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What's new 2016.1~6

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What's new 2016.1~6




抗精神病薬べゼプリオンの死亡究明を NPOが厚労省に要望 16.6.22

(共同通信社 2016年6月22日 )
 精神疾患の支援に取り組むNPO法人地域精神保健福祉機構(略称コンボ)は21日、統合失調症治療薬ゼプリオンで、2013年11月の販売開始から約2年間の死亡報告が85人に上っているとして、厚生労働省に原因究明を求める要望書を提出した。
 記者会見したコンボの宇田川健(うだがわ・けん)・共同代表は「死者数を減らすために、使用者全例の調査をしてほしい」と訴えた。

 コンボによると、85人の死因は心不全や自殺などのほか不明のものもあり、情報不足で因果関係を評価できないものが多い。要望書は、他の抗精神病薬と比べゼプリオンの死亡報告数が突出して多いとして、原因を明らかにするよう求めた。

 ゼプリオンは注射薬で、長期間にわたり体内に成分が残る。死亡報告が相次いだため厚労省は14年4月、複数の抗精神病薬が必要な不安定な患者に使用しないよう添付文書の改訂を指示した。




「がん見落とし」で和解 摂津の病院が遺族に1500万円 大阪地裁 16.6.17

(毎日新聞社 2016年6月17日 )

 大阪府摂津市の摂津医誠会病院を受診した50代の女性が死亡したのは担当医が胃がんの再発を見落としたためだとして、府内に住む夫らが病院を運営する医療法人と担当医に総額約8100万円の賠償を求めた訴訟で、病院側と遺族が大阪地裁で和解したことが分かった。

 和解は5月20日付で、遺族に1500万円を支払う内容。

 法人は「医誠会」(本部・大阪市)。医誠会のホームページによると、関西を中心に計約30の病院やクリニック、介護施設を展開している。

 訴状などによると、女性は2005年、摂津医誠会病院で胃がんと診断され、手術を受けた。

  その後も通院し、13年6月に再発の有無を調べる内視鏡検査や病理検査を受けた。遺族側は「遅くとも翌月に胃がんの再発を明確に示す病理検査の報告書を受け取っていた」と指摘。報告書は診療記録に添付されていたが、担当医が見落としたと主張した。女性は胃がんの治療を受けないまま、14年4月に亡くなっ た。

 病院側は裁判で「がんの進行状況から治療を始めても助かる可能性は低かった」と反論していた。

 医誠会は「担当者が不在で詳細は分からない」としている。




「検査怠って四肢まひ」仙台厚生病院を提訴 運営法人「全面的に争う」16.6.16

(河北新報 2016年6月16日 )

 77歳で死亡した仙台市の女性が存命中、仙台厚生病院(青葉区)に入院後に四肢まひとなったのは病院が必要な検査を怠ったためだとして、女性の遺族が病院の運営法人に約1900万円の損害賠償を求める訴えを15日までに、仙台地裁に起こした。

 訴えによると、女性は腹痛を訴えて2013年11月に入院し、胆管結石と診断された。約1カ月半後、転院先の病院で髄膜炎と診断され、後に脳梗塞を患い四肢まひとなった。女性は14年9月に死亡した。

 遺族側は「病院が必要な検査をしていればもっと早く髄膜炎と診断され、脳梗塞を防げた可能性が高い」と主張。法人側は「適切な治療をしてきた。全面的に争う」と話した。



予期せぬ死亡30件届け出 医療事故調査制度、5月分 16.06.13

(共同通信社 2016年6月13日)

 患者の予期せぬ死亡を対象とした医療事故調査制度で、第三者機関の日本医療安全調査機構(東京)は10日、5月に医療 機関から「院内調査」が必要として届け出があった事案は、前月より4件少ない30件だったと発表した。昨年10月の制度開始後の累計は251件で、このう ち院内調査の結果報告書が機構に提出されたのは78件となった。

 5月に届け出があった30件の内訳は、病院(20床以上)が27件で、診療所(20床未満)が3件。地域別では関東信越が最多の14件で、近畿5件、東海北陸と九州が各4件、北海道と東北、中国四国が各1件だった。

 診療科別では、外科が7件、内科と消化器科、循環器内科が各3件、整形外科と産婦人科が各2件など。5月に機構に寄せられた相談は109件で、医療事故報告の手続きや判断に関する内容が64件だった。

 一方、機構は、昨年11月に届け出があった母親と胎児の死亡事例は、胎児が生まれる直前だったため1事例と集計し直したと発表。同月の届け出事案を27件から26件に修正した。




妊婦死亡訴訟、医師が上告 静岡厚生病院 16.06.13

(共同通信社 2016年6月13日)
 2008年に静岡厚生病院(静岡市)で帝王切開手術を受けて死亡した妊婦=当時(24)=の遺族が、病院を運営する 「JA静岡厚生連」と医師3人に損害賠償を求めた訴訟で、医師2人が10日、計約7490万円の支払いを命じた東京高裁判決を不服として上告した。病院側 ともう1人の医師は既に上告している。

 5月26日の控訴審判決は、医師の過失を認めた上で「妊婦の死亡との因果関係があった」と判断。請求を退けた一審静岡地裁判決を変更し、賠償を命じた。




[医療改革] 事故調査制度の見直し、法改正はなく運用を改善 医療部会 16.06.13

(厚生政策情報センター 2016年6月13日)
社会保障審議会 医療部会(第46回 6/9)《厚生労働省》

今回のポイント
●医療部会で、医療事故調査制度の改善措置を提示
○法改正はせず、省令等の運用面で必要な改善を実施
○標準化を進める意見交換の場として、支援団体等連絡協議会を設置
○遺族等からの相談があった場合、求めに応じて相談内容を医療機関に伝達することを明確化

 厚生労働省は6月9日、社会保障審議会の「医療部会」を開催し、「医療事故調査制度の見直し」などを議論した。医療事故調査制度は医療事故が発生 した医療機関で院内調査を行い、調査報告を民間の第三者機関が収集・分析することで再発防止につなげて医療の安全を確保するもの。2015年10月1日に 施行された。

 今回、厚労省は医療事故調査制度は医療介護確保推進法附則で、公布(2014年6月25日)後2年以内に、「法制上の措置その他の必要な措置を講じる」ように見直しの検討規定が定められていると説明(p33参照)。

 ただし、厚労省は法改正に関し、医師法第21条(異状死体等の警察への届出義務)、医療行為と刑事責任の関係などに関係者の間で様々な意見があ り、現時点で期限の2016年6月24日までに法改正を行うことはできないと述べた。他方、運用面で必要な改善を着実に進める必要があるとして、与党の議 論(自民党内ワーキングチーム取りまとめ)を踏まえ(p44~p46参照)、改善措置として、省令等(p48~p58参照)の見直しを6月下旬に行うと提 示した(p33参照)。

 実施予定の改善措置は、次の通り(p33参照)。

(1)地域や支援団体間での、医療事故に該当するかの判断や院内調査の方法などの標準化を進める意見交換の場として、支援団体等連絡協議会(仮称)を制度に位置付ける

(2)医療機関の管理者が院内での死亡事故を遺漏なく把握できる体制を確保することを明確化する

(3)遺族等からの相談があった場合、求めに応じて、相談内容等を医療機関に伝達することを明確化する

(4)支援団体や医療機関に対する研修の充実、優良事例の共有を行う

(5)医療事故調査・支援センターから院内調査報告書の内容に関する確認・照会を行うことを明確化する

資料1 P1~P62(5.2M)




妊婦死亡7千万円賠償命令 医師の過失認定、東京高裁 16.5.27

(共同通信社 2016年5月27日)

 2008年に静岡厚生病院(静岡市)で帝王切開手術を受け死亡した妊婦=当時(24)=の遺族が、病院を運営する 「JA静岡厚生連」(同)と医師らに損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は26日、請求を退けた一審静岡地裁判決を変更し、約7490万円の支 払いを命じた。

 富田善範(とみた・よしのり)裁判長は医師の過失を認めた上で「妊婦の死亡との因果関係があった」と判断した。

 JA静岡厚生連の担当者は取材に「判決を確認しておらず、コメントできない」としている。

 控訴審判決によると、妊婦は08年4月、陣痛を訴え来院。医師の診察で、胎盤が子宮壁から剥がれ、胎児は死亡していると分かった。帝王切開手術をしたが、妊婦は大量に出血し死亡した。

 判決は「医師らは正確な出血量を把握しておらず、実際に輸血した量は極端に少なかった」と認定。その上で「妊婦は死亡率が高いと当時考えられていた羊水塞栓(そくせん)症を発症していた可能性があるが、適切に治療すれば救命できた」と判断した。

 原告の夫は「傷が癒えることはないが、明るく優しかった妻のため前向きに生きていきたい」とのコメントを出した。

 14年12月の一審静岡地裁判決は、医師らの過失を認めたが「死亡当時の医療水準に照らした治療では、救命できたとまでいえない」としていた。

原告側「極めて意義深い」 控訴審判決を高評価

 「極めて意義深い判決だ」。帝王切開手術を受けた妊婦の死亡を巡り、医師の過失と死亡との因果関係を認めた26日の東京高裁判決。原告代理人の青山雅幸(あおやま・まさゆき)弁護士は同日、静岡市内で記者会見し判決を高く評価した。

 一、二審ともに焦点となったのは、妊婦が発症した疑いのある「羊水塞栓(そくせん)症」に対する治療の可能性だった。羊水が血液中へ流入する病気で、従来は母体死亡率が高いとされたが、控訴審判決はこれまでの医療訴訟と異なり「適切に治療すれば救命できた」とした。

 青山弁護士は「羊水塞栓症が関係する訴訟では、病院側に過失があっても患者側の訴えは退けられてきた」と説明する。発症すれば呼吸困難や意識低下に陥ることもあり「過失の有無にかかわらず、救命は難しい」と考えられてきたからだ。

 過去には根拠を明示せずに死亡率を8割としていた文献もあったが、控訴審判決は「根拠がはっきりした全国調査の結果では、手術当時でも死亡率は20~30%にとどまる」と認定。その上で、今回の妊婦は、中でも治癒しやすいケースだった可能性があるとした。

 青山弁護士は「最新の知見を基に、正確な死亡率を引用した新しい判決だ」としている。




入院体制整えず中絶、17歳少女死亡事例も…資格停止された産婦人科医院が提訴 16.5.24

(読売新聞 2016年5月24日)
 横浜市戸塚区の産婦人科医院「聖ローザクリニックタワーズ」が、妊娠中期(12~21週)の中絶(中期中絶)を行う医療機関に義 務付けられた入院・ 分娩ぶんべん 設備を有していなかったなどとして、神奈川県医師会は前院長(51)ら2人に対し、母体保護法指定医師の資格を25日から6か月停止する処分を通知した。

 同医院側は23日、処分の取り消しを求めて横浜地裁に提訴した。

 処分を通知されたのは、前院長と聖ローザグループを運営する医療法人社団「マリア会」の理事長(56)。

 県医師会や県産婦人科医会などによると、中期中絶は一般的に、ラミナリア 桿かん などと呼ばれる棒状の医療器具を子宮 頸管けいかん に挿入して広げたうえで、陣痛誘発剤を用いて行う。

 ラミナリア桿挿入段階を含め、中絶の処置は出血や感染症のリスクを伴う。このため、日本産婦人科医会は、経過観察や緊急時の抗菌薬の点滴投与など ができるように、通院ではなく、「入院のうえ慎重に実施する」と指針に明示。県医師会の母体保護法指定医師取扱規則も、中期中絶を行う医療機関は救急体 制、入院設備を有していなければならないと規定している。

 同医院について県医師会は、病床1床のみで、深夜には入居するビルが閉鎖され、医師・看護師も不在となるため、入院可能な体制ではないと判断。それにもかかわらず、指針に反して中期中絶を行ったなどとして処分を決めた。

 県医師会は昨年2月、同医院から毎月10件超の中絶実施報告があることを把握。通院での処置が常態化するなど安全管理上の問題が疑われるとして、前院長に呼び出し通知を出すなどして説明を求めたが、同医院側から聞き取りができたのは今年3月だったという。

 同医院ではこの間の昨年11月、中期中絶の前処置を受けていた妊娠21週の少女(当時17歳)が死亡する事例が発生。少女は数日間にわたって通院 しながらラミナリア桿挿入の処置を受けていたが、自宅で容体が急変し、救急搬送先の別の病院で敗血症性ショックで死亡したという。

 県医師会は、少女の死亡と処置との因果関係について判断を示していないが、「同医院の安全管理体制を調査しようとしている間に死亡事例が起きてしまい、 慚愧ざんき の念に堪えない」とし、「規則違反があったなかで死亡事例が起きた」ことを問題視している。

 一方、同医院側は、院内には病床1床と分娩台2台があり、医師たちのスキルにも問題はないと説明。県医師会が呼び出しを拒否したとしている点につ いても、「日程調整をお願いしたり、理由の説明を求めただけ」などとして、処分は不当だと主張した。少女の死亡についても「処置の過失や死亡との因果関係 は不明確なのに、死亡事例の発生自体を処分理由の一つとすることはおかしい」と反論している。

 厚生労働省研究班の調査では、中絶に伴う母体死亡例は10万件あたり0・9件と極めてまれで、県警も少女の死亡の経緯を慎重に調べている。

          ◇

母体保護法指定医師  母体保護法に基づき都道府県医師会が指定し、妊娠の継続や分娩が母体の健康を著しく害する恐れのある場合などに本人や配偶者の同意を得て人工妊娠中絶を 行うことが認められている。全国に約7000人。中絶実施は知事に報告する義務がある。各都道府県医師会が処置や施設などに関する規則を定めている。



群大手術死、妥当性に「問題あり」…「命を何だと思っている」と遺族 16.5.24

(読売新聞 2016年5月24日)

 群馬大学病院の手術死問題で、日本外科学会が行った死亡50例の検証により、手術実施の妥当性に「問題がある」と指摘された患者の遺族が読売新聞の取材に応じ、「残された時間を自然に過ごさせてあげたかった」と無念の思いを語った。

 「必要のない手術で死んでしまったのなら、本当に父がかわいそう」

 父親を第二外科による胆管がんの手術後に亡くした60歳代の女性はそう漏らした。同学会の検証では、手術を行うことが妥当か判断する手術適応について、ほぼ半数の24例で疑問が呈され、うち4例は「問題がある」と断定された。女性の父はその1人だ。

 当時80歳代前半だった父には、間質性肺炎や腎不全などの持病があった。検証の結果、高齢でほかにも病気を抱えた状態で手術は困難と判断された。手術の負担がかえって命を縮め、苦痛を増大させた可能性がある。女性は「手術しなくてがんが進んでも、生きられた期間にやりたかったことがあったはず。父は無念だったでしょう」と憤る。

 「早く見つかったので手術できる」と言われリスクの説明もなく、女性は「簡単な手術」というイメージを持ったという。ところが、父は手術後、ほとんど食事を取れず、体の痛みやむくみに悩まされた。死亡までの約2か月は、思い出すのもつらい苦しみようだった。

 「病院側は、高齢だから亡くなってもしょうがない、と軽く考えてはいなかったか。私たちにとっては本当に大切な父だった。命を何だと思っているのか」

 女性は今も、父の亡きがらを見送った時の、うつむきがちな執刀医の表情が忘れられない。

 同学会の検証は、群馬大が設置した第三者の調査委員会が委託。2007~14年度に行われた消化器外科手術の死亡64例を検討し、精査が必要と判断した51例のうち、遺族の承諾が得られた50例を検証した。調査委が近く最終的な調査報告書をまとめる予定だ。



遺族と春日部市の和解成立 医療過誤訴訟 16.5.24

(共同通信社 2016年5月24日)

 埼玉県春日部市の春日部市立病院で2011年9月、関節リウマチで入院中の男性=当時(75)=が肺炎で死亡したのは 病院の不適切な投薬が原因だとして、遺族が市に損害賠償を求めた訴訟は東京高裁(杉原則彦(すぎはら・のりひこ)裁判長)で23日、和解が成立した。市側 は「和解成立で終了した案件なので、コメントは差し控える」としている。
 昨年10月の一審さいたま地裁判決は「投薬中に呼吸器に症状があり、投与を中止すべきだった」として遺族の請求を一部認め、計約660万円の賠償を命じていた。



手術ミスで50代女性死亡 千葉、別患者にも同じ失敗 16.05.18

(共同通信社 2016年5月18日 )

 千葉県船橋市の船橋整形外科病院で1月、県内の50代女性患者に腰の神経圧迫を取り除く手術をした際、担当医師が誤って大腸を傷つけ、女性が3日後に死亡していたことが17日、分かった。病院はミスを認め、院内に事故調査委員会を設けて原因を調べている。

  大内純太郎(おおうち・じゅんたろう)院長が17日午後記者会見し、女性の手術を担当した50代の男性副院長が、他の70代男性患者に同じ方法で手術をし た際にも、大腸を傷つけるミスをしていたと明らかにした。男性患者は一時腹痛や吐き気を訴えたが、治療後に回復し、既に退院したという。

 大内院長は「本人にも遺族にもつらい思いをさせて申し訳ない」と述べ、同じ方法の手術は安全性が担保されるまでは取りやめる考えを示した。

  同病院によると、手術は、患者の脇腹に穴を開けエックス線で体内を映すなどしながら医療器具で神経への圧迫を取り除く「XLIF」という方法で実施。同病院では昨年10月に患者の体の負担を減らす目的で取り入れたばかりで、2人を含めこれまで計14例実施、全て副院長が担当した。

 女性は、 腰椎の神経の通り道になっている脊柱管が圧迫され、脚がしびれるなどする「腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症」を発症、病院で1月14日午後に手術を受け た。女性は同16日に意識が低下、別の病院に搬送されたが、翌17日に敗血症のため死亡した。男性は14日午前に手術を受けていた。

 大内院長は2人の手術はそれまでの12例と異なり、「患者の脇腹に開ける傷口を少し小さくし、患者の体勢の固定方法を変えた」と説明した。




死亡43症例で院内安全管理部門への報告なし、群大事故調 16.3.28

最終報告書は5月下旬予定、報道の仕方にも疑問
(m3.com 高橋直純 2016年3月28日 )

 群馬大学医学部付属病院で腹腔鏡手術を受けた患者8人が死亡した問題を受けて、同大が新たに設置した外部委員による「群馬大学医 学部附属病院医療事故調査委員会」(委員長:上田裕一・奈良県総合医療センター総長)の第14回委員会が3月27日に東京都内で開かれ、専門的な調査を委 託していた日本外科学会から調査結果の報告を受け取ったことを公表した。

 報告内容の中には、外科学会の調査の対象となった50症例のうち、43症例で院内の医療安全管理部門に報告がされていなかったことを明らかにし た。外科学会の報告を巡っては、委員会開催前までに一部報道機関が内容を報じており、上田氏は「厳重に扱われているはずのものがどのように出て行ったの か、理解できない」と話した。また、最終報告書の公表は5月下旬になることが示された。

 3月27日までにNHK、読売新聞が日本外科学会の報告内容を報道(『群馬大病院、第一外科も高死亡率…肝臓手術』な どを参照)。これらは、(1)腹腔鏡手術による死亡例が続いた旧第二外科では、肝臓手術で全体死亡率が11%で、全国平均の10倍、旧第一外科でも肝臓の 手術の死亡率が4%で全国平均の4倍だった、(2)群大病院の外科は全国の国立大学病院の中でも1手術室当たりの年間手術数がトップクラスで、目標手術数 達成のため2つの外科が競い合うように手術をしていた、(3)学会が調査対象とした約50の死亡症例で、本来手術すべきではない症例があった。また43例 で院内の医療安全管理部門に報告がされていなかった――などと報じていた。

 上田氏は「委員会として精査できていないので、報告内容は公表できない」と説明。ただ、報道陣からの質問に答える形で、報道された内容についてはおおむね記載があったことは認めた。

 外科学会の報告内容が報道されたことについては、「厳重に扱われているはずのものがどのように出て行ったのか理解できない。未定稿であり、精査さ れていない段階のものが出る仕組みが理解できない。本来、私には調査委員会の委員長として説明するという役割があるが、その役割を果たすために本日の段階 では報告できない」と話した。

 また、「外科医の立場からすると、手術の死亡率は単純に比較されるべきものではない。単純に2%は1%の倍であるという考え方はなじまない」と強調した。

 委員会は非公開で、上田氏が終了後に記者会見を開いた。事故調査委員会の報告書は5月下旬に公表する予定で、外科学会の報告内容も全文添付する方針。また、前回に会見を開いた1月の第11回(『49症例で遺族が調査を同意、群大事故調』を参照)の後に、2月20日に12回、2月28日に13回の委員会を開催したことを報告した。




駒ケ根市:市民健康増進に活動量計 事業開始、医療機関端末でデータ確認 /長野 16/01/12

(毎日新聞社 2016年1月12日 )
 駒ケ根市は、市民が運動時間や歩数を計測する活動量計を携帯し、医療機関に設置された専用端末でデータを確認する「こまがね健康ステーション事業」を始めた。目に見える形にして健康への関心を高めてもらうのが狙い。市は「医療機関と連携することで、生活習慣病予防の指導などに役立てれば」と期待している。

 活動量計は、何とか会話できるくらいの早歩きに相当し、体の免疫機能を高めるとされる「中強度」の活動量を測定。市地域健康課によると、1日8000歩、歩行時間20分が高血圧症や糖尿病などを予防する目安になるという。

 活動量計を専用端末に接続すると、直近30日間と12カ月の平均歩数、歩行時間がグラフで示される。端末は現在、市保健センターなど4カ所にあり、市は年度内に医療機関10カ所程度に増やす予定。

 県が算定した2010年の駒ケ根市の健康寿命(健康で自立した生活が送れる期間)は男性78・57歳、女性83・43歳。県内19市中それぞれ15位、16位で、県平均を下回っている。市は同事業で健康寿命を延ばしたい考えだ。

 対象は駒ケ根市民か、かかりつけ医が市内の医療機関である人。活動量計などの費用として3000円(税別)が必要。市は300人の登録を目標にしている。問い合わせは市保健センター(0265・83・2443)。




8日に化血研に停止命令 過去最長110日、厚労省 16.01.08

(共同通信社 2016年1月8日 )
 熊本市の化学及(および)血清療法研究所(化血研)が国の承認と異なる方法で血液製剤などを製造した問題で、厚生労働 省は8日に、医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づき化血研に110日間の業務停止命令を出す。7日までに化血研側の弁明を聞くなど所定の手続きを取ったと いう。
 厚労省は未承認製造が長期に及んだ点や、査察での発覚逃れを目的とした隠蔽(いんぺい)工作の悪質性を踏まえ、同法に基づく業務停 止命令としては過去最長となる厳しい対応に踏み切る。一方で、代替品がない血液製剤やワクチンは、患者への影響を考慮して対象から外すという。

 化血研の第三者委員会がまとめた報告書によると、遅くとも1974年以降、血液が固まるのを防ぐ物質を添加するなど承認書と異なる方法で血液製剤を製造。さらに遅くとも95年以降、国の定期査察に承認通りの製法で製造したとする虚偽の記録を示し、不正を隠していた。




厚労省、がん治療実績を一覧に…病院選びの参考 16.01.08

(読売新聞 2016年1月8日 ) 
厚生労働省は新年度、全国のがん治療の拠点病院の治療件数や医師数を一覧表示するシステムを導入する。
 国立がん研究センターのホームページで、利用者が、がんの種類や地域を選び、治療の実績や診療体制を比較できるようにして、病院選びの参考にしてもらう。政府が昨年12月に策定した「がん対策加速化プラン」に盛り込んだ。

 システムは、厚労省が指定する全国約400のがん診療連携拠点病院が対象。ホームページで胃がんや大腸がんなどがんの種類や、進行度、都道府県を 入力すると、条件に合った複数の病院の手術件数や専門医資格を持つ医師数、痛みを和らげる緩和ケアチームの数などがまとめて表示される。数が多い順に並べ る機能も付ける。




保険証番号10万人分流出 医療機関から漏れた可能性 悪用の恐れ、厚労省調査 46都道府県で確認 16.01.04

( 共同通信社 2016年1月4日)
 健康保険証の番号など個人情報を含む、全国約10万3千人分のリストが流出、名簿業者が一部を転売していたことが29 日、分かった。情報セキュリティーに詳しい専門家は「複数の医療機関から漏れた可能性が高い。これほど大量の医療関連の情報漏れは過去に例がない」と指 摘。成り済ましや詐欺などに悪用される恐れがあり、厚生労働省が調査を始めた。

 リストの記載は沖縄を除く46都道府県に及び、近畿や四国に集中。取材に応じた全27世帯で実在の氏名や住所などと一致した。一部は現在の保険証番号がそのまま記載されていた。

 厚労省の担当者は「医療機関や薬局が業務で作った患者のリストが流出した可能性がある」として、調査を開始した。

 国内に住む人全員に12桁の番号を割り当て、将来的には年金などの個人情報を結びつけ管理するマイナンバー制度の運用が1月から始まるのを前に、情報管理の在り方をめぐり議論を呼びそうだ。

 名簿業者は「2008年12月にブローカーから買った。危ないデータだと驚いたが、一部は顧客に売った」と話した。

  共同通信が入手したリストによると、氏名、性別、生年月日、住所、電話番号のほか、保険種別や保険者番号、被保険者の記号番号が並ぶ。医療費の自己負担額 の算定に必要な老人保健(当時)の区分や、生活保護などの公費負担を示すとみられる欄も三つ付いていた。記載されていたのは05年3月以前に生まれた人 だった。

 都道府県別で最も多かったのは大阪府で約3万7千人、続いて奈良県が約2万5千人、滋賀県が約2万4千人だった。

 取材の結果、氏名、性別、生年月日、住所、電話番号は27世帯44人全員が一致。このうち保険証番号も一致したのは6世帯11人だった。転職などで番号が変わったことなどが影響したとみられる。

 保険証番号とともに氏名や住所などが分かると保険証が再発行できる場合があり、本人に成り済まして借金するなどの悪用が可能になるという。

 ※健康保険証

  公的医療保険の被保険者を示す証明書で、大手企業のサラリーマンが入る「健康保険被保険者証」や自営業者などが入る「国民健康保険被保険者証」など、保険 者によって名称が異なる。保険証には氏名や生年月日、性別のほか、保険者名や番号、被保険者の記号番号などが記載され、身分証明書としても使用できる。た だ顔写真が添付されておらず、成り済ましなどに悪用されるケースがある。




健康寿命 山梨が男女とも全国1位 16.01.04

( 山梨日日新聞 2016年1月4日)

 介護を受けたり病気で寝たきりになったりせず、自立して生活できる期間を示す「健康寿命」について、2013年の山梨 県民は男性72・52年、女性75・78年で、ともに全国1位だったことが29日、厚生労働省の推定値で分かった。男性は前回10年時点の5位、女性は 12位から、それぞれ上がった。県は「食塩摂取量削減や日常生活の歩数の増加など生活習慣病の予防策が奏功した」とみている。
 国の健康増進計画によると、健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されている。3年に1回行う国民生活基礎調査の結果を基に算出する。

 13年時点の山梨は前回10年時点に比べて男性が1・32年、女性が1・31年それぞれ延びた。全国平均は男性71・19年、女性74・21年で、山梨は全国平均を男性1・33年、女性1・57年上回った。

 県は健康増進計画で県民の生活習慣病予防を重視。食生活の減塩など糖尿病対策や慢性腎臓病の重症化予防に取り組んでいて、「生活習慣改善に向けた啓発や社会環境整備に力を入れてきた成果」(県健康増進課)とみている。

 厚労省は12年に健康寿命を初めて算出し今回が2回目。前回男性の1位だった愛知県は0・09年減の71・65年となり、女性1位だった静岡県は0・29年延びたが、75・61年で山梨に次ぐ2位だった。男性2位は沖縄県の72・14年。

 最も期間が短かったのは、男性が徳島県の69・85年、女性は大阪府の72・49年で、山梨と男性2・67年、女性3・29年の差があった。

 ただ、厚労省は健康寿命の要因やその影響の度合いについて「今後研究を進める」とし、評価していない。

  一方、県によると、介護保険の要介護認定者数(要支援1~要介護5)を基に県が独自に算出した「高齢者の自立生活期間」(10年時点)は、男女ともに全対 象年齢で全国1~2位を占めた。要因について「ボランティア活動や無尽への参加など社会との関わりを持ちながら、規則正しい食生活を維持している」と分析 を示している。




介護職不足、疲弊の現場 「まし」な施設で発覚 老人ホームの虐待 16.01.04

(配信共同通信社 2016年1月4日)
 介護サービス大手「メッセージ」(岡山市)と系列会社の有料老人ホームで相次ぎ発覚した転落死や虐待に関し、「他の施設では表面化していないだけ。全体の質としてはメッセージはましな方だ」といった指摘が介護職や医師らから上がっている。背後には、人手不足で職員が疲弊 し、不適切なケアに陥るという構造的な問題が横たわる。

 ▽氷山の一角

 「研修で虐待の問題を取り上げると、半分くらいの職員が『やってしまったことがある』と手を挙げる。『乱暴な言葉遣いなども虐待の一種』と説明があると、ほとんどが手を挙げる」。メッセージのある社員は、現場の実態をこう明かす。

 同社の第三者調査委員会は11月末にまとめた報告書で、職員による虐待などが既に発覚していた6施設以外でも、過去2年間に49施設で81件の虐待があったとする施設長へのアンケート結果を発表。全275施設の2割に当たる計算だ。

 一部は自治体に報告していなかった。ただ、厚生労働省の担当者は「未届けは同社だけの問題ではないだろう」とみる。2013年度に施設職員による虐待で自治体が認定したのは221件だが、「氷山の一角」との見方がもっぱらだ。

 同社は分厚いマニュアルをつくり、職員の研修態勢にも定評があった。複数の企業の有料ホームやサービス付き高齢者向け住宅に訪問診療する都内の医師は「メッセージより質が低い施設はいくらでもある。ほかでも調べたらたくさん出てくるはずだ」と指摘する。

 ▽苦境に拍車

 営利企業だけの問題でもない。

 「ナースコールの線を外せ」。東北地方の医療法人が運営する都内の老人保健施設。1年ほど前まで勤務していたベテランの男性ケアマネジャーは、入所者からの呼び出し音に追われる若手職員に指示したことがある。

 「そうしないと、もっとひどい虐待を起こしてしまう」。切羽詰まった危機感があった。経営陣は稼働率だけを気にして職員教育やケアの質に無関心。介護福祉士など資格者は最低限しかおらず、経験のない無資格者で埋め合わせるものの、次々辞めていってしまう。

 残った職員が追い込まれ、暴言や入所者をたたくといった虐待が常態化していた。指導権限を持つ国民健康保険団体連合会が調査に入ったが、人員基準や書類上は問題なかったため「おとがめなし」だった。男性は「現場の疲弊は想像以上に進んでいる」と警告する。

 背景にあるのは、深刻な人手不足だ。15年11月の有効求人倍率は全体の1・25倍に対し、介護関係職種は2・91倍。景気回復で他業種に人材が流れ、以前からの苦境に拍車がかかっている。

 メッセージの別の社員は「常に人手不足だから、『この人は採らない方がいい』と思うような人でも、会社は採用してしまっている」と話す。

  高齢者住宅に詳しいタムラプランニング&オペレーティング(東京)の田村明孝(たむら・あきたか)社長は「老人ホームは密室性が高い上に、家族が預けっぱ なしで面会に来ないケースも多く、チェック機能が働きにくい。ほかに行き場がなく、質に問題があっても入居せざるを得ないという状況をつくり出している国 の政策にも問題がある」と指摘している。

 ※メッセージの虐待問題

 同社の子会社が運営する川崎市の介護付き有料老人ホーム 「Sアミーユ川崎幸町」で、14年11~12月に入居者3人がベランダから転落死していたことが15年9月に発覚。職員による入居者への暴力や窃盗なども 明らかになった。東京都三鷹市や名古屋市、大阪府豊中市などでも相次いで虐待などが判明。厚生労働省は11月、メッセージに業務改善勧告を出した。12月 18日には損保ジャパン日本興亜ホールディングスに買収されることが決まった。




在宅医療で40診療所が連携 首都圏、夜間対応を一元化 16.01.04

(配信共同通信社 2016年1月4日)
 首都圏の「在宅療養支援診療所」約40カ所が連携し、24時間の在宅医療を提供する仕組みを4月から始める。

 医師が1人だけの診療所では、夜間・休日も1人で対応しなくてはならないため、在宅医療が広がらない一因となっている。余力のある診療所が夜間など通常の診療時間外の対応を引き受けることで、患者が自宅で最期まで過ごせる環境の実現を目指す。

 東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県に在宅医療が主体の診療所を9カ所持つ医療法人社団「悠翔会」(佐々木淳(ささき・じゅん)理事長)が中心となる。今月中に一般社団法人「次世代在宅医療プラットフォーム」を設立し、連携する診療所を増やしていきたい考え。

 悠翔会は既に外部の13診療所と電子カルテを共有し、夜間・休日対応を担当。連携診療所を年内に約30カ所に広げ、時間外対応を一元化する。当直拠点を4カ所設けて、6千~1万人の在宅患者に対応する計画だ。

 佐々木理事長は「日中は普段のかかりつけ医が訪問して診療し、夜間は緊急対応に慣れた医師が駆けつける方が患者の満足度は上がる。持続可能な在宅医療の仕組みをつくりたい」としている。




佐大病院、診療ミスで重度障害 患者と家族に謝罪 16.01.04

(佐賀新聞 2016年1月4日)
 佐賀大学医学部附属病院は28日、下半身の脱力感を訴え外来受診した40歳代の女性患者に、磁気共鳴画像装置 (MRI)検査を行わなかったため疾患を見落とし、両下半身まひなど重い後遺症が出る診断ミスがあったと発表した。主治医以外の医師にも意見を求めるコン サルトシステムが機能しなかった。同病院は厚労省九州厚生局など関係機関に届け出るとともに、患者と家族に説明、謝罪した。
 女性患者は今年10月、「両下半身に力が入らなくなった」と訴え、車いすで来院。患者は精神科に通院中で、呼吸が極端に速く、上半身が震えていたことから、主治医の総合診療医は、ストレスなどが引き起こす身体障害「転換性ヒステリー」の可能性が高いと判断した。

 コンサルトシステムで意見を求めた神経内科医から「血液検査とMRI検査を行うべき」との具申があったにもかかわらず、主治医は血液検査だけ行い、MRI検査は後日行うことにして他の病院に転院させた。

  ところが、発症から3日後にMRI検査をしたところ、脊椎に血腫が見つかり、附属病院で緊急手術したが、女性は両下半身のまひとぼうこう直腸障害が生涯続 く重い後遺症が出た。病院側は「初診時に検査し、すぐに手術していれば、後遺症は避けられた可能性も否定できない」としている。

 会見した森田茂樹院長は「医師としてベストを尽くせば防ぐことができたミス。患者に多大なる苦痛を与えたことに対し深くおわび申し上げたい」と謝罪。コンサルトシステムを機能させるよう現場に周知するなど、再発防止策に取り組むという。




手術後死亡64例を検証へ 群馬大病院の調査委 16.01.04

( 共同通信社 2016年1月4日)
 群馬大病院で男性医師(退職)の腹腔(ふくくう)鏡や開腹の手術を受けた患者が相次いで死亡した問題で、病院の事故調 査委員会は29日、京都市内で記者会見を開き、診療体制を検証するため2007年から14年、手術を受けた後に亡くなった患者64人の全ての手術と術後管 理を検証すると明らかにした。検証は日本外科学会に委託する。

 上田裕一(うえだ・ゆういち)委員長によると、対象は男性医師を含む旧第1外科、旧第2外科の計15人による手術。64人には男性医師が担当し、術後に亡くなった30人が含まれている。「全てに問題があるわけではない」としている。

 男性医師は、旧第2外科で07年から14年、肝臓や膵臓(すいぞう)などの手術を担当。腹腔鏡や開腹の手術で患者18人の死亡が判明した。その後、被害対策弁護団が病院側の調査として、ほかにも12人が術後一定期間内に死亡していたと明らかにした。




「患者に心からおわび」 がんセンター誤摘出で千葉県知事 16.01.04

( 千葉日報 2016年1月4日)
 森田健作知事は28日、県がんセンターで起きた患者検体取り違えによる乳房誤摘出手術について「患者さん、ご家族に心からおわび申し上げる」と謝罪した。

  今年最後の定例部課長会議後の報道陣の取材に答えた。森田知事は「女性にとって乳房は命。それを間違えたのは忍びがたく、大変申し訳ない。真摯(しんし) に対応に当たるよう指示した」と述べた上で、腹腔(ふくくう)鏡下手術の患者死亡問題に続くがんセンターの不祥事に「県民の信頼も失墜した。もう二度と起 きないようにしなければ」と強調。院内事故調査委員会などを通じた原因究明が急務との考えを示した。

 君津市で県立高校の男子生徒が祖父母殺害容疑で逮捕された事件に対しては「しっかりと調査、原因究明をして今後の教育の方針なども含めて考えていかなくてはならない」とした。

 森田知事は、部課長会議では「県民のために頑張るという強い気持ちを来年も持って。同時に、一人で抱え込まず、結果を焦ってもいけない」と呼び掛けた。




「人工呼吸器欠陥で死亡」 ALS患者遺族が業者提訴 16.01.04

( 共同通信社 2016年1月4日)
 全身の筋肉が徐々に動かなくなる筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患った埼玉県の男性=当時(65)=が死亡したのは、 人工呼吸器の欠陥が原因だとして、遺族が28日、呼吸器を輸入販売するフィリップス・レスピロニクス(東京)に約7200万円の損害賠償を求める訴えを東 京地裁に起こした。

 訴状によると、男性は2013年にALSを発症。入退院を繰り返した後、自宅で療養していた14年10月に人工呼吸器が作動しなくなり死亡した。この呼吸器は同4月から使っていた。通常の使い方だったのに電源コードが断線したとし、製品に欠陥があったと主張している。

 提訴後、記者会見した妻(62)は「なぜ事故が起こったのか明らかにしたい」と訴えた。

 遺族の代理人によると、フィリップス社から同じ製品で過去1年間にコードの断線が17件あったと説明を受けたという。

 同社は「訴状を受け取っておらず、コメントは控える」としている。




乏しい配慮、募る不安 マイナンバー始動に弱者 16.01.04

( 共同通信社 2016年1月4日)
 年明けに迫ったマイナンバー制度の運用開始に、不安を募らせる人たちがいる。視覚障害者や、心と体の性が一致しない性 同一性障害の当事者らだ。「自分の番号が確認できない」「性別をカードに載せないで」。弱者への配慮が乏しいと、改善を求める要望が相次いでいるが、導入 準備に追われる国は十分に応えられないまま、制度は見切り発車する。
 ▽相談200件

 「視覚障害者への配慮がほとんどない。事前に私たちの意見を聞き入れてほしかった」。日本盲人会連合の情報部長で全盲の工藤正一(くどう・しょういち)さん(67)は憤る。

 番号通知カードには点字表記がない。総務省は視覚障害者への配慮として、アプリを入れたスマートフォンや専用の機器をかざすと、音声で番号を読み上げるコードをカードに同封した。

  だが工藤さんは「これらの装置を日常的に使っている人は少ない」と指摘。他人に読み上げてもらえば、番号が漏れる危険もある。同連合には「番号が確認でき ない」など相談が200件近く寄せられている。「多くの人がカードの内容を確認できていない。今からでも分かる方法で周知してほしい」と訴えた。

 ▽自殺も考え...

  性同一性障害の当事者団体が問題視するのは、マイナンバーのカードに戸籍上の性別が記載されることだ。戸籍とは違う性別で働いている人も多く、職場への カード提示はカミングアウトを強いられるのと同然になる。差別も懸念され、団体のアンケートでは「解雇されて生活難になれば自殺を考える」といった深刻な 声も寄せられた。

 アンケートをまとめた和歌山県の教員、倉嶋麻理奈(くらしま・まりな)さん(57)も戸籍は男性のまま。職場ではカミン グアウトして理解は進んでいるが、県の教育委員会から通知カードのコピー提出を求められ、反発を覚えた。番号をどう管理するかの説明もなく、当面提出しな いつもりだ。「性別を明らかにするのは当然のことではないのに。それに思いが至らないのだろうか」

 政府は、年明けから交付する個人番号カードの性別欄を目隠しするケースを配る方針だが、倉嶋さんの団体は「カバーでは外して見られる恐れがある」として欄を隠すシールを作成する予定だ。

 ▽居場所知られる

 「ドメスティックバイオレンス(DV)被害者がどういう気持ちで生活しているのかに思いが及ばないまま、制度が走りだしてしまった」。東京都内で一時保護シェルターを運営する団体の女性スタッフは話す。

 DV被害者には住民票を移さずに逃げている人がいるため、政府は本人確認書類を自治体に持参すれば、今の居場所で番号通知カードを受け取れる特例を設けた。だが、この団体には「自治体に居場所を知らせるのは不安」などの相談が寄せられている。

 「自治体から加害者に漏れる恐れはゼロでなく、ハードルが高い」。相談してきた女性で特例を利用した人は少なく「番号が分からない被害者が行政手続きで不利にならないよう、自治体は配慮してほしい」と訴える。

 総務省住民制度課は「一定の配慮はしてきたが、今後も要望には丁寧に対応していきたい」としている。



「医療の知恵」貸し出し 九州の図書館、拠点病院と連携 16.01.04

(西日本新聞 2016年1月4日)
 九州のがん診療連携拠点病院と公共図書館が、市民への医療情報の提供に向けて連携を強化している。病気や治療法などを 調べようと図書館を訪れる市民は多く、病院側が有益な医療情報を図書館職員に教え、図書館の対応力向上を図るなどしている。来年1月には国立がん研究セン ター(東京)の研究班や福岡県立図書館(福岡市)などが、九州・沖縄の拠点病院と図書館に参加を呼びかけ、連携の充実や拡大を図るためのワークショップを 開く。

 福岡県立図書館で11月16日にあった図書館職員向け研修。拠点病院の九州がんセンターなど県内3病院の看護師ら4人が講師を務める講義があった。

  4人が教えたのは(1)各拠点病院にある市民向け無料相談窓口「がん相談支援センター」(2)がん以外の病気の相談窓口(3)インターネットを使った「が ん情報」の探し方(4)緩和ケア(5)セカンドオピニオン‐など。受講した同県久留米市立中央図書館など14図書館の14人は実際にパソコンで検索し、一 人は「相談支援センターなど、初めて知ったことが多かった。図書館利用者にも紹介できる」と話した。

 講義は、国立がん研究センターや九州がんセンターのスタッフが5月、福岡県立図書館に連携を申し入れたのをきっかけに実現。県立図書館も前向きで「がんだけでなく幅広く医療情報を学べる機会にしてほしいとお願いした」と話す。

 九州で先進的に取り組んできたのは長崎市立図書館と地元の拠点病院。2012年から拠点病院の医師らを講師に、がんに関する講演会を年数回、図書館で開くなどしている。

  来年1月25日のワークショップは福岡県立図書館であり、福岡、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島などの各県から拠点病院や図書館の関係者が参加予定。長崎 市立図書館のスタッフが「連携の事例」を報告した後、各県単位で連携の内容や方法などを探る見通し。拠点病院側には、知名度がいまひとつのがん相談支援セ ンターを、図書館を通じてPRしたい狙いもある。

 国立がん研究センターの研究班代表の高山智子・がん情報提供研究部長は「今回のワークショップは初の試み。効果があれば他地域でも実施したい」と話している。

 【ワードBOX】がん診療連携拠点病院

  専門的ながん医療の提供などを担う病院として都道府県の推薦をもとに厚生労働相が指定する。今年4月1日現在、全国で400施設以上あり、うち九州各県の 施設数は福岡15▽佐賀4▽長崎6▽熊本8▽大分7▽宮崎3▽鹿児島10。各施設には、だれでも無料で利用できる「がん相談支援センター」があり、専門家 が相談に応じたり、情報を提供したりしている。

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