業務を発注する見返りに親族の口座に現金約90万円を振り込ませたとして、愛知県警は28日、公立陶生病院(愛知県瀬戸市)の呼吸器・アレルギー疾患内科部長、谷口博之容疑者(63)=愛知県日進市藤塚3丁目=を第三者供賄の疑いで逮捕し、発表した。容疑を否認しているという。

 また、県警は同日、賄賂を振り込んだとして、治験補助業者のASOCIA(東京都千代田区)の実質経営者、小曽根秀明容疑者(53)=千葉県八千代市八千代台北10丁目=を贈賄の疑いで逮捕した。容疑を否認しているという。

 捜査2課によると、谷口容疑者は治験補助業者を選ぶ責任者だった2014年10月~15年3月ごろ、小曽根容疑者からASOCIAに業務を発注するよう依頼を数回受けた。15年3月から9月までの間、小曽根容疑者に自分の義理の娘(30)を同社に雇用させ、娘の口座に給与名目で現金約90万円を振り込ませた疑いがある。

 同社は15年1月以降、随意契約で陶生病院から業務を受注するようになったという。また、娘は同社での勤務実態がなく、15年10月1日付で退職したという。県警は娘の雇用と給与名目での振り込みが、受注の見返りだったとみている。

 陶生病院は、県内の瀬戸市、尾張旭市、長久手市が組合を構成して運営している。職員は約1300人、許可病床数は約700床。

 谷口容疑者らの逮捕を受け、病院の管理者である伊藤保徳・瀬戸市長と、酒井和好院長は連名で「逮捕は誠に申し訳なく、深くおわび申し上げます。事実関係を確認のうえ、厳正に対処してまいります」とのコメントを発表した。

 谷口容疑者はこれまで、厚生労働省研究班や、肺の病気に関する治療ガイドラインの作成などに多く関わった。ASOCIAは14年12月に設立。医薬品の承認を得るための臨床試験で、被験者の名簿作成やスケジュール管理などの補助を請け負っていた。

■呼吸器内科が専門

 谷口容疑者は呼吸器内科が専門。この分野の医師は「一定年齢以上の医師なら誰でも知っている有名な先生」と話す。特に近年は、肺の難病「特発性間質性肺炎」の治療に力を入れていたという。

 厚生労働省の研究班で一緒だったという関東地方の大学病院の医師は「発言力があり、治療のガイドライン作りでも中心だった」と振り返る。「間違いなくこの領域の発展に貢献してきた。新薬の治験にも積極的で、参加患者の登録数は、陶生病院が他の病院に比べてとても多かった」と話した。

 2年前に勉強会で話を聞いたという関西地方の大学病院の医師も「最近認可された新しいタイプの薬の治験で中心的役割を担った。製薬会社主催の医師向けの講演会で、年に何度も講師を務めていた」と話した。


公立病院部長を収賄容疑で逮捕 愛知、治験補助業務巡り 17.4.28

(朝日新聞 2017年4月28日)
 治験補助業務を受託する会社の男から賄賂を受け取っていたとして、愛知県瀬戸市にある公立陶生病院の呼吸器・アレルギー疾患内科部長の男(63)を県警が収賄の疑いで28日、逮捕したことが、捜査関係者への取材でわかった。また、賄賂を贈ったとして、東京都千代田区の会社の実質的経営者の男(53)を贈賄の疑いで逮捕した。

 捜査関係者によると、部長は、会社の実質的経営者の男から治験補助業務を受注できるように依頼を受け、謝礼として賄賂を受け取った疑いがある。


治験データ8371人分紛失 医薬品審査の独立行政法人 17.4.28

(朝日新聞 2017年4月28日)
 医薬品の審査を担う独立行政法人「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」は28日、薬の治験データを保存したUSBメモリーを紛失したと発表した。患者8371人の性別、年齢、医療機関名などの情報が入っていた。外部への流出は確認されていないという。

 PMDAによると、メモリーは企業から提出を受けた治験データを、機構内の端末で確認するために使っていた。薬の承認審査を担当する職員が今月11日、紛失に気付いた。鍵をかけた引き出しに10日に保管したと記憶していたというが、使おうとして見つからなかったという。

 機構の担当者は「深くおわび申し上げる」と謝罪している。


「手術ミス死亡」5700万円賠償請求 愛媛大付属病院に 17.4.26

(毎日新聞 2017年4月26日)
 愛媛大医学部付属病院のずさんな手術で母親が死亡したとして、遺族4人が大学と手術を担当した医師3人に計約5700万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。24日、第1回口頭弁論があり、大学側は請求の棄却を求めた。

 遺族側の弁護士は取材に対し、医師3人を業務上過失致死容疑で愛媛県警に告発し、昨年12月に受理されたことを明らかにした。

 訴状によると亡くなったのは愛媛県新居浜市の女性(当時83歳)。2014年9月、付属病院で大動脈弁狭窄(きょうさく)症の手術を受けたが、胸部が細菌に感染するなどし、15年4月に死亡。手術には心臓血管外科の教授が立ち会ったが、研修医らに重要な部分を任せたため、女性の胸骨を骨折させたりしたことが原因と主張している。一方、大学側は「重要部分は教授が執刀した」と反論している。


「無痛分娩」で女性死亡 業過疑い、医師書類送検へ 17.4.26

(共同通信社 2017年4月26日)
 大阪府和泉市の産婦人科医院で1月、麻酔で痛みを和らげる「無痛分娩(ぶんべん)」で出産した女性(31)が、その後死亡していたことが25日、捜査関係者への取材で分かった。府警は医師が適切な措置を取らなかったとして、業務上過失致死容疑で書類送検する方針。

 捜査関係者によると、女性は和泉市の「老木(おいき)レディスクリニック」で出産した際、背骨付近に局所麻酔の注射を受けた後、容体が急変し呼吸不全で意識不明の状態になった。子どもは無事生まれたが、女性は10日後、低酸素脳症で亡くなった。

 府警は、女性の容体を回復させるための人工呼吸を十分に続けないなど、適切な対応を怠ったとみている。

 日本産科麻酔学会のホームページによると、無痛分娩では背骨の「硬膜外腔(くう)」に麻酔薬を入れ、下半身の痛みを感じないようにする。足の感覚が鈍ったり、低血圧になったりするなどの副作用の恐れもあるという。

 クリニックの代理人弁護士は「医師は適切に措置をした」と説明している。クリニックのホームページによると、現在は無痛分娩を中止している。


男児死亡、麻酔医争う姿勢 東京女子医大、鎮静剤問題 17.4.21

(共同通信社 2017年4月21日)
 東京女子医大病院(東京都新宿区)で2014年、鎮静剤プロポフォールを大量に投与され死亡した男児=当時(2)=の両親が、投与に関係した麻酔科の医師と看護師ら計5人に過失があるとして損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が20日、東京地裁であり、医師らはいずれも請求棄却を求めた。

 30代の母親が法廷で意見陳述し「本来であれば息子は新しいランドセルを背負って元気いっぱいに小学校に通っているはず。どうしてこんなことになったのか真実を知りたい」と声を震わせた。

 訴状によると、男児は14年2月、首にできた良性の腫瘍を取る手術を受けた後、人工呼吸中の子どもへの使用が禁じられているプロポフォールを長時間大量に投与されて死亡した。

 両親は、手術前に鎮静剤の使用を知らせなかったとして耳鼻咽喉科の主治医らを相手取った訴訟も別に起こしている。


ビタミンD:感染症予防 国際チーム研究、肺炎など発症2割減 17.4.16

(毎日新聞 2017年4月16日)
 ビタミンDを継続的にとると、肺炎やインフルエンザなどの感染症の発症を2割減らせることが、東京慈恵会医科大などの国際共同研究チームの大規模なデータ解析で分かった。16日に東京都内で開かれる日本小児科学会で発表される。
 ビタミンDは日光にあたると体内で作られるほか、食品からもとれる。また最近、ビタミンDが不足すると、体を守る免疫細胞が分泌する抗菌物質が減り、結核菌を増やす成果が報告されるなど、感染症との関係が注目されている。

 研究チームは、ビタミンDの投与と呼吸器の感染症との関係を調べた世界の25の報告(2009~16年)を統合し、0~95歳の約1万1000人のデータを分析した。この結果、ビタミンDの錠剤を飲んだグループは、飲んでいないグループに比べ、インフルエンザや気管支炎、肺炎などの急性の呼吸器感染症の発症が2割少なかった。特に、血中のビタミンD濃度が欠乏状態にある人では、ビタミンDを飲んでいたグループは発症が7割少なく、不足している人に予防効果が高かった。

 研究に参加した浦島充佳・同大教授(小児科)によると、日照時間の短い冬場は血中ビタミンD濃度は夏の半分程度。浦島教授は「ビタミンD不足が、これらの感染症の原因にもなっているとみられる。散歩したり、ビタミンDが豊富なサケやイワシなどの食品から補ったりしてほしい」と話す。

「名医」大木氏団体、所得隠し 手術中継シンポ、企業から「出展料」 国税、9000万円指摘 17.4.16

(朝日新聞 2017年4月16日)
 血管外科の名医として知られる東京慈恵会医科大外科学講座統括責任者の大木隆生教授(54)が代表を務める二つの関連団体・法人が東京国税局の税務調査を受け、7年間で計約9千万円の所得隠しを指摘されたことがわかった。大木氏の手術を中継して見学するシンポジウムで、医療機器を展示した企業から「出展料」を得ていたが税務申告しておらず、これらが「収益事業」と認定されるなどした。

 追徴税額は重加算税を含め計約2千万円とみられ、2団体はそれぞれ期限後申告と修正申告に応じ、納税しているという。

 関係者によると、指摘を受けたのは、任意団体「Japan Endovascular Symposium研究会」(東京都港区、JES研究会)とコンサル会社「Endovascular Japan」(同、EJ社)。それぞれ、2015年12月期までと16年2月期までの7年間について指摘を受けたとされる。約9千万円の指摘金額の多くはEJ社に対するものだったという。

 JES研究会は大木氏が立ち上げ、06年から毎年夏に、血管病の治療技術向上を目的にしたシンポジウムを同大で開催。大木氏による手術を中継し、参加者の医師に見学させる「ライブ手術」などを実施している。会場では医療機器の展示もあり、研究会は企業から出展料を得ていたが税務申告していなかった。

 国税局はJES研究会について、税法上、収益事業で得た所得が課税される「人格のない社団」=キーワード=に該当し、企業の展示は収益事業のうち「席貸業」に当たると認定。申告する必要があったのに無申告を続けていたと指摘したとみられる。

 大木氏側は「収益事業という認識はなかった。仮に収益だとしても、収益と非収益で共通にかかる経費を割り振れば、所得は生じない」などと主張したが、認められなかったという。

 さらに国税局は、研究会が経費として処理していた支出の一部について、「研究会の業務と関連がなく、本来はEJ社が負担すべき交際費に当たる」などと指摘した。研究会はシンポジウムの準備や打ち合わせの際の飲食費などとして経費で計上していた。国税局は、研究会名義で領収書を受け取るなどしていたため、故意に付け替えたと認定したとみられる。

 大木氏は取材に、「意図的な所得隠しや私的流用はない。シンポジウムのための情報収集や企画に必要な経費を研究会で落としたが、シンポジウムの開催期間中の費用しか認められなかった」。修正申告などに応じた理由を「調査を早く終わらせて、手術に専念するためだった」などと話した。(磯部征紀、田内康介)

 ■第一人者の技、見学に1千人 ライブ手術

 大木氏は、バネ状の金属がついた人工血管を使って大動脈瘤(りゅう)などの治療を施す「ステントグラフト内挿術」の第一人者として知られる。足の付け根の動脈から挿入し、患部の内側で固定することで破裂を防ぐものだ。医療機器の開発者の側面もあり、関わった血管外科用の医療器具が「大木インベンツ」のブランド名で販売されている。

 著書やウェブサイトによると、06年の第1回のシンポジウムでは、病院の手術室と大学の講堂を光ファイバーでつなぎ、講堂で見学する医師の質問に手術室で答えながら、2日間で20件の手術を行った。11回目となった昨年は、こうしたライブ手術の見学などのため、全国から1千人近い参加者が集まったという。

 大木氏は1987年に東京慈恵会医科大を卒業し、95年に血管外科分野の先進国である米国に渡った。2006年に帰国し、母校の教授に就いた。09年にNHKの番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」で紹介されるなど、朝日新聞も含めてたびたびメディアが取り上げている。06年には雑誌ニューズウィーク日本版で「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれた。

 ◆キーワード

 <人格のない社団> 町内会、PTA、労働組合、マンションの管理組合でも該当するものがあり、収益事業を営む場合は税務署に届け出が必要。収益事業で得た所得は課税される。対象事業は税法で定められ、物品販売業、不動産貸付業など34業種ある。問題となった席貸業もその一つ。国税局OBの税理士は「団体の設立目的や事業で得た資金の使い道とは関係なく、事業の実態が34業種に該当するかどうかで判断される」と話す。


ペットの犬「誤投薬で腎不全に」 獣医師らに賠償命令 17.4.15

(朝日新聞 2017年4月15日)
 ペットの犬が慢性腎不全になったのは、大阪市内の動物病院の不適切な治療のせいだとして、飼い主の女性らが病院を運営する会社と獣医師に327万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が14日、大阪地裁であった。菊地浩明裁判長は、病院側に治療費や慰謝料など計116万円の支払いを命じた。

 女性が飼っていたヨークシャーテリアは2012年11月、この病院で子宮摘出手術を受けた。その後、犬の腎臓の状態が悪化し、約3年後に死んだという。

 判決は、腎臓に障害がある犬には控えるべき鎮痛剤を獣医師らが使用したと指摘。必要な点滴もしなかったとして、「注意義務違反により犬は慢性腎不全になった」と判断した。

女装し女湯盗撮容疑 がん研ユニット長逮捕 17.4.14

(共同通信社 2017年4月14日 )
 ホテルの女性浴場に女装して侵入し、盗撮したとして、神奈川県警加賀町署は13日、県迷惑行為防止条例違反などの疑いで、国立がん研究センター研究所のユニット長江成政人(えなり・まさと)容疑者(48)=千葉県八千代市=を再逮捕した。

 署によると、江成容疑者は会議に出席するため昨年11月29日~12月3日、横浜市中区のホテルに滞在。あらかじめかつらを着けるなど女装して訪れ、予約の際も女性の名前を使っていた。

 署は3月、女性の氏名や写真を使うなど偽造した運転免許証をホテルに示したとして、偽造有印公文書行使の疑いで江成容疑者を逮捕していた。

 再逮捕容疑は昨年11月29日、ホテルの女性用大浴場の脱衣所に侵入したほか、同12月2日にも脱衣所に侵入して20代女性をスマートフォンで動画撮影した疑い。

 盗撮に気付いた女性がホテルに相談していた。センターの担当者は「司法の対応を見守り、結果を踏まえ厳正に対応する」と話した。


森友、診断書改ざん疑い 障害児支援、異なる医師名 大阪市への補助金申請 17.4.13

(共同通信社 2017年4月13日 )
 学校法人「森友学園」が運営する塚本幼稚園(大阪市淀川区)が、障害などで特別な支援が必要な園児に支給される補助金を市に申請した際、園児の診断書の一部を改ざんした疑いがあることが13日、分かった。保護者が同日、市から資料開示を受け、医師の氏名が異なっていると証言した。

 補助金は「私立幼稚園特別支援教育費補助金」。身体障害や知的障害、ぜんそくなどの病気のため特別な配慮が必要な園児に対し、大阪府は同幼稚園に対し、年間1人当たり78万4千円、大阪市も36万円を交付している。申請には、診断書や障害者手帳の原本か写し、保護者の同意が必要となる。

 関係者によると、元園児の保護者は在園中の2015年、園の求めに応じて複数の診断書を提出。今年3月、学園に絡む疑惑が噴出したことを受けて大阪市にこの補助金に関する個人情報開示を請求した。園が提出した申請書類が開示され、実際と異なる医師の名前が記されていることを確認した。

 申請書類には、補助金申請に保護者の同意を得たとする資料も含まれていたが、保護者は「園から補助金の説明も、同意を求められたこともない。診断書が適切に使われていない疑いがある」と話している。


患者のカルテを無断閲覧 バイエル薬品の社員 17.4.11

(共同通信社 2017年4月11日
 大手製薬会社バイエル薬品(大阪市)の社員が、医師の協力を得て実施したアンケートに関連し、患者の個人情報が記されたカルテを無断で閲覧していたことが11日、同社への取材で分かった。同社は外部有識者を交えて詳しい事実関係を調べている。

 バイエル薬品などによると、2012年と13年、血栓症治療薬について、医薬品の形状や服薬回数の好みを調べるため、宮崎県内の診療所医師の協力を得て患者へのアンケートを実施。その際、営業社員3人が、回答した複数人の診療記録を、患者側の同意があるかどうか確認しないまま閲覧していた。

 調査結果は医学誌に掲載されたが、問題が発覚したため取り下げられた。

 厚生労働省は昨年、社員からの内部告発を受けて事態を把握しており、塩崎恭久厚労相は記者会見で「極めて遺憾なことだ」と述べた。厚労省はバイエル薬品による調査結果を踏まえて、今後の対応を検討するとしている。


わいせつ容疑で医師逮捕 愛知県警 17.4.10

(共同通信社 2017年4月10日 )
 愛知県警中署は9日、20代女性の体を触ったとして、強制わいせつの疑いで、名古屋市北区、医師高橋佳仁(たかはし・よしひと)容疑者(35)を逮捕した。
 逮捕容疑は9日午前1時ごろ、名古屋市中区のビル1階のエレベーターホール付近で女性の体を触った疑い。

 中署によると、2人に面識はなく、女性にけがはなかった。女性が1人でエレベーターに乗ろうとすると、高橋容疑者も乗り込んで体を触った。女性はビルの外に逃げ、居合わせたパトロール中の署員に被害を申告した。高橋容疑者は事件前に酒を飲んでいたという。


風邪に効果ないのに「念のため」抗菌薬→耐性菌が増える悪循環 17.4.7

(読売新聞 2017年4月7日)
 細菌の増殖を抑えたり、殺したりする抗菌薬(抗生物質)。風邪の大半には効果がないのに、医師が「念のため」と処方するケースが少なくない。安易な処方は抗菌薬の効かない「薬剤耐性菌」の増加につながるため、厚生労働省は3月、不必要な抗菌薬を減らすための医師向けの手引をまとめた。

ウイルスには抗菌薬効かず

 風邪の大半は、様々なウイルス感染が原因。ウイルスには抗菌薬が効かず、薬は無駄になる。ただ「風邪」の一部に、細菌による感染が原因というケースもあり、医師による見極めが大事だ。

 しかし実情は、風邪の原因が「細菌」か「ウイルス」かを区別しないまま、「念のため」と処方する医師が少なくない。風邪患者の6割に対し、抗菌薬が処方されていたという国内のデータもある。

 こうした抗菌薬の乱用を減らす必要があるのは、耐性菌の増加につながるからだ。人の体には普段から、薬が効く細菌と、耐性菌が共存している。抗菌薬を飲むと、体内のほとんどの菌は死ぬ中で、耐性菌は生き残る。しかも栄養分を分け合うライバルがいなくなるため、増えやすくなる。健康な人は免疫が働くため問題にならないが、体が弱った患者や高齢者がいる医療機関や介護施設で広がると命に関わる。

 厚労省によると、耐性菌による死亡者は2013年現在、世界全体で年間70万人。対策を講じなければ50年に1000万人に増えると推計されている。

 抗菌薬の使用についての厚労省の手引では、風邪の症状を訴える患者の診断の流れをチャート図で示し、抗菌薬の処方が必要かどうか分かるようにした。それによると、抗菌薬処方を検討するのは、症状の重い急性 副鼻腔炎、溶連菌感染症など細菌が原因となる一部にとどまる。

 静岡厚生病院(静岡市)の小児科医、田中敏博さんは、風邪の症状がある患者に無駄な抗菌薬を使わないことを心がけている。昨年度に風邪などを訴える患者への薬を調べたところ、抗菌薬を処方したのは1割に満たなかった。田中さんは「じっくりと話を聴いて診察し、薬が必要かどうか判断することが大切」と語る。

患者も誤解「必ず処方してほしい」

 不適切な処方が横行しているため、患者が誤解に気づかず、薬を求める悪循環に陥っている面もある。

 国立国際医療研究センター病院(東京都新宿区)特任研究員の具芳明さんが14年、20~60歳代の男女1087人を対象に、抗菌薬の知識や意識を聞いた調査によると、5割近くが「(抗菌薬は)ウイルスに効く」と誤って回答。2割近くが「風邪で受診したら必ず処方してほしい」と答えていた。

 手引は、一般の人がワクチンを接種し、せきをする時は周りの人に注意を払い、日頃から手洗いやうがいをするように促した。そもそも感染症で受診する人が減れば、抗菌薬の減少にもつながるからだ。

 手引を作る作業部会の座長を務めた同センター病院副院長の大曲貴夫さんは「医師が適切に処方するとともに、一般にも正しい知識が普及すれば、無駄な抗菌薬は必ず減らせる。医師が『念のために』と抗菌薬を処方しそうになったら、本当に必要かどうか尋ねてほしい」と話している。


放射線被曝減少で二次癌が大幅減 17.4.4

(JAMA 2017年4月4日)
 1970-99年に診断された小児癌の5年生存者2万3603例を対象に、放射線および化学療法と二次癌リスクの経時変化を後ろ向きコホート研究で検証。放射線療法実施率は70年代の77%から90年代の33%へ、線量中央値は30 Gy(四分位範囲24-44)から26 Gy(同18-45)へ、ともに減少した。二次癌の15年累積発生率は70年代に癌と診断された生存者で2.1%、80年代で1.7%、90年代で1.3%と低下傾向が認められた。二次癌リスクの低下は放射線量の減少と関係することが示唆された。


群大病院、診療報酬340件不正請求…戒告処分 17.3.30

(読売新聞 2017年3月30日)

 群馬大学病院の手術死問題で、保険適用外の手術に診療報酬を不正請求していたなどとして、厚生労働省が同病院に対して戒告の行政処分を出したことが、同病院などへの取材で分かった。

 処分は29日付。

 同病院や関係者によると、厚労省は2015~17年、計17日間にわたって監査を実施。カルテの確認や、同病院の医師らへの聞き取り調査を行ったところ、計約340件、約8000万円の不正・不当請求があったと認定した。これをもとに同病院は今後、過去に遡って調査し、不正請求額を確定して返還する見通し。

 同病院の調査によると、問題の起きた旧第二外科では、10年12月~14年6月に保険適用外とみられる腹腔ふくくう鏡手術が計58例行われ、うち35例で診療報酬が請求されていた。


東京女子医大病院 「薬16倍投与で妻死亡」 脳腫瘍女性夫が提訴 17.3.29

(毎日新聞社 2017年3月29日)

 東京女子医科大病院(東京都新宿区)で2014年9月に抗てんかん薬を過量投与された女性が重い副作用で死亡した問題で、遺族が28日、病院の運営法人と医師2人を相手取り、総額約4300万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。
 亡くなったのは川崎市の長浜裕美さん(当時43歳)。遺族側によると脳腫瘍を患う長浜さんは14年1月から同病院の処方で抗てんかん薬を服用。同8月には短期間で薬効を高めるとして、別の抗てんかん薬「ラミクタール」(一般名ラモトリギン)を追加され、添付文書で定められた量の16倍の1日200ミリグラムを連日投与された。

 薬剤師が医師に「量は正しいのか」と照会したが見直されず、全身の皮膚に障害が起こる中毒性表皮壊死(えし)症(TEN)を発症。投与開始から20日後に肺出血を併発して死亡した。遺族側は「医学的な必要性がないのに、説明もないまま添付文書に反する危険な処方をした」と訴えている。

 医療関連死の調査モデル事業としてこの件を調べた日本医療安全調査機構の報告書は、処方を「標準的な選択とは言えず、あえて選択するなら必要性やリスクを本人や家族に十分に説明して同意を得るべきだった」と指摘した。同大学広報室は「訴状を見ておらず具体的なコメントはできないが、誠意をもって対応する」としている。

 ◇副作用のリスク「説明なかった」

 「なぜ死ぬリスクのある処方をしたのか」。亡くなった長浜裕美さんの夫、明雄さん(42)は記者会見で悔しさをにじませた。投与開始から20日後、皮膚がはがれ妻は変わり果て、痛みと絶望の中で亡くなった。主治医は「投与量よりも体質の問題」などと説明。だが、薬の添付文書は用法や用量を守らなければ重篤な皮膚障害が表れることがあると警告していたのを後に知った。

 医師から副作用リスクの説明はなかったというが、病院側は「リスクは説明した」と責任を認めなかった。明雄さんは「問題を繰り返させないためにも裁判で原因と責任を明らかにしたい」と強調した。


京都の病院で患者虐待か 口にビー玉、体にあざ 17.3.28

(共同通信社 2017年3月28日)
 京都府舞鶴市の市立舞鶴市民病院は27日、寝たきりの入院患者2人について、胸や脇腹にあざがあったり、口にビー玉を入れられたりしていたと明らかにした。病院から相談を受けた府警は、虐待の疑いもあるとみて捜査をしている。

 病院によると、2月24~3月11日に60代男性患者の胸や脇腹、指の爪などに内出血が見つかった。3月12日には同じ4人部屋で、別の60代男性の口内にビー玉1個が入れられているのを発見。この患者は3月下旬に亡くなったが、死因は病死と判断した。

 2人は長期入院し、いずれも寝たきりで、意思疎通が難しい状況だった。病院は長期療養者向けの療養型病床に特化しており、外来は少なく、不審者の出入りは確認できていない。患者に関わった看護師ら12人にも事情を聴いたが、原因は分からず、病院は「故意か偶発的なことか分からない」として、舞鶴署に相談したという。

 井上重洋(いのうえ・しげひろ)院長は「患者を預かっている中でこうした事態になり、患者や家族に申し訳ない」と話した。


子宮全摘手術で女性死亡 山形の病院、過失認める 17.3.24

(共同通信社 2017年3月24日)
 山形県東根市の北村山公立病院で昨年3月、子宮の全摘手術を受けた市内在住の50代女性が、腹部の内出血が原因で3日後に亡くなっていたことが24日、病院への取材で分かった。病院は過失を認め、遺族に慰謝料約4250万円を支払う。

 病院によると、女性は子宮筋腫のため昨年3月16日に手術を受けた。約1時間後に腹部からの内出血で容体が悪化。止血手術をしたが、19日に多臓器不全で死亡した。

 院内外の医師でつくる事故調査委員会が調べた結果、手術時に子宮付近の動脈や静脈を縛った糸が外れていたことが判明。内出血の確認に約3時間かかるなど、対応にも問題があった。

 病院は女性の遺族に謝罪し、今年2月、葬儀費用を含む慰謝料を支払うことで合意した。今後は手術後に出血が予想される場合、血液を排出する医療器具の使用を徹底するとしている。


日赤の過失、二審も認定 左腕まひ、東京高裁 17.3.24

(共同通信社 2017年3月24日)
 静岡赤十字病院(静岡市)の点滴ミスで左腕がまひする障害を負ったとして、静岡市の女性(40)が、病院を運営する日本赤十字社(東京都)に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は23日、一審静岡地裁判決に続き、日赤側の過失を認めた。

 阿部潤(あべ・じゅん)裁判長は「看護師が腕に針を深く刺して神経を損傷させた」と指摘し、ミスを否定した日赤側の主張を退けた。賠償額は一審が算定方法を誤ったとして、約6100万円から約5700万円に減らした。

 判決によると、女性は2010年12月、甲状腺の手術のために入院していた。

 女性側の青山雅幸(あおやま・まさゆき)弁護士は「適切な判決だ。病院は再発防止に努めるべきだ」と話した。静岡赤十字病院は「判決文が届いていないのでコメントは差し控える」とした。


国循に117万円賠償命令 副作用のリスク説明不十分 17.3月.21

(共同通信社 2017年3月21日)
 めまいの症状が出た名古屋市の男性(59)が、この症状の治療法として確立していない抗てんかん剤の投与療法を受け睡眠障害などを負ったとして、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)に約1億6千万円の損害賠償を求めた訴訟で、名古屋地裁は17日、約117万円の支払いを命じた。

 朝日貴浩(あさひ・たかひろ)裁判長は、この薬の投与自体は「医師の裁量で行うことが許容される」とする一方、確立した治療法ではない点や精神に及ぼす副作用のリスクなど説明が十分でなく「説明義務違反があった」と判断した。

 判決文によると、男性は2004年4月に同病院を受診。7月から、抗てんかん剤クロナゼパム(商品名ランドセン)の処方を受けた。

 体のだるさや体重減少が出たため、薬の減量をすると、05年8月ごろには睡眠障害や気分の落ち込みが起こった。06月6月、別の病院を受診して「抑うつ神経症」と診断された。

 男性側は「判決の一部は評価するが、医師の裁量を広く認め過ぎており承服し難い」として控訴する方針。病院側は「判決内容を十分に検討し、今後の方針を決めたい」とのコメントを出した。

患者死亡で病院に賠償命令 鹿児島地裁「治療怠る」 17.3.15

(共同通信社 2017年3月15日 )
 医療法人健康会が開設する霧島記念病院(鹿児島県霧島市)が、肺に血栓が詰まる肺塞栓(そくせん)の検査や治療を怠ったとして、死亡した男性患者=当時(76)=の遺族が計約4270万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、鹿児島地裁(鎌野真敬(かまの・まさひろ)裁判長)は14日、病院側に計約2470万円の支払いを命じた。

 判決によると、男性は2012年11月13日、脳内出血で同病院に搬送されて入院、翌月に急性肺血栓塞栓症で死亡した。

 鎌野裁判長は判決で「遅くとも死亡の数日前までには症状が認められたのに、必要な検査と治療を怠る過失があった」と指摘した。

 男性の妻(79)は「病院と担当医師は判決を真摯(しんし)に受け止め、同じ事例を二度と起こさないようにしてほしい」とのコメントを出した。霧島記念病院は「落ち度はなかったと考えている。弁護士と対応を相談したい」としている。


大阪大病院薬剤師を逮捕 強制わいせつ容疑 17.3.14

(共同通信社 2017年3月14日 )
 大阪府警枚方署は13日、女性の体を触ったとして、強制わいせつの疑いで、同府枚方市、大阪大病院職員の鈴木仁(すずき・ひとし)容疑者(25)を逮捕した。鈴木容疑者は薬剤師として勤務している。

 逮捕容疑は昨年10月21日午後11時40分ごろ、枚方市内の路上で、歩いていた10代の女性に背後から抱き付き、胸を触った疑い。

 枚方署によると、「イライラして悩んでいた。楽しそうにしていた女性を見て、怖がらせようと思った」と容疑を認めている。付近の防犯カメラ映像から鈴木容疑者が浮上した。


子宮全摘手術で女性死亡 山形の病院、過失認める 17.3.24

(共同通信社 2017年3月24日)
 山形県東根市の北村山公立病院で昨年3月、子宮の全摘手術を受けた市内在住の50代女性が、腹部の内出血が原因で3日後に亡くなっていたことが24日、病院への取材で分かった。病院は過失を認め、遺族に慰謝料約4250万円を支払う。

 病院によると、女性は子宮筋腫のため昨年3月16日に手術を受けた。約1時間後に腹部からの内出血で容体が悪化。止血手術をしたが、19日に多臓器不全で死亡した。

 院内外の医師でつくる事故調査委員会が調べた結果、手術時に子宮付近の動脈や静脈を縛った糸が外れていたことが判明。内出血の確認に約3時間かかるなど、対応にも問題があった。

 病院は女性の遺族に謝罪し、今年2月、葬儀費用を含む慰謝料を支払うことで合意した。今後は手術後に出血が予想される場合、血液を排出する医療器具の使用を徹底するとしている。

【厚労省】睡眠薬などの添付文書改訂‐長期使用避けるよう喚起 17.3.24

(薬事日報 2017年3月24日)
 厚生労働省は21日、大量連用によって薬物依存の生じる恐れがある睡眠薬や抗不安薬、抗てんかん薬47品目について、長期使用を避けることなどの記載を添付文書の「使用上の注意」に盛り込むよう改訂を製造販売業者に指示した。また、同日付で都道府県、関係団体や学会に対し、薬局や医療機関、会員に改訂を周知するよう要請した。

 改訂の対象は、睡眠薬および抗不安薬についてはベンゾジアゼピン受容体作動薬30品目、バルビツール酸系薬剤5品目、非バルビツール酸系薬剤2品目の計37品目。抗てんかん薬は、ベンゾジアゼピン受容体作動薬4品目、バルビツール酸系薬剤5品目、非バルビツール酸系薬剤1品目で、計10品目となる。


参考:薬品医療機器総合機構PMDAからの医薬品適正使用のお願い


在庫処理で不要な薬投与 広島、統合失調症患者に 17.3.17

(共同通信社 2017年3月17日 )

 広島県福山市の福山友愛病院で昨年11~12月、統合失調症などの患者6人に対し、本来は必要のないパーキンソン病の治療薬を投与していたことが17日、病院への取材で分かった。病院側は同日記者会見し「薬の期限切れが迫ったことが投与のきっかけ」と在庫処理が理由だったと説明した。
 病院側は、患者の1人が投与後に体調不良となったことを明らかにした。統合失調症は、神経伝達物質のドーパミンが過剰に活動して起きる精神疾患とされる。患者に投与された治療薬は、ドーパミンの活動を促進させる効果があった。

 病院側によると、当時、使用期限が迫った治療薬が70錠残っており、病院を運営する医療法人「紘友会(こうゆうかい)」の元理事の指示で、62錠を投与した。薬剤師の指摘で不適切な投与が発覚し、病院が今月に調査委員会を設置。聞き取りに対し、元理事は「患者にパーキンソン病の症状があり、改善すると思い投与させた」と話している。


鎮静剤など投与ミス4件 日大板橋病院、心肺停止も 15~16年、厚労省聴取 17.3.16

(共同通信社 2017年3月16日 )

 日大板橋病院(東京)で2015~16年、患者3人への鎮静剤などの投与ミスが4件相次いでいたことが15日、関係者への取材で分かった。うち1件は、鎮静剤を急速投与された70代男性が一時心肺停止となる重大事案。また同じ女児に対し、鎮静剤と解熱剤の過量投与が短期間に続いて起きていた。厚生労働省は既に病院関係者から事情を聴いており、今後対応策などを詳しく確認する。

 病院側はミスを認め「あってはならないことで深くおわびする。再発防止策を講じている」とのコメントを出した。

 薬剤の投与ミスを巡っては今年1月、東大病院で15年に入院中の男児が別の患者の内服薬を投与され、翌日死亡した事案が発覚したばかり。東大病院は「誤投与が死亡に何らかの影響を与えた可能性がある」としている。日本医療機能評価機構が15年に報告を受けた薬剤関連の医療事故は260件に上っており、医療現場には管理体制の強化が改めて求められる。

 日大板橋病院などによると、15年7月、入院中の70代男性が、鎮静剤プレセデックスの急速投与を受け、一時心肺停止になった。急速投与は添付文書上、重大事故を招く恐れがあり、適切な対応が必要な「警告行為」となっているが、看護師が医師の指示を受けずに実施していた。男性は16年9月に口腔(こうくう)底がんで死亡。ただ病院は「薬が原因ではない」としている。

 また16年5月には、研修医が、添付文書を十分に確認せずに、救急搬送された80代男性へのプレセデックスの急速投与を指示し、看護師が実施。男性の健康状態に問題はなかったという。

 さらに16年12月、入院中の2歳女児に対し、看護師が点滴の設定を誤り通常の10倍のプレセデックスを投与。別の看護師がミスに気付き中止したが、約10日後、この女児に解熱剤アセリオを過量投与するミスも起きた。研修医が投薬量の指示を間違えたのが原因という。いずれも女児に異常は確認されなかったとしている。

 病院は、ダブルチェックの不徹底や薬の知識不足が背景にあるとして、現在はプレセデックスの使用を禁止。危険な薬剤の使用方法を明記した冊子を作成し、医師らに携帯を義務化するなどの対応を取っているという。

 ※日大板橋病院

 日大医学部の付属病院で1935年に開設された。所在地は東京都板橋区。ホームページなどによると、心臓外科や産科など30以上の診療科があり、約千床を有する。常勤医師数は500人超で、2013年度の1日平均患者数(外来)は約2200人。高度医療を提供する特定機能病院や、がん診療連携拠点病院などの指定を受けている。


食道がん、手術件数少ない病院では死亡率2.6倍…日本食道学会調査 17.3.15

(読売新聞 2017年3月15日 )
 手術件数が少ない病院で食道がん手術を受けた患者の死亡率は、件数が多い病院で受けたケースに比べ2倍以上高いことが、日本食道学会研究班の全国調査でわかった。

 病院の診療チームの経験の差が影響したものとみられる。

 食道がんの手術は、近接する肺や心臓など重要な臓器を傷つけないように行う必要があり、難度が高い。体に大きな負担がかかり、手術後に呼吸に支障が出るなどの合併症も多い。

 調査は、国内のほぼ全ての外科手術が登録される大規模データベースから、2011~13年に行われた食道がん手術を抽出。約1000病院で行われた約1万6600件の手術を対象に分析したところ、手術後90日以内に死亡した患者の割合(死亡率)の全国平均は3・0%だった。

 病院の手術件数で見ると、年間30件以上の病院で行われた手術計約6100件の平均死亡率は1・8%だったが、5件未満の病院の手術計約3000件では平均4・7%と2・6倍の格差があった。

 死亡率は、手術件数が多い病院で行われるほど低くなる傾向がみられた。一方、調査期間に限ると、執刀医の手術件数による死亡率の差は見られなかった。

 調査に当たった岡部寛・大津市民病院外科診療部長は「手術技術のみならず、看護師など病院スタッフによる手術前後の患者ケアの熟練度が反映された結果と考えられる。手術を検討する患者は病院に治療実績を聞いたほうがいい」と話す。


別の看護師も業務外点滴関与 いわき市消防本部「隠蔽ではない」17.3.14

(福島民友新聞 2017年3月14日)

 いわき市消防本部の元男性救急救命士(31)といわき市の病院の20代の女性看護師が業務外で医師の指示なく点滴をした問題で、同席していた同病院に勤務する別の20代の女性看護師も点滴に関わっていたことが13日、分かった。県警は、保健師助産師看護師法違反などの疑いもあるとみて、関係者から事情を聴いている。

 市総務部長は同日の会見で、消防長を減給1月、看護師2人を戒告処分にしたと発表した。処分はいずれも同日付。元救命士については、1月31日付で退職したため「処分できない」とした。

 事実の公表と市長部局への報告が遅れたことについて、会見した消防次長は「本人への確認ができなかった。隠蔽(いんぺい)ではない」と述べた。

 市によると、元救命士は小名浜消防署に勤務していた昨年12月14日、消防職員2人、看護師2人とともに自宅で飲酒した。うち1人の消防職員が体調を崩したため、元救命士は職場から無断で持ち出した点滴を使おうとした。しかし、うまくいかず看護師2人が手伝った。消防本部は、点滴を施錠せずに管理していたことが一因にあるとして、管理を徹底するとした。

 市は消防長、看護師2人のほか、消防次長2人を文書訓告、小名浜消防署長と同消防署副署長を口頭厳重注意、30代の男性消防職員2人を文書訓告と口頭厳重注意の処分にした。


薬誤投与で入所者死亡か 北九州市の障害者施設 17.3.15

(共同通信社 2017年3月10日 )
 北九州市小倉南区の障害者施設「やまびこ学園」で2014年、入所者の40代男性が必要のない薬を投与され、約1年後に死亡したことが9日、市関係者らへの取材で分かった。福岡県警は、薬の誤投与が原因で死亡した可能性もあるとみて、業務上過失致死容疑を視野に経緯を調べている。

 市関係者らによると、死亡した男性は14年4月、別の患者に投与する予定だった統合失調症の治療薬を誤って投与され、直後に容体が急変した。北九州市内の病院に搬送され、入院中の15年4月に死亡した。死因は多臓器不全だった。

 誤投与について施設側は市に対し「夜勤看護師が1人で投与したことが原因」と説明している。

 やまびこ学園では、看護師が2人以上で投薬前の確認をし、薬を運ぶカートには患者の顔写真を張るなどのマニュアルがあり、いずれも守られていなかったという。

 北九州市は誤投与後、今年1月までに計3回施設を立ち入り調査し、マニュアルの徹底など再発防止を指示した。

 やまびこ学園は「誤投与したのは間違いない。ただ死亡との因果関係は分からないので、コメントは控えたい」としている。


患者の住基カード不正取得、医師に懲役3年 京都地裁判決 17.3.8

(京都新聞 2017年3月8日)
 患者名義の住民基本台帳カードなどを不正取得したり京都市から療養費を不正受給したりしたとして、詐欺や有印私文書偽造などの罪に問われた精神科医(43)の判決が7日、京都地裁であった。中川綾子裁判官は「医師の立場を悪用した」として、懲役3年(求刑懲役6年)を言い渡した。

 判決によると、2014年11月、患者名義の住民基本台帳カードとパスポートを不正に取得。偽造した身分証で出国したほか、道交法違反の取り締まりを免れようとした。14年9月~15年1月、27人に訪問看護サービスを提供したように装い、京都市から療養費約640万円をだまし取った。

 中川裁判官は量刑理由で被害弁償などを考慮した上で、「多数の犯罪行為を犯したことは、強い非難を免れない」と述べた。


「強制的に不妊手術」被害女性が開示請求 17.3.2

(河北新報 2017年3月2日 )

 知的障害を理由に約50年前、旧優生保護法に基づく不妊手術を強制的に受けさせられたとして、宮城県内に住む70代の無職女性が1日、手術に関する資料の開示を県に申し入れた。

 1948年施行の旧優生保護法は「不良な子孫の出生防止」を目的に、本人の同意を得ずに知的障害者に不妊手術を施すことを認めていた。女性は10代後半だった63年ごろ、事情が分からないまま診療所に連れて行かれ、卵管を縛って妊娠できなくする手術を受けさせられたという。

 女性は「子どもを生む夢や希望を奪われ、何十年も苦しんできた。名乗り出ていない被害者を救済するためにも、実態解明を進めてほしい」と述べた。


ハンセン病療養所を訪問へ 小池知事「労苦ねぎらう」 17.3.2

(共同通信社 2017年3月2日)
 東京都議会定例会の本会議が1日開かれ、一般質問で小池百合子知事が、国立ハンセン病療養所「多磨全生園」(東村山市)を訪問する意向を示した。公明党都議の質問に対し「できるだけ早期に入所者の皆さまとお会いし、長年の労苦をねぎらいたい」と述べた。

 都に残っている記録によると、都知事が多磨全生園を訪問するのは1959年以来。

 小池知事は「国会議員時代に、元患者らの名誉回復や生活保障、過去の歴史の検証といった問題に正面から取り組んできた。差別や偏見で苦しむことがないよう、引き続き啓発を行っていく決意だ」と述べた。

 都によると、多磨全生園は09年に都の前身となる東京府などが開設し、41年に国へ移管された。今年1月末の入所者数は男女計約180人で、平均年齢は80歳を超え、高齢化が進んでいる。


子宮頸がんワクチン後に身体障害、名古屋市が初の補償 17.3.1

(朝日新聞 2017年3月1日 )

 名古屋市は、子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に体の障害を訴えた女性1人について、2160万円を支払うことを決めた。2016年度補正予算案に補償費を計上し、開会中の2月市議会に提出した。

 この女性は10~11年度、市の助成を受け任意の予防接種を3回受け、予防接種法に定める身体障害3級相当の障害が残ったという。このほか数人が補償を求めているという。

 市が加入する全国市長会予防接種事故賠償補償保険制度を利用する。予防接種と健康被害との因果関係が認められた場合、国や製薬会社の過失の有無に関わらず金銭的な補償をする制度。名古屋市がこの制度を使って救済するのは初めて。市によると、広島市、宮崎市に同様の支給例があるという。

 子宮頸がん予防接種については、各地で副作用の訴えが相次ぎ、市は国の通知を受けて13年6月以降は積極的に接種を勧めていない。


増殖の調整役、老化も防止 ヒト細胞酵素で熊本大確認 17.3.1

(共同通信社 2017年3月1日 )

 ヒトの細胞増殖を調整する酵素「SETD8」に老化を防ぐ役割もあることを、熊本大の研究チームが実験で確認し、1日付の米科学誌電子版に発表した。チームをまとめる中尾光善(なかお・みつよし)教授(細胞医学)は「この酵素の研究を深め、老化のメカニズムを解明したい」としている。

 SETD8は、細胞がまだ若いうちは、働きを強めたり弱めたりして増殖を手助けする。研究チームは、老化したヒトの細胞で、この酵素が著しく減って機能が失われた状態になることを確認した。

 また、ヒトの若い細胞でSETD8の働きを薬剤で抑えると(1)細胞の増殖が止まる(2)エネルギーの代謝を上げるタンパク質が増える―といった老化した細胞に特有の現象が生じた。こうした結果から、細胞の増殖を助けるこの酵素に、老化防止機能があると結論付けた。

 中尾教授は「加齢に伴う生活習慣病リスクを減らしたり、高齢者の健康促進に貢献したりできればいい」としており、今後はSETD8の活用方法も研究する方針。

 注)米科学誌は「CELL REPORTS」


卵巣がん転移の仕組み解明 予防薬開発に期待 17.3.1

(共同通信社 2017年3月1日 )
 卵巣がんが体内の別の場所に転移する際に働く遺伝子を特定し、転移の仕組みを解明したと、国立がん研究センターと名古屋大のチームが28日付の英科学誌に発表した。

 遺伝子は「MMP1」で、卵巣がんの細胞でこの遺伝子が活発に働いていると転移しやすいとみられる。がんセンターの横井暁(よこい・あきら)・特任研究員は「転移のしやすさが分かれば、治療後の検査の頻度を増やすなど対策できる。将来、転移を防ぐ薬の開発につながるかもしれない」と話している。

 卵巣がんは、早期に見つかれば手術できるが、内臓を包む腹膜の内側に散らばるように転移するなど進行した状態で見つかることも多く、この場合は治療が難しい。

 チームは、卵巣がんの細胞が分泌する「エクソソーム」という小さな袋状の粒に着目。マウスを使った実験で、MMP1を多く含むエクソソームによって、腹膜の細胞が死ぬことを見つけた。この腹膜の壊れた部分に、卵巣がんが転移するという。

 実際に卵巣がん患者の腹水を調べると、27%でMMP1を多く含むエクソソームが見つかった。早期の卵巣がんでも、MMP1が多い患者は、少ない患者に比べ10年後の生存率が低かった。

 注)英科学誌はネイチャーコミュニケーションズ


最も危険な細菌12種類 薬剤耐性でWHO公表 17.2.28

(共同通信社 2017年2月28日)
 【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)は27日、抗生物質(抗菌薬)が効かず、世界的に大きな問題になっている12種類の細菌のリストを公表した。人類にとって最も危険な病原菌だとして、各国に抗菌薬の迅速な開発を促した。

 WHOは「これらの菌の抗生物質への抵抗は強くなっており、治療の手段は尽きつつある」と警告している。

 WHOは細菌を抗菌薬開発の緊急度に応じて「重大」「高度」「中位」に分類。重大は多剤耐性アシネトバクター、多剤耐性緑膿(りょくのう)菌、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)の3種類。

 高度の6種類にはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、食中毒の原因となるサルモネラ菌、胃や十二指腸の潰瘍を起こすヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)が含まれている。

 WHO当局者は「抗菌薬の開発を市場に任せておくと、間に合わなくなる恐れがある」として各国政府の主体的な関与を求めた。

豊胸手術受け32歳女性死亡 名古屋のクリニック 17.2.28

(共同通信社 2017年2月28日)

 愛知県警中村署は28日、名古屋市中村区の「東海美容外科クリニック」で27日午後、豊胸手術を受けていた同市千種区の女性会社員(32)が意識不明になり、搬送先の病院で死亡したと明らかにした。手術に問題がなかったか、クリニック側から事情を聴いている。

 中村署によると、男性医師と看護師の2人が27日午後7時半ごろからクリニックで局所麻酔を伴う手術を開始。女性は途中で意識を失ったため別の病院に運ばれたが、約1時間後の同10時25分ごろ死亡した。このクリニックで手術を受けるのは初めてだったという。同署は司法解剖して死因を調べる方針。

 名古屋市によると、2016年1月に開設され、これまでに行政指導などの処分は受けていないという。

 東海美容外科クリニックは「担当者がいないのでコメントできない」としている。

 国民生活センターによると、美容整形についての相談は15年度に2090件寄せられ、13年度以降3年連続で2千件を上回った。痛みが激しいなど後遺症があるという訴えのほか、料金トラブルも起きているが、美容整形手術に詳しいある医師は取材に「死亡に至るまでのケースは珍しい」と話した。


山梨県内4団体 連携し在宅療養者支える 17.2.27

(山梨日日新聞 2017年2月27日 )
 地域の中で医療や介護を切れ目なく提供する地域包括ケアシステムづくりで、鍵を握るのが、医療と介護に関わる専門職の連携。山梨県内では、リハビリテーション専門職の3団体(県理学療法士会、県作業療法士会、県言語聴覚士会)と県内のケアマネジャーでつくる県介護支援専門員協会が連携を始め、2月には合同で研修会を開いた。4団体の連携は全国でも例のない取り組みといい、今後も研修会を通して互いの職種への理解を深めながら、在宅療養者の自立支援に生かしていくことを目指している。

 「急性期病院から在宅に戻ってくる人がとても増えているが、病院のリハビリ職は、その人が家に帰った時にどう生活していくかがイメージしきれていないと感じる」。4団体が初めて合同で開いた研修会「やまなし地域リハ―ケアの推進を考える会」で、県介護支援専門員協会長の鷲見よしみさんは投げ掛けた。

■生活者の視点

 病院から在宅への移行が進み、自宅でリハビリを必要とする人は増えているが、リハビリ職の大半は病院勤務。鷲見さんは「『歩行器を使えば歩ける』と言われても歩行器が使えない家もある。教えてほしいのは、どうしたら家の中で動けるのか、何をすれば良くなるのかということ。そのためには、私たちケアマネジャーが自宅の様子など必要な情報を的確に伝える必要がある」と連携の大切さを訴えた。

 これに対し、県言語聴覚士会長の内山量史さんは「入院している患者を診ることはできても、地域に帰った時の生活者という視点で見ることができないリハビリ職が増えている危機感を持ち、人材を育成していかなければならない」とし、県作業療法士会長の山本伸一さんは「その人がどんな環境でどんな活動をするのかイメージを膨らませられるように、普段からケアマネジャーと会い、情報交換をしなければならない」と答えた。

 研修会では、4団体の会長が連携に向けた課題などを語り、各団体の会員約300人が耳を傾けた。4団体はこれまで、会長らの間で定期的に意見交換を行ってきたが、会員同士の交流も促し、現場で医療職と介護職が連携するチームづくりの第一歩にしようと、合同研修会を企画。ケアマネジャーが作成するケアプラン(介護計画)の中にリハビリが効果的に取り入れられ、在宅療養者の自立した生活につながることなどを目指している。四つの職能団体間の連携は、全国でも初めての試みという。

■全国へ拡大を

 理学療法士は立つことや歩くことなど基本動作、作業療法士は日常生活に欠かせない応用動作、言語聴覚士は聴覚や嚥下障害のリハビリを支える。鷲見さんは「疾病や障害を抱えながら生活を立て直すために、リハビリは不可欠。リハビリ職とケアマネジャーの連携は本来あるべきだが、現場で顔を合わせる機会はあまりなく、連携は密ではない」と現状の課題を挙げる。

 4団体は今後も研修会を開き、現場の課題を共有したり事例検討をしたりすることを考えている。県理学療法士会長の小林伸一さんは「職種の間にある垣根を低くし、互いの関係を強固にしていくことで、クオリティーの高い介護サービスが提供できる。山梨の取り組みが全国に広がっていけばいい」と期待する。


NHK番組「ガッテン!」の「最新報告!血糖値を下げるデルタパワーの謎」内容に日本睡眠学会が緊急意見書 17.2.27

(日本睡眠学会 2017年2月27日)


《平成29年2月22日(水)に放映されたNHK番組「ガッテン!」の内容に関する一般社団法人日本睡眠学会としての見解》

平成29年2月22日(水)にNHK番組「ガッテン!」において放映された「最新報告!血糖値を下げるデルタパワーの謎」の内容について、睡眠科学、睡眠医療に関わる学術団体として看過できない問題点が確認されたため、ここに学会としての見解を述べます。

また、日本睡眠学会は一般社団法人日本神経精神薬理学会と連携してNHKに対して異議を申し立てるとともに、放送内容における疑義(下記参照)に対する回答、および、このような番組内容に至った経緯の説明を求めました。提供した情報に誤りがあった場合には速やかに訂正し、その内容を広く視聴者に公開するよう希望します。

以下、放送内容に対する懸念と疑義

1.番組で取り上げられた睡眠薬については国で承認された効能又は効果は「不眠症」に限定されており、糖尿病に対して処方することは認められていません。
番組内ではそのような睡眠薬を取り上げ、血糖低下を目的として用いることを推奨しているかのような印象を与えています。これは適応外処方(承認されている効能効果以外の目的で使用すること、健康保険が適応されない)を推奨していることに他ならず、テロップで医師の指示に従うよう流すことで正当化されるものではありません。

2.番組で取り上げられた睡眠薬については、既存の臨床試験データにおいても血糖降下作用は確認されていません。一部の研究者の限られた研究データを根拠として糖尿病治療に用いることは倫理的にも医学的にも許容されません。
本番組ではそのような根拠に乏しい効能効果を視聴者に向けて強くアピールしており、糖尿病患者に過大な期待を持たせたばかりか、医療現場での混乱を招いています。

3.向精神薬に分類される睡眠薬は適正処方が求められており、臨床的に不眠症と診断された患者にのみ処方されるべきです。しかしながら放送で登場した患者の方は自覚的に不眠症状がなく、睡眠状態に起因する心身の不調も訴えていませんでした。したがって不眠症の診断基準に該当しているとは考えにくく、睡眠薬の処方自体が不適切です。

4.番組内では当該睡眠薬についてその安全性を過剰に強調していますが、どのような基準をもって安全であると主張しているのかその根拠が明らかでありません。睡眠薬に限らず、全ての医薬品には副作用があります。したがって、投薬の際には絶えずベネフィット(症状の改善など投薬によって受ける恩恵)がリスク(副作用による健康被害など)を上回っているか確認する必要があります。本件の場合、不眠症状がないにもかかわらず、また血糖降下作用が確立・承認されていないにもかかわらず睡眠薬を投与したことのベネフィットがリスクを十分に上回っているとは到底認められません。

その他の事項
1.「デルタパワー」とは脳波の周波数解析によって算出される指標の一つであり、何らかの治療効果を持った生体現象(治癒能力)のごとき表現は不適当です。
また、現段階ではデルタパワーと血糖低下作用の関連については医科学的に確立されているとは言えません。

2.番組の後半で、睡眠不足を解消することによってデルタパワーが増加するかのような説明がありましたが、番組内で引用されていた科学研究論文の内容と全く異なっており、完全な誤用もしくは捏造と言わざるを得ません。

                       平成29年2月27日

                    一般社団法人日本睡眠学会
                         理事長 伊藤洋


耳の手術で禁止の消毒液使用 市立甲府病院 17.2.22

(山梨日日新聞 2017年2月22日 )
 市立甲府病院で耳の手術をする際、使用が禁止されている消毒液を使ったため患者2人の難聴が悪化する医療ミスがあったことが21日、分かった。病院はミスを認めて2人に謝罪、計850万円の賠償金を支払った。市側は昨年3月にミスがあったことを確認しながら、公表していなかった。

 同病院によると、使用した消毒液は「ヒビテン・グルコネート液」で、耳の手術などで使うと内耳への神経損傷を起こすとして1970年代に学会が使用を禁止していた。厚生労働省によると、同消毒液に添付されている文書でも「難聴、神経障害を来すことがある」として、耳への使用を「禁忌」と明記している。

 同病院の説明では、11年6月、耳鼻咽喉科で鼓膜の穴をふさぐ手術の際、「液が透明で視認しやすい」ことなどから消毒液を「ヒビテン・グルコネート液」に変更。同手術は15年6月に甲斐市の70代男性、16年2月に中央市の50代女性がそれぞれ受け、2人が術後の経過の悪化を訴えた。

 70代男性に難聴の悪化を相談された当時、医師は「感染症が原因ではないか」と説明していた。その後、50代女性も同様の症状を訴えたことから、病院側は手術の映像やカルテなどを検証。院内の医師らで構成する事故調査委員会が昨年3月、「ヒビテン・グルコネート液」の使用が原因と結論付けた。

 同病院は2人の患者にミスを認めて謝罪。示談交渉を続けた結果、男性に450万円、女性に400万円を今月10日に賠償金として支払った。

 「ヒビテン・グルコネート液」は50代女性が異常を訴えた16年2月の時点で使用を取りやめるまで、ほかに県内の3人の手術に使用したが、悪化した患者はいないという。

 同病院総合相談センター総合相談室の丸山利彦室長は「消毒液を扱う際の確認が不十分だった。再発防止に努めたい」と説明。病院側のミスを認めた時点で公表しなかったことについては「患者への謝罪と示談交渉を優先した。被害が広範囲に広がった場合は公表するが、今回のケースは該当しないと判断した」と話している。


「費用支払い困難」100超す特養で退所 負担増影響か 17.2.22

(朝日新聞 2017年2月22日 )
 特別養護老人ホームの費用の支払いが困難なことを理由に退所した人が、少なくとも全国の100以上の施設にいたことが分かった。利用者の負担が増えた2015年の介護保険制度見直しの影響とみられる。

 調査は介護施設の運営者らでつくる「21世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会」が16年9~10月に実施。全国の特養7708施設にアンケートし、1600施設から回答を得て21日に速報結果を公表した。

 制度見直しの影響を複数回答で尋ねたところ、101施設で「支払いが困難」を理由とした退所者が出たとした。退所者の人数は聞いていない。ほかに206施設が「利用料の支払いの滞納」と答えた。

 15年の見直しでは、一定以上の所得があれば利用料の自己負担が1割から2割になり、施設の部屋代や食費の補助対象要件が厳しくなった。


息子の死、癒えぬ悲しみ 女子医大事故から3年 17.2.22

(同通信社 2017年2月22日 )
 東京女子医大病院(東京都新宿区)で2014年、首の良性腫瘍の手術を受けた男児=当時(2)=が術後、鎮静剤「プロポフォール」を大量に投与され死亡した事故は21日で3年がたった。「なぜこんなことになったのか。どうすれば良かったのか。ずっと苦しみから抜け出せない」。最愛の息子を失った40代の父親の悲しみは深く、癒えることはない。
 「もし生きていたら、春から小学生。一緒にランドセルを選んでいたのかな」。今月10日、埼玉県内の自宅で取材に応じた父親は小さくつぶやいた。仏壇には、ブランコに乗って笑顔を浮かべる息子の写真が飾られていた。

 仕事から帰った後、2人で一緒に風呂に入るのが日課だった。湯船につかり、成長を見守るのを何よりも楽しみにしていた。「あんなに幸せをかみしめていた日々はなかった」。3年たった今も思い出すと目が潤み、風呂場にあるおもちゃはそのままにしてある。

 「7分の簡単な手術だったのに...」。病院についてもっと調べていれば、死なせることはなかったのではないかと、後悔と自責の念ばかりが頭に浮かぶ。投与されたプロポフォールは、集中治療室(ICU)で人工呼吸中の子どもに使うのが禁忌とされていた。そもそも薬を使用することや、ICUで人工呼吸器を取り付けることを知ったのは手術後だった。

 気持ちの整理は今もつかず、「笑ったり、心がわくわくしたりすることがなくなった。気が付けば子どものこと、亡くなったあの日のことを考えてしまう」。

 病院側には何度も説明を求めたが、納得のいく答えや謝罪はなかったという。なぜプロポフォールが大量投与されたのか真相を知りたくて、昨年12月以降、投与に関わった耳鼻咽喉科や麻酔科の医師、看護師に対する民事訴訟に踏み切った。

 「病院には事故に真摯(しんし)に向き合ってほしかった。子どもはもう戻ってこないが、親として真実が知りたい」。父親は声を振り絞るように語った。

 ※東京女子医大病院の鎮静剤問題

 2014年2月、首の良性腫瘍の手術を受けた2歳男児が3日後に死亡。病院が依頼した第三者による調査委員会は、集中治療室で人工呼吸中の小児への使用が禁忌とされる鎮静剤プロポフォールを長時間、大量に投与したことが直接の死因との報告書をまとめた。両親は医師らを提訴、警視庁も業務上過失致死容疑で捜査している。病院側は14年12月、08~13年に同様の状況下で同鎮静剤を使用した子ども11人が死亡し、うち5人は投与の影響を否定できないとする検証結果も公表。厚生労働省は15年6月、高度医療を提供する特定機能病院の承認を取り消した。


帝王切開の麻酔注射で脊髄損傷 両脚に後遺障害、賠償求め提訴 17.2.16

(福井新聞 2017年2月16日 )
 福井市の福井県済生会病院で2015年、帝王切開による分娩時に麻酔注射を受けた30代女性が、脊髄を損傷し両脚に後遺障害が残ったとして15日、同病院を運営する社会福祉法人恩賜財団済生会(東京)に約5700万円の損害賠償を求めて福井地裁へ提訴した。同病院は局所麻酔の針が脊髄に達し損傷させた可能性が高いと認め昨年11月、女性に損害賠償を提示したが折り合わず、提訴となった。
 女性は15年12月に同病院で第3子を出産した福井市の主婦。訴状などによると、女性は脊髄近くにある「硬膜」の外側に管を入れる「硬膜外麻酔」の前段階として局所麻酔を施されたところ、両脚に激しい痛みが走った。無事出産したが、退院後も両脚に痛みや腫れなどが残ったままで、16年1月に病院に原因究明を申し入れた。

 同年8月までに局所麻酔の針が脊髄に達し損傷させた可能性が高いと病院側が認め、女性に労務が相当制限されるレベルの後遺障害9級との判断に基づき、約2080万円の損害賠償を提示。女性は後遺障害に伴う自宅改修や家族の負担増などが考慮されていないとして病院側に約4900万円の損害額を提示したが、病院側は拒否した。

 女性によると痛みやしびれは今も残ったまま。つえや車椅子が一生欠かせず、車の運転はできなくなった。女性の代理人弁護士は「夫も育児、家事、介護のため仕事を4年間休まざるを得なくなった」としている。女性は「子どもたちと自由に散歩したり抱っこすることもできなくなってしまった。二度と同じ事例が起こらないことを願っている」と話している。

 同法人の代理人弁護士は「訴状が届いておらずコメントできない」としている。


中2男子が転落死か 東京、リレンザを服用 17.2.15

( 共同通信社 2017年2月15日)
 東京都品川区のマンションで14日、インフルエンザにかかってリレンザを服用していた中学2年の男子生徒(14)が4階の自室から転落し、死亡していたことが15日、警視庁大井署への取材で分かった。同署は事故の可能性が高いとみて詳しい状況を調べている。

 大井署によると、14日午後0時50分ごろ、品川区のマンションで母親から「息子がいない」と110番があった。駆け付けた警察官らがマンション敷地内のフェンスに服の一部が引っ掛かり、宙づりになっていた生徒を発見。搬送先の病院で死亡が確認された。

 生徒は病院でインフルエンザの診断を受けて薬を服用し、自室で寝ていたため、母親は一時外出していた。自室の窓が開いており、その真下に転落したとみられるという。2017年2月15日 )

 東京都品川区のマンションで14日、インフルエンザにかかってリレンザを服用していた中学2年の男子生徒(14)が4階の自室から転落し、死亡していたことが15日、警視庁大井署への取材で分かった。同署は事故の可能性が高いとみて詳しい状況を調べている。

 大井署によると、14日午後0時50分ごろ、品川区のマンションで母親から「息子がいない」と110番があった。駆け付けた警察官らがマンション敷地内のフェンスに服の一部が引っ掛かり、宙づりになっていた生徒を発見。搬送先の病院で死亡が確認された。

 生徒は病院でインフルエンザの診断を受けて薬を服用し、自室で寝ていたため、母親は一時外出していた。自室の窓が開いており、その真下に転落したとみられるという。


2歳児死亡、麻酔医も提訴 東京女子医大の鎮静剤投与 17.02.15

(共同通信社 2017年2月15日)

 東京女子医大病院(東京都新宿区)で2014年、鎮静剤プロポフォールを大量に投与され死亡した男児=当時(2)=の両親が14日、投与に関係した麻酔科の医師と看護師ら4人に過失があるとして、計1億8千万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴した。

 埼玉県に住む40代の父親は「病院は鎮静剤で亡くなったと認めたが、なぜ大量投与したかは分かっていない。専門家がそろってミスしたとは考えにくく、麻酔科ぐるみでデータを取るためにやっていたのではないかと考えてしまう」と話した。

 訴状によると、男児は首にできた良性の腫瘍を取る手術を受け約7分で終わったが、集中治療室(ICU)で人工呼吸中の子どもへの使用が禁じられているプロポフォールを長時間大量に投与され、3日後に死亡した。

 両親は、手術前に鎮静剤の使用を知らせなかった注意義務違反があるとして、耳鼻咽喉科の主治医らを相手取った別の訴訟も起こしている。警視庁捜査1課は関係者から事情を聴くなどして業務上過失致死容疑で捜査している。


聖マリアンナ医大で不適切な臨床研究 調査委が報告書 17.2.15

(朝日新聞 2017年2月15日)
 聖マリアンナ医科大学(川崎市)は14日、神経精神科の男性准教授が不適切な臨床研究を実施していたなどとする調査報告書を公表した。参加の取り消しなどを求めた患者に対し、カルテの改ざんもしていた。大学は近く准教授を懲戒処分にする方針。

 この臨床研究は、承認済みの2種類の統合失調症治療薬を患者に使って効果などを比較する内容。

 調査委員会がまとめた報告書によると、無作為で患者を分ける計画に反し、意図的に患者を割り振っていた。参加するすべての患者に文書で同意を得ることになっていたが、一部でしていなかった。また、研究に使った一方の薬の製薬会社から年100万円以上の講演料などを受け取っていたのに、学内規定で義務づけられた大学への報告をしていなかった。

 報告書は、製薬会社の利益になるようにこれらを行ったのではないかと、「疑われてもやむを得ない事実経過である」と指摘した。発表された論文2本は撤回すべきだとした。

 この問題は、研究に不信感を抱いた患者の訴えがきっかけで発覚。報告書によると、患者が求めたカルテ開示に備えて、男性准教授は「(研究延長の)同意を得た」などと虚偽の内容を電子カルテに書き込んだ。全データの開示と削除を求められた際には、別の担当者が「データを破棄した」とうその説明をすることに同意していた。

 また報告書は、男性准教授を含む同科の医師3人が実施した別の6件


【京府医大】虚偽報告、院長名で作成…上層部関与を捜査 17.2.15

(読売新聞 2017年2月15日)

 京都府立医科大付属病院(京都市上京区)の医師が暴力団組長の病状について検察庁に虚偽の報告をしたとされる事件で、報告書は同病院の吉村了勇のりお院長(64)名義で作られていたことが捜査関係者への取材でわかった。

 吉村院長は組長の主治医だった。京都府警は14日、吉村院長と、同大学の吉川敏一学長(69)の自宅も虚偽公文書作成・同行使容疑で捜索。報告書作成に上層部の関与がなかったか慎重に調べる。

 捜査関係者によると、同病院は2015年8月、恐喝罪などでその前月に実刑判決が確定した指定暴力団山口組直系団体「淡海おうみ一家」(大津市)総長・高山義友希よしゆき受刑者(60)について、「腎臓の病気で刑務所への収容に耐えられない」との報告書を検察側に提出した。これに基づき、大阪高検は刑の執行を停止した。


腎移植の実績、国内指折り 京都府立医大 17.2.15

(共同通信社 2017年2月15日)
 指定暴力団山口組淡海一家の総長高山義友希(たかやま・よしゆき)受刑者(60)が腎臓移植の手術を受けた京都府立医大病院(京都市上京区)は、この分野で国内でも指折りの実績で知られる。高度の医療を提供する国の特定機能病院にも承認されている。

 病院のホームページによると、36診療科があり、許可病床数は1065で病院長は吉村了勇(よしむら・のりお)氏。1872年に開設された病院が起源とされ、1921年に大学が設置された。

 同病院で行われた腎移植は2015年までに約千件に上り、西日本では随一の症例数という。近年では、年間30例程度が実施されている。吉村氏は日本臨床腎移植学会の理事長も務め、同学会事務局は府立医大大学院内に設置されている。

 全国腎臓病協議会の金子智(かねこ・さとる)事務局長は、取材に「移植は多くの国民の理解がないとできない。移植医療に偏見や疑いを持たれ、滞るようなことがないようにしてほしい」と話した。


病院長、収監無理と意見書 薬投与理由、自宅を捜索 虚偽の有無捜査、京都 17.2.15

(共同通信社 2017年2月15日)
 実刑確定後も病気を理由に刑の執行が停止された暴力団幹部を巡り、京都府立医大病院の医師が虚偽の診断書や意見書を作ったとされる事件で、担当医の他に吉村了勇(よしむら・のりお)病院長も「薬の投与が理由で収監は無理」との趣旨の書類を作っていたことが14日、捜査関係者などへの取材で分かった。

 大阪高検は同日、指定暴力団山口組淡海一家の総長高山義友希(たかやま・よしゆき)受刑者(60)の刑を執行、大阪刑務所に収監した。京都府警は虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで、同病院の医局や学長室に加え、奈良市の病院長の自宅も家宅捜索。押収した資料を精査し、診断書などの作成経緯を詳しく調べる。

 京都府立医大によると、他病院からの紹介を受け、2013年から高山受刑者を診察。暴力団関係者という認識はあったという。捜査機関からは病状などについて、腎臓移植手術で入院した14年から昨年10月までに計7回照会があり、病院長名で回答していた。回答書は担当医と吉村病院長が相談して書いていた。

 捜査関係者などによると、高山受刑者の担当医が昨年、府警の任意の事情聴取に「院長からの指示で虚偽の書類を書いた」と供述したことも判明。一方、聴取後には医大側に「院長の指示があったとは言っていない」と説明しているという。

 吉村病院長は14日、「(診断書の偽造は)ないです」と否定した。

 高山受刑者は恐喝罪などに問われ、13年6月に京都地裁で懲役8年の判決が言い渡された。14年7月に移植手術を受け、医師が「ウイルス性腎炎」など収監に耐えられない健康状態との診断書を作成。15年に判決が確定したが、収監されていなかった。府警は他の複数の医療機関に問い合わせて診断を誤りと判断した。

 確定判決によると、高山受刑者は05~06年、山口組ナンバー2で弘道会会長だった高山清司(たかやま・きよし)受刑者(69)と共謀し、土木建設工事の受注などに関するあいさつ料名目で、建設業の男性から計4千万円を脅し取った。09年には淡海一家の構成員と共謀し、同じ男性から500万円を脅し取った。


組長の病状虚偽報告、武田病院も強制捜査 容疑で京都府警 17.2.15

(京都新聞 2017年2月15日)

 京都府立医科大付属病院(京都市上京区)が、暴力団組長の収監を巡り、大阪高検などに虚偽の病状を記した文書を提出したとされる事件で、康生会・武田病院(下京区)も組長の病状について検察側に虚偽の内容を報告した疑いがあるとして、府警捜査2課は15日、虚偽診断書作成容疑で、同病院に強制捜査に入った。

 山口組系淡海一家(大津市)総長の高山義友希受刑者(60)の収監が1年半余り見送られてきた背景に、複数の病院が関与した疑惑が浮上した。武田病院は府立医大付属病院の「関係病院」の一つ。両病院が検察側に提出した病状報告はいずれも組長の容体の重さを強調していたといい、府警は、服役を免れようとした組長に加担した疑いもあるとみて慎重に捜査する。

 捜査関係者によると、昨年2月に高山受刑者の刑の執行停止が決まる直前に、武田病院の循環器系の医師が、施設収容により重い不整脈を生じる恐れがあるとする文書を大阪高検に提出していた。しかし、府警が複数の医療機関を通じて当時の診断結果を分析した結果、記載された症状の危険性はないことが判明。虚偽記載の疑いが強まったという。

 高山受刑者を巡っては、公判中だった2014年7月、府立医大付属病院で生体腎移植の手術を受けた。その後、重症化が懸念される「BKウイルス腎炎」を発症し、「拘禁には耐えられない」とする同病院長名の回答書が検察側に提出された。しかし、府警が同様に再確認したところ、高山受刑者は収容可能な健康状態であることがわかり、府警は14日、虚偽公文書作成容疑などで同病院や府立医大などを強制捜査した。

 府警は15日午前10時ごろ、武田病院や循環器系の医師の自宅など関係先の家宅捜索を一斉に始めた。


患者暴行死「共謀ない」2被告が否認 千葉地裁で初公判 17.2.15

( 朝日新聞 2017年2月15日)
 千葉市中央区の石郷岡病院で2012年、精神科に入院していた男性患者(当時33)に共謀して暴行し、その際のけがが原因で2年後に死亡させたとして、傷害致死罪に問われた当時の准看護師2人の裁判員裁判の初公判が15日、千葉地裁であった。

 2人は千葉市若葉区の菅原巧(63)、千葉県市川市の田中清(67)の両被告でいずれも無職。菅原被告は「共謀して暴行したことはない」、田中被告は「共謀の意思疎通はない。暴行の事実はなく、正当な看護行為の範囲だった」と述べ、起訴内容を否認した。

 2人の起訴内容は、12年1月1日、同病院の保護室で、仰向けになっていた男性の顔を菅原被告が数回踏みつけ、田中被告は自分のひざで男性の首などを押さえつけるなどして頸髄(けいずい)損傷などのけがを負わせ、その時の負傷を原因とする肺炎で14年4月に死亡させたというもの。


子宮頸がんワクチン訴訟 東京地裁で審理開始 17.2.13

2017年2月13日

子宮頸がんワクチンを接種したあと、体の痛みなどを訴えている患者たちが全国で起こした裁判のうち、東京地方裁判所での審理が13日から始まりました。
子宮頸がんワクチンをめぐっては、接種後に体の痛みなどを訴える患者が相次ぎ、東京、大阪、名古屋、福岡の各地裁で合わせて119人の患者が、国と製薬会社2社に賠償を求める訴えを起こしています。

「全身の激しい痛みや視力の低下、両手足の脱力状態、失神、呼吸困難などの症状が出て車いす状態になった。国はその事実を認めその責任を重く受け止めてほしい」として賠償を求めたのに対して、国と製薬会社は訴えを退けるよう求めました。

訴訟弁護団によると、「接種と副反応の因果関係を否定する根拠となる資料をよくみると、副反応全体を捉えたものではなく、症状の一部を切り取ったり別の疾患にしており、因果関係を否定する根拠にはならない」と指摘している。


住基カード不正取得 京都の医師に懲役6年求刑 17.2.7

(京都新聞 2017年2月7日 )
 患者名義の住民基本台帳カードなどを不正取得したほか、京都市から診療報酬を不正受給したとされる事件で、有印私文書偽造・同行使や詐欺などの罪に問われた精神科医の男(43)の公判が6日、京都地裁(中川綾子裁判官)であった。検察側は懲役6年を求刑し、弁護側は執行猶予付き判決を求めて、結審した。判決は3月7日。

 検察側は論告で、患者の名義を使用したことなどを挙げ、「医師という立場を悪用した職業的犯罪で強い非難に値する」と述べた。

 弁護側は、精神科医としての激務をこなすうち多量の抗うつ剤を服用するようになり、「薬剤の過剰摂取で自己抑制が効かなくなった」と情状酌量を求めた。

 起訴状によると、被告は2014年11月、患者を装って住民基本台帳カードとパスポートを不正に取得した。同年11月~15年1月、市内の男女3人に訪問看護サービスを行ったように装い、診療報酬を請求し、京都市から計67万円をだまし取った、としている。


女子中生患者に淫行の医師に高知地検が懲役4年求刑 17.2.2

(高知新聞 2017年2月2日 )
 患者の女子中学生にみだらな行為をしたとして、児童福祉法違反と児童買春・ポルノ禁止法違反の罪に問われている高知市の男性医師の被告(61)の公判が2月1日、高知地裁であり、検察側は懲役4年を求刑し、弁護側は執行猶予付き判決を求めて結審した。

 検察側は論告で、被告が被害生徒=当時(15)=と性行為に及んだ経緯について「性欲解消目的であることは明らか。性行為を記録した音声などからも能動的に犯行に及んでいる」と指摘。さらに、生徒の父親に「化学物質からの隔離治療をしたい」などのメールを送り、生徒を自身の別荘に来させるなどした犯行態様を「医師でなければ行えない方法で極めて悪質だ」とした。

 弁護側は、被告が診察を通じて生徒に恋愛感情を抱いたとして「積極的に医師の立場を利用したものではない」と主張。生徒の父親と示談が成立し、医師免許の取り消しが予想されているとして情状酌量を求めた。

 起訴状によると、被告は、生徒が18歳未満と知りながら、2013年10月22日~11月17日の間、高知市のホテルなどで複数回、みだらな行為をした。また、2013年11月16、17日には生徒の裸をデジタルカメラで撮影した―としている。


水俣病の原因物質:メチル水銀摂取で有害物質が脳に 新潟大准教授らが発症メカニズム初確認 17.1.25

(新潟日報 2017年1月25日)
 新潟大脳研究所神経内科の下畑享良准教授(49)らの研究グループは24日、水俣病の原因物質のメチル水銀を摂取すると、血管の障害を引き起こすタンパク質「血管内皮増殖因子(VEGF)」が脳内で多く発生することを、ラットを用いた実験で初めて確認したと発表した。米オンライン科学誌プロスワンに同日(日本時間25日)掲載される。

 水俣病の発症メカニズムや治療法は解明されていないが、2011年から新潟大と共同研究を行う環境省国立水俣病総合研究センター(熊本県水俣市)は「急性期の患者にはVEGF抗体による治療が期待される」としている。

 研究グループは、水俣病の重症患者が脳出血などを起こしていたことから、血管の障害に着目。ラットにメチル水銀を1~4週間投与すると、期間の長さに比例して、神経症状として後ろ足が交差する個体が多く見られた。

 脳には、血液中の有毒物質が脳内に入らないようにする「血液脳関門」というバリアー機能があるが、VEGFはそれを破壊する性質がある。ラットの脳を調べてみると、水俣病患者が障害を受けやすい小脳や後頭葉でVEGFの発生が確認された。特に小脳では血管内の物質が脳内に漏れ出していることが分かった。

 VEGFの作用を中和する抗体をラットに投与すると症状の改善がみられた。

 下畑准教授は「メチル水銀が血管のバリアーを破壊することで、有害物質が血管の中から脳の中に移行してしまう。それによって小脳や後頭葉が障害を受ける」と考察。現時点では、小脳や後頭葉にVEGFが発生する要因までは分かっていないが、「少なくともVEGFが(水俣病の)引き金になっていることが分かった」と強調した。

 今回は主に急性期の症状に関係する研究だが、新潟大の高橋哲哉助教(46)は「研究で分かったメカニズムが後遺症の治療にも役立てばいい」と期待した。

 水俣病はメチル水銀に汚染された魚介類を継続的に食べることで発症する中毒性の神経系疾患で熊本、鹿児島、新潟の3県で認定患者が出ている。


金沢医大の34歳医師逮捕 女子高生にストーカー容疑 17.1.13

(共同通信社 2017年1月13日 )
 金沢西署は12日、ツイッターに行動を監視しているような書き込みを繰り返し女子高校生に付きまとったとして、ストーカー規制法違反の疑いで、金沢市、金沢医科大病院医師角田真弘(かくだ・まさひろ)容疑者(34)を逮捕した。

 逮捕容疑は昨年10月18日~12月7日、スマートフォンやパソコンで石川県内の女子生徒のツイッターアカウントに「バス停で見ているよ」「行動パターンを知り尽くしてしまった」などと計16回書き込み、付きまとった疑い。

 女子生徒から金沢西署に相談があり発覚した。女子生徒は「後をつけられたり盗撮されたりした」と話していることから、同署は裏付け捜査を進める。

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