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What's new 2016.7~12

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出産直後2人死亡 今治の産婦人科 医会、初の改善指導 16.12.14

(愛媛新聞 2016年12月14日)

 愛媛県今治市の産婦人科診療所で出産直後の女性2人が死亡するなど医療事故が相次ぎ、日本産婦人科医会が改善のために指導したことが12日、分かった。医会は開業医などで構成する専門団体で、医療機関への直接指導は初めて。診療所は来年3月で出産の扱いをやめるとしている。

 出産直後の女性2人が死亡するなど医療事故が相次ぎ、日本産婦人科医会から改善を指導された今治市内の産婦人科診療所の医師は12日、所内で会見し「死亡事故が多いと自分でも正直思う。申し訳ない気持ちを忘れたことはない」と心境を語った。

 確認されている事故4件について、医会に報告したのは2015年の死亡事故のみとし「12年の死亡事故は当時は報告義務がなく、ほか2件は死亡ではなかったから」と強調。4件以外の重大事故については「出産に関わるものはないが、08年ごろに60代の女性が子宮筋腫の手術後に出血性ショックで死亡したことはある」と述べた。

 2件の死亡事故について12年のケースは「急な出血で、輸血して血圧を安定させ、いい状態で別の病院に搬送しようとした。最善を尽くしたが、医会からは、すぐ搬送すればよかったのではないかと指摘された」と説明。15年のケースは「トータルの出血量は多くなく、どうすれば防げたか本当に分からない」と主張した。

 重大事故が続いていることに「計り知れない悲しみを家族に負わせてしまった」とコメント。「開業医は普通分娩(ぶんべん)のみ扱い、帝王切開は高次病院に任せるような流れがあるが、うちは対応が遅れた」としながらも、マンパワー不足ではないかとの指摘には「一人で診療していたから対応できなかったということはない」と否定した。


医師が強姦容疑、千葉 9月も長野で逮捕 16.12.02

(共同通信社 2016年12月2日)
 千葉県警は1日、2011年に同県内の住宅で就寝中の女性(31)に暴行したとして、強姦(ごうかん)と住居侵入の疑いで、千葉県松戸市、医師伊藤樹(いとう・たつる)容疑者(47)=準強制わいせつ罪で起訴=を逮捕した。県警によると容疑を否認している。

 伊藤容疑者は、勤務していた長野市内の病院で女性患者にわいせつな行為をしたとして今年9月、長野県警に準強制わいせつ容疑で逮捕された。

 逮捕容疑は11年12月22日深夜、女性方に侵入、就寝中の女性を脅して暴行した疑い。女性は1人暮らしで伊藤容疑者と面識はなかった。

 病院によると、伊藤容疑者は昨年4月から精神科の常勤医師として働き、今年11月2日に懲戒解雇された。


医師にも技能審査必要…不適格者から免許取り上げる仕組みを【わたしの医見】 16.11.30

(読売新聞 2016年11月30日)

東京都世田谷区 無職 65

 学校の成績が良かったからというだけで医師になった人もいると思う。知識はあるのだろうが、社会常識や思いやりの気持ちを身につけなければ、患者から信頼されない。群馬大学病院で相次いで手術死を招いた医師は、その最たる例ではないか。こうした医師が医師免許を剥奪されないのには憤りを覚える。

 私は航空会社のパイロットとして、多くの命を預かる立場にあったが、定期的に技能審査などを受けていた。不合格だと乗務できなくなる。医師はいったん免許を取得すると、手術や診断の技量、知識などの審査はないようだ。不適格者から免許を取り上げる仕組みを作らなければ、患者の権利、幸福は守られない。


DeNA、医療サイトを非公開に 無断利用や誤り指摘で 16.11. 30

(朝日新聞 2016年11月30日)

 IT大手のディー・エヌ・エー(DeNA)は29日、医療や健康情報のインターネットサイト「WELQ(ウェルク)」の全ての記事を同日夜から非公開にした。サイトは外部のライターや一般からの記事を掲載していたが、内容に誤りがあるのではないかといった指摘が寄せられていた。

 すでに医療関係の記事は非公開にしており、29日夜からは全てを非公開にした。今後、記事内容を医師ら専門家に監修してもらい、問題がないものから掲載を再開するという。「寄せられた意見を真摯(しんし)に受け止めた」としている。

 ウェルクは2015年秋にサービスを開始。外部のライターやネット利用者らから記事を募り、それをまとめる「キュレーションサイト」と呼ばれる方式だ。美容や健康情報だけでなく、白血病や肺炎など専門的な知識が必要な医療関連の記事も掲載した。月1回以上サイトを訪れる利用は、のべ2千万件以上あるという。同社にはサイトの閲覧で広告収入が入り、ゲームに次ぐ収益の柱につながると力を入れてきた。

 ただ、10月ごろから記事に対し、他のサイトの記事を無断で利用しているほか、内容自体にも誤りがあるのではないか、との指摘が寄せられていた。専門家による記事の監修は一部にとどまっていた。

 一方、検索サイト「グーグル」では記事が検索結果で上位に入り、ネット利用者の目に触れる機会が多い状況が続いていた。DeNAは今月25日、記事について医師や薬剤師ら専門家の監修を始めると発表していた。今後は、医療の記事はウェルク編集部名義で掲載する。同社はファッションなどでも同様の形のサイトを開設しており、守安功社長をトップとした管理委員会を設置してチェック体制を整える。


乳房切除ミス、620万円支払いで市と和解へ 16.11.29

(読売新聞 2016年11月29日)

 乳がんの検体を取り違えられ、乳房の一部を誤って切除されたとして、20歳代の女性が高砂市民病院(兵庫県高砂市)を運営する同市を相手取り、慰謝料など約1850万円の損害賠償を求めた訴訟で、市は28日、女性と和解する方針を明らかにした。

 市は女性に謝罪し、和解金など計約620万円を支払うという。

 訴状などによると、女性は2014年4月、同病院で病理検査を受け、右胸の乳がんと診断された。翌月、別の病院で切除の手術を受けたが、がん細胞は検出されず、診断時に50歳代女性の検体と取り違えられていたことが判明。高砂市民病院側は原因を「特定できなかった」とする報告書をまとめるなどしたため、女性は今年1月、大阪地裁に提訴した。市などによると、今月15日に同地裁が和解案を示し、双方が合意した。女性は取材に「原因が不明のままで、100%納得したわけではないが、謝罪の言葉が入っていたので和解することにした。二度とミスが起こらない体制にしてほしい」と話した。市は「大変申し訳ない。再発防止策をきっちりと行う」としている。

後遺症の男性、さいたま市立病院を提訴 1・4億円賠償で和解へ 16.11.28

(埼玉新聞 2016年11月28日)

 低酸素脳症を発症して後遺症が残ったのは適切な処置を怠ったためとして、さいたま市立病院(さいたま市緑区三室)を運営する同市を相手取り東京地裁に損害賠償請求訴訟を起こしていた元入院患者との和解案に合意し、市が和解金約1億3985万円を支払う議案を提案することが25日、分かった。30日開会の市議会12月定例会に提案する。

 同病院庶務課によると、原告は2009年8月24日に同病院で低酸素脳症を発症した浦和区の30代男性。男性は20代だった同年8月13日に救急搬送されて同病院に入院した。11日後の24日に低酸素脳症を発症。同課は治療の経過や「後遺症が残った」こと以外を公表していないが、原告側は「病院が適切な処置を取らなかった」と主張し、同市に対し約2億3722万円の損害賠償を求め、14年5月に民事提訴していた。

 市側は争っていたが、同地裁が今年8月に提案した和解条項案に今月7日に合意した。市側は過失の有無についての認識を一切示さず、市立病院は「医療行為中に起きたことで、後遺症が残ったことに対し遺憾に思っている」とコメント。今回の和解について、清水勇人市長は25日の定例会見で「誠に遺憾。今後起こらないよう、しっかり対応していきたい」と述べた。

中津川市民病院に賠償命令 誤診でまひ、9千万円 16.11.28

(共同通信社 2016年11月28日)

 病院の誤診で下半身にまひが残ったとして、岐阜県恵那市の男性(51)が中津川市民病院を運営する同県中津川市に約2億5千万円の損害賠償を求めた訴訟で、名古屋地裁は25日、市に9774万円の支払いを命じた。

 朝日貴浩(あさひ・たかひろ)裁判長は、後遺障害の慰謝料や障害がなければ得られたはずの収入などを認めた。一方で、現在介護している妻が高齢となった後に男性の介護サービスを雇う費用などは認めなかった。

 判決によると、男性は2011年4月、同病院で磁気共鳴画像装置(MRI)を使った検査を受け、椎間板ヘルニアと診断された。実際には化膿(かのう)性椎間板炎で、適切な治療が受けられず、感染症が進行し下半身にまひが残った。

 病院は医療過誤を認めており、賠償額が争点となっていた。中津川市民病院の安藤秀男(あんどう・ひでお)院長は「判決文を十分検討し、速やかな解決に向けた対応を考えたい」としている。


児童買春容疑で医師逮捕 女子高生に現金渡す、東京 16.11.28

(共同通信社 2016年11月28日)

 高校2年の女子生徒(16)に現金を渡してみだらな行為をしたとして、警視庁三鷹署は28日、児童買春・ポルノ禁止法違反(買春)容疑で大阪府高槻市、小児科医師三宅哲雄(みやけ・てつお)容疑者(40)を逮捕した。「未成年だとは知らなかった」と容疑を否認しているという。

 逮捕容疑は7月28日、東京都文京区のホテルで現金5万円を渡して、女子生徒とみだらな行為をした疑い。

 三鷹署によると、三宅容疑者はツイッターで女子生徒と知り合い、当時は出張で都内を訪れていたという。この生徒がインターネット上に援助交際を求める書き込みをしているのを、サイバーパトロールをしていた三鷹署員が発見。生徒を補導して事件が発覚した。


後遺障害で4千万円賠償 豊橋市、手術で左足首まひ 16.11.28

(共同通信社 2016年11月28日)

 豊橋市民病院(愛知県豊橋市)は25日、2014年に40代男性の左膝骨折を治療する手術をした際、担当医師が誤って神経を切断したとして、男性に損害賠償約4100万円を支払うと発表した。同病院は市が運営している。男性は左足首に障害が残った。

 病院によると、男性は13年12月、階段から転落して骨折し、ボルトで固定する手術を受けた。約1年後、左膝のボルトを抜き、膝を曲げやすくする手術の際に担当した30代の整形外科の医師が誤って神経を切断した。

 手術後のリハビリで回復しないため、別の病院で受診したところ、神経の切断が分かった。男性は足首がうまく動かせず、歩行が不自由な状態となった。男性と病院の弁護士が話し合い10月、和解で合意。豊橋市は12月議会に賠償支払いの議案を提出する。


腸閉塞の男性、医療事故で死亡…蕨市立病院 遺族に2567万円補償 16.11.25

(2016年11月25日 埼玉新聞)

 蕨市は24日、腸閉塞(へいそく)で市立病院に入院した市内の無職男性(67)が死亡した医療事故で、男性の遺族に対し補償として2567万円を支払う内容の示談が成立したと発表した。議会の同意を得て支払われる。

 市によると、男性は2014年10月20日午前、おう吐を訴えて入院。深夜におう吐が激しくなり、翌21日午前0時20分に死亡が確認された。直接の死亡原因は吐しゃ物が気道に詰まったことによる窒息死だった。同病院の50代の医師は軽い腸閉塞の可能性があると判断し、翌日に精密検査を行う予定だったという。

 男性の姉ら遺族に対し病院側による説明が行われたが、遺族側は納得できないとして15年11月から病院側に補償を求め、交渉が行われてきた。当初の診断とその後の措置について、全体として不十分な点があったと病院側が認め、和解が成立した。

 同病院の伊藤浩一事務局長(54)は「この医療事故を重く受け止め、同じことが二度と起こらないよう務めたい」と話している。


医学生飲酒時、研修医も同席 千葉大集団強姦事件 16.11.23

(朝日新聞 2016年11月23日)

 千葉大学医学部(千葉市中央区)の男子学生3人が集団強姦(ごうかん)致傷容疑で千葉県警に逮捕された事件で、学生らが女性と酒を飲んだ店に、3人を指導する立場の研修医も一緒にいたことが関係者への取材でわかった。同大は22日、医学部内に調査委員会を設置した。

 同大の渡辺誠理事らはこの日記者会見し、「逮捕は報道で知った。事実とすれば非常に残念。逮捕された学生も、被害者も把握できていない」と話した。

 関係者によると、3人は医学部5年の20代の男子学生で、9月下旬、千葉市内の飲食店で女性を泥酔させ、店内や、うち1人の自宅で、酒に酔った女性に性的暴行を加えてけがをさせた疑いがあるという。


懲戒免職 歯科医師「パワハラ、診察拒む」 院長は解職 /富士吉田市 16.11.17

(山梨毎日新聞 地方版 2016年11月17日)

富士吉田市は16日、職場でのパワハラや患者の診療を拒んだなどとして市立病院歯科口腔外科主任の大月佳代子歯科医師(58)を懲戒免職にしたと発表した。また市立病院の樫本温(さとし)院長(61)を減給10分の1(6カ月)とした上で院長を解職した。また副院長と事務長を口頭による厳重注意処分とした。樫本氏、大月氏はいずれも「事実無根」と否定し、市公平委員会に処分を取り消すよう申し立てる方針。

 市によると、大月氏は2013年1月から同病院で診療。看護師や事務職員らに対し高圧的言動や無視・冷たい態度などのパワーハラスメントを行ったという。また富士吉田歯科医師会所属の一部歯科医院からの紹介患者を診療せず差別したとしている。市によると「紹介状に不備がある」などを理由に患者の診察をしなかったケースが複数あるという。

 また、樫本氏については「大月医師を院長として指導せず、適正な院内管理を怠った」としている。

 堀内茂市長は記者会見で「市民や利用者に心配をかけ申し訳ない」と陳謝。自らの任命責任として市長給与を減給10分の1(2カ月)とする意向を示した。

2氏「事実無根」

 大月氏は同日、記者団の取材に、処分について「事実無根。市は証拠も提出せず、裏付けがなかった。(公平委員会への申し立てなどを通じ)公となることでしっかりした区切りをつけたい」と述べた。

 樫本氏も「不当な処分。病院内の委員会を開いて調べたが、不当な診療拒否はなかった。パワハラの訴えもなかったし、あれば調べようという時に、いきなり市が断定して処罰した」と反発している。


オプジーボ来年2月に半値 患者急拡大で緊急措置 超高額のがん治療薬 16.11.16

(共同通信社 2016年11月16日)

 優れた効果はあるものの、極めて価格の高い新型がん治療薬「オプジーボ」について、厚生労働省は16日、来年2月から薬価を50%引き下げる案を中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)に示し、了承された。対象疾患が増えたため薬を使える患者が急拡大し、医療保険財政を圧迫するとの指摘が上がっていた。

 国が定める薬価の改定は原則2年に1度(次回は2018年度)だが、厚労省は「(医療保険財政への)影響が極めて大きく、緊急的に対応する」と説明。年間販売額が予想以上に増えて1500億円を超えた場合、薬価を最大50%下げられる特例を援用し、異例の大幅値下げに踏み切る。

 値下げ後の価格は100ミリグラム約36万5千円。厚労省は18年度改定で、薬価設定のルールを抜本的に見直し、あらためて算定する。販売元の小野薬品工業(大阪市)は不服意見の提出を検討するという。

 保険診療の場合、患者の自己負担は薬価の1~3割だが、毎月の負担額に上限を設ける高額療養費制度があるため、患者が支払う金額は変わらず、利用者が急激に増えることもないとみられる。

 政府は社会保障費の圧縮に向け、医療・介護分野で高齢者の負担増などを検討しているが、オプジーボの値下げにより、来年度予算で200億円弱を抑制できる見込み。

 オプジーボは当初、一部の皮膚がんを対象に保険適用され、患者数が少ないため、100ミリグラム約73万円の薬価が認められた。その後、肺がんへの効能追加で対象患者が大幅に拡大したが、薬価は見直されなかった。患者1人への投与で年3500万円かかるとされる。

 厚労省はこれまで、値下げは17年度に最大25%にとどめ、18年度に追加で引き下げる方針を示していた。欧米での販売価格が日本の半分以下であることなどから、政府内で調整した結果、時期を前倒しし、値下げ幅も拡大した。

 小野薬品工業はオプジーボの16年度の売り上げを出荷額ベースで1260億円と見込むが、厚労省は流通コストなどを勘案した薬価で計算し、特例の対象となる1500億円を超えると判断した。

 ※オプジーボ

 「免疫チェックポイント阻害剤」という新しいメカニズムで作用するがん治療薬。国内では小野薬品工業が2014年9月に発売した。一般名はニボルマブで、点滴投与する。ヒトの体にはがん細胞などを排除する「免疫」の機能がある一方、がん細胞への攻撃を抑制する分子もある。こうした分子の活動を「阻害」することで免疫の力を回復させ、がん治療に活用する仕組み。


遺体にあざ「真相調べて」 納得できず、解明託す 16.11.15

(共同通信社 2016年11月15日)
 3週間足らずの勾留中になぜ死亡したのか。男性医師の遺体にあざのような痕を見た遺族の女性(52)は「急性心筋梗塞」という死因に納得できずに6年以上を過ごした。岩手医大の出羽厚二(でわ・こうじ)教授(法医学)による告発に「警察は自らの手で、真相をしっかり調べてほしい」と解明を託した。

 女性は15日、出羽教授らとの記者会見で「解剖結果を不審に思った。本当のことが知りたいし、皆さんにこういうことがあったと知ってもらいたい」と訴えた。

 2010年2月25日、奈良県警から「すぐに来てください」と死亡連絡を受けた女性。駆け付けた病院で遺体と対面し、思わず目を疑った。「右足が真っ黒。なんでこんな状態になっているの」

 職業上、医師は健康にも気を付けていたといい、女性は急死に納得できず、県警や検察に問い合わせた。「県警からは検察に、検察からは県警に聞いてくださいと言われ、満足のいく内容は聞けなかった」と振り返る。

 遺体の鑑定書を調べた出羽教授は、下肢の広範囲に及んだ皮下出血の原因として、取り調べ中に殴打があった可能性を指摘する。女性も「勾留中に体の至る所をけがするなんて、普通あり得ますか」と語気を強める。

 「密室の中で何があったのか」。医師が死亡した日から、女性は今でも考え続けている。


勾留中死亡、法医が告発へ 「自白強要で暴行」 奈良県警の警察官 16.11.15

(共同通信社 2016年11月15日)

 2010年2月に奈良県警が業務上過失致死容疑で逮捕し、桜井署で勾留中の男性医師=当時(54)=が死亡したのは取り調べを担当した警察官の暴行が原因として、遺体の鑑定書を調べた岩手医大の出羽厚二(でわ・こうじ)教授(法医学)が、県警に特別公務員暴行陵虐致死容疑で告発することが14日、分かった。容疑者は特定していない。

 15日に告発状を県警に提出する。出羽教授は取材に「下半身に広範囲の皮下出血があり、多数の打撲で生じた可能性が高い。取り調べで自白させるために暴行し、死亡させるようなことがあってはならない。県警は真実を隠さずに調べてほしい」と話している。

 医師は勤務先の奈良県大和郡山市の医療法人雄山会「山本病院」(廃院)で、06年に肝臓の手術ミスで患者を死亡させたとして、10年2月6日に逮捕され、同月25日に死亡した。

 告発状によると、警官は同月14~24日ごろ、医師の取り調べ中に頭部や胸部、上下肢を殴打して傷害を負わせ、急性腎不全などの多臓器不全で死亡させたとしている。

 医師を司法解剖した奈良県立医大の教授は、死因を急性心筋梗塞と判断したが、遺族から意見を求められた出羽教授は、広範囲の皮下出血から打撲で筋肉が挫滅し、腎不全や肝不全を引き起こしたと結論付けた。

 医師が逮捕された日の受診記録に皮下出血の記載はなく、遺体の皮膚の色などから、打撲を負ったのは死亡した日から1週間以内と考えられるという。

 奈良地検は当時、医師の死亡について「取り調べは適正で、因果関係はない」と説明した。

 医師の遺族は桜井署員が勾留中に適切な措置を取らなかったとして、奈良県に約9700万円の損害賠償を求め係争中。

 出羽教授は07年、新潟大准教授として大相撲の時津風部屋で急死した力士の遺体を解剖、暴行による多発外傷性ショック死と明らかにし、事件性はないとしていた愛知県警の判断を覆した。

 ※奈良の肝臓手術死事件

 奈良県大和郡山市の医療法人雄山会「山本病院」(廃院)の元理事長が2006年、入院中の男性患者の良性腫瘍を肝臓がんと誤診。知識や経験がないのに、亡くなった男性医師らと同年6月、腫瘍の摘出手術をし肝静脈を傷つけ、失血死させた。県警は10年2月、業務上過失致死容疑で元理事長と医師を逮捕。元理事長は起訴され、禁錮2年4月の実刑が確定した。


個人病歴の一元管理 医療効率化、20年度から 厚労省構想 16.10.20

(毎日新聞社 2016年10月20日 )

 厚生労働省は19日、病院での治療歴や健診結果など国民の医療や保健に関するさまざまな情報を統合し、病院や介護などの現場で活用できるデータベースを2020年度から運用する構想を明らかにした。国民一人一人に最適な医療や保健サービスの提供を目指すとともに、投薬や検査の重複を防ぐことで医療費の節約にもつなげたい考えだ。一方、情報提供への同意の取得や個人情報の取り扱いなど、実現には高いハードルが想定される。

 ◇実現にハードル

 現在、個人の治療情報や、予防接種記録、健康診断のデータなどは、病院や自治体などが別々に保有している。この日、塩崎恭久厚労相が設置した有識者懇談会が保健医療分野の情報通信技術の活用に関する提言書をまとめた。その中で、国民の医療、保健、介護に関する情報について、国が主導してデータの規格を統一し、統合して管理することによって医療や介護の効率化を図るデータベース作りを求めた。

 厚労省は提言を受け、データベースを「PeOPLe(ピープル)」(仮称)と名付け、20年度の運用開始を目指す方針を決めた。過去の病歴や薬の使用状況、健診の結果、介護の必要性などの情報が共有されれば、かかりつけ医以外の医療機関に搬送された場合に適切な治療を受けられたり、同じ薬の重複投与を避けられたりする。

 高齢化が進む中、地域の医療・介護の連携や災害時の治療、本人の健康管理などにも役立てられると期待される。

 また、集まったデータを匿名化して分析し、病気の原因解明や医薬品の安全対策、効率的な医療の実現などにも役立てる計画だ。

 一方、病気や健診の情報は特に慎重な扱いが求められる個人情報のため、集めたデータの保護の徹底や、万が一流出した場合の対策などが求められる。民間の病院や機関が保有する情報の提供に関するルールも必要になる。提言書は、データベースへの情報提供には本人の同意が必要とし、情報を使える人の範囲を限定する仕組み作りを要請している。

 同省は今後、具体的な仕組みの検討や関係者との調整を始める。


「乳がん見落とし」で和解 徳洲会側、650万支払い 16.10.17

(共同通信社 2016年10月17日)

 検体の採取ミスで乳がんの発見が遅れ、右乳房の全摘出を余儀なくされたとして大阪府の女性(49)が、同府和泉市立病院を運営する徳洲会と医師らに650万円の損害賠償を求めた訴訟が14日までに、大阪地裁(山地修(やまじ・おさむ)裁判長)で和解した。徳洲会側が同額の解決金を支払うとの内容で、和解は9月30日付。

 和解調書によると、徳洲会側は「発見が遅れた事実を厳粛に受け止め、再発防止に努めることとする」としている。

 訴訟では徳洲会側は「採取時に通常通りの手順を踏んでおり義務違反はない」と主張していた。

 訴状によると、女性は2014年4月、エコー検査などで乳がんの疑いを指摘されたが、採取した検体は良性で経過観察となった。約1カ月半後の再受診で乳がんと診断され、医師から「前回は採取用の針が正しく刺さっていなかった」と説明された。女性は「誤診のため乳房を残す温存療法ができなくなり、生存率も下がった」として慰謝料などを求めていた。


「非結核性抗酸菌症」急増 せき・たんが主症状、感染源不明 根治は困難、伝染はせず 16.10.17

(朝日新聞 2016年10月17日)

 結核に似た呼吸器感染症「非結核性抗酸菌症」の罹患(りかん)率が、7年で2・6倍に急増していることが、慶応大学の長谷川直樹教授らの研究チームの調査でわかった。結核と違って人から人へは伝染しないが、抗菌薬で治療しても根治は難しい。研究チームは「公衆衛生上、重要な感染症になっており、今後の対策が急務」としている。

 三重県の女性(52)は昨年11月、就寝中、急にせき込んで血を吐き、驚いて病院に行った。疲れやすさを感じていたが、それまで大きな病気をしたことはなかった。CT検査で肺に小さな影が見つかり、非結核性抗酸菌症のひとつの「MAC症」と診断された。

 体調が悪いとせきやたんが止まらないといい、事務の仕事も7割程度に減らした。「必ず効く治療法がないと思うと、不安で精神的にもつらい」と話す。

 非結核性抗酸菌症は、結核菌と同じグループの抗酸菌に感染して起こる。せきやたんなどが主な症状だが、重症化した場合、死亡するケースもある。数年から十数年かけてゆっくりと進行する。結核患者に用いられる抗菌薬などで治療するが根治は難しい。

 研究チームが、全国の884の医療機関を対象に2014年1~3月の非結核性抗酸菌症の新規診断数を集計したところ、10万人あたりの患者数は年14・7人と推計された。07年の2・6倍で、年々減少している結核の罹患率の同15・4人(14年、厚生労働省調べ)と同じ水準まで迫った。全国で1万7千人以上が新たに診断されたとみられる。

 非結核性抗酸菌は100種類以上あり、土や水の中にすみ着いていることが多い。感染経路はわからないことが多く、予防策はない。せきが長引くなどの症状が出たら早めに受診することが大切だという。

 長谷川さんは「結核の陰に隠れて注目されてこなかったが、今後は大きな問題になる可能性がある。感染源の把握などの実態調査が必要だ」と話している。


ホルマリン液を誤投与 患者56人、男性に後遺症 兵庫・姫路の病院 16.10.14

(共同通信社 2016年10月14日)
 兵庫県姫路市の製鉄記念広畑病院の医師らが昨年7月、内視鏡検査の患者に精製水と誤り、ホルマリン液を投与したことが13日、病院などへの取材で分かった。誤投与したのは10~80代の最大56人。同市の70代の男性患者1人が健康被害を訴え、現在も全身の神経痛などの後遺症がある。

 男性患者は13日、業務上過失傷害容疑で、担当した同病院内科部長の男性医師に対する告訴状を県警網干署に提出した。受理される見通し。

 病院は取材に「院内で運ぶ場所を間違え、医師も中身を確認しなかった。気付くタイミングがあり、きちんとチェックしていれば避けられた」と釈明。昨年12月に「医療事故調査報告書」を姫路市保健所に提出したが、公表はしなかった。「患者56人全員に説明しており、必要ないと判断した」としている。

 病院などによると、院内の薬剤部で調合したホルマリン液を手術室に運ばず、契約職員が間違って内視鏡センターに搬送。検査で使用した医師も中身を確認していなかった。ホルマリン液が入った箱には「精製水」の表記があり、上からペンで「×」と書かれていた。

 昨年7月22、23日に内視鏡検査を受診した56人に誤投与の可能性があり、男性患者は同22日、超音波内視鏡検査のため十二指腸に10%ホルマリン液を120ミリリットル注入され、嘔吐(おうと)や下血の症状が出た。後遺症や治療薬の副作用で行動範囲が狭まるなど日常生活に支障が出ているという。他55人の注入量はいずれも数ミリリットルとされ健康被害はない。

 男性患者の弁護士は13日、姫路市内で記者会見し「病院は投与する液体の中身を確認する義務を怠った。男性が痛みを訴えたのに誤投与を疑わず、検査を中止しなかった」と批判した。

 広畑病院は1940年、日本製鉄広畑製鉄所病院として開設、兵庫県の民間病院で唯一救命救急センターを併設する。

 ※ホルマリン

 刺激臭のある無色の気体「ホルムアルデヒド」の水溶液。生物標本を作る際の防腐処理や化学薬品の製造、消毒などに使用され、用途は広い。発がん性が指摘され、毒劇物法で劇物に指定されている。

「診療拒否は違法」と提訴 中国で腎移植の男性 訴訟は初、浜松医大に16.10.14

(共同通信社 2016年10月14日)

 「海外で臓器移植した患者は受け入れない」との内規に基づき浜松医大病院(浜松市)が診療を拒んだのは、正当な理由がない限り診療を拒んではならないと定めた医師法に違反するとして、中国で腎移植を受けた静岡県掛川市の男性(66)が、大学に慰謝料など約190万円を求める訴えを静岡地裁に起こしていたことが13日、分かった。

 医療関係者によると、海外で移植を受ける患者は年間数十人に上り同様の診療拒否も相次ぐが、訴訟に至ったのは初とみられる。各地での拒否の背景には「こうした患者を診療すると罰せられる」との誤解が一部にあると指摘する専門家もいる。

 厚生労働省は国内移植を推奨するが、渡航移植患者の帰国後の治療について「関係法令はなく、各病院の判断に任せている」として明確な方針を示していない。

 男性は提訴した理由を「診療拒否された患者の不安を知ってほしい」と説明。浜松医大は取材に「係争中のためコメントできない」としている。提訴は昨年7月24日付。

 男性の代理人弁護士によると、男性は渡航移植を仲介するNPO法人に申し込み、中国で腎移植を受けていた。

 大学側は男性に対し、診療全てを拒んではおらず検査はしたと説明。内規は、臓器を売買の対象とすることを禁じた国際学会の「イスタンブール宣言」をきっかけに定めたとし「治療すれば宣言に抵触する」と反論したという。

 宣言は移植医らでつくる国際移植学会が2008年5月に発表し、富裕国の患者が海外で貧困層や死刑囚をドナーとする移植を受けることを批判。臓器売買を禁止するよう各国に求め、日本移植学会も準拠した指針を策定している。

 訴状によると、男性は15年1月、中国に渡航し腎移植を受けた。帰国後の同4月、継続治療のため浜松医大病院を受診。血液と尿の検査後、医師に中国で手術を受けたと伝えると「海外で移植した患者の診療は断ると内規で定めている」として、他の病院を探すよう求められたとしている。


高カカオで腸内改善 世界初、有用菌増を実証 16.10.11

(下野新聞 2016年10月11日 )
帝京大理工学部・古賀准教授と明治 「大腸がんなど抑制期待」

 帝京大理工学部バイオサイエンス学科の古賀仁一郎(こがじんいちろう)准教授と食品会社の明治は、高カカオチョコレートの継続的な摂取によって腸内環境を健全化する有用菌「フィーカリバクテリウム菌」が増加することを世界で初めて実証した、と発表した。都内で開かれたセミナーで、古賀准教授は「この菌の増殖で大腸がんや炎症性腸疾患(IBD)などの抑制につながることが期待される」などと説明した。

 古賀准教授と同社は現在、「チョコレート摂取による腸内環境改善効果の研究」を進めており、今回、20歳以上50歳未満の女性を対象に試験した。カカオ分72%の高カカオチョコレートを16人、カカオバター以外にカカオ分を含まない白いチョコレートを15人に2週間、それぞれ1日25グラム継続的に摂取してもらい、腸内細菌の変化を調べた。

 最先端のDNA高速解析装置を使い分析した結果、高カカオチョコレートを摂取したグループはフィーカリバクテリウム菌が2倍以上に増えていた。白いチョコレートのグループはほとんど変化がなかった。

 フィーカリバクテリウム菌は、長寿の人の腸内に多く存在することから、ビフィズス菌、乳酸菌に続く善玉菌として注目されている。生産する酪酸などには、大腸運動の活発化による便通の改善(腐敗物質の減少)や、粘膜上皮細胞の異常増殖抑制による大腸がんの抑制、IBDの予防が期待できることが知られており、菌の増加で効果の促進が見込めるという。

 セミナーでは、日本のがんの罹患(りかん)者で大腸がんが最も多く、IBDは激増している状況などが示された。古賀准教授は「免疫機能の正常化を促すということもあり、アレルギーなどにも有効かもしれない」などと述べ、一層の効用の実証に意欲をみせた。

 古賀准教授と同社は昨年、カカオからカカオプロテイン(難消化性タンパク質)の抽出に世界で初めて成功するとともに、カカオプロテインに便通改善効果があることを明らかにし、注目された。


大量の向精神薬、6500万円で譲渡 元医師に実刑判決 16.10.5

(朝日新聞 2016年10月5日)

 肥満症患者向けに処方する向精神薬を、診察せずに大量に転売したとして、麻薬特例法違反などの罪に問われた元医師渋谷雅彦被告(58)の裁判員裁判で、東京地裁は4日、懲役6年6カ月、罰金400万円(求刑懲役9年、罰金500万円)と追徴金6473万円の実刑判決を言い渡した。稗田雅洋裁判長は「大規模に行われた悪質極まりない犯行だ」と述べた。

 判決によると、渋谷被告は2014~15年、東京都港区六本木で経営していたクリニックから宅配便で送るなどの方法で、男女4人に向精神薬「サノレックス」計約27万錠を約6500万円で譲り渡した。また、昨年1~7月には計約110万錠を転売目的で所持したほか、同クリニックのサイトで「ダイエットピル、全国で最安値」と書いた広告を載せるなどした。

 判決は、渋谷被告が一時期、国内で出荷される同薬の半数近くを入手し、密売していたと指摘。「過去に比較すべき事例がないほど大規模で、依存症による健康被害を起こしかねず、社会に大きな危険をもたらす行為だ」と批判した。


製薬2社と国、棄却求める 子宮頸がんワクチン、集団訴訟初弁論 16.9.29

(朝日新聞 2016年9月29日) 

 子宮頸(けい)がんワクチン接種後の健康被害を訴える九州と山口、沖縄両県の16~22歳の女性12人が、国と製薬会社2社に約1億8千万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が28日、福岡地裁(倉沢守春裁判長)であった。製薬2社と国側は棄却を求めた。

 東京、大阪、名古屋の3地裁でも提訴されたワクチンの副作用をめぐる集団訴訟で、口頭弁論が開かれるのは初めて。全国の原告62人が総額約9億3千万円の損害賠償を求めている。

 福岡訴訟の原告らは2011年1月~13年5月、主に中高生時にワクチンを接種。副作用による体の痛みや歩行困難、睡眠障害といった症状を訴えている。

 訴状などによると、グラクソ・スミスクライン(GSK)社のワクチン「サーバリックス」とMSD社の「ガーダシル」について、日本に先行して承認した海外で死亡例などの副作用が多数報告されていたと指摘。国は被害を予見できたのに安全性の調査をせず承認し、接種を推奨した責任がある、などとしている。

 国内では09年12月にサーバリックス、11年8月にガーダシルの販売が始まり、厚生労働省によると今年4月末までに約339万人が接種した。

 定期接種は13年4月に始まったが、体の痛みなどの報告が全国で相次ぎ、厚労省は2カ月後の6月、積極的には勧めなくなった。これに対し日本産科婦人科学会など各団体が勧奨の再開を求めており、世界保健機関(WHO)も昨年12月、「不十分な証拠に基づいた政策決定」などと声明で批判している。

 この日の口頭弁論では、原告と被告の製薬会社側が意見陳述した。原告の梅本美有(みゆう)さん(18)=北九州市=は「様々な症状が入れ代わり立ち代わり出てくる。治療体制を確立して、ワクチンを接種する前の体を返してほしい」と訴えた。

 MSD側の代理人弁護士は、ガーダシルが現在は132カ国で承認され、世界の保健機関で安全性と有効性が認められていると主張した。GSK側も裁判後に会見し、「子宮頸がんに対する高い予防効果が医学的、科学的に確立している」と訴えた。(張守男、山根久美子)

 ◆キーワード

 <子宮頸がんとワクチン> 子宮頸がんは性行為によるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が主な原因とされる。検診で早期発見して治療すれば発症率も死亡率も下げられるが、国内の受診率は42.1%(2013年)にとどまる。

 ワクチンは子宮頸がんの5~7割の原因となる2種類のHPVの感染を防ぐ効果があるとされる。厚生労働省によると、今年4月末までに副作用が疑われる例は約2900件報告され、うち重症は約1600件。

 
 ■主な争点と当事者の主張

◇ワクチンの有効性

 【原告】子宮頸がんの予防効果が実証されておらず、効果が続く期間も不明。一部のウイルスしか予防できず有効性は極めて低い

 【製薬会社】複数の試験で有効性は証明されている

◇ワクチンの危険性

 【原告】感染そのものを防ぐワクチンで、強い薬品も添加されている。副作用報告も多く、重篤な症例も出ており危険性が高い

 【製薬会社】臨床試験で安全性は確認されており、世界の保健機関も認めている

◇症状とワクチンの因果関係

 【原告】ワクチンを接種してから症状が出ているので因果関係はある

 【製薬会社】ワクチン接種後に症状が出たという事実だけでは、関連性があることにはならない


訪問介護「不十分で違法」 筋ジス患者の訴え一部認容 16.9.28

(共同通信社 2016年9月28日 )

 難病で24時間介護が必要な東京都町田市の男性(32)が、家族による介護が可能との理由で1日平均16時間の重度訪問介護サービスしか認めなかった市の決定取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は27日、「時間をカットし過ぎており違法」と判断した上で、1日平均21時間以上とするよう市に命じた。

 判決によると、男性は全身の筋肉が徐々に萎縮する筋ジストロフィーのため、人工呼吸器を使い自宅で生活。2013年、1日24時間のサービスを市に求めたが、認められなかった。

 判決理由で岩井伸晃(いわい・のぶあき)裁判長は「仕事が忙しい父に毎週土日の長時間介護を負担させれば、父の心身を疲弊させ、介護が続けられなくなる恐れがある」と指摘。母も13年に筋ジストロフィーと診断されて筋力が衰えていることから、長時間の介護は難しいと判断した。

 町田市は「判決内容を精査し、今後の対応を検討する」としている。


【福島】磐城共立病院医師を逮捕 賃料521万円など収賄容疑、機器納入便宜 16.9.28

 (福島民友新聞 2016年9月28日 )

 いわき市立総合磐城共立病院の医療機器などの納入で便宜を図った見返りにマンションの賃料などを負担させたとして、県警捜査2課と福島署は27日午前、収賄の疑いで同市、同病院心臓血管外科主任部長で医師の近藤俊一容疑者(50)を逮捕した。また同日午前、贈賄の疑いで福島市、医療機器販売会社「アイビー」社長の引地仁容疑者(57)を逮捕した。県警は両容疑者の認否を明らかにしていない。

 近藤容疑者の逮捕容疑は、磐城共立病院の医療機器や診療器具の納入で引地容疑者の会社に便宜を図り、謝礼として2013(平成25)年10月~今年7月にいわき市内のマンションの賃料約521万円と、昨年9月の旅行の宿泊費など約26万円を引地容疑者の会社に支払わせた疑い。引地容疑者の逮捕容疑は、同社からの機器などの納入への便宜の見返りに引地容疑者の会社が契約したマンションの賃料を支払うなどした疑い。

 県警は同病院と引地容疑者の会社、両容疑者の自宅などを家宅捜索し関係資料を押収、便宜供与の経緯などを調べている。

 同病院によると、同病院で同社から最近5年程度に医療機器の購入記録はないが、診療器具については昨年度だけで数十件の取引はあったという。一方でアイビーの取引会社には同社からの依頼で同病院に医療機器を納品した記録が残っている。近藤容疑者は08年7月から心臓血管外科医として同病院に勤務している。


わいせつ疑いで医師逮捕 抵抗できない患者に、長野 16.9.28

(共同通信社 2016年9月28日 )
 女性患者にわいせつな行為をしたとして、長野中央署は27日、準強制わいせつの疑いで、長野市の栗田病院に勤める医師伊藤樹(いとう・たつる)容疑者(47)=千葉県松戸市=を逮捕した。

 逮捕容疑は昨年12月21日、抵抗できない状態の10代の女性患者の体を病院内で触るなどした疑い。署は伊藤容疑者の認否を明らかにしていない。

 栗田病院は「ご迷惑をお掛けし心からおわびする。事実の解明を待って対策に取り組む」とのコメントを出した。同病院によると、伊藤容疑者は昨年から精神科の常勤医師として働いていた。


75歳以上、保険料上げ検討 後期高齢者医療の特例廃止 来年度から9百万人対象 16.9.28

(共同通信社 2016年9月28日 )
 厚生労働省は27日、75歳以上の後期高齢者医療制度で、低所得者ら916万人の保険料を最大9割軽減している特例を廃止し、2017年度から段階的に保険料を引き上げる方向で検討に入った。法令で定める軽減幅は最大7割で、現在は税金を使ってさらに安くしているが、本来の規定通りにする。増え続ける医療費を賄うため高齢者にも負担を求め、世代間での公平性を高めるのが狙い。

 政府は17年度から特例軽減を原則的に廃止すると15年にいったん決定していたが、消費税増税の再延期のあおりで扱いが宙に浮いていた。厚労省は年末の予算編成に向け、詰めの議論に入りたい考えだ。ただ保険料負担が約5倍に増える人もいることから、高齢者の反発を懸念する与党から異論が出る可能性もあり、調整は難航しそうだ。

 厚労省は29日に開く審議会で「激変緩和措置を設けつつ、原則的に(法令上の)本則に戻していくべきではないか」と提案し、議論を求める。

 特例軽減の対象は75歳以上の約1600万人のうち所得が低い747万人と、74歳まで会社員らに扶養されていた169万人。国費945億円と地方負担159億円を投じ負担を軽くしている。

 扶養家族だった人の場合、現在月380円の保険料が特例廃止により最大で1890円と5倍増となる。ただ、所得に関係なく特例が適用される上、1人暮らしを続けてきた人らは対象外で不公平との指摘もある。

 特例廃止は、消費税増税に伴い実施予定だった介護保険料の軽減拡充や年金生活者支援給付金とセットで実現することになっていた。しかし、これらの低所得者対策は実施の見通しが立っておらず、負担を和らげる代替策も検討する。

 厚労省はこのほか、毎月の患者負担に上限を設ける「高額療養費制度」についても、高齢者の優遇措置を見直したい考えだ。70歳以上の大半が現役世代より負担が軽く、高所得者を中心に負担上限引き上げを議論する。

 ※後期高齢者医療の特例軽減

 75歳以上の医療保険料は現在、全国平均で月5659円(見込み)。低所得者については保険料の定額部分を2~7割軽減すると法令で規定されているが、予算措置で最大9割引きにする特例がある。また、74歳まで会社員や公務員の扶養家族だった人は75歳から2年間だけ5割軽減のはずが、特例により無期限で9割軽減されている。2008年度に後期高齢者医療制度がスタートした際、高齢者の反発をかわそうと自公政権が特例軽減を導入した。特例に充てた国費は16年度までの累計で7243億円。


揺らぐ高齢患者の受け皿 地域住民に動揺と不安 16.9.28

(共同通信社 2016年9月28日 )
 入院中だった80代の男性患者2人が相次いで殺害された横浜市の大口病院は、主に高齢者対象の医療機関として地域に根ざしてきた。終末期の患者の受け入れに積極的で、寝たきりや容体悪化で介護が難しくなった高齢者の受け皿という側面を持ち、住民からは事件の影響で地域の医療体制が揺らぐことを心配する声も上がっている。

 大口病院は病床数85で、高齢者向けの内科や整形外科、リハビリ科などを専門にしている。ホームページでは「在宅療養の継続困難時には入院し、在宅可能になったら退院を繰り返しながら最後まで療養を支える」などと特徴を紹介する。

 高橋洋一(たかはし・よういち)院長も事件発覚後の取材で「この病院は終末期の方が転院してきて、亡くなる方が多い」と説明。約3年前に90代の母親が入院し、数カ月後に亡くした近所の商店主の男性(71)は「寝たきりの老人を最後に受け入れてくれる病院。特別養護老人ホームがなかなか空かないのでありがたかった」と話す。

 この男性によると、入院患者の多くは寝たきりや歩行困難な高齢者。100人以上が入居待ちをする特養に比べればスムーズに入院でき、費用も割安だったという。

 脳梗塞で母親(93)が入院しているという女性(55)も「看護師やヘルパーがたくさんいて活気がある。院長も電話で症状を細かく報告してくれる」と信頼を寄せる。

 こうした中、殺害された2人の死因は、点滴に界面活性剤を混入されたことによる中毒死と判明。犯人は病院内の状況に詳しい人物と想像される状況に、入院患者やその家族には「転院も考えなければ」「ニュースを見て心配になった」と動揺や不安が広がる。

 病院の外来は10月1日まで休診が決まっている。兄が入院中という男性(66)は「この地域の人は、具合が悪くなったら大口病院をあてにしている。立ちゆかなくなったら困るので、早く事件が解決して元通りになってほしい」と願った。


診察せず高価な薬処方疑い 大阪、医師の女逮捕 16.9.28

(共同通信社 2016年9月28日 )
 診察せずに高価な薬の処方箋を渡したとして、大阪府警生活環境課は27日、医師法違反の疑いで、大阪市住吉区、医師更谷優子(さらたに・ゆうこ)容疑者(55)を逮捕した。

 逮捕容疑は昨年9月~今年1月、勤務先の堺市の診療所で、40代と80代の女性を診察していないのに、処方箋4通を知人の薬剤師の男(66)=詐欺罪で公判中=に渡した疑い。更谷容疑者は「診察したと思う」と容疑を否認している。

 同課によると、2人にそれぞれ漢方薬「サフラン」など数種類を大量に処方したよう装っていた。薬剤師の男は、この処方箋を使って計約1058万円の調剤報酬を得ていた。不正に受け取った報酬の総額は6千万円に上り、同課は更谷容疑者が一部を受け取っていたとみて調べている。


富士吉田 診療拒否「調査で判明」市長、議会で陳謝 16.9.16

(山梨日日新聞 2016年9月16日 )

 富士吉田市の堀内茂市長は15日の市議会9月定例会本会議で、市立病院歯科口腔外科が特定の歯科医師からの紹介で来院した患者の診察を、正当な理由なく拒否していた可能性がある問題を受け、「調査の結果、診療拒否が判明した」と述べ、改めて陳謝した。

 同日の一般質問で戸田元氏(新風クラブ)が「診察拒否は本当にあったのか」とただした。

 堀内市長は答弁で、富士吉田歯科医師会から問題の解決を求める要望書を受けて調査を始めた経緯を説明。「3年前の(歯科口腔外科)開設時にトラブルがあった歯科医師からの紹介患者について、診療拒否をしていたことが判明した」などと述べた。

 また、詳細な調査を10月末までに終える考えを示し、「具体的な内容や件数、診察拒否に至った経緯や原因とともに責任の所在を明らかにし、厳正に対処する」と述べた。

 一方、市立病院の担当者は「(診察拒否をしたとされる)歯科医師からは『正当な理由があって断った。診療拒否ではない』との報告を受けている」と話した。


群馬大病院:手術死問題 カルテ閲覧など検討 遺族、直接説明求める /群馬 16.8.5

(毎日新聞社 2016年8月5日 )
 群馬大医学部付属病院で第2外科の男性医師による肝臓手術を受けた患者が相次いで死亡した問題は、事故調査 委員会などの最終報告書や男性医師らの処分が発表され、2014年秋の問題発覚以来、大きな節目を迎えた。ただ、遺族会は追加調査や直接説明などを引き続 き求めている。失った信頼を取り戻し、患者本位の医療を実現できるのか。病院の本気度が問われている。

 事故調とは別に、病院の管理体制を検証する「病院改革委員会」(委員長=木村孟・元東京工業大学長)は、問題が起きた背景を「群馬大出身者が多く、独特の文化の中で先輩や恩師に発言しにくい風土が固定化した」と指摘し、教授の選出の選考過程の見直しなどを求めた。

  改革委や事故調の提言を受け、大学は2日の記者会見で引き続き改革に取り組む姿勢を強調した。入院中の患者や家族が電子カルテを自由に閲覧できる仕組みの 導入などを進めるほか、教育研究部門である医学系研究科の外科学講座について、旧第1外科、第2外科の統合(昨年4月)に続き、来年4月に一本化する。

 一方、遺族会代表の男性は「手が尽くされたのか報告書では不明な点も多い」と話している。

  今回、事故調から委託を受けた日本外科学会が、男性医師が07年以降に手術した30例を含む50例を医学的に検証した結果、事故調が調べた18例を除く 32例でも手術適応の判断や記録・説明の不備が見つかった。遺族会は32例の遺族へのヒアリングなどを求める。また、執刀医や元診療科長からの直接の説明 を要請し続けているが、前向きな反応はないという。

 さらに、大学が男性医師(昨年3月退職)を懲戒解雇相当、上司の60代男性医師(元診 療科長・教授)を諭旨解雇とした処分についても、遺族からは「教授の処分が軽い」との声が出ている。これについて、大学側は「男性医師に十分なカルテ記載 をするよう指導していた」などと説明している。


医師に1億円超の賠償命令 陣痛促進剤大量投与で障害 16.8.4

(共同通信社 2016年8月4日)
 広島県福山市の産婦人科医院で2008年、出産時に陣痛促進剤を大量に投与されたため長男(8)に障害が残ったとして、両親らが担当医に約1億5千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、広島地裁福山支部は3日、医師の過失を認め、約1億4千万円の支払いを命じた。

 判決理由で古賀輝郎(こが・てるお)裁判長は「担当医は陣痛促進剤の注意事項に従わず、一度に多くの量を投与した」と指摘。そのため長男が少なくとも約3時間半にわたって低酸素状態となり、仮死状態で生まれ、脳性まひによる障害が残ったと判断した。

 その上で長男の逸失利益を約4100万円、介護費用を約5700万円とし、慰謝料なども合わせて賠償額を算定した。

 担当医側は「過誤はなかった」として請求棄却を求めていた。

 父親は判決後の取材に「子どもが生きていく上で励みになる判決だ」と話した。一方、産婦人科医院は「コメントできない」としている。

 判決によると、担当医は08年6月17日、陣痛促進剤の注意事項に可能な限り少量から投与を始め、点滴の速さも少しずつ上げていくよう指示があったにもかかわらず、最初から多く投与した。長男は09年に身体障害者手帳の交付を受けた。


群大手術死で9人処分…執刀医は懲戒解雇相当 16.8.3

(YOMIURI ONLINE 2016年08月03日 )

病院で手術死が続いた群馬大学の平塚浩士学長は2日、東京都内で記者会見し、旧第二外科元助教(昨年3月退職)を懲戒解雇相当、同科教授を諭旨解雇、病院の前院長と元院長を減給相当と、計4人を懲戒処分したと発表した。

 旧第一外科教授ら5人は厳重注意などの処分となった。

 群馬大は処分対象者の氏名を公表していないが、読売新聞の調べでは、懲戒処分されたのは、執刀医の須納瀬すのせ豊・元助教、その上司の竹吉泉教授、当時の病院トップの野島美久・前病院長と石川治・元病院長。処分は先月29日付。竹吉教授は同日付で解雇された。

 須納瀬元助教は退職金の支払いを保留されており、懲戒処分が決 まったため支払われない。処分理由は、カルテ記載や患者への説明が不十分だった点や、大学の信頼を失墜させたことなどが挙げられた。竹吉教授は、管理責任 や論文への不適切記載などを問われたが、懲戒解雇より1段下の処分で退職金は7割支給される。


「治療ミスで後遺症」…1億2000万円賠償、病院側に支払い命令 16.07.19

(読売新聞 2016年7月19日)
 藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)で食道がんの手術を受けた際、医師が適切にビタミンB1を投与せず、運動障害などの後遺症が 残ったとして、同県知多市の男性(60)が病院を運営する藤田学園らに約1億6600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が15日、名古屋地裁であり、朝日 貴浩裁判長は約1億2000万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 判決によると、男性は2009年7月に食道がんの手術を受けた後、めまいや意識障害などの症状を訴え、8月にビタミンB1の欠乏で生じる「ウェル ニッケ脳症」と診断された。医師が縫合不全を疑い、男性は手術後絶食を指示され、輸液で栄養を摂取していたが、同病院は1か月余りビタミンB1を投与しな かった。男性は退院後も症状が進行。歩行が困難となり、日常生活のほとんどに介助が必要となった。

 同学園は、脳症の診断後にビタミンB1を大量投与し、退院までに症状は改善したと主張したが、判決では、「男性がめまいなどの症状を訴えた後すみやかに投与せず、後遺症が残った」とし、原告の請求を認めた。

 同学園は「判決内容を検討した上で、今後の対応を考えたい」とした。


子宮頸がん集団訴訟64人に 27日提訴 全国4地裁 16.07.13

(時事通信 2016年7月13日)

子宮頸(けい)がんワクチン接種後の健康被害を訴える15~22歳の女性64人が27日、国と製薬会社2社に総額9億6千万円の損害賠償を求め、東京、大阪、名古屋、福岡の4地裁で一斉に提訴することが決まった。子宮頸がんワクチンの薬害訴訟東京弁護団が12日、会見で明らかにした。

子宮頸がん集団提訴へ 国・製薬2社相手に
 弁護団によると、女性たちはワクチンを接種した後、失神や歩行障害、視覚障害、記憶障害など多数の症状が出た。適切な医療が受けられなかったり学 校に通えなくなったりしたという。海外で重い副作用の報告事例があり、国は健康被害を予見できたにもかかわらず、回避措置を怠ったと主張。製薬2社には製 造した責任などを問う。1人あたり少なくとも1500万円の賠償を求めるという。

 集団提訴することを3月に明らかにした時点では、提訴の意思表明をした女性は12人だったが、全国で原告を募ったところ、64人に増えた。症状が重く、提訴に踏み切れなかった人もいるという。今後、追加提訴も予定しているという。被害者らでつくる全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会はこれまで約3200件の相談を受け、約550人の被害を確認しているという。

 ワクチンは、グラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」とMSD社の「ガーダシル」。国が2009年と11年に承認し、販売が始まった。厚生労働省によると、これまでに接種した人は推計で約340万人。今年4月末までに報告された「副作用が疑われる例」は約2900件(うち重症は約1600件)という。

 政府が10年の閣議決定で接種を緊急促進事業に位置づけ、接種費用が全国でほぼ無料になったことから接種者が急増。13年に定期接種にしたが、深刻な被害の訴えが相次ぎ、2カ月後に積極的推奨を中止した。


在宅死:人口5万人以上、最大4.65倍格差 病床数など関係か 厚労省調査 16.7.7

(毎日新聞社 2016年7月7日 )

 自宅で死を迎える人が死亡者全体のうちどの程度を占めているかについて、厚生労働省が2014年の人口動態 調査を基に初の市区町村別統計をまとめ、6日公表した。人口5万人以上の自治体では在宅死の割合が5・5~25・6%と、最大4・65倍の差があった。地 域の病床数や在宅医療の受けやすさ、孤独死の発生数などが関係しているとみられる。

 日本では1970年代に病院や診療所で死を迎える割合 が自宅を上回り、14年は病院死が75・2%なのに対し、グループホームやサービス付き高齢者住宅を含む在宅死は12・8%にとどまる。一方、内閣府の 12年度調査では、55%の人が「最期を自宅で迎えたい」と望んでおり、厚労省は「自宅でのみとり」の推進を図っている。

 人口5万人以上 20万人未満の自治体で在宅死率が最も高いのは、兵庫県豊岡市(25・6%)、東京都中央区(21・5%)の順。20万人以上の都市では神奈川県横須賀市 (22・9%)、東京都葛飾区(21・7%)と続いた。5万人以上で高かった10自治体では、1市を除いて「在宅療養支援診療所」が15カ所以上あり、訪 問診療や訪問看護の体制が充実していた。政令市では神戸市の18・1%が最高だった。

 医療問題に詳しい宮武剛・日本リハビリテーション振 興会理事長は「都市部では病院で終末期の患者を引き受ける余力がなく、在宅医療の充実が在宅死の割合に関わる。これに加え、東京23区に限れば孤独死が数 を押し上げ、在宅死の約35%を占めている」と指摘。病院の再編で25年までには地域で療養する高齢者が今より約30万人増えるとして「介護と接点のある 市町村単位で、在宅でどこまでみとれるか検討する必要がある」と話す。

 データは、厚労省のウェブサイト内の「在宅医療の推進について」のページに掲載されている。


群馬大手術死「妹に代わり僕が医療を良くする」…遺族会代表、決意を語る 16.7.5

(読売新聞 2016年7月5日)
 群馬大学病院の手術死問題で、先月26日に結成された遺族会の代表に就いた30歳代男性が読売新聞の取材に応じ、20歳代の若さで亡くなった妹の写真を提供し、思いを語った。

 妹の手術は、日本外科学会による医学的検証で実施の妥当性に疑問が呈された。男性は「手術が無理なら、大切な時間に好きなことをさせてやりたかった」と、悲しみと憤りをあらわにした。

 同病院の看護師だった妹は2008年2月、旧第二外科で膵臓と十二指腸の一部を切除する手術を受けた。膵臓に腫瘍ができ、近くの血管も詰まった状態で手術が行われたが、腫瘍は取りきれず、重い合併症に苦しみ翌月息を引き取った。

 群馬大は現在、第三者の調査委員会で一連の問題を調査している。調査委の委託を受けて同学会が行った医学的検証では、この事例は「通常は切除不能と思われる」などと指摘されていることが読売新聞の取材でわかった。

 男性は「医師の説明からは深刻さが感じられず、家族は亡くなると思っていなかった。手術が難しいほど病状が進んでいたなら、そう説明すべきだ」と訴える。

 ディズニーランドが大好きだった妹。手術前の不安な時、「退院したら兄ちゃんが連れて行ってやるよ」と励ますと、「約束だよ」と笑顔を見せた。

 四十九日が過ぎた頃、妹の写真を携え、ディズニーランドに出かけた。ゲートを前に涙がこみ上げた。

 「手術しなければ、少なくともこの約束は果たせていたはず」と男性は嘆く。妹の死後、家族は「何もしてやれなかった」という罪悪感に苦しみ続け た。その後に相次いで進行がんが見つかり、亡くなった両親の時は、適切な説明を受け、充実した最期の日々を過ごすことができたという。

 「両親のみとりも経験し、妹が受けた医療がいかにおかしかったか実感した。家族の精神的苦痛は計り知れない」。遺族会代表として、病院や関係者に説明と謝罪を求めるとともに、再発防止に向け、協力を惜しまないつもりだ。

 男性は「妹が確かに生きていたという証しを示したかった。妹は看護師として、もっと医療に貢献したかったはず。代わりに僕が、医療を良くするために活動したい」と決意を語った。


子宮頸がんワクチン「推奨撤回を」、薬害オンブズが学術団体に反論 16.07.05 

(時事通信 2016年07月05)

  医師や弁護士でつくる市民団体「薬害オンブズパースン会議」の水口真寿美事務局長らは4日、東京都内で記者会見し、日本小児科学会など17の学術団体が子 宮頸(けい)がんワクチンの積極的な接種を勧める見解を出したことについて、「ワクチンの危険性を過小評価しており、科学的に不正確だ」として撤回を求め る意見書を送ったことを明らかにした。

 17団体が4月に出した見解は、ワクチンの有効性を認めた上で、副作用とされる症状について「接種者と非接種者で発生率に差は見られない」と指摘。「健康被害に対する救済が始まるなど、十分な接種体制が整ってきた」としていた。

 これに対しオンブズパースン会議は、ワクチンにはリスクに見合うだけの有効性はなく、接種を勧めるべきではないと反論。副作用には未報告もあることを全く無視しており、ワクチンの危険性について一般市民に誤解を与えるとした。

 ワクチン接種後に痛みや脱力を訴え、車いす生活が続く千葉県の大学生園田絵里菜さん(19)と一緒に会見に臨んだ母親の小百合さんは「治療体制が整っているなら娘はこういう姿ではない。とても憤りを覚える」と話した。

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