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チンパンジーがじゃんけん 4歳児の理解力、京大実験 17.8.14

(共同通信社 2017年8月14日)

 チンパンジーがじゃんけんを理解できるようになることを、京都大の松沢哲郎(まつざわ・てつろう)特別教授(比較認知科学)のチームが画像を使った学習実験で明らかにし、国際科学誌電子版に10日、発表した。

 人間の子どもが何歳ぐらいでじゃんけんが分かるのかを調べた別の実験結果とあわせて分析し、チンパンジーには4歳児程度の理解力があることが判明したという。

 チームは「チンパンジーと人間は共通の祖先を持っており、今回の成果は、物事を理解する能力をどのように進化させてきたのかを解明するのに重要だ」としている。

 実験では、人間の年齢では21~57歳に当たる14~38歳のチンパンジー7頭に、チンパンジーの手の写真を編集して表した「グーとチョキ」「チョキとパー」「パーとグー」の3種類の画像のいずれかを示し、勝った方の手を選べばリンゴなどがもらえるようにして、じゃんけんの規則性を学習させた。

 1日に約140回、約100日間続けた結果、うち5頭がほぼ全問正解できるようになった。

 また、人間の2~5歳の子ども38人にもじゃんけんの画像を見せ、正答率を調査。4歳以上で正しい答えが選べる傾向が見られたため、チンパンジーは4歳児と同じぐらいの理解力を持っていると判断した。

 注)国際科学誌はプリマーテス



脳のしわ複雑だと高リスク 統合失調症、富山大など 17.7.12

(共同通信社 2017年7月12日)
 脳のしわが複雑に入り組みすぎていると統合失調症の発症リスクが高い可能性があることを明らかにしたと、富山大病院の鈴木道雄(すずき・みちお)教授(精神神経科学)らのグループが11日付の米医学誌電子版に発表した。東京大、東北大などとの共同研究。

 統合失調症は、幻覚や妄想などさまざまな症状を伴う精神疾患。早期の発見、治療が有効とされ、グループは「統合失調症の早期診断につながる一歩になれば」と期待している。

 グループは、軽度の幻覚や幻聴などがあり、発症リスクが高いとされる104人と、健常者104人について、脳の磁気共鳴画像装置(MRI)のデータを収集。脳の外側の表面積と、内側に入り組んだ部分の表面積から、しわの入り組み具合を計算して比較した。

 すると、発症リスクが高い人の方が健常者に比べ、大脳皮質の広い範囲でしわが複雑に入り組んでいることが分かった。

 さらに発症リスクが高い人の経過を観察。2年以上追跡できた90人のうち、発症した21人と発症しなかった69人を比較したところ、発症した人では左の後頭葉で、しわがより複雑になっていた。

 グループは、この特徴が、発症リスクが高い人が、実際に発症するかどうかを予測する診断法の開発につながる可能性があるとしている。

 注)米医学誌はBIOLOGICAL PSYCHIATRY




妊婦健診を推奨 エイズ治療で国内関係者 13.3.6

(同通信社 2013.3.6)

 エイズウイルス(HIV)に母子感染した子どもを完治させたと米ジョンズ・ホプキンズ大などのチームが4日発表。日本では母子感染は早期に対策を取ればほぼ防げることから、医療関係者は妊婦健診でのHIV検査を勧めている。

 厚生労働省疾病対策課によると、国内で初めてHIV感染者が確認された1985年から2011年までに、母子感染したと推定される子どもは、エイズ発症者を含め53人。

 妊婦健診で妊婦の感染が判明した場合、妊娠中の投薬や帝王切開による出産、子どもへの薬剤の予防投与、粉ミルクの授乳を徹底すれば、母子感染はほぼ防止できる。厚労省研究班によるとこうした対策が取られたケースでは1997年以降、母子感染した症例はないという。

 しかし、健診を受けない妊婦が増えてきているとされ、対策を取らずに母子感染が起きる恐れは残る。厚労省や専門家は早期に対策が取れるように、妊婦検診でHIV検査を受けるよう推奨している。




町立病院薬剤師を免職 北海道・森、数千万円横領 13.3.1

(共同通信社 2013.3.1)

 北海道森町は1日、町立病院の薬局の医薬品を無断で業者に転売し、数千万円の利益を得たとして、薬局の代表者の男性薬剤師(55)を懲戒免職処分にしたと明らかにした。処分は2月28日付。町は業務上横領容疑での告訴も検討している。

 町によると、札幌国税局の税務調査で不正が発覚。薬剤師は「1995年から本州の2業者に転売していた。生活費や株の購入に充てた」と認めているという。




ドライアイの原因解明 東北大、薬剤治療に道 13.3.1

(共同通信社 2013.3.1)

 東北大大学院の牟田達史(むた・たつし)教授(免疫学)らの研究グループは28日、免疫疾患「シェーグレン症候群」の代表的な症状である目の乾燥(ドライアイ)が、涙腺で起きる過剰な細胞死によって引き起こされることをマウスの実験で解明した、と発表した。

 2月28日の米科学誌「イムニティー」のオンライン版に掲載。牟田教授は「細胞死を抑制する薬剤が有効なことを示した。治療に大きく貢献する」としている。

 ドライアイの原因にはさまざまあり、シェーグレン症候群もそのひとつ。他の症状には、口の中が乾燥するドライマウスがあり、同症候群の国内患者は数十万人いるとみられる。

 研究グループによると、マウスの涙腺で細胞死を抑える遺伝子を破壊したところ、免疫細胞のリンパ球が活性化して目の周辺に慢性的な炎症が起き、涙の分泌量が低下。ヒトのシェーグレン症候群と似た症状が現れた。

 このマウスの目に細胞死を抑える薬を投与したら涙腺の炎症が治まり、涙の分泌量も回復して快方に向かったという。




「売るだけ売って倒産」 病院の信用食い物に 13.2.28

(共同通信社 2013.2.28)
 医療法人社団「真匡会(しんこうかい)」の医療機関債不正販売事件は被害が20都府県の約390人、計約13億円に及んだ。大阪府警が28日に詐欺容疑で再逮捕する川野伝二郎(かわの・でんじろう)容疑者(47)らは販売会社を次々立ち上げ、高齢者らを勧誘。グループの一人は「これまでも、売るだけ売って償還前に会社を倒産させてきた」と供述する。

 「病院が取り扱っているので安心」「詐欺なんかと違いますよ」。2011年6月、大阪府の当時60代の女性は自宅で購入を勧められた。低金利の中、年利4・3%で元本保証。女性はその日に現金100万円を手渡した。

 真匡会は東京都新宿区で人工透析患者を受け入れる「戸山公園クリニック」を運営し、医療機器の購入名目などで11年4~10月、医療機関債を発行。東京の「共同医療事務センター」に販売を委託したが、真匡会と同センターは川野容疑者らが実質経営していた。

 「当初、発行は知らされていなかった」と真匡会の元理事長。クリニックは赤字が続き、集めた金の大半は遊興費など、本来とは違う目的に流用されていたとみられる。

 消費者トラブルの相談も相次ぎ、真匡会は11年10月に新規発行の中止を表明した。だが直後には大阪市の「サンフラワー」など新会社を設け、山梨の医療法人社団「みらい会」の医療機関債を販売。約4億3千万円分の医療機関債を売りさばいたが、みらい会は運営する医療機関はなく活動実体はなかったという。

 真匡会の医療機関債を販売する前の10年4月から約1年間、川野容疑者ら中心メンバーが手掛けていたのは、東京の投資会社「東亜エナジー」の社債の販売だった。国に無届けで不正販売したのは総額約27億円分。11年8月には金融庁から課徴金の納付を命じられた。

 社債と違い、国へ発行の届けが必要ない医療機関債。捜査関係者は「制度を悪用されてしまった」と指摘する。




小児腫瘍科長を懲戒解雇 研究費流用、がんセンター 13.2.27

(共同通信社  201.2.27)

 国立がん研究センターは26日、厚生労働省から支給された研究費など約580万円で自宅の家電製品を購入したとして東京都中央区の同センター中央病院の牧本敦(まきもと・あつし)・小児腫瘍科長(45)を懲戒解雇したと発表した。

 センターによると、牧本科長は、2007年度~08年度の小児がんの治療法に関する研究費などの一部約2500万円を都内の取引業者に預けて保管させ、うち約580万円で09年以降、掃除機や洗濯物乾燥機、テレビなどを購入した。

 業者に架空のOA機器の請求書と納品書を作成させてセンターに提出していた。昨年12月に不正が発覚。牧本科長はセンターの調査に「年度内に使い切れなかった費用を預けた。たがが外れてしまった」と流用を認め、全額返済したという。

 同センターは「極めて遺憾。関係者に深くおわびし、再発防止に努める」としている。




自作の無許可塗り薬、1千万円以上を売り上げる 13.2.8

(読売新聞 2013.2.8)

 「皮膚科で治らなかったものが治る」などとうたって自作の塗り薬を無許可で販売したとして、山形県警生活環境課と上山署は7日、同県上山市石崎、製造販売業桑原秀明容疑者(56)を薬事法違反(医薬品の無許可販売)容疑で逮捕した。

 県警は、桑原容疑者が2009年の販売開始以降、全国約2400人の顧客から計1000万円以上を売り上げていたとみて、裏付け捜査を進めている。

 発表などによると、桑原容疑者は12年12月29日-今年1月12日頃、薬局開設や医薬品販売業の許可を受けずに、宮城県や福島県の男性3人に「発症1年程度の初期ならほとんどの人が完治」「必ず治せる自信、確信がある」などと薬効をうたい、塗り薬「クリン8(エイト)」計約150ccを約1万円で販売していた疑い。

 桑原容疑者は同課の調べに「クリン8を売っていたことは間違いないが、医薬品として販売したわけではない」との趣旨の供述をしているという。

 販売用のホームページ(HP)では、クリン8は茶や酢などを混ぜた液体で、頭皮に塗るとふけ防止の効果があると説明。10cc入り1200円などで販売し、繰り返し購入すると安くしていた。HPには「治らなかったら全額返金します」との記載や、「実際に効果があった」という内容の書き込みが多数ある。

 桑原容疑者は10年、県に「効果をうたって販売しても良いか」と相談し、担当者から「できない」と指導されていた。昨年9月、大阪市の男性が「頭皮が赤くなり、痛みが出た」と県警に相談していた。




北京1日滞在=たばこ21本、大気汚染が深刻化 13.2.2

(読売新聞 2013.2.2)

 中国政府が、大都市で深刻化する大気汚染への対応を迫られている。

 国民の環境意識は高まっており、対策の遅れは社会の不安定化につながりかねない。

業務用マスク

 スモッグが重く低く立ちこめる北京市内。何かが焦げたような臭いが街中に漂う。外をしばらく歩くと、目や鼻、のどに違和感を覚え、室内にいても頭にずんと重みを感じる。

 北京に1日滞在すれば「たばこを21本吸ったのと同じ計算」(中国誌「新民週刊」)と言われ、「N95」の表示がある業務用マスクが品薄状態だ。1枚約7元(約100円)と通常のマスクより割高だが、健康被害をもたらす微粒子状物質(PM2・5)の吸引を確実に防ぐのに必要とされる。安価な偽物も出回っている。

 1月下旬、国営中央テレビのアナウンサーが中国版ツイッター「微博」に、屋外で交通整理にあたる警官が「マスク着用を禁じられている」と書き込むと同情論が広まり、公安省は一転、「状況に応じたマスクの着用」を許可した。

米国のデータ先行

 北京市政府は応急措置として1月30、31日、中心部の朝陽区内ですべての工事を停止。抜き打ち検査で有害物質の排出基準を超えていた工場や車両に罰金を科した。政府機関の公用車も3割が使用を禁じられた。

 しかし、中国はこれまで、対策の基本であるデータ観測や公開に消極的姿勢が目立っていたのも事実だ。

 米国大使館は2008年の北京五輪前から、北京などでPM2・5の独自測定を行い、公表している。北京市も昨年初めから試験的に測定・公表を始めたが、北京市の判定で「良」なのに米側は「不健康」とする日もあり、評価はしばしば大きく食い違う。市民の間では「市当局がデータを改ざんしている」との批判が噴出。外務省は6月、内政干渉だとして米大使館に公表中止を求めたが米側は応じず、10月には北京市も、観測ポイントを大幅に増やして正式なデータの測定・公表を始めた。



葉酸摂取、癌発症率へ影響せず

(Lancet :2013.01.29 )
文献:Vollset SE et al.Effects of folic acid supplementation on overall and site-specific cancer incidence during the randomised trials: meta-analyses of data on 50 000 individuals.The Lancet, Early Online Publication, 25 January 2013.

 心血管疾患予防などへの葉酸の効果を調査した13件の無作為化試験(被験者4万9621人)を対象に、葉酸の癌発症率への影響をメタ解析で検証。約5年の治療期間で、葉酸摂取群の血漿中葉酸濃度はプラセボ群の4倍だったが、全癌発症率に対する有意な影響はなく(率比1.06、P=0.10)、部位別癌発症率にも有意な影響は見られなかった。

原文(Lancet)<http://www.thelancet.com./journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2962001-7/abstract



「たばこ吸いたい」脳の仕組み解明…理研 13.1.29

(読売新聞 2013.1.29)

 「たばこを吸いたい」という欲求は、脳の二つの部位が連携して生じることを、理化学研究所分子イメージング科学研究センター(神戸市)などが突き止め、28日発表した。米科学アカデミー紀要(電子版)に近く掲載される。禁煙や薬物依存の新しい治療法開発などにつながりそうだ。

 たばこを吸う習慣がある旅客機の客室乗務員は、着陸が近付くと、飛行時間と無関係に喫煙の欲求が強まることが知られていたが、こうした現象が、脳のどのような仕組みで起きるのかは不明だった。

 同センターの林拓也・副チームリーダーらは、喫煙者10人に、▽すぐ喫煙できる▽4時間喫煙できない--という条件で他人が喫煙している映像を見せ、吸いたい気持ちの強さを点数化してもらった。さらに脳の活動の様子を、機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)で画像化して解析した。

 その結果、喫煙の欲求が強まると、こめかみの奥にある「眼窩(がんか)前頭皮質」が活性化。すぐ喫煙できる条件では、左前頭部にある「背外側前頭前野」も活性化したが、この部位に磁気を当てて働きを抑えると、こめかみの奥の活動も下がり、喫煙の欲求が抑えられたという。

 林さんは「左前頭部で『吸えそうだ』という状況判断を行い、こめかみの奥で『吸いたい』という欲求が湧き起こるのだろう。ニコチン依存の強さの評価や、他の薬物依存の研究にも役立つだろう」と話している。



禁煙、まだ間に合う? 40歳までなら余命正常化 13.1.25

(共同通信社 2013.1.25)

 【ワシントン共同】米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」電子版は24日、40歳前後までに禁煙に成功した人は、喫煙により縮んだ平均余命を、非喫煙者並みに取り戻せるとする米国やカナダの専門家による研究結果を掲載した。

 喫煙者の平均余命は、喫煙したことがない人に比べて10年以上短くなるが、34歳以下で禁煙に成功した人は喫煙を続ける人より平均余命が10年長くなり、まったくたばこを吸ったことがない人とほとんど同じ生存確率を示したという。

 禁煙に成功した年齢が35~44歳の場合でも喫煙を続ける人より平均余命が9年長くなる。45~54歳の場合でも6年、55~64歳でも4年、平均余命を取り戻せるという。

 しかし、肺がんなどのリスクは禁煙後も長期間続くことになるため、分析に当たった専門家は米紙に「40歳までなら吸っても大丈夫」などと安心するべきではないとくぎを刺している。

 調査は1997~2004年に保健関係の面談調査を受けた米国の25歳以上の男女約20万人の喫煙歴や死因を分析した。




麻生副総理、終末期医療めぐり「さっさと死ねるように」と発言13.1.22

(AFP BB NEWS 2013.1.22)
麻生太郎(Taro Aso)副総理兼財務相(72)は21日、社会保障制度改革国民会議(National Council on Social Security Reforms)で「いいかげんに死にたいと思っても生かされてしまう。しかも、政府のお金で(終末期医療を)やってもらうと思ったら、ますます寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしないと」と述べた。延命治療の否定とも受け取られかねない発言だが、後刻「個人の人生観を述べただけ」と撤回した。

 麻生氏はまた、延命治療を受ける患者を「チューブの人間」と称した上で、自身についてはそういったことまでして生かす必要はないとの遺書を残しているからすぐに死ねる、とも語ったという。発言について麻生氏は、「個人の人生観を述べただけ」とコメントし、終末期医療のあるべき姿について話したものではないと釈明した。

 過去にも数々の失言を繰り返してきた麻生氏が、副総理就任から1月もたたずして早くも「失言癖」が出てしまったようだ。




死者の尊厳守りたい 捜査支え、解剖の日々 孤独死、虐待...社会映す  「これで生きる」「女性法医学者」 13.1.17

(共同通信社 2013.1.17)

 天井の蛍光灯が反射してメスが白く光る。開始の合図はない。大理石の台に横たわった遺体が、首から腹部まで一気に切り開かれた。

 北海道旭川市の旭川医科大法医解剖室。法医学教室教授清水恵子(しみず・けいこ)(50)が執刀する司法解剖は淡々と進む。事件性の有無を見極める作業は、1時間で終わった。

 「テレビドラマのように犯人を追いかけたりはしないのよ」。マスクを外すと、口元をほころばせた。だが、すぐ真剣な表情に変わる。「公平、中立の立場で捜査機関に助言するのが使命です」

 ▽母と恩師

 医学科で女性教授は一人だけ。エリートに見られるが「臨床医と比べ地味」と言う。では、なぜこの仕事に...。答えを解く鍵は幼少期にあった。

 生後10日目にカトリックの幼児洗礼を受けた。一昨年、87歳で亡くなった母せつ子の考えだった。

 母は戦時中、東京女子高等師範学校(現お茶の水女子大)の学徒動員で砲弾の信管作りをした。1945年3月の東京大空襲。焼夷(しょうい)弾におびえ、横たわる黒焦げの死体を見ながら逃げる。「生きるとは、死とは何か」。清水は小さいころ、母から繰り返し聞かされた。

 小学2年生のとき、リウマチ熱が悪化し、4カ月入院した。幼心に、親身になって治療してくれた女性医師に憧れた。

 旭川医科大5年生で転機が訪れる。当時の法医学教室教授塩野寛(しおの・ひろし)(70)の講義がきっかけだった。「法医学は死者の尊厳を守る仕事です」。真摯(しんし)な語りが琴線に触れた。「死ぬ日は生まれる日にまさる」。教会の神父から教わった聖書の言葉と重なった。法医学への道を決めた瞬間だった。

 ▽涙こらえ

 旭川医科大の司法解剖数は年間約240体。そのほとんどに立ち会う。遠く釧路、北見、稚内までカバーする。徹夜で解剖室に立つこともある。「傷が多ければ、解剖時間は長くなります」

 解剖数は、ここ15年間で4倍に。殺人が増えたわけではない。自宅で孤独死するお年寄りが多くなったのが主な要因だ。

 昨年2月、70歳の男性が自宅廊下で、うつぶせになり死亡していた。全身に13カ所の傷。警察は事件の疑いもあるとみて捜査したが、司法解剖の結果は病死だった。

 「足腰が弱いと転ぶことが多い。傷も増えるので警察はきちんと調べようと司法解剖を選択します」。急速に進む高齢化社会を色濃く反映する。

 忘れられない解剖がある。19年前の2月。3歳男児が、同居中の伯父に裸のまま雪の中で虐待され死亡した。お漏らしして謝らないというだけで。母親は留守だった。

 頭や顔、胸、腹、背中、腕、脚に皮下出血して青あざになった傷が58カ所。尻には、たばこの火が押しつけられた痕もあった。くっきりした眉、鼻筋の通った顔立ち。「ここで泣いたら、ひんしゅくを買う」と涙を必死にこらえた。

 解剖は警察官らとの共同作業でもある。だが「捜査機関の言いなりにはならない」。執刀中、ぼうっと立つ警察官に「真面目にやってください」と怒鳴ることもある。

 部下で技能補助員の山田(やまだ)ひろみ(44)は「先生の解剖は丁寧で、きめ細やか。指導は厳しいですが...」と信頼を寄せる。

 6歳のとき、両親が離婚。母に育てられた。塩野は清水の心の内を代弁する。「医学部も警察も男社会。勝ち気でないと生きていけない。立場上、性格を変えている」

 ▽寄り添う言葉

 清水は、死者の「声」を聞き、捜査機関に伝える。そして冤罪(えんざい)を防ぐ。「一人一人の死を、より良い社会のために生かしたいんです」

 北海道警の検視官も一目置く。「捜査員だけでなく、一般の人にとっても大切な人。解剖が終わらない限り、遺族に遺体を渡せないから」

 実は、決して丈夫ではない。19歳のとき、腰椎分離すべり症で、背骨を手術した。後遺症で足にしびれが残る。片頭痛の薬も手放せない。

 それでも、ボランティアで女子高生(17)の家庭教師もしていた。傷害致死事件で司法解剖した被害者の娘だ。彼女に何かしてあげたい、との思いからだった。

 「親に満足に育ててもらえなかったから保育士になりたいと言う。頑張る姿を見ると、私が励まされ、救われる」。目に光るものがあった。

 北海道の最高峰、大雪山系旭岳が見渡せる研究室。ノートパソコンに、しおりが貼ってある。

 「たいせつなのは、どれだけたくさんのことをしたかではなく、どれだけ心をこめたかです」。貧困や病気で苦しむ人の救済に生涯をささげたマザー・テレサの言葉。温かい手でやさしく肩に触れるように、いつも清水に寄り添っている。



CT肺癌検診で2万6千人救命 X線検診では8千人にとどまり、差は歴然 13.1.15

(2013.1.15 m3.com)

 最も死亡数の多い癌、肺癌。抑制のための大きな手段の一つに、「肺癌検診」による早期発見がある。早期の治療につなげるのが重要だ。

 このたび日本放射線腫瘍学会第25回学術大会で、低線量CTによる検診が普及すると、年間で最大2万6千人もの救命が可能になるとの試算が発表された。放射線医学総合研究所名誉研究員の飯沼武氏が報告したものだ。現在の肺癌検診は胸部X線(CXR)によるスクリーニングが一般的。改めてCT検診の高い有用性を示した。

 試算方法はこうだ。まず、飯沼氏は、肺癌CT検診の有効性を初めて証明した研究「NLST(National Lung Screening Trial)」のデータを用いて、「予測肺癌死亡率」という概念による試算法を検証した。

 予測肺癌死亡率を「(検診で見つかる早期肺癌の割合×早期肺癌での致命率)+(検診で見つかる進行期肺癌の割合×進行期肺癌での致命率)」と定義する。NLSTで示された疫学データから、早期肺癌(臨床病期I期)と進行期肺癌(臨床病期II-IV期)の割合を求め、早期肺癌と進行期肺癌の致命率はそれぞれ30%、90%(日本のデータ)を掛けることにより、NLSTデータでの予測肺癌死亡率を算出した。

 飯沼氏らによるNLSTデータを用いた試算では、CT検診群(受診者のみ)の予測肺癌死亡率は68%、CXR検診群(受診者のみ)では74%。予測肺癌死亡率の比から相対リスク(RR)を算出し、68/74=0.79という数字になった。この数値はRCTによる肺癌死亡数の実測値から求めたRR(0.80)とよい一致を示した。これにより、予測肺癌死亡率を用いた計算は信頼できることが分かった。

 次に飯沼氏は、予測肺癌死亡率を用いて日本のCT検診データを解析した。すると、CT検診での予測肺癌死亡率は42%、検診不受診群でのそれと比較した場合のRRは0.54となった。同様に算出したCXR検診の予測肺癌死亡率は66%、RRは0.85だった。

 この結果を受け、もし、将来的に日本でCT検診が導入され、50-84歳全員が検診を受けた場合、2006年の肺癌患者数で換算すると、2万5957人もの命を救うことができると飯沼氏は割り出した。CXR検診での救命数は8652人にとどまり、CT検診に比してかなり少ないことが定量的に示せたことになる。

 飯沼氏は、「CT検診は最も強力な肺癌死亡減少対策であり、胸部X線検診に代えて、導入が急務」と結語している。



卒後教育、高齢者への対応力を 【米国老年医学会】 会長が米国医学研究所で4つの提言 13.1.11

(2013.1.11 米国学会短信 )

 米国老年医学会(AGS)は1月4日、Jim Pacala会長の卒後教育(GME)の改革をめぐる提言を伝えている。米国医学研究所(IOM)に対して2012年12月に行ったもの。

 4点の提言は、プライマリケア教育の充実に焦点を置いている。(1)高齢者医療はプライマリケアとして認識すべきである。高齢者は、特に複雑で脆弱な患者である。(2)低所得者中心の公的保険制度メディケアによる医療機関や研修施設へのGMEの助成金は、直接、高齢者医療に取り組める医療者を育成する研修に必要な保健体制の整備に使うべきである。(3)GMEを経た医療従事者は、高齢者医療にも十分に対応できるようにすべきである。高齢者ならではの知識とは、臨床所見、認知機能、生理的な加齢変化、身体機能、薬剤の適切使用や安全性である。(4)GMEの助成金は、先行研究や多施設教育研究のために活用されるべきである。

【関連リンク
AGS Presents GME Reform Recommendations to Institute of Medicine



准看護師が死亡診断 医師法違反容疑で女逮捕 13.1.11

(共同通信社 2013.1.11)

 宮崎県警は10日、医師ではないのに勤務先の診療所で入院患者の死亡確認をするなど、違法な医療行為をしたとして医師法違反容疑で、同県高原町、准看護師森山貴美子(もりやま・きみこ)容疑者(54)を逮捕した。

 県警は、森山容疑者が自らの判断で違法行為を繰り返していたとみているが、医師やほかの看護師が関与していなかったかも含めた当時の詳しい状況を調べている。

 逮捕容疑は昨年3~8月ごろ、同県都城市の診療所「信愛医院」で、資格がないのに入院患者の81~96歳の男女5人の死亡を診断、死亡診断書を作り交付した疑い。容疑を一部否認しているという。

 県警などによると、森山容疑者は診療所の看護部長で、死亡確認などをしていたのは医師が不在だった夜間や休診日。医師は院長1人で、同市に隣接する宮崎市の自宅から通勤していた。

 森山容疑者は自分で死亡診断書に死因を書き、署名欄には医師の名前が書かれたゴム印や印鑑を押していたという。

 県警や県によると、診療所関係者が昨年8~9月、「違法行為の疑いがある」と複数回にわたり県に相談。県は10~11月、診療所を4回立ち入り検査し医師法違反の疑いがあるとして、12月に県警に告発していた。

 信愛医院は、病床19床の診療所で、医師や看護師計約30人が勤務。診療所のため、医師の当直義務はない。

 県医療薬務課は「准看護師の資格を持っており、違法行為を理解していたはず。医師も患者の容体を把握しているべきで、通常では考えられないこと」と話した。




「ホタル族」喫煙、賠償命令…階上女性が提訴 13.01.08

(読売新聞 20 13.01.08)

 マンションのベランダからの受動喫煙による被害を訴え、住人の女性(74)が階下の男性(61)を相手に150万円の損害賠償を求める訴訟を起こし、名古屋地裁が女性の精神的損害を認めて5万円の支払いを命じていたことがわかった。

 判決は先月13日付で、すでに確定している。女性の代理人弁護士によると、受動喫煙を巡る訴訟で原告勝訴の判決は珍しいという。

 判決によると、女性は名古屋市瑞穂区のマンションに入居後の2010年4月頃から、たばこの煙が室内に入ってくるのを感じ、翌月以降、男性に口頭や手紙などで、室内で喫煙するよう求めた。しかし、男性は11年9月まで応じずベランダで吸い続け、女性はたばこの煙で体調が悪化したとして同年11月に提訴した。




薬が首相再登板に貢献? 腸の病気、定期検査が重要 12.12.27

(共同通信社 2012.12.27)

 5年前、持病の潰瘍性大腸炎が悪化し、辞任を発表した安倍晋三首相。今回は「新薬で劇的に改善した」などと健康をアピールするが、本当に体調は大丈夫なのか。

 専門の医師らは「薬によって、多くの人が社会生活を送ることができているが、悪化する可能性はつきまとう。定期的に検査し、病気とうまく付き合うことが必要だ」と指摘する。

 潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に原因不明の炎症が起き、腹痛や出血性の下痢を繰り返す厚生労働省指定の特定疾患(難病)。原因がはっきり分かっていないため特効薬はなく、症状が落ち着く時期と悪化する活動期を繰り返すことがある。

 難病情報センターによると、国内に患者は約11万人以上いるとされ、「免疫が過剰に反応して起こると考えられ、ストレスや食生活の影響も指摘されている」という。

 重症の場合は大腸を摘出したり、ステロイド剤を投与したりするが、安倍首相が使用しているアサコール(一般名メサラジン)などの薬で炎症を抑えるのが一般的だ。

 アサコールは2009年に承認された。同じ成分の薬は以前から国内外で使われており、決して目新しい薬ではないが、ほぼ同じ時期に投与できる量が増えたことが、多くの患者の症状の改善につながったという。

 ただ、これらの治療は病気の根本治療ではなく、あくまで炎症を抑えた状態の維持が目的。東京医科歯科大の渡辺守(わたなべ・まもる)教授(消化器病態学)は、「(メサラジンを)十分な量、十分な期間飲み続ければ、一般の人と同じ普通の生活ができる。粘膜の状態を定期的に検査することが重要だ」と指摘した。




論文60本に不正確認 筑波大、講師の在職中 12.12.26

(共同通信社 2012.12.26)

 東邦大の藤井善隆(ふじい・よしたか)元准教授=麻酔科医=の論文多数にデータ捏造(ねつぞう)があったとされる問題で、筑波大は26日、藤井氏が講師として在職中に発表した論文60本に不正があったことを確認したと発表した。

 日本麻酔科学会のこれまでの調査では、藤井氏の論文212本のうち、少なくとも172本に不正があったとしている。

 筑波大によると、藤井氏は1997~2005年に在職。発表した論文103本のうち臨床研究に関する60本に、実際には得ていない倫理委員会の承認を得たと記載するなどの虚偽があった。

 不正がなかったのは動物実験に関する5本で、残りは不正の有無を判定できなかった。藤井氏は2本について改ざんを認めたが、その他は認めていないという。




190人が不正合格 神奈川のドラッグストア 12.11.16

(共同通信社 2012.11.16)

 ドラッグストア「フィット・ケア・デポ」を運営する「カメガヤ」(横浜市)は15日、医薬品の「登録販売者」試験で、同社が発行した虚偽の実務経験証明書で約190人が合格していたと発表した。 同社は東京都と神奈川県に約60店舗を展開しており、不正合格した従業員は販売業務から外した。

 偽証明書を発行したのは2008~11年度に受験した従業員で、実務経験が不足していたという。受験地は神奈川県や福島県など8都県。

 登録販売者試験では、大手スーパー西友(東京)も虚偽の実務経験証明書を大量発行して不正受験していたことが明らかになっている。



(秋田)秋田大、教授を諭旨退職・・・検査機器不正導入 12.11.15

(読売新聞 2012.11.15)

 秋田大学医学部付属病院(秋田市)の中央検査部が検査機器を不正導入したとされる問題で、同大は14日、同学部医学系研究科の茆原(ちはら)順一教授(62)が、同機器を不正に導入した上、パワーハラスメント行為をしていたとして、茆原教授を諭旨退職の懲戒処分にすることを決めた。定例の教育研究評議会で、「大学の名誉を傷つけ、信用を失墜させた」として処分を決め、記者会見で発表した。

 同大で現職教授への諭旨退職処分の決定は初めて。茆原教授から28日までに異議申し立てがない場合、再度評議会を開き、処分を確定する。

 発表によると、茆原教授は、同病院の中央検査部長だった2008年、国費を財源とする貸付金で、貸し付け条件外の動物用実験機器などを導入した。この機器を含むシステム全体は、約4億5000万円だった。また、茆原教授は大学職員2人に対し、2年以上にわたって同僚の前で侮辱したほか、私用で外出する際に車で送迎させ、精神疾患にさせた、としている。

 茆原教授は「処分を厳粛に受け止めている」とのコメントを出し、同機器の不正導入について、「客観的事実に間違いはない。ただ、研究・発展に必要不可欠なもの」とした。パワハラ行為は「指導監督の行為で齟齬(そご)があり残念。事実認定の一部に争いがあり、異議申し立てを慎重に検討する」とした。

 同大は、不正導入で生じる違約金について、茆原教授への賠償請求も検討している。




11/14号“事故調”、全例届出組織は不要 12.11.14

(m3.com 2012.11.14 )

 ここに来て、医療事故の調査を行う第三者機関をめぐる議論が活発化していることを踏まえ、m3.com意識調査で、「“医療事故調”は必要?不要?」をお聞きしました。

 厚生労働省は2011年8月に、医療事故に関する無過失補償の検討を開始。その過程で、医療事故の原因分析と再発防止については別途掘り下げて検討する必要性から、2012年2月に関連の検討部会を設置。これら厚労省関係の一連の議論について、「詳しい内容まで知っている」と「概要のみ知っている」の合計は、医師会員の42%、医師以外の会員の48%でした。

 これに対し、学会、医療関連団体などの支援下で運営する、日本医療安全調査機構の企画部会が10月中旬に公表した案については、「詳しい内容を知っている」と「概要のみ知っている」の合計は、医師会員21%、医師以外の会員22%にとどまり、認知度は高くはありません。日本医師会の案はさらに低く、「詳しい内容を知っている」と「概要のみ知っている」の合計は、医師会員15%、医師以外の会員17%。日医は、日医案を各都道府県と郡市区の医師会に送付し、9月から10月にかけて意見を聞いていますが、各医師会執行部以外の一般の医師会員の意見を吸い上げたとは言い難い状況です。

 医療事故調査を行う第三者機関以前の問題として、院内での事故調査の重要性は誰もが認めるところ。「自院で事故調査を行える体制にある?」との質問には、病院勤務の医師会員の場合、「すべて調査が可能」は29%、「一部の専門的な調査以外は可能」は37%で計7割近くを占めましたが、「自院での調査は難しい」も32%。中小病院などへの調査支援体制が必要と言えます。

 では、事故調査を行う第三者機関はどんな機能を担うべきか。それは第三者機関への「届出対象」と大きく関係します。医師会員(40%)、医師以外の会員(41%)ともに、最も多かったのは、「第三者機関に相談、調査依頼する場合のみ届出」でした。「届出対象を規定し、該当する全事例を届出」する体制を支持したのは、医師会員18%、医師以外の会員28%にとどまります。また、届出者については、医療機関と家族・遺族の両方とすべきという意見が最も多いという結果でした。



ほぼ全講義を英語化する国立大…学生は「不安」 12.11.13

(読売新聞 2012.11.13)

 山梨大(甲府市武田)は2016年度までに、ほぼすべての講義でテキストを英語の書籍とし、英語で講義することを決めた。

 全学的な講義の英語化は、国際教育に特化した大学を除けば極めて珍しい。専門性の高い分野では、学生への負担増も課題となりそうだ。

 同大総務課によると、英語化するのは、日本文学など日本語の使用が必須な科目を除く全講義。来春から段階的に導入し、4年後をめどに完全移行する。

 段階的導入には、教員が英語で指導する準備期間を確保することや、一斉導入による学生のテキスト購入費の急増を避ける狙いがある。入試でも、早ければ16年実施の試験から、全学部の2次試験に英語を課すなど、比重増加を検討する。

 英語化は、前田秀一郎学長や理事、学部長など10人で構成する「グローバル化推進会議」で10月に決定。既に大学院では、一部の講義の英語化を始めており、同課は「グローバル化に乗り遅れることなく、優秀な人材を育てる環境を整えたい」と説明する。

 文部科学省大学振興課によると、全学的に講義を英語化し、英語の授業だけで卒業が可能な大学は、国際教養大(秋田市)の例があるが、「ほかには把握しておらず、珍しいのではないか」としている。

 山梨大は医学、工学、生命環境学、教育人間科学の4学部。同大総務課は「元々英語の方が講義を進めやすい科目も多く、英語化はしやすい」としている。

 これに対し、学内の意見はさまざま。ある男性教員は「日本語の教材よりレベルが高く適切な英語教材があれば、既に使っているはず。今の学生の英語力では、4年後の移行は正直難しいだろう。特に何も変えるつもりはない」と冷ややかだ。教育人間科学部4年の男子学生(23)は「英語を重視した特色のある大学として、就職の時に有利になるかも」と話し、工学部1年の女子学生(18)は「いきなり英語になっても、授業の内容を理解できるか不安」と漏らした。




健康食品から医薬品成分 厚労省が買い取り調査 12.11.14

(共同通信社 2012.11.14)

 厚生労働省は13日、海外の業者がインターネットサイトで販売している健康食品を対象に買い取り調査を実施、強壮やダイエット効果をうたう69製品の約8割に当たる58製品から医薬品成分を検出したと発表した。

 検出されたのは性的不能治療薬の成分シルデナフィルや、国内未承認の肥満症治療薬の成分オリスタット、かつて下剤に使われ、発がん性の恐れがあるとして使用されなくなったフェノールフタレインなど計10種類。ほとんどは中国国内に所在地がある業者が販売している製品だった。

 厚労省は健康被害が出る恐れがあるとして注意喚起するとともに、業者に対して日本向けの販売中止を要請した。




医師ら60人の処分諮問 秘密漏示事件も対象 12.11.14

(共同通信社 2012.11.14)

 厚生労働省は14日、刑事事件で有罪が確定するなどした医師、歯科医師計60人の行政処分を医道審議会分科会に諮問した。分科会は同日夕に審議結果を答申し、厚労相が処分を決める見通し。

 諮問対象には、秘密漏示罪に問われ懲役4月、執行猶予3年の判決が確定した医師も含まれる。奈良県の医師宅放火殺人事件で、長男の供述調書の内容などをフリージャーナリストに漏らした精神鑑定医とみられるが、厚労省は「処分が決まるまで詳細は明らかにできない」としている。

 ほかに処分を諮問されたのは、強制わいせつ致傷や児童買春・ポルノ禁止法違反罪などに問われ有罪が確定した4人と、覚せい剤などの薬物事件で有罪となった6人ら。診療報酬の不正請求で保険医登録を取り消された医師、歯科医師も含まれる。




妊娠中感染、子に自閉症リスク【米国小児科学会】 インフルエンザで2倍、1週間以上の発熱で3倍 12.11.13

(2012.11.13 米国学会短信)

 米国小児学会(AAP)は11月12日、妊娠中の母親にインフルエンザや1週間にわたる発熱があると、生まれてくる子の自閉症のリスクが2-3倍高まるという最新の報告を紹介した。学会発行のPediatrics誌12月号に掲載している。

 オランダの研究グループが1997年から2003年の間に生まれた9万6736人の小児を対象に調査したところ、母親が妊娠中にインフルエンザに感染している場合に、幼児期の自閉症のリスクは2倍に高まっていた。1週間以上にわたる発熱が妊娠中にあった場合には自閉症のリスクは3倍となっていた。妊娠中の呼吸器感染や尿路感染、性器感染と自閉症のリスクとは関係していなかった。妊娠中の抗菌薬の服用は自閉症スペクトラム障害のリスクの上昇と関係していた。

 研究グループは、現状では結果には不明確な点もあり得ると指摘し、さらなる研究が必要と説明している。

【関連リンク
Danish Study Examines Infections During Pregnancy and Autism Risk

http://pediatrics.aappublications.org/content/early/2012/11/06/peds.2012-1107



糖尿病や肝臓病も 多様な骨折の危険因子 「医療新世紀」 12.11.13

(共同通信社 2012.11.13)

 高齢者に多い骨粗しょう症は、骨がもろくなり、つまずいて転ぶくらいの刺激で骨折しやすくなるのが特徴だ。中でも、太もものつけ根付近などの骨が折れると、寝たきりをはじめ、不自由な生活の原因になりやすい。多くの国々で高齢化が進む中、高齢者の骨折をいかに防ぐかが大きな課題になっている。

 骨の強さは主に骨密度(単位体積当たりの骨量)で決まるので、ある人が骨折しやすいかどうかを知る上で、骨密度の測定が大切だということは分かる。しかし、英ノッティンガム大のチームがこのほど、英医学誌に発表した研究によると、糖尿病や肝臓病など、素人の目には骨とあまり関係がなさそうに見えることも骨粗しょう症による骨折の危険因子になっているという。

 チームは、1993年から2011年までに英国の医療機関にかかった30歳以上の患者約300万人の医療記録などを基に、どのような持病や生活習慣が、同症による骨折と関係があるのかを分析した。

 その結果、浮かび上がった危険因子には「(太ももの付け根付近など)特定の部位の骨折歴がある」「親が骨粗しょう症だった」など、いかにも骨折と関係が深そうなものがある一方、糖尿病(1型、2型とも)や慢性の肝疾患、腎疾患、さらにパーキンソン病やがんなど、さまざまな慢性疾患が含まれていた。ほかには「ステロイド薬の使用」や、「大量の飲酒」「喫煙」などの生活習慣も危険因子とされた。

 こうした因子を明らかにすることは、骨折しやすい人に絞った予防対策に有効とされるため、英国では盛んに研究されているという。




がん拠点病院の治療実績54万件、全国の7割弱 12.11.9

(読売新聞 2012.11.9)

 国立がん研究センターは8日、がん医療の中核施設として国が指定している「がん診療連携拠点病院」について、2010年の治療実績を公表した。

 集計症例は54万8979件と日本全体のがん罹患推計数の66・9%(前年比5・4ポイント増)に当たり、日本のがん医療で拠点病院の担う役割の大きさがうかがえる。

 公表したのは、全国388の拠点病院(11年10月時点)のうち、387施設で、10年中にがんと診断された症例の治療実績。

 詳細分析では、今回からその施設で診断・治療を受けた症例だけを対象とし、別の病院の医師に意見を聞くセカンドオピニオンのみの症例は除いた。二重登録の可能性を減らすためだ。

 肺がんは同じ進行度でも、組織型ごとに標準治療が異なるが、全体集計では肺がんについて初めて、組織型別・進行度別の治療内容の割合も公表した 。



山梨県、「5年間で6144床が望ましい」地域保健医療計画検討で 12.11.8

(毎日新聞社 2012.11.8)

 県は7日、次期の地域保健医療計画(来年度から5カ年)について話し合う検討会を甲府市内で行った。県側は県内の全病院・診療所の「基準病床数」について5カ年で6144床とするのが望ましいと報告した。

 県内の病床数は今年3月末現在で8532床とこれを大きく上回る。県医務課によると、基準病床数は法律に基づき、人口や平均入院日数などから算出。既存病床数が基準数を超える場合は、新たな病床設置は原則認められない。検討会に出席した病院関係者は「現場の実感ではむしろベッドは足りない」と指摘。県側は「基準数は適切な水準を示すもので、すなわち削減を求めるものではない」と釈明した。

 また、地域の医療格差解消のため、医学部を持つ山梨大と共同で医師を派遣する「地域医療支援センター」について、県は来年度設置を目指すことを報告した。



「薬の安全、二の次」 登録販売者11万人 12.11.5

(共同通信社 2012.11.5)

 医薬品販売の規制緩和が進む中、「登録販売者」制度は薬剤師不足を補う新たな資格として始まり、今や11万人が取得する人気ぶりだ。西友による大規模な不正受験の疑いが3日浮上し、薬害被害者は「薬が人の命に直結しているという認識が、企業にも受験者にも全くない」と憤っている。

 「薬の安全性は二の次と軽視している。組織ぐるみで不正をしていたのではないか」。薬害サリドマイド被害者で、厚生労働省の検討会メンバーとして制度創設の議論に加わってきた増山(ますやま)ゆかりさん(49)=千葉県松戸市=は、西友の問題を知り不信感を募らせた。

 処方箋医薬品だけでなく、一般用医薬品(大衆薬)の販売は長年、大学の薬学部を卒業し、国家試験に合格した薬剤師らにしか認められていなかった。しかしドラッグストアの出店が相次ぎ、薬剤師の不在や、副作用などの説明が消費者に十分に行われていないといった実態が問題化した。

 厚労省などによると、大衆薬服用による健康被害の報告は毎年200件を超え、重症例や死亡例もある。

 解決策として生まれたのが、薬剤師ほど専門的な知識がなくても販売を認める「登録販売者」の制度だ。副作用のリスクが高い薬は薬剤師の説明を義務付け、比較的低い薬は登録販売者が取り扱えるようにすることで、薬剤師不足の解消と消費者の安全を図ろうと2009年6月に始まった。

 ただ、当時の厚労省検討会で薬害被害者らは「登録販売者に薬の総合的な知識が十分身に付くとは思えず、資質や安全性の確保に疑念が残る」と反対意見を述べていた。

 制度導入でコンビニなどでも大衆薬販売が本格化。消費者の利便性が高まる一方、今回のような登録販売者試験の不正受験が相次ぎ、これまでに168人が合格を取り消されるなどした。

 厚労省は12年度から実務経験証明書とともに、裏付け資料として出勤簿やタイムカードの添付を求めるよう自治体に通知。だが、ある自治体の担当者は「本当に薬の販売に携わっていたかまでは出勤簿では分からず、確認は難しい」と話す。今回の西友のケースでは、食品売り場などで働いた時間も「実務経験」に含め、医薬品販売に全く関わっていなかった従業員もいたという。

 増山さんは「販売者側の良心に頼る制度には限界がある。試験制度の在り方はもちろん、登録販売者の役割を見直す必要がある」と強調した。




虚偽証明で不正受験か 西友従業員200人超 医薬品の販売者資格 12.11.5

(共同通信社 2012.11.5)

 薬剤師でなくても一部の一般用医薬品(大衆薬)が販売できる「登録販売者」試験で、大手スーパーの西友(東京)が受験に必要な実務経験のない大量の従業員に、業務内容や従事時間を偽った実務経験証明書を発行していた疑いがあることが3日、厚生労働省などへの取材で分かった。

 厚労省などによると、虚偽の証明書で受験した疑いがあるのは、過去4年間に少なくとも19都道府県で200人余りに上り、2009年に登録販売者の制度が新設されて以降、最大規模の不正とみられる。合格者数は不明だが、既に合格して西友の店舗で医薬品を販売していた従業員もいた。

 試験を実施した東京都などの関係自治体は実態を調査した上で、合格を取り消す方針。厚生労働省も調査に乗り出す。

 西友広報室は取材に「東京都から問い合わせを受けたのは事実だが、現在調査中で答えられない」としている。

 登録販売者試験は都道府県が実施。受験資格は、医薬品販売に1年間、毎月80時間以上従事した者などと定められ、勤務先が発行した実務経験証明書を事前に提出する。

 関係自治体によると、西友は証明書に虚偽があったことを認める説明をしている。従事時間が水増しされていたり、衣料品や食品の売り場で働く従業員も要件を満たす実務経験があることにしていたりした。医薬品販売の経験が全くないケースもあったという。

 共同通信が自治体に取材した結果、不正の疑いがあるのは東京約100人、大阪約25人、千葉と愛知は各約20人。北海道、宮城、茨城、埼玉、神奈川、富山、長野、静岡、滋賀、兵庫、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分各県も、西友などから同様の事例があったと連絡があり、調査している。

 西友は自治体に対し「証明書は各店の医薬品販売責任者が記載して東京本社に送付し、本社で代表者印を押していた」と説明。「責任者の認識がずれていた。本社は証明書の内容に間違いはないだろうと(虚偽記載に)気付かず発行していた」としているという。

 今年の夏、東京都に「西友の合格者に、受験資格のない人がいるのではないか」との情報提供があり、発覚した。厚労省によると、受験資格がないことが判明して登録販売者の合格取り消しや受験取り下げになった人は制度創設以来、計168人いる。

※医薬品の登録販売者制度

 2009年施行の改正薬事法で創設された資格。厚生労働省は医師の処方箋なしで買える一般用医薬品(大衆薬)を副作用のリスクで三つに分類。リスクが高い第1類は薬剤師しか販売できないが、風邪薬などの第2類と整腸薬などの第3類は、登録販売者にも認めるよう規制を緩和した。受験には薬剤師らの指導の下で1年間、毎月80時間以上、医薬品販売や相談の補助を行った実務経験などが必要。都道府県が筆記試験を実施し、合格者は勤務先の薬局や店舗がある都道府県などに登録する。厚労省によると、11年度末時点の全国の登録者数は約11万人。




ゴキブリ大食い大会後死亡 優勝の男性、米フロリダ 12.10.11

(共同通信社 2012.10.11)

 【ニューヨーク共同】米フロリダ州で10日までにゴキブリの大食い大会が開かれ、優勝した男性が会場で倒れて死亡、地元当局が死因を調べている。

 地元の保安官事務所によると、亡くなったのはエドワード・アーチボルドさん(32)。5日にフロリダ州ディアフィールドビーチの爬虫(はちゅう)類ショップで開かれたコンテストに出場した。

 地元メディアなどによると、コンテストでは体長7~10センチほどの生きたゴキブリのほか各種の虫を食べる競争が行われ、アーチボルドさんは計数十匹を食べ優勝。その場で気分が悪くなって吐き、倒れたため病院に運ばれたが、間もなく死亡が確認された。

 AP通信は、細菌感染が原因であれば発症にもっと時間がかかることや、他の参加者には異常が起きていないことから、アレルギーが死亡の原因となった可能性もあるとする専門家の見方を伝えている。

 大会の優勝賞品はニシキヘビで、30人近くが参加していたという。




日焼けマシン、皮膚癌リスク2倍 12.10.5

(ソース:BMJ  2012.10.5)

文献:Wehner MR et al.Indoor tanning and non-melanoma skin cancer: systematic review and meta-analysis.BMJ 2012;345:e5909.

 12件の研究(被験者9328人)を対象に、日焼けマシンと非黒色腫皮膚癌の関連をシステマティックレビューとメタ解析で検討。日焼けマシン利用歴なしに対する利用歴ありの扁平上皮癌および基底細胞癌の要約相対リスクは1.67、1.29だった。25歳以下の相対リスクは扁平上皮癌2.02、基底細胞癌1.40とより強い関連が見られた。

原文(BMJ)を読む
http://www.bmj.com/content/345/bmj.e5909



ネコもアルツハイマーに? 患者と同じ脳の変化 12.10.5

(共同通信社 2012.10.5)

 長崎県対馬に生息する国の天然記念物のツシマヤマネコで、アルツハイマー病の患者と同じような脳の変化が起きたことを東京大のジェームズ・チェンバーズ特任助教(獣医病理学)らの研究チームが発見し、米オンライン科学誌に5日までに発表した。

 病気などで死んだヤマネコの解剖で判明した。チェンバーズさんは「ネコ科の動物で広くみられる現象かもしれず、ペット用のネコでも調べたい」と話している。

 チームは、ヤマネコ14匹のうち5匹の脳の神経細胞に、アルツハイマー病と同じような異常なタンパク質が蓄積しているのを確認した。

 5匹に認知症の症状が出ていたかどうかは不明だが、異常が見つかったヤマネコの多くは高齢とみられ、加齢に伴って進行する一般的なアルツハイマー病と似ていた。

 アルツハイマー病の患者の脳では異常なタンパク質の蓄積のほか、表面にシミができることが知られている。シミはこれまでイヌやサルなど多くの動物で見つかっていたが、タンパク質の蓄積がはっきり確認できたのはツシマヤマネコが初めてだという。

 チェンバーズさんは「脳の変化をさまざまな動物で詳しく比較すれば、病気のメカニズムの研究に貢献できるのではないか」と指摘している。




HbA1c国際標準化の文献改訂 換算式使用時や国際標準化につき論じる際、引用すべき報告書 12.10.3

(2012年10月3日 日本糖尿病学会)

 日本糖尿病学会は9月24日、ホームページに「糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版)」を掲載した。

 日本では今年4月1日より、日常診療や論文などでHbA1c値を記載する場合、国際標準のNGSP値で記述するようになった。

 学会は変更に合わせて2010年6月発表の「糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告」の表記もNGSP値のHbA1c値に改訂。報告書の解説に国際標準化の経緯を加えた。

 学会は、論文執筆や論述で数値の換算やHbA1c値の国際標準化に言及する場合、この報告書を引用してほしいと呼びかけている。

【関連リンク
糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版)
日常臨床及び特定健診・保健指導におけるHbA1c国際標準化の基本方針及びHbA1c表記の運用指針



個人情報入りパソコン盗難 福岡の病院、128人分 12.10.3

(共同通信社 2012.10.3)

 福岡歯科大医科歯科総合病院は2日、同病院の20代の女性歯科医師が福岡市で車上荒らしにあい、患者128人分の個人情報の入ったパソコンとUSBメモリーが盗まれたと発表した。悪用された例は確認されていないという。

 病院側によると、盗まれたパソコンとUSBメモリーには手術記録や入院診療録などが含まれ、氏名、住所や電話番号、既往歴がわかるものもあったという。

 管理規定では、患者の個人情報が含まれる文書は基本的に院外への持ち出しを禁止していたが、歯科医師は守っていなかった。病院側は該当する患者に説明とおわびの文書を送付し、歯科医師の処分も検討する。

 歯科医師が9月30日夕方に福岡市早良区の駐車場に乗用車を止めていたところ、窓ガラスが割られ助手席にあったパソコンが盗まれたことに10月1日に気付き、警察に届け出た。



医師居着かぬ村診療所、女性医師「中傷で退職」 12.10.2

(読売新聞 2012.10.2)

 秋田県上小阿仁村は1日、村唯一の医療機関「村立上小阿仁国保診療所」所長の伊尻孝一医師(49)が12日に退職し、同日付で北海道帯広市の西村勇医師(71)が所長に就任すると発表した。

 村総務課によると、伊尻医師が5月下旬、村に辞意を伝えた。村は7月からホームページなどで医師を公募。西村医師から村に連絡があり、村が9月に面談して採用を決めた。

 同診療所を巡っては、伊尻医師の前任の女性医師が2011年5月、「激務をこなせる体力がない」として退職したが、同村の小林宏晨・前村長は当時の取材に「(一部村民からの)言われ無き中傷により、心に傷を負わせてしまったことが最大の原因」との見解を示した。

 伊尻医師は11年6月に着任し、1年4か月での退職。辞める理由について、村総務課の萩野謙一課長は「本人の意思なので、村が公式に言うことはできない」とし、同診療所の石上耕作事務長は「(伊尻医師)本人が取材は一切お断りすると話している」としている。

 萩野課長は「村唯一の診療所をなくすことはできない。西村先生の要望には極力対応したい」と話した。




徳州会とJTBが提携し、2013年度1000名の外国人患者を受入れ 12.10.2

(厚生政策情報センター 201.10.2)

徳州会グループ・JTBグループ メディカルツーリズム 外国人患者の受入れを強化(9/24)《株式会社ジェイティービー》

  株式会社ジェイティービー(JTB)は9月24日に、徳州会グループと提携し、メディカルツーリズムにおける外国人患者の受入れを強化することを発表した。

  徳州会グループは外国人患者受入れ拠点となる「国際医療支援室」を、湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)内に設置。外国人患者の症状・リクエストに応じ、全国66施設の徳州会グループ医療機関から最適な施設を決定し、先進的な医療を提供する。

  国際医療支援室にはJTBグループ担当者が常駐し、患者および付添い人の日本入国前後のサポート、医療通訳・翻訳等の手配、医療滞在ビザの身元保証などを行う。周辺業務サポートは、JTBの国際医療サポート専門部署である「ジャパン・メディカル&ヘルスツーリズムセンター」スタッフが行い、渡航関連手配、日本国内の宿泊・輸送などはJTB法人東京の常駐スタッフが担当する。

  徳州会グループは、JTBとの提携により、「国際医療支援室」を通じて2013年度に1000名の外国人患者受入れを見込んでいる(p1参照)。

資料1 P1~P2(0.3M)

http://www.m3.com/tools/Document/WIC/pdf/201210_1/1871_3_1.pdf




まさかだまされるとは…ニセ医師採用したNPO 12.9.28

(読売新聞 2012.9.28)

 「まさかだまされるとは」--。東京都板橋区の高島平中央総合病院でニセ医師が区民健康診断をしていた事件で、詐欺や医師法違反(医師の名称使用制限)などの疑いで逮捕された東京都世田谷区中町、無職黒木雅(みやび)容疑者(43)を雇用していた長野市のNPO法人「メディカルチェック」が27日記者会見し、偽造の医師免許証を提示されて採用した経緯などを明らかにした。

 黒木容疑者が健康診断をした企業側には診察のやり直しを伝えるという。

 同法人の高見沢雅之理事(54)は「多大なご迷惑とご心配をおかけした」との謝罪文を報道陣に配布。本人確認が不十分だったことを認め、「仲介料を節約するため、直接仕事のやり取りをしてしまった。派遣会社を通せば、こんなことにはならなかった」と困惑の表情を見せた。

 高見沢理事によると、同法人は黒木容疑者に対し、昨年4月から今年8月にかけて72回、計69社の延べ4897人の健康診断を行った報酬として、519万円を支払った。黒木容疑者は架空とみられる出版社の口座を報酬の振込先に指定したという。同法人はこれ以外に、都内からの交通費や健診前日に県内に泊まるホテル代も支払っていた。

 黒木容疑者から「名古屋市の派遣会社の募集要項を見た」と同法人に電話があったのは昨年2月頃。同3月上旬、理事長らが都内で面接した。黒木容疑者は、「黒木良太」名義で、日付と当時の省名や大臣名が食い違う偽造の医師免許証のコピーと「山梨医科大医学部卒」と学歴を偽った履歴書を提出した。身元確認のための運転免許証は持参せず、「自宅に置いてある」と説明したという。

 同法人が県外から採用したのは初めてだったが、黒木容疑者は受診者から評判が良かったため、その後は派遣会社を介さず、大人数の健診は本人に直接依頼した。高見沢理事は「面接では、話がうまく、乗せられてしまった。気さくで人当たりが良く、完全に良い先生にしか見えなかった」と振り返った。今月10日にも健診を依頼していたが、「今まで嘘(うそ)をついてすみませんでした。これから警察に行ってきます。本当に申し訳ありませんでした」と同法人にメールがあったという。



医師免許証と卒業証書の原本確認を 12.9.25

厚労省、医師なりすまし問題を受け通知

(医療維新 12.9.25)

 厚生労働省は9月24日、医師および歯科医師の資格確認の徹底を図るために、採用時における免許証と卒業証書の原本の確認を求める通知を出した。同省の「医師等資格確認検索システム」を活用して適正な資格確認を行うことも促している。同日、警視庁と長野県警の合同捜査本部が、東京都世田谷区の黒木雅容疑者を詐欺や医師法違反などの疑いで逮捕したことを受けた対応。

 通知では、無資格者による医業と歯科医業を防止するため、過去に1972年、1978年、1985年に3回、通知を出していることを説明。1972年の通知では、「無資格者が医業または歯科医業を行うことは、医師法17条および歯科医師法17条違の違反に当たるとともに、無資格者に医業等を行わせた病医院の開設者もしくは管理者についても、その態様によっては、刑事責任を問われ、免許取消等の行政処分の対象となる」と記載され、1985年の通知で「免許証と卒業証書の原本の確認」を明記している。

 今回の事件で黒木容疑者は、実在医師の名を借り、人材紹介会社を通じて、東京都板橋区の病院では約2300人の板橋区の健康診査事業に従事していたほか(『実在医師を名乗り、約2000人の健診に関与か』を参照)、長野県北部の病院でも健診を行っていた疑いが持たれている。

 東京都板橋区の病院では、非常勤医師として採用時に確認したのは、医師免許証のコピーのみ。疑いを持った際に原本の提示を求めたが、黒木容疑者は、「実家にある」と提示を拒否、提示した国民健康保険証も、なりすました実在医師の名前だった。この国民健康保険証も偽造の疑いが持たれている。

 厚労省の「医師等資格確認検索システム」で実在医師名を検索すると、該当者は一人のみ。黒木容疑者が提示した医師免許証のコピーの生年月日などは、実在医師のものとは異なっている。

 なお、東京都板橋区の病院では、詐欺罪、私文書偽造罪、医師法違反、公文書偽造罪の四つの罪名での告発を想定していたが(『四つの罪で告発想定、「遠からぬうちに逮捕か」』を参照)、最終的に受理された告発・告訴状は、詐欺罪、医師法18条違反(「医師」という名称の使用制限)、有印公文書偽造罪に関するもの。

 同病院は24日付けで、「今後の手続きにおいて、判明した事実に基づき、適正な刑事責任の追及と、相当な処分がなされることを願いつつ、事態の推移を注視していく」との見解を、当該被疑者の関与が疑われる健診受診者に対してのお詫びとともに、公表している。




増える「多重がん」  ひげの殿下も与謝野氏も 背景に高齢化や診断向上 「医療新世紀」 12.9.25

(共同通信社 2012.9.25)

 「ひげの殿下」と親しまれた三笠宮家の寛仁(ともひと)さまは、食道や喉に次々と見つかるがんとの壮絶な闘いの末、今年6月、66歳で亡くなられた。女優の大空真弓(おおぞら・まゆみ)さんや、先ごろ政界引退の意向を示した与謝野馨(よさの・かおる)前経済財政担当相も複数のがんに見舞われ、それぞれ闘病体験を著書で明らかにした。一人の患者に、転移や再発ではない二つ以上の独立したがんが生じた場合を「多重がん」と呼ぶ。近年、多重がんの報告が増えているという。

 ▽発見20回

 長い闘いの始まりは2001年12月、49歳の時だった。都内に住む小曲一之(おまがり・かずゆき)さん(60)は、職場の定期健診で食道がんを指摘された。総合病院で調べると、がんは2~3センチの幅で食道のほぼ全周にわたっていた。翌年2月、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)で内視鏡による粘膜切除術(EMR)を受けた。

 同病院での検査の際に告げられたことがある。「食道に前がん状態の細胞が多数あり、がん化の可能性があります」。7月、その言葉通り新たながんが数個発見され、再びEMRで取り除いた。

 「食道がん患者は、ほかの消化器系にもがんができやすいと知り、主治医に喉もよく診てくれるよう頼みました」。不安は的中し、ごく初期の下咽頭がんが見つかった。

 05~09年、食道と下咽頭で次々にがんが発見された。さらに10年に口の奥と胃に、11年には舌にも。「がんの発見は約20回。この先どこまで続くのか」。これまでは比較的初期に発見、対処できたが、果てしない治療に心が折れそうだという。

 ▽頭頸部と食道

 地域がん登録のデータなどから、多重がんの増加が指摘されている。

 国立がん研究センター東病院頭頸部(けいぶ)外科長の林隆一(はやし・りゅういち)医師によると、背景の一つに高齢化がある。治療法の進歩とも相まって、一つのがんを克服しても次のがんを患うケースが増えてきた。

 また、技術が進んで微小ながんの検出力が向上したことも大きい。「がんの初期には粘膜の表層で血管が増えてきます。これをとらえるNBI内視鏡などにより、特に食道・咽頭領域のミリ単位の早期がんが発見されるようになりました」と林さんは解説する。

 林さんが専門とする口腔(こうくう)や咽頭などの頭頸部は多重がんの頻度が高い。03年に同病院など全国7施設が頭頸部がん565症例を分析した結果、82例の多重がんが確認された。口腔と口腔、口腔と咽頭のような頭頸部同士のほか、頭頸部と食道の組み合わせも多かった。

 ▽飲酒と喫煙

 「頭頸部から食道にかけては、同じ『扁平(へんぺい)上皮』という組織が続いています。そこに飲酒や喫煙などの危険因子が働いて前がん病変が多発し、同時または時間を前後しながら、がんが発生するのではないかと考えられています」と林さん。

 特に日本人にはアルコールを代謝する酵素が遺伝的に欠損していたり働きが弱かったりする人が多く、発がん物質アセトアルデヒドの血中濃度が上昇しやすい。さらに喫煙が加わると、危険性は相乗的に高まる。

 小曲さんも発症前、1日にたばこを20本吸い、酒を3合飲んでいた。その後の検査で、アルコールの代謝能力がかなり低いと指摘されている。

 頭頸部や食道の多重がんは、先に発生したがんの経過観察中に早期発見されることが多く「部位にもよるが、内視鏡で部分的に切除するなどの対応も可能」(林さん)という。一方、共通の危険因子が見当たらず、偶発的に生じた多重がんは発見が遅れがちになる。

 がんの宣告は衝撃だ。それが繰り返される患者の心の負担は計り知れない。だが、小曲さんは「現在の標準治療の進歩に加えて免疫療法などの新しい治療法が確立し、多重がんを根治できる日が来るはず。それまで努めて淡々と治療に向き合っていきたい」と語った。




カルテない被害者 相談会 薬害C型肝炎 12.9.22

(読売新聞 2012.9.22)

集団訴訟に向け名古屋で30日

 汚染された血液製剤でC型肝炎ウイルスに感染したのに、医療記録がないため給付金を受けられないのは不当として、国を相手取って各地で訴訟を起こしている「カルテがないC型肝炎訴訟原告団」は30日、名古屋市西区で相談会を開く。同原告団は中部地方での集団訴訟の準備を進めており、相談会などを通じて、救済されていない患者の掘り起こしを進める。

 薬害肝炎訴訟の解決のため、「薬害C型肝炎被害者救済法」が2008年に施行され、裁判所がカルテなどで「フィブリノゲン製剤」などの投与との因果関係を認定した患者に、症状に応じて1人4000万-1200万円が給付されることになった。同法の提訴期限は2013年1月までだったが、今月に法改正されて18年1月まで延長された。

 しかし、カルテの法律上の保存義務期間は5年間しかなく、症状が現れた時にはすでにカルテが廃棄されていたり、診断した医師が死亡していたりすることもある。カルテや医師の証言がない患者の事実認定は困難で、実質的に救済の対象外となるケースが多い。

 このため、カルテのない患者らは東京や大阪などで救済を求めて集団訴訟を提起。今後、中部地方の被害患者による名古屋地裁への提訴を検討している。

 同原告団の北村明美弁護士は「カルテのない被害患者の方が圧倒的に多い。多くの被害者が一致団結して、カルテがなくても広く救済されるようにしたい」と話している。

 相談会は西区名駅2のプライムセントラルタワー名古屋駅前店第3、4会議室で午後1時-同5時。参加費1000円が必要。原告団の弁護士らが対応する。問い合わせは北村法律事務所(052・541・8111)か大田清則法律事務所(052・973・0217)。




~論文ねつ造の多さ「不可解」- 日本麻酔科学会理事・澄川耕二氏に聞く◆Vol.1 12.9.20

東邦大元准教授の212本の論文、委員会で検証
(2012.9.20 聞き手・まとめ:池田宏之: m3.com編集部)

 一般紙に今夏、大々的に報じられた東邦大学の元准教授による論文ねつ造問題。日本麻酔科学会は調査特別委員会を設置し、今年6月に172本の論文を「ねつ造」とする報告書を提出、8月末には「永久に再入会を認めない」とする処分を下した(報告書は、同学会のホームページに掲載)。発覚の経緯や長年にわたり元准教授がねつ造論文を発表し続けた原因などについて、調査委員会の委員長を務めた学会の常務理事で、長崎大学麻酔学教室教授の澄川耕二氏に話を聞いた(2012年9月14日にインタビュー。計2回の連載)。

――まず今回の発覚の経緯を教えてください。

 2011年7月に、元准教授が当時所属していた東邦大学に対して、「Clinical Therapeutics」などの海外ジャーナル5誌に提出した9本の論文について、これら5誌から、「ねつ造ではないか」という調査依頼が来ました。同大は内部調査を実施し、8本について、「施設内の倫理委員会を経て実施していない」との理由で、「諭旨免職」としました。その後、「Anaesthesia」が、元准教授の論文のデータについて、統計学的アプローチで調べたところ、100万回に1回にしか発生しないレベルのばらつきのないデータであることなどから、ねつ造の可能性が高くなりました。
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澄川耕二氏は、「ねつ造論文の中には77回引用されたものもあった」と疑問を投げかける。

――委員会として、どのような調査をしたのでしょうか。

 元准教授の論文のテーマは、手術後の麻酔の吐き気止めの効果と、犬を使った動物実験の2種類がほとんどでした。そこで、元准教授や共著者の所属していた施設の症例や動物の持ち出し記録を調べて、実際の論文と照らし合わせていきました。一本ずつ内容を精査した形です。本人への聞き取りも2回実施しました。ただ、本人は「覚えていない」などと話し、ねつ造は認めませんでしたが、言い分を確かめるために、共著者や周辺で勤務していた人への聞き取りもやりました。

――ねつ造を認定した論文の本数はどれくらいあったのでしょうか。

 調査対象となったのは、元准教授が1990年から2011年にかけて書いた原著論文212本です。そのうち、172本をねつ造と断定しました(編集部注:残りの37本は「ねつ造かどうか判定できない」、3本は「ねつ造なし」)。

――ねつ造と断定するのは難しい作業だったのではありませんか。

 施設に記録のある症例数と、実際に提出された論文の症例数を照らし合わせました。その結果、元准教授が入手できるデータの数倍から数十倍の症例が、論文内で扱われていて、多くの論文が「書くことが不可能」という結論になり、断定しました。中絶手術後の患者の吐き気止め効果を試した論文を例に取ると、1999年9月から2001年3月に、准教授が当時所属していた筑波大学で担当した中絶が32件だったのに対して、論文上は120件ありました(編集部注:元准教授が担当しなかった症例を含めても99件)。

――一部の論文について「ねつ造」と断定できなかった理由は。

 これについては、周辺の人への聞き取りで「実験はしていた」という話が出て、なおかつ施設側の動物の管理記録などの証拠が残っていないケースが多かったからです。

――主なねつ造論文の方法は。

 初期のころから、大規模なランダム化比較試験(RCT)で、二重盲検法を用いたねつ造論文が目立ちます。RCTの場合は症例数が100を超える大規模なものが多いのですが、実際に症例を水増ししていました。実際には一度も試したことのない症例で、論文を書いていたこともあります。RCTは、エビデンスレベルで最も信頼度が高い調査法として、世界的に認められています。インパクトファクターを重視して、医療界に貢献することを目的とするジャーナル側からしても、ぜひ掲載したい論文だったのではないかと思います。実際に元准教授の論文で、最も引用回数が多かったのは77回となっています。「Nature」や「Science」といった世界的に有名な雑誌の論文でも、平均20回程度ですから、多くの人が興味を持った論文だったのでしょう。ただ、今年になって海外ジャーナルが統計学的なアプロ―チで、元准教授のデータの信頼性について指摘しましたが、大規模なRCTだからこそ指摘が可能になった側面もあります。

――データの捏造はどのようにしたのでしょうか。

 最初のうちは、周辺の人への聞き取りなどからして、実際に実験をしていたようです。ただその後、論文に出てくる症例数100件のうち、1件から3件ほどしか実施していない例が出てきて、さらに進むと実際の作業を全くしていないケースが出てきました。グラニセトロンという薬の使用例はほとんどないにもかかわらず、婦人科系の手術、胆のう摘出手術、乳がん手術の症例で使ったという論文を立て続けに書いています。これについては、すべて机の上で組み立てたデータと見られます。

――最初に調査をした東邦大学は諭旨免職の理由として「倫理委員会の審査を受けていない」ことで、「ねつ造」が理由ではありません。

 ねつ造と判断するには、多くの決定的な証拠を集めなくてはいけません。しっかりとした調査ができない場合、「地位保全」を訴えた裁判では、訴えが認められるケースが多いのが実情です。施設としてもねつ造の調査には消極的な側面があるのが事実で、しっかりと証拠が示せる理由で論旨免職にしたのだと思います。

――元准教授は疑惑について、どう話しましたか。

 最初の面接で、本人は「すべて自分の担当した症例でやった」と明言しました。ただ、生データは「シュレッダーにかけるなどして捨てた」と説明しました。症例数が合わないことを指摘しても、「分からない」などと話しています。実験のための生データは、カルテと違って、保存義務がありません。逆手に取れば、生データがなければ、「ねつ造の決定的な証拠がない」という状態になります。また、RCTは実施に当たり、割り付け作業が必要になるのですが、本人は「共著者がやった」などと話していますが、共著者に聞くと否定して、言い分が食い違っている状態です。元准教授は常に言い訳を探して、弁明しているように感じました。

――元准教授の論文数は多いのでしょうか。

 どう考えも多いです。1年間に10本近く書いていた計算になりますが、臨床医をやりながら研究をしていたとなると考えられない本数です。通常で考えると、教授や講師は5年の任期の間に評価を受ける場合、求められるのは年間1、2本程度です。その意味で、なぜこんな膨大な数の論文を書いたのか不明です。

――論文は元准教授の出世に影響したのでしょうか。

 大学で元准教授や講師になるに当たって、論文のリストを提出していると思いますし、影響していると考えられます。それでも、本数の多さは不可解です。

一般名処方導入の影響、次回検討を  12.9.20

厚労省、医薬品・医療機器等対策部会を開催

(医療維新 12.9.20)

 厚生労働省は9月20日、医療安全対策検討会議の専門部会「医薬品・医療機器等対策部会」の第23回会合を開き、医療事故や事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット」の事例について意見交換した。2012年度診療報酬改定で後発医薬品の利用促進を目的に導入された「一般名処方加算」の影響を検証すべきとの意見が、一部の委員から上がった。

 一般名処方加算は、医師が一般名による記載を含む処方せんを交付した場合に適用される点数。一般名処方に基づき、患者と薬剤師との間で先発医薬品か後発医薬品を選ぶ。医療費抑制を視野に後発医薬品の利用促進を狙った政策だが、「調剤が煩雑になり、ミスが多くなると懸念する現場の声もある」(慶応義塾大学薬学部教授の望月眞弓氏)との指摘もある。

 一般名処方の開始による現場の混乱、それに伴う類似名医薬品との取り違えなどの可能性なども考えられることから、日経BP社日経ドラッグインフォメーション副編集長の北澤京子氏は、「一般名処方の影響を次回検討したい」と発言。部会長で九州大学大学院医学研究院教授の外須美夫氏も「次回はそこに焦点を」と北澤氏の提案を支持した。部会終了後、厚労省の事務局は、「4月からのデータがあれば準備するが、データがなければ用意できない」とした。
「在宅」にもアンテナを

 そのほか、今回の会合で取り上げたのは、2011年7月1日から12月31日の期間に日本医療機能評価機構に報告された医療事故やヒヤリ・ハットの事例などで、類似名の糖尿病用薬と高血圧薬の取り違え事例やPTP包装シートの誤飲事例などが報告された。これらは従来から繰り返し指摘されている事例だ。中でも人的ミスに基づく報告が7~8割を占めていることから、外部会長は「ほとんどがヒューマンエラー。今や医薬品・医療機器は在宅でも使われている。安全な環境整備をするため、そこ(在宅)にもアンテナを向けていきたい」とした。

 また、生物由来製品以外の内用薬と外用薬についても、原則、2015年7月までに調剤包装単位で新バーコードに対応することなどを求めた厚労省の通知(「『医療用医薬品へのバーコード表示の実施要項』の一部改正について」、6月29日発出)など最新情報の共有がなされた。

「医薬品・医療機器等対策部会」の第23回会合では「一般名処方加算」の影響を検証すべきとの意見が一部の委員から上がった




★ その検査、ほんとに必要? ★ 2012.9.14

(日経メディカル オンラインメール 2012.9.14)

 執筆:石垣 恒一=日経メディカル オンライン副編集長

 米国の主要9学会が今年4月に合同でリストアップした、患者に不利益を与えている可能性がある検査・治療は45項目に上ります。主要な疾患領域について、米国の勧告内容と根拠、それに対する日本の専門医の意見を紹介する本特集。Vol.2ではアレルギー疾患、Vol.3と4では整形外科疾患、Vol.5と6では循環器疾患について取り上げました。

 心疾患の症状が特にない人に、毎年定期的に行う心電図検査。内科の外来ではごく一般的な行為に思えますが、米国家庭医療学会(AAFP)はグレードD、「行わないよう推奨する」との判断を下しています。理由として挙がったのは、「無症候で低リスクの患者から冠動脈の狭窄を見つけることが、患者のアウトカムを改善するとのエビデンスはわずかしかない」という点。これに対する日本の専門医の見方はVol.5をご覧ください。

◆日経メディカル2012年9月号「特集 その検査、ホントに必要?」
《Vol.1》「不要な検査」明示する試みが登場
http://cmad.nikkeibp.co.jp/?4_163660_73213_4
《Vol.2》アレルギー評価のために根拠ない一連のIgE検査は不要
http://cmad.nikkeibp.co.jp/?4_163660_73213_5
《Vol.3》危険信号がない急性腰痛はすぐに画像検査を行わない
http://cmad.nikkeibp.co.jp/?4_163660_73213_6
《Vol.4》低リスクの65歳未満女性にDXAによる骨粗鬆症検診を行うべからず
http://cmad.nikkeibp.co.jp/?4_163660_73213_7
《Vol.5》無症候で低リスクの患者には心電図スクリーニングを行うな
http://cmad.nikkeibp.co.jp/?4_163660_73213_8
《Vol.6》高血圧、心不全、CKDの患者にはNSAIDsの投与を避ける
http://cmad.nikkeibp.co.jp/?4_163660_73213_9




[患者] 病院の満足度、特定機能病院が57.1%と最多  受療行動調査 12.9.13

厚生政策情報センター (2012.9.13)

平成23年 受療行動調査の概況(9/11)《厚生労働省》

  厚生労働省は9月11日に、平成23年受療行動調査の概況を発表した。

  この調査は、全国の医療施設を利用する患者について、受療状況や受けた医療に対する満足度等から患者の医療に対する認識・行動を明らかにし、今後の医療行政に資することを目的にしている。

  調査は23年10月に行われ、調査対象は、全国(岩手、宮城、福島を除く)の一般病院を利用する患者(外来・入院)で、有効回答数は15万620件(外来9万8988件・65.7%、入院5万1632件・34.3%)であった(p2-p3参照)。

  調査結果を見てみると、「病院を選んだ理由(複数回答)」について、外来は「以前に来たことがある」が38.0%、「自宅や職場・学校に近い」が37.6%、入院は「医師による紹介」が49.0%、「以前に来たことがある」が34.9%と多かった。なお、病院の種類を問わず、入院は「医師による紹介」が最も多い(p4参照)。

  「満足度」については、全体で「満足」と回答した者は49.7%、「不満」が4.4%。病院の種類別で「満足」と回答しているのは、特定機能病院が57.1%と最も多く、次いで小病院52.2%、大病院51.1%であった(p20参照)。

  さらに「項目別の満足度」を見てみると、外来で「満足」の割合が最も高いのは「医師以外の病院スタッフの対応」が49.3%、入院では「医師による診療・治療内容」が68.1%であった。一方、「不満」の割合が最も高いのは、外来では「診療までの待ち時間」25.3%、入院では「食事の内容」14.5%となっている(p22-p23参照)。

  また、「退院の許可が出た場合の自宅療養の見通し(入院患者のみ)」は、「自宅療養できる」52.4%、「自宅療養できない」28.5%で、病院の種類別では、「自宅療養できる」は特定機能病院が72.4%と最も多く、「自宅療養できない」は療養病床を有する病院が42.5%と最も多かった(p17参照)。

  このほか資料には、(1)待ち時間・診察時間(p6-p9参照)(2)医師からの説明の有無・理解度等(p14参照)(3)今後の治療・療養の希望(p16参照)(4)統計表(p25-p31参照)―などが示されている。

資料1 P1-P33(2.0M) http://www.m3.com/tools/Document/WIC/pdf/201209_3/1859_1_1.pdf




薬剤服用歴管理指導料の「正しい算定」求め 東京都薬剤師会 12.9.12

(薬局新聞 2012.9.12)

薬剤服用歴管理指導料の「正しい算定」求め 東京都薬剤師会「分業以前の大問題」と危機感強く

 東京都薬剤師会は薬剤服用歴管理指導料(41点)の算定に際し、お薬手帳等の情報提供について「患者に対して適切な要件の実施のもと算定すること」を呼びかけている。

 都薬によると、薬剤服用歴管理指導料の算定方法が変化した4月以降、同会に「薬歴を算定されていたが、何も聞かれていないように思う」、「薬袋の中に手帳貼付用シールが入っていたが、何も説明がなかったと思う」など、患者に対して薬歴やお薬手帳の必要性等が説明されないまま、調剤報酬が算定されていると疑わざるを得ない事例が苦情として寄せられたという。同算定に関して山本信夫会長は「都内の保険薬局のほぼ全てが算定していると思う」との状況にあることを指摘するとともに、「都薬としては相当な問題意識を抱いている。手帳は東日本大震災の際に非常に役に立ったことが評価されて今回のような算定方式になったところであり、それが理解されずに形式的に算定するということは極めて悪質。薬剤師が薬剤師としての存在価値を表現できないことは、分業以前の大問題」と強烈な危機感を表明し、算定要件の遵守を求めた。

 また、行政サイドからも同問題について非公式ながら意見があったことを明らかにし、「薬剤師の存在そのものを左右する事態になりかねない」ことに発展する恐れを視野に入れ、適切に対応するよう会員に指導する方針だ。



抗菌薬の「抗不安作用」に注意【臨床道場】12.7.31

病院規模に合わせた、無理のない感染対策を 

(臨床ニュース 2012.7.31)

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感染症と感染対策、病院疫学トレーニングを積み帰国した、米国感染症専門医の本田仁氏。
医師に対する抗菌薬の「抗不安作用」が、処方判断を狂わせていると指摘。
CDCガイドラインを盲信せず、身の丈に合った感染管理の実行を提案する。
(聞き手・まとめ:山田留奈、m3.com編集部)

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本田 仁(ほんだ・ひとし)氏
手稲渓仁会病院総合内科・感染症科
2000年に北里大学医学部を卒業。在沖縄米海軍病院、東海大学医学部内科学系総合内科などを経て、2004年にハワイ大学内科、2007年よりワシントン大学感染症科にて感染症フェロー、病院疫学フェロー修了。2010年に帰国し現職。米国内科専門医、米国感染症専門医を取得し、2012年より米国ヘルスケア疫学学会(SHEA)のインターナショナルアンバサダーを務める。『ワシントンマニュアル サブスペシャリティーシリーズ』のクリティカルケアにおける感染症や感染対策などの執筆も担当している。
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■CDCガイドラインにこだわりすぎる日本人

 ――本田先生は2年前に米国留学から帰国されました。日本の感染症現場に戻って、お気づきの点はありましたか。

 私は米国留学で主に院内の感染管理を勉強しました。「日本ほどCDC(米国疾病予防管理センター)の感染対策ガイドラインを一生懸命守ろうとしている国はない」と感じることがあります。もちろん、これはエビデンスに基づく指針で、重視することに異論ありません。でも国が違う、医療制度や施設の規模も違う中、すべての医療現場が書いてある通りに実行するのは困難です。

 結核患者が出たら、空気感染を防止するために陰圧に調節された個室に隔離するよう推奨されます。MRSAが検出された患者は完全な個室管理が望ましい。これを完全に実行できる病院が日本にいくつあるか。難しい計画を立てて協力や結果が得られなかったり、燃え尽きてしまったりするのは残念です。

 己の限界を理解し、落とし所を考える必要があります。

 ――落とし所はどの辺りにありますか。

 施設のハード面での充実度、大きさや人的資源などを考慮する必要があります。

 私は感染対策について、9つの施設と地域連携体制を作っています。大きな施設と小さな施設それぞれの状況に応じて施策を考えます。

 私が所属する手稲渓仁会病院は550床を擁する大規模病院です。結核の対策を考える時、隔離に望ましい陰圧個室は非常に少ない。普通の個室に隔離して、接触者にはN95マスクを適切に使用するよう支援します。喀痰検査で3回陰性が出れば隔離を解きます。CDCガイドラインの推奨に及ばない最低限の対策ですが、まずここから徹底したいと考えています。

 もう一つの例として、地域連携する慢性期医療施設への取り組みがあります。「結核かどうか疑うこと」の啓発です。「日本は結核の中蔓延国です」「症状はこうです」「N95マスクがあります」「疑わしければ検体を出してください」。こんなレベルからのスタートですが、検体提出が0回から1回になるのは大きな差があります。

 日本の病院でパーフェクトな感染管理ができるところはごくわずか。大部分の病院や施設では、最初から高望みせず、身の丈に合った施策をコツコツ続けることが大事です。

 ――感染対策の大きなテーマに、抗菌薬の適正使用がありますね。

 皆さん、院内感染対策とか抗菌薬適正使用と聞くと、「処方が制御される」「口を出される」といった良くないイメージを持たれるようです。感染対策チーム(ICT)は警察ではありません。あら探しをしたいわけでもありません。

 最近、「抗菌薬スチュワードシップ」という概念が出てきました。従来からあったように、主治医が感染症医にコンサルト依頼をし、感染症医が対応するといった受け身の姿勢ではなく、もっと積極的に感染症医の方から介入や交渉を行うことです。

 難しいですが、「この抗菌薬処方を行うと、どのくらい不利益があるか」を分かってもらうことが大事です。制度を無理に押し付けても反感を買うだけ。

 まずは自施設の現状を把握することをお勧めします。まずは抗菌薬がどれくらい処方されているかを把握する。在院日数当たりの使用量やコストを調べます。その後に介入を考慮することになります。例えば、蜂窩織炎への抗菌薬投与期間がだいたい10日から14日の病院であれば、7日に減らした群をエビデンスに基づいて設定し、試験します。両者のアウトカムに変化がないなら、抗菌薬使用量を減少させることへの納得感を生み出せます。

 時にはドライに「政策」で押し切ります。病院の会議にかけて、異論を論破して、採用品を削ったこともあります。理論武装をしつつ、相手の言い分も聞き分ける。いかに交渉するかが肝です。自施設での研究結果を論文にして雑誌に掲載するのもいいでしょう。病院側の説得材料として大きな効果を発揮すると思います。

 また、普段から気持ちよくコンサルトに応じるなど、医師同士で信頼関係を築いておくことも大事です。主治医に付き添って毎日患者を診察し、主治医と会話をする。ある程度
ウエットな人間関係で結ばれていることは、信頼関係を築く上で重要です。

■医師は広域抗菌薬で安心

 ――個々の症例に対する抗菌薬の処方について、お考えをお聞かせください。

 抗菌薬選択は主に「抗菌スペクトラム」「投与回数」「コスト」の3要素で決まります。優秀な医師は、抗菌薬を使うべき時は躊躇なく使う。必要のない時は使わない。

 気を付けた方がいいのは、抗菌薬には「抗不安作用」という厄介な一面があることです。患者の不安ではなく、処方する医師の不安に効く作用を言っています。私は、この「抗不安作用」が、抗菌薬選択をする医師を惑わせる大きな要因になっていると考えます。

 例えば、腹部に大きな外傷を負った患者が救急搬送されてきたとします。病院内ではなく、市中で負ったケガです。処置後に抗菌薬を投与する場合、カルバペネムといった広域なスペクトラムを持つ抗菌薬が選ばれることもあるでしょう。「想定外の細菌が原因では?」「敗血症で死んだら困る」――。そんな心理が冷静な判断を阻害します。

 もう一つ、医師の目を曇らせる要因があります。過剰治療でも患者は回復する点です。当初は経験的治療として広域抗菌薬を投与したとしても、培養結果を参考にして、狭域抗菌薬に切り替えていくのが正しい使い方です。けれど、患者の状態が良くなっている中で、「下手に処方を変えたら悪化するかもしれない」という不安が頭をよぎり、抗菌薬を変えたくなくなる。結局、「広域抗菌薬は良く効いた」という印象が積み重なっていくのです。

 細菌は目で見えませんけれども、生物種に対応した生態系を保っています。市中に存在する見込みが低い細菌は、「論理的に見込みの低い細菌」として、処方を考える際に抗菌薬スペクトラムに反映するよう努力することが必要です。

 広域抗菌薬を投与することで得られる「抗不安作用」にとらわれず、プロとして論理的に正しい判断をしてください。

 私たち、感染症医に求められるのは、非専門医の不安を取り除くこと。必要に応じて抗菌薬の変更や中止の決断をサポートしていきたいと思います。




自殺した開業医遺族、鳥取県東部医師会と調停へ 監査で抑うつ状態に、「事実関係を明らかにしたい」12.7.19

(医療維新 m3.com 12.7.19)

 故増田聡子氏の夫で、横浜市の開業医である増田肇氏ら遺族は7月19日、聡子氏が所属していた鳥取県東部医師会に加え、同医師会会長の板倉和資氏を相手とした調停を鳥取簡易裁判所に申し立て、同日、厚生労働省内の記者クラブで会見を開いた。

 聡子氏は鳥取県鳥取市で「プラザクリニック」を開業していたが、個別指導・監査を受け、約50万円の診療報酬の不正請求を理由に、2007年11月1日付けで保険医療機関の指定と保険医登録の取消処分を受けた。聡子氏は、指導・監査を機に抑うつ状態になり、同年12月28日に自殺。監査は計4回実施され、4回目に立ち会っていたのが板倉氏で、当時も鳥取県東部医師会会長だった。聡子氏の取消処分を決定した、鳥取地方社会保険医療協議会にも出席していた。

 聡子氏は、鳥取県東部医師会に2007年11月30日付けで任意退会するために退会届を提出したが、同医師会は受理しなかった。その代わりに同医師会は、会員の処分等を決めるための裁定委員会を、聡子氏欠席のまま12月19日に開催、聡子氏の死亡後の2008年2月18日にも開いている。最終的には、同医師会は「死亡を確認した」とし、2007年11月30日付けの退会を認めている。

調停申立は、増田聡子氏の遺族(夫と3人の息子)の連名。7月19日午後1時30分からの記者会見には、肇氏(左)と三男が同席。右は代理人弁護士の井上清成氏。

 肇氏らの代理人弁護士の井上清成氏は、「調停は、一連の経緯を明らかにして、医師会と医師会員との関係はどうあるべきか、また監査において医師会はどんなポジションを取り、いかなる役割を果たすべきかを考察するのが目的。指導・監査そのもののあり方や、自殺と医師会の行動などとの因果関係を立証し、責任追及することが目的ではない」と説明する。

 具体的には、任意退会と死亡退会の相違、裁定委員会の付託基準および要件、指導・監査の現状と聡子氏の監査時の心身状態などについて、鳥取県東部医師会に対して説明を求める(文末を参照)。「医師会は任意団体。退会をしたいと言ったら、理由を問わず退会を受け付けるべきではないか。実際には聡子氏の退会に当たっては、いろいろなやり取りがあった。なぜ任意退会を素直に認めなかったのか。どのような意図を持って裁定委員会を開いたのか」(井上氏)。

 調停という方法を選んだのは、お互いの話し合いの中で事実関係を明らかにしていくためだという。聡子氏の死亡前後に、別の弁護士が同医師会とやり取りした経緯がある。その際は、「かみ合っていなかった」(井上氏)ため、裁判所という第三者を入れた方が適切な話し合いができると判断した背景もある。調停のつど、その内容を記者会見などで明らかにしていく予定だ。

 現時点では、調停の落とし所は考えておらず、井上氏は、「遺族にとっては見えない点が多く、心の整理ができない部分があると思う。事実関係について説明を受け、十分納得するまで質疑応答を続けていきたい。ただ現時点では調停後、医師会および板倉氏に対して公的な責任を取ることは恐らくないと考えている」と語る。

 一方、鳥取県東部医師会は、7月19日午後の時点では、「まだ調停の内容を見ていない。当医師会としては調停の内容を見て、医師会としての対応を検討したい」とコメントしている。

 返還額は約1193万円、過去5年のレセプト対象

 聡子氏は、1994年に故郷の鳥取市で開業した。平日は鳥取市で診療を行い、週末に横浜市に戻る生活を続けていた。医療法人立で、在宅医療も手掛け、グループホームも経営していた。

 個別指導を受けたのは、2007年7月25日。例えば、保険適用外の経腸栄養剤を保険適用のある別の薬に代えて請求したほか、無診投薬が見られた。特定疾患療養管理料を対象疾患以外で算定したり、またX線撮影の際に看護師にスイッチを押させたりする例などがあった。

 その後、8月20日、9月4日、9月11日(この日は事務職員のみ出席)、9月26日の計4回監査が実施され、うち聡子氏が出席したのは計3回で、延べ7時間37分の聴取を受けている。

 聡子氏は9月4日の監査の後、板倉氏に相談。9月26日の監査時の弁明書に、保険医の辞退、診療所の閉鎖等を促された旨のほか、「私の精神状態もおかしくなり、このまま診療を続けられる状態にありません」と記している。

 10月5日に聡子氏に対し、保険医療機関の指定取消と保険医登録取消の通知がなされ、10月26日に聴聞手続が行われた。10月30日の鳥取地方社会保険医療協議会でこれらの処分が決定。11月1日付けで取消処分が行われた。2006年10月から2007年6月までの間の診療報酬の不正請求額は、約50万円に上る。さらに、2007年11月30日までに、過去5年間にさかのぼり、カルテを精査した上で、レセプトの不正・不当請求カ所を訂正し、返還するよう求められた。その返還額は約1193万円に上った。

増田肇氏は、生前、聡子氏が「鳥取にはもう行きたくない」と語っていたことから、自身も鳥取での調停には出席しない予定だという。

 聡子氏の死亡後にも裁定委員会を開催

 聡子氏は、2007年11月29日に横浜市医師会への異動手続きを済ませ、翌11月30日に鳥取県東部医師会に退会の意向を伝えた。聡子氏は既に個別指導の後から抑うつ状態にあったが、12月3日の時点で正式な診断を受けている。12月10日に改めて、書面にて退会届を提出したところ、受領が拒否された。

 その後、最終的に退会が認められるまで、鳥取県東部医師会との間で、様々なやり取りが続いた。その一部を紹介すると、鳥取県東部医師会から裁定委員会開催の電話連絡があったのは12月16日。聡子氏の代わりに対応した肇氏は、心身状況から出席できない旨を説明。結局、12月19日に聡子氏欠席のまま、第1回裁定委員会が開催された。

 第2回裁定委員会について、電話連絡があったのは12月27日。12月28日に聡子氏は自殺。年が明けて2008年1月11日にプラザクリニックの従業員が、裁定委員会の通知書を受け取り、1月16日には肇氏のクリニックにも通知書が届いている。

 最終的に2月18日の第2回裁定委員会で、「厳重戒告以上とすべきであるが、当事者死亡につき処分は要しない」「退会届については、提出されていた2007年11月30日付けをもって受理致した」と決定。その手紙が、肇氏に届いている。

 監査における「立ち会い」の役割は?

 聡子氏の自殺は、指導・監査が関係しているが、今回の調停は、前述のように指導・監査を行う行政のあり方ではなく、指導・監査における医師会の役割などを考察するのが目的。

 井上氏は、「医師会は公益団体として、問題のある会員については処分するなど自律的な活動が求められる一方、任意団体であるのだから会員に対して便益を提供したり、保護する役割も担う。その両者の視点からどのように活動すべきか、常に難しいかじ取りが求められる」と指摘する。

 井上氏らは、2007年10月30日の鳥取地方社会保険医療協議会の議事録を入手。その中に、聡子氏の4回目の監査の状況について、板倉氏が次のように語ったとの記録がある。「私は一番最後に立ち会ったものですから、精神的に相当参っておられた。これは確かでございます。ですから、お話なさるにしてもですね、なかなか正常な聞き取りが出来ない状況にあったということでございます」「私が一番恐ろしかったのは、月に2回くらい横浜に帰るときにですね、飛行機がこのまま落ちてしまったらいいのにとか、そういう言葉がでてきたりいろいろしましてですね、正常な感覚を今は持ってなかった」。

 こうした点を踏まえ、井上氏は、「監査は拒否することはできず、行政による強権力の行使を意味する。ただし、監査においても、医師の人権を守らなければならず、立ち会い人は、監査を行う側に威嚇的な行為などがあれば、是正を求める必要がある。今回の場合は、聡子氏の体調が悪いことが明瞭だったように思うが、監査は継続された。この点について疑念を覚えており、事実関係は明らかにしていかなければならない」との考えを示す。肇氏も、「監査における立ち会いとは何なのかが、判然としない。同じ医師会の会長が立ち会うのが通例なのかも分からない。臨床医の立場を代表して第三者的な立場で立ち会うのだろうが、監査を受ける医師との間で諍いなどがあったら、足を引っ張ることもあり得るのではないか」と疑問を投げかける。

 さらに、肇氏によると、聡子氏の指導・監査では、指導医療官の時に脅迫に近い言動もあったようだ。指導・監査に関連したと思われる自殺は後を絶たない(『46歳開業医が自殺、個別指導が原因か』参照)。医師会だけでなく、行政側の対応も改めて問う必要があるだろう。

【増田肇氏らの調停申立の趣旨】
1.申立人らは、相手方社団法人鳥取県東部医師会に対し、退会理由が任意退会か死亡退会かによりいかなる違いが生じるか、それぞれの退会の効力発生時期につき説明を求める。
2.申立人らは、相手方社団法人鳥取県東部医師会に対し、故増田聰子医師の医師会の退会時期及び退会理由につき説明を求める。
3.申立人らは、相手方板倉和資に対し、医師に対する監査の現状につき説明を求める。
4.申立人らは、相手方板倉和資に対し、同人が立ち会っていた平成19年9月26日の監査時の故増田聰子医師の心身状態及び監査状況につき説明を求める。
5.申立人らは、相手方社団法人鳥取県東部医師会に対し、裁定委員会に付託するか否かを決する基準、要件につき説明を求める。
6.申立人らは、相手方社団法人鳥取県東部医師会に対し、故増田聰子医師の保険医取消処分につき裁定委員会に付託した理由及び裁定手続の経過につき説明を求める。
7.申立人らは、相手方社団法人鳥取県東部医師会に対し、故増田聰子医師の保険医取消処分につき、申立人増田肇に裁定委員会へ出席すべき旨の呼出しをした理由につき説明を求める。
8.申立人らは、相手方社団法人鳥取県東部医師会に対し、申立人らが故増田聰子医師に代わって、過去5年間の診療報酬の不正請求分として金1193万円を返還した場合に、故増田聰子医師が納付した過去5年間の医師会会費のうち所得割年額につきどう処理するかにつき説明を求める。
9.申立人らは、相手方社団法人鳥取県東部医師会に対し、相手方社団法人鳥取県東部医師会の会員であった増田聰子医師の死亡に対する弔慰をどう考えているかにつき説明を求める。




東電病院売却へ、社員・家族・OBだけが利用 12.7.19

(読売新聞 2012.7.19)

 東京電力は、社員とその家族、OBが利用できる「東京電力病院」(東京都新宿区)を売却する方針を固めた。

 政府が料金値上げの原価から病院関連費用7億3000万円を外したことから、運営継続が難しいと判断したとみられる。

 6月27日に開かれた東電の株主総会で、筆頭株主として出席した東京都の猪瀬直樹副知事が、「売却すべきだ」と迫り、東電の勝俣恒久会長(当時)が「早急な検討課題だ」と答えていた。

 原発事故後、医師らを被災地に派遣していたことから、売却対象から外されていた。病院運営も引き受けられる医療法人などを対象に、売却先探しを進める。

 東電の経営状況を調べた政府の第三者委員会によると、同病院の簿価は28億円で、時価では86億円という。




大王前会長「ギャンブル依存症の診断」と告白 12.7.19

(読売新聞 2012.7.19)

 大王製紙前会長による巨額借り入れ事件公判で、会社法違反(特別背任)に問われた前会長・井川意高(もとたか)被告(47)の被告人質問が18日、東京地裁であった。

 井川被告は逮捕前に医者から「ギャンブル依存症」と診断されたことを明かし、「ギャンブルの深みにはまり、金銭感覚が狂ってしまった」と述べた。

 井川被告は2010年5月-11年9月、連結子会社7社から計約106億円を無担保で借り入れ、海外のカジノに費やしたとされる。

 同年3月に元顧問の父親から叱責されたのに借金を続けたことについて、井川被告は「前年に10億円勝ったこともあり、ギャンブルで返そうと思った」と説明。借り入れの際、使途を言わなかったことは、「トップとしてギャンブルにはまっているとは恥ずかしくて言えなかった」と釈明した。




費用対効果の資料提出は全体の3%--中医協 12.7.5

(薬事ニュース 2012.7.5)

 製薬企業が提出する新薬の薬価基準収載希望書のうち、約3%において費用対効果に関する資料が添付されていることが分かった。6月27日に開かれた中央社会保険医療協議会・費用対効果評価専門部会で、厚生労働省・保険局医療課の吉田易範薬剤管理官が明らかにした。

 厚労省の説明によれば、1992年から収載希望書に費用対効果の資料を添付する方式に変更。記録が残っているところでは、06年度から11年度末までに薬価収載を了承した267成分中、約3%に相当する8成分にこうした資料が添付されていた。ただ、現行の薬価算定ルール上、費用対効果の評価結果を薬価に反映する仕組みは存在せず、資料提出は企業の判断に委ねられている。吉田管理官は会合で「各企業が希望薬価に合わせて、費用対効果の分析結果などを算出している」と説明した。




「効用知らなかった」…ハルシオン服用し追突 12.7.4

(読売新聞 2012.7.4)

 島根県警益田署は2日、住所不定、運転手(48)を危険運転致傷容疑で逮捕した。

 発表によると、同容疑者は5月24日午後7時45分頃、益田市津田町の国道9号で、睡眠導入剤「ハルシオン」を飲んでトラックを運転。別のトラックに追突し、福岡県宮若市の男性(59)に軽傷を負わせた疑い。

 同署によると、容疑者は事故直後、意識がもうろうとした状態だったという。

 「事故前に薬を飲んだが、効用は知らなかった」と容疑を一部否認しているという。




歯科医が強制わいせつ容疑 千葉、10代少女が被害 12.7.2

(共同通信社 2012.7.2)

 10代の少女の体を触るなどしたとして、千葉県警旭署は29日、強制わいせつの疑いで、歯科医師木村亮平(きむら・りょうへい)容疑者(27)=同県旭市=を逮捕した。

 逮捕容疑は昨年6月6日午後8時すぎ、県内の路上で、自転車に乗った少女に自転車で近づいて転倒させた上で「静かにしろ。ナイフを持っている」と脅し、人けがない場所に連れ込んでわいせつな行為をした疑い。

 旭署によると「詳しい日時などは覚えていないが、やったことは間違いない」と容疑を認めている。




患者・薬局薬剤師アンケート-患者「低い薬剤師業務の認識度」、薬剤師「"在宅"などに高い関心」 12.7.2

(薬事日報 2012.7.2)

 日本薬剤師会は「薬剤師の将来ビジョン・暫定版」をまとめるに当たって、来局した患者に薬局に対する認識、薬局薬剤師に薬局の将来像などについてアンケートした。患者は“かかりつけ”的な薬局を3割強が持つものの、決めていないのが半数以上おり、また、薬剤師業務の認識度は低かった。薬剤師では、今後の情勢を考慮した場合、調剤以外の収入割合を高めたいと半数以上が考えており、また、在宅医療などへも高い関心を持っていることが分かった。


「相談」は9割近くが満足‐教育や教室への関与を希望
〈患者〉

 利用頻度は「1カ月に1回程度」が40%と最も多く、「月に数回」が30%と続き、「3~6カ月に1回程度」が14%、「不定期」が10%となり、定期的に来局する患者が多かった。

 薬局に持つイメージ(重複回答)としては、91%の来局者が「薬を調剤してもらうところ」と当然の回答をしている。そのほか、「薬について相談できるところ」が60%と多く、「健康や病気のことについて相談できるところ」39%、「OTC薬などを購入するところ」36%などは比較的多いが、「薬や病気以外のことでも気軽に相談できるところ」と考えているのは16%に過ぎなかった。

 薬局の利用状況としては、“かかりつけ薬局”など「いつも同じ薬局を利用している」のは35%で、「一つに決めていない」が20%となっている。「調剤とOTC薬購入は違う薬局を利用している」が42%と多かった。

 「同じ薬局を利用」している理由(重複回答)は、70%近くが「信頼できる薬剤師がいる」、66%が「気軽に相談・質問できる」としている。そのほか、「家や職場から近い」が56%と比較的多いものの、「薬の情報や履歴をわたしてくれる」が半数割れの43%だった。

 「違う薬局」「一つに決めていない」の理由では、「調剤は医療機関の近くの薬局を利用する」が63%、「OTC薬は価格の安いところを利用する」51%、「いつも処方箋を持参する薬局はOTC薬を販売していない」22%、「薬局は処方箋がないと入りにくいから」が12%だった。

 薬局に行った際、「よく相談する」「必要に応じて相談する」が全年代で多く、40歳代以降になると80%を超えている。「ほとんど相談しない」は20歳未満が29%、20歳代31%、30歳代23%、40歳代17%、50歳代17%、60歳以上15%となっている。相談した場合の回答に対しては「いつも満足している」45%、「ある程度満足している」43%と、9割近い患者が満足感を抱いている状況だ。

 薬剤師業務については、「処方された薬の情報などを記録、保管・管理している」「適切に使用するための情報提供」が70%超、「調剤する際に処方箋の内容に問題ないか確認」「薬の重複や飲み合わせに問題ないか」が60%超と、この4業務に対する認識度は高かった。

 半数を切った業務としては、▽安価な薬に変更が可能な場合、変更の可否を相談▽薬を飲みやすい形に変更・加工する▽調剤した薬に問題がないかどうか二重に確認▽副作用が起きていないかどうかを確認▽副作用と思われる症状が見られた場合、処方医に連絡――などだった。

 薬剤師に行ってほしい社会貢献としては、30%以上の人たちが「地域や学校での薬物乱用防止活動」「各種イベント等での『お薬相談会』の開催」「公民館や老人クラブなどでの『お薬健康教室』の開催」を挙げた。20%を超えていた活動としては、▽地域の情報ステーションとしての活動▽地震などの災害予防・救護活動▽禁煙支援活動▽地域住民の健康増進支援活動▽子どもたちの駆け込み寺として薬局を提供――などだった。

調剤外収入増を半数が考慮‐OTC薬販売では問題点も
〈薬剤師〉

 薬剤師の将来像を考える上でのキーワードとしては、「高齢社会の進展」「国の財政逼迫」が70%を超えていたほか、「薬剤師過剰の懸念」40%、「6年制薬剤師の登場」30%などとなっている。

 薬学的知識以外に薬剤師に求められる知識・素養としては、「臨床医学的知識」が最も多く66%、次いで「健康管理や疾病予防に関する知識」の56%、「信頼感・安心感」48%となっている。「OTC薬に関する知識」23%、「健康食品・サプリメント等に関する知識」17%、「地域の医療施設・介護施設等に関する知識」15%と低かった。

 今後伸ばしていきたい知識としては、40%以上の人たちが「処方提案」「カウンセリング力」「情報収集・処理能力」を挙げた。30%を超えていたのは「コミュニケーション力」「薬物治療モニタリング力」「リスクマネジメント力」などだった。

 薬局の収入状況を見ると、調剤収入が「90~99%」としたのは72%と多数を占め、「50~79%」が11%、「80~89%」が7%、「100%」としたのは3%あった。調剤以外の収入は「1~5%」としたのは55%と半数を超え、「10~49%」が32%となっている。今後に関しては、「調剤以外の収入の割合を高めていきたい」が51%と半数を超え、「現在の比率を維持していきたい」が42%、「調剤収入の割合を高めていきたい」は7%と少ない。

 「調剤収入割合を高めたい」理由としては、「まだ処方箋枚数の増加が期待できる」46%、「調剤を主体とすることでドラッグストアとの差別化を図りたい」43%、「OTC薬や生活用品の販売はメリットがない」30%と多く、▽これまでも調剤中心で行ってきた▽経営規模を拡大したい▽調剤こそ薬剤師の最も重要な職能だから――は20%台となっていた。

 「調剤以外の収入割合を高めたい」としたのは、「調剤とOTC薬等の販売は車の両輪だから」が62%、「今後、調剤報酬の大幅な伸びが期待できない」が58%と高い。そのほか、▽調剤収入だけでは経営的なリスクが大きい▽セルフメディケーションの考え方が徐々に浸透している▽処方箋枚数の増加が期待できない▽他の薬局との差別化につながる――を20~40%が挙げている。

 薬局でOTC薬を販売していく上で問題となるものとしては、「不動在庫・期限切れの増加」が64%と最も多く、「近隣の競合店との価格競争」49%、「時間・労力と利益率との兼ね合い」が42%となっている。▽医薬品卸からの仕入れ・配送▽店舗面積▽OTC薬に関する知識不足▽薬剤師等の不足――なども挙がっている。

在宅医療、医師要請の“待ち姿勢”

 薬剤師が在宅医療や介護にかかわることについては、「必然の方向」が55%、「ニーズがあれば対応すべき」が32%と多かったが、「介護については薬剤師の範疇でない」10%、「いずれも関わるべき役割でない」2%と考えている薬剤師もいた。

 実際に在宅医療(訪問薬剤管理指導、居宅療養管理指導)に携わっているのは40%だった。薬剤師の役割としては、「患者・介護者に応じた薬学的管理」74%、主治医や他職種への情報提供と連携」69%を挙げている。そのほか、▽ADLに応じた剤形・用法等への関与▽患者・介護者の肉体的・心労的な負担軽減▽主治医への提案▽副作用モニタリング――などが挙がっている。

 携わっていない理由として一番多かったのは「届け出は行っているが医師からの要請がない」70%だった。「無菌調剤に対応できない」52%、「薬剤師不足で対応できない」43%が多かった。そのほか、▽事務手続きが煩雑すぎる▽制度や仕組みがよく分からない――などがあった。

 副作用を未然に防止するためにバイタルサイン(体温・呼吸・脈拍・血圧など)を確認することについては、「とても重要」32%、「重要」29%、「行っても良い」31%としている。「あまり必要ない」「必要ない」を合わせると7%と少ない。

 「とても重要」「重要」「行っても良い」の理由としては、「副作用などの患者状態の把握に重要」58%、「薬剤師の役割の拡大につながる」19%、患者との信頼関係につながる」15%、主治医との連携強化につながる」6%などとなっている。




業者から月10万円授受か 流用疑惑の京大元教授 12.7.2

(共同通信社 2012.7.2)

 京都大大学院薬学研究科の元教授が公的研究費を私的に流用したとされる問題で、元教授が東京都内の医療機器販売会社から、約10年間にわたって毎月10万円前後の現金を受け取っていた疑いがあることが2日、捜査関係者への取材で分かった。

 東京地検特捜部は現金授受の経緯や趣旨について慎重に調べている。

 関係者によると、この販売会社は東京都世田谷区が本社で、元教授が国立成育医療研究センター研究所(東京)から京大に移ったのとほぼ同じ時期に京都営業所を開設。

 京大にもゲノム(全遺伝情報)解析装置などを納入していたが、昨年10月に約15億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請した。

 その際、センターが約3億8千万円の債権を持っていたことが発覚。特捜部は、販売会社側が経営悪化で元教授の「預け金」を返せなくなった可能性が高いとみている。

 元教授はプールした現金を必要に応じて引き出し、一部を私的に流用した疑いがあるとして、5月下旬に業務上横領容疑で特捜部が京大を家宅捜索している。



認知症、ミカンの皮で改善? マウスで確認 松山大 12.6.30

(毎日新聞社 2012.6.30)

 ミカンなど柑橘(かんきつ)類の皮に含まれる物質が脳機能を活性化させることを、松山大薬学部(松山市)の古川美子教授(60)=神経化学=と奥山聡助教(37)=行動薬理学=の研究チームが突き止めた。安全性が確認されれば臨床研究に移る。将来はエキスを取り出して錠剤にする方向で、認知症の改善に効果が期待できるという。

 動物実験の結果を今年2月、スイスの学術論文誌「インターナショナルジャーナル・オブ・モレキュラーサイエンス」で発表した。

 古川教授らは脂溶性の物質が脳に到達しやすい性質がある点に着目。油分を多く含む柑橘類の皮に脳機能改善を促す可能性があるとみて08年4月から地元特産のミカンを研究してきた。神経細胞を培養して活性化に効果のある物質がないか調べたところ、皮に含まれる有機化合物の「ヘプタメトキシフラボン」にその働きがあることが分かった。

 更にプラットホーム(避難場所)を取り付けた小さなプールで、避難場所への行き方を覚えさせたマウスを放して到達する時間を計測した結果、正常なマウスは11・6秒、薬で健忘症状態にしたマウスは33・6秒かかった。ところが、ヘプタメトキシフラボンを投与した健忘症マウスは11・3秒で到達した。

 また、約20種類の柑橘類を調べたところ、愛媛県が生産量日本一で「和製グレープフルーツ」と呼ばれる「河内晩柑(ばんかん)」に、ヘプタメトキシフラボンが0・024%と、他の倍以上含まれていることも分かった。

 古川教授は「愛媛が誇るミカン類に健康と暮らしに役立つ特長があると分かったことがうれしい」と話す。認知症を研究する三木哲郎・愛媛大医学部教授(62)=老年医学=は「認知症の薬は効用面でも安全面でも開発が難しいが、ミカンの皮なら安全性も問題ないのではないか」と評価している。




心の病、全国民対象に検診 韓国、ストレス社会が背景 12.6.26

(共同通信社 2012.6.26)

 【ソウル共同】韓国保健福祉省は25日までに、来年度から全国民を対象に、うつ病などの精神疾患の検診を実施することを盛り込んだ精神衛生に関する総合対策を発表した。全国民を対象とした検診は極めて異例。

 韓国は進学や就職での激しい競争などに伴うストレスが社会問題となっている。同省の2011年の調査では、韓国の18歳以上の14・4%が生涯に1回以上、精神疾患になるといい、早期発見に役立てようと対策をまとめた。

 検診は郵送された問診票に記入して返信する方法で実施。就学前の子供は2回、小学生は2回、中高生はそれぞれ1回、20代は3回、30代以降は10年ごとに2回ずつ受診する。

 一方、病歴が残ることを懸念して治療を受けないケースが多いことから、精神疾患の範囲を縮小。

 専門家が「日常的な社会活動が難しい」と判断した場合のみ精神疾患と見なし、軽症者は疾患名を明記せずに健康保険の給付申請などができるようにする。




死者28万人と推計 2009年の新型インフル 12.6.26

(共同通信社 2012.6.26)

 【ワシントン共同】2009年に世界的大流行を引き起こした当時の新型インフルエンザによる死者数は世界で約28万人との推計結果を米疾病対策センター(CDC)などの国際チームが25日、英医学誌ランセットに発表した。

 世界保健機関(WHO)が公表した死者数1万8500人の約15倍。WHOの数値は検査で確認された例にとどまるが、発展途上国では検査を受けないまま肺炎などで亡くなった患者も多く、こうした死者の推計値を加えた結果、大幅に増えることになったという。

 推計では、09年4月から2010年8月までに28万4400人が死亡。通常の季節性インフルエンザと異なり、若い人の死亡が多いのが特徴で、死者の80%は65歳未満だった。地域別では東南アジアとアフリカで計59%となった。

 論文をまとめたCDCのダウッド博士は「流行が大きな人的被害をもたらしたことを示している。研究結果を今後の流行対策に役立ててほしい」とコメントしている。

 厚生労働省によると、日本国内の死者数は10年9月末までに203人。




アミノ酸でメタボ発見も 「医療新世紀」 12.6.26

(共同通信社 2012.6.26)

 血液に含まれるさまざまなアミノ酸の濃度バランスが、内臓脂肪の蓄積量に応じて特徴的な変化を示すことを、味の素や三井記念病院(東京)などの研究チームが突き止めた。メタボリック症候群の早期発見に役立つ可能性がある。肥満研究の国際学術誌に発表した。

 人間ドック利用者1449人について、血中アミノ酸濃度とコンピューター断層撮影(CT)で算出した内臓脂肪量とを比較。数種類のアミノ酸が脂肪量と強く相関し、濃度バランスを解析すれば、体格指数(BMI)が高くない「隠れ肥満」も高精度に判別できることが分かったという。

 アミノ酸の濃度バランスから病気を探る方法は「アミノインデックス技術」と呼ばれ、既にがんで臨床応用されている。

※学術誌は国際肥満研究学会の公式ジャーナル「clinical obesity」




インド自殺18万人、女性多い 12.6.26

(12.6.26:Lancet)

文献:Patel V et al.Suicide mortality in India: a nationally representative survey. Lancet 2012;379:2343-2351.

 インドの2001-03年の聞き取り調査のデータ(6671地域、110万世帯)を対象に、2010年の自殺者数を全国代表調査で推計。成人(15歳以上)の死亡の約3%が自殺であり、2010年の自殺者数は約18万7000人と推計された。成人の自殺の多くは15-29歳で、56%が女性だった。自殺の約半数は農薬による中毒死だった。

原文:http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(12)60606-0/abstract



旧ユーゴ「臓器売ります」 債務危機、生活苦が拡大 12.6.26

(共同通信社 2012.6.26)

 腎臓でも肺でも何だって売る-。旧ユーゴスラビアのセルビアなどで、市民が生活苦から腎臓などの臓器を売りに出すケースが相次いでいる。現地の経済は欧州債務危機の影響も受けて急速に悪化。困窮を抜け出そうと、普通の父親や母親が苦渋の決断を迫られている。

 「腎臓売ります。O型の健康体」「50代男性。生活費が必要」。セルビアや隣国マケドニアのインターネット掲示板では、昨年あたりから腎臓売却の広告が目立ち始めた。アジアで表面化している臓器売却の動きが欧州に拡大した形だ。

 腎臓一つの値段は2万~3万ユーロ(約200万~300万円)が主流。セルビアで臓器売買は違法で禁錮刑にも問われるが、売り手は年齢や血液型などの情報を載せて国内外からの連絡を待つ。

 「腎臓のほかに売る物がない。生活のために何だってやる」。セルビア中部コビンに住む男性、ミハル・ネメットさん(53)が訴える。腎臓に付けた値段は2万5千ユーロ。自動車整備士だったが、3年前に職を失った。目立った産業のない地元の失業率は40%以上とされ、全国平均の1・7倍。息子2人も失業中だ。

 時折、工場で臨時の仕事をこなすが、光熱費を払うと手元に残るのは毎月100ユーロ(約1万円)。食事も1日1回だけだ。2月に広告を出し、買い手からの接触はまだないが「売れるのなら外国でも喜んで摘出手術を受けに行く」。

 経済の悪化は地方の貧しい人々を直撃する。政府統計局によると、5月の食品価格は2006年と比べ1・7倍に。南部の小都市ドリェバツでは、住民が集団で臓器を売りに出そうとし、警察に阻まれる騒ぎも起きた。

 ドリェバツの主婦、ビオレタ・サビッチさん(43)は「子供のために腎臓でも肺でも血液でも、何でも売る」と話す。5年前に失業し、両親のわずかな年金が頼り。10代と20代の息子に1日1回、イモや豆の食事を用意するのがやっとだ。「近所の誰もが失業し、みんな飢えている」と語り、涙を浮かべた。

 セルビアの首都ベオグラードにある拠点病院のヤコブレビッチ副院長(60)は、国内で違法な臓器移植が行われているとのうわさを聞いたとした上で「経済を改善しない限り、臓器を売る動きは続く」と指摘した。(ドリェバツ共同)




62製品から違法成分 販売確認11都道府県に 厚労省調査 12.6.25

(共同通信社 2012.6.25)

 厚生労働省は22日、都道府県を通じて実施した「脱法ドラッグ」の買い上げ調査で、2011年度は11都道府県で販売されていた62製品から薬事法で製造や販売、輸入が禁止されている「指定薬物」が検出されたと発表した。

 10年度に指定薬物が検出されたのは5都府県の20製品で、11年度は自治体数で2倍以上、製品数は3倍以上に増加。各地に広がっている実情が浮かび上がった。厚労省はホームページに今回の62製品を掲載し、使用しないよう呼びかけている。 調査は昨年10~11月に実施。都道府県の担当者が、アダルトショップなどの店頭で「ハーブ」や「お香」などと称して販売されていた脱法ドラッグとみられる計76製品を実際に買い、成分を検査した。

 指定薬物が検出された62製品は都道府県別で北海道2、宮城2、東京3、長野2、愛知5、京都13、大阪9、兵庫8、広島3、福岡10、沖縄5だった。

 脱法ドラッグは、指定薬物として規制されるたびに構造の一部を変えた新種が横行。厚労省は、指定薬物と成分構造が似た薬物を一括で規制できる「包括指定」制度や、海外で規制されていれば国内での流通が確認できなくても指定薬物とする制度の導入に向けて検討を進めている。

 今回の買い上げ調査とは別に、厚労省が実施した調査で今年3月末現在、店頭やインターネットなどで脱法ドラッグを販売している業者は29都道府県で389業者に上ることが分かっている。

※脱法ドラッグ

 取締法がある麻薬や覚せい剤には当たらないが、幻覚や興奮、陶酔など類似した作用がある薬物。乱用の恐れがあり、健康被害を引き起こす危険性がある。薬事法の「指定薬物」にされると規制対象となるが、法規制が及ばず公然と販売されているものも多い。化学物質を乾燥したハーブの葉に混ぜた「脱法ハーブ」の使用が若者を中心に広がっている。




死亡前、鬼籍の親・仏ら「お迎え」…4割が体験 12.6.20

(読売新聞 2012.6.20)

 自宅でみとられた患者の約4割が、亡くなる前、すでにいない親の姿を見たと語るなど、いわゆる「お迎え」体験を持ち、それが穏やかなみとりにつながっているとの調査研究を、宮城県などで在宅医療を行っている医師らのグループがまとめた。

 在宅診療を行う医師や大学研究者らが2011年、宮城県5か所と福島県1か所の診療所による訪問診療などで家族をみとった遺族1191人にアンケートした。

 「患者が、他人には見えない人の存在や風景について語った。あるいは、見えている、聞こえている、感じているようだった」かを尋ねた。回答者541人のうち、226人(42%)が「経験した」と答えた。

 患者が見聞きしたと語った内容は、親など「すでに死去していた人物」(51%)が最も多かった。その場にいないはずの人や仏、光などの答えもあった。

 「お迎え」を体験した後、患者は死に対する不安が和らぐように見える場合が多く、本人にとって「良かった」との肯定的評価が47%と、否定的評価19%を上回った。

 調査は、文部科学省の研究助成金を得て実施。「お迎え」体験は経験的にはよく語られるが、学術的な報告はきわめて珍しい。

 研究メンバーである在宅医療の専門医、岡部健・東北大医学部臨床教授は「『お迎え』体験を語り合える家族は、穏やかなみとりができる。たとえ幻覚や妄想であっても、本人と家族が死を受け入れる一つの現象として評価するべきだ」と話している。



ヒラメと馬肉も、生食注意 寄生虫性食中毒が増加傾向、クドア、フェイヤー住肉胞子虫を解説 12.6.21

(国立感染症研究所 2012年6月21日 : m3.com 臨床ダイジェスト)

 寄生虫性食中毒が増加傾向だ。国立感染症研究所によると、2011年6月から12月までに60件の報告があり、カンピロバクター、ノロウイルスに次ぐ数字となっている。60件の内訳は、クドア食中毒(33件)、アニサキス食中毒(25件)、フェイヤー住肉胞子虫食中毒(2件)。研究所は6月20日、寄生虫性食中毒に関する情報をホームページに掲載した。

 5年ほど前から、食後数時間で嘔吐、下痢を起こし、軽症で終わる事例の増加が見られていた。国は、ヒラメ喫食はナナホシクドア(Kudoa septempunctata)が、馬刺しにはフェイヤー住肉胞子虫(Sarcocystis fayeri)が関与しているとし、これらの寄生虫によると考えられる事例は食中毒として報告するよう、2011年6月に通知を出した。

 通知後から12月までに起きた33件のクドア食中毒事例では、患者数は473人にものぼった。9月から10月に多発している。クドアは凍結または加熱で死滅するが、活魚としての商品価値を考慮して、水産庁がクドア保有稚魚の排除、ヒラメ飼育環境の清浄化、出荷前モニタリングといった対策を行っている。ヒラメ以外にも、メジマグロ、カツオなどの生食により同様の症状が起こる事例が数件報告されている。

 一方、馬刺し喫食によるフェイヤー住肉胞子虫食中毒は減少している。2009年6月以降、通知前までには37件報告され、国内の馬産地域で多く起きていた。通知後は2011年9月に2件(11人)のみで10月以後は報告がない。研究所は、生産県での冷凍処理対応が進んでいるためと見ている。

 馬刺し食中毒は未冷凍肉で起きる。生食用馬肉は-20度で48時間以上の冷凍処理を行う必要がある。家庭用冷凍庫では冷凍処理ができないため、食中毒防止には生産、販売段階での冷凍処理が重要だ。また、輸入馬肉が増加している中で、カナダからの輸入馬肉で高い汚染が見られたという報告もある。




医療費助成 福岡・直方市、小学3年まで対象に拡大へ 来年4月実施方針 12.6.20

(毎日新聞社 2012.6.20)

 直方市は19日、就学前の子供を対象にしている医療費助成制度の年齢制限を引き上げ、13年4月から小学3年までとする方針を明らかにした。市議会一般質問で高宮誠議員の質問に答えた。

 直方市によると、12月議会に医療費支給に関する条例改正案を提案する方向で検討している。制度の拡充で増える対象者は約1500人で、新たに約3750万円の財源が必要になるという。11年度の事業費は約1億5000万円だった。

 筑豊地区では、飯塚市が既に小学3年まで助成しているほか、田川市は入院費用の助成対象を中学3年まで拡大する議案が6月議会に提案された。〔筑豊版〕




看護師が空き巣、カルテで一人暮らし患者物色し 12.6.12

(読売新聞 2012.6.12)

 勤務先の病院から患者の家の鍵を盗んで空き巣をしたとして、兵庫県警神戸北署は11日、神戸市北区八多町、看護師平田典子被告(34)を窃盗容疑などで再逮捕した。

 調べに対し、平田被告は「以前に勤務していた三田市や神戸市の病院でも、同様の手口で空き巣を数件やった」と供述しており、同署は余罪を追及する。

 発表では、平田被告は5月10日、宝塚市内の病院に入院中の女性患者(79)の病室から鍵を持ち出し、12日午前10時頃、女性の自宅から10万円と指輪など6点(250万円相当)を盗んだ疑い。カルテなどから一人暮らしの患者を割り出し、犯行を重ねていたとみられるという。

 平田被告は仮病で無断欠勤した際、病院に偽の診断書を提出したとして、有印私文書偽造、同行使罪で起訴されていた。



「脳症の進行速かった」 えびす食中毒で研究会 12.6.7

(共同通信社 2012.6.7)

 焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の腸管出血性大腸菌O111による集団食中毒で、富山県と県医師会による研究会が6日、富山市であり、治療に当たった医師が「脳症の進行が特に速いのが特徴だ」と報告、大規模食中毒発生時の迅速な対応を呼び掛けた。

 県内の医師や看護師のほか、石川、福井両県の担当者ら約180人が参加した。

 えびすの食中毒では神奈川、富山、石川、福井の4県で181人が発症し、うち5人が死亡するなど重症化が特徴。

 小児患者の治療に当たった富山大学医学部の種市尋宙(たねいち・ひろみち)医師は「溶血性尿毒症症候群(HUS)と脳症がほぼ同時に発症するケースもあった」とし「HUSを確認してからでは脳症の対応に間に合わない」と語った。

 重症化の原因を調べている富山県衛生研究所の綿引正則(わたひき・まさのり)主幹研究員は、患者のうち102人から菌が検出されなかったことを取り上げ「菌が溶けたためで、これが重症化につながった可能性もある」と話した。

 ほかに、複数の医療機関の間のメーリングリストによる情報交換が治療に役立った事例なども報告された。




死因3位に肺炎 51年以来、高齢化理由か 12.6.6

(共同通信社 2012.6.6)

 厚生労働省が5日に発表した2011年の人口動態統計で日本人の死因は、多い順にがん、心疾患、肺炎となった。肺炎が死因の3位となるのは1951年以来。長年、三大疾患の一つとされてきた脳血管疾患は4位となった。厚労省の担当者は「高齢化が進み、肺炎で亡くなるお年寄りが増えたのではないか」と推測している。

 11年に肺炎で死亡したのは12万4652人(前年比5764人増)。一方、前年3位だった脳血管疾患は12万3784人(前年比323人増)だった。

 厚労省によると、肺炎は戦前、日本人の死因のトップだった時期もある。しかし衛生環境が改善。49~51年に3位となった後、一時は5位以下となり、75~2010年は4位だった。




「あと10分!」疲労感軽減 理研、脳の働き明らかに 12.6.7

(共同通信社 2012.6.7)

 授業中に残り時間を示すと生徒の疲労感が軽減され、やる気が少し湧いてくる-。疲労と意欲の関係を研究する理化学研究所分子イメージング科学研究センター(神戸市)の水野敬(みずの・けい)特別研究員(33)らのグループが二つの感情に影響する脳の働きを明らかにした。

 限られた時間で何らかの作業をする場合、残り時間を示すことは有効だと指摘する水野さんは「学校の授業や病院のリハビリで、集中力が続かない生徒や患者に応用してほしい」と話す。

 水野さんは19~37歳の男女17人に、パソコンの画面に次々と数字を表示して記憶力を試す課題を授業時間と同じ45分間与えた。同時に残り時間を計25回画面に示し「機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)」を使って、意欲を感じる脳の側坐核(そくざかく)の血流を調べた。

 実験の結果、残り時間の提示で側坐核の血流が活発になり、側坐核の活動が高いほど疲れを感じさせる眼窩(がんか)前頭野の活動が低くなることが分かった。水野さんらのグループは今後、側坐核と眼窩前頭野の間で働く脳内物質を解明する。




口腔がんを早期発見 歯科医院でチェックを 超高齢化で患者増加  「医療新世紀」 12.6.5

(共同通信社 2012.6.5)

 舌や歯肉、頬の内側などにできる「口腔(こうくう)がん」の患者が増えている。特に目立つのは高齢者の増加で、超高齢化社会の進展が背景にある。だが、口腔がんは痛みなどの自覚症状が乏しく、発見が遅れるケースも少なくない。進行がんでは生存率が大きく低下し、治療後も食事や会話など生活の基本となる機能が著しく損なわれる。どうすれば早期かつ効率的にがんを発見できるのか。一つの方策は、国民の多くがかかる歯科医院の日常診療を利用し、口腔内を徹底チェックすることだ。

 ▽システム

 2009年11月、千葉県市川市内の歯科医院。義歯を作るために来院した80代女性が「ほっぺたの内側をよくかむんです」と話した。歯科医が口の中をよく観察すると、左頬の内側が少しただれていた。ブラシのような器具で粘膜の表面をこすり、採取した細胞を検査のために東京歯科大市川総合病院に送った。結果は、悪性が疑われた。

 報告を受けた歯科医は女性を同病院の口腔がんセンターに紹介。女性は病変の一部をメスで切り取って調べる組織診で「頬粘膜の扁平(へんぺい)上皮がん」と診断された。進行の程度は、比較的早期のステージIIだった。

 実は、市川市では07年以来、地元歯科医師会と同病院が連携した「市川市口腔がん早期発見システム」が稼働している。現在は歯科医師会から100人を超える開業歯科医が参加。日常診療で何らかの病変を見つけた場合は細胞診を実施し、悪性が疑われれば2次医療機関に紹介している。月に1回、同病院とともに口腔粘膜の診察方法などについて研修会も開く。

 ▽死亡者急増

 がんと診断された80代女性は、口腔がんセンターで手術を受けた。2年半後のいま、経過は順調で、食事など日常生活に支障はないという。「システムがうまく機能した実例です」と同センターの佐藤一道(さとう・かずみち)講師は話す。

 佐藤さんによると、国内の口腔がん患者は05年に6900人、15年には7800人になると予測されている。すべてのがんの1~2%に当たる。部位別では舌が最も多く、歯肉が続く。

 特徴的なのは、患者数のピークがより高齢側に移ってきたことだ。「かつては喫煙や飲酒が口腔がんの要因として問題にされました。しかし最近は、酒やたばこの経験がない高齢の女性患者も多い。加齢の影響を考えなければなりません」と佐藤さんは指摘する。

 死亡者数について口腔がん単独のデータはないが、厚生労働省の人口動態統計によると、咽頭がんと合わせた数字はこの10年余りで急増した。米国などで口腔がんの死亡が減少傾向にあるのとは対照的だ。

 ▽進化形

 「早期のステージIとIIなら5年生存率は90%前後。しかし、進行がんのステージIIIとIVでは50%前後まで下がります。早期発見の意味は大きいが、実際には早期に見つかるのは半分程度です」と佐藤さん。

 早期発見を目指し、各地で口腔がん検診も行われている。東京歯科大も1992年から千葉県内で集団検診を実施してきた。口腔がんの認知度向上に大きな役割を果たす一方で、問題点も浮かび上がったという。

 1年に1度の検診では進行の早いがんを発見できない恐れがあること。受診率が低いこと。さらに受診者は健康への関心が高い人たちで、高いリスクを抱える人の受診が少ないことだ。こんな問題を解消する進化形が早期発見システムだった。

 佐藤さんは「国民がかかりつけの歯科医院を持って定期的に受診し、歯科医が高い意識で口の粘膜を診れば、確実に早期発見ができ、死亡率も下がります。このシステムを広めたい」と話している。




ダークチョコ、心血管疾患予防? 12.6.5

(2012.6.5:BMJ )

文献:Zomer E et al.The effectiveness and cost effectiveness of dark chocolate consumption as prevention therapy in people at high risk of cardiovascular disease: best case scenario analysis using a Markov model.BMJ 2012;344:e3657.

 メタボリック症候群で高血圧の2013人を対象に、チョコレートの心血管疾患予防効果をベスト・ケース・シナリオ分析で評価。ダークチョコレートを毎日100g摂取の場合(100g中のポリフェノール含有量で計算)、10年間で1万人当たり85件の心血管イベントを減少し、1人当たり年間費用40豪ドルで費用対効果ありと推定された。

原文(BMJ):http://www.bmj.com/content/344/bmj.e3657



幹細胞研究の論文捏造か ソウル大教授、悪夢再来? 12.6.4

(共同通信社 2012.6.4)

 【ソウル共同】韓国のソウル大教授が学術誌に投稿した幹細胞研究の論文14本に捏造(ねつぞう)の疑いが浮上し、波紋を呼んでいる。教授は「単純ミス」と釈明しているが、事態を重く見た同大は5月30日に調査委員会を設置、真相の究明に乗り出した。

 韓国では2005年、ノーベル賞も期待されていた別のソウル大教授が発表した胚性幹細胞(ES細胞)関連論文で捏造が発覚、社会に衝撃を与えた。同じ大学で同分野の論文が問題となっていることから、韓国メディアは「悪夢の再来か」などと報じている。

 論文の著者は獣医学部の姜秀庚(カン・スギョン)教授(46)。新研究を次々に発表し、韓国の幹細胞研究のホープとして注目されていた。

 疑惑のきっかけは、5月8日、姜教授の論文を掲載した10の学術誌に一斉に送られた匿名情報。06年から今年にかけて発表された14本の論文で、同じ写真を画像データの明るさを変えたり左右を逆にしたりして、不正に流用しているなどと指摘した。

 教授が4本の論文を投稿した米学術誌は24時間以内の釈明を要求したが、教授は「(釈明のための)時間が十分でない」とした上で、論文を取り下げた。

 韓国幹細胞学会は29日「論文には科学的な誤りが認められる」と明言。故意と確認されれば教授を除名処分にする方針を明らかにした。

 一方、研究者の間では「匿名情報は悪意に満ちている」として、正式な調査結果が出るまで騒ぐべきではないとの声も。

 ある学会関係者は「幹細胞研究は注目分野で競争が激しいだけに、論文掲載の実績を焦ったのではないか」と話した。




夜食取ると代謝異常に 肝臓の「時計」に乱れ 12.6.4

(共同通信社 2012.6.4)

 夜食など不規則な時間に食事を取るとインスリンの作用で、代謝で中心的な役割をする肝臓の「時計遺伝子」のリズムが乱れ、正常に機能しないことを名古屋大の研究グループがラットの実験で突き止め、1日付の英科学誌電子版に発表した。

 小田裕昭(おだ・ひろあき)准教授(分子栄養学)は「今回の研究で『食事のタイミングのずれ』が代謝異常を引き起こすメカニズムが分かった。これは人でも同じと考えられ、規則的な朝食の重要性が再確認できた」と話している。メタボリック症候群や生活習慣病の予防につながることが期待される。

 体内ホルモンのインスリンは食事後に膵臓(すいぞう)から分泌され、血液中のブドウ糖を細胞内に取り込む働きがある。一方、肝臓は腸などで消化された成分を代謝しており、インスリンの作用を受けている。

 研究者の間ではインスリンが肝臓の1日のリズムを調節するかどうか議論が続いており、名古屋大のグループは今回、ラットによる実験を実施。ラットは夜行性のため、食事に適した夜間の「活動期」、日中の「休息期」のそれぞれの時間帯にインスリンを与え、肝臓への影響を調べた。

 観察の指標としたのはすべての細胞に存在し、約24時間のリズムをつくりだす時計遺伝子。ラットから取り出した時計遺伝子にホタルの発光を担う酵素をつないで戻し、肝細胞の光がどう発現するかリアルタイムで追った。

 その結果、活動期にインスリンを与えると時計遺伝子は正常な動きを示したが、休息期では異常な状態になり、時計のリズムが狂ったことが分かった。

※英科学誌はサイエンティフィック・リポーツ




(神奈川)医学部新設「うさんくさい」 医師会長が知事批判 12.6.1

(読売新聞 2012.6.1)

 県医師会の大久保吉修会長は31日、横浜市内で記者会見し、黒岩知事が実現を目指している「県内の大学への医学部新設」などの医療政策を「うさんくさい話」などと批判し、新設案などに関する「パブリックコメント」に投稿するように県医師会として組織的に会員へ要請したことを認めた。

 知事は、将来の医療のあり方を盛り込んだ県の「医療のグランドデザイン」で、国の特区制度を活用して医学部を新設し、「開かれた医療」などを実現するとしている。また、「准看護師教育では医学の高度化に応えられない」として、准看を養成する専門学校への補助金を2014年度から廃止する考えを示している。

 大久保会長は特区で自由診療も可能にする医学部新設案について、「国民皆保険制度を守るという意味で非常にうさんくさい話だ」と批判。「知事が『開かれた医療』と言うのは今は閉ざされた医療なのか」と強い不快感を表明した。

 准看養成廃止方針については、「知事選の際、知事は『准看制度を守る』と言った。最近になって准看の教育制度には反対で、学校をなくすと言うのは詐欺だ」と指摘した。

 グランドデザインのパブリックコメントで、医師会が組織的に会員へ投稿要請を行ったことについては「県に意見を出来るだけ出してもらいたいと言った」と述べ、県医師会の指示を認めた。ただ、川崎市医師会が反対意見の記載例などを示したことについては「我々の意図をしんしゃくしてやったのかも知れない。反対してほしいということで、手法の細かいところまで要求していない」と関与を否定した。

 川崎市医師会の高橋章会長は30日、投稿要請方法について、読売新聞の取材に「投稿の仕方が分からない会員のためにファクスの宛先や例文などを付けた」と話した。




世界禁煙デー 青森県庁と県警本部、初の庁舎内全面禁煙 来年完全移行、実施前に予行演習 12.6.1

(毎日新聞社 2012.6.1)

 「世界禁煙デー」の31日、県庁と県警本部が初めて庁舎内の全面禁煙を実施した。来年1月から完全移行する予行演習を兼ねた。県民の喫煙率は北海道に次ぎ全国で2番目に高く、平均寿命は全国一短い。県職員の禁煙が“汚名返上”のきっかけとなるか。

 県庁8カ所、県警本部2カ所の喫煙所はこの日、すべて閉鎖。庁内にはたばこの健康被害を訴える放送が流され、県庁の屋外についたてで囲われた臨時喫煙所が設けられた。昼休みになると、職員が次々と一服に訪れた。

 禁煙を所管する県健康福祉部の馬場忠彦次長(58)は、毎日たばこ約10本を吸うスモーカー。この日は勤務中の喫煙は1本に抑えた。「やめようと思っても、なかなかやめられないが、時代の流れには逆らえない」と苦笑ぎみだ。

 県によると、県民の喫煙率(10年、厚生労働省調べ)は男性38・6%、女性12・7%。平均24・7%でほぼ4人に1人が喫煙者だ。県は、禁煙を実施した施設にステッカーを配るなど対策に取り組んでいるが、男性は04年から3回の調査で連続全国ワースト。女性はワースト5(04年)からワースト2(10年)と逆に上昇し、対策の効果が表れていない。



薬害監視組織の法案提出を 被害者、議員立法に反発も 12.5.22

(共同通信社 2012.5.22)

 薬害肝炎訴訟の和解基本合意を受け、厚生労働省の有識者検討会が提言した医薬品行政を監視する第三者組織を設置するための法案提出が実現していないとして、同訴訟の全国原告・弁護団などは21日、東京・永田町の参院議員会館で早期提出を求める集会を開いた。

 歴代厚労相は今国会での法案提出を表明してきたが、今年に入って小宮山洋子厚労相が一転「政府として今国会への提出は難しい」「超党派の議員立法でやっていただくのがいい」と発言。民主党関係者によると、議員立法として今国会に提出する方向で検討が進んでいる。

 集会で原告団代表の山口美智子(やまぐち・みちこ)さん(56)は「繰り返される薬害の根絶のために第三者組織はなくてはならない」と指摘。集会後の記者会見で弁護団代表の鈴木利広(すずき・としひろ)弁護士は「議員立法ではなく、役所(厚労省)の責任感が表れる政府法案として出すことに意義がある。大臣の約束違反は許されない」と訴えた。

 原告・弁護団は2008年1月、国と基本合意。有識者検討会は10年4月、「中立公正な立場で、独立して医薬品行政を監視、評価できる組織を設置すべきだ」との最終提言をまとめた。

 当時の長妻昭厚労相は「2012年の通常国会に改正法案を提出できるようにしたい」と表明。細川律夫前厚労相、小宮山厚労相も同様の見解を示していた。




美空ひばりさん患った難病の発症抑える物質特定 12.5.17

読売新聞 2012.5.17)

 歌手の美空ひばりさんが患った難病「特発性肺線維症」の発症を抑える物質を、武田吉人・大阪大助教らの研究チームがマウスの実験で突き止めた。

 治療薬の開発につながる成果で、米医学誌に17日、発表する。

 特発性肺線維症は、肺でガス交換する肺胞の壁が炎症を起こして硬くなる病気。間質性肺炎の一種で、呼吸困難で、5年前後で死に至る。喫煙やウイルス感染、加齢などの原因が考えられているが、はっきりしない。有効な治療法はなく、国内の患者数は推定1万人以上。美空ひばりさんはこの病気が原因で、1989年に52歳で亡くなった。

 武田さんらは、肺の上皮細胞の表面にあり、細胞の形や機能を調節している「テトラスパニンCD151」というたんぱく質に着目。遺伝子操作で、このたんぱく質が作れないマウスを作ったところ、肺胞の上皮にコラーゲンが蓄積して硬くなり、特発性肺線維症と非常によく似た症状になった。実際に患者の肺を調べると10人中6人でこのたんぱく質の量が半分以下に減っていた。




最も良いイメージの製薬企業は? 12.5.16

(薬局新聞 2012.5.16)

最も良いイメージの製薬企業はツムラ キューライフ・患者の製薬会社イメージ横断調査実施

 医療情報サイトなどを運営するQLife(キューライフ)は、患者の製薬会社イメージ横断調査2012を実施した。調査は、高血圧や糖尿病など全13疾患によって現在病院を受診中の患者を対象に行ったもので、有効回答数は1548人。調査対象となった製薬会社は、国内売上上位20社に漢方薬メーカーとジェネリック薬(GE)メーカーを加えた全26社となっている。

 調査では、「最も良いイメージがある会社」に関して1154人が回答。その結果、ツムラが27.6%でトップとなった。第2位は武田薬品工業の25.6%で以下、大塚製薬10.5%、塩野義製薬6.4%、エーザイ5.4%、第一三共4.8%などと続いた。GE薬メーカーでは沢井製薬が3.1%と若干リードしているが、他メーカーは1%以下となった。

 一方、現在処方されている薬のメーカー名に関しては54.5%が「知らない」と回答。「概ね知っている」とした回答は11.9%に留まるなど処方薬への関心の低さも示唆された。ほかの回答としては、「半分程度知っている」9.5%、「ごく一部だけ知っている」21.7%などとなっている。

 「この3年間に医師に対して具体的な薬剤名をあげて処方を希望したか」という問いに関しては、「はい」が25.8%、「いいえ」が74.2%となり、約4人に1人が処方をリクエストしていることが示された。




新薬開発費用で3社が減益 製薬決算、円高も響く 12.5.16

(共同通信社 2012.5.16)

 製薬大手5社の2012年3月期連結決算が15日、出そろった。武田薬品工業、第一三共、エーザイの3社が、特許切れを控える主力製品に代わる新薬の開発費用がかさんだことなどで、減益となった。円高で海外の売上高が目減りしたのも響いた。

 武田は国内の新製品が好調で売上高が前期比6・3%増の1兆5089億円。ただ研究開発費として2819億円を計上したことや、スイスの製薬大手を買収した費用が重荷となり、純利益は49・9%減の1241億円だった。

 武田の長谷川閑史(はせがわ・やすちか)社長は「新薬開発により、高いレベルの成長を実現したい」と話した。

 第一三共はインド子会社の不祥事に関連した特別損失を計上し、純利益が85・2%減の103億円。エーザイは主力の認知症治療剤「アリセプト」の特許切れで後発薬にシェアを奪われ、純利益が13・2%減の585億円だった。

 大塚ホールディングスとアステラス製薬は主力製品が順調に伸び、増収増益を確保した。13年3月期はエーザイを除く4社が増収増益を見込む。




最大で11兆円超の医療用医薬品市場規模を予測 12.5.16

(薬局新聞 2012.5.16)
最大で2019年11兆円超の市場規模予測 矢野経・医療用医薬品の将来予測まとめる  

 矢野経済研究所は、製薬企業や医薬品卸、医療機関等を対象に国内製薬市場調査を実施し、その結果を「2012年版製薬市場の10年展望」としてまとめた。調査では、医療制度改革が医薬品需要に多大な影響を及ぼすことを想定した「ケース1」と、医薬品需要と企業努力の底堅さと緩やかに推移する医療制度改革を加味した「ケース2」の2つのパターンを想定して市場の将来予測を行った。結果、ケース1の場合、2012年に8兆7909億円、2019年に9兆3711億円、ケース2の場合、2012年に9兆73億円、2019年に11兆2888億円に成長するものと予測している。
 

 調査では2011年の市場けん引役となったカテゴリーとして、DPP-4阻害剤と抗がん剤を指摘。特に、DPP-4阻害剤については、インスリン分泌機能が低い国内患者にとって有効性が高かったことや、有力企業参入によって2年で1000億円規模の市場となったことをあげ、今後も激戦市場となると予測した。その一方で「短期間で製品に大きな差がないコモディティ化も進むのでは」との見方も示した。
 

 市場の将来予測に影響する要因としては、試行期間が2年間延長された新薬創出加算制度をあげ、「その結果で状況は大きく変わる」と指摘。さらに、市場予測規模の2倍を超え年間売上高150億円を上回った医薬品に適用される市場拡大再算定ルールについても予測困難な要因としてあげ、今回の予測において同ルールは変動要因として加えていないものとしている。




中医協・後発医薬品の使用実態調査実施へ 12.5.9

(薬局新聞 12.5.9)

一般名記載の処方せん受付状況など調査 中医協・後発医薬品の使用実態調査実施へ

 中央社会保険医療協議会(中医協)は後発医薬品の使用状況調査を実施する。今回の診療報酬改定において、処方せんに一般名で記載することにより点数設定されたことの実施状況を調べることなどを中心に、使用状況の変化などについて調査する方針だ。

 この日示された調査項目案は「保険薬局で受付た処方せんの一般名処方で記載された処方せんの受付状況」、「後発医薬品への変更不可欄への処方医の署名状況」、「保険薬局における後発医薬品への変更調剤の状況」、「医薬品の備蓄及び廃棄の状況」、「後発医薬品についての患者への説明状況」、「後発医薬品に変更することによる薬剤料の変化」、「保険医療機関における後発医薬品の使用状況(後発医薬品使用体制加算の算定状況を含む)」、「後発医薬品の使用に関する医師、薬剤師及び患者の意識」の8項目。

 調査対象は保険薬局・保険医療機関および患者で、具体的な客体数は示されていないものの、前回調査と同様に保険薬局・保険医療機関1500、診療所2000、患者1施設最大4人程度が想定されている。




一番困るのは警察からの照会、患者の個人情報 12.5.9

(2012.5.9 m3)

 厚生労働省が医療分野の個人情報保護法の策定を検討しているのを受け、m3.com意識調査で関連の調査を実施しました。

 患者情報の取り扱いで困るのは、第三者からの照会。医師会員の場合、最も困っているのは、「警察からの照会」で32%、以下、「知り合い・友人からの照会」(26%)、「民間保険会社からの紹介」(26%)、「家族からの照会」(24%)という結果です(Q5、複数回答、詳細な結果はこちら)。

 厚労省の個人情報保護のガイドラインでは、民間保険会社や学校・職場などの第三者への提供を禁止した上で、幾つか例外を規定しています(ガイドラインは、厚労省のホームページに掲載、PDF:535KBの21ページ以降)。

 ガイドラインでは、(1)災害発生時などにおける警察からの問い合わせ、(2)意識不明の患者の病状や重度の認知症の高齢者の状況を家族等に説明する、などの場合は、本人の同意を得ずに回答することが可能だとしています。ただし、病医院を訪れた人が「家族等」「知り合い・友人」に該当するか否か、その確認は難しいのも現状です。

 さて2005年の個人情報保護法施行時は、「患者さんの名前を呼び出すことも、ダメなのか」など、様々な混乱も生じました。実際には、病院では82.6%、診療所ではより多く93.3%が「名前で呼ぶ」と回答(Q1、医師会員の回答)。

 患者家族等に説明する場合、医師会員では、「患者本人に必ず同意を得る」が28%、「場合による(得ない場合、続柄を示す書類の提示を求める)」が22%(Q2)。一方、「場合による(得ない場合、続柄を示す書類の提示を求めず)」も33%で、やや意見が分かれる結果に。

 患者家族への説明や、地域の医療機関との連携における個人情報保護関連のトラブルは、「経験なし」が半数近くで、「ほとんど経験しない」「あまり経験しない」を合わせると、9割を超えました(Q3、Q4)。

 今週も、個人情報保護関連で、下記の調査を実施しています。

◆院内の症例検討会、患者の同意は? ⇒ 回答はこちらから。
http://www.m3.com/research/polls/vote/10403/




感染症領域、薬剤師が工夫-様々な切り口で医師に提案 12.5.7

(薬事日報 2012.5.7)

 感染症領域に関わる薬剤師は、最適な抗菌薬の薬物療法が実施されるように様々な切り口で医師にアプローチしていることが、4月26、27日に長崎市で開かれた日本化学療法学会学術集会のシンポジウム「薬剤師から医師への抗菌薬アドバイスのポイント」で示された。処方提案が医師に受け入れられなくても、あきらめずに工夫しながら取り組み続けることの重要性が強調された。


 五十嵐俊氏(横浜市立市民病院薬剤部)は「副作用やリスクに関する情報を示して処方変更を医師に提案してもほとんど聞き入れられないが、『保険で切られますよ』と言うとあっさり抗菌薬が変わったりするなど、正攻法のアプローチでは上手くいかないところが悩ましい」と心情を吐露した。

 「理想論、あるべき論では拒否される。よく話を聞き、現場に足を運んで、医師の立場や患者の希望を理解することが必要」とし、「症例への介入時にはアウトカムを予測し、最悪のケースを想定して準備しておく必要がある。経過が良くても悪くても最後まで行動を共にし、自分が言ったことに責任を持つ姿勢が求められる」と話した。

 このほか、有効なアプローチ法として、メロペネムの処方適正化を促した取り組みを提示した。同院の薬剤師は、医師が処方したメロペネムの用法・用量を全オーダで確認し、1日2回以下の用法であれば「1日3回投与にしませんか」と呼びかけた。その結果、1日3回の用法をオーダする医師が増えていった。「薬剤師による継続的な抗菌薬アドバイスは医師の処方行動を変えることができる」とした。

 望月敬浩氏(静岡県立静岡がんセンター)は、薬剤師が行動を起こすには、最適でない抗菌薬の使い方に気づく必要があるとした。

 具体的には、▽注射薬調剤中に、発熱性好中球減少症と見られる患者に適さない抗菌薬が処方されたことに気づき、抗緑膿菌作用を持つ抗菌薬への変更を提案した▽医師のカルテ記載から、バンコマイシンの投与中止意図を把握し、中止せずに投与を継続するよう働きかけた――という2例を提示した。

 「気づきがなければ何も始まらない。気づくための仕組みづくりが重要になる」と強調。同院では、TDM対象抗菌薬をルーチン業務でチェックし、担当薬剤師がフォローする仕組みを導入していることを紹介した。

 また、「薬剤師の提案がどんなに優れていても、患者の状態や主治医の判断次第では必ずしもその提案が受け入れられるとは限らない。提案が受け入れられないことは失敗ではない。薬剤師としてできることをこつこつ積み重ねていくしかない」と話した。

 片山歳也氏(四日市社会保険病院薬剤部)は「広域スペクトルの抗菌薬など特定の抗菌薬を服用する患者を対象に毎週1回スクリーニングを実施し、悪化症例を把握して症例検討会議で報告している」と説明。同院には感染症専門医がいないため、抗菌薬の選択や投与設計について薬剤師が医師から意見を求められる機会が多い。この期待に応えるには「薬剤師も、薬だけでなく感染症治療を総合的に判断し処方できることが求められる」と語った。

 浦上宗治氏(佐賀県立病院好生館薬剤科)は「起炎菌に対し適正なスペクトルを持つ抗菌薬を選択し、適正な投与量を投与しても上手く治療できない場合がある」と指摘した。

 これは患者の背景や病態によって薬物動態が変化するためで、例えば若年の外傷患者や血液腫瘍患者が心拍出量や腎血流量を増加させる治療を受けると、腎臓からの薬剤排泄が高まる。こうした症例では、腎クリアランス増強の影響を受けにくい脂溶性薬剤を選択するなどの対策が考えられるとした。



卵子提供、タイ渡航が急増…安価・緩い規制で 12.5.2

(読売新聞 2012.5.2)

 海外に渡り他人の卵子提供を受ける日本人が増えているなか、タイへの渡航が2011年は200人を超え、年間20人程度だった09年までに比べ急増していることが読売新聞の取材でわかった。

 米国より安価で近いうえ、韓国で規制が厳しくなったことが背景とみられる。一方、日本人がタイに渡航して卵子を提供するケースも11年に少なくとも62人いたことが判明。タイを舞台に日本人同士を仲介する「卵子提供ビジネス」の構図が浮かび上がった。

 読売新聞が、タイ・バンコクで卵子提供を手がける主要な医療機関や仲介業者を現地で取材した。その結果、07-09年に卵子提供を受けた日本人は毎年約20人だったのが、10年は133人、11年は231人と、10年を境に急増していた。

 1回の費用は100万-300万円程度で、250万-600万円程度する米国に比べ安い。医療レベルは「手がける医師の多くは米国の大学で学んでおり、遜色ない」(ソンブーン・タイ王立産科婦人科学会長)。同学会の調査で、タイ国内で10年に行われた体外受精は外国人も含め5164人。「うち10%程度が卵子提供だろう」と同会長は話す。

 安価で近いという意味では従来、韓国が主な渡航先だったが、卵子の実費売買についての規制が強まり、複数の仲介業者がタイに移ったという。

 卵子の提供者は、タイ人の女性のほか、仲介業者がインターネットなどで日本人を募集。取材に応じた主要な3業者だけでも10年に15人、11年には62人の日本人女性がタイに渡り、卵子提供者になっていた。

 仲介業者によると、トラブルを防ぐため、卵子提供を受ける女性に、卵子提供者に直接会わせたり名前を知らせたりすることはない、としている。

 タイには卵子提供を規制する法律はなく、医師会の指針で、謝礼金の伴った卵子提供を禁じている。ただし罰則規定はなく、日本人提供者には60万-70万円が相場とされる。タイ政府は11年から、謝礼を罰則で禁じる法案の審議を始めた。




24時間介護実施、12%のみ 6県で利用できず 12年度開始の新サービス 12.5.2

(共同通信社 2012.5.2)

 在宅ケアの充実を図るため、4月から始まった介護保険の「24時間地域巡回型サービス」を利用できる地域は189自治体と全国の12%にとどまり、青森など6県では2012年度中にサービスを受けられない見込みであることが1日、厚生労働省の調査で分かった。

 6県のうち宮崎、沖縄の両県は14年度になってもサービスが始まらない見通し。普及を急がないと、加入者から批判の声も上がりそうだ。

 同サービスは、介護職員が高齢者の自宅を深夜、早朝を問わず定期的に訪問しケアに当たる仕組み。地域によってサービスにばらつきが生じるのは、対応する職員を確保できなかったり、人口が少なく需要が見込めなかったりして、介護事業者がサービスに乗り出すのに二の足を踏むためだ。

 ただ24時間サービスは12年度介護報酬改定の「目玉」として新たに報酬を設けており、その分は介護保険料に跳ね返っている。地域によって利用できない状態の解消が急がれる。専門的な介護が必要と認定された高齢者は全国に401万人いるが、厚労省は12年度の24時間サービス利用者を1日当たり6千人にとどまると推計している。

 調査は都道府県を通じ、1566の市町村、広域連合、一部事務組合の回答を集計した(14自治体は未回答)。サービス開始2年目の13年度でも、利用できる地域は283自治体(全国の18%)どまり。14年度になっても329自治体(同21%)にすぎない。

 12年度にサービス利用が可能な自治体は、都道府県別で最も多いのが大阪の21自治体、次いで東京の20自治体と、大都市部に偏っている。

※24時間地域巡回型サービス

 ホームヘルパーが1日に複数回、高齢者の住まいを日中、夜間を通じて巡回訪問し、食事や服薬、排せつ、床擦れ防止などの介助をするサービス。夜間の転倒のような緊急時にもヘルパーが駆け付ける仕組みを整えた。高齢者が住み慣れた自宅で暮らしやすくするほか、介護する家族の負担軽減につなげる狙い。在宅介護拡充の切り札として厚生労働省が普及を目指すが、介護現場は慢性的な人手不足が続いており、必要な職員を確保できるかなどの課題が指摘されている。




体内時計が昼夜の尿量調節 おねしょや夜間頻尿治療も 12.5.2

(共同通信社 2012.5.2)

 ほぼ24時間でリズムを刻む体内時計が、ぼうこうにためられる尿の量を睡眠中は多く、起きている間は少なく調節していることを京都大などのチームがマウスで解明し、1日付の英オンライン科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表した。

 ヒトは排尿しやすい昼間はぼうこうが縮んで尿をあまりためないが、夜間は縮まず尿を多くため、睡眠を確保できるようにしているという。

 夜尿症(おねしょ)や夜間の頻尿はこのリズムが崩れるとされ、チームの兼松明弘(かねまつ・あきひろ)兵庫医科大准教授(泌尿器科学)は「これらの病気の治療につながるかもしれない」としている。

 チームは、ぼうこうを収縮しやすくさせるタンパク質を作る遺伝子「Cx43」と、体内時計との関係に着目。ぼうこうのCx43の量を調べると、就寝時間中は減ったが、活動時間中は増えた。

 Cx43の働きを抑えたマウスは通常のマウスよりも1回の排尿量が平均約2倍に増加。Cx43が就寝中に減ると、ぼうこうが縮みにくくなり尿が多くたまるとみられる。

 体内時計の遺伝子が働かないようにするとCx43の量の変動がなくなり、時計遺伝子がCx43の量、さらに尿量を調節していることが分かった。




人の細胞でウイルス増殖 鳥インフルの変異で 12.5.2

(共同通信社 2012.5.2日)

 【ワシントン共同】毒性の強いH5N1型の鳥インフルエンザウイルスが、人の細胞内で増えるのに必要な遺伝子変異を、ドイツ・フライブルク大のチームが培養した細胞の実験で突き止め1日、英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に発表した。

 チームによると、同誌編集部は論文掲載に先立ち、生物テロに悪用される危険性はないか、第三者による評価を実施したという。

 チームは「研究は患者から採取したウイルスの性質を調べたもの。感染力や毒性の強い新たなウイルスをつくったわけではない」と安全性を強調。人に感染しにくい同ウイルスで、どのような変異が起きれば感染力が増すか調べるのに役立つとしている。

 チームは、タイで感染し死亡した患者から採取したウイルスを利用。詳しく調べたところ、ウイルスの増殖にかかわる「核外輸送タンパク質」をつくる遺伝子に、変異が起きていた。この変異を取り除いたウイルスは、培養した人の細胞で増えなかったが、変異を加えたウイルスは活発に増殖した。

 H5N1型ウイルスの研究をめぐっては、日欧の研究者の論文に対して「テロに悪用される恐れがある」と米政府が干渉。世界的に研究の進め方や論文発表のあり方が議論になっている。




日焼け止め表示に新区分 効果の向上受け業界団体 12.5.2

(共同通信社 2012.5.2日)

 肌のしみやしわの原因になる紫外線A波(UVA)に対する日焼け止めの効果を示す「PA」の表示について、化粧品メーカーなどでつくる日本化粧品工業連合会が現行の最高レベル「+++」(スリープラス)を超える「++++」(フォープラス)を新設する見通しになった。来年1月の出荷分から適用する。

 現行基準ができたのは1995年だが、近年は日焼け止めの高性能化が進み、同じ「PA+++」の表示でもブランドにより効果にばらつきが出てきたことや、効果測定の技術が進歩したことなどを受けた措置という。

 地表に届く紫外線の95%を占めるUVAは、浴びた直後に肌を黒くする作用があるほか、表皮の下にある真皮に届いて肌の弾力を保つコラーゲンを壊すなどし、肌の老化を起こすとされる。

 PAは、日焼け止めを塗った肌が黒くなるのに必要な紫外線の量が、塗らない肌の何倍かで決まり、2倍以上4倍未満が+、4倍以上8倍未満が++、8倍以上が+++とされてきた。新設の++++は16倍以上になる見込みだが、既に30倍以上の製品もある。

 PAと並んで使われる日焼け止めの効果表示には「SPF」がある。日焼けの主な原因となる紫外線B波で肌が赤くなる量について同様の比較から算出し、2~50倍は数値で、それ以上は「50+」と表している。



婦人科がん3種も対象に 血中アミノ酸でリスク判定 「医療新世紀」 12.5.1

(共同通信社 2012.5.1)

 わずか5ミリリットルの採血だけで簡便にがんの可能性を調べられる「アミノインデックスがんリスクスクリーニング(AICS)」という検査方法がある。昨年4月、胃がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん、乳がんを対象に解析サービスが始まり、導入する医療機関が増えつつあるが、5月から対象が子宮頸(けい)がん、子宮体がん、卵巣がんにも拡大されることになった。

 婦人科の検査に伴う身体的、精神的負担を解消し、検診受診率の向上や早期発見につなげることが期待される。

 体を構成するタンパク質は約20種類のアミノ酸から作られている。健康な人ではこれらの血中濃度比率がほぼ一定に保たれているが、臓器に異常が起きると比率が微妙に変わる。変化のパターンは臓器や病気によって特徴があるため、バランスを解析することで特定のがんにかかっているリスクを判定できる。味の素が開発した国産技術だ。

 宮城悦子(みやぎ・えつこ)・横浜市立大准教授(産婦人科)らの研究で、AICSはこれら三つの婦人科がんのいずれかにかかっているリスクも予測可能なことが判明。しかも、ほかのがんの場合と同様、早期がんに対する感度が高く、がんの組織型に関係なく検出できる特長がある。

 人間ドック受診者にAICSを実施し、婦人科がんの確率が高い人に絞って詳しい婦人科検診を行うことが想定される。

 宮城さんは「従来の子宮体がんや卵巣がんの検査は早期がんの検出精度が低く、検診自体がほとんど行われていないという問題があった。AICSの意味は大きい」と指摘。一方で子宮頸がんについては「前がん病変の異形成や、初期の上皮内がんの発見に細胞診は欠かせない」として、AICS導入後も、低迷する検診受診率の向上が最重要課題だと強調した。




千葉の医療法人、16億円所得隠し…国税が指摘 12.4.5

(読売新聞 2012.4.5)

 総合病院などを経営する医療法人社団「圭春会」(千葉県野田市)が、東京国税局から2010年3月期までの6年間に、約16億円の所得隠しを指摘されていたことがわかった。

 医療品の仕入れ値を意図的に水増しするなどしていたと認定された。重加算税を含む追徴税額は約6億円とみられる。

 同会は「小張総合病院」(同)や「小張総合クリニック」(同)など3病院を経営。関係者によると、同会は、病院で使うタオルなどの医療用消耗品について、取引先からの仕入れ値を水増ししたり、架空の仕入れを経費に計上したりするなどして、法人所得を少なくしていた。隠した所得の一部は、同会と関係のある法人へ支出されていたという。同会の代理人を務める弁護士は、取材に対し「故意ではないが、既に国税局の指導に従って修正申告し、納税も済ませた」と説明。その上で「個別、具体的な事項は圭春会の業務に関する内部情報であり、回答できない」としている。




原因物質解明、九大チーム 「神経障害性疼痛」 12.4.6

(共同通信社 2012.4.6)

 九州大の津田誠(つだ・まこと)准教授(神経薬理学)らの研究チームは、がんや糖尿病で神経が損傷し、慢性的な激しい痛みに襲われる「神経障害性疼痛(とうつう)」を引き起こす原因物質が「IRF8」というタンパク質であることを突き止めたと、5日付の米科学誌セル・リポーツ電子版に発表した。

 津田准教授によると、神経障害性疼痛の患者は世界で約2千万人いる。服を着るなど肌に軽く触れただけでも激しい痛みを感じ、モルヒネなどの鎮痛薬も効果が薄く、有効な治療法がないのが現状という。

 これまでの研究では、神経が損傷すると、脳や脊髄にある免疫細胞「ミクログリア」が過度に活性化し、神経を興奮させる物質を作り出して痛みを引き起こすことは判明していた。ただ、ミクログリアが活性化するメカニズムは解明されていなかった。

 津田准教授らは、ミクログリアを活性化させる"スイッチ"として、同細胞だけに存在するIRF8に着目。神経が損傷するとミクログリアの核内でIRF8が増加し、活性化状態になることを、マウスを使った実験で実証したという。

 津田准教授は「IRF8の働きを抑えることで、慢性痛を緩和できる可能性がある」と指摘。既存薬を用いたIRF8の抑制などの研究を進めたいとしている。




花粉症の主要原因を解明 新たな治療薬の開発も 12.4.5

(共同通信社 2012.4.5)

 くしゃみや鼻水などアレルギー性鼻炎の主要な原因が、花粉の刺激を受けて鼻の粘膜から出るタンパク質「インターロイキン33」(IL-33)であることを兵庫医科大や福井大、京都府立医科大などのチームが解明し、4日までに米アレルギー学会誌電子版に発表した。

 研究では、鼻粘膜の上皮細胞から放出されたIL-33が、アレルギー症状を引き起こすヒスタミンを増加させる働きなどがあることを突き止めた。兵庫医科大の善本知広(よしもと・ともひろ)教授は「花粉症の発症メカニズムは不明な点が多いが、今回の研究からIL-33の働きを抑えられる治療薬の開発が期待できる」と説明した。

 善本教授らが作製したブタクサ花粉のアレルギー体質を持つマウスは、5匹の平均で、花粉により10分間にくしゃみを約70回した。一方、同じ体質を持つがIL-33が欠損した5匹では平均約25回に減少した。

 IL-33が欠損したマウスは鼻水を分泌させる細胞の活性化も見られず、アレルギー性鼻炎の発症を抑える結果になったという。



指導・監査・処分の「3つの不幸」-医師の自死、贈収賄事件、保険医等の違法処分-12.4.5

(2012年4月5日 m3.com・医療維新/石川善・弁護士)

はじめに

 保険診療をした後の法律関係(権利・義務関係)には、大きく分けて、2つの局面がある。保険医療機関からの診療報酬請求の局面と、保険医・保険医療機関に対する指導・監査・処分の局面である。

 前者の法律関係を定めているのは、健康保険法および厚生労働省告示(「診療報酬の算定方法」)であり、その告示の別表(点数表)は、詳細に定められ、かつ2年ごとに改定されている。このことは、医療関係者が広く知るところである。

 他方で、後者の法律関係を定めているのは、健康保険法および厚生労働省令(「保険医療機関及び保険医療養担当規則」)であるが、指導・監査・処分に関する同法令の根本的構造は、1942年の同法改正以来(すなわち大日本帝国憲法下から)、変わっていない。

 本稿では、後者の法律関係の問題の深刻さを医療関係者に広く知っていただくために、まず、指導・監査・処分における「3つの不幸」、すなわち保険医の自死、保険医・指導監査官等の贈収賄、保険医等に対する違法処分について、振り返りたい。そして、「みぞべこどもクリニック」の溝部達子医師に対する保険医療機関指定取消処分および保険医登録取消処分に関する行政訴訟の代理人を務めた弁護士の立場から、「3つの不幸」の原因・関係は何か、今後、そのような「不幸」が繰り返されないようにするために何を改めたらよいか、筆者の認識している問題の所在と意見の概要を、計3回の連載でお伝えしたい(『国が上告断念、「保険取消は違法」が確定』などを参照)。

1.開業医(保険医)の自死

 2011年、新潟市内の開業医が地方厚生局の個別指導10日後に自殺したことは、日本医師会の臨時代議員会で報告され、多くの医療従事者の注目を集めたが(『46歳開業医が自殺、個別指導が原因か』、『個別指導に疑義、委縮診療も招きかねず』を参照)、このような不幸は、以前から繰り返されてきた。

 矢吹紀人著『開業医はなぜ自殺したのか』(あけび書房)によれば、古くは1952年、長崎県と広島県で厚生省の監査が行われ、「20数人が処分されて自殺を出す『高松技官事件』が起きた」ほか、1959年には、埼玉県と宮城県で、監査を受けた直後に保険医が自殺し、1965年には、山口県で保険医が監査直後に焼身自殺し、1993年には、富山県で、開業医が個別指導で「こんなことをしておられると、医者ができんようになるかもしれないなー」などと言われた後(約2カ月後であるが、「毎日、注射を受けにくる腰痛や肩痛の患者さんを、どうやってへらしたらいいんか」などという「悩みの2カ月」の後)、自殺している。

 また、2007年9月には、個別指導で「こんなことをして、おまえすべてを失うぞ!」などと言われていた東京の歯科医師(保険医)が、監査の直前に自殺した(東京歯科保険医協会の東京社会保険事務局に対する同年10月4日付け「抗議文」。詳細は同協会のホームページを参照)。

 さらに、同年には、7月の個別指導から鬱の症状を呈していた鳥取市の開業医が、10月に保険医登録と保険医療機関指定の各取消処分を受けた後の特異な経緯も経て、同年12月に自殺した(日本医事新報2012年3月3日号16ページ)。

 このような不幸が繰り返されていることは、その原因が当該個別指導・監査の担当官個人ないし保険医個人の問題ではなく、すべての個別指導・監査ないし保険医に関係し得る問題であることを示している。

2.保険医・指導監査官等の贈収賄

 指導・監査に関する不幸には、もう一つ別の一群がある。2007年には、地方社会保険事務局の指導医療官が保険請求への指導をめぐり有利な取り計らいをした見返りに、大学同窓会役員である保険医から現金を受け取ったとして、いずれも逮捕され、有罪判決を受けた。

 2010年には、厚生労働省(本省)の特別医療指導監査官(逮捕時は課長補佐)がコンタクトレンズ診療所に指導・監査に関して便宜を図った見返りに、同診療所を系列に有するコンタクトレンズ販売会社の役員から現金を受け取ったとして、いずれも逮捕され、有罪(医療指導監査官は実刑)判決を受けた。これらは、自らの犯罪行為について逮捕され、各判決を受けただけとも言えるが、このような犯罪行為に至ったことは、当該保険医・指導監査官等の各個人にとっても、指導・監査という制度自体にとっても、不幸なことである。

 これらの贈収賄の原因が当該個人のモラルの問題にとどまらないことは、誰しも思い至るところ(すなわち、過去の日本を見ても、現在の世界の各国を見ても、法治制度の進化の問題)であるが、厚生労働大臣は、本省課長補佐にかかる2010年の事件を受けて初めて、「保険医療機関等に対する指導・監査の検証及び再発防止に関する検討チーム」の設置を指示した。しかし、その同年12月17日付け「中間とりまとめ報告書」を見ても、「指導大綱・監査要綱等の体系に基づき行われている指導監査業務について、不正行為の発生を防止できるものとなっているかという観点から確認を行う。……指導対象の選定方法等そのあり方について見直しを行う」という程度にとどまっている。

3.保険医等に対する違法処分

 保険医・保険医療機関に対する指導・監査の後の行政処分においても、不幸はある。2005年11月、当時の山梨社会保険事務局長は、溝部達子医師に対する保険医登録取消処分と「みぞべこどもクリニック」の保険医指定取消処分(以下、「本件各取消処分」という)をした。しかし、同医師は、本件各取消処分の取消請求訴訟(以下、「溝部訴訟書」という)を提起し、2010年3月31日の甲府地裁判決は、「本件各取消処分は、社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであり、裁量権の範囲を逸脱したものとして違法となり、取消しを免れない」と判断して、各処分を取消した(『医師が国に勝訴、「保険医登録取消処分は違法」』を参照)。

 国は控訴したが、2011年5月31日の東京高裁判決は、甲府地裁判決の理由を一部改めながら、国の控訴を棄却し、同判決は確定した(『「保険指定取消は違法」、東京高裁が国の控訴棄却』を参照)。

 このような違法な本件各取消処分により、保険診療がいったんできなくなり(2006年2月に甲府地裁が執行停止決定をした後は、保険診療ができるようになっていたが)、東京高裁判決の確定により同処分が取消されるまでに、5年半余り(初めての個別指導が中断され、患者調査が実施されてからは、6年半余り)を要したのは、不幸なことであった。

 本件各取消処分に至った原因は、その違法な処分をした当該地方社会保険事務局長ないし担当官等の個人的な問題にとどまらないはずである。「人による行政」ではなく、「法律による行政」の下では、個人的な事情があったとしても、本来、法律に違反する行政処分はできないはずである。




(岐阜)ブルーベリー&コケモモ 紫外線から目守る効果 12.4.5

(読売新聞 2012.4.5)

岐阜薬科大の原教授共同研究

 目の健康にいいとされるブルーベリーとコケモモを併せて摂取すると、紫外線による目の網膜細胞の障害を防ぐのに効果があることを、岐阜薬科大学の原英彰教授(薬効解析学)が健康食品通販会社「わかさ生活」(京都市)との共同研究で突き止めた。紫外線は、日光だけでなくテレビやパソコンなどの画面からも出ているといわれる。紫外線が気になる季節を控え、研究成果は注目を集めそうだ。(大隅清司)

 今回の成果は、先月30日に北海道大学で開かれた日本薬学会で発表された。

 原教授は、緑内障や加齢性黄斑(おうはん)変性症など網膜の病気で、紫外線が原因の一つになっていることに注目。目の健康食品といわれるブルーベリーとコケモモの有効成分を調べるため、2年前から同社と共同で、マウスの網膜にある視細胞を使って実験を行った。

 その結果、視細胞に紫外線をそのまま当てた時には細胞が約80%死滅したが、ブルーベリーとコケモモのエキスをそれぞれ細胞に垂らすと約50%に、さらに2つのエキスを併用すると約40%に細胞死が抑えられることが分かったという。

 原教授によると、紫外線は可視光(目に見える光)と比べて波長が短く、エネルギーも高い。このため、一部は角膜や水晶体を通過して網膜にダメージを与えてしまう。一方、ブルーベリーやコケモモに含まれる数種類のポリフェノール成分には、視細胞を守る働きがあるといわれている。

 特にコケモモに含まれるレスベラトロールと呼ばれるポリフェノールは、長生きにつながる遺伝子を活性化させるものとしても注目されているという。原教授は「ブルーベリーとコケモモを毎日の生活の中で適切に摂取することで、紫外線から目を守る効果が期待できる」と話している。




喫煙でCOPD発症こう早まる コアフコース糖鎖減少でMMP異常活性化、肺胞の破壊へ 12.4.5

(2012.4.5 理化学研究所

 理化学研究所は4月4日、喫煙により慢性閉塞性肺気腫(COPD)発症が早まる仕組みを解明したと発表した。理研基幹研究所疾患糖鎖研究チームの谷口直之氏と群馬大学呼吸器・アレルギー内科の前野敏孝氏らの共同研究による成果。

 かねて研究グループは、「コアフコース糖鎖」の減少がCOPDの病因の一つであることを突き止めていた。今回、コアフコース糖鎖を作り出す糖転移酵素「Fut8」を半分しか産生できないFut8ヘテロ欠損マウスを作製。このマウスに1日4本週6日、3カ月間喫煙させると、正常マウスより2倍早く肺気腫を発症した。

 正常マウスの肺細胞では、たんぱく質分解酵素のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の作用で、肺胞壁の構造を保っている。肺胞壁の過剰な分解が起きないのは、TGF-βがMMPの発現を抑制しているからだ。一方、喫煙したマウスの肺組織ではコアフコース糖鎖が減少し、TGF-βの機能を阻害してしまう。結果として、MMPの過剰産生や活性化を引き起こし、肺胞構造を破壊していた。

 研究グループは、今後、Fut8ヘテロ欠損マウスを用いてCOPDの病態を調べることで、ヒトでのCOPDの予防、早期診断、治療薬の開発につなげたい考え。

【関連リンク
喫煙によって慢性閉塞性肺気腫の発症が早まるメカニズムを解明
http://www.riken.go.jp/r-world/research/results/2012/120404/index.html



わいせつ画像送らせた疑い 長野の市立病院元部長 12.4.5

(共同通信社 2012.4.5)

 福岡県警中央署などは4日、児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで、長野県大町市の市立大町総合病院の元診療技術部長、北原邦彦(きたはら・くにひこ)容疑者(54)=同法違反の罪で起訴=を逮捕した。

 逮捕容疑は1月8~11日、福岡県内に住む16歳の少女2人に自分の裸を撮影させるなどして、画像を携帯電話のメールで送信させた疑い。

 中央署によると、北原容疑者は東京都の高校生を名乗り、少女とメールをやりとり。その後、わいせつな画像を送るよう求めた。少女が応じると要求をエスカレートさせ、少女が送信を渋ると「(これまでの画像を)ばらまくぞ」と脅したという。

 京都府警は2月と3月に、同法違反容疑で北原容疑者を逮捕した。




医学部の安易な新設は許さず、横倉日医会長 医師不足問題、残る課題は診療科偏在との認識 12.4.4

(2012.4.4 m3.com)

 「医学部定員は、既に13校分くらいは、ここ数年で増えている。歯学部では定員増のために、入学者が定員割れし、50%のところもある。日本医師会は従来から主張しているが、医学部を安易に新設することは果たしていいのか、しっかりと考えていかなければいけない」

 4月4日、日医新執行部が誕生して最初の定例記者会見が、横倉義武会長と3人の副会長出席で開催された。その席上、横倉会長は、医学部新設の是非についてこう回答し、中川俊男・日医副会長が4月2日の定例代議員会で語ったことと同様に、今の「医師不足」問題は、絶対数の不足ではなく、地域あるいは診療科の偏在の問題であるとの認識を示した(『「財務省主導の改定」が一層明確に、中川日医副会長』を参照)。

横倉義武・日医会長は、鈴木邦彦常任理事の中医協委員の続投を明言。

 横倉氏は、自身が外科の勤務医だった時代とは異なり、今の医師の専門は細分化し、守備範囲が狭くなった結果、「一つの診療科に来る医師の絶対数が減っている」と指摘。その上で、過去5年間に医学部定員が1366人分増えたため、今後は徐々に充足するようになるとした。また医師の地域偏在についても、各大学が地域枠を広げているため、「少しずつ、地域偏在も解決するだろう」とし、残る課題は診療科の偏在であるとし、次のように述べた。

 「『きつい、汚い、危険』と言われ、訴訟リスクが高い診療科、長時間の仕事が必要な診療科については、そのバックアップ機能を作っていく必要がある。“医療事故調”の議論も始まり、今期は急速に動いていく。また産科については、無過失補償制度の創設により、勤務医の負担感は減っている。医療の不確実性を考えた場合、結果が悪ければ、医師が訴えられるような仕組みを少しずつ変えていくことが必要」

羽生田俊・日医副会長は、日医総研の所長も兼務。

  大学病院と医薬分業にかかる医療費の検証必要

 横倉会長は、「医療費の増加の現状、それを防ぐための方策としての混合診療解禁の是非」に関する質問に対しては、「経済格差による医療格差が生じる。混合診療の解禁は、絶対に容認できない」と強調。

 さらに、横倉氏は、「今は、大学病院とした大病院を中心として医療費が増加している。これは本来、文部科学省が手当すべき部分であり、診療報酬で稼がなければいけない構図が作られている。また医薬分業で医療費がどれだけ伸びているのかも検討しなければならない。本当に医薬分業が国民のためになっているのかを考える必要がある」と述べ、大病院と医薬分業にかかる医療費の分析が課題であるとした。

中川俊男・日医副会長は、医療政策の主担当として、社会保障・税一体改革やTPPなどの諸問題に対応。

 中川副会長も、医療費増は大病院での医療費の伸びによるところが大きいとし、急性期から在宅まで切れ目のない医療を提供するために、「全体の底上げが必要」と続いた。その上で、医療財源の直近の課題は、保険者間の保険料率の違いであるとし、「保険者の財政調整を行えば、医療財源の確保は可能」との見方を示した。

 そのほか、総合医に関する質問は、羽生田俊・日医副会長が担当。ただし、明確な回答はせず、「総合医の専門医制度については、結論がなかなか出ない。日本のかかりつけ医と、欧米で言う総合医ではその成り立ちが違う。学会が総合診療医を専門医として認定することは否定する問題ではないが、医師会として総合医を認定することについては、会員の中でも一致した意見はない。日医生涯教育の中で、かかりつけ医という方向性は広めていくが、その認定制については議論の途中」とコメントするにとどまった。

今村聡・日医副会長は、消費税問題や日医の公益法人化など、直近の重要課題を担当。

  「中医協委員、鈴木常任理事は変えない」と会長

 4日の定例記者会見では、冒頭に横倉会長が挨拶、執行部の職務分担が公表され、前述のような質疑応答という形で展開された(職務分担については、日医のホームページを参照)。

 横倉会長は、4月2日の日医定例代議員会での挨拶と同様、地域医療の充実、高齢者社会への対応、TPP(環太平洋経済連携協定)、日医の組織率の向上、社会保障・税一体改革や消費税問題への対応、東日本大震災への被災地支援などが重要課題であるとした(『「日医の綱領」の策定目指す、横倉新会長』を参照)。さらに、「私たちが考える医療提供のあり方と、国民や患者が考える医療のあり方について、整合性を取っていくことも必要。医療の本質を捉えた医療者と患者との関係形成に努力していく」と述べ、メディアへの協力も求めた。

 執行部の職務分担では、羽生田副会長が日医総研の所長を務め、中川副会長、今村聡・日医副会長が副所長を務める。従来も副会長が所長だったが、原中勝征前会長の時代は自身が所長だった。医療保険は、中川副会長が主担当で、残る2会長が副担当。日医総研と医療保険という二つの重要課題は、3人の副会長がいずれも関わる形にした。

 また、注目点の一つ、中医協委員に関し、横倉会長は、「鈴木邦彦・日医常任理事を変えることはない」と明言した。




「"薬局維新"と呼べる改革を」薬経連・山村会長に聞く 12.4.4

(薬局新聞 2012.4.4)

【視点】「将来を重視し"薬局維新"と呼べる改革を」保険薬局経営者連合会・山村真一会長に聞く

 さらなるジェネリック薬の使用促進や積極的な在宅医療参画への道筋を筆頭として、報酬的にも薬局薬剤師の職能的責任を明確化させる流れとなってきた状況に対し、現場はどう向き合おうとしているのか薬局経営者の団体として昨年立ち上げられ、独自の政策提言の取りまとめを通じて薬局のあるべき将来像の確立を目指す保険薬局経営者連合会(薬経連)の山村真一会長(川崎市・プライマリーファーマシー)に、「目の前のフィーではなく将来を見据えて自ら改革に乗り出すべき」という曰く"薬局維新"の時代感覚を訊ねた。

   *

 今回の調剤報酬改定について山村会長は、情勢として必ずしも手帳を持たせられなくても薬剤服用歴管理指導料が算定できる解釈となったことを象徴に、「お薬手帳談義で力を使い果たしたという印象。薬局にとっては緩い改定になったと思う」と指摘する。
 確かにここを厳密にすると手帳を算定していない薬局では技術料が激減する事態もあり得るため、一時深刻な議論になっていたわけだが、「そうした形で大騒ぎになること自体、情けないと思う」と山村会長。中医協でも医療情報や処方薬が失われた震災での状況を触れられたように、手帳の重要度に対する認識は高まっている。当然ながら薬剤師としては言われるまでもないことで、「点数に関係なく普及しておけば良かった話で、逆に今回減らされるから進めるというようなネガティブな発想も少なからずあるのが現実」。

 これは残念ながらフィー基点での後ろ向きな発想ということになるだろう。同じようにジェネリック医薬品(GE薬)の使用促進でも、例えば一般名処方について山村会長は「薬剤師が望んでいるような形で進められたはずが、いざこうなってくると責任上の心配が大きくなる。ポジティブに『こうしてくれれば積極的にやる』という迫力に欠ける」と指摘する。

ジェネリック対応で緊張感高まるが自信持って推奨を

 GE薬調剤の新しい算定要件においては、「急に増やせるわけはなく、今まで25%だったところが30%に届かなければ8点も減り、案外ダメージを被る場面が出る」との観測から、従来以上に薬局薬剤師の積極性が問われる。こうした情勢に絡めて山村会長は、先発薬に対するGE薬の有無を在庫、価格差とともに情報提供するようになる薬情問題の成り行きが情勢に大きな影響を与えることになると警戒する。

 「薬価まで開示される形で透明性が増すと、患者さんは間違いなく反応するだろうし、相当な使用促進効果になる。価格や製剤的な違いについて細かく質問されたり、必然的に薬局も従来よりもGE薬対応に追われる状況が出てくる」。つまり、点数や積極性以前に現場の緊張感が高まるのは間違いない。

 薬情で先発薬との価格差、GE薬間の価格の幅が患者に明らかになることでは、「困ると思わず、薬剤師としては積極的にできるだけ安いGE薬を自信を持って提供していくべき」と考える。「そもそも先発と同等との前提であり、製剤工夫なども大事だが重要度で言うと価格の次。安くて良いGE薬がベストで、工夫をしたから高くてもいいということはなく、また安かろう悪かろうというのも思い込み。GE薬の存在意義は価格で、安くて入手しやすいものを薬剤師として自信を持って提供することが我々のミッション」。

 一般名処方下で選択基準での説明責任が増したとして、「そこは胸を張って責任を怖がるのではなく喜びたい」と訴える。「そもそも点数の問題や不安は内輪の話として、患者さんには余裕を持って『さあ任せて下さい』というのがプロ。そうしたプライドを持ち、社会の期待を認識すれば薬剤師はもっとやれる」。

社会に求められる"ゴール"目指す

 お薬手帳の取り組みについても、「もっと手帳が普及していたらどういうことが起こるか」という将来ビジョンに絡めた前向きな発想で取り組むべきと山村会長は呼びかける。

 「現に欧米では認められているように、急な喘息発作に出くわす、休診日に絶対必要な薬がなくなるといった緊急事態で手帳に基づいて薬剤師が薬を提供することは、診断して処方することとは違い、使っている薬を補充するというとらえ方にもなる。その辺りを合法的に行えるという風に持っていける可能性が出てくるし、リフィル処方などの突破口的な状況を導けるかも知れない」。

 こうした将来ビジョンに基づく取り組みとして、薬経連ではシンクタンクを立ち上げて今後の調剤報酬に対する政策提言をまとめる準備を進めている。現在検討しているのは「総調剤報酬制」として処方せん1枚あたりでの定額化や、技術料を薬剤料との比率で算出するという大胆なもので、「もちろん現実的には問題点はあるが、財源的にも構造的にも現在の報酬体系は限界。提言を熟成させながら国民から見てもシンプルな報酬体系を模索し、2年ごとの改定に左右されない安定した薬局経営、薬剤師職能を目指すべき」とのスタンスにある。

 山村会長は語る。「必ずしも国の財源や調剤報酬に依存する形で歪んでいくのではなく、社会保障財政が逼迫するなか、自ら国への依存を減らしていくことで自立していく道を探るべきではないか。客観的に正論を追求した上で薬局経営者としての役割と権利を追求し、社会的に薬局が認められるというゴールを導いていければ」。

 いずれにせよ、時代が急速に変わりつつあるのは間違いなく、薬経連を通じて山村会長は「目先の変化に呼応して動くというよりも、先を見据え、自ら改革に乗り出す薬局維新の時代ではないか」と薬局経営者に呼びかけている。




医薬品ネット販売の安全性に疑問の声 12.4.4

(薬局新聞 2012.4.4)

医薬品ネット販売の安全性示すも調査に疑問の声 厚労省「一般用医薬品の販売経路別副作用発生状況」調査

 インターネットで医薬品を購入した際、副作用の発現数は0件。厚生労働省は先ほど、「一般用医薬品の販売経路別副作用発生状況」調査を公表し、インターネット通販が安全に実施されている傾向を示した。ただ、日本薬剤師会は数字が一人歩きする恐れがあることを指摘したほか、生活者団体はいわゆる覆面調査で、不適切なネット通販が相当数行われている実態などをあげ、調査そのものの意味を問いただした。同時に厚労省はネットユーザー1万人を対象にした「適正使用情報提供状況確認等事業調査結果」も公表。購入経路とOTC薬に対する不安点などについて調べた。

生活者団体は不適切な購入実態を指摘

 2つの調査は先ごろ開催された薬事食品衛生審議会安全対策部会の中で公表された。
 「一般用医薬品の販売経路別副作用発生状況」調査は平成22年7月29日から平成23年11月30日までの16カ月間行われ、製造販売業者に寄せられた症例件数をとりまとめたもの。
 報告総件数は300で、業態区分では店舗販売業68、配置販売業14、通信販売・その他各1、ネット販売0、販売不明159などとなっている。報告事例をリスク区分別にみると第1類20、指定第2類164、第2類101、第3類15となっている。

 同報告について、日本薬剤師会・生出泉太郎副会長は、「ひと目でインターネットは副作用がない業態のように見えるが、改正薬事法で原則として第3類しか購入できなくなったことを明示して欲しい。単純に店舗販売とネット販売を比較すると、リアル68件、ネットは0件となり、まるでネットが優れた販売方法のように認識される恐れがある」と指摘し、規制緩和議論の材料として扱われないように要望した。さらに倉田雅子委員(納得して医療を選ぶ会)は、先日に厚労省が実施した医薬品販売制度定着状況調査において、原則として3類のみに制限されたインターネット販売が公然と行われていた結果などと照らし合わせ、「0という数字は違和感がある」とコメント。購入経路について誤解したまま回答しているのではないかと語り、調査結果に疑問を呈した。

 厚労省はこうした指摘に対して、原則的に第3類が対象になっていることを明言したうえで、「副作用件数の少なさのみを以って安全を担保するものではない」と見解を付け加えた。

副作用等の情報ニーズ、ネットよりも店頭で多く

 また同日は、一般用医薬品を購入した際、購入経路の違いで副作用が発生した際の対応等の変化を調べた「適正使用情報提供状況確認等事業調査」の結果も公表した。調査対象はインターネット調査1万人と郵送調査による1000人。よく医薬品を購入する経路や副作用経験、発現時の相談先などを、実店舖で購入する場合とインターネットで購入する場合を比較した。

 医薬品購入時に必要な情報に関しては、店頭購入する場合のほうが、インターネット通販で購入する場合よりも効能・効果などの情報を必要としている割合が高かった。

 購入時の不安については、店頭購入・インターネット購入のいずれにおいても「副作用」が最も多く店頭39%、ネット39.3%となった。その一方で、「特に不安はない」と答えたのも店頭30.0%、インターネット29.3%それぞれ存在しており、購入経路に関わらず3割が不安視していないことが浮き彫りとなった。

 副作用が発現した際の相談先では、「医療機関」が店頭・インターネットのいずれにおいても最も多く、「薬局・薬店」店頭31.6%、ネット18.7%となり、「そのほか購入先(インターネットによる通販会社など)」としたのはネット13.0%に過ぎなかった。

 厚労省は全体の傾向分析として「インターネット通販のみで購入した人に比べ、薬局・薬店で購入した人のほうが情報を必要としている割合が高く、副作用が起きた場合の対処法や効果に不安を感じている人の割合も高い傾向にあった。この背景としては店頭では第2類医薬品を購入していることや、ネットでは買い慣れたOTC薬を購入しているケースが多い」と分析している。

 なお、今回の調査について「購入経路ごとの課題を把握し、今後の議論の基礎資料とするもの」と位置付けている。



「財務省主導の改定」が一層明確に、中川日医副会長 12.4.4

地域連携における医師会の重要性も強調
(2012.4.3 m3.com)

 4月2日の日本医師会代議員会で、副会長に再任された中川俊男氏は、2012年度診療報酬改定を振り返り、「財務省が改定の各論まで口を出し、財務省が主導権を握っていることが、さらに明確になった。今後は戦い方を修正していくことが必要」と語った。

 中川氏は、「今改定は、医科本体は4700億円のプラスになった。特筆すべきは、財務省は抵抗したが、前回改定と異なり、入院と入院外の財源配分を決めさせなかったこと」と説明。2010年度改定では、入院対入院外の財源比率は11対1だったのに対し、今改定では2対1となった。

 さらに、「今改定では、診療所と中小病院の手当を強く要望してきた。前回改定で明確なエビデンスなく引き下げられた再診料の回復はできなかったが、今後、基本診療料を検討することが、改定の答申の附帯意見に明記された。この問題は、引き続き重要課題として取り組んでいく」と中川氏は付け加えた。

日医副会長の中川俊男氏は、今後の診療報酬の課題として、基本診療料を検討する重要性を強調した。

 日医常任理事で、中医協委員の鈴木邦彦氏も、「新年度の早い時期から、中医協基本問題小委員会で、基本診療料の議論を開始する。基本診療料は医師の魂であり、国民の医療を守るのが基本診療料」と、重点課題として取り組むことを強調した(『次期改定に向け、「四つの基本課題」を重点的に議論』を参照)。

 「医師の絶対数の不足には一定のメド」と中川副会長

 診療報酬改定について質問した一人が、東京都医師会副会長の近藤太郎氏。今改定は中小病院などに厳しい内容になったという声があるとしつつも、「機能強化型」の在宅療養支援診療所をはじめ、地域医療を進めるインセンティブが設けられた点は評価できるとし、「医師会が関係団体と協力して、地域の連携体制を構築することが重要だ。また、地域医療の発展のためには、若手医師の理解も必要」とし、日医としての考えを質した。

 これに対し、中川氏は、「社会保障・税一体改革では、急性期医療と在宅医療に重点を置いている。日医としては、医療は切れ目なく提供されるべきだと考え、全体の底上げの必要性を指摘してきた」と基本的考えを述べ、近藤氏の指摘のように、地域医師会が中心となり、連携を進める重要性を指摘した。「現場からは、どのように連携していいか分からないという声も聞く。モデル事例を取り上げ、情報提供していきたい。また医師会同士のコミュニケーションも重要であり、積極的に交流の場を設けてもらいたい」(中川氏)。

 さらに若手医師へのスタンスについては、「医学生に対する調査では、『日医は開業医の団体』など、誤った意見がある一方で、国の医療政策に果たす役割としては期待していることが分かった。医学生の段階から積極的につながりを持つ取り組みが重要だと考えている」と回答、この4月から医学生向けのフリーペーパーを年4回発行する予定であるとした。

 若手医師に関連して、中川氏は医師不足の問題にも言及、「医師不足には、絶対数の不足と偏在の問題がある。絶対数の不足については、この5年間で医学部定員は1366人増え、一応のメドは付いた。今後は、日医が提案しているように、臨床研修の募集者数と研修予定者数をおおむね一致させることで、地域の偏在は解消できる。残る課題は、診療科間の偏在をいかに解消するかだ」との見解を示した。

 「3人の中医協委員は、日医推薦」と鈴木常任理事

 そのほか、診療報酬関連で問題視されたのが、病院に限らず、有床診療所についても、入院基本料の算定に当たって、管理栄養士の配置が義務化された点。鈴木氏は、「改定後に多くの質問が来ている。90%以上が算定されている加算を入院基本料に込みこんだため、栄養管理実施加算も廃止された。ただし、2年間の経過措置がある上、有床診については、非常勤でも構わないとされている。入院基本料そのものを算定させないようにする意図はない。実態把握のためのデータを集め、早急に対応を検討する」と回答。

 さらに、中医協委員については、「日医執行部から2人、3人は出してもらいたい」との声も上がった。鈴木氏は、「日医として中医協委員を出すのは当然のこと」としつつ、2009年の民主党政権誕生後に新たに就任した3人の中医協委員の1期目の任期が、2011年秋に満了した際、鈴木氏のほか、京都府医師会副会長の安達秀樹氏、全国医学部長病院長会議相談役の嘉山孝正氏の3人を日医として推薦している経緯を説明した。




集団的個別指導、「在支診」のみ別建てで 2012年度から試行 12.4.4

鈴木日医常任理事が明らかに、2012年度から試行
(2012.4.4 m3.com)

 4月2日に開催された日本医師会定例代議員会で、日医常任理事の鈴木邦彦氏は、診療所の集団的個別指導で、在宅療養支援診療所(在支診)については、別建てで実施する方針であることを明らかにした。2012年度から全国で試行的に実施する。

 集団的個別指導は診療所の場合、診療科別のレセプト1件当たりの平均点数の1.2倍以上の医療機関のうち、上位約8%に該当する施設を対象に実施される。翌年度も上位施設に該当すれば、翌々年度に個別指導の対象になる可能性がある。内科関係では、在宅を実施する場合、高点数になる傾向があるため問題になっていた。在支診の診療所を分け、集団的個別指導の対象を選定する試みが行われることになる。

  日医に「保険診療検討委員会」を設置すべき

 指導・監査関係の個人質問では、宮城県医師会副会長の佐藤和宏氏が、日医に「保険診療検討委員会」を創設するよう求めた。全国的な状況の把握や情報の共有、対応策の検討、さらには保険医としての教育を行うことなどが目的。

 佐藤氏は、次のように現状を問題視した。「指導、監査に関して問題が山積していることは、この代議員会でも繰り返し質問されていることを見ても明らか。2008年秋に地方社会保険事務局に代わり、地方厚生局が指導、監査などを直接行うようになった。『平準化』の名の下、指導方法は強化され、各地で様々な問題が起きている。宮城県では従来40分だった個別指導の時間が2時間に延長され、監査の件数も大幅に増加し、保険医登録の取り消し事案も出ている。私たちは、適切な保険診療は大事だと考えており、不正請求などを擁護する立場にはない。しかし、指導官の行き過ぎた指導、例えば警察や検察官の取り調べのような指導を容認するわけはいかない。過去には厳しい指導や監査が原因で、不幸な事案が発生したことも事実」。

 佐藤氏の指摘のように、2011年秋の日医臨時代議員会でも、個別指導との関連が示唆される自殺事例が報告されている(『46歳開業医が自殺、個別指導が原因か』を参照)。

 佐藤氏の提案に対し、日医常任理事の今村定臣氏は、「要望の委員会については、各ブロックから推薦される委員で構成するのがいいのか、あるいは新たな委員会がいいのかなどの点も含め、検討していきたい。指導・監査は医療保険では必ず出て来る問題。医師のプロフェッショナル・オートノミーとも関連する問題であり、医師会が実施する講習会等とも併せて取り組んでいきたい」と述べ、委員会の設置を検討するとした。

  「指導・監査の立会人の身分保障を」

 岡山県代議員の道明道弘氏は、指導・監査の立会人の身分保障を求めた。指導・監査の立会人は、健康保険法上、行政が医師会等に求める形になっている。岡山県の場合、ほぼ1日かかる場合でも、立会人の日当は7000円で、費用は医師会の負担になっている。費用負担なども含め、「1日のみ公務員」といった形での保障を求める質問だ。

 これに対し、日医常任理事の鈴木邦彦氏は、身分保障をするためには法改正が必要であり、厚生労働省だけでなく、総務省や人事院なども関係してくる問題であるため、「慎重に検討していきたい」と回答。現実的には身分保障は難しいと思われ、鈴木氏は「立会人は中立的な立場であり、国から日当を得ると、中立性が損なわれることもある」とも付け加えた。




薬局でのOTC相談事例「外皮用薬」が多く 12.4.4

(薬局新聞 2012.4.4)

薬局での相談事例「外皮用薬」が多く 日本薬剤師会・一般用医薬品の相談応需状況を調査

 日本薬剤師会は薬局での一般用医薬品の相談応需状況に関する調査結果を公表し、最も相談事例が多いのは外皮用薬であることがわかった。調査は昨年7月から8月末日までの1カ月間で、433薬局から1192事例を収集した。

 薬効群別相談数を見ると「外皮用薬」347で最も多く、以下「精神神経用薬」201、「消化器官用薬」185、「眼科用薬」64、「泌尿生殖器官用薬」59などとなっている。具体的な相談事例では「思い当たらない吐き気と腹部の張りと痛みを訴えて、便秘状態。腸閉塞を疑い病院へ行くことを勧めると、翌日腸閉塞の手術を行った」、「家族が来店して80歳代の男性が1週間前から咳が続く。微熱も出ているので風邪薬と咳止めが欲しいと言われたが、肺炎の可能性を疑い、医薬品を販売せず医師への受診勧奨を勧めた。結果、肺炎のため2週間入院した」など、受診勧奨により重大な疾患を防いだ事例のほかに、医薬品の不正使用の疑いから販売しなかった例が示された。

 相談事例を薬局がどのように判断したのかでは、「一般用医薬品での対応は困難な要件、あるいは不適切な症状と判断」38.6%がトップで、「指名買いの医薬品は不適切と判断した」19.5%などが続く。その後の対応では「医薬品を販売しなかった」46.1%、「医薬品を販売した」32.1%。医薬品を販売しなかった場合では「かかりつけ医の受診をすすめた」47.6%、「医療機関の受診をすすめた」40.9%などとなっている。




一般名処方、情報提供が煩雑 12.4.4

(2012.04.04 m3)

 4月から診療報酬が改定されました。改定の告示・通知等に加えて、3月30日に出された「疑義解釈」も厚生労働省のホームページに掲載されています。

◆厚労省の診療報酬改定に関するページはこちら
◆厚労省・疑義解釈資料(その1) http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken15/dl/zimu2-1.pdf

 改定の影響度や問題点が次第に明らかになっていますが、その一つが一般名処方の取り扱い。今改定では後発医薬品の使用促進の観点から、一般名処方をした場合に「2点」が加算され、保険薬局では、一般名処方を受け取った場合には、「後発医薬品を調剤するよう、努めなければならない」とされています。

 また保険薬局で、一般名処方について調剤した場合、「調剤した薬剤の銘柄等について、当該調剤に係る処方せんを発行した保険医療機関に情報提供すること。ただし、当該保険医療機関との間で、調剤した薬剤の銘柄等に係る情報提供の要否、方法、頻度等に関してあらかじめ合意が得られている場合は、当該合意に基づいた方法等により情報提供を行うことで差し支えない」と通知されています(下記の通知の「第3の7」)。

◆処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について(通知) http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/dl/tuuchi1-4.pdf

 現場の医療機関および保険薬局からは、この辺りの手間の煩雑さを指摘する声が上がっています。皆さんの医療機関あるいは保険薬局では、「あらかじめ合意」はされているのでしょうか。

 そのほか、4月2日の日本医師会代議員会で問題視されたのが、病院に限らず、有床診療所でも、入院基本料の算定に当たって、管理栄養士の配置が義務化された点。日医にも数多くの質問が寄せられおり、日医常任理事で中医協委員の鈴木邦彦氏は、「2年間の経過措置があり、有床診については、非常勤でも構わないとされている。入院基本料そのものを算定させないようにする意図はない」とした上で、実態把握のためのデータを集め、早急に対応を検討する」と回答しています(『 「財務省主導の改定」が一層明確に、中川日医副会長』を参照)。http://www.m3.com/iryoIshin/article/151119/



謝罪でも腹の虫治まらず 名大などが「怒り」分析 12.3.28

(共同通信社 2012.3.28)

 謝罪は怒った相手の攻撃しようとする気持ちを抑える効果はあるが、不快感までは軽減できず、相手の腹の虫は完全には治まらない-。科学技術振興機構や名古屋大、東京大の研究グループが「怒り」を心理テストのほか、脳波や心拍数、指先の汗で分析し、こんな結果を27日までに発表した。

 怒りで脳波に変化が表れることは知られていたが、グループは、怒りを構成する「攻撃衝動」を心拍数で、「不快感」を指先の微量の汗で、それぞれ客観的に測定できる可能性を示した。

 同機構の久保賢太(くぼ・けんた)研究員は「センサーを使って脳波や心拍数、指先の汗から怒りを感知し、落ち着くまでメール送信やインターネット上のやりとりをやめるよう警告するシステムなどに応用できる」と話している。

 実験では、大学生・大学院生48人が飲酒年齢の引き下げなどについて書いた意見に対し「大学生が書いた文章とは思えません」と侮辱とも受け取れる評価をした。

 その後、半数には「こんなコメントしてすみません」と謝罪、別の半数には「コメントは以上です」とだけ記載、反応を調べた。

 心理テストで、攻撃衝動と不快感を数値化し、心拍数と指先の汗の量も測定。謝罪のないグループはすべてが高い値を示したが、謝罪のあるグループは攻撃衝動を示す数値と心拍数が低くなったものの、不快感を示す数値と汗の量は高いままだった。




認知症治療薬で症状改善 肝性脳症で島根大 12.3.28

(共同通信社 2012.3.28)

 肝硬変により脳の働きに影響が出る肝性脳症(かんせいのうしょう)の患者が、認知症の治療に使われる漢方薬「抑肝散(よくかんさん)」を服用したところ、肝性脳症の症状が改善したとの研究結果を島根大が27日、発表した。

 担当した同大付属病院肝臓内科の佐藤秀一(さとう・しゅういち)講師は「肝硬変の症状を改善させることはできないが、肝性脳症の進行を遅らせることができ、初期症状の患者の生活の質を向上させる効果がある」と説明している。

 佐藤講師によると、肝性脳症は、肝臓の機能が低下し脳に体内の毒素が運ばれるために起きる。「攻撃的になる」「昼夜が逆転する」など認知症と似た症状が出て、悪化すると昏睡(こんすい)状態になることもある。抑肝散は認知症の症状を誘発する神経伝達物質を調整する働きがあることから、肝性脳症への作用を調べた。

 2010年4月~11年10月、肝硬変の患者12人に対し、4週間抑肝散を投与。途中で体調不良を訴えた1人を除く11人を診断したところ、睡眠の質の向上や、日常生活での体調、精神面の負担が軽減されたという傾向がみられた。

 記憶力や俊敏性などを調べるテストでも、服用によりこれらの能力が改善する結果が出たという。




一般薬新販売制度に対応したチェックリスト作成 12.3.28

(薬局新聞 2012.3.28)

 日本薬剤師会は、一般用医薬品の販売制度の完全施行に対応するためのチェックリストを作成した。本年6月1日に平成21年の5月末からの経過措置が終了することを受けての取組みで、法令順守の徹底を呼びかけている。

 チェックリストは19項目あげられており、このうち平成21年の法律実施時に設定された経過措置項目の取扱いについて記載している。

 今回経過措置が終了するのは「第1類薬陳列区画の設置」、「指定第2類は情報提供場所から7メートル以内の範囲または消費者が触れられない場所に陳列」、「一般用医薬品や第1類を販売しない時間は陳列する場所を閉鎖」、「情報提供場所の設置」、「薬局には薬剤師が常駐すること(不在時の閉局)」、「一般用医薬品の取扱いに関する掲示(一般用医薬品の取扱いがなくても掲示)」、「安全管理や情報提供に関する指針と手順書の作成」、「従業員の勤務時間数等についての届出」の8項目で、いずれも6月1日から遵守義務が発生し、薬事監視等の対象となる。

 なお、日薬は先日の覆面調査結果とともに今回の経過措置終了への対応について、都道府県薬剤師会に指導の徹底を求めている。




ハンセン病問題、語り継ぐべき 元患者が証言、映画「もういいかい」 5月20日、大阪・阿倍野で上映会 12.3.27

(毎日新聞社 2012.3.27)

ハンセン病:問題、語り継ぐべき 元患者が証言、映画「もういいかい」 5月20日、阿倍野で上映会 /大阪

 国の誤った政策で人生を狂わされた元患者ら約20人の証言を集めた映画「もういいかい~ハンセン病と三つの法律」が完成した。強制隔離の根拠となった「らい予防法」(廃止)などが生まれた時代背景や療養所の実態を見つめ直す2時間23分。高橋一郎監督(58)=宝塚大造形芸術学部准教授=は「元患者は高齢で、話せるのは最後かもしれない。今撮らなければとの思いだった」と話す。

 高橋監督は85年に映画製作委員会を結成し、核燃料廃棄物やアトピー性皮膚炎など社会問題を扱った映画を自主製作。6作目の今回は三十数年前の学生時代に読んだ元患者の随筆が原点。当時はそれっきりになっていたが、06年ごろ、随筆が今も読み継がれていることを知る。

 「なぜそんな世界が生まれたのか、今度こそ向き合いたい」

 09年8月に岡山県の療養所を初めて訪ね、翌年撮影を始めた。療養所で着せられた囚人と同じ縦じまの着物、入所時に入れられた消毒液「クレゾール」の風呂、反抗的とみなした患者を閉じ込める監房……。鹿児島県の療養所の元患者、玉城しげさん(93)は園内で知り合った男性と結婚したが、「機械で引っ張られて生きた子を目の前で殺された」と妊娠7カ月目での堕胎を生々しく証言した。

 当初は「知らなかったから遠い問題」と感じていた高橋さん。だが、取材を進めるうち、「人は必ず病気になる。安心して生きていける社会の実現のためには、国が特定の病の患者ごと抹殺しようとしたこの問題は語り継ぐべきだ」と気づいた。

 元患者が集うシーン。96年の法律廃止、01年の国賠訴訟勝訴を経ても、その場の多くで元患者は、わずかでも自分の顔が映ることを拒んだ。高橋監督は「法律がなくなった今も差別におびえる元患者はいる。ハンセン病問題は決して終わっていない」と力を込める。

 府内での完成記念上映会は5月20日、大阪市立阿倍野区民センターである。入場料1000円。問い合わせは同映画製作委員会(078・331・6100)。



無資格麻酔で起訴猶予処分 千葉県がんセンター医師ら 12.3.27

(共同通信社 2012.3.27)

 千葉地検は26日、資格のない麻酔をしたとして、医師法違反(無資格医業)容疑で書類送検された千葉県がんセンター(千葉市)の手術管理部長(47)と歯科医師(38)を起訴猶予処分にした。患者への実害がなかったことなどを総合的に考慮したとみられる。

 歯科医師は2010年5月から4カ月半の間に、がん患者10人の外科手術の際に資格のない全身麻酔をしたなどとして、部長は適切に指導しなかったとして、昨年7月に書類送検された。

 中川原章(なかがわら・あきら)センター長は「真摯(しんし)に受け止め、安全な医療の提供に努力する」とコメントした。




(長野)さよならの後で 葬儀の形骸化に危機感 12.3.22

(読売新聞 2012.3.22)

 遺族にどう寄り添ったらよいのか。悩み続ける僧侶がいる。東昌寺(松本市白板)の女性住職、飯島恵道(48)は昨年5月、母親(当時78歳)を病気で亡くした。

 飯島は医療短大卒業と同時に出家。大学や大学院で仏教を学んだ。1996年から3年間、看護師として諏訪中央病院の緩和ケア病棟などで働いた経験もある。家族に見守られ、安らかに息を引き取る多くの患者を見てきた。ところが、母親の最期は違った。朝、飯島が目を覚ました時、母親は既に亡くなっていた。突然の出来事だった。

 悲しくて、弔問客が訪れる度に泣いた。看護師として、僧侶として、これまで数え切れないほどの遺族に「ご苦労さまでした」と声を掛けてきた。ところが、自身には掛けられない。「遺族と同じ立場に立っていたつもりでしたが、実際は違っていました」

 母親の死から10か月。まだ完全に悲嘆から立ち直れていない。これから家族を亡くした人とどう向き合い、支えていくのか。「悩みながらも自分自身が納得できる言葉を探すしかない」。飯島は今も自問を続ける。

    ◎    ◎ 

 3月中旬。松本市浅間温泉の神宮寺。白い花が覆う祭壇には、3日前に27歳の若さで病死した青年の遺影があった。

 会場には、青年が好きだった小田和正の澄んだ歌声が響き渡る。祭壇上方のスクリーンには、青年の生い立ちを振り返る約20枚の写真がメッセージと共に映し出された。

 葬儀の最後、喪主の父親があいさつに立った。「忘れていた思い出がよみがえりました。このような見送り方をしてもらい、(息子は)喜んでいると思います」。そう言うと、言葉に詰まり、深々と頭を下げた。

 住職の高橋卓志(53)は遺族との話し合いをもとに、その人らしいオリジナルの葬儀を演出するよう心がけている。これまでも、落語を演じたり、お経の代わりに演歌を流したりしたこともある。

 演出の背景には、死を受け入れ、悲しみを癒やす場であるはずの葬儀が形骸化している、との強い危機感がある。高橋は遺族が納得できる葬儀こそがグリーフ(悲嘆)ケアにつながると信じている。

    ◎    ◎ 

 葬儀へのニーズが多様化する中、グリーフケアを重視する葬儀社もある。2006年9月に開業した小海町千代里の「メモリアルホールみつわ」だ。

 社長で納棺師の篠原憲文(29)は16年前、父の葬儀が流れ作業のように進められることに憤りを感じた。「死に慣れすぎていて、まるで物を扱うようだった」と振り返る。

 そんな思いから、故人の年表を張り出し、映像を流して遺族が故人を十分にしのべるようきめ細やかなケアに心を配る。サポートは葬儀後も続く。故人の写真集を作って四十九日の時に遺族宅に届ける。また、インターネット上に番号を入れると故人の写真が見られる「想い出銀行」を開設した。いずれも無料のサービスだ。

 「グリーフケアの要はコミュニケーション。故人を思い出し、語り合えるきっかけを遺族に提供していきたい」。篠原はそう考えている。

(敬称略)

 【多様化する葬儀】核家族化や都市化に伴い、形式化した葬送を望まない人が増えている。宗教にこだわらない無宗教葬や、火葬だけで見送る直葬、近親者だけでの家族葬など。また、墓石の代わりに樹木を植える樹木葬や、海や山に遺灰をまく散骨などのほか、存命中に自分自身の葬儀を行う生前葬もある。



(山梨)救急医療 改革19年 12.3.17

(読売新聞 2012.3.17)

県中病院 松田・救命センター長退職へ

 県立中央病院(甲府市富士見)救命救急センターの松田潔センター長(52)が3月で退職する。1993年3月の着任以来、精力的に県内の救急現場を見直し、変革をもたらした。松田医師に県中病院での19年を振り返ってもらった。
■「もっと連れてこい」 

 「日本一の救命救急センターを作るために赴任しました」。県中病院幹部との面接で、日本医科大(東京都文京区)から派遣された松田医師はそう言った。当時33歳。失笑を買ったが、言葉は本心だった。「やるからには山梨の救急医療を確立させる。最低でも3年はやろう」と決めていた。

 着任から1年は、県内で救急搬送後に亡くなった患者の新聞記事をスクラップした。大学時代からの習慣だったが、記事を貼る回数が多かった。スクラップブックは増え、救急医療改革への意識も高まっていった。

 一方、センターへの搬送件数はわずか。消防本部の管轄の線引きを守るため、県中病院の方が近い場合でも、管轄地域内にある遠方の病院へ搬送することも多かった。「もっとこっちに連れてこい」。もどかしい思いだった。

 そこで着目したのは、救急救命士。「的確な処置をし、迅速にセンターに運んでくれれば、現状を変えられる」と考えた。消防本部に出向いて出前講義を行い、94年からは病院に救命士を受け入れて現場実習に協力した。2001年頃には、年間搬送者数がそれまでの約900人から約1100人に増えた。

■育てた救命士200人 

 2003年からは、救命士が一定の資格を取れば、医師の指示を受け、気道を確保する挿管を行ったり、薬剤を投与したりといった医療行為ができるよう法律が改正されていった。いつの間にか着任から10年たっていた。

 救命士の資格取得に必要な実習を県中病院で一手に引き受け、搬送患者を一緒に診た。県内の全救命士約200人が県中病院での実習で資格を取得した。

 資格を取った救命士全員の顔と名前を覚えた。傷病者の情報を十分に集めないまま患者を搬送して来る救命士には、声を荒らげることもあるが、松田医師の指導で現場実習を経験した救命士からの信頼は厚く、情報共有は円滑になった。

 「自分が考えてきた仕事は全うできたと思う」という充実感を胸に、4月には日医大武蔵小杉病院(川崎市)の救命救急センター長に着任し、教授も兼務する。医師不足、医療過誤訴訟の増加などがあり、医療現場は厳しさを増している。「そんな時代に医者になろうとする後輩に教えるのが楽しみ。山梨で取り組んだことを川崎でも生かしたい」と力強く語った。



ポリオ予防接種率8ポイント低下 約76%、接種控え深刻化か 12.3.16

(共同通信社 2012.3.16)

 厚生労働省は15日、乳幼児に対する昨年秋のポリオ(小児まひ)ワクチンの全国平均の接種率が昨年春から約8ポイント低下し、75・6%だったと発表した。現行の生ワクチンでごくまれに生じるまひを保護者らが恐れ、まひの恐れをなくした不活化ワクチンの導入を待つ"接種控え"が深刻化した可能性がある。

 日本では、1980年を最後に野生のポリオウイルスによる患者は報告されていない。だがパキスタンやアフガニスタン、アフリカ諸国など海外の一部ではまだ流行し、渡航者を通じて国内にウイルスが侵入する恐れがある。厚労省は「接種率が下がって免疫を持つ人が減ると、流行のリスクが高まるので接種してほしい」と訴えている。

 発表によると、春(4~8月)と秋(9~12月)に集中して接種している全国の1282市区町村について、2009年から3年分を集計した。通年接種など400余りの市区町村は対象外。その結果、11年秋は、全国の対象者82万5千人のうち接種者は62万4千人で、接種率は75・6%。昨年春は83・5%で、7・9ポイント減少した。前年秋と比べると11年秋は15・2ポイントも減少した。




働き者の乳酸菌とビフィズス菌 免疫力アップ、花粉症改善 アンチエージングにも期待 12.3.15

(毎日新聞社 2012.3.15)

 ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌やビフィズス菌への視線が熱い。というのもインフルエンザの予防や、花粉症の緩和につながる可能性を示す研究報告が相次いでいるからだ。腸内で活躍する「ミクロの働き者」たちの新たなパワーを探った。

 色とりどりのパッケージが並ぶ棚の前に立っただけで、おなかの調子がよくなるように感じるのは気のせいか。訪れたのは、東京都板橋区のスーパー、マルエツ板橋駅前店のヨーグルト売り場。

 「整腸作用があり、アレルギーにも良いと聞くので、子供のためによく買っていますよ」。パートの女性(33)が言う。一方「震災で品薄になって以来、我が家は手作り。牛乳に市販のヨーグルトを混ぜて発酵させるんです」と教えてくれたのは、近くに住む主婦(69)だ。「特にいいのは免疫力がアップすることですね」。そう言って手にしたのは、赤いパッケージ。この冬の「ヨーグルトブーム」に火を付けたとされる、明治の商品「R―1」だ。

 きっかけは一つの報告だった。佐賀県有田町の伊万里有田共立病院の調査では、2010年から11年にかけての半年間、町内の全小中学生約1900人に学校給食で「R―1」のドリンクタイプを毎日飲ませたところ、インフルエンザの感染率が小学生0・64%、中学生0・31%と、県全体や周辺自治体に比べ格段に低かった――というのだ。

 テレビの情報番組でこのデータが紹介されると、スーパーに「R―1」を求める客が殺到し、品薄になって棚が空になるという事態に。

 ヨーグルト全体の売り上げも好調だ。マルエツは首都圏に約260店を展開するが、2月の売り上げはプレーンタイプで前年より35%伸びた。

 ■

 「乳酸菌とは、牛乳などに含まれる糖を分解し、大量に乳酸を生み出す細菌の総称なのです。あの酸味は乳酸などによるものですが、菌自体は無味無臭ですね」。そう話すのは「ヨーグルトの科学」などの著書がある信州大名誉教授の細野明義さんだ。一方のビフィズス菌は学問的には乳酸菌とは別種とされ、乳酸に加えて酢酸も作るという。

 ヨーグルトによって便秘が改善することは広く知られているが、これは乳酸が腸を刺激し、ぜん動運動を活発にするからだ。

 ここで、乳酸菌などの「仕事場」である腸内の環境についておさらいしよう。

 私たちの腸の中には、100兆個以上もの細菌がひしめき、体に良い「善玉菌」、有害な「悪玉菌」、どちらにもなる「日和見菌」という三つのグループに分かれる。悪玉菌が増えると発がん性物質や毒素ができるため、人体もこれを警戒し、全ての免疫担当細胞の約70%を腸の周囲に配しているほどだ。

 善玉菌の乳酸菌やビフィズス菌をとれば、悪玉菌を抑制する働きがあるとされるが、近年は、それらのパワーを裏付けるデータが次々に報告されているのだ。

 例えば、重要な免疫細胞の一つで、がん細胞やウイルス感染した細胞を破壊する役を担う「ナチュラルキラー(NK)細胞」への影響だ。先に紹介した「R―1」には1073R―1という乳酸菌が含まれているが、この菌入りのヨーグルトを食べると、NK細胞の働きの度合いを示す「NK活性」の値が上昇したとの報告がある。乳酸菌シロタ株の入ったヤクルトの製品の試験でも、やはり上がった。

 ならば、免疫バランスが崩れることによって起きるアレルギーに対してはどうか。森永乳業の研究で、花粉症の患者にビフィズス菌BB536の粉末を13週間飲み続けてもらったところ、鼻水、鼻づまりなどの自覚症状が改善されたという。乳酸菌でも同様の効果が報告されている。

 細野さんによると、乳酸菌には発がん性物質を吸着する働きもあるそうだ。「乳酸菌の細胞壁に発がん性物質がどんどんくっつくのです。菌はそのまま排せつされるから、おなかの中がきれいになる。しかも、その吸着力は、腸に届く前に胃酸などで死んでしまった乳酸菌にも残っていることが分かっています」

 ■

 アンチエージング(老化予防)との“接点”も浮かび上がってきた。

 協同乳業や京都大などが、人間の30~35歳に当たる生後10カ月のマウス20匹に、ビフィズス菌LKM512を週3回投与し、生存率が75%に低下するまでの期間を調べた。その結果、食塩水を与えた群では投与18週目、生後1年3カ月だったのに対し、LKM512を与えた群は投与45週目、生後1年10カ月だった。「この半年の伸びは、マウスの平均寿命(約2年)の4分の1の効果があった計算になります」。協同乳業研究所の松本光晴主任研究員は言う。

 そこには、DNAの安定化や細胞増殖などに関係する生理活性物質「ポリアミン」が関係していると、松本さんらはみる。「ポリアミンは生命活動そのものに関わる物質。LKM512を投与したマウスは、大腸内でポリアミン濃度が上昇していました」

 こうしたデータは、あくまで限定的な条件下や動物実験によるものだが、今後に期待を抱かせることは確かだ。

 ◇おいしく楽しい伝統のぬか漬け

 日本の「伝統料理」にも乳酸菌は生かされている。

 「コンニャクですけど」
 「カボチャです」
 「これはエリンギです」

 東京都三鷹市で10日にあった「ぬか漬けマラソン」という名の講習会。まるでシルクハットからハトを飛び立たせるマジシャンのように、先生の世田谷区の主婦、岡部奈尾江さん(39)が小さな容器から大ぶりな野菜たちをゴロンゴロンと取り出す。その手元を見詰める約30人の男女からどよめきの声が上がった。

 岡部さんは、母の作るぬか漬けが大好きだった。自分でも漬けるようになり、幼い息子の友達に出せば、どんどん食べてくれる。その母親たちに頼まれ、約3年前から講習会を開くように。この日は多摩地区の市民講座「東京にしがわ大学」に招かれた。

 ぬかには、整腸作用のある乳酸菌がたっぷり含まれている。そのぬかのうまみを吸った野菜はこくがあって、さわやかな酸味が口中に広がる。ぬか漬けの作り方を指導した岡部さんは、こうあいさつした。「ぬか漬けっておいしくて、楽しくって、体にいい。いいことずくめです」

 確かに、そうだ。「うまいなあ」と喜びながら乳酸菌を取り込めているのだから。

 「東日本大震災後、免疫力を上げるために発酵食品への関心が高まっていると感じています。私自身、旅行などで2、3週間食べないと、お肌の調子が悪くなる。ぬか漬けの力を実感します」

 体の中で働いてくれていると思えば、いとしさも増す。ヨーグルトやぬか漬けを食べた後は、そっとおなかをなでてあげようか――。



RA患者、心房細動と脳卒中多い 12.3.13

(2012.03.13:BMJ

文献:Lindhardsen J et al.Risk of atrial fibrillation and stroke in rheumatoid arthritis: Danish nationwide cohort study.BMJ 2012;344:e1257.

 デンマークで慢性関節リウマチ(RA)、心房細動、脳卒中の既往がない418万2335人を対象に、RAと心房細動および脳卒中リスクとの関連を全国コホート研究で調査。RA患者では一般集団に比べ心房細動(年齢性別調整後の1000人年当たりのイベント発生率8.2対6.0)、および脳卒中リスク(同7.6対5.7)が高かった。

原文(BMJ)
http://www.bmj.com/content/344/bmj.e1257



米専門誌に論文捏造、東京医歯大助教を懲戒解雇 12.3.9

(読売新聞 2012.3.9)

 東京医科歯科大学は9日、論文の一部データに捏造(ねつぞう)などの不正が判明した同大医学部付属病院の川上明夫助教(43)を懲戒解雇処分にしたと発表した。

 川上助教は、同大の懲戒委員会の聞き取りに対し、2008-10年にかけて米心臓協会誌で発表した論文3本での不正を認めたという。同大の大山喬史学長は「誠に遺憾。真摯(しんし)に受け止め、研究者倫理のより一層の徹底を図る」とコメントした。




移植、死刑囚が主要供給源 中国衛生省次官 12.3.8

(共同通信社 2012.3.8)

 【北京共同】7日付の中国夕刊紙、法制晩報によると、中国衛生省の黄潔夫(こう・けつふ)次官は開会中の国政助言機関、人民政治協商会議(政協)の会議で6日、中国の臓器移植の現状について「一般人の献体が不足しており、死刑囚が主要な移植臓器の供給源だ」と述べた。

 黄氏はメディアの取材に対し、臓器提供者(ドナー)の大半が死刑囚だと明らかにしたことがあるが、公の場で認めるのは異例。

 また黄氏は、中国では毎年150万人の臓器提供を待つ患者がいる一方、移植のために提供できる臓器は1%に満たないと述べ、ドナー不足の現状を強調。移植希望の患者とドナーの情報を的確に管理するシステムを構築し、公正な臓器移植が行える制度を整備すると表明した。




3月8日は国際女性デー:妊産婦の命を救う産科医療の拡大を [国境なき医師団(MSF)日本] 12.3.8

(プレスリリース 2012.3.8)

国際女性デーを迎えた3月8日。世界では、依然として数多くの女性が出産時に命を落としている。国境なき医師団(MSF)は、その現状を訴える報告書
『妊産婦の死:救えるはずの命』http://www.msf.or.jp/info/pressreport/index.html
を本日発表し、緊急的・恒常的危機に直面している妊婦に救急産科医療を提供することで、その命をより救うことができると説明している。

MSFは、妊婦が必要とする医療の提供に取り組んでおり、世界中で危機的状況におかれた数多くの妊婦にとって救急産科医療が圧倒的に不足している現状を訴える。この報告書では、MSFが活動するパキスタン、ソマリア、南スーダン、ハイチなどの12ヵ国の妊婦がおかれている状況を分析し、特に合併症が起きた場合の緊急医療ケアの必要性を強調している。

MSFの婦人科医療顧問、カーラ・ブラックバーンは話す。
「世界全体の妊婦のうち15%が、命にかかわる合併症を併発しています。シドニー、ポルトー・プランス、モガディシオなど、どこの国であろうと、合併症が起こったときには適切な救急産科医療が必要になります。これは、国際都市の設備の整った病院や、紛争地、難民キャンプ、壊滅的な被災地など、どんな状況でも同じです」

現在、世界では毎日平均で約1000人の女性が、分娩時や妊娠合併症によって命を落としている[1]。しかし、資格をもつ助産師の介助や適切な薬、設備された環境があれば、このような母と子の命は救うことができる。

妊産婦死亡の大半は、出産の直前・最中あるいは直後に起こる予測不可能な合併症が原因であるため、分娩は母子両方の命を救う上で最も重要な局面である。MSFは緊急医療援助団体として、人道的危機にある状況下での妊産婦死亡率の低減に取り組むと同時に、命を救うための救急産科医療を無償で提供できる範囲を拡大すべく技術・物資調達面で注力している。

ブラックバーンは、さらに次のように述べている。
「分娩時に適切な医療ケアを行うことで妊産婦の命を救えることがわかっているにもかかわらず、今も、多くの妊産婦が出産で命を落としている状況は悲劇です。妊産婦の死亡は避けられることを、常に肝に銘じる必要があります」


MSFは約30ヵ国で産科医療を提供している。2010年、MSFのスタッフは15万件以上の分娩介助を行った。



「勤務医にとって医師会は疑念の対象」

日医委員会、全医師の協働目指し「理事の勤務医枠」要望 12.3.7

(m3.com 2012.3.7)

 日本医師会は3月7日の定例記者会見で、勤務医委員会の答申、「すべての医師の協働に果たす勤務医の役割」を公表した(資料は、日医のホームページを参照)。勤務医が積極的かつ主体的に医師会活動に参加する重要性を指摘したのが骨子で、その実現のために、日医の理事に「勤務医枠」を設けることを委員会の委員の総意として提言した。

 答申では、開業医と勤務医を問わず、全医師が協働して取り組む必要がある場として、(1)災害医療、(2)医療安全・医療事故への対処、(3)終末期医療、(4)地域連携、(5)医学教育と医療技術の向上、(6)医療への信頼感の醸成、などを挙げた。その上で、勤務医の過酷な勤務環境、“医療崩壊”とされる現状を解決し、各種医療制度改革について医師の総意としての展望と提言を発信していくためには、開業医と勤務が日医に結集することが求められているとした。

 ただし、現状では、「勤務医にとって、相変わらず医師会は疑念の対象」であるとし、多くの勤務医は、「診療報酬で冷遇されてきた」「B会員として勤務医は冷遇され議決権もない」「医療安全調査委員会設置問題でも勤務医の考えを分かっていない」「幹部が開業医ばかりで勤務医の意見を聞かない」と考えているため、「確かに変わった」と感じられる方策が必要と指摘。

 その方策として、意思決定の場に勤務医が入り議論を深めるために、日医理事について、特に診療報酬や医療安全、高度先進医療の分野について、勤務医を公募するよう提言。「理事は担当する仕事を多く抱えており、昨今の厚生労働省の動きや医療問題のスピード感を上回ることが難しいという問題もあるだろう。スピード感のある対応をする意味でも、理事を増やし、勤務医や大学病院の医師に就いてもらうべき」としている。

 常任理事の三上裕司氏によると、現執行部には勤務医はいないが、過去には勤務医の理事がいたことがあるという。また都道府県の中には、代議員の過半数が勤務医のケースもある。しかしながら、現状では、日医会員は2011年8月1日現在、16万5579人で、その勤務医は47.2%。しかし、代議員357人中、勤務医は38人で、10.6%にすぎない。

 そのほか、日医や都道府県医師会の代議員に、「勤務医の公募枠」を作るなどの代議員制度の見直しや、日医会長の全会員の直接選挙などの医師会改革を提言している。

勤務医委員会の答申を説明する、日医常任理事の三上裕司氏。

 「日医ははなはだ心許ない状況」

 勤務医委員会の委員長は、富山県医師会副会長で、富山市立富山市民病院院長の泉良平氏が務めた。委員の大半は、各都道府県の理事クラスで、教授や院長の肩書き。同委員会が想定する一般的な勤務医像とは立場が違う委員がまとめた答申だが、率直な表現を用いた内容で、興味深い。

 例えば、勤務医の日医加入率の低さを、「日医が名実ともに医師を代表する組織として認知されるには、はなはだ心許ない状況」と表現、「勤務医の組織的確保の問題は、今や日医の組織の存在意義を賭した重要な課題」と警鐘を鳴らしている。

 折しも2年に一度の日医会長選を4月1日に控えている。既に3候補が名乗りを上げている(『日医会長選、森・京都府医師会長が立候補へ』、『原中日医会長、「もう一期やることが責務」』、『日医会長選、横倉・日医副会長も立候補』を参照)。今回の答申が指摘したように、勤務医の支持、さらには国民の支持を得て、プロフェッショナル集団として活動できる組織作りにふさわしいリーダー選びが求められている。

 なお、3月7日の記者会見では、精神保健委員会、乳幼児保健検討委員会、救急災害医療対策委員会の答申、「移植医療をめぐる生命倫理」についての報告も説明された。




「注目中のリスク情報」を公開--医薬品医療機器総合機構(PMDA)12.3.8

(薬事ニュース 2012.3.8)

 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は2月24日、厚生労働省並びにPMDAが現在注目している、「使用上の注意」の改訂等に繋がりうる医薬品34成分のリスク情報を公開した。

 リスク情報は、副作用報告の一定の集積や市販直後調査等において示唆された医薬品のリスクに関する情報で、厚生労働省及びPMDAが、当該医薬品との関連性を評価中であるものの、使用上の注意の改訂等につながるものとして注目している。PMDAでは、リスク情報を公開する一方、患者等に対し、リスク情報は評価中のものであり、自己判断で服薬を中止したり、用量を減らしたりしないよう呼びかけている。




がん 禁煙・節酒・減塩・運動・適正体重でリスク4割減 がんセンター「一つでも実践を」 12.3.5

(毎日新聞社 2012.3.5)

 禁煙や塩分控えめの食事など五つの生活習慣を実践すると、がんのリスクが4割程度減少するという研究結果を国立がん研究センター(東京都中央区)がまとめ、5日発表した。五つの習慣のうち一つでも多く実践するほどリスクは減少していくという。オランダの医学誌に掲載された。

 90年代後半に45~74歳だった7万8548人(男性3万6964人、女性4万1584人)を06年まで追跡し、がんのリスクを下げると言われている五つの生活習慣とがんの発生率との関係を調べた。

 その結果、禁煙▽節酒(1日日本酒1合以下を週6日以内)▽塩分控えめの食事(タラコ4分の1腹を月1回程度)▽活発な活動(1日に男性でスポーツ1時間以上、女性で立ったり歩いたり3時間以上)▽適正な体重(体格指数=BMI=が男性で21~27、女性で19~25)の五つの生活習慣のうち、二つを実践しているグループは、ゼロまたは一つだけ実践しているグループに比べ、がんのリスクが男女とも14%低下した。さらに実践している生活習慣の数が多いほど、男女ともリスクが直線的に低下し、五つすべてを実践すると、男性で43%、女性で37%低下することが分かった。

 調査結果を分析した同センターの笹月静予防研究部室長は「今より一つでも生活習慣を変えられれば、がんのリスクは確実に低下する。生活を見直すきっかけにしてほしい」と話している。



不眠症27%、高血圧13%増加 ストレスが影響か 医療生協が調査 福島第1原発事故 12.3.5

(毎日新聞社 2012.3.5)

 福島市で診療所を運営する福島中央市民医療生活協同組合が、昨年の福島第1原発事故からの半年間と前年同期で外来患者延べ約9000人の疾患を集計したところ、事故を境に不眠症が27%、高血圧が13%増えていたことが分かった。【井上英介】

 同生協は「原発事故後の高い放射線量による不安やストレスが、体調悪化の引き金となっている状況は否めない」と分析し、事故による汚染が住民の心に深刻な影響を与えている実態を裏付けた形だ。調査では、昨年3月11日~8月31日に診療所を受診した4551人と、一昨年3月11日~8月31日に受診した4434人のカルテから疾患を集計した。

 その結果、不眠症が292人から370人に、高血圧が493人から557人に増えていた。免疫力低下などが原因で起きる帯状疱疹(ほうしん)が、19人から50人に急増。運動不足などからくる高脂血症も418人から449人に7%増えた。

 同市は震災時、家屋倒壊はほとんどなく、住民が避難所や仮設住宅暮らしを強いられる状況ではなかった。だが、空間放射線量は中心部の杉妻町で原発事故以降の累積が約4ミリシーベルトと高くなっている。

 同生協は「帯状疱疹については原発事故との因果関係は断言できないが、不安が増加要因となっている可能性がある」と分析する。




バイオビジネスアワードJAPAN 佐賀大・木村教授ら研究班が最高賞 新抗がん剤の可能性で 12.3.5

(毎日新聞社 2012.3.5)

 南米に自生する「ブラジルおとぎり草」の茎から抽出した物質について新しい抗がん剤につながる働きを解明したとして、佐賀大学医学部の木村晋也教授らの研究班が、「第2回バイオビジネスアワードJAPAN」で最高賞を受賞した。これまでの抗がん剤よりも副作用が少ない薬の開発につながる可能性があるという。

 教授らによると、民間伝承薬として使われてきたブラジルおとぎり草の茎から抽出した物質が、抗がん効果を持ってることを発見。その物質をベースに、効果を高めるように化合物を作った。

 その化合物の作用を研究したところ、体内で不要になったタンパク質を分解する「プロテアソーム」という器官まで運搬する機能のある「ユビキリン1」を阻害する働きがあることをつきとめた。

 現在、多発性骨髄腫などに使用されている抗がん剤「ボルテゾミブ」は、「プロテアソーム」自体の機能を阻害するため、がん以外の正常な細胞も破壊して副作用の原因となることもあるという。

 木村教授は「今回の発見で、そのリスクを軽減する可能性が見えてきた」と語る。

 今後、どのようながんに効果があるのかなど詳しく研究を進め、製薬会社と創薬に結びつけたい考えだ。

 バイオビジネスアワードは大阪府医薬品協会などでつくる実行委が主催した。大学や研究機関などの研究を産業に結びつけることを目的にしている。




予算案提案、メタボ健診で受診50%超えた自治会に報奨金 鹿児島・志布志市 12.3.3

(毎日新聞社 2012.3.3)

<この情報は推奨できない政策例:一見望ましく映るが実は問題含み。好手段と捉えては安易に過ぎる。(管理者コメント)>

 志布志市は、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)に関する健康診断「特定健診(メタボ健診)」の受診率が50%を超えた自治会に、達成割合に応じて報奨金を支給する事業を新年度から始める。受診率向上への市独自の取り組み。2日、事業費363万円を含む新年度一般会計当初予算案を定例市議会に提案した。

 特定健診は、国民健康保険、企業健康保険組合など公的医療保険のすべての加入者のうち40~74歳を対象に08年スタート。身体測定や血圧、血液、尿検査などがあり、生活習慣病のリスクがあると判定されると保健指導が行われる。

 市内の自治会は390。報奨金制度では50%を超えた自治会には一律1000円を支給し、さらに受診率に応じて1人あたり200~400円の報奨金にその自治会の受診者数をかけた額を上乗せする。交付金は自治会運営費などに充てられるという。

 同市によると、09年度の国保加入者特定健診受診率は全国平均41・3%で、県平均32%、同市は35%。国は国保加入者の受診率目標を65%、全体では70%としている。未達成の場合、後期高齢者医療保険への各自治体の支援金が一定割合で増額されることから、同市は「数年は事業を継続し、受診率向上を図っていきたい」と話している。



10万人あたり死亡率、男女とも最悪の県は? 12.3.2

(読売新聞 2012.3.2)

 厚生労働省が1日発表した2010年の都道府県別の年齢調整死亡率で、青森県の人口10万人あたりの死亡率は男女とも最悪だった。

 男性は662・4人(全国平均544・3人)、女性は304・3人(同274・9人)で、全国平均を大きく上回った。男性は3回連続、死因別でも心疾患など7部門で最悪となるなど、これまで以上に改善が迫られる結果となった。

 男性が最悪になるのは、2000年調査から3回連続で、女性は05年調査では栃木に続くワースト2位だったが、今回は全国で唯一300人を超えて最悪になった。最も死亡率が低かった長野県と比べると、女性が55・5人、男性は185・1人も多かった。

 17種類ある死因別では、男性は肺がん、大腸がん、悪性新生物(すべてのがん)、心疾患、肺炎、腎不全、糖尿病で最悪となり、5分野で最悪だった前回よりも悪化した。脳血管疾患、脳梗塞、自殺でも同2位だった。女性も大腸がんで最悪を記録したほか、肺がん、心疾患、急性心筋梗塞などでワースト10位以内に入った。

 県は栄養・食生活や自殺予防対策、アルコールなど9分野での取り組むべき施策を記した「健康あおもり21」を01年に策定し、死亡率の改善に努めているが、高止まりしている背景には、男性全国最悪、女性がワースト2位(2010年)という高い喫煙率や、児童の肥満傾向があるとみられる。県幹部は「これまで以上の努力をしないとなかなか汚名は返上できない」と話す。

 新年度予算案でも、がん医療機関や患者の体験などを紹介する情報サイトを新たに運営するための新規事業費を計上しており、引き続き対策に努める考えだ。

 ◆年齢調整死亡率=厚生労働省が都道府県別に5年ごとに調べている。死亡数を人口で割っただけの単純な死亡率は、高齢者が多い都道府県では高くなる傾向になるため、年齢構成を調整し、より正確に地域比較ができるようにした。




[健康] 医師をはじめ、すべての医療関係者の喫煙率ゼロを目指す  日医 12.3.2

(厚生政策情報センター 2012.3.2)

日本医師会「受動喫煙ゼロ宣言」-子どもたちを受動喫煙から守るために-(2/29)《日本医師会》

  日本医師会は2月29日の定例記者会見で、「受動喫煙ゼロ宣言」を発表した。

  我が国は、先進諸国と比べて喫煙率の高いことが知られている。政府や関係各団体は、全面禁煙や分煙など受動喫煙防止対策の強化を進めている。

  日医はこうした動きを高く評価するものの、十分な対策がとられていないことを懸念。そこで、「受動喫煙ゼロ」に向けて、(1)妊婦や乳幼児の家庭内での受動喫煙の防止を推進する(2)学校保健の場を通じて、児童・生徒にたばこの有害性などについての健康教育を推進する(3)医師をはじめとしたすべての医療関係者の喫煙率ゼロを目指す(4)すべての医療機関の敷地内全面禁煙を推進する(5)公共的施設の敷地内全面禁煙を国や自治体に働きかける(6)健診や日常診療の機会に禁煙教育の徹底を図る―という6つの取組みを進めることを宣言している(p1-p2参照)。



「地下病院」で臓器摘出 中国、売買集団を起訴 12.3.1

(共同通信社 2012.3.1)

 【北京共同】中国北京市海淀区の人民検察院は、組織的な臓器売買の罪で犯罪集団のメンバー16人を起訴した。中国紙、検察日報(電子版)の報道として中国国際放送などが29日伝えた。

 メンバーらは51の腎臓の売買に関与し、1千万元(約1億2800万円)以上の不正な利益を得ていたことが判明。臓器摘出用の「地下病院」を設置しており、同紙は「最大規模の臓器売買犯罪」としている。

 同紙によると、メンバーらは、経済的に苦しい若者らからそれぞれ2万~2万5千元で腎臓の提供を受け、移植先の患者側からは1人当たり約20万元を受け取っていた。

 メンバーらは当初、江蘇省の病院の手術室を借りて臓器を摘出し、その後、移植手術が行われる北京市の病院に陸路で搬送。しかし搬送の手間を省くため、2010年からは北京市内に臓器摘出用の「地下病院」を設けたという。




大日本住友が米企業買収 抗がん剤に本格進出 最大2千億円拠出も 12.3.1

(共同通信社 2012.3.1)

 大日本住友製薬は29日、がん治療を専門とする米国のバイオベンチャー企業、ボストン・バイオメディカル(本社マサチューセッツ州)を買収し、完全子会社化すると発表した。この企業が開発中の抗がん剤の情報や技術を獲得し、拡大が見込まれるがん治療薬の市場に本格進出するのが狙い。

 株式取得費用として創業者のファンドなどに2億ドル(約160億円)を支払う。買収は4月の完了を目指す。これとは別に発売する抗がん剤の売上高によって多額の支払いが必要になる契約で、株式取得費用を含めて費用は最大で約2100億円に上る可能性があるという。

 武田薬品工業がスイスの製薬大手ナイコメッドを1兆円以上で買収するなど、日本の製薬会社が欧米企業を買収するケースが相次いでいる。

 大阪市の本社で記者会見した大日本住友の多田正世(ただ・まさよ)社長は「がん領域の市場は魅力がある。獲得する開発品は、成長の力になりうる」と述べた。大日本住友は今回の買収により米国での研究を本格化し、世界的ながんの研究開発体制を整える。

 抗がん剤は2015年以降の発売を目指す。株式取得費用とは別にボストン社が抗がん剤を開発する対価として最大5億4千万ドル、発売する抗がん剤の年間売上高に応じて最大18億9千万ドルをそれぞれ現在の株主に支払う可能性がある。



患者データ278人分紛失 岡山大病院

共同通信社 3月1日(木) 配信

 岡山大病院は29日、患者278人分のデータが入ったUSBメモリーを紛失したと発表した。

 岡山大病院によると、紛失したのは内科系の診療科の患者データ。片仮名の氏名と患者ID、年齢、性別、身長、体重、血液検査の結果などが入っていた。

 30代の男性医師が学会の研究発表のため、18日に病院でデータをUSBに移し、服のポケットに入れて自宅に持ち帰った。19日に同じ服で出勤した際、ポケットにUSBがないのに気付き、20日に自宅や立ち寄った場所を捜しても見つからなかった。

 岡山大病院は診療データを外部に持ち出す際は、個人が特定される氏名と患者IDを外すよう院内の規則で定めている。




空手部先輩、殴る蹴る…医科大助教が研修医に 12.2.29

(読売新聞 2012.2.29)

 聖マリアンナ医科大(川崎市宮前区)の耳鼻咽喉科の高津光晴助教(39)が男性研修医(28)に暴行してけがを負わせたとして、同大は27日、高津助教の諭旨退職処分を決め、助教は同日退職した。

 同大総務部によると、高津助教は6日昼頃、耳鼻咽喉科の医局で約30分間にわたり、研修医に殴る蹴るの暴行を加え、罵声を浴びせた。

 研修医は頸椎(けいつい)捻挫や全身打撲で全治2週間のけが。2人は同大空手部の先輩、後輩の間柄で、研修医が当初、同科への入局を約束したが、血液内科への入局を決めたため、助教が腹を立てたという。

 暴行の際、同僚の医師2人が短時間居合わせたが、助教を制止しなかったという。

 同大総務部の薄井隆文部長は「社会人として許されざる行為で、諭旨退職の厳しい処分にした」と話している。



特定の医師が同意書作成か 治療院、患者獲得狙う? 12.2.27

(共同通信社 2012.2.27)

 大阪府高槻市のマッサージ治療院による療養費不正請求問題で、治療院が公的医療保険適用に必要な同意書の作成を特定の医師に依頼し、医師が求めに応じて書類を作成していた疑いがあることが26日、治療院関係者への取材で分かった。高槻市によると、経営者の男性(46)は調査に「患者の8~9割はその医師に同意書を書いてもらった」と説明した。

 厚生労働省の規則は「医師はみだりに施術に同意してはならない」と規定。同意書の乱発は不正に当たるとされている。

 リハビリ施設を持つ病院などでは患者が外部で医療マッサージを受けようとしても"囲い込み"を狙って医師が同意したがらないケースがあるとされる。治療院はこうした患者を獲得するため特定の医師と提携した可能性があり、市などが詳しい経緯を調べている。

 同市の男性(73)の家族によると、男性は治療院に「マッサージを受けたい」と相談し、提携医を紹介された。提携医は男性宅の玄関先で氏名などを確認しただけで、数分で立ち去った。男性は腰痛と肩関節周囲炎を患っていたが、不正発覚後に取り寄せた同意書には「パーキンソン病」と記されていた。

 提携医は2010年9月に大阪市内のクリニックを閉め、同12月に死亡。しかし治療院が作った高槻市の女性(70)の療養費支給申請書には11年2月1日に提携医が施術に同意したとする記述があり、提携医の氏名や閉院したクリニックの所在地も書かれていた。

 治療院が、提携医が亡くなったことを知らずに記入したとみられ、高槻市などは偽造とみて調べている。



歯周病治療で肝機能改善 非飲酒者も発症の脂肪肝炎 12.2.23

(共同通信社 2012.2.23)

 飲酒しない人も発症する非アルコール性脂肪肝炎(NASH)患者が歯周病菌を保有する割合は健康な人の約4倍と高く、歯周病の治療で肝機能が大幅に改善することを22日までに、横浜市立大や大阪大などの研究チームが突き止めた。

 研究チームによると、歯周病と心臓病や脳卒中との関連は指摘されているが肝炎では初めて。チーム長の中島淳(なかじま・あつし)横浜市立大教授(消化器内科)は「脂肪肝の人は肝炎に進行させないように、口腔(こうくう)内を衛生に保つことが大切だ」と話している。

 NASHは成人男性の3人に1人程度とされる脂肪肝の人のうち、1~2割を占める。進行すると肝硬変や肝臓がんを引き起こし、肥満との関連が指摘されているが、発症メカニズムは解明されていない。

 研究チームがNASH患者102人の歯周病菌を調べたところ、保有率は52%で健康な人と比べて約3・9倍だった。また肥満状態のマウスに歯周病菌を投与すると、3カ月後に肝臓が平均約1・5倍に肥大化。肝炎が悪化するなどした。

 歯周病のNASH患者10人に歯石を除去したり抗生物質で歯茎の炎症を抑えたりして治療した結果、3カ月後には平均すると肝機能の数値がほぼ正常になった。

 研究成果は16日付英医学誌の電子版に掲載された。



「節食」遺伝子欠け、高脂肪食で肥満リスク 京大発表 12.2.21

(毎日新聞社 2012.2.21)

 特定の遺伝子が損なわれると、脂肪のとりすぎによる肥満リスクが高まることを京都大の辻本豪三教授(ゲノム創薬科学)らが突き止めた。遺伝的に太りやすい人の診断や、肥満予防薬の開発などにつながるという。20日付の英国の科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 「GPR120」という遺伝子が、食べ物に含まれる脂肪酸を感知して、インスリン分泌を促したり、食欲を抑えたりする働きに関係することが既に知られている。研究グループはこの遺伝子を壊したマウスと通常のマウスそれぞれ数十匹ずつに低脂肪(13%)と、高脂肪(60%)の餌を与え、16週間飼育して比較した。

 低脂肪食のマウスの体重は共に平均約30グラムでほとんど差はなかった。高脂肪食の通常マウスは同約40グラムだったが、遺伝子欠損マウスは同約44・4グラム。特に肝臓の重量は欠損マウスの方が約70%も重く、中性脂肪の多い脂肪肝だった。

 さらにフランスの研究所が持つ欧州人約1万4600人の遺伝情報を肥満度別に解析。肥満グループの2・4%にGPR120の変異(機能低下)があったが、非肥満グループでは変異は1・3%だった。辻本教授は「西洋型の高脂肪の食生活と遺伝子の機能低下が重なると、肥満や糖尿病のリスクが高まる」と話している。



ぐしゃっと集まり染色体に 生命設計図の定説覆す 12.2.20

(共同通信社 2012.2.20)

 DNAが規則正しく束ねられてできていると思われていた人の染色体が、実はかなり「いいかげん」につくられていることを国立遺伝学研究所(静岡県)の前島一博(まえしま・かずひろ)教授らのチームが突き止め、17日付の欧州分子生物学機構専門誌に発表した。

 DNAは不規則にぐしゃっと集まった状態で、「X」のような形の染色体に収納されているらしい。生命の設計図をめぐり、高校の教科書にも載っている定説を覆す成果という。

 1970年代にノーベル賞学者らによって提唱された定説によると、ひも状のDNAは、まず糸巻きのような形のタンパク質に巻き付き、それが次々と規則的に折り畳まれ、染色体をつくる。

 ところが、チームが大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県)で、染色体の内部構造を解析したところ、きちんと折り畳まれていれば観察できるはずの構造が、存在しないことが判明。DNAは不規則に凝縮していると判断した。

 折り畳まれなくても、染色体の中心部にあるタンパク質が骨格の役割をして、Xの形状を保っているとみている。

 前島教授は「DNAは合理的に、少ないエネルギーで集まり染色体をつくっているのだろう」と話している。




脂肪コントロールする遺伝子 肥満改善薬の期待 12.2.20

(読売新聞 2012.2.20)

 脂肪の消費にかかわるたんぱく質を作る遺伝子の働きが悪いと肥満になりやすいことを、京都大の辻本豪三教授らが突き止めた。

 この遺伝子を活性化する物質を見つければ、肥満改善薬の開発が期待できる。20日の英科学誌ネイチャー電子版に掲載される。

 辻本教授らは、「GPR120」と呼ばれる遺伝子が欠損したマウスと正常なマウスに対し、脂肪を多く含んだ餌と普通の餌を16週間与え続け、体重の変化などを比べた。

 その結果、通常の餌では両者に違いは現れなかったが、高脂肪の餌の場合、欠損マウスは正常なマウスに比べて体重が平均15%増え、脂肪の量も2倍になった。欠損マウスの肝臓では、脂肪を作る酵素が増えて脂肪肝になり、糖尿病に似た症状も出た。

 欧州で約2万人の遺伝子解析を実施したところ、GPR120の働きが悪い人は、正常な人の1・6倍も肥満になりやすいことも確かめた。辻本教授は「GPR120は脂肪の消費と蓄積のバランスを保つ司令塔役らしい」と話している。




握力が強いほど長生き、循環器病発症も低リスク 12.2.20

(読売新聞 2012.2.20)

 握力が強いほど長生きする傾向があることが、厚生労働省研究班(研究代表者=熊谷秋三・九州大教授)の約20年間にわたる追跡調査で明らかになった。

 死亡リスクだけでなく、心臓病や脳卒中といった循環器病の発症リスクも下がっていた。健康状態を表す指標として、握力が使える可能性があるという。

 調べたのは、福岡県久山町在住の2527人(男性1064人、女性1463人)。男女別に握力が弱い順から人数が均等になるように各4組に分け、年齢や飲酒状況などを補正し、死亡原因との関係を調べた。握力の最も弱い組(男性35キロ・グラム未満、女性19キロ・グラム未満)を基準に各組を比べたところ、男女とも握力が強いほど死亡リスクが下がる傾向があった。最も握力の強い組(男性47キロ・グラム以上、女性28キロ・グラム以上)の死亡リスクは、最も弱い組より約4割も低かった。




食料なく雪中2カ月、救出 スウェーデン、冬眠状態か 12.2.20

(共同通信社 2012.2.20)

 【ロンドン共同】スウェーデン北部ウーメオ近くの林道で、雪に埋もれた車の中に食料なしで約2カ月間いたという男性(45)が救出された。ロイター通信が18日、地元紙の報道として伝えた。

 人間は通常、水だけで1カ月程度は生き延びられるとされるが、地元紙は、男性が寒さの中で31度前後の低体温の冬眠状態になり、体力を消耗せずに生存できたのではないかとの医師の見方を伝えた。

 男性は17日、スノーモービルで近くを通りかかった人に発見され、救助隊が病院に搬送した。昨年12月19日からずっと車の中におり、後部座席で寝袋に入り雪を食べていたと話しているという。発見時は衰弱していたが、回復に向かっている。

 男性の車がなぜ雪の中に埋もれていたのか、詳しい理由は分かっていない。




長寿 但馬の100歳に学ぶ 健康の秘訣、調査・分析へ 兵庫県と阪大 12.2.18

(毎日新聞社 2012.2.18)

 県と権藤恭之・大阪大学准教授(高齢者心理学)らの研究グループは合同で、但馬の100歳以上の高齢者から聞き取り調査し、長寿の秘訣(ひけつ)を分析するプロジェクトに乗り出した。調査結果を来年度分析、秘訣を小冊子などにまとめ、高齢者の健康づくりや長寿に役立てる。【皆木成実】

 高齢化率の高い但馬は、100歳以上の人口が多いのが特徴。但馬県民局によると、1万人当たりの100歳以上の人口は県平均4・8人に対し、但馬は11・8人と倍以上になっている(2010年9月現在)。

 プロジェクトの名称は「健康百寿の秘訣を学び実践するプロジェクト」。今年度からの4年計画。

 なぜ但馬に長寿者が多いかを調べるため、今年度訪問調査で但馬の100歳以上約60人を対象に、健康状態や家族関係、生活の様子を聞き取った。

 権藤准教授のグループの調査に、県立但馬長寿の郷(養父市八鹿町)の職員も参加、支援している。来年度さらに調査対象を増やす。13年度に長寿の秘訣をまとめた小冊子などを作り、14年度に報告集会を開く予定。

 権藤准教授のグループは、伊丹市や東京都板橋区などでも高齢者の調査を進めている。データを基に但馬と他地域の比較もする。

 権藤准教授は「但馬では、高齢になっても農業などの仕事をしている人が多い。そのあたりに長寿の秘訣があると予測している。調査に基づいて詳しく分析したい」と話している。

〔但馬版〕




医療事故2件、「ヒヤリ・ハット」233件 初公表、前年より減 10年分 三重・伊賀市立上野総合市民病院 12.2.17

(毎日新聞社 2012年2月17日)

 伊賀市立上野総合市民病院は16日、10年に発生した医療事故が2件あったことを明らかにした。事故には至らなかった「ヒヤリ・ハット」事例は233件で、いずれも09年から減少した。同病院が医療事故やヒヤリハット事例を公表するのは初めて。

 同病院は医療事故やトラブルについて、ミスが事前に回避された「レベル0」から、事故が原因で死亡した「レベル5」までの7段階に分類している。10年の事故2件は、入院期間の延長や新たな入院が必要となった「レベル3b」で、深刻度は上から3番目。09年は3bが5件、その他が326件だった。

 10年の3b事故は、四肢が不自由な入院患者に寝返りを打たせた後に左足骨折が判明したケースと、患者が凍結した病院駐車場で転倒して頭を打ち、他の病院に搬送されたケース。事故が減少したことについて、同病院は「医師不足で入院患者が減ったのが影響している」とみている。

 事故情報などは09年分は、市議会に報告するにとどめていた。11年分の集計は夏ごろをめどに公表する方針。三木誓雄院長は「重大な事故はなかったと認識している。スタッフが頑張ってくれた」と話した。




医療の営利化阻止へ 報告書で理論武装日医 12.2.16

(薬事ニュース 2012年2月16日)

 日本医師会は2月8日の定例記者会見で、1月に報告書「医療を営利産業化していいのか」を取りまとめたことを発表した。2010年に、行政刷新会議「規制・制度改革に関する分科会」で混合診療の原則解禁等が議論されたことや、医療の成長産業化を明確に打ち出した「新成長戦略」が閣議決定されたことなどを受け、原中勝征会長が同会の「医療政策会議」に対して諮問していたもの。報告書では、その後に起こった東日本大震災や、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加問題などに関する検討も踏まえた上で、改めて「医療本体の営利産業化を許してはならないことは当然の前提」と強調している。中川俊男副会長は同報告書の今後の活用法について、「政府や厚生労働省の審議会・検討会などにおいて、理論武装の武器としたい」との考えを示した。



病気腎移植 10例目の第三者間移植実施 中国地方の男性患者へ 愛媛・宇和島徳洲会病院 12.2.15

(毎日新聞社 2012年2月15日)

病気腎移植:10例目の第三者間移植実施 中国地方の男性患者へ--宇和島徳洲会病院 /愛媛

 医療法人徳洲会(本部・東京都)は13日、宇和島徳洲会病院(宇和島市)で、治療のため摘出した腎臓を修復して別の患者に移植する第三者間病気腎(修復腎)移植の10例目を実施した。術後の経過は順調という。

 手術は、小径腎がんの沖縄県の女性患者(50歳代)から摘出した腎臓を修復し、慢性腎不全で透析中の中国地方の男性患者(同)へ移植し、万波誠医師らが執刀した。

 また同会の能宗克行事務総長は記者会見で、6月に米国移植学会で病気腎移植の臨床研究について発表することが決まった一方で、今月行われた第45回日本臨床腎移植学会(長野県)で発表の機会が与えられなかったことについて、「日本では門前払いされているが、世界では評価が高まっている。学会の方が率先して取り組んでいただけるとありがたい」と述べた。



診療報酬20億を不正受給か 熱海の病院、破産申し立て 12.2.13

(共同通信社 2012年2月13日)

 静岡県熱海市の熱海温泉病院が看護師数を水増しし、少なくとも2006年9月から11年8月にかけて約6千件、計20億円前後の診療報酬を不正受給していたとみられることが10日、関係者への取材で分かった。

 不正受給額を返金できず、同病院を経営する医療法人社団翔健会(しょうけんかい)は同日、東京地裁に破産を申し立てた。従業員約70人は3月末で解雇し、閉院する。入院患者約80人は2月中に転院などさせる。

 同病院は同じような手口で介護報酬約4億3千万円を不正受給したとして、静岡県が10年11月、介護保険事業者の指定を取り消すと発表していた。不正受給した介護報酬も返金できていないという。

 介護報酬の不正受給を受け、東海北陸厚生局静岡事務所などが監査を実施、診療報酬の不正受給も発覚した。

 同病院には医療病床が113あり、天然温泉を利用したリハビリテーション科や整形外科、内科がある。




神奈川県 予防接種の諮問委を 医療の課題解決グランドデザイン、最終案まとまる 12.2.15

(毎日新聞社 2012年2月15日)

県:予防接種の諮問委を 医療の課題解決グランドデザイン、最終案まとまる /神奈川

 10年先を見据え、県が医療の課題解決の方向性を示す「医療のグランドデザイン」の最終報告案が14日、プロジェクトチーム(PT、委員長=大道久・日大医学部客員教授)で提示された。予防接種行政に関して医療現場の医師や専門家と県が定期協議した上で方針を決める「神奈川版ACIP」の設置検討などが盛り込まれることになった。月内には黒岩祐治知事に最終報告し、具体化を目指す。

 ACIPは米のワクチン接種に関する諮問委員会の通称。公募によるメンバーのほか、政府関係者、専門家などで構成され、ワクチンの安全性や効果などを協議し政府に提言する。PTの会合で一部委員が県版のACIP設置を提案し、最終案に盛り込まれた。

 ワクチン接種を巡っては、県が昨年12月に始めた不活化ポリオワクチンのように、定期接種の国が少なくない中で国内では未承認となっている医薬品なども多い。また、県内では定期接種の麻しん・風しんの混合ワクチンの接種率が全国で最下位。このため、神奈川版ACIPではワクチン行政に関する国への提言や、市町村への接種に関する普及・啓発の助言などが想定されている。



アルコール影響で溺死? ヒューストンさん死因不明 12.2.15

(共同通信社 2012年2月15日)

 【ロサンゼルス共同】11日に遺体で見つかった米歌手ホイットニー・ヒューストンさんの死因は、14日になっても分かっていない。外傷はなく、発見時にはホテルの浴槽の水中に沈んでいた状況から、アルコールや処方薬の影響による溺死などが取り沙汰されている。

 ヒューストンさんは11日夜、長年一緒に仕事をしたプロデューサーが主催するグラミー賞の発表・授賞式の前夜祭に出演予定だった。その2日前にはリハーサルで大勢の前で元気な姿を見せた。

 ただ、この前後に宴会場でスキップをしたり、ホテルのプールで逆立ちをして見せたり「奇妙な行動」(ロサンゼルス・タイムズ紙)が目立ったとの目撃情報もある。

 ヒューストンさんはかつて、コカインなど違法薬物の依存症だったと告白。昨年にも治療を再び始めると報じられた。

 米メディアの関心は急死と薬物の関連に集中したが、ロサンゼルス郡検視局は13日、ホテルの部屋から見つかったのは「どこにでもある処方薬」だと明らかにした。

 芸能ゴシップの速報で定評のあるニュースサイトTMZは、薬は抗不安薬などで、アルコールとこれらを併用したことが死につながった可能性を警察当局が既に遺族らに説明したと伝えた。

 ただ、併用が直接の死因なのか、意識を失って浴槽で溺死したのかなど、死に至る詳しい経緯についてはTMZも明確に報じていない。

 AP通信によると、検視を終えたヒューストンさんの遺体は13日に遺族の元に戻され、ロサンゼルスを離れ、葬儀が行われる生まれ故郷の東部ニュージャージー州ニューアークに到着した。




米で偽物の抗がん剤流通 メーカーが注意喚起 12.2.15

(共同通信社 2012年2月15日)

 【ワシントン共同】米メディアによると、スイスの医薬品大手ロシュは14日、同社の抗がん剤アバスチン(一般名ベバシズマブ)の偽物が米国内で流通していることが分かったとして、医療機関に注意を呼び掛けた。

 米国外で製造されたとみられ、有効成分が含まれていないという。食品医薬品局(FDA)も、被害や流入ルートなどの調査を始めた。

 偽物は米国外の保健当局からの知らせで発覚。ラベルにフランス語が書かれているほか、製造番号が数字ではなく文字で始まる特徴があるという。

 アバスチンは、がん細胞に酸素や栄養を送る血管ができるのを抑える「血管新生阻害薬」として開発された新しいタイプの点滴薬。大腸がんや肺がんが対象で、世界で最も多く販売されている抗がん剤の一つ。

 アバスチンは日本国内では中外製薬が販売している。厚生労働省監視指導・麻薬対策課は「日本国内で偽の薬が流通しているかどうかの確認はしていない。ただ日本の医薬品の流通システムからは偽の薬が紛れ込む可能性は低く、国内の正規流通品を使用している限り問題はない」としている。




高齢者虐待隠し撮りが決め手…介護職員3人逮捕 12.2.14

(読売新聞 2012年 2月14日)

 兵庫県警は13日、介護付き有料老人ホーム「はぴね神戸学園都市」(神戸市西区)に勤務していた介護福祉士ら3人を、入所者女性(73)への暴行容疑で逮捕した。

 女性が3人からの暴行を訴えたのを受け、家族が居室に設置したビデオカメラにその模様が映っており、被害届を出していた。

 逮捕されたのはいずれも同施設の元職員で、介護福祉士の無職松田光博(40)(神戸市須磨区)、同島田淳子(39)(同)、無職節句田(せっくでん)穣(24)(兵庫県加古川市)の3容疑者(いずれも懲戒解雇)。

 発表によると、3容疑者は1月2日、施設内の居室のベッドにいた女性の頬や右腕をたたくなどの暴行を加えた疑い。松田容疑者は容疑を認め、島田、節句田両容疑者は否認しているという。

 女性が昨年末、「(職員から)たたかれる」と訴えたため、家族が今年1月、部屋にビデオカメラを設置して、録画を始めた。その映像には、松田容疑者が女性の歯を磨きながら顔を何度もたたき、「殺すぞ」と暴言を吐いた様子が映っていた。また、島田容疑者が脚が不自由な女性にベッドからはみ出た脚を自力で戻すよう強要し、できないと、「ええと思ってるの。日本語わかる?」と罵声を浴びせる場面や、節句田容疑者は携帯を操作しながら片手で女性の服を荒っぽく脱がせていた様子もあったという。




患部撮影したカメラ紛失 神奈川の病院、百人分以上 12.2.15

(共同通信社 2012年2月15日)

 神奈川県藤沢市の藤沢市民病院は14日、皮膚科の外来患者の患部などを撮影したデジタルカメラ1台を紛失したと発表した。100人以上のデータを保存していたとみられ、城戸泰洋(きど・やすひろ)病院長は「患者の特定を急いで謝罪したい」と話した。

 同病院によると、カメラは患者の氏名や生年月日などを記した外来カードを撮影した後に患部を撮影。皮膚科診察室の机の引き出しに保管していた。13日午前、男性医師(39)が診察中に使用しようとして、なくなっているのに気付いた。

 内規では鍵のかかる場所に保管するが、引き出しは鍵がかからなかった。10日に同じ医師が使用しており、紛失か盗難かは分からないという。

 大部分のデータはバックアップ保存していないが、病院は「患者への説明用で治療に影響はない」としている。




西洋フキに肝障害の恐れ 厚労省が注意喚起 12.2.9

(共同通信社 2012年2月9日)

 厚生労働省は8日、バターバーと呼ばれる西洋フキを含む健康食品が肝臓に障害を起こす可能性があるとして、消費者に食べないよう注意喚起した。主に外国産のカプセル状のものが流通しており、インターネット上では「花粉症を和らげる」などと宣伝されている。現時点で健康被害は報告されていない。

 英国の医薬品庁が同様の注意を呼び掛けたことを受けた対応。厚労省の担当者は「英国医薬品庁は『急性肝炎を引き起こした例もある』としている。詳細は調査中だが、念のため控えてほしい」と話している。輸入業者などにも販売中止を求める方針。

 厚労省によると、2011年の輸入量は115キロ。




[社会保障] 24年度国民負担率は39.9%、OECD加盟32ヵ国中27位と低い部類(2012.2.6 厚生政策情報センター)

平成24年度の国民負担率について(2/3)《財務省》

  財務省は2月3日に、平成24年度の国民負担率について公表した。

  国民負担率とは、国民所得(NI:national income、国民が得る所得の総額)に占める、租税・社会保障負担の割合のことである。

  平成24年度の国民負担率は39.9%で、前年度の40.1%よりも0.2ポイント低下する見込み(ちなみに過去最高は平成20年度の40.3%)。

  国民負担率が低下した要因として、財務省は(1)景気回復に伴う国民所得の増加(2)社会保障負担率・租税負担率の減少―の2点をあげている(p1参照)。(1)については、平成24年度は349.4兆円で、前年度に比べて7.1兆円増加(p2参照)。(2)では、地方税負担率が0.1ポイント低下、社会保障負担率が0.1ポイント低下している(p2参照)。

  また、租税、社会保障のほかに、財政赤字を加味した「潜在的な国民負担率」は、平成24年度は51.2%となり、こちらも前年度から3.6ポイントと大きく低下している。この要因について財務省は「東日本大震災からの復旧・復興事業を盛り込んだ大型補正予算を組んだこと」などをあげている(p1参照)。

  なお、国民負担率を先進諸国と比較すると、我が国は米国の30.3%よりは高いが、英国(45.8%)、ドイツ(53.2%)、フランス(60.1%)、スウェーデン(62.5%)に比べて低い状況にあるようだ(p3参照)。ちなみにOECD加盟32ヵ国中、我が国の国民負担率は27位と低い部類にある(p4参照)。

資料1 P1~P4(0.5M)
http://www.m3.com/tools/Document/WIC/pdf/201202_2/1709_2_1.pdf




普及へ動く重粒子がん治療 治療施設、3年後5カ所に 人材育成が急務 「医療新世紀」2012.2.7

共同通信社 2012年2月7日

 放射線の一種である重粒子線で、がんの病巣をピンポイントで狙い撃ちする「重粒子線がん治療」の全国的普及に向けた動きが活発化している。治療施設は現在稼働中の3カ所に加え、3年以内に2カ所が新設される予定。治療や機器開発に携わる人材の需要増加が見込まれるため、その育成が急務となっている。

 ▽高い精度

 「本当に照射中なのかと戸惑うほどで、痛くもかゆくもない」。2005年に前立腺がんで重粒子線治療を受けた千葉市の元会社員、野田隆志(のだ・たかし)さん(79)は、治療室での経験をこう振り返る。

 心臓に病歴があり、主治医から体への負担が大きい手術は避けた方がよいと告げられたため、自宅に近い放射線医学総合研究所(同市)での重粒子線による治療を選択。約5週間入院し、計20回の照射を受けた。

 照射は週4日で1回につき1分程度。治療のスケジュールに合わせれば外出も自由。照射がない週末は自宅に帰り、入院でたまった仕事を消化するため千葉県内にある勤め先の工場に通うこともできた。治療から6年が過ぎたが、副作用はなく体調も良いという。

 放医研の鎌田正(かまだ・ただし)・重粒子医科学センター長によると、重粒子線治療は重い炭素の原子核を「加速器」という大型の装置で光速の70%まで加速して照射する。高いエネルギーを持つ粒子を、体の深部にミリ単位の精度で集中照射できる。

 ▽増える希望者

 周囲の正常な組織を傷つけにくいため副作用が少ない。一方、がん細胞を死滅させる作用は強力で、ほかの放射線では治療が難しかった10センチ級の大きな腫瘍や骨肉腫などにも対応できる。

 治療を希望する患者は年々増加。放医研では、治療が始まった1994年度には21人だった登録患者数が、2010年度には691人に上った。

 現在、国内の稼働施設は放医研、群馬大病院(前橋市)、兵庫県立粒子線医療センター(同県たつの市)の3施設だが、13年には九州国際重粒子線がん治療センター(佐賀県鳥栖市)、15年には神奈川県立がんセンター(横浜市)が新たに加わる予定となっている。

 また、今年1月には山形大が付属病院で重粒子線治療の開始を目指す計画を明らかにするなど、導入を探る動きは各地に広がっている。

 加速器を含めた施設の建設費は約120億円。これに伴い治療費の患者負担は300万円前後と高額だが、鎌田さんは「比較的新しい治療法で、今後、技術の向上によってコストが下がる余地は大きい」と話す。

 ▽博士課程

 こうした現状を踏まえて、群馬大は12年度から重粒子線治療の将来の担い手を養成する博士課程プログラムを開設する。専門医だけでなく、関連機器を開発する研究者などの人材も対象だ。中野隆史(なかの・たかし)・群馬大重粒子線医学研究センター長は「各地の施設でリーダーになれる専門家を、少なくとも毎年4人は養成したい」と抱負を語る。

 中野さんによると、重粒子線は高度な治療が可能な分、従来のエックス線やガンマ線を使った治療で蓄積された知見に加え、この治療法に特化した専門技術や知識を多く学ぶ必要がある。だが、重粒子線治療の実施施設は、国内を除けばドイツと中国に各1カ所あるだけ。海外に頼ることはできず、自国で専門家を育てるしかないという。

 中野さんは、重粒子線治療の計画がフランスやイタリア、韓国などでも動いていると指摘。「将来は欧米からも博士課程に応募してくるのではないか。人材育成で日本が世界をリードしていく可能性がある」と話している。




元教授、現金収受認める 和歌山県立医大 12.1.6

(共同通信社 2012年1月6日)

 和歌山県立医科大(和歌山市)の腎臓内科・血液浄化センターの元教授(64)が民間病院から不適切な寄付金を受け取っていたとされる問題について、元教授が取材に対し「寄付金は2病院から頂き、医局費に充当した」と現金の収受を認める回答を6日までに文書で寄せた。

 元教授は現在在籍する都内の私立大を通じ回答。寄付金について「より自由に研究や研修に使用できるためのご厚意と解釈した」と説明している。

 しかし金額については「確認してないので、回答できない」としている。

 県立医大は同日、記者会見を開き、板倉徹(いたくら・とおる)学長は「お騒がせしたことについて、おわび申し上げたい」とコメントした。現時点では事実関係が把握できていないとした上で、外部の弁護士や公認会計士を交え立ち上げた調査委員会で究明していくとしている。

 県立医大では、2006年に独立行政法人になるまで、正規の寄付金は財団法人「和歌山県医学振興会」に納められ各医局に分配されることになっていたため、元教授が民間病院から直接受け取っていたことが問題となっている。




報告義務に違反か 茶のしずくで厚労省調査 12.1.6

(共同通信社 2012年1月6日)

 福岡県のせっけん製造販売会社「悠香」が販売した「茶のしずく石鹸(せっけん)」の旧製品による小麦アレルギー問題で、アレルギー発症に関する研究成果を悠香が把握した時期について、厚生労働省が薬事法の報告義務に違反している恐れもあるとみて調査していることが6日、分かった。

 薬事法は施行規則で、製品に有害な作用がある可能性を指摘する研究成果を知った場合は、30日以内に報告するよう定めている。

 厚労省によると、2010年9~10月、薬事法に基づく報告義務があると口答や文書で悠香に通知。悠香は11年3月に初めて届け出た。

 しかし、国立病院機構相模原病院(相模原市)の医師は10年3月には旧製品とアレルギーとの関連の疑いを悠香に直接指摘、同年秋には論文が学術誌に受理されたことを伝えたとしている。

 報告義務に違反すると、業務停止や業務改善命令などの対象になるという。

 厚労省安全対策課は、悠香に事実関係を確認しており、各地の研究者や医療関係者に対しても、悠香とやりとりした時期や内容を調査する予定。




〘再生医療・幹細胞投与/深層を探る〙胸をたたきながら「助けてくれ」12.1.5

(読売新聞 2012年1月5日)

<有効性や副作用が明らかではない再生医療・幹細胞投与が世界で行われている一方、この治療に希望を託す患者もいる。再生医療の深層を探る。>

 中国・延吉市の医療機関で2回目の幹細胞投与を受けていた韓国羅州市のチョン・チョンジンさん(享年61歳)。投与を受け始めて、約1時間後、体に異変が起きた。それは、4パック目の半分くらいを点滴していた時のことだった。急に呼吸ができなくなり、胸をたたきながら「助けてくれ」と大声を上げた。2009年10月28日午後3時頃のことだ。

 傍らにいた妻がすぐに看護師を呼び、点滴を外した。しかし、呼吸困難は続き、意識を失った。

 この病院では救急治療ができないため、市内の大学病院に運ばれた。病院では点滴治療が行われたが、妻は医師から、「亡くなる危険性は高いので、そのつもりで」と言われた。韓国の自宅にいた息子のチョン・ヨンイルさんは母親から状況を電話で聞き、怒りながらソウル市のRNLバイオ本社に電話した。職員は「申し訳ない。調べてみる。最善を尽くす。心配するな」と応えたという。

 その日の午後10時頃。チョンジンさんは意識を回復した。しかし、延吉朝陽再生医学医院や同行しているRNLバイオ関係者から詳しい説明がない。ヨンイルさんもRNLバイオ本社に電話したが、連絡が取れなくなった。

 チョンジンさん家族は、同社を、そして幹細胞治療を信じられなくなった。

 チョンジンさんは妻に付き添われ、翌29日正午頃、延吉市の空港から飛行機に乗り、午後3時45分頃に帰国した。

 チョンジンさんは自分で呼吸はできたが、話すこと、体を動かすことが、ほとんどできず、車いすでぐったりしていた。変わり果てた父親の姿に、空港まで迎えに来た息子のヨンイルさんは言葉を失った。

 ヨンイルさんが運転する車で、比較的自宅に近い光州市の朝鮮大学病院に到着したのは、既に午後9時23分になっていた。すぐに救急室に運ばれ、心電図や血液などの検査を受けた結果、心臓の筋肉に酸素や栄養を送る冠動脈が詰まる心筋梗塞が疑われた。点滴などによる懸命の治療が行われたが、チョンジンさんは寝たきりで、症状の改善が見られなかった。

 さらなる治療を受けるため、11月5日に全南大学病院に転院した。その後も、RNLバイオから明確な説明はなかった。ベッド上で「RNLバイオは、反省もせず、うそを積み重ねる詐欺師たちだ」と声を絞り出した。12月16日、息を引き取った。

 家族のために働き詰めだったチョンジンさん。ヨンイルさんら4人の息子は「親孝行がしたい」と、両親に新居をプレゼントすることを計画。建設が進んでいた。しかし、父親は完成間近だった新居に一度も入ることなく、この世を去った。

 家族は父の体に傷をつけたくないと解剖は行わなかった。全南大学の医師所見では「幹細胞投与を受けたことで肺塞栓症が発生したことが推測される。肺塞栓症は心筋梗塞の誘発要因になったと考えられる」と書かれていた。

 血液の塊が肺動脈を詰まらせ、死に至らしめることもある「肺塞栓症」は、京都ベテスダクリニックで亡くなった男性と同じ死因だった。




喫煙で医療費1733億円増加…脳・心臓疾患で 12.1.5

(読売新聞 2012年1月5日)

 脳梗塞や心筋梗塞などの医療費が、喫煙によって1733億円増加しているという推計を、厚生労働省研究班(主任研究者=辻一郎東北大教授)がまとめた。

 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)による増加分の1・5倍に上り、研究班は禁煙指導の強化を訴えている。

 研究班は、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)が1989-2007年に行った吹田市民4285人(40-74歳)の健康調査の結果を分析。様々な病気の発症率と、喫煙の有無との関連を調べた。

 その結果、脳梗塞や脳出血などの「脳血管障害」は、喫煙によって男性は25%、女性は5%増加。また、心筋梗塞や狭心症などの「虚血性心疾患」は、同じく男性は12%、女性は19%増えていた。この増加率から、全国の同じ年齢層の脳血管障害と虚血性心疾患の医療費総額1兆781億円(08年度)のうち、1733億円は喫煙によって余計にかかった分と算出された。



生活保護受給者の「頻繁通院」 全国で1万8217人…厚労省調査 11.12.31

(読売新聞 2011年12月31日)

2割は「過剰受診」で改善指導

 医療費が全額公費負担される生活保護受給者の2009年度の受診状況を厚生労働省が調査したところ、2日に1回以上の高頻度で3か月以上続けて通院した「頻回通院者」が、全国で1万8217人に上ることがわかった。うち3874人については、自治体が症状などに照らして「過剰受診」と判断。通院頻度を抑えるよう受給者を指導したが、改善はその約3割の1279人にとどまっていた。

 膨張する生活保護費の半分を医療扶助が占める中、こうした実態が明らかになるのは初めて。厚労省の統計によると、外来患者1人にかかる医療費は1日平均約7500円で、この額をもとに推計すると、過剰受診の受給者の医療費は3か月分で13億円以上に上る計算となる。

 同省によると、一般外来患者の月平均通院日数は約1日で、65歳以上の高齢者でも3日程度。一方、受給者1人当たりの通院医療費は、高齢者を含む一般患者の1・3倍に上る。同省は過剰診療抑制のため、同じ傷病名で同一診療科(歯科を除く)を月15日以上、3か月以上連続で受診した人について09年度分の診療報酬明細書(レセプト)の分析を各自治体に依頼、データを集計した。

 その結果、腰痛や関節炎、循環器系の疾患などで整形外科や内科の診療所に通院した受給者に、こうしたケースが多いことが判明。自治体はさらに、嘱託医に依頼して該当受給者の傷病や診療内容などを点検し、全体の約2割を「過剰」と判定、改善指導の対象とした。

 都道府県別では大阪府が最多で、以下、東京都、福岡県などが続く。

 ただ、この判定は医療機関が提出した書面の審査だけで断定できた場合に限られ、ほかにも必要性が薄い診療が行われている可能性がある。




そううつ病・うつ病 発症に関わる遺伝子を探す研究が始まりました。11.12.4

(毎日新聞社 2011年12月4日)

 ◆そううつ病・うつ病 発症に関わる遺伝子を探す研究が始まりました。

 ◇患者急増の原因究明へ

 ストレス社会の中で患者が急増しているそううつ病やうつ病。その発症に特定の遺伝子が関与していないかどうかを探ろうと、藤田保健衛生大(愛知県豊明市)医学部の岩田仲生教授(精神医学)らが調査に取り組み始めた。研究グループは一般の会社員など延べ1万人以上から遺伝子サンプルを提供してもらい、遺伝子解析や面接調査を重ねる予定。同種の研究としては世界最大規模のサンプル数になるという。そううつやうつの発症メカニズムはほとんど分かっておらず、研究成果の今後の予防・治療薬開発への応用にも期待がかかる。

 ◇職場環境の把握も

 研究グループがまず取り組むのは、協力者の職場環境などの把握だ。「職場の仕事に自分の意見を反映できるか」「職場の雰囲気は友好的か」「家族とどのくらい気軽に話ができるか」。このような設問に面接や電子メールで毎月回答を求める。酒量や喫煙の頻度なども聞き、職場や家庭でのストレスを継続的に把握することを目指す。遺伝子サンプルは協力者の唾液などから採取する。

 すでに地元の大手企業や病院などに協力を依頼しており、今年10月から5年間の研究期間に、会社員や看護師など1万人以上が参加する見込みという。具体的な症状が見られた対象者は治療にも協力する。

 ◇気分障害、100万人超

 岩田教授によると、そうとうつの状態を交互に繰り返すそううつ病は主に遺伝要因が強く影響するとされ、うつ病には遺伝要因と周りの環境の両方が影響していると考えられている。面接によるストレス調査は、特にうつ病の研究に役立てられる。

 遺伝子サンプルは理化学研究所が保有する約2万人分の遺伝子データとも比較し、症状の有無と遺伝子の特徴などの関連を調べ、発症に関わる遺伝子を特定することを目指す。

 厚生労働省や警察庁によると、うつ病などを含む「気分障害」の患者は増加を続け、08年に初めて100万人を突破した。98年以降、年3万人を超える自殺の約4割は気分障害が関連しているとみられている。

 背景には、職場での成果主義導入や雇用の不安定化による職場環境の悪化、貧困率の増加などさまざまな要因が指摘されている。しかし、国の研究予算がこれまでがんや糖尿病などに重点的に配分されてきたこともあって、科学的な原因究明はこれから。日本精神神経学会などはうつ病をがん、心臓病と並ぶ「3大疾患」と位置づけ、国民病として対策に力を入れるよう求めている。

 ◇アプローチ、多様に

 今回の研究は文部科学省の脳科学研究戦略推進プログラムの一環。学会などの声を受けて国も研究対策に重い腰を上げた形で、他に広島大、北海道大、群馬大などの各グループが、脳画像解析、動物の行動解析など、さまざまな角度からうつ病研究を実施する。多様なアプローチで病態の全容解明を後押しする方針だ。

 岩田教授によると、現在広く使用されている抗うつ薬は、脳内のセロトニンなどの神経伝達物質に作用しているが、セロトニンがそもそも発症にどの程度関わっているのかは不明。再発率の高さを考えても、薬の治療効果は十分といえないという。

 教授は「患者が増える一方で、診断技術は30年前から大きな進歩はない。発症に影響する遺伝的要因やストレス内容が解明されれば、予防や治療も進み、職場などのパフォーマンスも上がる。より暮らしやすい社会になるよう研究を役立てたい」と話している。




義理の娘を起訴 岡山、薬剤投与事件  11.12.5

 (共同通信社 2011年12月5日)
 岡山地検は2日、義父に不必要な薬を与えて低血糖と脳症を引き起こしたとして傷害の罪で岡山県井原市、無職中尾淳子(なかお・じゅんこ)容疑者(38)を起訴した。

 起訴状によると2~4月、4回にわたって自宅や病院で義父(82)に血糖降下剤を混入させた茶を飲ませ、低血糖と脳症の傷害を負わせたとしている。

 岡山県警は11月11日に殺人未遂の疑いで逮捕したが「殺すつもりはなかった」と殺意を否認していた。




(京都)最期の看取り 考える がん患者ら討論 11.12.5

(読売新聞 2011年12月5日)

亀岡、来月講演会 

 南丹市の公立南丹病院は、人生の最期の看取(みと)りをテーマにした講演会を来年1月28日、亀岡市余部町のガレリアかめおかで開く。

 一人暮らしをする高齢者の増加や核家族化で、近しい人を看取ることが少なくなる中、改めて家族や自分の最期の時について考えてもらおうと開催。

 龍谷大客員教授で、長野県松本市にある神宮寺の高橋卓志住職が「生・老・病・死 私が最期を迎えるところ」と題して講演する。

 その後、地元の開業医、がん患者、看護師が「私らしく・その人らしく生きるために今できること」をテーマに討論し、それぞれの立場から必要とされていることを探る。

 同病院と府南丹保健所は、がんや難病患者らが自宅で充実した日々を過ごせるよう、医師や看護師、介護関係者らによる「在宅緩和ケア」のネットワーク作りを進めている。病院で亡くなる人が多い中、今回の講演会では、住み慣れた自宅で最期を迎えるための支援やケアのあり方についても考えてもらう。

 午後2時-5時開催。無料。先着200人。南丹病院地域医療連携係に電話(0771・42・2510)かファクス(0771・42・5071)で申し込む。




世代超え、苦しみ今も 「解毒」支援の試みも 「終わらぬ戦争被害 枯れ葉剤散布から50年」11.8.9

2011年8月9日 共同通信社

 ベトナム戦争中、南ベトナム解放民族戦線が拠点とする密林を破壊するため、米軍が1961年に初めて枯れ葉剤を散布してから10日で50年。71年まで10年間、計約2万回散布された枯れ葉剤には、発がん性や催奇形性が指摘される猛毒ダイオキシンが含まれていた。戦争終結から36年を経た今も、世代を超えて障害児が生まれ、環境汚染も続いている。

   ×   ×   

 首都ハノイの南東約80キロ。北部タイビン省からは戦争中、45万人もの若者らが南ベトナムの前線に送られた。戦後、故郷に戻った人々の間で健康被害が多発。被害者数は現在約1万9千人に上るが、うち3千人は先天的な奇形・障害児を含む子どもや孫の世代だ。

 67年から中部クアンチ省や南部タイニン省で戦い、枯れ葉剤を直接浴びるなどしたタイビン省ソンアン村の農業グエン・チュン・ティエンさん(52)は74年の帰郷後、呼吸障害や頭痛に悩まされるようになった。

 悲劇は続いた。長男(34)は軽い脳障害。三男のハーさん(28)は重度の脳障害に加え、両手足が細く曲がったまま。次男(32)に異常はなかったが、その長女オアインちゃん(6)は生まれつき肛門がなく、脳障害も抱える。

 「障害のある子を持ったときはむろん悲しかった。オアインが生まれた後は怒りを体の中にずっと抑え込んで暮らしてきた」。床に座り中空をにらみながら体を揺すり続けるハーさんを抱きしめ、ティエンさんはつぶやいた。「次の世代、次の次の世代にも、どんな障害が出るか分からない」

 枯れ葉剤被害者協会タイビン支部のグエン・ドク・ハイン会長は「銃で殺すのは一瞬だが、枯れ葉剤は長い時間をかけた大きな痛みを伴う殺人だ」と指摘。「医学的証明はないが、ダイオキシンが遺伝子を傷つけ、世代を超えて影響を及ぼし続けていく」と訴える。

 タイビン省内の第3世代の被害者は約80人。第4世代にも被害が強く疑われるケースが報告されているという。

 政府や同協会は全国規模の被害調査を行うが、資金不足もあり全容解明はまだ。被害者や家族の多くは貧しく、政府の支援金も最多で月170万ドン(約7千円)程度。米政府は責任を認めず、被害者への賠償は一切していない。

 同協会は被害者の苦しみを少しでも和らげようと省都タイビンに今年、国際非政府組織(NGO)の支援を得て全国初の被害者向けの「解毒センター」を開設した。

 ビタミン投与やサウナ、軽い運動などを組み合わせた25日間の民間療法で、年初から100人以上を「治療」。腫瘍や手足の震えなどに苦しみ、入所したダオ・ニャットさん(65)は「震えが止まり、関節などの痛みも随分減った」と話す。

 協会は、今後ハノイや中部ダナンなど3カ所に同様の施設をつくる計画だ。(タイビン共同)

※枯れ葉剤被害

 米軍はベトナム戦争中、南ベトナム解放民族戦線の拠点や北ベトナムから南への補給路となった密林地帯を狙い、枯れ葉剤約8千万リットルを空中から散布、その6割が「エージェント・オレンジ」と呼ばれる種類だった。1961年の試験散布後、62年から本格作戦が始まり、71年まで散布は続いた。枯れ葉剤に含まれていたダイオキシンの総量は366キロ。散布地域では、がん患者や先天性異常児、流産、死産などが多発、米国の帰還兵などにも被害が出た。ベトナム枯れ葉剤被害者協会によると、枯れ葉剤にさらされたベトナム人は480万人、被害者は子どもや孫の世代も含め300万人以上に上る。

※ダイオキシン

 強い毒性を持つ有機塩素化合物の総称。発がん性のほか、生殖器官などに悪影響を与える内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)としての作用も指摘される。最も毒性の強い2・3・7・8-TCDDが、ベトナム戦争で米軍が散布した枯れ葉剤の多くに製造時の副産物として含まれていた。水には溶けにくいが脂に溶け、環境中で分解されにくく土壌などに長く残る。飲食や呼吸、皮膚を通して人体内に入り、肝臓や脂肪などに蓄積され、母乳を通じて母子間でも移行するとされる。動物実験で毒性は青酸カリの千倍とされるが、人への毒性は詳しく分かっていない部分が多い。



原因薬最多は中枢神経系 11.6.29

2011年6月29日 薬事日報
 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は27日、2010年度における医薬品副作用被害救済の実績を公表した。処理決定件数は1021件で前年度より31件多かった。このうち不支給は122件、取り下げは2件で、支給は36件増えて897件となった。支給実人数は813人で、原因となった医薬品は、中枢神経系用薬が632件で最も多く、ホルモン剤276件、抗生物質製剤253件、化学療法剤192件、消化器官用薬170件と続いた。

 PMDAは救済給付事務を迅速化して、請求から半年以内の処理率を13年度までに60%以上に引き上げる目標を、09年度に始まった第2期中期計画に掲げている。12年度に半年以内で処理できたのは434件で、処理率は前年度を6・1ポイント上回る42・5%だった。処理期間の中央値は6・4月で、0・4カ月短縮した。

 また、8カ月以内の処理は全体の74・6%を占める765件で、10年度事業計画で目指した「70%以上の維持」を達成した。

 副作用の原因となった医薬品(複数の医薬品)では、中枢神経系用薬が最多の632件で、ホルモン剤276件、抗生物質製剤253件、化学療法剤192件、消化器官用薬170件と続いた。

 請求件数は1018件で前年度より34件少なかった。

 感染救済の実績は、7件を処理し、このうち6件に支給を決めた。処理期間の中央値は6・9カ月だった。

 このほか、救済制度に関する電話相談は1万6123件、ホームページアクセス数は8万9500件だった。

 相談業務については、09年に一般薬の外箱にPMDAのフリーダイヤル番号を掲載したところ、電話相談が3万5000件近くに増えたが、製品の照会や苦情など、本来はメーカーに問い合わせるべき内容が2万5000件程度に上り、制度関係の相談は1万件弱にとどまった。

 10年度は、09年中頃に音声案内ガイダンスを導入した効果が表れ、制度関係以外の相談は8000件弱まで改善した。ただ、制度関係の相談も8000件強まで減った。



第71回米国糖尿病学会学術集会、サンディエゴで開幕 11.6.26

学会ダイジェスト:第71回米国糖尿病学会
2011年6月24日~28日 San Diego, U.S.A.

第71回米国糖尿病学会学術集会(ADA2011)が6月24日、初夏の米サンディエゴで開幕した。世界中から1万3000人余の糖尿病診療に携わる医療関係者が参加し、28日までの5日間にわたって臨床試験の成果をはじめとする臨床上の最新知見から糖尿病指導・教育のあり方などまで、多岐にわたるテーマについて議論が展開される。

 今大会では96のシンポジウム、49の一般口演セッション(378件)のほか、1662件の一般ポスター発表、131件の「Late-Breaking posters」などが予定されている。抄録件数としては、昨年の大会を上回る規模となった。

 大会の目玉であるセッション「Late Breaking Studies」では、5演題の発表があり、それぞれの臨床試験の成果が報告される。具体的には、糖尿病性黄斑浮腫に対する新しいVEGF阻害薬についてフェーズ3試験の結果が発表されるほか、2型糖尿病の新規薬となるグルコース依存性インスリン分泌促進薬(GPR40作動薬)の成果も明らかになる。

世界中から1万3000人が参加する

 米国だけでも2600万人と言われる糖尿病患者がおり、700万人もの未診断糖尿病患者がいる。また、糖尿病前症は7900万人にも上ると見込まれている。糖尿病の診断や治療に関連する費用は、妊娠糖尿病や糖尿病前症、診断に至っていない糖尿病などを加えると、優に200億円を超えるとの推計もある。これだけの医療費をどのようにして抑えていくかは、世界的にみても緊急課題の1つになっている。今大会でも、糖尿病対策にどのように取り組むべきなのかを、コストの視点から議論するセッションも予定されている。
(日経メディカル別冊)




メトホルミン服用の2型糖尿病患者では癌発症リスクが4割減、死亡リスクは3割減 11.6.26

学会ダイジェスト:第71回米国糖尿病学会
2011年6月24日~28日 San Diego, U.S.A.

2型糖尿病患者でメトホルミンを服用している人は、そうでない人に比べ、癌発症リスクが約4割、癌死亡リスクが約3割減少していることが分かった。国立国際医療研究センター病院の能登洋氏(写真)らがメタ解析で明らかにしたもので、6月24日から米サンディエゴで開催されている米国糖尿病学会(ADA2011)で発表した。

 能登氏らは、メドラインとコクラン・ライブラリの論文データベースを用い、2011年4月までに収録された、メトホルミン、糖尿病、癌などに関する研究を検索した。その中から、20試験について定性的レビューをし、その中から3つのコホート試験と、2つのケース・コントロール研究についてメタ解析を行った。年齢、性別、喫煙の有無、肥満などについては、補正を行った。

 被験者で2型糖尿病の合計7万1851人のうち、癌発症が報告されたのは3184人(3つのコホート試験の罹患率は4.1%)だった。3つのコホート試験の2型糖尿病患者(1万9832人)のうち癌で死亡したのは4.5%だった。

 メトホルミン服用の有無で解析したところ、服用者の非服用者に対する癌発症に関する統合リスク比(RR)は、0.58(95%信頼区間:0.45‐0.76)、全ての癌による死亡に関する統合リスク比は0.67(同:0.51‐0.87)と、いずれも服用者群で有意に低かった。

 癌の部位別に見てみると、膵臓、大腸・結直腸癌、肺癌の発症リスクについては、それぞれ2以上の試験で、メトホルミン服用者に有意な減少が認められた(リスク比:0.2~0.67)。

 メトホルミンと癌リスク減少のメカニズムについて能登氏は、「血糖値を下げ、高インスリン血症や低血糖を軽減することに加えて、癌発症遺伝子に作用する可能性がある」としている。これまでの研究から、メトホルミンには、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化する可能性が示唆されている。

 同氏はまた、糖尿病の患者は癌の罹患率が高いことが知られているため、その予防は重要であるとし、「メトホルミンによって血糖値がコントロールできる人については、同薬を第1選択薬として使うべきだ」とした。

(日経メディカル別冊)



臨床前心血管疾患と2型糖尿病は認知機能低下の強力な予測因子 11.6.26

学会ダイジェスト:第71回米国糖尿病学会
2011年6月24日~28日 San Diego, U.S.A.

臨床前心血管疾患と2型糖尿病は、認知機能低下の強力な予測因子であることが分かった。糖尿病心臓研究(The Diabetes Heart Study)のサブ解析の成果で、米Wake Forest大学医学部のChristina Hungenschmidt氏(写真)らが、6月24日から米サンディエゴで開催されている米国糖尿病学会(ADA2011)で発表した。

 2型糖尿病は、認知機能の低下あるいは認知症のリスク上昇と関係があることが知られている。しかしながら、その生理学的機序の詳細は、いまだに明らかになっていない。原因としては、グルコース調節、血管疾患および遺伝などの側面から検討が進んでいる。

 糖尿病心臓研究は、糖尿病と血管疾患の遺伝学研究のために設計されたもの。糖尿病(34歳以上で発症し治療中)である兄弟に参加してもらい、また、糖尿病患者である兄弟が少なくとも2人いた非糖尿病の兄弟にも登録してもらった。

 今回の検討の目的は、登録時の臨床前心血管疾患..と2回目の診察時のDSSTスコアを検証することで、臨床前心血管疾患.と糖尿病が認知機能に及ぼす影響について明らかにすることだった。対象者は、2型糖尿病患者351人、非糖尿病被験者100人の計451人。2型糖尿病群は、男性46.35%、平均年齢67.84±8.50歳、BMI32.36±6.65kg/m2、糖尿病歴16.83±6.70年、HbA1c7.49±1.34%、空腹時血糖144.84±55.99mg/dLなどだった。一方、非糖尿病群は、男性34.00%、平均年齢66.32±9.99歳、BMI28.75±6.04kg/m2、HbA1c5.52±0.42%、空腹時血糖92.83±14.52mg/dLなどだった。

 登録時の心臓の状態は、CTにより冠動脈石灰化と頸動脈石灰化および頸動脈内膜中膜厚を測定することで評価した。3~10年後にフォローアップを行い、主要アウトカムとして、数字と記号の置き換え作業(DSST)の成績をみるなどの一連の認知機機能試験を実施した。

 解析の結果、2型糖尿病と臨床前心血管疾患.を評価する3つの検査値(冠動脈石灰化、頸動脈石灰化および頸動脈内膜中膜厚)は、年齢、性別および教育水準とともに、DSST成績の重要な予測因子であることが明らかになった。たとえば、糖尿病群では、DSST成績が登録時に比べて-3.62(p=0.006)となり、また冠動脈石灰化を認めた場合は-0.68(p=0.009)、頸動脈石灰化を認めた場合は-0.82(p=0.009)、頸動脈内膜中膜厚を認めた場合は-21.16(p=0.01)となった。

 一方、2型糖尿病と臨床前心血管疾患.との間で相互作用は観察されなかった。空腹時血糖およびHbA1cは、認知機能低下の予測因子としては、重要ではなかった。

 今回の結果から演者らは、「臨床前心血管疾患.と2型糖尿病は、認識能低下の強力な予測因子であることを示唆している」と結論した。その上で、糖尿病と臨床前心血管疾患.マーカーとの間で相互作用が認められなかった点に着目し、糖尿病は独立して認知機能に悪影響を及ぼすことを示唆しているとした。また、糖尿病において血管疾患が重なることは、認知機能に対する「2番目の打撃」になるとした。

 最後に演者らは、特に高齢の2型糖尿病患者における認知機能障害を軽減させるには、現在のCVDリスク因子を軽減し、かつ糖尿病やメタボリック症候群の標的治療が役立つものと思われるとまとめた。

(日経メディカル別冊編集)



前糖尿病患者の早期スクリーニングに7つの質問からなる簡易テストが有効 11.6.26

学会ダイジェスト:第71回米国糖尿病学会
2011年6月24日~28日 San Diego, U.S.A.

簡単な質問で構成されるスクリーニングテストが前糖尿病患者、および未診断糖尿病患者の早期発見に有効であることを、6月24日から米サンディエゴで開催されている米国糖尿病学会(ADA2011)で、米ジョージア州アトランタにある米疾病予防管理センター(CDC)のKai Mckeever Bullard氏(写真)が発表した。

 1995年にHermanらが開発したスクリーニングテストが、糖尿病と診断されていないハイリスク患者の検出に有効かを検討した。データの抽出には2007~2008年のNational Health and Nutrition Examination Surveyを使用。20歳以上で糖尿病既往歴のない人のうち、糖負荷後2時間値(2hPG)、空腹時血糖値(FPG)、HbA1c値の3つのデータを有する1762人を対象とした。

 スクリーニングテストは、出産時の体重が9ポンド以上の子を出産した経験がある(1点)、兄弟の糖尿病歴(1点)、両親の糖尿病歴(1点)、身長に対する標準体重より重い(5点)、65歳以下でほとんど運動しない(5点)、年齢が45歳~64歳(5点)、65歳以上(9点)――の計7つのスコアを合計するもの。一方、対象者を2hPG、FPG、HbA1cの3つの検査値のいずれかによって糖尿病かどうか診断したところ、有病率は58%となった。

 これらの結果を元にスクリーニングテストの感度および特異度を求めたところ、カットオフスコア値が9点のとき、それぞれ66%(95%信頼区間:0.63-0.69)、70%(95%信頼区間:0.66-0.73)で最大となった。AUCは72.8%だった。

 Kai Mckeever Bullard氏は、「前糖尿病、または診断されていない糖尿病患者の識別に、今回用いたスクリーニングテストが有効であることが分かった。ハイリスクの患者を識別するには、カットオフ値をスコア9点以上とするとよいだろう」とまとめた。

(日経メディカル別冊編集)



ダイエット清涼飲料の飲みすぎは禁物、胴囲の増加が飲まない人の6倍に 2011. 6. 26

学会ダイジェスト:第71回米国糖尿病学会
2011年6月24日~28日 San Diego, U.S.A.

ダイエット清涼飲料を1日2本以上飲んでいる人は、胴囲の増加が飲まない人の6倍に達していることが報告された。サンアントニオ長寿高齢化研究(SALSA)により明らかになったもので、テキサス大学サンアントニオ健康科学センターのSharon P Fowler氏(写真)らが、6月24日から米サンディエゴで開催されている米国糖尿病学会(ADA2011)で発表した。

 カロリーゼロをうたうダイエット清涼飲料の消費は、肥満やメタボリック症候群および糖尿病の発症増加と関係していると言われてきた。演者らは、これらの関係を検証するため、サンアントニオ長寿高齢化研究(San Antonio Longitudinal Study of Aging ;SALSA)の参加者を対象に、ダイエット清涼飲料の消費が胴囲に及ぼす影響を調べた。胴囲は、内臓脂肪の指標であり、また糖尿病や心血管疾患、癌および他の慢性疾患の主たる危険因子として広く使われている。

 対象は、SALSA参加者のうち、登録時にダイエット清涼飲料の消費に関するデータを収集できていた384人。これを1日当たりのダイエット清涼飲料の消費量ごとに、0本、0.5本未満、0.5~1本未満、1~2本未満、2本以上の5群に層別化して、解析を行った。人種、教育水準において一部に有意差が見られたほかは、それぞれの対象群は同様の背景であった。

 登録時から平均3.6年間隔で3回のフォローアップ検査を行い、身長、体重、胴囲およびダイエット清涼飲料の消費量について変化を追った。データは共分散分析(ANCOVA)を用いて解析し、各群の平均胴囲変化を全てのフォローアップ期間で比較した。なお、結果は、性別、登録時の胴囲、年齢、人種、教育水準、地域、余暇時の運動、糖尿病、喫煙状態およびフォローアップ期間の長さで補正した。

 計9.6年追跡した結果、全体で見ると、ダイエット清涼飲料の消費群は、胴囲が2.11±0.33cm増加していたが、非消費群では0.76±0.24cmの増加にとどまっていた(p<0.01)。また、ダイエット清涼飲料消費と胴囲の変化の間には、正の関係が確認された(p<0.001)。各群でみると、毎日2本以上のダイエット清涼飲料を飲んでいる群では胴囲が平均4.74cm増えており、飲まない人の6倍に達していた(p<0.001)。

 今回の結果をもとに演者らは、「加糖飲料の消費を減らそうという努力は、ダイエット飲料の消費拡大につながっている。しかし、今回の結果は、ダイエット飲料の消費拡大に思わぬ落とし穴があることを示した」と結論。その上で、「カロリーを減らすためにダイエット炭酸飲料の消費を促すことは、必ずしも賢明な対策とは言いがたい。カロリーはゼロかもしれないが、もたらす結果は期待通りではない」などと指摘した。
(出典:日経メディカル別冊)



臓器売買容疑で逮捕状請求 医師ら5人、1千万授受か 組員仲介、親族間移植装う 暴力団資金源の疑い 11.6.23

2011年6月23日 共同通信社

 腎不全を患った東京都内の医師(55)が元暴力団組員と虚偽の養子縁組をして、親族間の生体腎移植を装い、1千万円を支払って腎臓の提供を受けようとしたとして、警視庁組織犯罪対策4課は23日、臓器移植法違反(臓器売買の禁止)などの疑いで、医師と仲介役の組員(50)ら5人の逮捕状を請求した。同日中にも逮捕する。

 移植をめぐる国内の臓器売買事件としては、2006年の宇和島徳洲会病院(愛媛県)の例があるが、医師と暴力団の関与の疑いが明らかになったのは初めて。

 高い倫理観が求められる医師が自ら移植手術を受けるため臓器の買い取りを企て、支払った多額の現金が暴力団の資金源になっていた疑いがあり、移植医療への信頼を根幹から揺るがす事態に発展するのは必至だ。

 組対4課は組員らによる仲介がほかになかったかなどを調べ、事件の全容解明を進める。

 捜査関係者によると、医師は東京都江戸川区内のクリニックの院長で腎不全を患っていた。

 医師は妻、仲介役の組員らと共謀。09年から昨年にかけて元組員との虚偽の養子縁組を区役所に届けて親族間の生体腎移植を装い、元組員から腎臓の提供を受ける約束をし、見返りに1千万円を支払った疑いが持たれている。

 元組員から腎臓を摘出し、医師に移植する手術は都内の別の病院で実施する予定だったが、仲介役の組員が追加の金銭を要求したため、医師とトラブルになり、実際には手術は行われなかった。

 臓器移植法は臓器売買を禁じ、日本移植学会の倫理指針も生体間での移植が臓器売買につながらないよう臓器提供者を親族に限定。親族以外の場合は倫理委員会の承認などを求めている。

 宇和島徳洲会病院の事件は、臓器提供者に違法な金品提供をしたとして、移植患者と仲介者が臓器移植法違反の罪に問われ、06年12月、松山地裁宇和島支部は2人に懲役1年、執行猶予3年の判決を言い渡した。臓器提供者も罰金100万円などの略式命令を受けた。

※臓器売買

 臓器を提供して対価を得ることや臓器をもらって謝礼を渡すこと。臓器移植法11条で禁じられており、要求や約束をしただけでも違法となる。仲介料の受け取りも禁じられている。違反すれば5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金で、同時に科されることもある。中国では死刑囚を臓器提供者として外国人相手の移植が行われており、インドやフィリピンでは貧困層が臓器を売り生活費に充てるなど海外では臓器ビジネスが横行している。国内では多重債務者がブローカーを通じて臓器を売っているなどのうわさがあるが、実態は明らかになっていない。




子どもの寝不足、脳に影響 自閉症緩和への応用も 11.6.22

2011年6月22日 共同通信社

 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所(同県春日井市)は21日、乳幼児期の不規則な睡眠が原因で脳内の脳由来神経栄養因子(BDNF)というタンパク質の分泌リズムが崩れ、脳の発達に支障が出ることをラットの実験で証明したと発表した。

 仙波りつ子(せんば・りつこ)共同研究員は「ヒトでも乳幼児期に早寝早起きの規則正しい生活をしないと、脳に障害を起こす危険性がある」と指摘している。

 実験では、ヒトの乳幼児期にあたる生後6日のラットを9日間、眠っている時にかごを揺らすなどして睡眠不足にした場合、大脳皮質内のBDNFの分泌リズムが乱れることが判明。

 BDNFは、脳の神経細胞同士をつなげ、脳の発達を促進するタンパク質シナプトフィジンを形成する。睡眠環境の悪いラットではシナプトフィジンの量が減少しており、BDNFの量が一定しないと形成が阻害されることが分かった。

 また、自閉症の人にみられる遺伝子の異常を人工的に再現したマウス(ラットより小型)でも同様の現象を確認。自閉症は脳の発達障害の一種のため、自閉症の子どもの睡眠バランスを薬物で改善することなどで、症状を緩和できる可能性もあるという。

※5月28日付の米専門誌「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」に掲載



患者6629人の情報盗難 北大病院医師の車から 11.6.22

2011年6月22日 共同通信社

 北海道大病院(札幌市)は22日、検査・輸血部の50歳代の男性医師が車上荒らしの被害に遭い、患者6629人分の氏名や病名、検査結果などの個人情報を記録したハードディスクを盗まれたと発表した。情報流出による被害の届け出はないという。

 北大病院によると、今月17日夜、札幌市内の駐車場に止めていた医師の自家用車の窓が割られ、ハードディスクなどの入ったかばんが盗まれた。病院は個人情報の院外持ち出しを禁じている。医師は「個人でまとめていたデータを自宅で整理するつもりだった」と説明している。ハードディスクにパスワードは設定されていなかったという。

 福田諭(ふくだ・さとし)院長は記者会見で「患者にご迷惑をおかけしおわびする。個人情報の適切な管理を周知徹底したい」と述べた。




来春に一部事業統合へ 田辺三菱と日本赤十字 11.6.20

2011年6月20日 共同通信社

 田辺三菱製薬と日本赤十字社は17日、血液製剤の一種である「血漿(けっしょう)分画製剤」を製造販売する事業を、来年4月に統合する方向で検討を進めることで合意した。

 この製剤は国内メーカーによる供給が少ないため、統合による経営効率化で事業を安定させ、国内自給の確保を図る。

 同製剤の製造販売を手掛ける田辺三菱の子会社と、日本赤十字の事業部門を統合し、新会社を設立する方針。同事業の売上高合計は約370億円。



受動喫煙:事業所の4割が未対策 飲食店、宿泊施設で遅れ--京都府が調査 11.6.18

2011年6月18日 毎日新聞社

 受動喫煙防止対策に関する府の事業所調査で、4割が対策を取っていないと回答。なかでも飲食店、宿泊施設では6~8割に上り、対策が遅れている実態が浮き彫りになった。対策を求める厚生労働省局長通知(10年2月)についても、8割強が「知らない」か「詳しく知らない」と答えた。【入江直樹】

 有識者でつくる府の京都健康長寿推進府民会議・受動喫煙防止対策部会が、実態調査を求める報告(10年2月)をしたことを受け、今年2~3月、京都市域を除く府内3000件の事業所に郵送か訪問の方法で、対策の有無などを尋ねた。回答率は60・4%(1924件)だった。

 対策の実施状況についての問いでは「制限なし(対策を取っていない)」が全体で41・6%。施設別では飲食店が最も高く79・9%、次いで宿泊施設の66・2%に上った。逆に保育園・幼稚園は90・6%が「全面禁煙」だった。対策を取らない主な理由は「客が減る恐れがある」「客の理解が得られない」だった。

 厚労省通知は「多数が利用する公共的な空間は原則禁煙とすべき」などと健康増進法25条に基づき、必要な措置を講じるよう求めているが29・8%が「知らない」、54・8%が「聞いた事はあるが、詳しくは知らない」と答えた。

 府健康対策課は「調査結果を踏まえ、健康被害や喫煙マナーについての情報発信・啓発、関係団体と連携したシンポジウム開催など具体的な取り組みを進める」と話している。




ホームレスの精神疾患、死亡リスク高める、デンマーク調査 11.6.17

2011年06月17日 ソース:Lancet

文献:Nielsen SF et al.Psychiatric disorders and mortality among people in homeless shelters in Denmark: a nationwide register-based cohort study.The Lancet, Early Online Publication, 14 June 2011.

  16歳以上のホームレス3万2711人を対象に、標準化死亡比率と平均寿命をコホート研究で調査。2万13人が精神疾患を抱え、1万4850人が薬物に依存していた。全体的な標準化死亡比率は男性5.6年、女性6.7年で、外因による死亡は27.9%だった。15-24歳時の残存平均寿命は21.6歳で、一般集団より17.4歳短かった。薬物依存で死亡率が最も高かった。
原文:http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(11)60747-2/abstract



(山梨)逮捕は病院職員と整体師 11.6.17

2011年6月17日 読売新聞

連続婦女暴行 元同僚共謀か

 峡中、峡東地域で今年2月頃から相次いで発生していた婦女暴行事件で、県警捜査一課と笛吹、南甲府署の合同捜査班は、昭和町押越、民間病院職員河野宏貴容疑者(25)を強姦容疑で、同町西条、整体師武井建城容疑者(24)を強姦致傷容疑でそれぞれ逮捕したと16日、発表した。

 発表によると、河野容疑者は今年4月下旬、中央市の路上で帰宅途中の10代後半の女性に乱暴した疑い。武井容疑者は同3月下旬、笛吹市の路上で帰宅途中の10代後半の女性に乱暴し、打撲や擦り傷などの軽傷を負わせた疑い。調べに対し両容疑者は「間違いありません」と供述しているという。

 両容疑者は元同僚で、両事件とも被害者と面識はなかった。いずれも日没後に通りすがりの女性を狙って、顔を隠して犯行に及んでおり、合同捜査班は手口が似ていることから、2人が共謀した事件もあるとみて余罪を調べている。




B型肝炎で増税検討表明へ 被害者救済1兆円の財源 11.6.16

2011年6月16日 共同通信社

 政府は15日、全国B型肝炎訴訟で原告と国が月内に和解で基本合意するのに合わせ、被害者に支払う和解金を賄う財源を確保するため、臨時増税の検討を表明する方針を固めた。救済に必要な額は当初の5年間だけで1兆円規模に達する見込みで、歳出見直しだけで捻出するのは困難と判断した。

 政府と原告は月末までに和解に向けた基本合意書に調印する予定。調印式では菅直人首相が原告に謝罪した上で、新たな財源措置の検討や救済法の制定に加え、真相究明や再発防止に向けた取り組みについても言及する方向だ。

 政府は7月以降、東日本大震災の復興費用を賄うための増税とともに協議を進め、8月中に結論を得たい考え。ただ、社会保障財源としての消費税率引き上げも検討されており、増税ラッシュによる国民の負担増を懸念する声も出そうだ。

 増税する税目については所得税が有力だが、消費税やたばこ、酒税なども候補に浮上している。

 原告と政府が合意している和解案では、集団予防接種によるB型肝炎の発症者に対し、症状に応じて最大3600万円、未発症者に50万円を支払うことになっている。

 政府は1月、B型肝炎訴訟で、先行する北海道訴訟に関する札幌地裁の和解案の受け入れ方針を表明。原告団も和解案受け入れを決めている。




製薬協、MSDを処分 医師に金銭提供 11.6.16

2011年6月16日 共同通信社

 日本製薬工業協会は15日、医師への不適切な金銭提供などの規約違反があったとして、製薬会社MSD(東京)に対し会員資格停止の処分を行ったと発表した。

 製薬協によると、停止期間は「当面の間」とし、2年程度にわたり改善指導をしていく方針。会員資格停止は除名に次ぐ重い処分で、総会や委員会などに原則、出席できなくなる。

 MSDは5月に違反が発覚。昨年秋にも、同様の行為で協会から警告処分を受けている。




容姿や学歴で卵子格付け 韓国で売買団を摘発 11.6.16

2011年6月16日 共同通信社

 【ソウル共同】韓国警察当局は15日までに、インターネットを通じ人の卵子の売買をあっせんしていたとして、生命倫理安全法違反容疑でブローカーの男女2人の逮捕状を請求し、卵子の提供者ら13人を同容疑で書類送検した。卵子の価格は提供者の容姿や学歴で格付けされていた。聯合ニュースが伝えた。

 手術に関わった産婦人科医も調べを受けているという。

 同ニュースによると、ブローカーは2009年9月から約1年間、ネット上に不妊情報を交換するコーナーを運営し、16回にわたり売買をあっせん。不妊女性から1回当たり500万~千万ウォン(約37万~74万円)の提供料を受け取り、利益を得ていた疑い。




減量用錠剤を飲み健康被害 女性が個人輸入、未承認の成分/埼玉 11.6.16

2011年6月16日 毎日新聞社

 県は15日、県内の30歳代の女性がタイから個人輸入した「MDクリニックダイエット」と呼ばれるダイエット商品を服用し、ふらつきなど健康被害と疑われる症状が発生したと公表した。この製品を巡っては05年から神奈川県、東京都などで死亡例が報告されている。県の調査では、日本国内で医薬品として承認されていない「フルオキセチン」など3種類の成分を検出した。

 県薬務課によると、この製品は7種の錠剤やカプセルを1日3回に分けて服用するタイプ。女性は輸入代理業者のサイトで1カ月分を1万円で注文し、自宅に届いた5月23日に服用を始めた。翌24日に目のけいれんやふらつきの症状が表れたため、25日に服用をやめて厚生労働省に電話で相談。間もなく症状は回復したが、厚労省から連絡を受けた県が製品を回収、検査していた。

 同課は「服用している方は直ちに中止し、健康被害が疑われる場合は医療機関で受診してほしい」と呼び掛けている。



山梨)保険医訴訟、国が上告断念 11.6.16

2011年6月16日 読売新聞

溝部院長の勝訴が確定

 診療報酬を不正請求したとして、2005年に当時の山梨社会保険事務局から保険医療機関指定と保険医登録の取り消し処分を受けた甲府市の小児科「みぞべこどもクリニック」の溝部達子院長が国を相手取り、処分の取り消しを求めた訴訟で、厚生労働省関東信越厚生局が上告を断念したことが15日、わかった。溝部院長への処分を国の裁量権逸脱と認定し、処分を取り消すとした2010年の1審・甲府地裁判決が確定した。上告断念の理由について、同局は「関係機関と協議し、総合的に勘案した結果」とコメントした。

 溝部院長は15日、記者会見を開き、「患者や支援者が『常識的におかしい』と訴えてくれた声が裁判所に届いた」と話した。




精神科医療、崩壊の危機 原発周辺で4病院閉鎖 11.6.14

2011年6月14日 共同通信社

 福島第1原発周辺の精神科医療が崩壊の危機にひんしている。入院設備のある精神科4病院がすべて閉鎖。患者は散り散りとなり状況が把握できなくなった上、震災と原発事故で被災者の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を懸念する声も上がる。関係者は「打つ手がない」と頭を抱えている。

 ▽入院ベッドゼロ

 福島第1原発から約25キロ、福島県南相馬市中心部の「はらまち心療内科クリニック」。4月中旬に診療を再開すると、ひっきりなしに患者が詰め掛けた。医師は高萩健二(たかはぎ・けんじ)院長1人。通院先が閉鎖されたため来院した患者が目立つ。

 第1原発周辺には四つの精神科病院があり、ベッド数は800以上。しかし双葉町、大熊町、南相馬市南部の3病院は立ち入り禁止の警戒区域内にあり、南相馬市中部の病院も医師らが避難し閉鎖された。

 周辺で診療しているのは、入院設備のない南相馬市のクリニック2カ所だけ。高萩院長は「この地域には精神疾患の患者が約1100人いたといわれるが、何人が残り、何人が医療とつながっているか分からない」と明かす。

 重症患者は福島市や郡山市など遠方の病院に搬送されている。しかし福島市の精神科医日向正光(ひなた・まさみつ)さんは「受け入れはほぼ限界」と話す。勤務先の病院は、既に全180床を上回る約200人が入院しているという。

 ▽PTSD

 避難所の壁をたたき続ける人、突然「津波が来る」と叫ぶ人...。南相馬市など原発の20~30キロ圏で5月、メンタルケアを始めたNGOアースデイ奄美(鹿児島県奄美市)の僧侶三浦万尚(みうら・ばんしょう)さん(52)はPTSDが疑われる被災者を何人も見た。

 「震災で受けたストレスに加え、放射線への心配、事故が収束せず先が見えない不安、余震など複合的な要因が重なって深刻化している。医師やカウンセラーの介入が必要な人が30キロ圏内に相当いるのではないか」

 全体像を把握するため、三浦さんらは避難者からの聞き取りを元に、治療の優先順位を見極めるトリアージを進めているが、肝心の精神科医が地元にほとんどいない。

 自らも医師で周辺地域の医療に詳しい立谷秀清(たちや・ひできよ)相馬市長は「内科や外科は医師の応援を受けて何とかやっているが、精神科は危機的状況」と言う。精神科は、継続して長く患者を診る医師の必要性が高いためだ。

 高萩院長も、入院可能な拠点病院と地域の精神科医が最も必要と訴える。「このままでは原発事故が収束した後も、地域の精神科医療は存在が危うい」




3440億円の拠出表明 ワクチン普及で国際会合 11.6.14

2011年6月14日 共同通信社

 【ロンドン共同】貧しい国の子どもたちを感染症から守るため、ワクチン普及を進める国際的な官民共同事業体「GAVIアライアンス」の資金集めの会合が13日、ロンドンで開催され、先進国や慈善団体などが総額約43億ドル(約3440億円)に上る資金拠出を表明した。

 日本からは伴野豊外務副大臣が出席、約930万ドルの拠出を表明した。日本が同事業体に資金提供するのは初めて。

 同事業体によると、今回表明された拠出金によって、2015年までに貧しい国の約2億5千万人の子どもたちに各種感染症の予防ワクチンを接種することが可能となり、400万人超の死亡を防ぐことができる。

 43億ドルのうち、同会議を主導した英国は約13億ドルの拠出を約束。米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏と同氏の妻が創設した慈善団体「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金」は10億ドルの拠出を表明した。

 GAVIアライアンスには各国政府のほか、世界保健機関(WHO)や国連児童基金(ユニセフ)、NGOなどが参加している。




62キロ先でストロンチウム 福島県の11地点で検出 11.6.9

2011年6月9日 共同通信社

 文部科学省は9日までに、福島第1原発から62キロ離れた福島市など、福島県の11地点の土壌から微量の放射性ストロンチウムを検出したと明らかにした。原子力安全委員会は「直ちに健康への影響があると心配される数値ではないが、体内への取り込みに注意すべきだ」としている。

 文科省によると、原発から62キロ北西の福島市杉妻町で4月27日に採取した土壌からストロンチウム89を1キログラム当たり54ベクレル検出。最も高かったのは24キロ北西の浪江町赤宇木で5月6日に採取した土壌の同1500ベクレルだった。

 ほか飯舘村で同1100ベクレル、川俣町で同220ベクレル、広野町で同30ベクレルなどで、セシウムなどと同様に北西方向に分布する傾向があった。

 安全委は「土壌から空気中への浮遊について調べる必要がある」としている。ストロンチウムは体内に取り込まれやすく、骨などに蓄積して骨のがんや白血病の原因になる恐れがある。

 文科省は5月、放射性ストロンチウムの分布を把握するため、陸地の約10カ所などで調査すると発表、3月21日~5月6日に採取された土壌を調べていた。




世界の障害者10億人 WHO、世銀が初の報告書 11.6.10

2011年6月10日 共同通信社

 【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)と世界銀行は9日、世界で10億人以上が何らかの障害を抱え、このうち日常生活や社会生活で著しい不自由を感じている人が最大で1億9千万人に上ると推定する報告書を発表した。世界的な障害者に関する報告書をまとめたのは初めて。

 WHOなどは2008年に発効した国連の障害者権利条約に基づき「全ての障害者が社会参加できるよう、あらゆる障壁を取り除くべきだ」と強調。バリアフリーなどの物理的な環境整備に加え、差別や偏見の撤廃を訴えている。

 報告書によると、経済協力開発機構(OECD)加盟国では、障害者の雇用率が44%で、障害のない人々の雇用率75%にはるかに及ばない。また、14歳までの子供の障害者は最大で1億5千万人と推定されているが、学校施設の不備や教師不足などの理由で、教育を受ける機会が妨げられているという。

 障害者権利条約には現在約100カ国が批准。日本は07年に署名したが、批准はしていない。




医療情報ネットワーク:東京・稲城市立病院の電子カルテ、40診療所と共有 /11.6.10

2011年6月10日 毎日新聞社

 ◇年度内に構築へ

 稲城市は9日、市立病院(290床、一條真琴院長)の電子カルテ情報を、インターネット回線を使って市内の約40の診療所と共有する「医療情報ネットワーク」を今年度内に構築すると発表した。同病院の診療情報を地域の診療所と共有することで、病院を退院した患者などが診療所でスムーズに医療を受けられるようにする狙い。10日開会の市議会に3549万円の関連予算案を提案する。

 同病院は07年から電子カルテ化を進め、09年3月に全面移行した。今回は、診療所のインターネットに接続している端末を使い、セキュリティーを確保した上で市立病院のシステムと結んで、診療所から市立病院の電子カルテや画像データを閲覧できるようにする。また、診療所の端末から市立病院の検査の予約もできるという。

 予算の半額は厚生労働省の「地域診療情報連携推進費補助金」で賄う予定。9日に会見した高橋勝浩市長は「地域完結型の医療を提供していきたい。診療所側が電子カルテを導入すれば、双方向で情報を共有することもできるので、今後の課題にしていきたい」と述べた。



滋賀・湖南市長 脱メタボ宣言 HPで腹囲と体重公表、「健康教室」自らPR 11.6.8

2011年6月8日 毎日新聞社

 市長が脱メタボ宣言――。生活習慣病対策のため湖南市が実施している「健康貯金教室」への市民参加を促そうと、谷畑英吾市長は自身の腹囲や体重を公表し、生活習慣の改善に乗り出した。数値は来年3月まで市のホームページ上で毎月更新するといい、「健康増進と医療費抑制を目指し、一緒に取り組みましょう」と呼び掛けている。

 湖南市では、急性心筋梗塞(こうそく)と脳梗塞の死亡率が高く、男性は県内でワースト1。市は05年度から全市域で教室を開き、毎日の歩数を記録したり、運動と食事指導をしているが、参加者は当初の約80人から20~30人まで減り、市長自らPR役を買って出ることにした。

 谷畑市長は6日、特定健診に臨み、身長176.2センチで腹囲93センチ、体重88.4キロ。BMI(肥満指数)は28.5(25以上が肥満)だった。今後、保健指導を受けながらメタボ対策に取り組む。井上利和・健康福祉部長も参加し、数値を公表する。谷畑市長は「挫折しないよう情報を公開することにした。市民の皆さんにも取り組んでもらいたい」と話している。



歯科医が4千万円着服 滋賀、支部積立金 11.6.8

2011年6月8日 共同通信社

 滋賀県歯科医師会湖東支部(同県東近江市)会員の男性歯科医(65)が、支部の積立金など約4千万円を着服したことが8日、同支部への取材で分かった。

 支部によると、歯科医は今年3月まで11年間にわたり会計を担当。4月末に担当の引き継ぎがあり、施設建設費用の積立金や共済費などがないことが発覚。支部の調査に「借金の支払いに充てた」と着服を認め、既に1千万円を返済した。

 支部は着服の時期や正確な被害額を調査中。歯科医は全額を返済していきたいとしており、刑事告訴については慎重に検討する。




職員は見ていた…逮捕の院長、養母の口塞ぐ 11.6.8

2011年6月8日 読売新聞

 長崎県佐世保市の佐世保同仁会病院で昨年6月、理事長だった女性を殺害したとして院長の友広慎吾容疑者(49)らが殺人容疑で逮捕された事件で、友広容疑者が病室で養母ハツヱさん(当時87歳)の口を手で塞いでいたとの目撃証言があることが捜査関係者への取材でわかった。

 捜査関係者によると、ハツヱさんは、理事長室で友広容疑者から暴行を受けて意識を失い、複数の職員により病室へ運ばれた。友広容疑者が口を塞ぐと、まだ息は残っていたものの間もなく亡くなったという。

 県警は、医学的な知識を持つ友広容疑者が、暴行を加えたうえ治療せずに放置したことが殺人罪にあたるとみている。さらに、手で口を塞いだことも殺意の裏付けにつながるとみて、目撃した職員らから事情を聞くなどして当時の状況を調べている。




秋田の自殺率、16年連続の全国ワースト 11.6.4

2011年6月4日 読売新聞

 厚生労働省がまとめた2010年の人口動態統計の概況で、秋田県内の自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)が33・1と、前年より5ポイント改善したものの、都道府県では16年連続で全国ワーストとなったことがわかった。

 全国平均は23・4。県は「自殺未遂者への対応など、引き続き自殺防止に力を入れる」としている。

 人口動態統計によると、県内の10年の自殺者数は358人で、前年より58人(14%)減少。1997年以来、13年ぶりに300人台まで減った。県は数値が改善されたのは、官民挙げた自殺防止の取り組みの成果とみている。

 民間、行政、大学が連携する本県の取り組みは、「秋田モデル」として全国にも知られる。秋田大と自治体が共同で住民アンケートを実施し、分析結果から住民同士の懇話会を開くなどの対策を講じたり、行政や民間団体による相談窓口を増やして情報を共有したりしてきた。

 今年1月発表の警察庁の統計でも、県内の自殺者数は300人台まで減った。このため、今回は自殺率の全国ワースト脱却も期待されていたが、2番目に高い岩手県に0・9ポイント差で及ばなかった。

 自殺防止に取り組むNPO法人「蜘蛛(くも)の糸」の佐藤久男理事長は「汚名返上できなかったのは残念。中高年の働き盛りへの自殺防止は成果が出てきているが、全体の4割を占める高齢者への対策はまだ手薄。てこ入れを急ぐ必要がある」と語った。

 自殺者の実数を大幅に減らしながら、自殺率が高止まりした点について、県は「自殺者数の減少よりも、人口減のスピードが速いため、割合に換算すると高止まりした」と指摘する。




神戸市庁舎を全面禁煙 喫煙スペース撤去、電子たばこもダメ 11.6.1

2011年6月1日 毎日新聞社

 世界禁煙デーの31日、神戸市は本庁舎や区役所など、庁舎内を全面禁煙にした。無煙たばこや電子たばこも禁止で、本庁舎では36カ所あった喫煙スペースが次々と撤去された。

 同市は03年5月から、受動喫煙を防止しようと庁舎内の分煙化に取り組んできた。全面禁煙化で庁舎内のレストランや喫茶店も禁煙となり、4台あるたばこの自動販売機も順次撤去する。

 本庁舎の1、2号館周辺の道路は、08年施行の市条例で喫煙が禁止されており、1000円以下の過料が科せられる。隣接する東遊園地は禁止指定区域外だが、市は「東遊園地は子どもを含め多くの市民が憩う場。喫煙は避けてもらいたい」などと全職員に通知した。市地域保健課は「サンプル調査では、職員の喫煙率は約2割。これを機に禁煙に挑戦してもらえれば」としている。



武田薬品、欧大手買収を発表 世界12位、海外拠点70カ国に 11.5.20

2011年5月20日 毎日新聞社

 武田薬品工業は19日、スイスの製薬大手「ナイコメッド」の全株式を96億ユーロ(1兆1136億円)で取得し、完全子会社化することで合意したと発表した。国内製薬会社による買収では過去最大規模となる。同社の医療用医薬品の売上高は世界16位から12位に浮上。販売網が手薄だった欧州や新興国市場への本格参入を果たす。

 ナイコメッドの10年12月期の売上高は約3700億円で、欧州が5割、ロシアや中南米、アフリカなど新興国での売り上げが約4割を占める。

 一方、武田は11年3月期の売上高1兆4193億円のうち、8割強を日米が占めており、新興国への展開が遅れていた。今回の買収で、武田の進出拠点は28カ国から70カ国へと大幅に拡大する。

 世界の医薬品市場は、日米市場が医療費抑制策などの影響で伸び悩む一方、新興国は10~15年の成長の7割を占める見通し。武田は買収に伴い、金融機関から7000億円規模を借り入れ、今年9月末までに株式取得を終える方針。

 ◇特許切れ前に基盤強化

 主力薬の特許が12年以降に相次いで切れる「2012年問題」を抱える武田にとって、ナイコメッド買収は「時間を買う戦略」(外国証券)以外の何ものでもない。武田は販売網がないロシアや東欧、アフリカなど新興国市場で収益基盤の強化を狙うが、巨額の借り入れは「ものすごい冒険」(武田OB)といえ、格付け会社のムーディーズ・ジャパンとスタンダード&プアーズ(S&P)は19日、武田の格付けを引き下げる方向で検討すると発表した。

 武田の「2012年問題」は深刻だ。売り上げの3割近くを占める稼ぎ頭の糖尿病治療薬「アクトス」は既に日米欧で特許が切れ、最大市場の米国で12年8月から後発薬の販売が可能となる。また、15%を占める高血圧治療薬「ブロプレス」も14年前後に特許切れを迎え、後発薬にシェアを奪われかねない。

 別の主力薬の特許切れで武田の11年3月期は2年連続で減収となった。アステラス製薬とエーザイも同じ理由で前期は減収。新薬に代わる収益源として、海外進出は急務だ。

 武田は08年、米バイオベンチャー、ミレニアム社を約88億ドル(約9000億円)で買収したが、売上高への寄与は全体の約5%に過ぎない。東京都内で会見した長谷川閑史社長は「両社は(事業エリアの)重複が少なく、相乗効果が発揮できる」と今回の買収に期待を示した。

 ただ、巨額の投資で財務基盤は一時的に悪化する。長谷川社長は今後の大型買収を問われ、「あまり期待されない方がいいんじゃないですか」とかわした。「キャッシュに余裕があるうちに仕掛けた最後の大型買収」(武田OB)が、経営の即効薬となるか、真価を問われる。




向精神薬密輸入疑い、元九大職員の女逮捕 11.5.20

2011年5月20日 読売新聞

 向精神薬を米国から密輸入したとして、福岡市在住の元九州大職員の女(35)が麻薬及び向精神薬取締法違反(密輸入、譲渡目的所持)容疑で九州厚生局麻薬取締部に逮捕されていたことが、関係者への取材で分かった。

 女は病気で医師に向精神薬を処方されたのを機に薬物への依存を強め、インターネットの掲示板を通じて大量の向精神薬を入手。自ら服用したり、全国に売買したりしていたという。

 関係者によると、女は、九州大で化学実験室や情報教室の技術職員を務めていたが、2007年初旬、統合失調症などを患って医療機関を受診。向精神薬の投与を受けるようになり、自分自身でもネットの掲示板を利用して向精神薬の購入を始めたという。

 女は金がなくなると、ネットの掲示板で安価な向精神薬を入手。掲示板で購入者を集め、郵送で関東、関西などに向けて自分が仕入れた価格よりも高値で売っていたという。

 女は、同大を09年1月に退職。昨年12月、米国のインターネットサイトを通じて向精神薬500錠を注文し、国際郵便を使って日本に密輸入したとして、今年2月、同取締部に逮捕された。自宅からは発送直前のものなど向精神薬231錠も押収されたという。




向精神薬をネットで大量転売、生活保護悪用し入手 11.5.17

2011年5月17日 読売新聞

 九州厚生局麻薬取締部が覚醒剤取締法違反(営利目的所持)容疑などで逮捕した男女が、医療費の負担がない生活保護受給者であることを悪用して医療機関から向精神薬を大量入手し、インターネットで全国に転売していた疑いがあることが、関係者への取材で分かった。福岡地検は男女について、最高刑が無期懲役の麻薬特例法違反(業としての譲渡)を適用した。

 福岡地裁に起訴されているのは内縁の夫婦で、福岡県直方市津田町、無職須山千恵美(43)と同、無職和田東樹(60)の両被告。

 関係者によると、2人は共謀し、2010年4月9日-同8月30日、千葉、静岡、東京などの延べ49人に対し、覚醒剤計約15・6グラムと向精神薬計約600錠を、封筒に入れて郵送したり自宅近くの駐車場で手渡したりし、計約135万9000円を得た、とされる。向精神薬は1錠100-500円で販売していたという。

 生活保護受給者の医療費は自治体が負担するため、受給者が払う必要はない。須山被告は生活保護を受給しており、多数の医療機関を受診して向精神薬を入手し、ネット掲示板を利用して全国に密売していたとみられる。

 ネット上の薬物取引を監視していた同取締部が昨年9月、2人を自宅で覚醒剤取締法違反容疑で現行犯逮捕。覚醒剤約4グラム、向精神薬1714錠を押収していた。




日本、長寿世界一を維持 WHO統計、医師不足深刻 11.5.16

2011年5月16日 共同通信社

 【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)は13日、2011年版の「世界保健統計」を発表、09年の日本の平均寿命は83歳で、前年と同様、イタリア中部の内陸国サンマリノと首位を分け合った。日本は、女性の平均寿命では86歳で単独首位を維持。男性は80歳でサンマリノ(82歳)に次いで2位。

 WHO当局者は、喫煙率が比較的高い現状のままでは「日本は(平均寿命82歳の)オーストラリアに長寿世界一の座を譲るかもしれない」と警告した。

 平均寿命が最も短いのはアフリカ南部の内陸国マラウイで47歳。前年にいずれも42歳で最も短かったアフガニスタン、ジンバブエはそれぞれ48歳、49歳と大きく改善した。

 また、00~10年の人口1万人当たりの医師の数では、日本が20・6人。欧州各国のほとんどが30~40人台であるのと比較すると医師不足が深刻といえる。米国は26・7人だった。

 データが得られた国の中で、一番多かったのはキューバで64・0人、一番少なかったのはアフリカのタンザニアとリベリアで0・1人。世界の平均は14・0人だった。




70-74歳医療費に税金 給付の15%、3800億円 厚労省検討 11.5.14

2011年5月14日 毎日新聞社

税と社会保障:70~74歳医療費に税金 給付の15%、3800億円--厚労省検討

 ◇現役の負担軽減

 税と社会保障の一体改革に関し、厚生労働省は13日、大半を現役世代の保険料で賄っている70~74歳の医療給付費(約3兆円)に、税金を投入する方向で検討に入った。当面は給付費の15%分を入れ、現役の負担を軽減する。新たに約3800億円(13年度)が必要となるため、民主党や財務省と調整し、政府が今月末にまとめる社会保障改革案への盛り込みを目指す。

 75歳以上の後期高齢者医療制度には給付費(10年度予算、11・7兆円)の5割に税金が充てられている。しかし、65~74歳の前期高齢者医療(同5・3兆円)には直接税を投入する仕組みがなく、厚労省は税を入れる制度改革を目指してきた。

 しかし、財源を調達できるメドが立たず、対象を前期の中でもより医療費がかかる70~74歳に絞ることにした。制度を分断する形で、特定の年齢層だけに税を投入するのは異例のことだ。それでも財務省との調整は難航する可能性がある。

 一体改革で厚労省は「現役と高齢世代の負担の公平化」を打ち出した。前期医療は、大企業の健康保険組合などが支払う納付金で大半を賄っているが、健康保険組合連合会によると、11年度予算では健保組合全体で前期医療に1兆4621億円を払う。後期医療への支出も含めると保険料収入の45%を占め、保険料率アップや健保組合の解散を招いている。

 このため前期医療について、70~74歳だけでも税を投入し現役の負担を軽くすることにした。08年度の1人当たりの給付費のうち保険料で賄った額は75歳以上が約39万円なのに対し、70~74歳は約46万円。水準をそろえるには70~74歳の給付費の15%に税を充てる必要があると判断した。

 高齢者の医療費について、現役の会社員らは従来もOB向けに「退職者給付拠出金」を負担してきた。しかし、08年度の医療制度改革ですべてのお年寄りを支える仕組みに変わり、支払いが急増した。




明細付き領収書で評価二分 患者は満足、病院は疑問視 2011.4.21

2011年4月21日 共同通信社

 厚生労働省は20日、病院などが診療内容を詳しく示して発行する「明細付き領収書」の意識調査結果を発表した。患者がおおむね満足しているのに対し、医療機関側は効果を疑問視する回答が目立ち、評価が分かれた。

 調査は、昨年12月から今年1月にかけて実施。全国の病院や診療所、歯科診療所など2735カ所と、入院・外来患者ら5103人から回答を得た。

 病院の入院患者(661人)に対する問いで、明細書を「必要」などと肯定的にみた人は約7割。これに対して「必要ない」などと消極的な回答は約3割だった。内容の分かりやすさや満足度でも、肯定的な答えが多かった。

 一方、病院(626施設)に対し、患者の医療費への理解が深まったかについて「深まっていない」などと疑問視する回答は4割近くを占めたのに対し、「深まった」などの回答は2割も満たなかった。薬局などでも効果について否定的な答えが、評価する声を上回った。

 明細付き領収書については、診療報酬のオンライン請求が義務付けられている医療機関は、原則として全患者に無料で発行しなければならない。病院では全体の約9割が該当する。




「規制・制度改革に係る方針」を閣議決定 2011.4.8

医学部新設、無過失補償制度などを検討、規制・制度改革について
(資料は内閣府のホームページを参照、 PDF:820KB)
http://www.cao.go.jp/sasshin/kaigi/honkaigi/d17/pdf/s1.pdf
閣議後、記者会見した蓮舫行政刷新担当相は、「震災前に関係省庁と実質的に合意した135項目、および『国民の声』に寄せられた66項目について閣議決定した」と説明。2011年1月26日の「中間とりまとめ」の時点で議論されていたのは約250項目。

ライフイノベーション分野の規制・制度改革事項は19項目で、うち医療は7項目。
「医学部新設」の検討ほか、「医療行為の無過失補償制度の導入」も打ち出された。



文科省補助金を不正処理…松本歯科大、研究者5人処分 2011.4.8

2011年4月8日 読売新聞

 松本歯科大(長野県塩尻市)の複数の研究者が、2004-08年度に文部科学省から受けた科学研究費補助金約1082万円について不適正な経理処理をしたとして、同省から約765万円の返還を請求されたことが7日、わかった。

 同大は先月18日付で、研究者のうち1人を諭旨退職、4人を降職とする懲戒処分をした。

 同大によると、不適正処理のうち12件、約765万円分は、年度内に使い切れなかった補助金について、試薬や器具などの納入業者に架空納品書を出させて、支払額を「預け金」としてプールさせ、翌年度以降の物品購入費に充てていた。

 また、4件、約317万円分は、物品発注の遅れなどで年度内に納品が間に合わず、翌年度になっていた。

 文科省は、納品書と異なる物品を購入した765万円分を「不正な支出」として返還を求め、かかわった研究者を2-4年間の補助金申請停止処分とした。

 同大は、諭旨退職の1人は別の研究者の預け金を引き継いで自分の研究費に使ったため、「より悪質」と判断。ただ、いずれも「研究費に充てられ、私的流用はなかった」として、研究者名は公表していない。

 宇田川信之副学長は「学内の事務部門も見抜けなかったので、チェックを厳しくした」としている。

 不適正処理は09年11月の会計検査院の検査で発覚し、学内に公的研究費調査委員会を設置して調べていた。



「長期処方の自粛・分割調剤」、6割が実施 2011.4.7

2011年04月07日 (出典:m3)

 東日本大震災では、被災地では物流が途絶えた上、被災した医薬品の製造工場もあるため、被災地か否かにかかわらず、医薬品の供給不足に直面した医療機関が少なからずあります。こうした事態を受け、厚生労働省は3月17日の事務連絡で、長期処方の自粛あるいは分割調剤の考慮を求めています。m3.com意識調査でその実践状況をお聞きしたところ、「実践している」、「ある程度、実践している」を合わせると約6割に上りました(2011年3月31日から4月4日までの回答を集計、以下、同様)。

◆自身・勤務先の医療機関で、長期処方の自粛・分割調剤を実践しているか ⇒ 
 実践している:医師28%、医師以外25% 
 ある程度、実施している:医師34%、医師以外33% 
 あまり実践していない:医師17%、医師以外15% 
 実践していない:医師18%、医師以外17% 
 分からない:医師2%、医師以外5% 
 その他:医師1%、医師以外5%

 「震災後、医薬品の供給不足で診療に支障があったか」との質問にも、「支障があった」と「ある程度支障があった」を合わせると半数強。

 また東京電力の管内で3月14日から実施されている計画停電について、「すべての医療機関を計画停電の対象外にすべき」と回答したのは、医師会員47%、医師以外の会員49%、「3次救急を担うなど、一部の医療機関を対象外にすべき」との回答も多く、医師会員44%、医師以外の会員43%という結果でした。

 計画停電で1日数時間停電になった場合、「通常診療が可能」との回答は少なく(医師会員6%、医師以外の会員6%)、「全く診療ができず」との回答も2 割近くに上りました。自家発電装置を持つ病院と、持たないケースが多い診療所では回答が異なるため、災害関連の詳細な調査は改めて実施します。

 そのほか、震災関連では、下記の点についても調査しました。

◆被災地での死体検案書の作成料は請求すべきか ⇒ 
 請求すべき:医師42%、医師以外23% 
 請求すべきでない(ボランティアで実施):医師31%、医師以外43% 
 分からない:医師22%、医師以外30%
 その他:医師5%、医師以外4%

 もうすぐ3月11日の東日本大震災から、1カ月。この間、m3.comの皆様はどんな支援活動をされたのかをお聞きします。

◆この1カ月、どんな支援を? ⇒ http://www.m3.com/research/polls/result/10270/
 Q1.被災地で救護活動を行ったか
 Q2.医薬品・医療材料など(自施設で備蓄・用意したもの)を被災地に送ったか
 Q3.食料・日用品など(自施設で備蓄・用意したもの)を被災地に送ったか
 Q4.個人として義援金を寄付したか




点滴に麻酔混入の疑い 兄傷害容疑で医師書類送検 2011.4.7

2011年4月7日 共同通信社

 東京都内の元私立大教授の兄(70)に麻酔薬を投与して呼吸困難に陥らせた疑いがあるとして、警視庁捜査1課は6日、傷害容疑で東京都世田谷区の耳鼻咽喉(いんこう)科医師の男(63)を書類送検した。捜査関係者によると、医師は容疑を否認している。

 書類送検の容疑は昨年1月6日、港区内の病院に入院していた兄を見舞った際、点滴に麻酔薬を混ぜて投与して呼吸困難にさせた疑い。兄の命に別条はなく、現在は回復しているという。

 捜査関係者によると、兄は昨年1月4日、医師の自宅を訪れた際、飲み物を飲んだ後に体調を崩し病院に運ばれ、そのまま入院していた。

 捜査1課は昨年10月7日に医師の診療所と自宅を殺人未遂容疑で家宅捜索し、兄の体内から検出されたものと同じ麻酔薬を押収した。投与された麻酔薬が致死量に満たないことが分かり、傷害容疑を適用した。




千葉県がんセンターを捜索 歯科医が無資格で麻酔容疑 2011.2.21

(2011年2月21日 共同通信社)

 千葉県がんセンター(千葉市中央区)で昨年7月に行われた外科手術で、歯科医が資格のない麻酔をした疑いがあるとして、千葉県警は18日、医師法違反(無資格医業)容疑で同センターを捜索した。

 県警によると、同センター勤務の30代の男性歯科医が、がん患者の男性の外科手術に加わり、歯科疾患とは関係のない麻酔をした疑いが持たれている。

 がんの外科手術などの麻酔は「医科麻酔」と呼ばれ、歯科医は研修でのみ行える。厚生労働省のガイドラインによると、研修には、日本歯科麻酔学会への登録や報告、患者の事前同意を得ることなどが条件とされている。しかし県警が確認したところ、学会への登録や報告はなかったという。

 県警はカルテなどを押収し、同センターの関係者らから事情聴取。今回のケースが研修の要件を満たしていたかなどを調べている。

 同センターの松本均(まつもと・ひとし)事務局長は「ガイドラインの範囲内で適正に行っており、法律違反はない」としている。

 千葉県によると、同センターは1972年に開設され、総病床数は341床。がん診療連携拠点病院にも指定され、2009年度には3542件の手術実績がある。




『待って!そのワクチン本当に安全なの?』【10分ダイジェスト版】

http://www.youtube.com/watch?v=vP2Jv83WX-w&feature=related
日本赤十字病院小児科医師 山本英彦氏と、元国立公衆衛生院疫学部感染室長 母里啓子氏が、(新)インフルエンザ予防接種煽動の異常さに、根拠を示して『必要ない!』『かえって危ない』と語っている。
(ワールド・ブログ協会第三回取材  2009.10.10)

○参考書籍
●「予防接種へ行く前に―受けるこどもの側にたって」
        毛利 子来, 母里 啓子... ¥ 1,260
●「インフルエンザ・ワクチンは打たないで! 」 母里 啓子 1050円

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