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トランス脂肪酸に細胞死亢進作用 17.4.20

(QLifePro 医療ニュース2017年4月20日)

 東北大学は4月17日、動脈硬化症や生活習慣病などのさまざまな疾患のリスクファクターとされるトランス脂肪酸が、自己由来の起炎性因子のひとつである細胞外ATPにより誘導される細胞死を促進することを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院薬学研究科の平田祐介助教、野口拓也准教授、松沢厚教授、青木淳賢教授、福永浩司教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Biological Chemistry」(電子版)に3月29日付けで掲載されている。

 トランス脂肪酸は、トランス型の炭素-炭素間二重結合を含む脂肪酸の総称で、主に食品製造過程において人工的に産生される。これまでの疫学的な調査から、トランス脂肪酸は動脈硬化症等の循環器系疾患や肥満・糖尿病等の生活習慣病のリスクファクターとされているが、分子・細胞レベルでの知見に乏しく、疾患発症機序はほとんど解明されていなかった。

 今回の研究では、トランス脂肪酸摂取による疾患発症リスクが特に高いとされている動脈硬化症において、病巣における自己由来の起炎性因子(damage-associated molecular patterns:DAMPs)の漏出やマクロファージの細胞死が病態発症に関連することに着目。DAMPsのひとつである細胞外ATPによって誘導されるマクロファージの細胞死に対するトランス脂肪酸の影響を調べた。

 その結果、食品中含有量の最も高いエライジン酸をはじめとしたトランス脂肪酸が、細胞外ATP誘導性細胞死を著しく促進することを見いだしたという。細胞外ATPは、細胞膜上のプリン受容体P2X7のリガンドとして作用し、その下流でストレス応答性キナーゼASK1を介したp38MAPキナーゼ経路活性化によって細胞死を引き起こすことが知られている。詳細な解析から、トランス脂肪酸は、細胞外ATPによって誘導されるASK1-p38経路の活性化を亢進することで、細胞死を促進することが明らかになったという。

 この研究で明らかになったトランス脂肪酸による細胞死亢進作用は、その摂取に伴う動脈硬化症発症・進展に寄与していることが想定され、これまで未解明だった疾患発症機序の一端の解明に繋がる発見になったと研究グループは述べている。




麹に腸内細菌改善作用 16.12.14

佐賀大、マウス実験で確認

(化学工業日報 2016年12月14日)
 佐賀大学農学部生物環境科学科の北垣浩志教授の研究グループは、麹菌の成分グルコシルセラミドに腸内細菌改善作用があることを発見した。マウスの摂食試験で善玉細菌といわれている「ブラウティア コッコイデス菌」を増加させることが分った。健康に良いといわれてきた麹を解析し、プレバイオティクスの機能を持つことを明らかにした世界初の成果。

 麹からグルコシルセラミドを大量に抽出・精製し、マウスのエサに混ぜて飼育。採取した糞からゲノムを抽出して菌種同定技術に有用な16S rDNA配列を調べた。その結果、摂取前と比べ腸内細菌の菌叢が変化しており、ブラウティア コッコイデス菌が増加していた。同菌には大腸炎の炎症抑制、精神安定といった機能を持つ。

 麹は日本の伝統発酵食品に使われている。研究グループは和食全体の健康機能性を訴求するうえで麹がカギを握るとし、成分として多く含まれるグルコシルセラミドに着目して研究を進めてきた。成果を踏まえてヒト介入試験による有効性を確認する必要があるとしている。

 グルコシルセラミドはグルコースにセラミドが結合したスフィンゴ糖脂質で、コンニャク、コメなどにも含まれている。機能性表示食品の関与成分として肌への保湿機能があるとされるほか、アトピー性皮膚炎改善などの研究が報告されている。



ベーコンやソーセージなどの「加工肉の発がん性」WHO組織が正式に認定 15.10.27

(WIRED 2015/10/27 )
世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機関(IARC)は、ベーコンやソーセージなどの加工肉を「人に対して発がん性がある」、牛や豚などの赤肉を「おそらく発がん性がある」として正式に指定した。

=加工肉「発がん性ある」 WHO、過剰摂取に警告=
(WIRED 2015/10/27 )
 【ジュネーブ=原克彦】世界保健機関(WHO) の専門組織、国際がん研究機関(IARC)は26日、ハムやソーセージなどの加工肉を「人に対し発がん性がある」物質に指定した。赤肉も「恐らく発がん性 がある」に分類した。加工肉の摂取量が多いほどがんを患う危険性が高いとしており、過剰な食肉摂取のリスクに異例の警告を発した。

 約800の研究論文を踏まえたもので、加工肉の分類は「十分な証拠を基にしたものだ」と強調している。毎日食べた場合、50グラムごとに大腸がんを患う確率が18%上昇すると結論づけた。どのような加工手段が発がん性を高めるかは、明確には特定していない。

 IARCでは「加工肉」は塩分を加えたり、薫製にしたりした食肉を指す。ハムなどのほかにコンビーフやビーフジャーキーも含む。分類はたばこやアスベストと同じ扱いだが、「発がんの危険性が同じとは限らない」とも指摘している。

 哺乳類の肉と定義する「赤肉」については「限られた証拠から」結論を得た。主に大腸がんが多いが、膵臓(すいぞう)がんや前立腺がんとの関係性も確認した。

 IARCは決定が「肉の摂取の制限を求める保健当局の推奨を支持するものだ」と位置付けた。一方、食肉に栄養価があることも認め、評価結果が「各国政府と規制当局がリスクを評価し、危険性と利点のバランスをとった食生活を推奨するのに重要になる」とした。

 WHOの報道官はIARCの発表を受け、「内容を精査する」とコメントした。IARCの評価結果には法的拘束力はなく、近く食肉の摂取に関する勧告などを発する予定もないという。

 食肉とがんについては多くの研究機関が関係を指摘する一方、米国を中心に食肉関連の業界団体などが「生活スタイルなど複合的な要因を配慮していない」などとして反発してきた。

世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機関(IARC)はこのほど、ハムやベーコン、ソーセージなどの加工肉を、「人に対して発がん性がある」とする「グループ1」として正式に指定した。

IARCは、牛や豚、羊などの赤肉も、「人に対しておそらく発がん性がある」とする「グループ2A」に分類した。

この結論は、800件を超える疫学調査の分析を、22人の専門家でつくる委員会が審査して得られたもので、結果は『Lancet Oncology』誌で発表された(購読には無料登録が必要)。分析には、さまざまな国や民族、食生活にわたるデータが含まれているため、「偶然や偏り、混同などで説明されるとは考えにくい」と述べられている。

関連性が最も顕著に表れているのは、「加工肉の消費量」と「結腸がん」との関連だが、加工肉は胃がんとも関連付けられている。

これを裏付ける証拠のひとつとして、委員会では2011年のメタ分析結果を引用している。これは、日常的に摂取する加工肉を50g増やすごとに、人が結腸がんになる相対リスクは18%高くなると結論付けたものだ。

さらにこの調査では、日常的に摂取する赤肉を100g増やすごとに、人が結腸がんになる相対リスクが17%高くなることもわかっている。

証拠が限られているため、赤肉とがんとの相関性に関する委員会の結論は、「おそらく」発がん性があるという表現にとどまっている。ただし、結腸がんのほかに、すい臓がんや前立腺がんとも相関性があることがわかっている。

肉とがんとの関係については、そのメカニズムに関する強力なデータがある。塩漬けや燻製などの肉の加工方法によって、ニトロソ化合物や多環芳香族炭化水素などの発がん性化学物質が形成されるのだ。

焼く、揚げるなど高温で赤肉を調理した場合も、ヘテロサイクリック芳香族アミンなどの既知の発がん性物質や、その疑いがある物質が形成される。




除草剤に発がん性の恐れ WHO専門組織 15.3.24

(共同通信社 2015.3.24)

 【ワシントン共同】世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(本部フランス・リヨン、IARC)は23日までに、米モンサントが開発した除草剤「グリホサート」に発がん性の恐れがあるとする報告書を公表した。

 グリホサートは「ラウンドアップ」の商品名で知られる除草剤の主成分。日本を含む多くの国で使われている一方、安全性を懸念する声も強い。

 IARCは、人での発がん性を示す証拠は限られているものの、動物実験や薬理作用などの研究結果に基づいて判断したと説明。5段階分類で上から2番目にリスクが高く「人に対する発がん性が恐らくある」ことを示す「2A」にグリホサートを位置付けた。

 報告についてモンサントは「グリホサートは人の健康に安全だ」と反論している。



尿1滴でがん発見 九州大など、特有のにおいを線虫嗅ぎ分け 15.3.12

(西日本新聞 2015.3.12)
 九州大などの研究グループは11日、体長1ミリの線虫に人の尿のにおいを嗅がせ、高い精度でがんの有無を判定すること に成功したと発表した。尿が1滴あれば、痛みもなく安価にがんの検査が可能になるという。日立製作所などと検査装置の開発を進めており、早期の実用化を目 指す。11日付の米オンライン科学誌プロスワンに掲載された。

 九大大学院理学研究院の広津崇亮助教(神経科学)と伊万里有田共立病院(佐 賀県)の園田英人外科部長のグループによると、線虫は水中などに生息する微小な動物で、嗅覚が犬並みに優れている。がん患者と健常者の尿(1マイクロリッ トル)をそれぞれプレートの端に置き、中央に置いた100匹の線虫の動きを調べたところ、7~8割の線虫ががん患者の尿に集まり、健常者の尿からは逆に離 れることから、がんのにおいに反応することが判明した。

 精度を確かめるため、242人(健常者218人、がん患者24人)の尿を採取して テストを実施。線虫はがん患者24人のうち23人に「陽性」の反応を示し、発見確率は95・8%だった。うち5人は採尿時点では、がんと診断されていな かった。初期の「ステージ0と1」のがんは、血液の成分を調べる腫瘍マーカーの発見確率が0~33%にとどまるが、線虫による検査では88%以上の確率で 発見できたという。

 一方、健常者をがんと誤って判定する確率が5%あることなどから、精度の安定化が今後の課題という。広津助教は「早期 発見が難しい膵臓(すいぞう)がんを含む十数種類のがんに線虫は反応した。特定のがんにだけ反応する線虫をつくることにも成功しており、将来的にはがんの 種類の特定も可能になる」と話している。

 ■画期的な無痛検査

 ▼がん治療に詳しい田川市立病院(福岡県田川市)の鴻江俊治 院長の話 腫瘍マーカーではがんの早期発見が難しかったが、今回の手法は早期発見にもつながり、痛みを伴わずに検査できる点で画期的。身体的、経済的にも 負担が少なく、がん検診が変わる可能性がある。がんがないのに陽性反応が出る疑陽性や、がんがあるのにない反応が出る疑陰性をいかに減らせるかが今後の課 題だろう。

    ◇      ◇

 ■サバ寄生虫から着想

 サバの寄生虫が胃のがん組織に集まっていたのは偶然なのか―。九州大などの研究グループが開発したユニークながん検査方法は、魚介類の生食によって多発する「アニサキス症」の症例がヒントになった。

 伊万里有田共立病院の園田英人外科部長は、嗅覚が鋭い犬を使って、がん患者の呼気からがんを判定する研究に取り組んでいた。だが、犬の体調などで精度にばらつきがあり、研究は行き詰まっていた。

 そんなとき、思い起こしたのが「サバを食べておなかが痛い」と来院した佐賀県内の男性のこと。サバに寄生する線虫類のアニサキス(体長1センチ)が胃の壁に食い付き、調べるとその周辺にがんがあった。

  「アニサキスが、がんに食い付いたのは偶然だろうか」。園田外科部長が過去の文献を調べたところ、アニサキスががん組織に潜入したケースは23例あった。 「線虫はがんのにおいをたどっているのでは」との仮説を立て、線虫と嗅覚の専門家である九大の広津崇亮助教に連絡、2013年から共同研究を始めた。

  線虫によるがんの判定テストを行うと「こんなに当たるのか」と、最初は半信半疑だったという。この検査方法が実用化できれば、通常の健康診断や自宅で採取 した尿1滴で判定が可能になる。1回の検査は数百円で済み、約1時間半で結果が出る見通しだ。園田外科部長は「がんの早期発見と、医療費の抑制にもつなが る」と期待を寄せている。



MS、コーヒー1日4杯で発症予防 1日4-6杯で発症リスクに1.5倍の差 15.3.10

(米国学会短信 2015.3.10)
 米国神経学会(AAN)は2月26日、コーヒーが多発性硬化症(MS)発症リスクを低減させる可能性を示した研究を紹介した。4月開催の同学会年次集会で発表予定。

 この研究は、MS患者1629人と健常人2807人を対象としたスウェーデンの研究とMS患者1159人と健常人1172人を対象とした米国の研 究のデータから、コーヒーの消費量と症状出現について比較。スウェーデンの研究では、MS発症の前年にコーヒーを1日最低6杯飲んだ患者と比較すると、 コーヒーを飲まなかった患者はMS発症リスクが約1.5倍高かった。発症前5年間または10年間に大量のコーヒーを飲むことも、同様に発症リスクを下げる 効果があった。米国の研究でも、発症前年にコーヒーを飲まなかった群では1日4杯以上飲んだ者に比べ、発症リスクが約1.5倍高かった。

 カフェイン摂取がパーキンソン病やアルツハイマー病の発症リスクを下げることは、既に知られている。コーヒー摂取がMS予防にも役立つ可能性が示 されたことから、今回の結果を研究者は「カフェインには脳を保護する効果があるとする説を裏付けるもの」と解説。その上で、「MSの再発や長期的障害に対 しても、カフェインがどのように影響するかを研究する必要がある」との考えを示した。




ヨーグルト乳酸菌でアトピー改善 フジッコと大阪府立大、効果を発見 14.08.26

(化学工業日報 2014.8.25)

 フジッコ(神戸市)と大阪府立大学大学院生命環境科学研究科の北村進一教授の研究グループは、フジッコが事業展開するヨーグルト製品「カスピ海ヨーグルト」に利用している乳酸菌にアトピー性皮膚炎を改善する新知見を得た。疾患モデルマウスに投与し、皮膚の肥厚化やアレルギーの指標となる血中のIgEの上昇を抑制することが分かった。同乳酸菌の作り出す複数の成分が関与しているとみられ、過剰な炎症の抑制に有用である可能性が示された。

 同社と大阪府立大の研究グループが研究対象としたのは、乳酸菌「ラクトコッカス ラクティス サブスピーシズ クレモリス エフシー株」(クレモリス菌FC株)。同菌は、菌体外多糖(ESP)を産生し、強い粘りをヨーグルトに付与することを生かし、同社が実用化した。

 EPSが皮膚の炎症を抑制することを同社は研究報告しているが、今回、それ以外の菌体成分にも皮膚の炎症を抑制する作用をモデルマウスを用いて見い出した。研究によれば、ESPを産生しない変異株クレモリス菌C4株を作成し、この菌株を利用して牛乳発酵物を作り、アトピー性皮膚炎モデルのマウスに1日おきに経口投与した。

 リン酸緩衝生理食塩水(PBS)投与によるコンロトール群、ステロイド剤ブレドニゾロン投与群と24日間にわたり、アトピー性皮膚炎でよくみられる症状の耳介肥厚化を比較したところ、クレモリス菌C4株由来の牛乳発酵物投与群では、コントロール群に比べ有意に耳介肥厚化が抑制され、ブレドニゾロンに近い効果を示した。

 また血漿中のIgE量を25日目に測定すると、同株由来の牛乳発酵物投与群は、低い傾向にあったとしている。成果は、28日から福岡市で開催の日本食品科学工学会第61回大会で発表する。



青魚のDHA、怖い記憶緩和…動物実験で効果 13.6.19

(読売新聞 2013.6.19)

 イワシやサバなどの青魚に多く含まれる「オメガ3系脂肪酸」の割合が多い食事を取ることで、恐怖や苦痛を伴う記憶を緩和させる傾向があることが動物実験でわかったと、国立精神・神経医療研究センター(東京都)の関口正幸室長らの研究チームが19日、発表した。

 不安障害などの発症予防に役立つ可能性があるという。20日から京都市内で開かれる脳神経分野の合同学会で報告する。

 オメガ3系は、DHA(ドコサヘキサエン酸)やαリノレン酸などの不飽和脂肪酸。実験では、オメガ3系と、植物油に多いオメガ6系(リノール酸など)の含有割合を変えた餌を食べさせた複数のマウスに、怖がって動かなくなる程度の電気ショックを与えた後、再び動きだすまでの時間を比較。3系、6系はいずれも必須脂肪酸だが、食事の欧米化が進み、日常生活での3系の摂取量は、6系に比べて減っている。3系と6系の割合を1対7~8にした餌を与えた32匹は、動き出すまでに平均80秒かかったのに対し、この割合を1対1にした32匹では平均42秒に縮まった。関口室長は「魚をたくさん食べて3系の割合を増やすことで、不安障害の発症を抑えられるかもしれない」としている。

 食生活が心身に与える影響について詳しい明智龍男・名古屋市立大教授(精神腫瘍学)は「オメガ3系が豊富な食事をしているがん患者は病名告知後、うつの発症が少ない傾向がみられ、今回の結果と矛盾しない」と話す。




[社会保障] 地域包括ケアや、医療・介護の給付範囲適正化などで議論続く 13.6.17

(厚生政策情報センター 2013.6.17)

社会保障制度改革国民会議(第15回 6/13)《首相官邸》

 政府は6月13日に、社会保障制度改革国民会議を開催した。国民会議では、これまでに「議論の整理」を行っており、前回(6月10日)から医療・介護に関して2巡目の議論に入っている。

 この日は、事務当局から、さらに議論すべき事項として(1)地域包括ケアシステム(2)健康の維持増進・疾病予防(3)医療給付の重点化(療養の範囲適正化等)(4)介護サービス範囲の適正化(5)年金制度―の5点が示された(p15~p16参照)。

 (1)の地域包括ケアシステムは、要介護度が重くなっても住み慣れた地域で生活できるように、(i)医療(ii)介護(iii)予防(iv)生活支援(v)住まい―という5つのサービスを総合的に提供する仕組みだ。ただし、システムは一様ではなく、「市町村や都道府県が地域の自主性に基づき、地域の特性に応じて作上げて行くことが必要」と厚生労働省は考えている。この「地域の特性」を把握するために、日常生活圏域ニーズ調査という詳細な調査(調査票だけでなく、訪問も実施)を行い、第5期の介護保険事業計画に活かす取組みも行われている(p2~p14参照)。

 地域包括ケアシステムに関する論点としては、「医療提供体制改革に対応した介護サービス機能の再編成」「在宅医療と在宅介護の連携」「住宅サービスとの連携」「生活支援サービスのあり方」「ケアマネジメントの再構築」「認知症施策」などがあげられている(p20~p47参照)。

 委員からは、「地域包括ケアシステムの構築が遅い」との苦言が呈されている。

 なお、医療提供体制については、これまでに社会保障・税一体改革案において、「現在の一般病床を、高度急性期・一般急性期・亜急性期等に機能分化していく」方向が示されている。ただし、機能分化はこれにとどまらない。たとえば、さまざまな事情で医療療養病床に入院している患者について退院支援を行い、介護施設や他の居住系施設(サービス付き高齢者向け住宅など)への移行を促していくことや、在宅医療・介護を充実して在宅復帰を目指すなど、幅広い取組みを行っていく方針が改めて示されている(p22~p24参照)。

 また(3)の医療給付の重点化では、「70~74歳の医療費自己負担」「高額療養費のあり方」「後発品の使用促進」「病院外来受診に対する負担のあり方」「保険料負担の公平化」について、今後改めて議論していく方針が示されている(p56~p73参照)。

 さらに(4)の介護サービス範囲の適正化に関しては、「介護保険施設の重点化」「補足給付のあり方」「一定所得以上の利用者負担のあり方」「介護納付金の総報酬割」が論点として提示された(p74~p89参照)。

 このうち「補足給付」とは、低所得の介護保険施設入所者に対し、食費と居住費の一部を国が給付する仕組みである。平成17年の介護保険制度改正により、施設入所者の食費と居住費が自己負担になったことに伴い、低所得者の負担を軽減するために設けられたものだ。しかし、「制度改正から時間が経っており、補足給付は役目を終えたのではないか」「在宅サービス受給者との不公平を説明できない」などの批判もあり、今後、そのあり方が検討されることになる(p80参照)。

資料1 P1~P91(4.7M)
http://www.m3.com/tools/Document/WIC/pdf/201306_3/2040_1_1.pdf




老年医学指針GRS、新版発表 【米国老年医学会】 オンラインでも初めて利用可能に 13.5.14

( 米国学会短信 2013.5.14 )

 米国老年医学会(AGS)は5月6日、第8版Geriatrics Review Syllabus: A Core Curriculum in Geriatric Medicine(GRS8)を発表した。GRSは、最新の医学的エビデンスおよび臨床知識に基づき、老年医学における取り組みに関する包括的レビューを医療従事者らに提供するものである。

 今回発表された新版は、最新情報を提供するだけでなく、診断、予後、治療に関する情報をエビデンスの強度により評価している。また、症例に基づいた問題とその回答や参考文献などが含まれており、老年医学を学ぶ人にとっても不可欠な資料となっている。さらにGSR8では医学生涯教育(CME)90単位を取得できるようになっている。

 また、GSR8は初めてオンラインでも利用可能となっている。オンライン版では、メモやブックマーク、検索、Eメールリンク、自己評価テストの作成など、双方向的ツールを提供している。

 さらに、GRS8自己評価アプリも開発中である。このアプリでは、ユーザーがオフラインで問題に回答し、後で回答をオンラインでアップロードすることができる。

 AGSのCEO、Jennie Chin Hansen氏は「高齢化が急速に進む中で、医療従事者が老年医学に関する情報にアクセスして質の高いケアを提供できるようにすることが重要である」としている。

【関連リンク
American Geriatrics Society Releases New 8th Edition of Renowned Geriatrics Review Syllabus―in Print & Online
http://www.americangeriatrics.org/press/id:4054




ヒアルロン酸の分解遺伝子特定 肌の潤い続けられる? 13.3.24

(毎日新聞社 2013.3.24)

ヒアルロン酸:分解遺伝子特定 肌の潤い、持続可能に?--カネボウなど

 肌の潤いを生み出し、関節の動きを滑らかにするヒアルロン酸を分解する遺伝子を、カネボウ化粧品と慶応大のチームが特定し、米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。肌の老化防止や関節炎の治療に役立つ物質の開発につながる可能性がある。ヒアルロン酸の合成を巡っては、関節を覆う膜の中や皮膚で作られるなど仕組みが解明されてきた。しかし、美容で体に注入しても、効果が長続きしないといった課題があり、分解の仕組み解明が重要になっていた。

 チームは、人間の皮膚にある2500以上の遺伝子を解析した。その結果、「KIAA1199」と呼ばれる遺伝子の働きを抑えると、ヒアルロン酸が分解されなくなることを発見した。また、関節リウマチや変形性関節症の患者では、通常より働きが約9倍も活発で、ヒアルロン酸が盛んに分解されていた。同社の吉田浩之主任研究員は「今後、加齢で遺伝子の働きが高まるのかどうかを調べたい」と話す。



「悪夢の細菌」の院内感染が拡大 昨年上半期は米病院の3.9%に、米CDC発表 13.3.7

(共同通信社 2013.3.7)

 【ニューヨーク・ロイター=共同】米疾病対策センター(CDC)のフリーデン所長は5日、ニューヨークで記者会見し、米国の病院ではカルバペネム耐性腸内細菌科(CRE)細菌の院内感染が過去10年間で徐々に拡大しており、2012年上半期は全病院の3.9%で院内感染が発生、一部の専門病院では17.8%に達したことを明らかにした。

 CRE細菌は、本来、ヒトの消化管や土壌に存在する大腸菌など70種超の細菌類の総称で、カルバペネムという強力な抗生物質も効かないため「悪夢の細菌」と呼ばれている。院内で治療を受けた際の血流感染によって広がるが、薬に対する耐性が次第に強まっており、死亡率は50%近くに達するという。

 フリーデン所長によると、2001年にはCRE細菌が見つかったのは1州だけだったが、現在では42州にまで拡大した。




全国の花粉症罹患者は山梨がトップ 13.3.6

(薬局新聞 2013.3.6)

 スギ花粉症の有病率は全国平均26.5%。東京都がこのほど開催した『花粉症予防・治療シンポジウム』の中で講演した日本医科大学大学院医学研究科の大久保公裕教授はこのように指摘するとともに、全年代において有病率は増加傾向にあると報告した。近年で最も花粉の飛散が予測される本年においては、患者に対する早期から対応の呼びかけに加え、一般生活者を含む幅広い啓発がキーワードとなりそうだ。

 大久保教授の発表は独協大学の馬場廣太郎氏らの調査をベースに行われたもの。花粉症の罹患者割合は全国平均で26.5%となっており、最も多いのが山梨の44.5%で最少は北海道の2.2%。98年と08年の患者数の比較をすると、最も患者数の多い40~49歳の状況では98年は25.6%だったものの、08年は39.1%まで増加。4人に1人の割合から3人に1人程度の割合で罹患者となっている傾向が示された。

 加えてこれまで高齢者は花粉症を発症しにくいとされてきたが、08年調査では70歳以上が11.3%、60~65歳では21.8%などとなっており、98年から患者数は倍増している。

 患者数が増加傾向にある背景としてシンポジウムでは、戦後に植樹されたスギ・ヒノキの人工林が国土の約19%まで拡大したことを言及。花粉の生産能力が最も高い樹齢30年前後の樹木が使用されずに里山に点在していることが要因の1つと分析した。その一方で気象予報士の村山貢司氏は、「完全に今がピークといっても差し支えない。花粉症が国民病となっていることが社会問題になって以来、国内のスギを使用する動きは広まっており、このまま花粉症患者が右肩上がりに伸び続けることは考えにくい」との見方を提示した。




マンモ組織型検診、過剰診断約2% 13.3.4

(BMJ 2013.3.4)・癌 ・検査に関わる問題

文献:Njor SH et al.Overdiagnosis in screening mammography in Denmark: population based cohort

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