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What's new 2013

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What's new 2013







ピルの副作用、血栓に注意を 5年で11人死亡例 13.12.17

(朝日新聞 2013.12.17)
 生理痛の治療や避妊でピルをのんだ後に、血の固まりができる副作用によって、この5年間で11人死亡し、重症例が361件報告されていることがわかった。日本産科婦人科学会(日産婦)は緊急に注意を呼びかけたほか、厚生労働省研究班も実態調査に乗り出した。

 医薬品の安全を管理する独立行政法人の集計などによると、2008年~13年上半期に、低用量ピル11品目で、血の固まりが血管をふさぐ血栓の重症例が延べ361件、副作用として報告されていた。死亡は11件で10代1人、20代2人、30代4人、40代1人、50代2人、不明1人だった。

 血栓は血の流れが遅い静脈にできやすく、ピルを使わなくても10万人あたり年5人の頻度で起きる。ピルはこのリスクを3~5倍引き上げる。ピルに含まれる女性ホルモンが血液を固める成分の合成を促すためだ。副作用の報告はピルとの因果関係が不明の例も含むが、08年の33件から12年の105件に増え続けていた。

 ピルは避妊だけでなく重い生理痛や子宮内膜症などの治療薬として広がっている。子宮内膜症は、治療しないと不妊や卵巣がんのリスクが高まるからで、08年以降、2品目が保険適用された。日本家族計画協会専務理事の北村邦夫医師によると、ピルの売り上げは08年から4年間で約1・5倍に増え、利用者は推定100万人に上る。

 日産婦は今年2人死亡したことを受け、注意喚起した。血栓の前兆になる頭や胸、ふくらはぎの痛み、視野の異常などがあれば、すぐに専門医に診断を頼むよう求めた。北村さんは「事前に血栓が起きるかわからない。血栓は治療薬があるので、早く見つかれば重症化を防げる」と話す。

 厚労省研究班(担当=小林隆夫・浜松医療センター院長)は2千超の医療施設を対象に、ピルなどの女性ホルモン剤と血栓の頻度など副作用の詳しい実態を調べ、安全策を提言する。小林さんは「ピルは比較的、副作用が少ない薬だが、血栓が起きうると思って使うことが大事だ」と話す。



女児障害の分娩ミスで和解 両親らと豊橋市民病院 13.12.13

(共同通信社 2013.12.13)

 愛知県の豊橋市民病院で、分娩(ぶんべん)の際に医師の対応が不十分だったため生まれた女児に重度の障害が残ったとして、両親らが豊橋市に約2億7千万円の損害賠償を求めた訴訟は13日、名古屋地裁(堀内照美(ほりうち・てるみ)裁判長)で和解が成立した。市が女児と両親に1億5千万円の損害賠償金を支払う。

 病院などによると、2008年5月、30代の女性が出産した際、胎児の心拍数が遅くなっているのに、担当の産婦人科医らが適切な措置をしなかった。胎児は仮死状態で生まれ、低酸素性虚血性脳症による障害が残った。

 11年12月に両親らが提訴し、今年5月に名古屋地裁が和解を勧告していた。

 市は「難しい出産時の体制が不十分だった」などと認めた上で、医師、助産師の増員を検討するほか、スタッフに分娩監視装置モニターの読み方を再教育するなどの改善策を決定している。




【北海道】子宮頸がんワクチンの安全評価徹底、要請へ 知事「不安解消を」 議会も救済意見書採択 13.12.13

(毎日新聞 2013.12.13)

 子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に原因不明の痛みが生じる副作用が報告されている問題で、道は12日、厚生労働省に安全性評価の徹底や不安解消を要請する方針を明らかにした。道議会も同日、重い副作用がある被害者の救済を求める意見書を全会一致で採択。高橋はるみ知事は記者会見で「国の責任でワクチンの有効性とリスクをしっかり評価してもらい、10代の女性や保護者の不安解消に努めるよう求める」と述べた。

 ワクチンは小学6年〜高校1年が対象で、今年4月に原則無料の国の「定期接種」となった。だが接種後に手足のしびれや痛み、意識障害や発熱といった副作用を訴える声が相次ぎ、厚労省が6月に積極的に接種を勧めることを一時中止した。

 道内の接種件数はこれを境に激減し、4月は2329件だったが9月は264件にとどまる。接種は本人の判断で決めるため、安全性の確認が急務となっている。

 道地域保健課によると、道内での副作用報告は、独自に聞き取った範囲で48件に上る。道内の副作用患者は複数の病院を受診しても原因が分からないケースが多く、中には症状が深刻で通学できなくなった女性もいる。

 道は今月、副作用患者が円滑に受診できるよう市町村の相談体制を整えた。問い合わせがあった場合、接種後の痛みを専門的に診療する窓口がある札幌医大付属病院や北海道大病院を紹介、予防接種法に基づく救済制度を説明することにした。

 道議会が採択した意見書は、厚労省などに(1)慎重かつ徹底した評価検討(2)適切な情報提供(3)地方自治体での相談窓口の設置(4)副作用に対する治療方法の確立——を求めている。高橋知事は「道議会と同じ意向で、意見書と並行して道としての要請活動もしなければならない」と述べ、来週にも要請書を厚労省に提出するとしている。



【北海道】子宮頸がんワクチン、救済求め意見書…道議会 13.12.13

(読売新聞 2013.12.13)

 子宮頸がんワクチンの接種後に副作用が出ている問題で、定例北海道議会は最終日の12日、国に対して被害者の救済を求める意見書を全会一致で可決した。

 全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会(東京)によると、同ワクチンの副作用を巡って、兵庫県議会で因果関係などの検証を求める意見書が可決されているが、都道府県議会での意見書可決はまだ少数という。13日には美唄市議会でも同様の意見書が可決される見通しだ。

 同ワクチンは今年4月から、小学6年〜高校1年生は原則無料で接種できる定期接種となった。しかし、接種後の痛みなどの報告が相次いだため、厚生労働省は6月に積極的な勧めを一時的に差し控えることを決めた。

 道内でも接種後に意識障害などの重い症状を訴える患者が出ており、道によると、頭痛や発熱など副作用とみられる症例報告は48件に上っている。意見書はこうした事情を踏まえて提案され、国に対して治療方法の確立や被害者救済制度の充実を求め、安全性について徹底した評価・検討を行うよう要請している。




医療事故一斉相談 12月7日電話受付 

医療問題弁護団など全国の医療事故相談窓口で、以下の日時で、電話での医療事故一斉相談を行います。※ 窓口電話は当日のみ

   〜〜〜〜〜 記 〜〜〜〜〜
   医療事故一斉相談のご案内
2013年12月7日(土)午前10時〜午後3時

▼山梨県電話窓口
  山梨医療問題研究会 055-226-3263
▼東京電話窓口:
  医療問題弁護団 03−5698−7511
  医療事故研究会 03−3225−7478
▼全国の電話相談窓口は以下のURLのページをご参照下さい。
http://www3.ocn.ne.jp/~mmic/20131207madoguchi.html




子宮頸がんワクチン、「接種勧奨せず」を継続 13.10.29

(m3.com 2013.10.29)

 厚生労働省は10月28日、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会(座長:桃井眞里子・国際医療福祉大学副学長)と薬事・食品衛生審議会の医薬品等安全対策部会安全対策調査会(座長:五十嵐隆・国立成育医療研究センター総長)を合同開催した。

 厚労省の報告によると、深刻な副反応が問題視されている子宮頸がん予防ワクチンによる2013年4月から7月までの副反応報告は129件(医療機関105件、製造販売業者24件)で、このうち37件が接種後に痛みが継続するなど、医師が重篤と判断した副反応だった。

 予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会の桃井座長は、厚労省が6月から子宮頸がん予防ワクチンの接種勧奨を一時中断していることについて、継続して積極的な接種勧奨は差し控えることを提案し、委員の了承を得た。

 ワクチンと副反応の因果関係については、「評価不能」であるものが多いが、「関連あり」とされたものの中には、発熱、顔面浮腫、関節痛などを含む18の副反応が報告されているケースもある。アナフィラキシーが疑われる副反応も2件報告されている。

 厚労省は次回会議でさらに詳細なデータを示し、今後の子宮頸がん予防ワクチンについて検討する方針。

 医療機関から報告があった子宮頸がん予防ワクチンの副反応の発生頻度は、販売開始(サーバリックスは2009年9月、ガーダシルは2011年8 月)からの累計で0.016%、このうち重篤な副反応の発生頻度は0.002%。会議で報告された他のワクチンの副反応の発生頻度は、販売開始からの累計 でHibワクチンが0.004%(うち重篤は0.001%)、小児用肺炎球菌ワクチンが0.006%(同0.001%)、不活化ポリオワクチンが 0.002%(同0.0005%)、混合不活化ポリオワクチンが0.003%(同0.001%)などとなっており、これらよりはやや高い傾向にある。さら に厚労省は「子宮頸がん予防ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛がワクチン接種後に特異的に見られた」として6月から接種勧奨を一時中断して いた。

 2013年4月から7月までの4カ月間の子宮頸がん予防ワクチンの接種可能人数は25万302人で、2013年1月から3月までの3カ月間の35万5926人と比較しても、42.2%減少している。



医師・医療機関に製薬業界から4700億円提供 13.10.22

(読売新聞  2013.10.22)

 製薬業界から2012年度に国内の医師や医療機関に提供された資金の総額は4700億円を超えることがわかった。

 国の医療分野の研究開発予算1700億円の2・7倍に上る。

 医学研究の発展のためには産学連携が不可欠だが、高血圧治療薬「ディオバン」の研究データ改ざん問題では、背景に企業との不透明な関係が指摘された。専門家は「資金提供の透明化が必要」と指摘する。

 主要な製薬企業70社で作る日本製薬工業協会の指針に基づき、10月上旬までにホームページで初めて金額を自主公表した65社分を読売新聞社が集計した。

 公開された金額は、各社が大学などの研究機関や医師に支払った〈1〉共同研究などに使われる研究・開発費〈2〉寄付金などの学術研究助成費〈3〉講師謝礼や原稿料など〈4〉医師向けの講演会、説明会などの情報提供関連費〈5〉飲食や中元歳暮などの接遇費。

 項目別で最も多かったのは研究・開発費で計2438億円。その4分の3は、薬の承認を得るために行う治験などの臨床試験費(1840億円)だった。

 寄付金などの学術研究助成費は計532億円。うち、指定した研究者が自由に使える奨学寄付金は340億円、研究者を指定せずに大学などに提供する 一般寄付金は84億円だった。ディオバン問題では、臨床研究の事実上の見返りとして、販売元のノバルティスファーマから多額の奨学寄付金が支払われてい た。




「報道で知る」を一転修正 徳洲会新トップ、理事会で 13.10.22

(共同通信社  2013.10.22)

 

 医療法人「徳洲会」の鈴木隆夫(すずき・たかお)・新理事長(72)が、公選法違反の疑いが持たれている徳洲会グルー プの経理処理について、今年9月に新聞報道があるまで知らなかったとする従来の説明を一転させ、「年が明けてから知った」と法人理事らに話していることが 21日、徳洲会関係者への取材で分かった。

 徳洲会グループは徳田毅衆院議員(42)=鹿児島2区=の選挙応援に派遣した職員の欠勤分給与 をボーナスで穴埋めした疑いが持たれている。鈴木氏は今月8日、徳田虎雄(とくだ・とらお)前理事長(75)の退任表明後の記者会見で、9月17日に東京 地検特捜部が強制捜査に入ったことを報じた新聞でこの経理処理について「初めて知った」と答えた。

 しかし関係者によると、自身が新理事長 に選任された今月20日の臨時理事会では「経理処理がどういう風にされたのかは、選挙が終わってから知った」、「どういう形で金が流れたのか、どういう形で支払ったのか、その事実を知ったのは年が明けてから」などと釈明。出席者からは「本当に不正を知らなかったのか」との質問が相次いだ。

 鈴木氏は徳田前理事長の側近で、長年にわたるグループの実力者。説明の食い違いについては共同通信の取材に応じず、徳洲会東京本部が「捜査妨害にあたる可能性もあるので取材は受けられない」とのコメントを出した。




降圧剤疑惑 一流医学誌、広告に関与 ノバルティスに宣伝効果、出版社には収入 :クローズアップ2013 13.10.21

(毎日新聞社  2013.10.21)

 製薬会社ノバルティスファーマの降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験疑惑で、データ操作が判 明した東京慈恵会医大の論文を掲載(9月に撤回)した欧州の一流医学誌「ランセット」を発行する出版社の日本支社が、バルサルタンの広告代理業務を担って いたことが分かった。さらに日本支社は、論文の別刷りの発注をノ社から請け負い、販売益を得ていた。誇大広告の疑いが持たれているバルサルタンの宣伝戦略 は一流医学誌を巻き込んだものだった。

 ノ社が宣伝に多用した慈恵医大チームの論文がランセットに掲載されたのは、 2007年のことだ。論文は「バルサルタンには他の降圧剤と比べ、脳卒中を40%減らす効果があった」などと結論付けていた。ところが今年7月、データ操 作されていたことが発覚し、ノ社の宣伝への批判が高まっている。

 製薬業界の関係者は「製薬会社にとって、自社の薬に都合の良い結果が出た臨床試験の論文は、強力な販売促進の武器になる。しかも一流誌のランセットは、これ以上ない宣伝の権威付けになる」と語る。

  そして、バルサルタンの宣伝に、ランセットを発行する世界最大級の学術系出版社の日本支社「エルゼビア・ジャパン」が広告代理店として参画していたこと が、複数の関係者の証言で新たに分かった。両社は「個別の案件にはコメントできない」とするが、慈恵医大の試験の意義を専門家に語らせた宣伝資材の CD―ROMには、日本支社の名前が記載されている。

 さらにノ社が、出版社側から慈恵チームの論文の別刷りを買い取り、宣伝に活用していたことも判明した。両社は取材に対し、別刷りを巡る取引があったことを認めたが、部数や金額は明らかにしなかった。

 医学誌として抜群の信頼を得ているランセットだが、製薬企業などの広告を掲載する商業誌でもある。また、出版社は論文の著作権を保有し、宣伝に使いたい製薬企業から論文の別刷りを大量受注しているのが実態だ。

  英オックスフォード大などの報告(12年)によると、02~09年にランセットに掲載後、別刷りされた論文のうち部数が多い88論文の平均は12万 6350部あった。別刷りによる出版社の収入は、1論文当たり平均約4540万円で、最高は約2億4520万円だった。10万部以上の大量発注があった論 文のうち7割は、製薬企業が資金提供した研究だった。

 ノ社の広告に関わった男性は「製薬企業が絡んだ臨床試験の論文は、別刷りで出版社の利益につながる。出版社は論文を投稿させるために製薬企業の広告代理業を行っているのではないか」と推測する。

  「医学誌の審査を経て掲載された論文のデータに問題があるとは考えていなかった」。ノ社は慈恵論文を宣伝に利用してきた責任について問われる度、こう釈明 する。慈恵論文の掲載で出版社側からの特別扱いはなかったのか。日本支社は取材に「(掲載には)社外の編集委員の主導の下、厳格な査読基準を順守してい る。製薬企業はもとより、社内の他部門による干渉を受けることは一切ない」と強調する。

 ◇慈恵医大「悲願」の掲載 創設者ゆかり、ランセット

  研究者にとってもランセットに論文が掲載されることは大きな魅力だ。同誌は世界5大医学誌の一つに数えられ、トップクラスの権威を誇る。雑誌としての影響 力も、著名な科学誌「ネイチャー」とほぼ互角だ。医療ガバナンスが専門の上昌広・東京大医科学研究所特任教授は「掲載されれば、研究者にとって名誉である だけでなく、その後の研究資金と出世も約束される」と指摘する。

 「慈恵医大にはランセットにこだわった理由が他にもあった」とみる専門家 もいる。明治時代、海軍軍医だった高木兼寛博士は、かっけの研究で、軍艦の兵員の食事を洋食に切り替える臨床試験に取り組み、原因は栄養欠陥と結論付け る。高木氏が英国で講演した内容が、1906年にランセットに掲載された。高木氏は慈恵医大の創設者だ。

 創設者ゆかりのランセットに、同 じ大規模な臨床試験の論文を掲載することは、慈恵医大にとって意義深いことだった。バルサルタンの論文が掲載されると、同大の栗原敏学長(当時)は翌年の 広告に登場し、「高木の精神を継ぐ実践医学の研究を成し遂げたかったのだろう」とたたえた。

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 ■ことば

 ◇バルサルタン臨床試験疑惑

  バルサルタンに、血圧を下げるだけでなく、脳卒中予防などの効果もあるかを5大学が臨床試験で調べた。ノバルティスファーマは論文を宣伝に利用したが、試 験にノ社の社員が関わり、データ解析などを担っていたことが3月に発覚。その後、京都府立医大と東京慈恵会医大の論文でデータ操作があったことが判明し た。厚生労働省の有識者検討委員会は9月、誇大広告を禁じた薬事法違反の疑いで徹底調査するよう国に求めた。




診療報酬17億円不正請求、うち4億8900万円不正受給 犬山・松浦病院 13.10.10

“診療報酬4億8900万円不正受給 犬山・松浦病院 保険医療指定取り消し”(読売新聞  201310.10)

 厚生労働省東海北陸厚生局は9日、愛知県犬山市の「医療法人松陽会 松浦病院」が診療報酬約4億8900万円を不正受給していたとして、保険医療機関の指定取り消しを決定したと発表した。処分は来年2月1日付で、5年間は再指定は受けられず、保険診療ができない。同法人は他の医療機関などに土地建物を売却し、返済する方針。

 同病院は名鉄犬山駅前にあり、診療科は10科、病床数は107床。発表によると、同病院は2008年2月から12年8月の間に、診療報酬のランク が下がらないよう、看護師など介護職員1人あたりの月平均の夜勤時間を72時間以下とする虚偽の届け出を行うなどして入院患者約200人分の診療報酬を不正受給。同厚生局の調査で、勤務表と照合して不正が発覚した。

 松陽会の須賀敬理事長らは9日、犬山市内で記者会見。須賀理事長は「患者、家族の皆さんに多大な心配と迷惑をかけ、おわびしたい」と謝罪。不正受給は資料が残っていない分も含め約17億5000万円と推計されるとし、「不正受給をしたのはすでに退職した事務長や理事らだ」とした。

 現在は、土地建物の売却先として複数の医療機関と交渉中としたが、売却先が見つからない場合、約100人の入院患者は転院を迫られることになる。 夫が6月末から入院中という70歳代の女性は「ずっとここにいられると思っていた。病院が潰れたら行くところがなくなる」と嘆いていた。




アルツハイマー病の原因物質の分解・排出の仕組み確認 熊大グループ 13.10.10

(熊本日日新聞 2013.10.10)

 熊本大大学院生命科学研究部(薬学系)の伊藤慎悟助教(35)と大槻純男教授(45)=いずれも分子生物学=らの研究グループが、血糖値を下げる働きを持つインスリンを分解する酵素(IDE)が、アルツハイマー病の原因物質を分解・排出するメカニズムをマウスの実験で突き止めた。

 糖尿病の患者は、認知症の原因となるアルツハイマー病のリスクが高いことが指摘されており、発症を遅らせる治療薬の開発などにつながるという。

 アルツハイマー病は、脳内にアミロイドβペプチド(Aβ)という物質が蓄積し、神経細胞を破壊するなどして発症する。研究グループは2004年、脳内の血管にAβが排出される仕組みをインスリンが阻害することを確認した。

 伊藤助教らは今回、脳内のAβ量を詳細に測定する方法を開発し、IDEが脳内でAβを分解するとともに、血管へ排出していることを解明。IDEを作る遺伝子を欠損させた血管細胞にはAβが取り込まれなかったことからも、IDEの機能を裏付けた。

 マウスの脳内にインスリンとAβを一緒に注射すると、Aβの量は減らなかった。糖尿病患者の体内ではインスリンが増加し、IDEがインスリンの分解で手いっぱいになる。このため、Aβの分解・排出ができずに、脳内に蓄積すると考えられるという。

 大槻教授らは「ヒトの細胞で同様の結果になるか確認し、創薬につなげたい」と話している。

 成果は、脳血流と代謝に関する海外専門誌に掲載された。



検査怠り、肝炎で死亡 神戸、医師が勘違い 13.10.10

(共同通信社 2013.10.10)

 神戸市民病院機構は9日、市立医療センター中央市民病院で、B型肝炎ウイルスに感染していた60代の男性に抗がん剤を投与した際に、医師が必要な血液検査を怠り、男性が劇症肝炎を発症して死亡したと発表した。

 感染者が抗がん剤などの化学療法を受けると、免疫力が低下してB型肝炎ウイルスが再活性化し、肝炎を発症する恐れがある。

 このため、厚生労働省のガイドラインは、化学療法と並行して血中のウイルス量を検査し、異常があった場合は薬を投与するよう定めている。

 同機構によると、男性は昨年5月に悪性リンパ腫の治療で入院し、同9月まで化学療法を継続。男性は治療前のB型肝炎ウイルス検査で陽性だったにもかかわらず、担当した30代の男性医師が陰性と勘違いし、その後の血液検査を怠っていたという。

 男性はことし4月に肝炎を発症し、6月に死亡した。

 同機構は「B型肝炎の検査結果を一目で判別できるよう電子カルテを改良し、再発を防止する」としている。



【愛知】勤務医不足慢性化 県調査71病院で診療制限 13.10.09

(読売新聞 2013.10.09)

 病院勤務医の不足が問題となる中、人手が足りずに診療制限を実施している県内の医療機関(6月末現在)は、全325病院の2割以上に当たる71病院に上ることが県の調査で分かった。2007年の調査開始から横ばいが続いており、制限のない病院数も減少するなど事態に改善は見られず、県は「医師不足の深刻さは変わっていない。医師確保に努めたい」としている。

 診療制限には、時間外救急患者や初診患者の受け入れ制限、出産対応の休止などがある。

 診療科別の状況は、産婦人科が65病院のうち23・1%に当たる15病院で出産数を制限するなどしていた。このほか制限が多かったのは、精神科14・4%、小児科12・4%、内科10・7%などとなっている。制限が少なかったのは外科で、183病院のうち6病院(3・3%)だった。圏域別では、尾張西部(一宮市、稲沢市)が19病院のうち7病院(36・8%)で最も多く、西三河南部西(碧南市、刈谷市など)の31・8%、尾張北部(春日井市、犬山市など)の30・4%などと続いた。名古屋市は132病院のうち28病院(21・2%)だった。

 診療制限がなかったのは尾張中部(清須市、北名古屋市など)だけだった。

 慢性的な医師不足は、人気のある診療科や都市部に医師が集中することなどが背景にある。

 県内の勤務医不足を解消するため、県は09年度から名古屋大や名古屋市立大など県内4大学の医学部に、県内の病院に勤務することを条件に学費を援助する「地域枠」をそれぞれ創設。また、地域内で医師を派遣し合う際、病院側に生じる逸失利益を補助する制度や、救急勤務医への手当補助などの事業を行っている。




がん浸潤の原因たんぱく質を発見…阪大教授ら 13.10.04

(読売新聞 2013.10.04)

 がんが周囲の正常組織に広がる「浸潤」を引き起こす新たなたんぱく質を、石井優(まさる)・大阪大教授らがマウスの実験で発見したと、3日から横浜市で始まった日本癌(がん)学会で発表する。

 石井教授は「このたんぱく質を抑えれば、がんが縮小することも確認した」と話し、様々な種類のがん治療薬の開発につなげたいという。

 石井教授らは、生きている臓器でがん細胞がどのように動くかを観察できる画像装置を開発し、人間の大腸がんの細胞をマウスに移植して浸潤する様子を調べた。浸潤していくがん細胞の先端部のほとんどが分裂の盛んなタイプであることが分かった。

 分裂の盛んながん細胞では、今回見つけたたんぱく質が多いほか、人間でも進行の進んだがん細胞ほど、このたんぱく質が多くなることも突き止めた。細胞内でこのたんぱく質が増えないようにする薬をマウスに与えると、がんの大きさが半減し、浸潤が抑えられることも確かめた。

 今回見つけたたんぱく質の特許申請を進めるとともに、約4万種類の候補物質から、このたんぱく質の働きをより抑える物質の探索を始めている。

 公益財団法人がん研究会がん化学療法センターの藤田直也副所長の話「生きたまま臓器の奥まで観察できる画像装置を使っており、研究の精度が高い。見つけたたんぱく質を抑える物質は、大腸がんなどの浸潤や転移を抑える薬として有望だ」




四大公害病 命の惨禍、人類の記憶 語り部「被害は進行形」 富山で一堂に、伝承へ決意 13.9.29

(毎日新聞社  2013.9.29)

 四大公害病の経験と記憶を後世に伝える語り部5人が28日、富山市の富山県立イタイイタイ病資料館に集ま り、伝承会を開いた。水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそくの語り部が一堂に会するのは、今回が初めて。5人は「被害は現在進行形だ」「人 間の尊厳のために、声を上げ続けないといけない」などと訴え、公害が今日的な課題であることを強調した。

 伝承会は昨年オープ ンした同資料館が企画。5人は▽水俣病の原因企業・チッソ本社前で、父親が1年7カ月の座り込みをした川本愛一郎さん(55)=熊本県水俣市▽自身が新潟 水俣病を発症し、味覚障害や頭痛に苦しむ山田サチ子さん(78)=新潟県新発田市▽イ病を発症した義理の祖母を看病した若林カズ子さん(78)=富山市▽ 四日市ぜんそく訴訟の原告の一人、野田之一(ゆきかず)さん(81)と現地で公害の記録を続けてきた澤井余志郎さん(85)=いずれも三重県四日市市。

 川本さんは、父親が水俣病に対する抗議行動で3回逮捕されたエピソードを紹介。「私が中学生の時、家には嫌がらせの電話やはがきがきたが、母親は『父ちゃんは偉かぞ』と言って父を理解していた」と涙をぬぐった。

  また、原因物質を封じ込めている水俣湾の水銀埋め立て地について、川本さんは「仕切りの鋼板の耐用年数は50年。今後もきちんと管理できるのか注意し続け ないといけない。現在進行形の問題だ」と指摘。「四つの公害は、高度経済成長という国策が進む中で起こった点で共通している。今後も同じような構図の中で 公害が起こるかもしれず、資料館が声を発信していかないといけない」と力を込めた。

 新潟水俣病の山田さんは「嫁ぎ先から『うちからは水俣病を出したくない』と言われて検査をしなかった人も多い。一人でも多くの人に検診を受けてほしくて語り部を始めた」と心境を吐露した。

  また、若林さんはイ病に苦しんだ義理の祖母を思い浮かべながら「『痛い、痛い』と言って亡くなった人がいた事実を、子どもたちに発信していきたい」と話し た。四日市ぜんそく訴訟の野田さんは「企業の過ちで、40年たった今でも治らない。地球を、自分のしたいようにしてはいけない」と警鐘を鳴らした。

 各地に設立された公害病資料館の連携を巡って今年2月、イ病資料館で各地の館長らが初めて顔を合わせるフォーラムを開催した。

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 ■ことば

 ◇水俣病

 熊本県水俣市のチッソ水俣工場から排出された有機水銀を原因とする公害病で、1956年に公式確認された。汚染された水俣湾の魚介類を摂取した住民にけいれんなどの症状が出た。

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 ■ことば

 ◇新潟水俣病

 新潟県北部を流れる阿賀野川流域で発生したメチル水銀を原因とする公害病。65年に初の患者が確認された。昭和電工鹿瀬工場の廃液が原因。

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 ■ことば

 ◇イタイイタイ病

 富山県の神通川流域で1910年代から骨がもろくなり骨折を繰り返す被害が続出。神岡鉱山(岐阜県)の廃水に含まれるカドミウムが原因で、汚染土壌のコメを食べたことなどにより発症した。

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 ■ことば

 ◇四日市ぜんそく

 三重県四日市市で59年に石油化学コンビナートの操業開始後、工場の排煙でぜんそくの症状を訴える住民が増加。津地裁四日市支部は72年、排煙と健康被害の因果関係を認める判決を下し、確定した。




米精神医学会、無駄な投薬列挙 【米国精神医学会】 抗精神病薬の安易な処方に警鐘 13.10.1

(米国学会短信 2013.10.1)

 米国精神医学会(APA)は9月20日、米国内科専門医認定機構財団(ABIM Foundation)のイニシアチブであるChoosing Wisely(賢い選択)キャンペーンの一環として、精神科における「一般的に行われているが必ずしも必要のない」投薬のリストを公表した。

 同学会は今回のリストを、最新のエビデンスや治療に関する専門家の意見に基づき、数カ月間の入念な検討を重ねて作成した。

 推奨事項は(1)適切な初期評価および継続的モニタリングを行わずに抗精神病薬を処方しない(2)複数の抗精神病薬を日常的に処方しない(3)認知症の行動症状および心理症状の第一選択薬として抗精神病薬を処方しない(4)成人の不眠症のファーストライン治療として日常的に抗精神病薬を処方しない(5)精神異常の診断がある場合を除き、小児および青少年のファーストライン治療として日常的に抗精神病薬を処方しない──の5つ。

 「患者が治療の選択について医師と話し合い、十分な情報に基づく選択をすることにより、治療の質を向上させることができる」と、同学会会長、Jeffrey Lieberman氏は述べている。また、同学会の質の高い医療に関する協議会(Council on Quality Care)の議長、Joel Yager氏は、「深刻な精神疾患を抱える多くの患者にとって、抗精神病薬が有効であり、生活の質を改善するものであることは確かだが、不必要な使用や過剰投薬により、代謝異常や神経筋異常、心血管異常といった慢性的な副作用が生じるリスクもある」と指摘し、「APAは、抗精神病薬の日常的な使用や、十分な臨床上の理由および患者との話し合いなしでの抗精神病薬の処方を行わないよう呼びかけている」と述べた。

【関連リンク
AS PART OF CHOOSING WISELY CAMPAIGN APA RELEASES LIST OF COMMON USES OF PSYCHIATRIC MEDICATIONS TO QUESTION



院長ら16人が緊急声明 徳洲会執行部を批判 13.10.1

(共同通信社 2013.10.1)

 公選法違反容疑で東京地検特捜部の強制捜査を受けた医療法人「徳洲会」グループの病院長ら16人が、職員に説明や謝罪をしていない徳田虎雄(とくだ・とらお)理事長(75)ら執行部の対応に抗議する緊急声明を系列病院に送付したことが30日、徳洲会関係者への取材で分かった。

 徳洲会をめぐっては、強制捜査後に一部の理事を外して幹部会議を開き、捜査対策を協議していたことが既に判明。執行部批判がさらに強まる可能性がある。

 関係者によると、声明文は四街道徳洲会病院(千葉県四街道市)の大嶋秀一(おおしま・しゅういち)院長ら16人が署名。「徳洲会グループの再生を願う有志の会」の名前で、全国の66病院や徳洲会東京本部などに送った。

 声明文は「(徳田理事長らが検察に)徹底抗戦するという信じられない方針が幹部と職員に伝えられている」と指摘。「命令で選挙違反に従事させられた職員にさらに犠牲を強いるような行為に強く抗議する」としている。

 さらに「選挙などでの違法な政治活動は今後一切行わない。原点に立ち返り、より質の高い医療を実行していきたい」と記している。

 大嶋院長らは29日、都内のホテルに集まり、弁護士を交えて事件の背景などについて意見交換した。




バルサルタン広告「薬事法違反疑い」 論文不正、科学の危機 検討委中間報告 13.10.1

(毎日新聞社 2013.10.1)
 降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験疑惑で、厚生労働省の有識者による検討委員会(委員長=森嶌昭夫名古屋大名誉教授)が30日、中間報告書をまとめた。誰がデータ操作したかは未解明だが、製薬会社ノバルティスファーマの不正論文を使った宣伝は薬事法違反(誇大広告)の恐れがあると指摘し、国に対し、真相究明と保険財政への影響の検証を求めた。

 ◇保険財政、検証も求め

 「我が国の科学技術全般に影響を及ぼしかねない問題だ」「責任はノ社と大学にある」。中間報告は厳しい表現で批判した。その上で、データ操作された論文を使った薬の宣伝を「誇大広告に当たる恐れがある」と判断し、薬事法に基づく詳しい調査と厳しい対応が必要だとした。

 田村憲久厚労相はすでに中間報告に沿って取り組むことを明言している。厚労省のある幹部は「できる限りの調査を尽くす」と決意をにじませる。

 薬事法は、虚偽や誇大な表現を使った医薬品の広告を禁じており、製造販売許可の取り消しや業務停止などの行政処分もある。

 立ち入り検査で、製薬会社側が資料の提出や事情聴取を拒否すれば、50万円以下の罰金を科すことができる。ただ、対象範囲は営業所や工場、薬局など医薬品を業務上取り扱う場所に限られる。臨床試験に関与したノ社の社員は退職しており、私有パソコンなど重要な関係品は社内に残っていない可能性が高い。

 厚労省は薬事法による刑事告発も視野に入れる。違反者は2年以下の懲役か200万円以下の罰金となる。厚労省の担当者は「行政処分なら重大な過失があり結果的に誇大広告になったことで処分が可能かもしれない。刑事処分には、社員がデータ操作に関与していたなど、強い悪質性の証明が必要だろう」と話す。

 一方、問題の論文は、薬の宣伝に加え、関係学会の診療ガイドラインでも紹介され、売り上げに貢献してきた。保険料として負担した形となる健康保険組合連合会のある幹部は「返還してもらいたい」と憤る。

 中間報告は、保険財政への影響を厚労相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」で検証することも求めた。前例のない検証で、「影響を金額で算定するのは容易なことではない」(同省幹部)が、専門家は「不正論文が売り上げに貢献したならその分を返還するのは当然。厚労省の力量が試される」と指摘する。

 ノ社の二之宮義泰社長は30日、厚労省内で記者会見。「深く責任を感じる」と陳謝し、調査への全面協力を約束したが、具体的な対応は明言しなかった。

 ◇5大学へ11.3億円 ノ社社長が寄付決裁

 カネの流れに関する解明は進んだ。ノ社は今年3月の疑惑の表面化以降、臨床試験を実施した5大学への奨学寄付金額の公開を拒んできたが、検討委の求めで、
総額11億3290万円に上ることを明らかにした。当時の社長らが奨学寄付金の決裁をしていたことも新たに報告させ、会社を挙げて臨床試験に関わっていた構図を浮き彫りにさせた。

 一方、研究に関与した元社員と当時の上司、試験責任者の元教授ら計5人から非公開での聴取に踏み切ったが、誰が何の目的で不正なデータ操作を行ったのか
は特定できなかった。

 12人の委員の中には元検事の田島優子弁護士がいるが、多くは医薬分野の専門家で、ある委員は「調査の素人には難しい作業だった」と打ち明ける。前回会合では、委員から「探偵ごっこをやっても法的基盤がない」「犯人捜しは無理だ」などの意見が相次いでいた。

 厚労省関係者からは「検討委事務局の研究開発振興課は本来、臨床試験を推進する部署。幅広く法的な問題点まで検証するには荷が重く、委員の構成も含めて省としての初期対応がまずかった」との声も漏れる。

 ◇大学・病院の倫理委を批判

 検討委の批判は、各大学や病院内の倫理委員会にも向けられた。研究者が立案した研究計画の妥当性を審査する役割を担うためだ。

 京都府立医大と東京慈恵会医大の元教授らは、研究の意図を「新たな教授として着任し、(医局の部下ら)関係者の結束を強化したかった」と述べたという。
人心掌握に試験を利用した格好で、検討委は「医師の医学的疑問に根ざさない臨床試験は患者保護の観点から問題がある」と厳しく指摘する。倫理委の機能強化のため、厚労省による倫理委の認定制度を導入するなどの改善策を提案した。

 再発防止策の柱には、来秋までの臨床試験のルールに関する法制度の検討を求めた。

 薬を使う研究には、国から新薬の製造・販売の承認を得る目的の「治験」と、今回のように市販後に行われる臨床試験とがある。治験には薬事法に基づく監査やデータ保存の義務があるが、治験以外は薬事法の対象外で、強制力のない倫理指針があるだけだ。

 検討委は、規制の不備が今回の問題の背景にあったとの考えだが、すべての臨床試験を治験並みの規制対象とした欧州では、手続きが煩雑になってコスト増を招き、実施件数が減ったとの報告がある。このため、「規制を厳しくした場合の影響も十分考慮すべきだ」と、規制を巡るメリット、デメリットを併記し、結論を今後の議論に委ねた。




論文利用、誇大広告の恐れ 薬事法違反で立ち入りも ノ社と大学を指弾 降圧剤問題で厚労委 13.10.1

(共同通信社 2013.10.1)

 降圧剤ディオバン(一般名バルサルタン)の臨床研究にデータ操作があった問題で、厚生労働省の検討委員会は30日、不正に操作された研究論文を製薬会社ノバルティスファーマ(東京)が販売促進に利用したことは薬事法で禁じる「誇大広告」に当たる恐れがあるとした中間報告をまとめた。

 厚労省はノ社への立ち入り検査も視野に、薬事法違反に当たるかどうか調べる。
研究ではノ社の元社員が統計解析を行っていた。報告は研究に組織的に関わった製薬会社と研究を行った大学を厳しく指弾、臨床研究の信頼性確保に課題を突き付けた。

 ノ社の二之宮義泰(にのみや・よしやす)社長は記者会見し「指摘を厳粛に受け止め反省する。当局の調査に全面的に協力したい」と述べた。

 ノ社は2006年から今年にかけ、ディオバンが他の降圧剤に比べ脳卒中や狭心症などを減らせるとした東京慈恵医大と京都府立医大の論文を、のべ700種類以上の医師向け説明資料や広告などに引用した。研究をした教授側にノ社が多額の寄付金を拠出、統計解析をした元社員を上司が支援したことなどから、検討委はノ社の組織的な関与を認定した。

 検討委は、患者に不安を与え、日本の臨床研究への信頼性を大きく損ねるなど「国益の損失にもつながる重大な問題」と指摘。管理能力を欠いたまま、医学的な意味の疑わしい研究を実施した大学の責任も重大とした。

 また、ノ社の広告や、論文を引用した学会の診療ガイドラインが医師の処方に影響を与え、他の薬の代わりにディオバンが過剰に使われた可能性があると指摘。
こうして得られた利益や医療保険財政への影響も評価すべきだとした。

 現在、法的に規制された臨床研究は薬の承認審査に関わるものだけだが、市販後の臨床研究も含めて法規制することが有効との考え方も示し、来年秋までに規制のあり方を検討すべきとした。

 厚労省は8月、元社員が論文にノ社の所属を伏せて登場したり、データ操作が指摘されたりした問題を受けて検討委員会を設置。関係者への聞き取りなどを通じて経過の解明を目指したが、データ操作の実行者や目的は判明しなかった。

※降圧剤のデータ操作問題

 製薬会社ノバルティスファーマが国内で販売する高血圧症治療薬「ディオバン」を使って行われた臨床研究で、不正なデータ操作が発覚した問題。ノ社元社員が、身分を隠して研究に参加したことも問題となっている。京都府立医大と東京慈恵医大の研究論文は、血圧を下げる以外に脳卒中などを減らす効果があるとしたが、撤回された。臨床研究はほかに千葉大と滋賀医大、名古屋大でも実施され、これら5大学にはノ社が総額11億3290万円の奨学寄付金を提供していた。ディオバンの年間売り上げは1千億円を超え、ノ社の看板商品となっている。

※誇大広告

 薬事法は第66条で、医薬品や医療機器の効果などについて、うその宣伝や大げさな広告をしてはならないと規定している。誤った認識を世の中に広めることで、一般の人たちがもともと自分に合った薬を使う機会を逃すような事態を避けるのが目的。違反に対しては業務停止などの行政処分が下される。2年以下の懲役か200万円以下の罰金、または両方が科される罰則規定もある




医療基本法要綱案」逐条解説 患者の権利法をつくる会が発表 13.9.27

*条文と解説


田辺三菱が純利益上方修正 110億円の特別利益計上- 260億円に上方修正 13.9.26

(共同通信社 2013.9.26)

 田辺三菱製薬は25日、2013年9月中間連結決算の業績予想について、純利益を当初見通しの190億円から260億円に上方修正した。

 国内などで販売する関節リウマチなどの治療薬「レミケード」の供給をめぐり、供給元の米国の医薬品会社ヤンセン・バイオテクから得た精算金など110億円を特別利益に計上した。

 レミケードをめぐっては、国際商業会議所(ICC、パリ)がヤンセンから田辺三菱への供給価格を低減すべきだとの仲裁判断を出したことから、ヤンセンは田辺三菱に精算金を支払った。




新しい乳癌検診の指針案を公開 :国立がん研究センターが新たに作成、パブコメ募集 13.9.26

(国立がん研究センター 2013.9.26)  

 国立がん研究センター「科学的根拠に基づくがん検診法の有効性評価とがん対策計画立案に関する研究班」(主任研究者:斎藤博氏)は9月25日、「有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン2013年版」の案をウェブ公開した。10月31日までパブリックコメントを求めるとともに、9月30日に公開フォーラムを開催する予定だ。

 指針案は、乳癌検診の各方法(マンモグラフィ、視触診、超音波)につき、死亡率減少効果と不利益に関する科学的根拠を示し、日本における対策型、任意型検診の推奨を示す目的で作成した。検診の対象者を「40-74歳で平均的リスクを持つ無症状集団」と設定している。

 指針案では、乳癌の対策型検診として「マンモ単独」と「マンモ+視触診」の両者を推奨。いずれも「死亡率減少効果を示す相応な証拠がある」と説明している。「マンモ単独」については年齢により推奨グレードを変えており、50-74歳は「A」、40-49歳は「B」としている。40歳代は50歳代に比べ偽陽性が多く、放射線誘発乳癌の発症リスクが高いことに配慮した。また、研究班は40歳代にマンモを実施するかどうか国際的な議論があることにも触れ、そもそも日本人でのエビデンスが欠けていることを問題視。今後の評価研究が必要と提言している。

 一方、「視触診単独」「超音波」については、死亡率減少効果を検討した研究が不十分で、いずれも推奨グレードは「I」、対策型検診としての実施は推奨しない。超音波検査は簡便な検診法として期待されているものの、死亡率減少効果を調べた報告はなかった。研究班は、現在進行している唯一の日本の試験(J-START)の結果に期待を寄せている。

 同様の指針としては、2001年に厚生労働省久道班「新たながん検診手法の有効性評価報告書」、2013年には日本乳癌学会から「科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン1治療編」の2つが発表されている。前者は発表から12年経過しており、新たな根拠を示す必要があると研究班は判断。後者に関しては、マンモと視触診の併用は検討しておらず、一部の推奨に年齢制限がないなどの点を指摘している。




バルサルタン:臨床試験疑惑 厚労省、製薬会社調査へ 論文操作、誇大広告の疑い 13.9.26

(毎日新聞社 2013.9.26)

バルサルタン:臨床試験疑惑 厚労省、製薬会社調査へ 論文操作、誇大広告の疑い

 降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験疑惑で、厚生労働省はデータが操作された試験論文を宣伝に使ったのは誇大広告を禁じた薬事法に違反する疑いがあるとして、同法に基づき製薬会社ノバルティスファーマ(東京都港区)に対する調査に乗り出す方針を固めた。同社関係者から事情を聴き、必要があれば立ち入り検査も実施する。データ操作の故意性や、ノ社社員らの関与の有無が焦点になる。30日に開かれる同省の検討委員会の中間報告を待って本格的な調査に乗り出す。

 薬事法は、医薬品を多くの人に使用させるために、意図的に虚偽や誇大な表現を使った広告を出すことを禁じている。違反した場合は2年以下の懲役か200万円以下の罰金が科せられる。製薬会社には製造販売許可の取り消しや業務停止などの行政処分もある。

 バルサルタンについては、東京慈恵会医大や京都府立医大など5大学が臨床試験を実施。慈恵医大と府立医大の論文はバルサルタンに脳卒中などを減らす効果があるという内容で試験規模も大きく、ノ社の宣伝に使われた。両大学は今年7月、「解析データが操作されていた」と発表。ノ社の社員(5月に退職)が肩書を伏せてデータ解析に関与したことを明らかにした。

 ノ社は「社員がデータを操作した証拠はない」と関与を否定している。だが、厚労省は誤った論文が宣伝に使われた点を重視。ノ社社員や幹部らが売り上げを伸ばすことを目的にデータ操作に関与していなかったかどうか解明する必要があると判断した。



子宮頸がんワクチン副作用、11病院で専門治療 13.9.26

(読売新聞 2013.9.26)

 子宮頸(けい)がんワクチンの接種後、原因不明の痛みが続く患者が出ている問題で、厚生労働省研究班(代表・牛田享宏愛知医大教授)は、東京大病院など全国11病院で専門的な治療を行うことを決めた。

 同ワクチンを巡っては、強い痛みが生じるなど重い副作用のケースが報告されたため、専門的な治療態勢を充実させることが急務となっていた。ワクチン接種後、2-4週間が過ぎても痛みやしびれなどの症状が続いている患者に受診を呼びかける。

 厚労省によると、同ワクチンは今年3月までに国内で推計328万人が接種を受けた。ワクチンメーカーや医療機関から歩行障害やけいれん、失神、発熱など約360件の重い副作用報告があった。また原因不明の慢性的な痛みは43件あった。このため、同省は今年6月、ワクチンの接種は継続するものの、積極的に勧めることは一時的に差し控えると決定していた。

 研究班は、子宮頸がんワクチン接種後の副作用が問題になったことを受け、痛み治療の専門家らで発足。接種後に原因不明の痛みを訴える患者を実際に診察するなどしてきた。ワクチンと痛みの因果関係は不明なものの、従来の慢性的な痛みへの治療が、ある程度有効と判断した。




乳がんなどの無料検診縮小へ…対象年齢絞る方針 13.9.25

(読売新聞 2013.9.25)

 子宮頸(けい)がん検診と乳がん検診の受診者に配布している無料クーポンについて、厚生労働省は対象年齢を来年度から絞り込む方針を決めた。

 定期的な受診を促して受診率を上げる効果は限定的と判断し、規模縮小に踏み切る。厚労省は今後、受診の呼びかけを強化したいとしている。

 クーポンは2009年度から、子宮頸がんでは20-40歳、乳がんでは40-60歳の5歳刻みの年齢の女性に配られているが、来年度は対象を、子宮頸がんで20歳、乳がんで40歳のみに限ることにした。大腸がん検診では40-60歳の5歳刻みの男女に引き続き配る。

 市区町村が実施した検診の受診率は、08年度は子宮頸がんで19%、乳がんで15%だったが、10年度までにともに4ポイント強伸びたものの、11年度は横ばいだった。



熊本大、患者の肺を一部誤摘出、検体取り違え 13.9.21

(毎日新聞社 2013.9.21)

医療事故:患者の肺、一部誤摘出 熊本大病院、検体取り違え

 熊本大学医学部付属病院(熊本市中央区)は20日、50代の女性の肺から採取した検体を肺がんの80代男性患者の検体と取り違え、手術する必要がなかった女性を肺がんと誤認し、右肺の約3分の1を摘出していたと発表した。取り違えられた80代男性は肺がんだったが「悪性細胞なし」と診断していた。

 病院によると、女性は呼吸機能が低下する可能性があるが、日常生活に支障はないという。病院は調査委員会を設置し、詳しい経緯を調べる一方、2人に謝罪したという。

 病院によると、6月下旬の同じ日に付属病院で肺の組織検査を受けた。病理部の技師が2人から採取した肺の組織を固めてブロックにし、一部を切ってスライドガラスに貼り標本を作製したが、その際、男性の検体を貼るスライドガラスに女性の検体を、女性の検体を貼るスライドガラスに男性の検体を貼ったとみられる。

 病院は8月中旬、女性の右肺の約3分の1を摘出。摘出部位からがん細胞が見つからなかったため、標本と残りのブロックを照合し、取り違えに気付いた。




認知症の原因物質、見えた!…海馬に「タウ」 13.9.19

(読売新聞 2013.9.19)

 アルツハイマー病など認知症の原因物質の一つとみられるたんぱく質「タウ」が、患者の脳内に蓄積した様子を可視化することに成功したと、放射線医学総合研究所(千葉市)のチームが発表した。

 発症の早期発見や症状進行度の評価への応用が期待できるという。米科学誌ニューロン電子版に19日、掲載される。

 樋口真人(まこと)チームリーダー(神経科学)らのチームは、タウと結び付いて弱い放射線を出す、特殊な化学物質を開発。これを注射して、放射線を体外から測定すると、タウの蓄積した場所が浮かび上がった。

 この技術で検査したところ、アルツハイマー病の患者は、記憶をつかさどる「海馬」という領域にタウが蓄積していた。症状が進行した患者ほど、脳内の広い領域でタウが増加していた。アルツハイマー病とは別の認知症の患者も、タウが脳内に蓄積していた。




徳洲会幹部が「選対会議」 陣営派遣の人数決定 組織の関与、慎重捜査 13.9.19

(共同通信社  2013.9.19)
 医療法人「徳洲会」グループが公選法違反(買収)容疑で家宅捜索を受けた事件で、昨年11月の衆院解散直後、徳洲会が 理事クラスを含む幹部による選挙対策会議を開き、自民党の徳田毅衆院議員(42)陣営に派遣する職員の総数を決めていたことが18日、徳洲会関係者への取 材で分かった。

 複数の関係者によると、徳田議員の父親で元衆院議員の徳田虎雄(とくだ・とらお)理事長(75)が選挙運動の全般的な指示をしていたとみられ、東京地検特捜部は、組織的な関与について慎重に調べている。

 関係者によると、選対会議は昨年11月16日の衆院解散直後、徳田議員の選挙区がある鹿児島市内で開かれた。理事ら複数の幹部が出席し、グループの病院から陣営へ派遣する職員のおおまかな総数を決めた。

 その後、東京、大阪両本部の事務系幹部が病院の規模に応じて具体的な人数を割り振り、全国約40の病院に派遣を指示。各病院から事務長らが部下の職員を連れて選挙区に入り、少なくとも200人以上が選挙運動に携わったという。

  共同通信が入手した「鹿児島 応援予定」と題する内部文書には、病院ごとに派遣する職員の氏名、役職、年齢と昨年11月20日~12月16日のローテー ションが一覧表にまとめられていた。別の文書では、グループ内の鹿児島出身者を早く帰郷させて「家族会、同窓会などを通じた支援依頼」を積極的にするよう 指示していた。

 関係者によると、職員には選挙区までの交通費や宿泊費を仮払金として事前に支給。欠勤による減額分の給与は年末の賞与に上 乗せして穴埋めしたほか、3千円の日当も後日に支払っていた。東京地検特捜部もこうした情報を把握しており、公選法が原則的に禁じる選挙運動員への報酬支 払いに当たる、とみている。

 特捜部は18日、大阪市北区の徳洲会大阪本部を家宅捜索した。




特養入所、厳格化に異論も 要介護3以上に 13.9.18

(共同通信社 2013.9.18)

 厚生労働省は18日、社会保障審議会の介護保険部会を開き、特別養護老人ホーム(特養)に新たに入所できる高齢者を、手厚い介護が必要で自宅では負担が重い「要介護3」以上に限定する案を提示した。委員からは入所基準の厳格化に異論も出た。

 社会保障制度改革国民会議が8月にまとめた報告書は、特養入所を中重度者に重点化するよう求めている。厚労省は特養を手厚い介護が必要な人が入る施設とし、軽度者は在宅で支援する仕組みにしたい考えだ。介護保険法を改正し2015年度からの実施を目指す。

 この日の部会では、介護施設側の委員が「軽度者でも専門的支援が必要なケースがある。入所判定は事業者の主体性に任せるべきだ」と反対意見を表明。自治体側の委員も、サービス提供体制の整備状況に地域差があるとして、全国一律の実施は困難だと指摘した。

 09年12月の厚労省調査では、要介護3~5と判定された約12万人が特養に入所できず、在宅介護を余儀なくされている。要介護3以上だと、寝返りや着替え、排せつの手助けが必要で、在宅介護では負担が重い。

 一方、特養入所者全体のうち、介護の必要度が比較的低い要介護1、2の高齢者は11・8%(11年時点)を占める。

 厚労省案では、介護する人や住まいが確保できない低所得の軽度者には、既存の空き家を活用して買い物や食事など生活を支援する事業を進める方針。

 デイサービスなど通所介護の事業所は、市町村が監督する制度に見直し、地域に密着したケアが提供できるようにする。




アトピー 内服薬に道 京大、炎症抑える人工化合物確認 13.9.18

(毎日新聞社 2013.9.18)

 京都大医学部の椛島(かばしま)健治准教授(皮膚科学)らのグループは、異物侵入を防ぐ皮膚のバリアー機能を高めることでアトピー性皮膚炎を抑える効果が期待できる人工的な化合物を世界で初めて確認したことを、17日付の米国アレルギー専門誌に発表した。内服薬の開発に道を開くという。

 皮膚表面の角質層が荒れるなどバリアー機能が低下すると、ダニやハウスダストなどの異物が侵入。アレルギー反応で炎症が起き、アトピー性皮膚炎を発症する。

 近年、角質のもとになるたんぱく質「フィラグリン」を作る遺伝子に異常があると、アトピーになりやすいことが分かってきた。アトピー患者の約30%に遺伝子異常があるという。また、遺伝子異常がなくても、アトピー患者にはフィラグリンが少ないとされる。

 研究グループは1000種類以上の物質を、培養したヒトの表皮細胞に与える実験を繰り返した結果、「JTC801」という有機化合物がフィラグリン生成を増強させることを発見した。アトピー性皮膚炎になる体質のマウスを使い、生後6週間目以降、この物質を毎日飲ませるグループと、飲ませないグループを比較。飲むグループの症状が抑えられたことが確認できた。椛島准教授は「10年後をめどに実用化を目指す」と話している。




胃癌検診の新指針は「負の遺産」 X線のみの推奨を続ける改訂案に大反論 13.9.18

( m3.com 13.9.18)

消化器疾患・癌・検査に関わる問題

 日本胃がん予知・診断・治療研究機構理事会は9月19日、国立がん研究センターの研究班による「胃がん検診ガイドライン2013年版(案)」の再考を求めるパブリックコメントを提出したと発表した。改訂案では、現行の2005年版指針を踏襲し、X線による検診を推奨している。理事会は「感染症としての胃癌対策」の重要性を強調、若年者へのピロリ菌検査や胃癌多発世代への胃癌リスク検診(ABC検診)の実施、ピロリ菌感染者への除菌療法および定期的な内視鏡検査フォローこそ望ましいと説明し、バリウムによるX線検診のみとする推奨は再考すべきと要望している。

 理事会は改訂案を「現状と合致しない古い前提条件に基づいて策定された指針で、将来的に『負の遺産』となりかねない」と批判する。エビデンスとして採用された2論文は1990年に開始した日本のコホート試験で、現状とは条件や背景因子と合わないからだ。1990年にはピロリ菌感染率は約95%と報告されていたが、2010年の別の調査では若年者の感染率が低下していることが分かっている。採用した論文で最も高い死亡率減少効果を認めていた年齢層である40歳台のピロリ菌感染率は、現在では約20%と大幅に低下し、50歳台でも約40%にとどまっている。

 さらに、理事会は「2005年版指針が定めた胃X線検診は、結果として胃癌対策に寄与しておらず、そのことを検証もしていない」と問題視している。国の目標は受診率40%のところ、実際には約10%と低迷。現状の検診で発見できる胃癌患者は年間発見胃癌の5%未満に過ぎないという報告を紹介し、検診が有効に機能しているとは言えないと指摘している。受診率が上がらない理由は、「胃癌検診がバリウムによるX線検査に限定されているから」。2011年に機構が実施したアンケートによると、このように回答した者が48%に上るという。理事会は「住民や現場は現状のX線検査を受け入れていない」と考えている。

 当指針案は国立がん研究センター研究開発費「科学的根拠に基づくがん検診法の有効性評価とがん対策計画立案に関する研究班」(主任研究者:国立がん研究センターがん予防・検診研究センター検診研究部の斎藤博氏)が作成。7月31日にウェブ上で公開し、8月31日まで意見を募集していた。



医師が患者情報を共有 システム試験運用始まる【山梨】13.9.18 

(山梨日日新聞 2013.9.18)

 富士吉田医師会などは17日、郡内地域の医療機関の間で患者の検査結果、処方された薬、磁気共鳴画像装置(MRI)の画像データなどの情報を共有するシステム「FT―Net(エフティー・ネット)」の試験運用を始めた。患者の情報を各医療機関で共有することで、同様の検査を重複して行わずに済むなど、効率のいい医療を提供できるという。本格導入は来年4月となる。

 システムでは、(1)患者が受診した医療機関で行った血液や尿などの臨床検査データ(2)処方を受けた薬剤名、数量、日数(3)MRI、コンピューター断層撮影(CT)などの画像データ―を共有。富士吉田医師会に患者情報を集約するデータセンターを設け、利用する医師のID、パスワードでログインできる。

 システムを活用することで、診療所から病院への紹介や、逆に病院から診療所への紹介をスムーズに行える。同一検査の重複を防ぎ、患者の経済的、身体的負担の軽減にもつながるという。

 試験運用では、郡内地域の公立病院や診療所の医師約140人に、システムを利用できるタブレット端末を配布。本格運用では、同地域内の歯科医師や看護師ら約千人に配布する計画になっている。

 同日は、富士吉田市の富士吉田医師会事務所でデモンストレーションを行い、同医師会の刑部光太郎副会長は「システムが普及すれば、地域全体を総合病院として考えることができる」と話していた。

 患者情報を共有するシステムは峡南地域の医療機関でも整備が進められており、12月に試験運用を開始する予定。




「観察怠り障害」 麻酔科医に無罪 横浜地裁判決 神奈川県立がんセンターの医療過誤 13.9.18

(毎日新聞社 2013.9.18)

神奈川県立がんセンターの医療過誤:「観察怠り障害」 麻酔科医に無罪--横浜地裁判決

 神奈川県立がんセンター(横浜市旭区)で全身麻酔手術中の女性患者の観察を怠ったため高次脳機能障害を負わせたとして、業務上過失傷害罪に問われた麻酔科医の男性(44)に対し、横浜地裁は17日、無罪(求刑・罰金50万円)を言い渡した。毛利晴光裁判長は「検察側主張の注意義務は認められない」と判断した。

 男性は2008年4月、当時44歳の患者の乳房部分切除を行う際、麻酔を施した後に引き継ぎをせず退室したため、その後に麻酔器から酸素供給の管が外れ、患者に脳機能障害を負わせたとして起訴された。

 検察側は、手術室を離れたことが注意義務違反に当たると主張したが、判決は「患者の状態が安定していることを確認して手術室を離れており、刑事罰を科すほどではない」と退けた。

 当初、横浜区検が男性を略式起訴したが、横浜簡裁は「略式不相当」と判断して正式裁判に移行していた。

 判決言い渡し後、毛利裁判長は検察側に対し「慎重な法律判断をすべきだ」と述べた。




65歳以上の介護保険利用者、8割が認知症 13.9.18

(読売新聞 2013.9.18)

 65歳以上の介護保険利用者のうち、約8割が認知症の判定を受けていたことが17日、厚生労働省の集計で明らかになった。

 介護の必要度(7段階)別でみた場合、軽度な「要支援1」の高齢者では約43%、「要支援2」では約54%と、いずれも半数程度にとどまっていたが、介護がより求められる「要介護1」の高齢者になると、約89%が認知症の判定を受け、最も重い「要介護5」では約97%にのぼった。

 集計は2012年度、介護の必要度を判断する認定調査員が認知症の有無も判定した結果に基づくもので、厚労省が全国の1580の保険者(市町村など)のうち、約9割にあたる1417保険者の回答をまとめた。

 厚労省はこれまで、介護保険利用者のうち「誰かが注意していれば自立できる認知症」(日常生活自立度2)と、自立度2よりも重い認知症の人の割合を約6割と発表してきた。今回は、自立度2より軽い「認知症を有するが、日常生活はほぼ自立」(自立度1)の人を含めた初の集計。




がんセンターが不正プール 国立がん研究センター、4000万円あまり科研費など架空発注 13.9.18

( 化学工業日報 2013.9.18)

 国立がん研究センター(東京都中央区)は13日、厚生労働省の補助金など4000万円あまりが、架空の取引により業者に管理させる「預け金」などの手口で不正にプールされていたと発表した。関与が認められた内部関係者のうち不正を指示したとされる医師4人を停職2カ月などの懲戒処分を行った。

 今年2月に発覚した同センター内の不正流用問題を受け、研究者440人や取引業者2000社などを対象に内部調査を行った結果、2007-11年度の5年間で約4087万円の不正経理が行われていた。不正のほとんどが架空発注により消耗品などを購入したように装い、厚労省の科学研究費補助金などから支出し、取引業者に預け金として管理させる手口で、助成対象とならない物品の購入などにも使われていた。私的流用は確認されなかったという。不正が発覚した研究費などは規定の利子を上乗せして全額返金される予定。

 同日付で、架空発注などを指示した医師4人を停職・減給の懲戒処分、ほか19人を厳重注意とする措置を行った。また不正にかかわった業者2社を取引停止とした。

 同センターでは今年2月、中央病院の牧本敦医師が科研費など2570万円を不正にプールし、一部を私的流用していたことが発覚した経緯がある。



安楽死の権利に賛意 英ホーキング博士 13.9.18

(共同通信社 2013.9.18)

 【ロンドン共同】「車いすの天才科学者」として有名な英ケンブリッジ大のスティーブン・ホーキング博士(71)は、17日放映の英BBC放送のインタビューで「末期の疾患で大きな苦痛を持つ人は、死を選べる権利が与えられるべきだ」と述べ、安楽死や尊厳死の権利に賛同する考えを示した。

 ホーキング氏は1960年代に難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の診断を受け、全身まひの状態。顔の筋肉のわずかな動きで音声合成装置を操作し、意思疎通している。

 同氏は「安楽死や尊厳死を助けた人も訴追されないようにすべきだ」と述べたが、「本人が本当に望んだ場合だけで、死を選ぶようプレッシャーをかけられないための予防策が必要だ」とくぎを刺した。

 英紙によると、同氏が1985年に重篤な状態に陥った際、医師が安楽死させる選択肢を提案したが、当時の妻が拒否したという。




睡眠剤、10倍を誤投与 鹿児島県立病院で患者死亡 13.9.17

(共同通信社 2013.9.17)

 鹿児島県立大島病院(奄美市)で2008年6月、医師が指示した睡眠剤の10倍を70代の入院患者に誤って投与するミスがあり、患者は数時間後に死亡していたことが14日、県への取材で分かった。

 鹿児島県が開示した「医療事故・紛争報告書」によると、神経内科に入院していた患者が不眠を訴えたため、主治医は睡眠剤0・5mgを処方するよう指示したが、病院の薬剤部は誤って5mgを処方した。

 大島病院によると、患者は呼吸器を付けていたため、鼻から注入。約3時間後、心肺停止状態になっていると看護師が気付き、蘇生措置を施したが死亡が確認された。

 大島病院の南裕介(みなみ・ゆうすけ)事務長は、取材に「睡眠剤の大量服用が死亡の直接的な原因とは考えにくい」とした上で「因果関係が不明で、裁判でも争いとなったため公表しなかった。現在は事故情報を共有し、再発防止策も取っている」と話した。患者の遺族は病院側に損害賠償を求める訴訟を鹿児島地裁に起こし、昨年3月に和解している。

 開示された報告書によると、鹿児島県内の他の県立病院でも昨年、薬を誤って別の患者に投与したなどのミスが2件あった。




徳洲会、選挙運動に動員の病院職員に報酬か 13.9.17

(読売新聞 20 13.9.17)

 昨年12月の衆院選で3度目の当選を果たした徳田毅・自民党衆院議員(42)(鹿児島2区)の選挙を巡り、徳田議員の父が全国に展開する徳洲会グループ側が系列病院の職員に選挙運動をさせ、見返りに報酬を支払った疑いのあることが関係者の話でわかった。

 動員された職員は100人以上に上り、東京地検特捜部は公職選挙法違反(運動員買収)の疑いで職員らを任意で事情聴取するなど慎重に捜査を進めている。

 徳田議員は、徳洲会を1975年に設立した元衆院議員の虎雄氏(75)の次男。同グループは、国内外に60以上の病院を展開しており、徳田議員も昨年12月の選挙時は、グループ中核の医療法人「徳洲会」(大阪市)の常務理事を務めていた。

 関係者によると、選挙運動に従事したのは、系列病院の職員ら100人以上。同会の理事クラスの幹部らの指示を受けて、衆院が解散した昨年11月16日の直後から投開票日前日の12月15日まで、鹿児島2区(鹿児島市など)に入り、戸別訪問や電話によって徳田議員への投票を訴えたという。

 各職員は、所属する病院に1週間-1か月程度の欠勤や有給休暇を届け出た上で選挙運動を行っていたが、後に病院から給与に上乗せする形で選挙運動の報酬が支払われていた。鹿児島までの交通費やホテルの宿泊費なども、同会側が負担したという。

 公選法は、選挙運動の報酬として運動員に利益提供することを禁じている。特捜部は同法違反の疑いで、既に運動に関与した職員らから任意で事情聴取を進めており、今後、誰が指示したかも調べる方針。




中央社会保険医療協議会 :「紹介状なしの初診」、最高は8400円 13.9.4

200床以上の病院の45%が定額負担を徴収
(m3.com 2013.9.4 )

 中央社会保険医療協議会総会(会長:森田朗・学習院大学法学部教授)の9月4日の会議で、2012年7月1日現在の選定療養の報告状況が公表された(資料は、厚労省のホームページに掲載)。

 200床以上の病院に紹介状なく初診で受診した患者について、診療報酬にかかる定率負担とは別に定額負担を徴収している病院は1204病院で、前年同期(2011年7月1日)よりも30病院増。2011年医療施設調査(10月1日現在のデータ)によると、200床以上の病院は2654施設(一般病院以外も含む)。単純計算で約45%に当たる施設が徴収していることになる。徴収額の最高は8400円で前年と同じであり、平均は2085円だった。

 200床以上の病院の場合、病状が安定して他院に紹介したにもかかわらず、患者が再診した場合にも費用徴収が可能であり、徴収しているのは111病院で前年よりも2病院増にとどまった。ただし、最高額は前年は4200円だったが、ほぼ2倍の8000円。平均は981円だった。

 社会保障制度改革国民会議の8月の報告書では、大病院の外来を抑制するため、「紹介状のない患者の一定病床数以上の病院の外来受診について、初再診料が選定療養の対象になっているが、一定の定額自己負担を求めるような仕組みを検討すべきである」と提言している(『かかりつけ医をゲートキーパーに、国民会議の医療素案』を参照)。今回のデータが今後の議論のたたき台になるだろう。

 そのほか、選定療養の報告状況では、いわゆる差額ベッド代の徴収状況も示されている。徴収している病床は、全病床の19.1%に当たる25万8995床。最高額は1日当たり36万7500円。平均徴収額は1人室7478円、2人室3043円、3人室2704円、4人室2325円。




真価問われる専門医改革 :「総合診療専門医」委員会、トップは吉村氏 13.8.26

日本専門医機構(仮称)、5人の委員長決定
( m3.com 2013.8.26)

 日本専門医機構(仮称)組織委員会は8月26日、同機構の設立に向けた5つの委員会の委員長を公表した(資料は、日本専門医制・評価認定機構のホームページに掲載)。今後、各委員会の委員(各4~5人程度)を決定、今秋をメドに議論を進め、同機構の骨格を固める(『「日本専門医機構(仮称)」組織委員会、トップは金澤氏』を参照)。

 中でも注目された、総合診療専門医に関する委員会の長には、吉村博邦・北里大学名誉教授、全国医学部長・病院長会議顧問氏が就任。

 吉村氏は今年5月の第4回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会の特別シンポジウム2「どうする 総合診療医の認定と育成」のシンポジストとして講演した際、「総合診療医に名称は決まったが、同床異夢ではないか」と語っている(『専門医の第三者機関、「高久氏と金澤氏が音頭を」』を参照)。

 吉村氏は、m3.comの取材に対し、「今後の高齢社会において、総合診療医の必要性は誰もが理解していると思う。(厚生労働省の)専門医の在り方に関する検討会の議論を繰り返すつもりはなく、その内容を踏まえ、検討を進める。一気に良い制度を作るのは難しいかもしれないが、より良い制度に向けた第一歩を踏み出したい」との抱負を語った。さらに、地域の診療所あるいは大学病院の総合診療科など、総合診療の担い手がさまざまな医療現場で活躍している現状を踏まえ、「多様なルートで総合診療専門医になれるよう、フレキシブルな制度を検討していきたい」との考えも述べた。

【日本専門医機構(仮称)】の5つの委員会委員長

・総務・広報委員長 池田康夫(日本専門医制評価・認定機構理事長)
・役員選考委員長 跡見裕(杏林大学学長)
・定款委員長 門田守人(がん研究会有明病院病院長)
・財務委員長 小森貴(日本医師会常任理事)
・総合診療専門医に関する委員長 吉村博邦(北里大学名誉教授、全国医学部長・病院長会議顧問)




5大学に11億円超を寄付 製薬会社が丸抱えか 降圧剤の臨床研究問題 13.8.12

(共同通信社 2013.8.12)

 製薬会社ノバルティスファーマの降圧剤ディオバン(一般名・バルサルタン)を使った臨床研究のデータ操作問題で、臨床研究をした5大学の研究室にノ社が総額11億3290万円の奨学寄付金を提供していたことが9日分かった。厚生労働省が同日開催した検討委員会にノ社が提出した資料で明らかになった。

 各研究室は寄付金を臨床研究の実施費用に充てていたとみられる。ノ社の元社員がデータ解析などに関わっており、医師が主導する臨床研究でありながら、製薬会社が費用を丸抱えし、重要な作業を人員面で支援していた可能性が高まった。

 この日初会合の検討委では、元社員が研究にかかわった大学の関係者が論文の信頼性に関する調査の途中経過を報告。滋賀医大は「元社員の部下もデータの処理などに関与し、論文の著者に名を連ねていた」と明かした。さらに、データには「非常に初歩的なミスが多く、論文内容と一致しない部分も出てきている」と指摘、検証結果のまとめを急ぐ考えを示した。

 千葉大も、血圧などの項目の一部で論文の基になったデータとカルテのデータが一致しないと報告した。外部の識者を入れ、この食い違いがミスなのか、研究結果に影響を与えないかを見極める作業を進めるとした。

 寄付金の内訳は、東京慈恵医大が2002~07年に計1億8770万円、京都府立医大が03~12年に計3億8170万円、千葉大が02~09年に計2億4600万円、名古屋大が02~12年に計2億5200万円、滋賀医大が02~08年に計約6550万円。

 検討委は田村憲久厚労相の私的諮問機関で研究者や法律家ら12人で構成され、問題の実態解明と再発防止を図る。会議の冒頭、田村厚労相は「臨床研究に不信を持たれたことは日本にとって大きな問題だ」と指摘、9月末までに調査報告をまとめるよう指示した。

 検討委は、元社員や臨床研究を主導した教授にも検討委の聞き取りに応じるよう求める。

 ディオバンは国内で00年に販売が始まった高血圧症治療薬で、年間売り上げが1千億円を超えるノ社の看板商品。京都府立医大と東京慈恵医大の臨床研究で不正なデータ操作が相次いで発覚。血圧を下げる効果以外に、狭心症や脳卒中などの発症を、ほかの降圧剤より減らせるとした研究結果の信頼性が揺らいだ。

※奨学寄付金

 学術研究の振興や教育の発展を目的に、民間企業や個人が大学に出す寄付金。使い道は特定されておらず、研究者は自由に使える。製薬会社は寄付を受ける研究室を指定することができる。日本製薬工業協会は「医療機関が特定の企業や製品と深く関与することがあり、医療機関の判断に何らかの影響を及ぼしているのではないかという懸念をもたれる可能性も否定できない」として、企業活動と医療機関との関係のガイドラインを策定。製薬会社は奨学寄付金や研究開発費、接待費を今年から公表し始めた。ノバルティスファーマの2012年度の国内大学などへの奨学寄付金総額は13億8800万円だった。




電子カルテ「天才肌」東大教授なぜ…業者密接か 13.7.26

(読売新聞 2013.7.26)

 医療現場の効率化を図る電子カルテの「権威」とも呼ばれた東大教授に、国の研究費をだまし取った疑いが浮上した。

 25日、東京地検特捜部に詐欺容疑で逮捕された秋山昌範容疑者(55)。医療のIT化に情熱を注いできた教授の突然の逮捕に、大学や医療関係者からは「信じられない」と驚きの声が上がった。

 ◆斬新発想、天才肌

 「医療とITの世界をつなげた、まれな才能を持つ人。突然の逮捕で驚いた」。秋山容疑者と10年近い付き合いのあるIT企業の社員は、こう話す。

 出会った頃の印象は「エネルギッシュで、情熱的な人」。秋山容疑者がかつて勤務していた国立国際医療研究センター病院(東京)でIT技術を使った医薬品発注システムを導入したと聞き、話を聞きに行くと、「薬の発注から患者への投与までバーコードで管理する。入力不要だから、医療過誤をなくせる」とまくしたてるように力説したという。

 秋山容疑者が医療IT化の分野で有名になったのは、同病院で電子カルテの導入などに取り組んだ1990年代後半以降。電子カルテのシステム作りの専門家として、厚生労働省の検討会などにも参加した。

 会議では、専門知識の深さや斬新な発想で度々周囲を驚かせたといい、当時を知る同省関係者は「頭の回転が速く天才肌という印象。医師というより技術者のようで、システムにとても詳しかった。カネをだまし取るような人とは思えず、信じられない」と話す。ただ、歯に衣(きぬ)着せぬ発言も目立ち、「苦手意識を持つ人も多かった」という。

 秋山容疑者が提案したシステムは、医療現場の実態に合わず、普及しなかった。その後、国内の医療現場に広まったのは秋山容疑者が考えたものとは別のシステムで、ある同省職員は「数年前までは電子カルテと言えば、真っ先に秋山先生の名前が出てきた権威者だったが、最近はほとんど名前を聞かなくなっていた」と明かす。

 ◆研究費が激減

 秋山容疑者は仕事を通じてIT系企業にも人脈を広げていった。東大などから約2180万円をだまし取ったとされる今回の事件でも、架空業務の発注先として知り合いのIT関連会社などを利用した疑いが持たれている。2005年に米マサチューセッツ工科大学(MIT)の客員教授に就任した際には、業者と密接な関係を持つ秋山容疑者の姿勢を危ぶむ一部の大学関係者らの間で「業者とのトラブルが米国行きの背景にあるのでは」とささやかれていたという。

 09年には東大教授に就任、医療現場をネットワーク化する研究を行っていた。知人の一人は「MIT時代と比べ、研究費が激減したことが事件の背景にあるのかもしれない」と話した。

 東大では25日夜、大和裕幸副学長らが記者会見。秋山容疑者が12年度までの4年間に物品や人件費など計26件、計約2億1600万円の研究費を請求していたことを明らかにしたが、問題の研究事業の中身などについては「捜査中で話せない」と繰り返した。



東大教授、架空業務発注2180万円詐取…逮捕 13.7.25

(読売新聞 2013.7.25)

 

 架空業務を発注して東大などから約2180万円をだまし取った疑いがあるとして、東京地検特捜部は25日、東大政策ビジョン研究センター教授の秋山昌範容疑者(55)を詐欺容疑で逮捕した。

 発表などによると、秋山容疑者は2010年2月-11年9月、知り合いのシステム販売会社の社長らと共謀。自分の研究事業などに関して同社など6社に業務を発注したように装い、東大と岡山大から計約2180万円を同社の口座に振り込ませて詐取した疑いが持たれている。

 秋山容疑者は医療分野における情報技術(IT)の活用に詳しく、国立国際医療センター病院などでの勤務を経て、09年8月から東大教授に就任している。




東大元教授、41論文撤回へ…改ざん・捏造指摘 13.7.25

(読売新聞 2013.7.25)

 東京大学分子細胞生物学研究所の加藤茂明元教授(54)(2012年3月辞職)の研究室が関わった複数の論文に改ざんの疑いがあるとして、東京大 学が調査をしていた問題で、加藤元教授は25日、読売新聞の取材に対し、論文43本について「撤回が妥当」と指摘されたことを明らかにした。

 加藤元教授の研究室メンバーらによる論文について、東大は昨年1月、学外から改ざんや捏造の指摘を受けて調査委員会を設置。1996年以降に発表した、骨粗しょう症やがんの基礎研究などの論文165本について調査を進めていた。

 加藤元教授によると、今月上旬、同研究所から調査結果の要旨が郵送で届いた。英科学誌ネイチャーなどに掲載された論文の実験結果を示す画像に改ざ んや捏造が認められ、43本については「撤回が妥当」、10本については「訂正が可能」と指摘されたという。調査結果では、改ざんが認められた画像につい て、加藤元教授は作成に直接関わっていないが、「重大な責任を負うべき」と結論づけた。

 加藤元教授は、調査結果を受け入れると、同研究所にメールと文書ですでに通知した。「撤回が妥当」とされた43本中、すでに撤回済みの2本を除く41本について、撤回手続きを進めているという。

 加藤元教授は「画像処理などを行った研究室のメンバーを信じた。私の監督責任。ご迷惑をおかけしたことをおわびしたい」と話している。



「魚油」前立腺癌4割増 【米国癌協会】 バランスの取れた食事が重要 13.7.25

(2013.7.25 米国学会短信)

 米国癌協会(ACS)は7月17日、オメガ3脂肪酸が前立腺癌のリスク増加と関連があるとする研究結果を紹介した。7月10日発表のJournal of National Cancer Instituteオンライン版に掲載している。

 この研究では、米国、プエルトリコ、カナダで50歳以上の男性3万5千人以上を対象とした試験に登録した男性のうち、前立腺癌の診断を受けた834人と無作為に抽出した1393人について、オメガ3脂肪酸の血中濃度を調べた。

 オメガ3脂肪酸は魚や魚油のサプリメントに含まれており、抗炎症作用があるため健康にベネフィットがあ ると考えられていた。ところが今回、オメガ3脂肪酸の濃度が非常に高かった男性では前立腺癌発症リスクが43%高く、グレードの高い前立腺癌を発症するリ スクは71%高かった。同様の結果はこれまでの試験でも確認されている。

 このような結果を受けて、ACSのMcCullough氏は、男性が魚油サプリメントを摂取する場合はリスクとベネフィットについて医師の説明を受けるべきであるが、食事から魚を完全に排除する必要はなく、バランスのとれた食事をすることが重要であるとしている。

 なぜ、オメガ3脂肪酸の濃度が高いと前立腺癌のリスクが増加するかは明らかとなっておらず、今後の研究が期待される。

【関連リンク
Omega-3 Fatty Acids Linked to Increase in Prostate Cancer Risk <http://www.cancer.org/cancer/news/news/omega-3-fatty-acids-linked-to-increase-in-prostate-cancer-risk>




メントールたばこは危険 米FDA、規制を検討 13.7.24

(共同通信社   2013.7.24) 

 【ワシントン共同】米食品医薬品局(FDA)は23日、メントールを含むたばこは通常のたばこに比べ、より中毒性が高い可能性があるとする評価結果をまとめた。販売禁止も含めた規制の在り方を検討するため、一般の意見募集を始めた。

  FDAの専門家チームは、メントールたばこと通常のたばこに関するさまざまな研究結果を分析。肺がんや呼吸器疾患など健康への直接の害では差が見られな かったが、メントールたばこは若年層がたばこを吸い始めるきっかけになることが多い上、ニコチンに対する中毒症状を示す度合いが高く、禁煙も成功しにくい傾向があるとした。

 FDAは味覚の爽快さに加えて粘膜をまひさせる効果があり、煙を吸う抵抗感が少なくなって依存性が高まる可能性を指摘している。

 FDAによると、米国では成人喫煙者の約30%がメントールたばこを吸っており、特に若年層や女性に多い傾向がある。




誤ってAB型輸血 大阪・羽曳野の病院 13.7.24

 (共同通信社   2013.7.24)

 大阪府羽曳野市の「城山病院」でことし4月、心臓の手術を受けた血液型がA型の80代女性に、AB型の血液を輸血する医療ミスがあったことが24日、同病院や地元保健所への取材で分かった。

 女性は輸血の3日後に脳梗塞を発症。言語と歩行に障害が出たが、病院は「因果関係は不明」とした上で「二度とこのようなことのないよう対策を講じる」としている。女性や家族には謝罪したという。

 病院と藤井寺保健所(同府藤井寺市)によると、女性は3月31日に入院。4月12日に心臓の手術を受け貧血になったため、4月14日に840ミリリットルの輸血を受けた。

 病院は輸血前の血液型判定の際、別人の血液を女性のものとして調べ、女性が実際はA型なのにAB型と判定した。さらに、女性の血液と、輸血する血液を検査したが、女性に合わない血液との結果は出なかったため、気付かなかったとしている。

 病院は5月2日に保健所に報告した。4月27日、再度女性に輸血をしようとした際、ミスに気付いたという。




顔腫れ上がり、腕まで... 「治療しても戻らない」 13.7.24

 (共同通信社   2013.7.24)

 カネボウ化粧品と子会社の美白化粧品を使って、肌がまだらに白くなる「白斑」の重い症状を申し出た人が2千人を超え た。「顔が赤く腫れ、腕まで広がった」「病院に行ったが元に戻らず、あきらめた」。自主回収が発表された4日以降、全国の消費生活センターなどにも切実な 被害相談が相次いでいる。

 「2、3カ所の皮膚科を受診したが原因は分からなかった」(近畿地方の70代女性)など適切な診断や治療を受けられていない人も目立つ。日本皮膚科学会は治療が可能な全国の医療機関リストをホームページ上に掲載し、情報提供している。

 消費者庁によると、4日までの相談件数は2件だったが、その後23日までに37件に急増した。

 北日本に住む40代の女性は2011年8月から顔と首が赤く腫れてかゆくなり、症状は腕まで広がった。同年末、顔の皮膚がむけ始め、4カ所目に受診した病院で白斑と診断された。

 中部地方の60代女性は顔に湿疹とかゆみが出て、医師にアレルギーではないかと言われた。処方されたステロイド入り軟こうで炎症は治まったが、髪の生え際が白くまだらに脱色したという。

 他に「白くぽちぽちと色が抜け、元の肌の色と違いがひどい」「顔が赤く腫れ上がった」などの訴えもあった。


中国で母乳を闇売買 富裕層の「栄養剤」に 道徳喪失と批判  13.7.19

(共同通信社  2013.7.19)

 【北京共同=下江祐成】中国で母乳が闇で売買され、社会問題になっている。富裕層が「希少な栄養剤」として貧しい女性の母乳を飲用しており、短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」では、道徳や人間性を失った格差社会のゆがみを批判する声が相次いでいる。

 中国メディアによると、経済特区広東省深☆市の裕福な男性の間では、働き過ぎによる疲労からの回復や手術後の養生を目的に自分専用の「乳母」を自宅などで雇い「栄養補給」するのがはやっており、1カ月1万5千元(約24万円)で雇った例もあるという。農村部の平均年収の約2倍に相当する高額報酬だ。

 母乳を売るのは四川省や黒竜江省などの貧しい家庭出身で、出産直後の女性。子どもの教育費を稼ぐため「心を鬼にして」赤ちゃんを親に預け「乳母」として数カ月の出稼ぎ生活を送る。売買には仲介業者が関与。若くてきれいな女性の人気が高いという。

 中国ではかつて、特権階級が良薬として母乳を服用していたとされ、現在も富豪の「ステータスシンボル」になっているとの指摘がある一方で、「栄養補給」を口実に女性を囲っている可能性もある。

 微博では「腐りきった富豪は直ちに死んでしまえ」「貧しい子どもはおなかを満たせず、金持ちは赤ちゃんの母親の乳を飲む。これが中国の新型"社会主義"だ」との痛烈な批判も出ている。

 富裕層向けとは別に、200ミリリットルなどのポリ袋詰めの母乳が数十元で売られており、母乳の出ない母親が買うケースもある。ただ専門家は、女性が感染症に感染していると母乳を介してうつりかねないとして、闇市場での売買の危険性を警告している。

 中国では2008年、少なくとも6人の乳幼児が死亡した粉ミルク汚染事件が発覚した際も、貧しい女性が自分の赤ちゃんには粉ミルクを飲ませ、富裕層の赤ちゃん専用の「乳母」として雇われる問題があった。

※中国の所得格差

 中国では市場経済化に伴い、北京や上海、深☆などの裕福な都市部と、発展の遅れた農村部の住民の収入格差が拡大。公式統計では2012年、その収入格差は3・1倍。実際は10倍以上ともいわれる。中国政府は認めていないが、国民の格差の程度を示すジニ係数(1に近いほど不平等)が10年に0・61となり、社会が不安定となる警戒ラインの0・4を大幅に超えたとの調査もある。習近平(しゅう・きんぺい)指導部にとっても富の再分配による格差縮小が政治課題の一つになっている。(北京共同)

注)☆は土ヘンに川


ファイザー、医師への支出開示 透明性ガイドライン受け  13.7.18

(臨床ニュース 2013.7.18 )
 ファイザーは17日、2011年12月から 12年11月にかけて医療機関や医師に対して支払った金銭の一覧を開示した。日本製薬工業協会(製薬協)が11年に策定した透明性ガイドラインに基づき、 「研究費開発費等」「学術研究助成費」「原稿執筆料等」「情報提供関連費」「その他の費用」に分類してウェブサイトで閲覧できるようにした。決算終了を機 に製薬協の他の加盟各社も同様に公開する方針だ。

 「研究開発費」では臨床試験費が約94億円、製造販売後調査費が約20億円だった。

 「学術研究助成費」には寄付講座のための支出などが含まれる。1000余りの医学部教室などに対して約50万-900万円を寄付したほか、公益財団法人や学会に寄付を行った。

 「原稿執筆料等」はガイドライン策定当初、各医師の受取額や氏名まで公表する予定だったが、プライバ シーなどを理由とする日本医師会の反発を受けて製薬協が総額の開示にとどめることにした。講演謝礼金と原稿執筆料などを合わせて約10億円だった。医師へ の周知を徹底して、次年度から個別金額の開示を目指す。

 医師向け講演会などの費用を含む「情報提供関連費」では講演会費が約54億円、説明会費が約15億円、文献費提供が約17億円だった。

 接遇費などを含む「その他の費用」は約3億円だった。

患者死亡で罰金100万 投薬ミスの医師に略式命令 13.7.18

(共同通信社  2013.7.18)

 検査薬の投与ミスで女性患者=当時(80)=を死亡させたとして、東京区検は17日までに業務上過失致死罪で、立正佼成会付属佼成病院(東京都中野区)に勤務していた男性内科医を略式起訴した。東京簡裁は9日付で罰金100万円の略式命令を出した。

 内科医は2011年9月22日、女性患者の胃がんを内視鏡検査した際、検査薬の酢酸を誤って高濃度で散布し、約1カ月後に腸管壊死(えし)で死亡させたとして今年6月、警視庁捜査1課に書類送検されていた。


研究機関への資金提供開示 製薬業界、透明化図る 共同研究費や寄付 13.7.18

(共同通信社  2013.718日)

 製薬各社は月内にも、医療施設や研究機関に渡した研究資金などの情報公開を始める。70社が加盟する日本製薬工業協会が2011年に作ったガイドラインに沿った措置で、企業ごとにウェブサイトなどに掲載する。

 関係の透明化を通じ、医療や研究が中立に行われているとの社会的信頼を得るのが目的。

  ノバルティスファーマの降圧剤ディオバンを使った京都府立医大の臨床研究では、論文に社員が同社の所属を伏せて登場したことが問題となり、データ不正を示 す報告も公表された。同社から研究責任者側に1億円超の寄付があったことも分かり、産学の関係に疑念が浮かぶ中での公開となる。

 今回の公開は12年度分が対象で、今月から来月にかけてとなる見通し。研究機関への寄付金は、組織名だけでなく研究室名まで特定し、件数や金額を明らかにする。共同研究費や、新薬を売り出すための臨床試験(治験)の経費などは年間の総額を示す。

 医師などに提供した講演料や原稿料については、日本医師会や日本医学会と協議した結果、企業ごとの支出総額と相手の医師、研究者名の開示にとどめる。相手ごとの件数や金額は来年から盛り込む。

  新しい薬や機器の開発で医師、研究者が産業界と連携する機会が増え、研究のテーマ設定やデータの扱いが企業の利益に引きずられないか、外部から疑念を持た れかねない状況が生まれている。これに情報公開で対応する動きが欧米で進んでおり、日本も業界が自主的に公開を決めた。


医療情報の公開・開示を 大阪市内でシンポジウム 13.7.17

(毎日新聞社  2013.7.17)

 副作用報告が相次いでいる子宮頸(けい)がんワクチンや、カルテ開示について考えるシンポジウムが、大阪市内で開かれた。参加した薬害被害に詳しい専門家らは、情報の徹底的な公開こそが国民のための医療につながると訴えた。

 市民団体「医療情報の公開・開示を求める市民の会」の主催。

  最初に、今年4月に定期接種となった子宮頸がんワクチンの有効性について取り上げた。打出喜義・金沢大講師は海外の論文を丹念に読み解き、「もしかしたら 接種の利益よりデメリットが大きいのかもしれない」などと指摘。科学ジャーナリストの隈本邦彦・江戸川大教授も「まだ予防効果は証明されていない。むしろ がん検診の受診率を上げることを目指すべきではないか」と強調した。

 また同会の岡本隆吉世話人は、個人情報保護法で開示義務が課されているカルテの不開示問題に焦点をあて、「いまだに病院や開業医が開示拒否したり、開示請求そのものを受け付けない事例が続いている」と具体例を挙げながら現状を批判した。

 一方、阪南中央病院患者情報室「とまり木」の北田淳子相談員は、カルテを患者に配布し、誰に閲覧させるかなどを患者の意思に任せている「配布型カルテ開示」の取り組みを紹介。北田さんは「カルテを開示することで、患者が主体になることができる」と強調した。


降圧剤データ操作、論文の結論「誤り」 京都府医大が謝罪 ノ社元社員解析 13.7.12

(毎日新聞社  2013.7.12)

 降圧剤バルサルタンに血圧を下げる以外の効果もあるとした臨床試験疑惑で、京都府立医大(吉川敏一学長)は 11日記者会見し、同大の論文の結論が誤っていたうえ、「バルサルタンに効果が出るように解析データが操作されていた」と明らかにした。販売元の製薬会社 ノバルティスファーマ(東京)の元社員がデータ解析していたことも確認した。製薬社員が関与した論文が、薬の売れ行きに有利になる形で操作されており、医 薬研究への信頼を揺るがす重大事態に発展した。大学はノ社と研究者との金銭関係も調査する。

 今後はノ社の不正への関与が焦点となる。事態を重く見た厚生労働省は、文部科学省と連携して再発防止策を協議する方針。府立医大は、学長らの給与を自主返納する。吉川学長は「深くおわびし、再発防止に努めたい。申し訳ございません」と謝罪した。関係者の処分も検討する。

  論文の責任者は松原弘明元教授(56)。研究チームは、2000年のバルサルタン発売後、医大病院とその関連病院で臨床試験を実施した。高血圧患者約 3000人を、バルサルタン服用の約1500人と別の降圧剤服用の約1500人とに分けて、経過を比較。「バルサルタンには他の降圧剤より脳卒中を 45%、狭心症を49%減らす効果がある」などと結論付け、09年に学会誌で発表した。

 この日の発表によると、府立医大が、研究チームの事務局が保存していた患者データ約3000例について調査したところ、医師の入力データでは脳卒中などの発症に差が見られなかったのに、解析に使われたデータでは、バルサルタンの方が発症を抑制することになっていた。

  また、カルテをたどれた223人分を分析。解析に使ったデータには、カルテに記載のない脳卒中や狭心症などの症例があったり、カルテに記載のある患者の症 例がなかったりする例が計34件存在した。いずれも同種の降圧剤に比べてバルサルタンの効果を強調する方向で操作されていた。

 大学の聞き取りに対し、松原元教授は「意図的なデータ操作はしていない」と説明したという。

  ノ社からは、府立医大側に1億円余の寄付金が提供されていたことが分かっている。ノ社は5月、社員の試験への関与を認めたが、「社員による意図的なデータ の改ざんはなかった」と説明。だが、社内調査結果によると、ノ社の社員が患者のデータをコピーして解析し、「例示」と称して研究チームに結果を提供してい た。


中国、英製薬大手を贈賄の疑いで捜査始める 13.7.12

 (読売新聞社  2013.7.12)
  

 【北京】中国公安省は11日、英製薬大手グラクソ・スミスクラインの現地法人幹部が医薬品販売に絡む大規模な贈賄を行っていた疑いがあるとして、捜査を始めたと発表した。

 同省によると、中国国内での販路開拓や販売価格の引き上げなどを目的に、同社が政府職員や業界団体、病院などに贈賄していた疑い。同社関係者は調べに対し、容疑を認めているという。

 中国で大手外資系企業が経済事件捜査の対象となるのは異例。現地法人の広報担当者は本紙の電話取材に、「英国の本部に問い合わせてほしい」と語った。同社は上海や天津など6か所に生産拠点を持ち、従業員は5000人以上。


精神疾患者10万人を監禁 中国河北省で 13.7.12

(共同通信社  2013.7.12)

 

 【北京共同】11日付の中国紙、新京報は、精神疾患を抱えて自宅などで鎖につながれたり、鉄製のおりに押し込められた りして監禁されている人が河北省だけで10万人に上ると報じた。精神疾患を専門とする医療関係者や施設の不足、貧困層が医療費を捻出できないことなどが背 景にあるという。

 河北省の人口は約7240万人(2011年時点)で、中国全土の人口の約18分の1。

 中国疾病予防コントロールセンターによると、09年時点で全国の1600万人以上が重い精神疾患を患っている。このうち10%に暴力を振るう傾向があり、多くが治療を受けられないまま監禁されているという。

 一方、精神科医は全国に2万人余りで、重症患者800人超に対して1人の割合。治療を受けているのは全国の重症患者の12%以下という。

 河北省の病院によると、精神疾患の入院治療には1万元(約16万円)から2万元が必要だが、現金収入が少ない地方農村部の住民が捻出するには限界があるという。

 中国は5月に「精神疾患を抱えた人の合法的権益を守る」ことを目的に精神衛生法を施行した。

鎮痛剤過剰投与で死者急増 米女性、CDC報告 13.7.5

  (共同通信社  2013.7.5) 

 【アトランタ(米ジョージア州)AP=共同】米疾病対策センター(CDC)が2日公表した報告によると、医者が処方し た鎮痛剤の過剰投与による死亡が米女性の間で急増しており、2010年の死者数は計約1万5300人と、1999年の5倍になっていることが明らかになっ た。

 特に、45~54歳と55~64歳の女性の死者は約7400人と、全体のほぼ半数近くを占めており、中年女性の鎮痛剤過剰投与の死亡が著しく増加しているという。

 一方、男性の死者数は約2万3000人で、依然女性を上回っている。ただ、女性の場合、慢性の痛みに悩まされる傾向にあり、男性よりも長期にわたり鎮痛剤を服用することになるという。


大腸がん、血液検査で9割以上判別…三重大など 13.7.5

 (読売新聞  2013.7.5) 

 三重大医学部の研究グループは3日、米国のベーラーメディカルセンター(テキサス州)と共同で、血液検査で大腸がんや大腸ポリープの患者を高い確率で判別できることを突き止めたと発表した。

 研究結果は米国の雑誌「ジャーナル・オブ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート」に掲載された。同センターが実用化を目指しており、三重大は「検査法が確立すれば、より早く大腸がん患者を診断できる」としている。

 グループの問山裕二・三重大助教(大腸外科)によると、大腸がん検診では便に混じる血液を調べる「便潜血検査」が行われるが、精度が問題となっていた。

 グループは、血液に含まれる遺伝物質のうち、大腸がん組織から多く分泌される「マイクロRNA―21」に着目。健常者、大腸がん、大腸ポリープ患 者の計約300人について、この物質の血液中の量を比較した結果、がん患者は健常者の約5倍、ポリープ患者は約3倍に上った。データ解析で、がん患者は 92%以上、ポリープ患者は82%以上の確率で判別できることも分かったという。


院長、手術ミス否定 沖縄の生体腎移植ドナー死 13.7.4

  (共同通信社  2013.7.4) 

 沖縄県浦添市の八重瀬会同仁(やえせかいどうじん)病院で生体腎移植の提供者(ドナー)の女性=当時(65)=が死亡 した問題で、山内英樹(やまうち・ひでき)院長が3日、記者会見し、執刀医が指で動脈(血管)を傷つけ大量出血につながったとする外部調査委員会の調査結 果を公表した。山内院長は手術ミスではないと説明し、出血後の対応も「迅速だった」と話した。

 一方で院長は「深くおわび申し上げる」とあらためて陳謝、生体腎移植と泌尿器科分野での腹腔(ふくくう)鏡下手術を当面、自粛することを明らかにした。

 日本移植学会によると、国内での生体腎移植の実施例は約2万件あるが、提供者の死亡は初めてだった。

  調査結果によると、執刀医は腹腔内に入れたカメラの映像を確認しながら、自分の人さし指と中指を腹腔内に入れて腎臓を摘出する準備をしていたが、映像に指 が映らない時間が1~2分間あり、その際に指で動脈を傷つけた。報告書では、手術に伴う動脈損傷があったことを認めたが、執刀医のミスとは指摘していな い。

 女性は息子に腎臓を提供するため4月13日に手術を受けたが、大量に出血し、手術開始から約12時間後に死亡した。移植を受けた息子は既に退院した。


子宮頸がんワクチンで「使用上の注意」の改訂指示--厚労省 13.7.4

(薬事ニュース  2013.7.4) 

 厚生労働省は6月14日、子宮頸癌ワクチンのグラクソ・スミスクライン「サーバリックス」(一般名=組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子 ワクチン(イラクサギンウワバ細胞由来))とMSD「ガーダシル水性懸濁筋注 同水性懸濁筋注シリンジ」(一般名=組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス 様粒子ワクチン(酵母由来))について、「使用上の注意」の改訂を行うよう日本製薬団体連合会(日薬連)宛てに通知を発出した。ブルーレターの指示は出て いない。

 改訂では[重要な基本的注意]に「発生機序は不明であるが、ワクチン接種後に、注射部位に限局しない激しい疼痛(筋肉痛、関節痛、皮膚の痛み等)、しびれ、脱力等があらわれ、長期間症状が持続する例が報告されている」等を追加する。


子宮頸がんワクチン2剤間の疼痛発生頻度等を検証へ--厚科審 13.7.4

(薬事ニュース  2013.7.4)

 厚科審・予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、薬食審・医薬品等安全対策部会安全対策調査会は6月14日の合同開催で、子宮頸がん予防ワクチ ンの「サーバリックス」及び「ガーダシル」2剤間の慢性疼痛に関する副反応の発生頻度等について解析を行うことを決めた。子宮頸がん予防ワクチン接種後に 疼痛が広範囲にわたる症例が38例報告されており、うちサーバリックスが34例、ガーダシルが4例であること、疼痛未回復の症例8例すべてがサーバリック スであることを踏まえての決定。検証方法については改めて検討する。


第一三共降圧剤に警告 米食品医薬品局 13.7.4

(共同通信社  2013.7.4)   

 【ワシントン共同】ロイター通信によると、米食品医薬品局(FDA)は3日、第一三共の高血圧症治療剤(降圧剤)ベニカーなどが、慢性的な下痢や著しい体重減少をもたらす可能性があるとの警告を発表した。

 服用を続けると数カ月から数年で腸疾患にかかる恐れがあるとしている。警告対象となったのはベニカーのほか、ベニカーHCT、エイゾール、トライベンゾール。

 ベニカーは日本では「オルメテック」との商品名で処方されている。


慈恵の研究、参照中止も 指針改定で高血圧学会 千葉大は不正見つからず 13.7.3

(共同通信社  2013.7.3)    

 日本高血圧学会が進めている高血圧診療ガイドライン(指針)の改訂作業で、製薬会社ノバルティスファーマの降圧薬バル サルタン(製品名ディオバン)を使って東京慈恵医大で行われた臨床試験が参考文献から外される可能性が高いことが2日、分かった。学会幹部が明らかにし た。

 この試験の結果は2007年に論文として発表。高血圧の診断や治療法を定めた09年版の現行指針では、根拠となる国内外の有力な研究の一つとして採用された。

 しかし、論文中の血圧の値に関して疑問が提起されたため、学会側が昨年12月、研究責任者の教授にコメントを要請。教授側からは十分な回答がなく、14年版の指針では学会として採用しない方向という。

 この薬をめぐっては、ノ社の社員=退職=が研究に関与しながら、社員の身分を明示せず論文に登場して問題となった。論文の信頼性についても、研究を行った慈恵医大のほか京都府立医大、千葉大などが調査中だ。

 一方、学会は2日、02~09年に千葉大が中心となって行い、11年に同学会誌に発表した臨床試験の結果を検証した結果、「特段の不正な操作は見つかっていない」との中間的な報告を公表した。

 責任者の小室一成(こむろ・いっせい)教授(現・東京大教授)からデータの提供を受け、外部の企業に依頼して再解析したが、結果は論文とほぼ同じだったという。

 ただ今回の解析は、論文を書くため09年の時点で固めたデータを使ったもの。参加した患者のカルテとの照合などはしておらず、学会は、詳細な検証は千葉大と協力して進めるとしている。


向精神薬譲った罪で起訴 宮崎の医師 13.7.3

 (共同通信社  2013.7.3) 

 宮崎地検は2日、向精神薬を知人女性に渡したとして、麻薬取締法違反(営利目的譲り渡し)の罪で、宮崎県都城市、医療法人孝仁会山田医院の院長山田孝俊(やまだ・たかとし)容疑者(55)を起訴した。
 起訴状によると、昨年11月29日午前、山田医院の駐車場で、向精神薬の「ペンタゾシン」を含有する注射液が入った注射器7本を、知人女性に計3千円で譲り渡したとしている。
 宮崎県警によると、女性が体調不良のため搬送されたことから発覚した。


子宮頸がんワクチン 北海道内の副作用17市町で38件 13.7.2

(北海道新聞  2013.7.2)
 子宮頸(けい)がんワクチンの接種後、副作用とみられる症例が相次いでいる問題について、道は28日の道議会予算特別委員会で、道内の症例が2010年11月から現在までに、確認されているだけで17市町で38件あったことを明らかにした。

 自民党・道民会議の川畑悟氏(室蘭市)の質問に答えた。

  道が札幌市を含む全市町村に問い合わせ、旭川市で8件、苫小牧と江別両市で各4件、石狩市で3件、小樽と函館両市で各2件などが確認された。ただ、医療機 関は副作用とみられる情報を市町村に報告する義務はないため、確認された事例は自主的に連絡を受けたなどのケースに限られ、札幌市を含め「把握できていな い」という回答が大多数だった。


【千葉】接種の5人健康被害 子宮頸がんワクチン、うち1人は重症 市原市 13.7.2

(千葉日報  2013.7.2)     

 接種と副反応とみられる健康被害との関連が指摘される子宮頸(けい)がんワクチンについて、市原市内の医療機関から被接種者5人の健康被害が報告され、うち1人は重症であることが28日、分かった。

 同日の市議会で、及川幸紀議員(共産党)の一般質問に対する答弁で市が明らかにした。

 うち重症の1人は、3回目の接種を受けた3週間後に初めて脱力発作が起き、歩行困難や突然の意識喪失、頭痛、手の震えなどの症状が頻繁に起きたという。


2400万円医師ら受領 病院は3万円のみ 肥満症治療薬の治験データ改ざん疑惑 13.7.1

 (毎日新聞社  2013.7.1)       

 小林製薬(本社・大阪市中央区)の肥満症治療の市販薬開発を巡り、臨床試験(治験)データが改ざんされた疑 いがある問題で、治験を実施した医療法人大鵬会・千本病院(同市西成区)へ治験関連費として支払われた2460万円のうち、病院側に残されたのは約3万円 で、ほぼ全額が治験を担当した2人の医師と、看護師1人に支払われていたことが1日、関係者への取材で分かった。

 千本病院で治験を担当し たのは当時の内科部長(43)と当時の院長(45)。同病院によると、元内科部長に計2154万円、元院長に計245万円が支払われ、看護師にも57万円 が支払われた。これらの費用は、小林製薬から治験先を紹介した治験施設支援会社、サイトサポート・インスティテュート(SSI、本社・東京都)を通じて支 払われたという。小林製薬は「千本病院より先の配分などは関知していない」と話した。また、SSIには、被験者への治験参加料と、SSIへの費用も支払っ たが、額は公表できないとしている。

 元内科部長と元院長は昨秋、退職。元内科部長は、毎日新聞の取材に対し、支払われた金額を「はっきり覚えていないが、高額だった。病院は初めての治験で、その後、治験を請け負うようになった。(その報酬は)病院にお返ししている」と話した。改ざんの疑いについては「SSIの社員が下書きしたのを、上書きしただけだ。改ざんしても僕には何もメリットはない」と、話した。

 SSI大阪オフィスは1日、取材に「当時の担当社員は退社しており、事実関係の確認を進めている」と話した。

 治験は千本病院が2010年4月~11年3月に実施。被験者72人に病院職員が6人含まれ、うち4人の治験データが実際の身長より低く記載されるなどした。


治験データ改ざん 大阪の病院、肥満薬で不正か 身長・体重、虚偽記載 承認申請取り下げ 13.7.1

(毎日新聞社  2013.7.1)
 肥満症治療の市販薬の開発で、大阪市西成区の医療法人大鵬会・千本(せんぼん)病院が実施した臨床試験(治 験)のデータに改ざんの疑いがあることが30日、分かった。治験には病院職員6人が参加し、うち4人の身長が実際より低く記載されるなどしていた。治験条 件に合わせるため、被験者を肥満に見せるよう偽装した疑いがある。開発した小林製薬(本社・大阪市中央区)は今年3月、国への承認申請を取り下げる事態に なった。

 同社によると、治験は2010年4月~11年3月、薬の効果と副作用など安全性の確認を目的に、千本病院と契約して実施。計画で は、身長と体重で肥満度をみる体格指数(BMI)が「25以上35未満」の72人を対象に、1日3回4錠ずつ毎日服用し、4週間ごとに身長と体重、腹囲を 計測、血液も検査する。千本病院に依頼したのは、治験施設支援会社、サイトサポート・インスティテュート(SSI、本社・東京都)から紹介されたからだと いう。今回の肥満薬は、小林製薬にとって初めて治験が必要な医薬品だった。

 治験終了後の11年11月、同社は市販薬として製造販売の承認を国に申請。しかし、12年9月、報道機関の取材でデータに疑義がある可能性を把握し、申請を取り下げたという。

  同社が確認したところ、被験者には病院職員も参加していたほか、10年6月の治験のカルテや症例報告書では、参加した職員4人の身長が、同時期の健康診断 の記録より約4~10センチ、低く記されていた。結果、4人のBMIは健康診断では23・44~26・61だったのが、28・34~30・35まで上がっ たという。1人は60キロだった体重が、治験では70キロとされていた。

 同社が、治験の責任医師だった千本病院の当時の内科部長に聞いたところ、「身長を測ったのはSSIのスタッフ。私はカルテに転記しただけ」などと説明したという。小林製薬によると、治験は当時の院長も補佐したという。

  千本病院によると、当時の内科部長と院長は昨秋、退職。病院は30日、「被験者の身長に事実と反する記載があったことは認識している。退職した2人の医師 が行ったことで、十分な経緯が把握できていない。真実の解明に努めたい」とのコメントを出した。SSIの本社や大阪オフィスは30日、不在だった。

 BMIは、国際的に肥満度を示すために使われている指標。体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割って算出し、日本肥満学会の判定基準では「25以上」を肥満とする。小林製薬は病院側に被験者のBMIが偏らないよう要請していた。

 同社広報部は「病院とSSI、医師の3者に対し、真相究明を求める。法的手段も辞さない」と話した。

酢酸希釈「におい頼り」女性死亡…医師書類送検 13.6.27

(読売新聞  2013.6.27)

 

 立正佼成会付属佼成病院(東京都中野区)で2011年9月、高濃度の酢酸を使った胃がん検査を受けた練馬区の女性(当時80歳)が死亡した医療過 誤を巡り、警視庁は27日、当時、同病院の内科医だった男(35)(世田谷区)を業務上過失致死容疑で東京地検に書類送検した。現在も他の病院で医師を務 めているという。

 発表によると、医師は同9月22日、胃がん検査の際、本来は1・5-3%の濃度に薄めて内視鏡で胃粘膜に散布する酢酸を約25%の濃度で使用。女性は吐き気などを訴えたが、適切な処置をしなかったため翌月14日、入院先の別の病院で、腸管壊死(えし)で死亡させた疑い。

 本来は酢酸と水を計量して検査液を作るが、医師はにおいの強弱で濃度を判断していた。調べに、「内視鏡検査を早く終わらせようと思い、においに頼って希釈してしまった」と供述しているという。


医療行為装い診療報酬詐取 容疑の院長「患者多数に」 13.6.27

(共同通信社  2013.6.27)  

 留学生に医療行為をしたように装い診療報酬をだまし取ったとして、大阪府警南署は26日、詐欺の疑いで堺市北区の医療機関「ナガヤマクリニック」の院長長山栄勲(ながやま・えいくん)容疑者(68)=同区=を逮捕した。

 南署によると、長山容疑者は「多くの患者に同様のことをした」と供述。不正受給額が多額に上る可能性があるとみて裏付けを進める。

 逮捕容疑は、当時留学生だった台湾人女性(35)=大阪市=の医療行為をしたとするレセプト(診療報酬明細書)を偽造して、2011年6月~12年10月、約2万6千円を不正受給した疑い。

 13年1月に匿名の情報提供があり南署が捜査。女性はレセプトで約80回の診察を受けたことになっていたが「通院は約10回だけ」と説明。女性が台湾に帰国しているのに日本で診察した記録が残っていたことから発覚した。


患者死亡で書類送検 投薬ミス容疑の内科医  13.6.27

(共同通信社  2013.6.27)  
 

 警視庁捜査1課は27日、検査薬の投与ミスで女性患者=当時(80)=を死亡させたとして、業務上過失致死容疑で立正佼成会付属佼成病院(東京都中野区)に勤務していた男性内科医(35)=東京都世田谷区=を書類送検した。

 送検容疑は2011年9月22日、胃がんの内視鏡検査で、女性患者の胃に検査薬の酢酸をかける際、1・5~3%とすべき濃度を誤って約25%に希釈して散布。約1カ月後に腸管壊死(えし)で死亡させた疑い。

 捜査1課によると、内科医は「においに頼って(薄めて)散布した」と容疑を認めている。

 女性は検査直後から吐き気などを訴えたが、内科医は検査が長引いたことによる体調不良と思い込み、問診することなく帰宅させた。その後、別の病院に搬送され手術を受けたが、同年10月14日に入院先の病院で死亡した。

 佼成病院の神保好夫(じんぼ・よしお)院長は「事故を病院全体の問題と捉え、深く反省している」とのコメントを出した。


肥満で肝がん、細菌が原因 細胞を老化、がん研解明 13.6.27

(共同通信社  2013.6.27)  
 

 肥満になると腸内で特定の細菌が増えて肝臓の細胞を老化させ、肝がんを発症させることをマウスの実験で発見したと、がん研究会(東京)などのチームが27日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

  腸内で増えた細菌が胆汁の成分を、細胞を老化させる物質に変化させた。これが肝臓に取り込まれ、老化した細胞が発がんを促すタンパク質を周囲に分泌してい た。チームは、肥満気味の肝がん患者では約3割で肝臓の細胞が老化していることから、人でも腸内細菌が肝がん発症に関わるとみている。

 がん研究会の原英二(はら・えいじ)がん生物部長は「腸内細菌の種類を調べれば、肝がんのリスクを調べることができる。特定の細菌が増えないようにできれば、肥満による肝がんを予防できるかもしれない」としている。

 チームは、がんができやすくなる薬剤を投与し、高脂肪食を食べさせて太らせたマウスは必ず肝がんになることを発見。このマウスでは肝臓の一部の細胞が異常に老化していた。

 腸内の細菌を調べたところ、通常食のマウスでは約半分しかいないグラム陽性菌という種類の細菌が、太らせたマウスでは90%以上を占めた。グラム陽性菌を殺す抗生物質を投与すると、太らせたマウスでも肝がんの数が3分の1に減った。

 グラム陽性菌の一部が、胆汁に含まれ脂肪の吸収を助けるコール酸をデオキシコール酸(DCA)に変えていた。DCAは、細胞のDNAを傷つけ老化を引き起こす。

 DCAへの変化を妨げる薬剤を投与すると、肝がんは3分の1になった。抗生物質で細菌を殺した上でDCAを投与すると、投与しなかったマウスと比べ、肝がんが10倍以上増えた。


チンパンジー研究を制限 米国立研究所、50頭に  13.6.27

(共同通信社  2013.6.27)   
 

 【ワシントン共同】米国立衛生研究所(NIH)は26日、チンパンジーを使った医学研究を大幅に制限する方針を発表した。NIHが所管するチンパンジーは数百頭いるが、必要不可欠な研究のために50頭だけを飼育し、残りは国内の保護施設に順次移す。

 学術団体の専門家らが2011年に出した勧告を受け入れた。

 人類に最も近い動物のチンパンジーは感染症や脳科学、生殖医療研究などに有用だが、野生では森林伐採で生息環境が悪化するなどして個体数が激減。実験で健康を損なうこともあり、安易な研究利用に倫理面の問題が指摘されていた。

 NIHは、他の実験手段が使えない重要な研究に限って審査し、チンパンジーを使うことを認める。対象の50頭の間で繁殖はさせず、飼育施設はできるだけ自然環境に近づける。

 NIHのコリンズ所長は「チンパンジーは医学研究に大きく貢献してきたが、新たな研究手法などで従来のような実験の必要性がなくなりつつある」と説明した。

 この問題では、米科学アカデミー医学研究所が11年、研究を制限するよう勧告。米魚類野生生物局も今年6月、研究施設にいる個体を含むチンパンジーを絶滅危惧種に指定していた。

  日本では、文部科学省や厚生労働省などが06年に動物実験の基本指針を定めた。文科省によると、チンパンジーなどの大型霊長類を使うことを禁止はしていな いが、動物実験に代わる方法がないか検討するよう求めている。またチンパンジーを傷つけるような実験は、自主規制している研究機関が多いとみられるとい う。


免疫細胞作る能力回復 阪大、老化タンパク質発見 13.6.26

(共同通信社 2013.6.26)

 大阪大や東邦大などのチームは25日、リンパ球など免疫細胞や赤血球を生み出す「造血幹細胞」の老化に関わるタンパク質を発見し、このタンパク質をよく働くようにしてリンパ球を作る能力を回復させることにマウスで成功したと発表した。

 感染症に対する高齢者の免疫力を高める技術の開発やワクチン接種への応用につながると期待される。チームの横田貴史(よこた・たかふみ)・大阪大医学部助教は「今後、人での回復能力を調べたい」と話した。

 老化やストレスにより、リンパ球を作る造血幹細胞の能力が下がることは分かっていたが、関係する物質は不明だった。

 タンパク質は「Satb1」で、さまざまな遺伝子の働きを制御しているとみられる。

 横田助教らは造血幹細胞からリンパ球へ分化する過程で、量が増えてよく働くようになるSatb1に着目。

 Satb1が作れないようにしたマウスの造血幹細胞は、うまくリンパ球が作れないが、Satb1が10~20倍できるようにしたマウスでは、リンパ球が通常の100倍以上作られた。

 高齢マウスから採った造血幹細胞では、Satb1がよく働くようにすると、作られるリンパ球が3倍になった。

 成果は米科学誌イミュニティー電子版に掲載された。


「講演でも金銭関係開示を」、医学会が要請 13.6.26

(m3.com 2013.6.26)

 日本医学会は6月24日、製薬企業主催・共催の招聘講演において、講演内容についての企業との金銭的な関係(COI状態)を、講演の冒頭で開示するように求める文書を、118の分科会へ要請した(資料は、日本医学会のホームページに掲載)。理由について、COI状態の公開がない場合、「最新情報が、臨床現場に正しく伝達されないと、社会からの疑惑・疑念を招く」としている。

 具体的には、企業と関わるあらゆる講演会で、講師として招聘された会員に対して、所属学会のCOI指針に従うことを求め、「講演発表の冒頭に、講演内容に関係する企業との金銭的な関係(COI状態)を聴講者へ開示することが必須の条件」としている。開示を求める理由として、「社会からの疑惑・疑念」を挙げ、結果として「(開示がない場合)産学連携による医学研究の推進に支障を来すことも懸念される」としている。

 日本医学会の説明によると、国内での企業主催・共催の講演会は、年間約10万回、招聘講演者として約30万人の医師や研究者が参加しているという。今回の項目については、日本医師会、医学会、全国医学部長病院長会議と日本製薬工業協会の4者が、今年3月に合意。製薬協が6月12日、医学会に対して配慮を求める文書を出しており、「製薬協の会員企業が合意に基づき、積極的に取り組むことになった」という。

 企業のCOIを巡っては、ノバルティスファーマ社の元社員が解析に携わった大規模臨床試験の論文で、社名が掲載されないなどの問題があり、論文が撤回される事態が起きている。


バルサルタン 臨床試験疑惑 データに介入余地 主任研究者、途中閲覧可能 13.6.26

(毎日新聞社 2013.6.26)

 降圧剤バルサルタンの臨床試験を巡る疑惑で、京都府立医大と東京慈恵会医大の各試験は、患者データを最終的に分析する主任研究者が、試験途中でデータを見られる状態だったことが分かった。主任研究者が、バルサルタンの効果が高いとの試験結果となるよう、データを集めている現場の医師らに投薬量の調節などを働きかけることが可能だった。一連の臨床試験には販売元の製薬会社「ノバルティスファーマ」の社員が統計解析の専門家として参加していたことなどから、データの改ざんの有無が焦点になっているが、試験の手法自体に欠陥があった。【八田浩輔、河内敏康】

 ノ社の社内調査結果から判明した。臨床試験は、バルサルタンの発売後、血圧を下げる効果に加え、脳卒中などの発症を抑える効果もあるかを探ることが目的だった。両大学では、関連病院の医師らが各3000人以上の患者を登録。バルサルタンと別の降圧剤を服用する二つのグループに分け、約3年間経過を追跡した。

 今回の試験では、医師と患者には、バルサルタンとそれ以外の薬のうちの、どちらを服用するかが事前に知らされていた。この場合、主任研究者には途中段階のデータを知らせないことが必要になる。主任研究者が途中段階のデータを知ってしまうと、現場の医師に指示することで、患者の診断や投薬量に関する判断に影響を与えることが可能となるためだ。

 患者データは、委託業者が管理する「データセンター」に集積され、表向きは大学側から切り離されていた。しかし、主任研究者には毎月、業者からCD―ROMなどに記録されて途中経過のデータが送られていた。研究室のパソコンからインターネットで接続し、閲覧することもできる状態だった。

 臨床試験の統計解析の第一人者、大橋靖雄・東京大教授は「データセンターが主任研究者から独立していなかったのは非常に大きな問題。今回のような薬の効果を比較する臨床試験では通常考えられない。こうした品質保証がなされていない試験結果を信頼することはできない」と指摘する。

 バルサルタンの臨床試験は、府立医大、慈恵医大、千葉大、滋賀医大、名古屋大で実施され、バルサルタンの有効性を示した。ノ社はこれらの論文を薬の宣伝に活用し、売り上げを伸ばしてきた。昨年、「論文のデータが不自然だ」と専門家が医学誌上で指摘。今年、ノ社の社員が試験に参加していたことが判明した。

 ノ社が府立医大に1億円余の奨学寄付金を贈っていたことも明らかになっている。


重い選択、国内でも拡大か がんリスク避け乳房切除 卵巣も、遺伝子検査で 13.6.25

(共同通信社 2013.6.25)

 将来乳がんになる確率を減らすため、左右の乳房を切除して再建する手術を受けたと5月に公表した米人気女優アンジェリーナ・ジョリーさん(38)の行動が強い関心を集めている。遺伝的にリスクが高い人が、がんの予防策を早く取れるメリットがある一方、「未発症の体にメスを入れる」という重い選択にも道を開く遺伝子検査と予防治療。今後、国内でも広がる可能性がある。

 ▽子に伝わる変異

 日本で年6万人が発症する乳がんの5~10%は遺伝性とされ、中でも多いのがBRCA1、BRCA2という二つのがん抑制遺伝子のいずれかに変異があるために起こる「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」だ。変異が親から子に伝わる確率は50%。母親と、後に叔母をがんで亡くしたジョリーさんは、BRCA1に変異があった。

 海外のデータによると、変異がある女性が乳がんを発症するリスクは45~84%、卵巣がんは11~62%。一般女性の発症リスク(日本は乳がん7%、卵巣がん1%)より格段に高く、発症年齢も若い。米国での研究で1994年にBRCA1遺伝子を発見した三木義男(みき・よしお)・東京医科歯科大教授は「変異がある日本人の正確な発症リスクは分かっていないが、複数の研究から、海外と同程度と推定される」と話す。

 国内の検査を一手に担うファルコバイオシステムズ(京都市)によると、2006年以降、遺伝カウンセリングに対応できる約80の医療機関で千人以上が検査を受けた。「HBOCが徐々に知られ、検査件数は増えてきた」と担当者は言う。

 ▽納得いく選択を

 乳がんは比較的見つけやすいため、国内では、遺伝子変異があっても検診を強化して早期発見を目指す例が大半。ホルモン療法という選択肢もある。一方で、聖路加国際病院(東京)では、乳がんになった反対側の乳房を切除した例があるほか、発症前の予防切除を希望する人が出た場合に備え、倫理委員会申請などの準備を整える医療機関も出てきた。

 ジョリーさんが、主治医から87%と言われた乳がんのリスクが「5%未満になった」と手記に書いたように、乳房切除で乳がんの発生は確かに減る。一方、完全に防げる保証はなく、死亡率低下を明確に示す根拠もまだない。乳房を失う喪失感も重要な要素だ。

 「プラスマイナスを十分に考慮した上で本人が納得できる選択をすることが必要。遺伝カウンセリングの大切さが強調される理由はここにある」と、がんの遺伝子診断に詳しい札幌医大の桜井晃洋(さくらい・あきひろ)教授(臨床遺伝学)。

 ▽多い課題

 変異があった場合のもう一つの選択肢として、卵巣摘出という方法もある。卵巣がんだけでなく乳がんも減り、死亡率も下がることが海外の研究で確認されている。

 がん研究会有明病院(東京)の新井正美(あらい・まさみ)遺伝子診療部長らのチームは、09年から今年4月までに計7人に実施。竹島信宏(たけしま・のぶひろ)婦人科部長は「卵巣がんは検診での早期発見が困難。進める意義がある」と話す。一方、妊娠を希望する人は選べないし、女性ホルモンの急激な減少で更年期と同じ症状が起こる可能性もある。

 実施には課題が山積みだ。遺伝子検査も予防のための医療にも健康保険は使えない。二十数万円の検査費用、70万~100万円とされる乳房や卵巣の切除費用は全額自費。社会的な理解も足りない。米国での資格も持つ認定遺伝カウンセラーの田村智英子(たむら・ちえこ)さんは「乳房切除は是か非かという点に目が向きがちだが、どんな選択も尊重されるべきだ。大切なのは本人の選択に十分な情報と支援が提供できたかだと思う」と話す。

医療の素案は権丈氏が担当、社会保障制度改革国民会議 13.6.25

(m3.com 2013.6.25)

 社会保障制度改革国民会議(会長:清家篤・慶応義塾長)の第16回が6月24日、首相官邸で開かれた。この日で議論の2巡目が終わり、8月21日の期限に向けて、清家氏に指名された議員が、最終報告書に向けた素案を作ることとなった。医療・介護分野の素案の担当は、これまで地域医療計画に基づいて、資金を重点配分する基金の設置や「フリーアクセスの制限」などを主張してきた慶応大学商学部教授の権丈善一氏。

 たたき台については、清家氏が「国民会議で出た、多くの議論の内容を盛り込むように」と指示。これまでの国民会議での発言に加え、文書で提出した各議員の意見も、まとめ作成に向けた材料となる。遅くとも8月上旬までにまとめ、それぞれの委員が、内容や表現を確認する会議を経て、最終報告となる予定。総論は、会長代理でもある学習院大学経済学部教授の遠藤久夫氏が担当する。

 この日の医療に関する議論では、厚生労働省医政局長の原徳壽氏が、医療機能分化についての都道府県との調整状況や、「総合診療専門医」の検討状況を報告。医療機能分化については、都道府県から「都道府県との議論をもっと進めてほしい」との要望があること、「総合診療専門医」については、医師の地域偏在・診療科偏在の解決の一助となる可能性があることを紹介した。

 野村総合研究顧問の増田寛也氏は、厚労省に対して「都道府県との議論は拙速を避けて、納得感が深まるようにしてほしい」と要望した。日本総合研究所調査部上席主任研究員の西沢和彦氏は、「総合診療専門医」について、国民から見て理解しやすい定義を固める重要性を強調するなどした。


ローラさん父親を国際手配 海外療養費詐取の疑い

共同通信社 6月25日(火) 配信

 海外療養費をだまし取ったとして、警視庁組織犯罪対策1課は25日までに、詐欺の疑いで、タレントのローラさんの父親でバングラデシュ国籍のジュリップ・エイエスエイ・アル容疑者(53)の逮捕状を取った。

 組対1課によると、ジュリップ容疑者は昨年8月にバングラデシュに出国しており、警視庁は国際刑事警察機構(ICPO)を通じ、国際手配した。警視庁に対し電話で「知らない。はめられた」と説明し、帰国を拒否している。

 逮捕状の容疑は2008年12月~09年1月、知人の男(45)=詐欺容疑で逮捕=がバングラデシュの病院で診療を受けたとの虚偽の申請書を東京都世田谷区役所に提出し、海外療養費約87万円をだまし取った疑い。

 ジュリップ容疑者はうち約40万円を受け取ったとみられ、知人の男は「ジュリップ容疑者から、もうけ話があると誘われた」などと供述。同課はジュリップ容疑者が詐欺グループの指南役で、グループ全体で1千万円以上をだまし取ったとみている。


「企業提供資金、明示を」 医師ら講演会発表時 日本医学会 13.6.25

(毎日新聞社 2013.6.25)

 日本医学会(高久史麿会長)は24日、加盟する医学系118学会に対し、製薬企業が関わる講演会などで会員の医師や研究者が発表する際、企業からの提供資金を明らかにするよう求めた。製薬企業と研究者の不透明な関係が疑惑を招いている降圧剤「バルサルタン」の臨床試験問題などを踏まえ、企業と研究者の透明性確保に向けた取り組み強化の一環。

 国内では、企業が主催・共催する講演会は年間10万回開かれ、講演者として医師や研究者が延べ30万人参加している。医学会は要請文で、疑惑を抱かれないよう産学連携を進めるには、「発表冒頭に金銭的な関係を聴講者へ開示することが必須の条件」だとした。

 講演会で金銭関係を開示する方針については、医学会、日本医師会と業界団体の日本製薬工業協会との間で、3月に合意していた。


【和歌山】国の勧奨中止 現場困惑・・・子宮頸がんワクチン

(読売新聞 2013.6.24)

 厚生労働省が、子宮頸(けい)がんワクチンの接種を積極的に勧めることを一時的に控えると発表したことを受け、県内の市町村や保護者らに戸惑いが広がっている。接種後、体の痛みなどを訴える事例が相次いだことを受けた措置だが、同ワクチンは小学6年-高校1年の女子への予防接種が公費で受けられる定期接種のままで、関係者からは「市民にどう説明したらいいのか」などの声が上がっている。

 「医学の素人なのに接種するかどうかの決断を託されても、どうしていいかわからない」。中学1年の娘を持つ和歌山市在住の母親(43)は、そう不安そうに話す。

 子宮頸がんを患った友人がおり、子どもにはワクチンを接種させたいと考えていたが、厚労省の発表を受け、迷い始めた。母親は「せめて判断するための材料がほしい」と国に情報提供を求める。

 県によると、これまでにも国が補助金を出すなどしてワクチン接種を勧めており、2010年11月から12年3月までに、小6-高1の4分の3に当たる1万4974人が接種した。

 さらに国が今年4月、子宮頸がんワクチンを定期接種に位置づけ、自治体はそれぞれ啓発を強化。だが、突然、はしごを外された格好になり、現場には困惑が広がる。

 厚労省は今回、各家庭への案内を控えるよう都道府県に通知したが、県内で最も対象者の多い和歌山市は4月、中学1年の女子生徒1750人の保護者宛てに、接種を呼びかける通知書を配布したばかりだ。

 市民から「どう対応したらいいのか」という相談もあり、市は近く厚労省の方針を伝える文書を配る。

 御坊市では10年7月から、独自の補助金制度を始めるなどワクチンの普及に積極的に取り組み、接種率は98%(2011年度)に上る。担当者は「国の対応はわかりづらい。限られた情報しかなく、市民に説明のしようがない」と嘆く。

 県立医大産科婦人科学講座の井箟一彦教授(50)は「厚労省には安心してワクチンを接種できよう早急に対策をとってほしい」と話している。


日本医学に深まる不信 成長戦略、阻む恐れ 疑惑の薬・バルサルタン/下 13.6.23

(毎日新聞社 2013.6.23)

疑惑の薬・バルサルタン:/下 日本医学に深まる不信 成長戦略、阻む恐れ

 「医療は2兆円の輸入超過だが、日本のイノベーション(技術革新)で反転させられると信じている」。安倍晋三首相は今月14日、国民向けの動画で、「成長戦略」における医療分野への期待を熱く語った。

 カギを握るのは産学連携の成否だ。政府は、世界の健康医療産業が2030年には約530兆円と、今の約3倍に増えると試算する。iPS細胞(人工多能性幹細胞)を作製してノーベル賞を受賞した山中伸弥京都大教授のような研究者の力も結集して、再生医療や創薬などを成長へのエンジンに育て上げようと意気込んでいる。

 だが、そんな戦略に水を差す形となっているのが、3月末に表面化した降圧剤「バルサルタン」の臨床試験疑惑だ。

 販売元のノバルティスファーマ(東京)は、京都府立医大など5大学に臨床試験を提案。「他の降圧剤に比べ、バルサルタンの方が脳卒中の危険性を下げるなどの優れた効果がある」と結論付けた論文を宣伝に活用してきた。だがノ社は、社員が統計解析に関与していたにもかかわらず、情報開示をしていなかったことや、府立医大側に1億円超の寄付をしていたことで、疑惑を招いている。データの不自然な一致など論文の内容自体に疑問が呈されていることも問題を大きくさせている。

 産学連携には、「企業から資金援助を受けた研究者の仕事を信用してよいのか」という疑念がついて回り、ぬぐい去るには金銭に関する情報公開が不可欠となる。「8月に東京で、アジアや太平洋地域の主要医学誌の編集部が一堂に会する国際会議がある。主要なテーマは、研究者と製薬会社の金銭関係と情報公開のあり方だ。バルサルタンの問題が話題の中心になるのは間違いない」。国際医療に詳しい渋谷健司・東京大教授はこう話す。

 米国の有力経済誌「フォーブス」も、府立医大の論文が撤回(取り消し)されたことや、ノ社が社員の臨床試験への関与を謝罪したことなど、一連の問題の記事を5本報じている。「日本の産学連携のあり方に海外から疑念を持たれたことは、日本発の医薬品の国際的な信用にとって大きなマイナスとなった」。日本医師会の今村聡副会長はこう語り、この問題が成長戦略に影響することを懸念する。

        ◇

 産学連携の一方の当事者である日本の研究者への信頼も大きく揺らいでいる。米科学誌に昨年発表された報告によると、「捏造(ねつぞう)かその疑い」で撤回された生物医学や生命科学分野の論文数は、米国、ドイツに続いて日本が3位。昨年は、元東邦大の麻酔科医による「世界最多」172本の捏造が判明。今年は既に、バルサルタンの臨床試験を行った府立医大の松原弘明元教授が関係した14本で不正が発覚している。バルサルタンとは別の研究テーマだった。

 研究不正を許す日本の土壌に厳しい目が集まる中で、今回の問題は起きた。府立医大の臨床試験論文を撤回した欧州心臓病学会誌の編集長、トーマス・ルッシャー医師は4月、誌上で世界の科学不正の歴史をまとめた。最近の問題として紹介した二つのうちの一つが、日本のバルサルタンの臨床試験だった。「日本で臨床試験に懸念が発生した。まだ詐欺かは明らかでないが、論文の正当性に影響を与える懸念だ」


申請時、添付書類不要に 犯罪、情報漏えい懸念も マイナンバー、16年開始 「経済の争点」マイナンバー制 13.6.20

(共同通信社 2013.6.20)

 国民一人一人に番号を振って、社会保障や税金に関する情報を照合する「マイナンバー法」が国会で成立、2016年から番号利用がスタートする。社会保障の給付を申請する際の添付書類が不要となるなど利便性が増す半面、成り済まし犯罪や個人情報の漏えいが増えるのではないかとの懸念も残る。

 ▽ICカード

 15年10月、政府は国民に12桁の個人番号を記した「通知カード」を郵送する。16年1月からは希望者に名前と住所、生年月日、性別、顔写真、個人番号を記載したICチップ入りの「個人番号カード」が市町村経由で配られる。個人番号は市町村が「住民票コード」を基に作成する。

 これまでは年金など社会保障給付を行政窓口に申請する際には、住民票など申請ごとに書類を添付しなければならなかった。それが窓口でカードを提示するだけで、システム上で照合され受給条件を満たすかどうか確認できるようになる。

 17年1月からは、自宅のパソコンを使って個人用ホームページ「マイ・ポータル」で、自分の年金や医療、介護の保険料の納付、税金の負担状況、将来の給付額の閲覧が可能となる。誰かが自分の情報にアクセスした場合には、その痕跡も簡単に分かるという。

 災害発生時には、被災者がどの市町村にいても要介護者リストの作成や更新が容易になり、本人確認も簡単になる。

 ▽コストと労力削減

 市町村や税務署にとっては、個人番号でデータ内容が簡単に照合できるため、コストと労力を削減できる。自治体は申請者の資産、収入、扶養義務がある親族の状況を把握しやすくなり、生活保護での不正を防げる。

 確定申告の際に、別の市に住む兄弟それぞれが実母を扶養していると扶養控除申告する不正も防げる。税務当局が個人の所得情報を「名寄せ」して、税金の過少申告を防止し、税金の不正還付も防げるようになる。

 その一方で、他人の番号に成り済まして政府から給付金をだまし取るなどの犯罪が懸念される。番号には多くの個人情報が含まれているため、プライバシー情報の流出を心配する声も多い。

 これに対し政府は、独立性が高い「特定個人情報保護委員会」を設置し情報の取り扱いを監視する考えだ。情報を漏えいした職員には4年以下の懲役、または200万円以下の罰金を科す。

 マイナンバー制が始まっても、サラリーマン(所得把握率9割)と自営業者(同6割)、農家(同4割)の所得把握の不均衡である「クロヨン問題」は解決しない。

 これに対し政府は、制度によって税務当局の事務負担が減る分、今より厳格な税務調査を実施して監視する方針だ。マイ・ポータルはパソコンで閲覧できるが、スマートフォン、タブレット端末には対応しないことが将来の課題になる。

 ▽3年後に見直し

 個人番号の利用は当面、社会保障と税金、災害対策の3分野に限り、法施行3年後をめどに利用範囲は拡大される。

 特に期待されるのは医療分野。患者の電子カルテを個人番号で管理し、各病院での治療歴を確認、検査や投薬が重複しないようにできるからだ。

 重病で入院や治療、介護サービスを受け、支払金が自己負担限度額を超えた場合でも、立て替え払いをしないで済むようになる。

 マイナンバー制では正確な所得把握と本人特定ができるようになる。急速に少子高齢化が進展する日本で、低所得者には社会保険料負担を減らす一方、高所得者には給付を減らすという「セーフティーネット(安全網)」の基盤を構築できる。

 将来は介護と医療、保育など各費用の自己負担の総額に世帯ごとの上限を設け、負担額の合計が上限を超えた部分は払わなくてもよい「総合合算制度」の創設も可能になるだろう。

 全国民の負担と受益をきめ細かく把握し、税負担と社会保障給付を通じて所得の再配分を図るのが制度導入の狙いといえる。

「サーバリックス」などに改めて注意喚起--厚労省 13.6.20

(薬事ニュース 2013.6.20)

 厚生労働省は5月28日に「医薬品・医療機器等安全性情報」のNo.301号を公表し、3月26日に使用上の注意改訂を指示したグラクソ・スミスクラインの子宮頸がんワクチン「サーバリックス」(一般名=組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(イラクサギンウワバ細胞由来))と田辺三菱製薬のC型慢性肝炎治療薬「テラビック錠250mg」(一般名=テラプレビル)について、改めて注意喚起を行った。


「誤診で睾丸を摘出」訴訟・県側が争う構え 山形地裁 13.6.20

(山形新聞 2013.6.20)

 県立新庄病院の誤診で、10代の息子が睾丸(こうがん)摘出を余儀なくされたとして、最上地方に住む両親らが県を相手に慰謝料など2200万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が18日、山形地裁であり、被告の県は請求棄却を求め、争う構えを見せた。

 答弁書で県は、医師が診察や説明もせず、看護師だけの対応で安静にして患部を冷やすなどの対応しかしていないとする原告の主張を否認した。将来的に労働能力の喪失や低下を招くものでもないと反論。今後、さらに詳細な主張について明らかにするとしている。

 訴状によると、10代の息子は昨年11月、睾丸の痛みと腫れで同病院に緊急入院し、泌尿器科の医師はウイルスかばい菌による副睾丸炎と診断。実際は精索捻転で、適切な治療がなされず左睾丸を摘出せざるを得なくなったとしている。


ハンセン病 歴史展「苦闘 100年の変遷」 岡山・中区・邑久光明園 13.6.19

(毎日新聞社 2013.6.19)

 瀬戸内市の国立療養所「邑久光明園」を中心にハンセン病問題の歴史と課題を伝える人権啓発展「苦闘 100年の変遷」が中区門田屋敷5の同園岡山事務所で開かれている。28日まで。入場無料。

 22日の「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」に合わせて企画した。これまで計4回の展示でたどった開園(1909年)からの歩みを90枚のパネルにまとめた。1977年頃まで続いた入園者による園内作業の様子や、97年に取り壊された入園者だけを対象にした警察の留置施設など、過酷な強制隔離と管理体制の実態をより具体的に紹介。入園者の証言DVDも上映している。

 また、事務所の玄関前には、かつて長島と対岸を隔てた海峡部と同じ長さ22メートルの黄色い線が引かれている。わずか30歩程度の距離に邑久長島大橋(88年完成)が架かるまで17年にわたる入園者の運動が必要だったことに思いをはせてもらう試みだという。

 午前10時~午後5時。問い合わせは同事務所(086・270・7860)。


向精神薬依存 8割、投薬治療中に発症 「医師の処方、不適切」 専門機関調査 13.6.19

(毎日新聞社 2013.6.19)

 ベンゾジアゼピン(BZ)系といわれる向精神薬の依存や乱用に陥った患者の8割以上が、アルコール依存など別の疾患の治療中に発症していたことが、国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)の調査で分かった。BZ系は用量内でも乱用・依存に陥る可能性が指摘され、欧米では処方を避ける傾向にある。診察せずに処方されたケースも4割あり、調査した専門家は、医師の不適切な処方が発症につながったと指摘している。

 2011年12月、同センターなど首都圏の薬物依存症専門医療機関4カ所が、BZ系と、近い系統の睡眠薬や抗不安薬を乱用するなどしていた20~60代の87人(男性37人、女性50人)を調査。うち84%の73人が、調査対象の専門機関にかかる前の通院先で、アルコール依存や気分障害、不安障害、睡眠障害などの治療中に乱用や依存に至っていた。

 依存、乱用するようになった薬は、調査対象者の89%の77人が精神科医療機関で処方されたものだった。知人や密売人などから入手したのは、いずれも1割未満だった。

 処方時の問題は、BZ系で特に依存の危険がある薬を処方(7割)▽患者が薬をためている可能性を考えず漫然と処方(同)▽多種類の処方(5割)▽用量を超えた大量処方(同)▽診察なしの処方――などがあった。

 一方、患者は「不眠の解消」「不安・緊張感の緩和」「いやなことを忘れる」などを求めて乱用したものの、調査対象者の6割が暴力をふるったことを忘れるなどトラブルを起こしたほか、5割が過量服薬で救急搬送され、3割が交通事故や転倒で救急搬送されるなどしていた。

 BZ系は、不眠や不安の解消などさまざまな場合で処方され、国内での向精神薬の依存や乱用の原因の約9割を占めるとされる。飲み過ぎるともうろう状態になり、健忘や転倒などの副作用が出る。1970年代に欧米で乱用・依存が問題化し、英国国立医療技術評価機構のガイドラインでは2~4週間を超える使用は推奨されておらず、米国食品医薬品局も長期の使用は承認していない。

 また、米国などでは90年代以降、新型の抗うつ薬が使われたことに伴い、BZ系抗不安薬の処方が激減した。日本では精神科以外でも広く処方され、抗不安薬の処方件数は欧米の6~20倍とも言われる。

 同センター薬物依存研究部の松本俊彦・診断治療開発研究室長は「患者の不安が強いと、一時的にBZ系を使わざるをえない場合もある」としながらも、「医療機関が依存性の高い薬を処方し続けたり、多種、大量に処方したりすることが発症につながる。診察なしの処方は兆候を見過ごすことになり、絶対すべきでない」と指摘している。

【新潟】子宮頸がん 4人ワクチン副作用か 県内、1人が歩行困難 13.6.20

(新潟日報 2013.6.20)

 国が接種呼び掛けの一時中止を全国の自治体に勧告した子宮頸(けい)がんワクチンによる副作用とみられる症状が、県内では少なくとも4人に確認され、うち1人は歩くことが困難になるなど重症であることが18日、新潟日報社の調べで分かった。

 4人はいずれも10代で、内訳は新潟市1人、上越市3人。新潟市の1人が全身に痛みがあるなど重症。被害者団体の「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」(東京)によると、同会が把握している症状の中でも、最も重篤なレベルという。上越市の3人は頭痛や意識消失などで、現在は症状が落ち着いている。副作用が出た4人は、11年2月から13年5月までに接種を受けていた。

 厚生労働省結核感染症課によると、副作用とみられる症状と接種との因果関係は特定されていない。同課は「有効性とリスクを理解した上で接種してほしい」としている。

 県健康対策課によると、国が助成金を出すようになった10年11月から13年3月までに、県内で15万6473回、約5万人(通常は1人3回)が接種した。

 県産婦人科医会の徳永昭輝会長は「子宮頸がん患者を診察し、ワクチンの必要性を感じている医師もいる。副作用の危険性はどんなワクチンにも伴う。不安があれば医師も相談に応じる」と話している。

 子宮頸がんワクチンの接種は、4月から原則無料の定期接種となったが、接種によって激しい痛みが続く症例が出たため、今月14日に厚労省が積極的な接種の呼び掛けを一時中止するよう全国の自治体に勧告していた。

【石川】子宮頸がんワクチン 女子中生2人が副作用 13.6.19

(毎日新聞社 2013.6.19)

 副作用の点から、国が接種を積極的には勧めないよう方針を変更した子宮頸(けい)がんワクチンについて、県は18日、県内で副作用とみられる症状を発症したケースがこれまでに2件あったことを明らかにした。同日の県議会一般質問で、不破大仁議員(自民)の質問に答えた。

 症状が報告されたのは、金沢市に住む13歳と14歳の女子中学生2人。13歳の女子は11年9月、14歳の女子は今年3月、それぞれ倦怠(けんたい)感や発熱、けいれんなどの症状を訴え医療機関を受診した。2人とも後遺症はないという。

 県内でも今年4月から予防接種法に基づき定期接種が実施されており、これまでに、対象となる小学6年~高校1年の約2万8000人が接種した。

【千葉】 子宮頸がんワクチン:接種、野田市見合わせ 13.6.19

(毎日新聞 2013.6.19)

 千葉県野田市は18日、子宮頸(けい)がんワクチンの定期接種を原則見合わせることを決めた。接種後に体に痛みを訴える中高生が相次いでいるとして厚生労働省の専門家検討会が14日、積極勧奨を控えることを決めたが、さらに踏み込んで市内40の医療機関に接種見合わせを通達した。期間について、市は「安全性についての結論が出るまで」と説明している。市によると、接種を強く希望する市民には、保健センターでワクチンの有効性とリスクを説明した後、接種を受けてもらうという。
 予防接種法は市町村長に定期接種を行うよう義務付けているが、厚労省は「機会を確保しており、違反とは言えない。野田市には市民に適切に周知するよう求めた」と話している。

【長野】子宮頸がんワクチン推奨中止で波紋 13.6.18

(読売新聞 2013.6.18)

 子宮頸がんワクチンの接種後に、体の痛みや歩行障害などの重い副作用を訴える人が相次いでいるとして厚生労働省が14日、一時的に接種の推奨を控える方針を決めたことで、県内の各地自体も対応に追われている。

 県内では17日、推奨中止の動きが本格化した。長野市保健所は同日の定例市議会の常任委員会で、月内にも接種対象の小6-高1の女子に文書を送付して周知する方針を明らかにした。

 市では2011年3月-今年3月に約9000人が接種した。接種は通常3回のため、まだ約5500人が終了していない。「接種を続けるかどうかの判断材料にしてほしい」として、効果の一方で副作用があることを明記する。

 市保健所には問い合わせも複数寄せられ、既に1-2回接種した女子生徒の親が接種を継続すべきか相談してきたケースもあった。

 市によると、13-16歳の3人が接種直後、病院内で気を失ったことがあるという。全国的に報告されている原因不明の慢性的な痛みなど、重い副作用には当たらないとしている。

 このほか、14日夜にホームページで情報提供を始めた松本市は18日、市内の小中学校の校長が集まる校長会で推奨中止を伝える。5月に中学生約10人が集団接種を行った栄村は、2回目以降の通知は出さない方針で、長野市と同様に各家庭に文書を配布し、接種希望者は個別に対応する。

 厚労省によると、3月末までに全国で推計328万人に接種され、重い副作用の報告があったのは357件。同省は14日に開かれた有識者検討会の議論も踏まえ、「積極的な勧奨を一時的に差し控える」と方針転換した。同ワクチンは今年4月、小6-高1は原則無料で受けられる「定期予防接種」になった


【山梨】子宮頸がん接種 県も注意呼びかけ 13.6.18

(読売新聞 2013.6.18)

 厚労省が子宮頸(けい)がんワクチンの接種の勧奨を一時的に差し控えると14日に発表したことを受け、県は市町村や県医師会、医療機関などに対し、積極的な勧奨を差し控えるように通知を出し、ホームページでも呼び掛けている。

 子宮頸がんワクチンを巡っては、頻度は少ないものの、副作用として慢性的な痛みを訴える例が複数報告されている。因果関係が不明なことから、厚労省は勧奨を中止した。昨年度までは、接種費用の一部が市町村から補助されていたが、今年4月からは公費で受けられる定期接種になった。

 県健康増進課によると、昨年3月の接種率は、中学1年生から高校2年生で75・6-90・5%。同課は「これまで通り定期接種が受けられるが、接種する場合は、有効性と副作用について十分理解した上で受けてほしい」と話している。


【青森】県内で子宮頸がんワクチン副作用 13.6.18

(東奥日報 2013.6.18)

 県内の10代女子が今年4月、子宮頸(けい)がんワクチンを接種した後、一時意識がもうろうとなるなど、ワクチンの副作用とみられる症状があったことが15日、県への取材で分かった。女子は接種後数分で回復し、後遺症などはないという。

 県保健衛生課によると今年4月、県内の医療機関から厚労省へワクチンの副作用報告が出され、同月中に国から県へ情報提供があった。本年度、県内でほかに副作用報告はないという。

 県内では、2010年度途中から子宮頸がんワクチン接種の公費助成を行う自治体が出始め、11年度からは全市町村が接種事業を実施している。12年度末までに県内で約3万人がワクチンを接種しているが、11~12年度中の副作用報告は、国からの情報提供がないため、県は把握していない。

 一方、激しい痛みが広範囲に及ぶ症例が全国で報告されているのを受け厚労省が14日、ワクチン接種を積極的に呼び掛けるのを一時中止するように全国の自治体に勧告したことを受けて、県には15日、一般から計7件の問い合わせがあった(午後5時現在)。内容は「1回目を接種したが、2回目はどうしたら良いのか」というものがほとんど。

 南部町、外ケ浜町の担当者から電話や電子メールで、住民対応の問い合わせもあった。医療機関からはなかった。

 県保健衛生課の担当者は「住民から戸惑いの声が寄せられている。(医療的なことなど)国に具体的な対応を問い合わせており、分かり次第周知したい」と語った。

 問い合わせの受け付けは17日に再開し、県保健衛生課(電話017-734-9215)が対応する。


子宮頸がんワクチン:厚労省「体の痛み記載を」 製薬会社へ指示 13.6.18

(毎日新聞社 2013.6.18)

 接種勧奨を控えることになった子宮頸(けい)がんワクチンで、厚生労働省は製薬会社2社に対し、医師向けの添付文書の注意事項に「長引く広範囲の体の痛み」を記載するよう指示した。2社は16日に添付文書を改訂し、医療機関に通知を始めた。

 厚労省の指示は14日付。ワクチンには「サーバリックス」と「ガーダシル」の2種類ある。添付文書にも注意事項や副作用に、失神や神経まひを起こすギランバレー症候群などは書かれていたが「体の広範囲が長期間痛む」症例の記載はなかった。

 同省は「重要な基本的注意」の欄に、発生原因は不明だが「激しい痛み、しびれ、脱力などがあらわれ、長期間症状が持続する例が報告されている」と明記を指示した。


子宮頸がんワクチン接種積極使用控える決定:「大きな第一歩」 健康被害訴えてきた親ら 13.6.17

(共同通信社 2013.6.17)

 厚生労働省が14日、子宮頸(けい)がんワクチン接種の積極的勧奨を控えることを決めた。接種による健康被害を訴えてきた「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」の松藤美香(まつふじ・みか)代表(46)は会合後、「良かった。大きな第一歩です」と涙ぐんだ。

 中学3年の長女は2011年、頸がんワクチンの一つ、サーバリックス接種後に体の痛みを訴えて「慢性疼痛(とうつう)症候群」と診断された。自力で歩けなくなり、今も車いすに乗っている。症状がひどくなった際には休学せざるを得なかった。

 同様に健康被害を訴える親たちと連絡会を設立したのは今年3月。全国の学校で被害実態を調査するよう文部科学省に要望したり、連絡会に寄せられた副作用情報を厚労省に提供したりして、接種中止を訴えてきた。

 2時間以上にわたった厚労省専門部会の議論の行方を、祈るような表情で聞いていた松藤さん。会合が終わり、報道陣に囲まれると「(求めていた)接種中止ではなかったが、ありがたい。娘にもうれしい報告ができます」とほっとした表情を浮かべた。「長女は『私のような体の子が増えると困る』と話していた」と明かし、国に副作用被害の実態に関する情報収集や治療支援を求めた。


接種呼び掛け中止を勧告 : 子宮頸がんワクチン 激しい痛みの副作用で 厚労省 13.6.17

(共同通信社 2013.6.17)

 厚生労働省は14日、子宮頸(けい)がんワクチンの接種を積極的に呼び掛けるのを一時中止するよう、全国の自治体に勧告した。接種対象者への案内送付などは取りやめるが、効果を重視して接種を希望する人のため、ほとんどの自治体で無料で受けられる定期接種からは外さない。

 副作用情報を基に安全性を検討する厚労省の専門部会が同日、症例数は少ないが接種によって長引く激しい痛みが起きている可能性が高く、実態解明が進み、適切な情報提供ができるまで積極的に勧めるべきではないと結論付けたことを受けた。

 子宮頸がんワクチンは4月に施行された改正予防接種法に伴い、小学6年から高校1年相当の女子を対象に定期接種となったばかり。専門部会の座長を務める桃井真里子(ももい・まりこ)・国際医療福祉大副学長は「早急に情報収集し、(副作用の)正確な発生頻度を出す必要がある」と強調するが、接種呼び掛け再開の時期は読めず、医療現場や保護者に混乱が生じそうだ。

 厚労省によると、定期接種の対象となっているワクチンの接種呼び掛けを中止するのは、2005年の日本脳炎ワクチン以来2例目。

 部会では、副作用報告の中で、痛みが体の広範囲に及んだ38症例を重点的に分析。発症のタイミングなどから「接種との関係が否定できない症例が多くありそうだ」とした。

 子宮頸がんワクチンは2社が販売している。厚労省のまとめでは、副作用の報告はグラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」が接種100万回当たり245・1回、MSD社の「ガーダシル」は同155・7回。同時期に定期接種になった小児用肺炎球菌ワクチンは同89・1回、日本脳炎ワクチンは同67・4回などだった。

※子宮頸(けい)がんワクチン

 子宮の入り口付近にできる子宮頸がんの主な原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチンで、HPVの7割を占めるタイプの感染予防に効果がある。子宮頸がんは、20~30代の若い患者が急増しており、4月以降、小学6年から高校1年相当の女子を対象として原則無料の定期接種となった。筋肉注射で接種する。原因不明の痛みやけいれんなど副作用が疑われる報告が相次ぎ、接種の中止を求める声も上がっていた。


子宮頸がんワクチン、検討会「一時的に接種推奨控える」 13.6.14

(朝日新聞Digital 2013.6.14)

子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に長期的な痛みやしびれを訴える人が相次いでいるため、厚生労働省の検討会は14日、一時的に接種の推奨を控えるとの意見をまとめた。これを受け、厚労省は自治体に通知を出す。定期接種は中止しないものの、自治体に接種対象者に案内を出さないよう求める。

 定期接種のワクチンで推奨を控えるのは異例。接種対象者は希望すれば、これまでどおり無料で受けられるが、医療機関は接種者に対し、推奨していないことを説明する。

 検討会では、ワクチン接種後に体に痛みが出るなどの健康被害43例について議論した。委員からは「患者に何が起きたのか調査が必要」との声が相次いだ。同省は秋以降、16の大学病院で、痛みなどの症状と予防接種との因果関係の有無を調べ、積極的な接種を推奨すべきか結論を出す。

 検討会の桃井真里子座長は「中止ではないので、打たないとの判断もできるし、打ちたい人は今まで通り打てる。ワクチン自体の安全性に大きな問題があるということではない」と話した。

 このワクチンは、4月から小学6年~高校1年の女子を対象に原則無料で受けられる定期接種になっている。ごく一部で重い副作用も報告されている。副作用が出た場合は、予防接種法に基づき、国が因果関係を認定すれば市町村から医療費などが給付される。


子宮頸がんワクチン 救済申請たった20件 副作用報告の2% 13.6.11

(毎日新聞社 2013.6.11)

 子宮頸(けい)がんワクチンの重篤な副作用被害が3月末までに878件報告されているのに、被害を救済する医薬品医療機器総合機構(PMDA)への救済申請が20件しかないことが10日、分かった。制度の認知度不足が理由とみられ、PMDAや厚生労働省は「重篤な副作用が出た人は、相談してほしい」と呼びかけている。

 PMDAは、医薬品や任意接種のワクチンの副作用で死亡や入院のような健康被害が出た場合、一時金や医療費を給付する被害救済制度を設けている。

 子宮頸がんワクチンは今年3月末までに推計約328万人が任意接種を受けた。重篤な副作用が製薬会社と医療機関から計878件報告されているが、PMDAが調べたところ、4月末までに給付金の申請が20件しかなかった。うち12件は給付が決まり、2件は「判定不能」などとして不支給に。残り6件は調査中という。

 PMDAは他の任意接種ワクチンについては、申請段階の件数を集計していない。だが、今年3月にインターネットで20歳以上の男女3114人に実施したアンケートでは、制度を「知っている」は約5%、「名前は聞いたことがある」も約15%しかいなかった。PMDA健康被害救済部は「アピール不足を痛感する」と反省しきりだ。

 子宮頸がんワクチンは4月1日から定期接種になり、同日以降の接種の副作用は国の制度で救済される。


インプラント歯科閉院、相談会に患者50人 福岡市 13.5.20

(西日本新聞 2013.5.20)

 インプラント手術を手掛けた福岡市博多区の歯科医院「シティデンタルクリニック」が、少なくとも約210人から治療費約2億4700万円を預かったまま閉院した問題で、患者でつくる「被害者の会」が19日、ボランティアの歯科医を招き、市内で無料の相談会を開いた。治療が中断した患者らの相談を受けた歯科医は「クリニックの契約の方法は異常だ」と話した。

 相談会には福岡、大分、山口県の患者約50人が参加。これまでの治療に問題があるのかや、今後の治療方針、追加で必要な治療費などについて埼玉、広島両県の歯科医2人が助言した。

 福岡県那珂川町の男性(64)は、昨年6月に5本のインプラント手術代として150万円を支払ったが、2本が完了し3本の歯を抜かれた状態で閉院した。この日の相談後、男性は「治療を継続すれば50万円以上が追加で必要とのことなので、どうすればいいのか悩んでいる」と話した。

 相談を受けた歯科医の岩城正明さん=埼玉県=は「治療内容にはほとんど問題はなかったが、手術の数カ月前に治療費を前払いさせるなど、契約方法が不適切なケースが多い」と指摘した。

 患者の中には、閉院の1カ月前に費用を支払ったまま治療を受けていない人もいることから、被害者の会は、クリニックを運営していた医療法人側を詐欺容疑で刑事告訴する方針。クリニックは1月に閉院し、法人は2月、患者の治療費以外に借入金など約7億円の負債を抱えて経営破綻した。

出生前診断で説明ミス 羊水検査結果、逆に伝える 子にダウン症、両親提訴 函館の産婦人科医院 13.5.20

(共同通信社 2013.5.20)

 北海道函館市の産婦人科医院で2011年、胎児の染色体異常の有無を調べる羊水検査でダウン症と判明したのに、男性院長が妊婦への説明で誤って「異常なし」と伝えていたことが、19日までの関係者への取材で分かった。妊娠継続の判断に影響を及ぼす出生前診断でこうした問題が表面化するのは極めて異例。専門家は「あってはならないミス」としている。

 生まれたのは男児で、ダウン症の合併症のため3カ月半で亡くなった。

 両親は「妊娠を継続するか、人工妊娠中絶をするか選択の機会を奪われた」とし、慰謝料など1千万円の損害賠償を求め函館地裁に13日付で提訴した。母体保護法は障害を理由とする中絶を認めていないが、医療現場では条文を緩やかに解釈して対応している現実があり、裁判所がどう判断するか注目される。

 ミスがあったのは函館市の「えんどう桔梗(ききょう)マタニティクリニック」。遠藤力(えんどう・ちから)院長は3月、取材に「(検査報告書が)分かりづらい表現で読み間違えた」とミスを認め「裁判は弁護士に任せている。両親に苦痛を与え、申し訳ない」と話した。

 両親の話や訴状によると、母親は11年3月、遠藤院長から超音波検査で胎児に障害がある可能性を指摘され、確定診断のため4月中旬に羊水検査を受けた。妊娠20週の5月上旬に遠藤院長から「結果は陰性でした」との表現で胎児に染色体異常はないと告げられた。

 ところが、検査会社が作成した報告書には「染色体異常が認められた」と明記されていた。通常は2本の21番染色体が3本あり、ダウン症を示す画像もあった。転院先の病院の医師が男児の誕生後に、クリニックの診療記録を確認して判明した。

 ダウン症は重い合併症がなければ長期生存が可能。ただこの男児の場合は呼吸機能が不十分で、新生児集中治療室(NICU)に入ったが敗血症などで死亡した。

 母親は提訴について「遠藤院長の対応に誠意がみられず疑問を感じた。必死に頑張って生きた子どもの命を否定するつもりはないが、医師のミスで家族が苦しんだことを世の中に伝え、二度と起きないようにしてほしい」としている。

※羊水検査

 胎児の染色体異常などの有無を判別する出生前診断のための検査の一つ。妊婦のおなかに針を刺して子宮内の羊水を採取、胎児細胞を調べる。精度はほぼ100%で確定診断として用いられるが、0・3%の確率で流産するリスクがある。国内では年間約1万6千件実施されていると推計される。高精度の新出生前診断として一部医療機関に今春導入された妊婦血液を用いる「母体血胎児染色体検査」でも、確定診断には羊水検査などが必要となる。

※人工妊娠中絶

 母体保護法は「身体的、経済的理由で母体の健康を著しく害する恐れ」がある場合、妊娠22週未満に限り、中絶することを認めている。胎児の障害を理由に認める規定はないが、現行法を広く解釈して中絶が選択されることもある。厚生労働省によると、2011年度の全国の中絶件数は約20万2千件。高齢出産の増加と出生前診断の技術の進歩で、障害を理由とする中絶が増えているとの指摘もある。


米人気女優の手術で波紋 検診重ね早期発見が主流 乳がんの予防切除 13.5.20

(共同通信社 2013.5.20)

 米人気女優アンジェリーナ・ジョリーさん(37)が、乳がんのリスクを高める遺伝子変異が見つかったとして、がんを予防するために両乳房の切除・再建手術を受けたことを公表し波紋を広げた。日本国内でも同じ遺伝子検査がじわりと浸透しているが、陽性の場合は検診を重ねることで早期発見、早期治療につなげるのが主流だ。

 ▽リスクに幅

 「私の経験が他の女性に役立てばと思った」。ジョリーさんは米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿で、手術を公表した理由をこう記した。米メディアでは、勇気ある難しい決断をしたと称賛する声がある一方、数百万円と多額の費用がかかる検査と切除・再建手術に誰でも踏み切れるわけではないと指摘する冷めた見方もあった。

 報道によると、ジョリーさんの母親は卵巣がんを患い、闘病の末、2007年に56歳で他界。自身も遺伝子検査を受け、主治医から87%の確率で乳がんを発症すると告げられた。

 養子を含め6人の子どもを持つジョリーさんは今年2月に切除手術を受け、4月に再建手術を終えた。切除によって発症の確率が5%未満になったとして「とても幸せ。子どもに、乳がんで母親を失うことを恐れる必要はないのよと言える。少しも女性らしさを失ったと思わない」と語った。

 ジョリーさんが受けた遺伝子検査の対象は、変異があると乳がんや卵巣がんになるリスクが上がると科学的に立証されている「BRCA1」と「BRCA2」。これらの遺伝子には、がんを抑える働きがあるが、変異があると機能しない。いずれかに変異があると、70歳までに乳がんになる確率は56~87%となる。

 検査に詳しい東京大医科学研究所付属病院の古川洋一(ふるかわ・よういち)ゲノム診療部長は「ジョリーさんのケースは一番高い数字が取り上げられた。乳がんを発症するリスクはかなり高いが、幅があり、絶対に発症するとは言えない」と話す。

 ▽3分の1が切除

 生涯に8人に1人が乳がんになる米国では年間10万人がこの検査を受けているという。米テキサス州のMDアンダーソンがんセンターの06年の報告では、陽性だった女性の3分の1が健康な両乳房を切除した。

 古川部長は「発症確率が高いと分かれば、マンモグラフィーなどの画像検診を重ねることで早期発見や治療につながる」と検査の有効性を評価する。

 専門家によると、日本では約15人に1人が乳がんになる。乳がん全体の5~10%が遺伝性との海外のデータがある。母親や姉妹など近親者の中に50歳未満で乳がんを発症した人がいる場合などは遺伝性が疑われる。

 国内では米検査会社「ミリアド・ジェネティクス」と契約する企業が08年に導入を実質的に開始。11年には約40の医療施設、現在は83施設と拡大、これまでに約1600人が検査を受けた。

 結果が陽性だった場合の不安感や家族に与える影響が大きいことから、希望者は遺伝カウンセラーの説明を受けてから実施するか決める。

 ▽選択肢の一つ

 乳がんの診療実績が全国で最も多いがん研有明病院(東京都)では、遺伝子検査で陽性の場合は医師の診察を3カ月ごと、マンモグラフィー検診などを半年ごとに受けてもらう。同病院で実際に健康な乳房を予防切除した人はいないという。

 新井正美(あらい・まさみ)遺伝子診療部長は「定期的な検診で早期発見につなげるのが一般的だが、検診のたびにがんが見つからないか心配する人もいる。乳房切除でリスクを減らす考え方もある。乳房切除がベストかどうかは別として、選択肢の一つとして実施できる体制は整えたい」と話している。

高血圧薬臨床研究に製薬社員参加…身分伏せ論文 13.5.19

(読売新聞 2013.5.19)

 製薬企業ノバルティスファーマの高血圧治療薬「バルサルタン(商品名ディオバン)」を巡り、薬の効果を調べた大学の臨床研究に同社の社員が加わり、社員であることを伏せたまま研究成果が外部に発表されていたことが分かった。

 ディオバンは国内で年間1000億円以上の売り上げがあり、この研究成果は宣伝に使われていた。日本医学会の高久史麿会長は「研究の公平さを損なう極めて深刻な事態」として、24日に利益相反委員会を開き、実態把握と再発防止策の検討に乗り出す。

 問題の研究は、約3000人の患者を対象にした京都府立医大の比較試験。ディオバンを使うと、従来の薬と血圧の下がり方が同じでも、脳卒中や狭心症などのリスクが45%も減るというものだった。同社はこの結果を宣伝材料に使い、医師を集めたセミナーを繰り返し開いていた。

 しかし、研究データの扱いに不備があるなどとして、日本循環器学会の学会誌などに掲載された論文6本が、昨年末以降相次いで撤回された。研究の責任者の教授は、今年2月に辞職した。

 日本循環器学会の調査の過程で、同社の社員(現在は非常勤)が研究のデータ解析に加わっていたことがわかったが、論文に名前を公表しなかったり、非常勤講師だった大阪市立大の所属と表記したりしていた。

 また、この社員は、慈恵医大、滋賀医大、千葉大、名古屋大の4大学でも、大阪市立大の肩書で同様の研究に加わっていたことが、論文などから判明した。京都府立医大と慈恵医大、滋賀医大は今年3月以降、データ改ざんの有無などを大学内部で調べている。

 スイスのノバルティス本社は、この社員の行為が同社の行動規範に違反している可能性があるとして、第三者による調査を行っている。読売新聞の取材に対して同社は「調査中でコメントは差し控える」としている。

マイナンバー、効率化できるが情報漏えい不安も 13.5.18

(読売新聞 2013.5.18)

 国民全員に番号を割り振る共通番号制度関連法案(マイナンバー法案)が今国会で成立する見通しだ。

 成立すれば2016年1月から制度がスタートする。年金などの給付申請手続きが便利になるほか、行政機関の事務の効率化が期待されるが、個人情報の漏えいや別人によるなりすましの不安も消えない。

 ◇「不正起こり得る」

 「パソコンを持ち込んで高齢者の家を訪問し、番号カードを使って勝手にログインしたら……」

 「そうした不正は起こり得るという気がします」

 同法案を審議していた4月の衆議院内閣委員会。委員の質問に対し、内閣官房の審議官は制度悪用の危険性をこう認めた。

 制度がスタートすると、希望者はIC(集積回路)チップの入った「個人番号カード」を受け取り、インターネットで社会保障給付の手続きをしたり、自分の年金や介護保険料の納付状況をチェックしたりできるようになる見込みだ。

 便利な反面、個人情報の漏えいや悪用の懸念はぬぐえない。給付金の振込先の変更手続きもネットで可能にすることも検討中で、不正にログインされ、口座を付け替えられる恐れもある。

 ◇自治体ため息

 「どれだけ金と労力をかければ情報漏えいを防げるのか……」。愛媛県愛南町の情報システム担当者はため息をつく。

 同町では07年、5万5000人分の住民票コードなど個人情報がネット上に流出した。「同じ過ちは繰り返せない」と、制度スタートに合わせてシステムの一新を検討。約4億円の費用が見込まれる。

 政府は、同制度のシステム構築費は国と地方を合わせて2700億円と推定。運営費も年200億-300億円かかるが、地方の負担割合は決まっていない。

 管理を担うのは、財団法人「地方自治情報センター」が衣替えして来年4月に設立される「地方公共団体情報システム機構」だ。同センターは現在、住民基本台帳ネットワークを管理しているが、今年春には全国231自治体で住基ネットが使えなくなるトラブルが起きたばかり。この時、住基カードの交付ができなくなったさいたま市の担当者は「マイナンバーで同じことが起きたら影響が大きすぎる」と不安を口にする。


マイナンバー導入の各国、なりすまし被害に苦慮 13.5.18

(読売新聞 2013.5.18)

 日本のマイナンバーと類似の制度を既に導入した海外では、なりすまし被害の対応などに苦慮している。

 1936年から国民に9ケタの「社会保障番号」を割り振っている米国では、行政分野だけでなく、電気・ガスの契約から銀行口座開設、住宅購入まで、本人確認の手段として広く使われているが、番号が盗まれて勝手にローンを組まれたり、年金の受取口座を無断で開設されたりするトラブルが続出。連邦取引委員会には2012年、37万件の被害が届けられた。

 「住民登録番号」を導入している韓国では、登録番号や個人名がインターネット上に流出。番号を使って勝手に買い物をしたり、番号を通知することで公的機関の職員と信用させ、金をだまし取ったりする詐欺事件が多発した。昨年8月からネット上での登録番号の収集を禁じる法律が施行された。

薬転売、元薬剤師を告訴 抗がん剤など数千万、森町 13.5.15

(共同通信社 2013.5.15 )

 北海道森町の森町国民健康保険病院は15日までに、医薬品を無断で転売したとして、業務上横領容疑で病院の元薬剤師の男性(56)を森署に刑事告訴した。男性は抗がん剤の転売で89万円の利益を得ていたことが調査で判明。全体で数千万円の利益を不正に得ていたとみられる。

 男性は病院の調査に「1995年ごろから昨年10月までに本州の3業者に転売した。『薬を売りませんか』とダイレクトメールが届き、誘惑に負けた」と説明。得た利益は「生活費や株の購入に充てた」と話しているという。

 男性は全額を弁償する意思を示しているが、病院は調査を継続し、損害賠償請求訴訟を検討している。

 これまでの調査で、男性は約5100万円分の医薬品を病院の患者らに販売したとしていたが、実態がなかったことが分かっている。森町は、男性を今年2月28日付で懲戒免職処分としていた。


OTC薬のネット販売全面解禁に反対運動展開 13.5.15

(薬局新聞 2013.5.15)

OTC薬のネット販売全面解禁に反対運動展開 全国薬剤師会

 日本薬剤師会と都道府県薬剤師会は、OTC薬のインターネット販売の全面解禁阻止に向けた動きを加速させている。

 日薬は5月12日と13日に一般紙への意見広告を掲載し、専門家の適切な関与をアピールしている。日薬では「意見広告を皮切りに全国の薬剤師一人ひとりの意識の向上が重要だと考えている。販売の事前・事後に関わらず薬剤師が責任を持つスタンスで取組む必要がある」と強調し、積極的な声かけを中心とした適切な販売方法を会員に呼びかけている。

 また、長野県薬剤師会では5月10日の午前中、同県の主要交通機関や医療施設など12カ所を中心に、インターネット販売の全面解禁を阻止する署名活動を展開した。同様の動きは少しづつ広がっている模様で、6月の上旬まで全面解禁反対運動を促す姿勢にある。


手術中動脈傷つけ死亡、長崎市民病院で70代男性 13.5.15

(読売新聞 2013.5.15)

 長崎市立市民病院は14日、肺がんの手術中に右肺上部の動脈を傷つけ、市内の70歳代男性が亡くなる医療事故が起きたと発表した。今後、外部の専門家らを交えた病院内の事故調査委員会で術中を撮影した映像を分析し、医療ミスがなかったかどうか原因を調べる方針。

 発表によると、手術は13日に行われ、呼吸器外科の男性医師(53)と助手の医師(45)が執刀。肺に小さな穴を開け、管を通す手術で、切断した肺動脈を縫合する際、ハサミ状の医療器具が大動脈に接触し出血。輸血や心臓マッサージなどの処置を行ったが、約3時間後に死亡したという。

 記者会見した兼松隆之院長は「亡くなった患者や遺族に心から申し訳なく思う。原因を明らかにし再発防止に努めたい」と陳謝した。

5百億円罰金支払いで和解 第一三共系の印製薬会社 13.5.14

(共同通信社 2013.5.14)

 【ムンバイ共同】第一三共子会社のインド製薬大手ランバクシー・ラボラトリーズは13日、米司法省に対し、医薬品の製造過程で安全性に大きな違反があったとして、5億ドル(約508億円)の罰金を支払うことで合意した。14日、インドメディアが伝えた。

 ランバクシー側は、後発医薬品の認可申請などの際、米食品医薬品局(FDA)に虚偽のデータを提出したことを認めた。後発医薬品メーカーによる医薬品の安全性に絡む和解としては過去最高額規模という。第一三共は既に、2011年度に罰金の会計処理を済ませている。

 和解協議でランバクシー側は、米国の安全基準を満たしていないインド国内2工場で医薬品を製造したことも認めた。

妊産婦1000人、産科補償で2000万を返還請求 13.5.14

(m3.com 2013.5.14)

 多額の剰余金が出ており問題視されている産科医療補償制度について、分娩機関と妊産婦が共同で、同制度の運営組織である日本医療機能評価機構に掛金(保険金)の一部返還を求めることがこのほど明らかになった。独立行政法人国民生活センターに、和解の仲介申請を行う。5月12日までに申請者として集まったのは、東京都を中心に28の分娩機関と、1041人の妊産婦。掛金3万円のうち、妊産婦1人当たり2万円の返還を求める。現時点での返還請求総額は、2082万円。

 5月19日には都内で分娩機関への説明会を予定しており、さらに申請者は増える可能性がある。5月22日もしくは23日に、国民生活センターに申請する見通し。

 産科医療補償制度は、2009年1月にスタート。分娩に関連して発症した重度脳性麻痺の児に対し、3000万円補償する。補償申請は、満5歳の誕生日まで可能。補償対象は、年間500人から800人と想定して3万円の掛金を設定していたが、実際には初年度の2009年1年間に出生した児でも、2012年11月末月の時点で185人。

 2012年9月末の時点で、315億2500万円の収入保険料から、補償金、事務経費などを除いた「支払備金」(剰余金)は212億4900万円に上る。返還金を2万円としたのは、こうした収支と、約100万件という年間分娩数を踏まえた結果だ。社会保障審議会医療保険部会でも、この剰余金が問題視されている(『産科補償、「はっきり言って、あきれ返る」』を参照)。

 28の分娩機関は、全国の約300の分娩施設で組織する、産科中小施設研究会の世話人を務める、池下レディースチャイルドクリニック(東京都江戸川区)院長の池下久弥氏が、同研究会などのメンバーに声をかけて集った。池下氏は、「分娩機関自体は、経済的な不利益を被らないために、産科医療補償制度の剰余金問題を知らない施設も多い。今後、認知されるようになれば、申請者が増えるのではないか」と見る。今回の和解の仲介申請に当たっては、産科医療補償制度に加入する分娩機関が、同意が得られた妊産婦から委任を受けて進める。

 28の分娩機関の代理人を務めるのは、産科医療補償制度について、かねてから問題提起してきた弁護士の井上清成氏(『産科補償こそ、「第三者機関」で検証を』を参照)。国民生活センターへの「和解の仲介申請」という形を取った理由について、「妊産婦に掛金を返還するのが目的。妊産婦は一般人であり、消費者問題として捉えるのが妥当だと判断した」と説明する。国民生活センターへの「和解の仲介申請書」では、契約の際に現実とはかけ離れた推計補償者数を示し、また実際の補償者数も報告していないことが、消費者契約法第4条第1項1号の「不実告知」に当たる上、年200億円以上の「不当利得」があることを問題視している。

 「分娩機関は、重度脳性麻痺の子どもに対し、3000万円の補償をすることに賛同していた。しかし、多少ならともかく、年200億円以上の剰余金が出るのは明らかにおかしい。産科医療補償制度は5年をメドに見直すことになっており、その議論が続けられているが、現時点でも多額の剰余金が出ており、問題提起の意味もあり、和解の仲介申請を行うことにした」(井上氏)

 掛金の3万円は出産育児一時金に上乗せする形で、保険者から妊産婦に支払われている。2009年1月の制度開始に合わせ、一時金の額が引き上げられた経緯があり、「掛金は保険者に返還すべきもの」との意見も今後出る可能性がある。井上氏が「問題提起」と言ったのは、この点も踏まえたもの。裁判によらず、まず国民生活センターへの和解の仲介申請という手段を取ったのも、議論の広がりを想定した対応と言える。


がん発症リスク、糖尿病で高まる…学会の合同委 13.5.14

(読売新聞 2013.5.14)

 日本糖尿病学会と日本癌(がん)学会は14日、糖尿病が、がんの発症リスクを高める要因になると発表した。

 両学会は、野菜不足や過剰な飲酒、運動不足、喫煙は、糖尿病とがんに共通する危険因子だとし、適切な生活習慣を身につけるよう、呼び掛けている。

 両学会は合同委員会を設立し、2011年から糖尿病とがん発症との関係について検討を続けてきた。

 全国各地で実施された男性約15万人、女性約18万人分の健康状態の追跡調査のデータを解析。男性約2万人、女性約1万3000人が、がんになったが、糖尿病の人は、そうでない人に比べ、がんになるリスクが男女とも1・2倍高かった。

 中でも、大腸がんは1・4倍、肝臓がんと膵臓(すいぞう)がんは、それぞれ約2倍、高かった。子宮がんや膀胱(ぼうこう)がんも、糖尿病になるとがんのリスクが高まる傾向がみられた。一方、乳がん、前立腺がんは糖尿病との関連はみられなかった。

京都府立医大元教授、製薬社員関与隠蔽か バルサルタン 降圧剤論文撤回 13.5.14

(毎日新聞社 13.5.14)
 降圧剤「バルサルタン」の臨床試験を巡り、学術誌から論文を撤回された京都府立医大チームの責任者だった松原弘明・元教授(56)が、統計解析に関与した薬の販売元「ノバルティスファーマ」(東京)の社員の名を論文に出さないよう、部下に指示した疑いがあることが、関係者への取材で分かった。ノ社とのつながりを隠蔽(いんぺい)するためだった可能性がある。大学や日本循環器学会も同様の情報を把握しており、調査している。

 同チームの論文は、血圧を下げるだけでなく、脳卒中や狭心症も抑える効果もあると結論付け、薬のPRに大々的に利用されてきた。研究チームは、臨床試験の実施要綱をまとめた2008年の論文でノ社は試験の設計やデータ解析などに無関係だと記し、統計解析責任者2人のうち1人の所属を「大阪市立大」としていた。この人物は、同大の非常勤講師を兼務するノ社の社員だったが、社名は明かしていない。チームは09年に試験結果をまとめた論文を発表。これには社員の名は記載しなかった。

 関係者によると、この社員は試験の打ち合わせに出席、統計処理にも関わっていた。しかし松原元教授は部下に対し、論文に社員の名前を出さないよう指示し、社員の関与も他言しないことを求めたという。

 これらの点について、松原元教授は弁護士を通じて毎日新聞にコメントした。論文に社員名を出さないように指示したり、社員の関与を口止めしたりしたことは「ない」と否定した。

 09年の論文は、ノ社によるバルサルタン(商品名はディオバン)の宣伝に使われてきた。一方で、ノ社は松原元教授の研究室に5年間に1億円余の奨学寄付金を提供していたことも分かっており、研究自体の正当性やノ社の関与を疑問視する声が、関係する学会などで高まっている。

 バルサルタンの臨床試験は、東京慈恵会医大▽滋賀医大▽千葉大▽名古屋大でも実施。いずれもノ社の同じ社員が関与していた。

 ◇何度も販売元の宣伝に 臨床試験結果の公表前

 松原弘明元教授は、試験の成果を公表する前から薬の販売元「ノバルティスファーマ」(東京)の宣伝記事に繰り返し登場していた。

 ――ぜひ、有意差を示してビッグジャーナル(有名学術誌)に発表していただきたいものです。

 松原元教授「ええ、頑張ります」。

 ある医療雑誌の2008年12月号。ノ社提供のページに、松原元教授へのインタビューが載った。「有意差」とは同種の薬よりも優れた効果を指す。「バルサルタンのジャパン・エビデンス(日本発の科学的根拠)集積が期待されます」。記事は、バルサルタンに有利な結果が出ることを期待するインタビュアーの言葉で締めくくられた。

 そしてチームは09年、日本人の高血圧患者を対象にバルサルタンの心臓病予防効果などを示した論文を欧州心臓病学会誌に発表。これはバルサルタンの宣伝に繰り返し活用され、売り上げを支える要因の一つとなった。だが、今年2月、学会誌編集部は「重大な問題がある」と指摘して論文を撤回している。

 3月、ノ社の三谷宏幸社長(当時、現最高顧問)は取材に応じ、松原元教授の研究室に奨学寄付金を提供していたことを認めつつ、「薬メーカーが試験データを触ることはない。論文は先生のご自身の見識で発表された。それが我々に都合がいいデータであれば(宣伝に)使わせてもらう」と述べた。

[診療報酬] 厚労省医療課の「がん治療の費用対効果評価」等にレセ情報提供 13.5.13

厚生政策情報センター 2013.5.13)

 厚生労働省は5月8日に、第3回のレセプト情報等提供(平成25年2月8日~2月15日受付分)について発表した。

 レセプト(診療報酬明細書)は、医療機関が保険者(一次的には審査支払機関)に医療費の請求を行う際の明細書であるが、高齢者医療確保法において「医療費適正化のために用いる」ことが認められている(法第16条第2項)。また、レセプトは医療政策研究の重要資料でもあるため、厚生労働大臣が特別に認めた場合には、研究者等がレセプトデータを活用することも可能である。

 ただし、患者の機微に富んだ個人情報が含まれるため、安易なデータ活用は許されず、仮にデータを保有する厚労省が行う研究事業であっても、厚生労働大臣は有識者会議の意見(情報保護体制の整備状況や、研究内容の公益性など)を参考に、慎重に判断しなければいけない。

 今般、(1)厚労省健康局疾病対策課長および雇用均等・児童家庭局母子保健課長による「難病指定研究及び小児慢性特定疾患指定研究」(2)厚労省保険局医療課長による「ナショナルデータベース(レセプト情報のデータベース)を用いた癌治療の費用対効果評価」―の2つの研究に対し、レセプト情報を提供することが決定された(p1参照)。

資料1 P1~P1(0.1M)
http://www.m3.com/tools/Document/WIC/pdf/201305_3/2015_5_1.pdf


がん患者情報、国に一元化 病院に報告義務付け 同意なしで 治療向上へ自公民新法 13.3.27

(共同通信社 2013.3.27)

 がん治療の技術向上などを目的に、全国のがん患者に関する情報を国が一括管理することを盛り込んだ新法の素案の概要が27日、分かった。国内全ての病院に患者の氏名や治療部位、治療法などに関する情報の提供を義務付け、病院は患者の同意がなくても情報を報告できるとしているのが特徴だ。自民、公明、民主の3党は議員立法で今国会への提出を目指す。

 政府が昨年6月に発表した「がん対策推進基本計画」を受けた対応。がんの種類ごとの患者数や症状に関するデータ、生存率など幅広い情報を国が一元的に管理し、治療法の研究や薬の開発などに役立てる狙いがある。患者にとっても病院が選択しやすくなるなどの利点が考えられるが、個人情報保護への懸念もあり、3党はさらに内容を詰める。

 関係者によると、素案は(1)国内の全病院が治療したがん患者の氏名や生年月日、がんの部位、治療法などの情報を各都道府県に報告(2)各都道府県は国が国立がん研究センターに設けたデータベースにこれらの情報を提供―などとしている。

 厚生労働省によると、これまでは各都道府県が、同意を得た一部の病院から提供された患者情報を集約していたが、データ数が不十分な上、都道府県をまたがって治療を受けた患者の情報は追跡しきれないなど課題があった。

 早期の法制化を求めるNPO法人「地域がん登録全国協議会」(東京)は、国が主体となったがん情報の登録制度は既に米国や韓国、台湾などで実施されていると指摘。理事長で愛知県がんセンターの田中英夫(たなか・ひでお)部長は「集約したデータが公開されれば、国民が病院ごとの治療実績を把握し、病院選びの判断材料を得ることも可能になる」と利点を強調する。

 一方、患者の個人情報については「法律で適正な安全管理措置を講じれば、十分に漏えいを防げる」としている。


個人情報保護が課題 がんデータの集約 13.3.27

(共同通信社 2013.3.27)

 全国のがん患者に関する情報を国が集約する利点を、専門家らは「豊富なデータを基に病状の傾向や特徴を把握し、効果的な治療法を検討できる」と強調する。一方、法律で患者情報の提供を義務付けた場合、プライバシーをどう保護するかが課題に。利用目的を厳格化し、患者個人の特定を防ぐ対応が求められる。

 がん患者情報をめぐっては、各都道府県などが独自に病院から情報を集める「地域がん登録」などがある。だが患者が住む都道府県内での治療ケースしか確認できず、病院による届け出も任意なのが実情。さらに国が公表する罹患(りかん)率や5年生存率などのデータも、一部の府県の登録情報に基づいて算出されているのが現状という。

 このため医療関係者の間では、患者情報の提供を法律で規定し登録漏れをなくせば、発症率や治療法ごとの生存率の精度が上がるとの期待は高い。将来的には、患者側がデータベース化された情報を自らの病院探しなどに活用できる利点も考えられる。

 議員立法での提出が検討されている新法の素案によると、患者情報は全病院から都道府県を経由して国に提供される。一連の手続きの中で、データが外部流出したり、情報を悪用して患者個人に接触が図られたりするような事態を回避する方策が不可欠だ。

 ある医療関係者は「得られた情報を利用できる範囲を明確化すべきだ」と指摘。厚生労働省によると、情報漏えいが発覚した場合の罰則の必要性も議論されている。

細管挿入中、55歳女性急死 近大病院、府警捜査 13.3.27

(共同通信社 2013.3.27)
 近畿大病院(大阪府大阪狭山市)で12日、腹膜がんの女性患者(55)が点滴用のカテーテルと呼ばれる細い管を血管に差し込む手術中、容体が急変し、死亡していたことが26日、病院などへの取材で分かった。

 黒山署によると、12日に病院から届け出があり、14日に司法解剖したが死因は分からなかった。同署は鑑定して詳しい死因を調べるとともに、医師らから事情を聴き過失の有無を判断する。

 病院によると、担当したのは婦人科の30代の男性医師。26日の記者会見で「内部の調査委員会で検討した結果、明らかな医療過誤を指摘することはできず、一定の割合で起こり得る事故と捉えている」と説明、遺族にも理解を得たとしている。

 男性医師は12日午後1時半ごろ、点滴用の血管を確保するためカテーテルを右鎖骨下の静脈に挿入する手術を始めたが、同2時40分ごろ、女性が背中に痛みを訴え中止。3時すぎには意識がなくなり、心拍数も落ちたため蘇生措置を取ったが、4時40分に死亡した。

 女性は抗がん剤投与後の副作用を和らげるため、2月26日から入院していた。


背骨の矯正中に胃が破裂 13.3.27

(長崎新聞社 2013.3.27)

 背骨が曲がる側彎(そくわん)症の診断を受けた南島原市の女児=当時(10)=が、県立こども医療福祉センター(諫早市)のギプス矯正治療中に胃が破裂し、約3年後に死亡したのは同センターが適切な処置などを怠ったためとして、両親が県を相手に約5千万円の損害賠償を求める訴訟を長崎地裁に起こしたことが25日、分かった。提訴は2月22日付。

 訴状によると、女児は2007年7月、側彎症と診断され、同9月から同センターでギプス矯正の入院治療を開始。翌10月、外泊許可を受けギプスを巻いたまま自宅に戻った際、嘔吐(おうと)や腹部の痛みを訴えたため、長崎大学病院で緊急手術をした結果、胃破裂と腹膜炎と診断された。

 約2年10カ月にわたる闘病生活の末、10年8月に敗血症による急性呼吸不全で死亡した。両親は女児の胃が破裂したのはギプスと身体の間隔が狭く腹部を圧迫したのが原因と主張。同センターが適切な処置を怠り、治療に伴うリスクについての説明も不十分だったと指摘している。

 女児の父親は「病院側は(ギプス治療による胃破裂は)前例がないと言うが納得できない。こんなことが二度とないようにしてほしい」と話し、県は「係争中なのでコメントできない」としている。


根室市が医療ミス認め和解 遺族に9千万円賠償 13.3.27

(共同通信社 2013.3.27)
 北海道根室市の市立根室病院に入院していた市内の男性が死亡したのは、医師が心臓疾患に適切な治療を行わなかったのが原因として、遺族が根室市に損害賠償を求めた訴訟は27日までに、市が約9080万円を支払うことで釧路地裁(河本晶子(かわもと・あきこ)裁判長)で和解が成立した。地裁が2月に和解案を提示していた。

 訴状によると、2007年11月20日、男性医師は入院中の男性=当時(54)=の心臓カテーテル検査で、冠動脈が狭くなっている部分を発見。バルーン(風船)で血管を広げる治療を行った際に出血した。男性は同21日、心臓の周囲に血液がたまって圧迫される「心タンポナーデ」となり死亡した。

 遺族側は、医師が血管の幅に合わないバルーンで治療したことや、出血後も適切な止血処置を行わなかったと主張。約8330万円の損害賠償を請求していた。損害遅延金が加わり、和解金が請求額を上回った。


わいせつ容疑で歯科医逮捕 13.3.27

(共同通信社 2013.3.27)

 警視庁町田署は26日までに、強制わいせつと強盗の疑いで、横浜市の歯科医師小栗浩一(おぐり・こういち)容疑者(44)を逮捕した。

 逮捕容疑は24日夕、東京都町田市のJR町田駅前の商業施設で、10代の女性を「おまえ万引しただろ」などと脅し、非常階段でわいせつな行為をしたほか、コンビニで使える女性のポイントカードを奪った疑い。

 町田署によると、小栗容疑者はその後、「カードを返すから、今日の夜にまた会おう」と女性に場所を指定したが、女性が町田署に通報し、署員が待ち伏せて逮捕した。


カテーテル挿入後、急死 近大病院のがん患者 13.3.26

(共同通信社 2013.3.26)

 近畿大医学部付属病院(大阪府大阪狭山市)で12日、入院しカテーテルを挿入していた腹膜がんの患者の容体が急変し、死亡していたことが26日、病院への取材で分かった。内部調査委員会で原因を調べている。

 近畿大病院によると、12日午後3時ごろ、医師がその後の治療に備えてカテーテルを挿入していた際に容体が急変、蘇生措置をしたが、同日午後4時40分に死亡した。

 院内で認定を受けた経験豊富な医師が担当し、超音波やエックス線の検査装置を使っていた。病院は「現状では明らかな過誤を指摘することはできない」としている。


申告漏れ全額取り消し 武田薬品、不服審判で 13.3.26

(共同通信社 2013.3.26)

 武田薬品工業(大阪市)が大阪国税局から移転価格税制に基づき指摘された申告漏れ額1223億円のうち、約8割が取り消された問題で、同社は25日、全額取り消しが認められたと発表した。

 武田薬品によると、大阪国税不服審判所が3月18日付の裁決で取り消しを認めた。利子に当たる加算金と地方税を含めて152億円が還付される見込み。

 同社は米国の合弁会社との取引をめぐり、合弁会社側に所得を移したとして、国税局から2005年3月期までの6年間で1223億円の申告漏れを指摘された。

 同社は追徴課税された571億円を全額納付後に国税局に異議を申し立てたところ一部が認められ、指摘された申告漏れのうち約8割の977億円が取り消された。昨年5月に全額の取り消しを求めて大阪国税不服審判所に審査請求していた。


子宮頸がん、ワクチン被害者連絡会が発足 13.3.26

(毎日新聞社 2013.3.26)

 子宮頸(けい)がん予防ワクチンを接種した後、歩行困難などの重い副反応が出る例が相次ぎ、被害を訴える母親らが25日「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」を発足させた。子宮頸がんワクチンの予防接種は、関連法の成立を経て国の定期接種に組み込まれる見通しとなっており、連絡会は国に対し、副反応症状の実態の公表や、被害者の救済制度の充実などを訴えていく考えだ。

 同会の池田利恵事務局長(東京都日野市議)は記者会見で「子宮頸がんワクチンが本当にがんを減らす効果があるのか疑問。救済制度も不十分だ」と指摘した。同連絡会事務局は042・594・1337。

■ワクチン被害の拡大防止へ 子宮頸がん、連絡会設立 13.3.26
(共同通信社 2013.3.26)

 子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に重い副反応が出た娘を持つ親と支援者の約40人が25日、「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」を設立した。

 被害の拡大防止を目的とし、情報を共有するとともに、副反応の問題を広く知ってもらい被害者救済を訴えていく。

 東京都内で同日開かれた記者会見には5人の親が出席し、娘の症状を語った。体の激痛やけいれん、せきなどのため、学校に行けないケースや、病院で原因が分からず、精神科に案内されることもあったという。

 中学3年の娘が重い副反応を抱えているという東京都内の女性は「娘を回復させるため国などに情報提供を求めたい。治療のサポート態勢も整備してほしい」と訴えた。

 問い合わせは連絡会事務局、電話042(594)1337。


18歳未満、慎重投与を 「新世代」抗うつ薬 厚労省、警告指示へ 13.3.25

(共同通信社 2013.3.25)

 1999年以降に国内で承認された抗うつ薬は、18歳未満に投与した際の効果に疑問があるとして、厚生労働省が「投与は慎重に検討すること」との内容を添付文書の「警告」欄に記載するよう、製薬会社に近く指示する方針を固めたことが22日、分かった。

 海外の試験で、18歳未満のうつ病患者に薬の有効性を確認できなかったのが主な理由。抗うつ薬には成長期の子どもを中心に、精神状態が不安定になり自殺の衝動が引き起こされる場合があるなど、副作用の問題が指摘されており、安易な処方を防ぐ狙いがある。

 一方で、現場の医師には「薬の効き目には個人差がある」として、投与の必要性を訴える意見もある。患者が急に服用をやめると、症状が悪化する危険もあり、関係学会は、不安がある場合は医師に相談することなどを呼び掛ける。

 対象は、99年以降に国内で承認された「新世代」と呼ばれる抗うつ薬7種類のうち、エスシタロプラムシュウ酸塩、塩酸セルトラリン、デュロキセチン塩酸塩、ミルタザピン、フルボキサミンマレイン酸塩、ミルナシプラン塩酸塩(いずれも一般名)の6種類。残るパロキセチン塩酸塩水和物は2006年以降、同様の記載がされている。

 これらの薬は製造販売の承認前に、大人を対象にした試験で有効性や安全性を確認。一方で低年齢層に絞った試験はしておらず、投与すべきかどうかは医師の判断に委ねられている。

 厚労省と独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」が海外の複数の試験結果を調査。本物と偽物の薬を明かさずに、投与したグループを比較すると、症状の改善度合いにほとんど差がなかった。偽物の薬を投与したケースでは、薬が本物で効果があると信じ込み、症状が改善する「プラセボ効果」が反映されている。

 「新世代」を含む抗うつ薬全般については、24歳以下の患者が自殺衝動を起こすリスクが高まるとの海外の研究データがある。厚労省は06年、注意を促すために、研究内容を薬の添付文書に加えるよう指示した。

※抗うつ薬

 向精神薬の一種。脳内のセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質に作用し、主にうつ病患者に使われる。古くから用いられているタイプは口の渇きやふらつきなどの副作用が強い。日本で1999年以降に承認された「新世代」の薬は「SSRI」などと呼ばれ、副作用が比較的弱いとして症状が軽い患者にも投与が広がった。しかし、欧米の研究で若年層に対する自殺のリスクが判明。一部の医師による過剰投与も問題となり、厚生労働省や関係学会は適正な使用を呼び掛けている。


風邪は7割自己負担 医療費抑制へ民間提案 13.3.25

(共同通信社 2013.3.25)

 政府の産業競争力会議は22日、健康・医療分野の成長戦略を議論するテーマ別会合を開いた。民間議員は、原則として3割としている医療費の自己負担割合に関し、疾病の種類に応じて差をつける仕組みを提案。「風邪なら7割負担」などとすることを求めた。

 高齢者の負担も引き上げるよう促し、社会保障費用の膨張に歯止めをかける必要性を強調した内容だ。

 民間議員が会合で示した提言書によると、医療費の自己負担の最低限度額を設定し、治療費が少額な場合は患者の全額支払いとすることを提案。がんなど高額な医療費負担を軽減するための窓口負担の上限額も、引き上げの検討を求めた。

 1割に凍結されている70~74歳の患者の窓口負担は2割に戻し、75歳以上も2割負担への引き上げを検討。介護保険の自己負担率は重度に応じた区分が必要とした。予防に重点を置き、「ワンコイン検診」のような安価で手軽な手段を普及することも掲げた。

 成長分野とされる再生医療の実用化に向けては、税制優遇などで手厚く支援する「ポストスーパー特区」を創設。学校跡地やニュータウンの空き室などを活用した高齢者向け賃貸住宅の整備なども盛り込んだ。健康な高齢者による有償ボランティアの普及など、介護現場での人材確保策も提案している。


社保病院9割ずさん会計 45カ所、計30億円判明 厚労省が調査結果公表 13.3.25

(共同通信社 2013.3.25)

 厚生労働省は22日、全国に49ある社会保険病院のうち9割を超える45カ所で、2011年度決算の修正が必要なずさん会計処理が少なくとも計30億6千万円あったとの調査結果を発表した。地域医療の基幹となっている病院も多く、再発防止策を講じて患者の信頼を回復することが急務となる。

 45病院のうち、ずさん会計の額が最も大きかったのは、社会保険徳山中央病院(山口県周南市)の18億8千万円。次いで星ケ丘厚生年金病院(大阪府枚方市)の2億4千万円だった。病院を経営する社団法人・全国社会保険協会連合会(全社連)は「病院運営に支障はなく、地域住民に心配をかけることはない」としている。

 田村憲久厚労相は全社連に対し「国民に分かる形で責任を取ってほしい」と運営体制の刷新を求めたが、全社連の伊藤雅治(いとう・まさはる)理事長は記者会見で「私自身の単なる処分ではなく、総合的な判断をしないといけない」と述べるにとどまった。

 ずさん会計の具体例では、減価償却する際の償却年数の誤りや、未収金の過小・過大計上など、基礎的な事務処理のミスが目立った。臨床試験(治験)の実施や看護実習生の受け入れに伴う受託料収入を簿外で処理したケースもあった。

 昨年12月の中間調査では計約5億円の使途不明金があるとしていたが、その後の全社連からの報告では、使途が解明され、不明金は計約5400万円とされた。

 厚労省は、独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」(RFO)とともに、昨年9月からことし2月にかけて病院の財務調査を実施していた。調査をきっかけに、名古屋市の社会保険中京病院では職員の現金着服が発覚し逮捕、起訴されている。

 社会保険病院は、健康保険の保険料を財源に設置された公的病院。RFOが土地・建物を保有し、病院経営を全社連に委託している。

※社会保険病院

 戦後の医療機関不足を補うため、中小企業の会社員らが加入する旧政府管掌健康保険(現・協会けんぽ)の保険料を財源として、国が各地に整備した公的病院。経営は全国社会保険協会連合会が受託し、売却決定済みの2病院を除き全国に49病院ある。土地や建物は、旧社会保険庁から譲渡を受けた独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」が保有している。


チューブ誤挿入、死亡か 宮城、業過致死容疑で捜査 13.3.25

(共同通信社 2013.3.25)

 仙台市の脳神経疾患専門病院で昨年10月、入院していた70代の男性が胃に栄養剤を入れるチューブを気管に誤って挿入された後に肺炎で死亡し、宮城県警捜査1課が業務上過失致死容疑で捜査していることが23日、捜査関係者らへの取材で分かった。

 チューブは自力で食事ができない人に、鼻からのどを通して胃に挿入する。県警はチューブの誤挿入が死亡につながった疑いがあるとみて、担当だった看護師らから事情を聴いている。

捜査関係者らによると、男性は脳疾患の手術を受けて集中治療室(ICU)に入っていたが、昨年10月17日に肺炎で亡くなった。病院側は同日、異状死として県警に届けた。病院側は取材に「警察が捜査中でコメントできない」としている。

 2005年に千葉県、06年には新潟市の病院で、いずれも栄養剤のチューブを、誤って気管支や肺に挿入された患者が死亡しているほか、06年には福岡市の病院で、逆に気管に入れるべきチューブを食道に誤って挿入し、患者が死亡するなど、各地で同様の事故が起きている。

 医療関係者によると、チューブがきちんと挿入されているかどうかは、胃液の吸引や気泡の音を確認するなど複数の方法があり、使用するチューブの種類などに合わせてマニュアルを作成している病院もあるという。


ミス多発、診療報酬8500万円返還…福井県立病院 13.3.12

(読売新聞 2013.3.12)

 福井県立病院(福井市四ツ井)が2010年9月から1年間に行った診療報酬の請求手続きにミスがあったとして、県は11日、約8500万円を健康保険組合などに自主返還することを明らかにした。

 県によると、ミスは11年9月に厚生労働省と県の調査で発覚し、この日の県議会厚生委員会で報告した。

 ミスの内容は、リハビリや麻酔などを行った際の書類の記載漏れや、診断病名の誤記など37種類、計約3万6000件。不適切な受給分のうち、約8230万円を健康保険組合など434団体に、残る約270万円は患者約3200人に返還するという。

 県立病院を所管する県地域医療課は「多額の返還につながった事実を重く受け止めている。ミスの発覚後、医師ら全職員を対象に診療報酬請求に関する研修会を開いており、周知徹底を図りたい」としている。


TPP会議、一時騒然 自民幹部が怒鳴り合い 13.3.12

(共同通信社 2013.3.12)

 自民党が11日、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題を話し合うために開いた会議で、幹部議員がお互いをにらみつけながら怒鳴り合い、一時騒然となる場面があった。

 「騒動」があったのはTPP対策委員会(西川公也委員長)の作業部会と、厚生労働部会(福岡資麿部会長)の合同会議。冒頭、慎重派の尾辻秀久前参院副議長が西川氏に「なぜこんなに急な会議を開いたのか説明してほしい」と食ってかかると、西川氏は「安倍晋三首相がそろそろ決断するかもしれない。とにかく検討しておこうということで始めた」と反論した。

 「威張るな」「静かにしろ」などと激しい応酬を繰り返す2人を周囲の議員が「冷静に」ととりなし、福岡氏があいさつを始めてようやく口論を打ち切った。

 この日は公的医療保険や食の安全などへの影響について議論。「国民皆保険を維持すべきだ」などの意見が相次いだ。


4種ワクチン接種後に死亡 男児、他ワクチンも同時 13.3.12

(共同通信社 2013.3.12)

 厚生労働省は11日、昨年11月に定期接種が始まった不活化ポリオ(小児まひ)、ジフテリア、百日ぜき、破傷風の4種混合ワクチンと他のワクチンの同時接種を受けた男児の死亡例が報告されたと明らかにした。4種混合ワクチン接種後の死亡例としては初めて。同省が詳しい経過など情報収集を進める。

 厚労省によると、死亡したのは生後6カ月未満の男児。今月上旬に4種混合ワクチンと小児用肺炎球菌ワクチン、インフルエンザ菌b型ワクチン、ロタワクチンの同時接種を受けた後、死亡した。医療機関から6日に報告があったという。

 4種混合ワクチンは従来のジフテリア、百日ぜき、破傷風の3種混合に不活化ポリオを加えたもので、標準で生後3カ月から1歳までに3回と、3回目の接種後1年~1年半の間にさらに1回追加接種する。


女子中学生、子宮頸がん予防接種で副作用 13.3.11

(読売新聞 2013.3.11)

 東京都杉並区が無料で行っている子宮頸がん予防ワクチンの接種で、区内の女子中学生が2011年10月に接種後、手足のしびれなどの症状が出ていたことがわかった。

 1年以上通学できないほど重い副作用の症状だったことから、区はワクチン接種が原因として医療費などの費用を支給する。

 生徒の母親によると、生徒は中学1年の時に、子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス」を区内の診療所で接種。直後に、発熱や嘔吐のほか、腕、肩、背中のしびれの症状が出て、翌日から10日間入院した。

 退院後も足のしびれで車いすを使う状態が続き、今年1月までほとんど通学できない状態だったという。その後、症状が快方に向かっているため、通学を再開したが、関節痛と頭痛は続いているという。

 厚生労働省によると、同ワクチンは2009年12月から使用が始まった。12年8月末までの間に、失神や発熱など956件の副作用が医療機関から報告されており、死亡例も1件あるという。

 区の担当者は「任意の予防接種とはいえ、区も国も勧めている予防接種で副作用があった。お見舞いを申し上げ、誠心誠意対応したい」としている。

肉や乳製品ほどほどに 脳卒中減り心筋梗塞は増加 13.3.11

(共同通信社 2013.3.11)

 肉や乳製品に多く含まれる飽和脂肪酸を多く取ると、脳卒中のリスクが下がる一方、心筋梗塞を発症しやすくなるとの研究結果を国立がん研究センターなどの研究チームがまとめ、11日公表した。チームは「肉や乳製品は、ほどほどに食べるのが良い」としている。

 チームは、国内の約8万2千人を追跡調査した。摂取量により5グループに分けて分析、摂取量が最も多いグループ(1日当たり21・6~96・7グラム)は最も少ないグループ(同0・8~11・7グラム)と比べ、脳出血や脳梗塞を含む脳卒中全体の発症率が23%低かった。

 脳卒中のうち、脳の奥にある細い血管から出血し、日本人に多い「深部脳出血」は、摂取量の増加に伴い発症率が下がる傾向が鮮明だった。飽和脂肪酸を取ると、血管を強くするのに必要なコレステロールが増えることが関係するらしい。

 一方、心筋梗塞は、摂取量が最多のグループは最少のグループと比べ発症率が39%高かった。

 総合的にみて、いずれの病気にもなりにくいのは、1日に20グラム前後取る場合で、牛乳を毎日コップ1杯(200グラム)飲み、肉を2日に1回(1回150グラム)程度食べるのに相当するという。研究チームは肉の種類は示していない。

 データを分析した山岸良匡(やまぎし・かずまさ)・筑波大講師は「飽和脂肪酸は、過去には摂取を抑えるべきだとされた一方、無害だとの説もあったが、取りすぎても少なすぎても良くないことが確認された」と話している。


山梨でPM2.5基準値超4地点 13.3.9

(読売新聞 2013.3.9)

県「危険な状態ではない」

 山梨県内の微小粒子状物質(PM2・5)の濃度が7日、大気1立方メートル当たり1日平均で30・6-41・3マイクロ・グラムを記録し、観測5地点のうち4地点で国の環境基準(35マイクロ・グラム)を上回ったことが8日、わかった。

 県内での基準超えは今年初。県は「外出などに注意が必要な濃度より低く、危険な状態ではない。冷静な対応を」と呼びかけている。

 県内では、5地点で1時間ごとに濃度を測定している。7日に測定した1日平均値は、県衛生環境研究所(甲府市富士見)で41・3マイクロ・グラム、甲府市中央卸売市場(同市国母)で40・6マイクロ・グラム、県庁(同市丸の内)で39・6マイクロ・グラム、東山梨合同庁舎(甲州市塩山上塩後)で37・9マイクロ・グラムとなり、4地点で環境基準を超えた。北都留合同庁舎(大月市大月町花咲)は30・6マイクロ・グラムだった。

 環境省の専門家会合は、外出などを控えるよう呼びかける濃度を、1立方メートル当たり1日平均70マイクロ・グラム超とする暫定指針を決めている。県大気水質保全課は「県内でも年に数回は環境基準を超えている。暫定指針を超えた場合、県が市町村を通じて注意喚起を行う」とし、「心配な場合は、高性能の防じんマスクなどで対策を」とアドバイスしていた。

 県は11日、暫定指針を超えた場合の連絡体制の確認などのため、市町村の担当者を集めた緊急時対策会議を行う。PM2・5の測定値は、県のホームページで確認できる。

対応マスク取り扱い始まる

 PM2・5の濃度上昇を受け、甲府市上町の山梨英和幼稚園では、大気1立方メートル当たりの1時間値が朝の段階で35マイクロ・グラムを超えた場合、長時間の園外活動を中止することを7日夕、決めた。8日朝、職員らが県のホームページで濃度を確認したところ、県庁などでの1時間値が35マイクロ・グラム未満だったため、散歩を予定通り行った。

 同幼稚園では、熊本県の学校がPM2・5の影響を考慮して野外活動を自粛したことを踏まえて対応を決定。値が高い日は、屋外での活動をホール内で行うという。大木正人園長は「子どもたちが安心して遊べるよう配慮したい」と話した。

 一方、甲府市中小河原のホームセンター「くろがねや住吉店」では、3週間ほど前からPM2・5対応マスクの取り扱いを始めた。8日現在、2種類を販売しており、「PM2・5対応のマスクはあるか」という問い合わせが数件あった。

 対応マスクを購入した同市上今井町、自営業小口忠宏さん(43)は「元々花粉症だが、症状が悪化したら困る。できるだけマスクを着けたい」と話した。

 同店は、県内のPM2・5の濃度の推移やマスクの売れ行きを見て、仕入れを増やす検討もするという。

公的医療保険は対象外 TPP、食品安全も 首相、参院本会議 13.3.6

(共同通信社 2013.3.6)

 安倍晋三首相は6日午前の参院本会議で、貿易や投資で高いレベルの自由化を目指す環太平洋連携協定(TPP)交渉に関し「これまでに得られた情報で、公的医療保険制度の在り方そのものは議論の対象となっていないと承知している」と明言した。「個別の食品安全基準の緩和も議論されていない」とも明らかにした。

 国民皆保険制度について「日本の医療制度の根幹であり、揺るがすことは絶対にない」と強調した。食品安全基準に関しても「国際基準や科学的知見を踏まえ、適切に対応する」との立場を力説した。

 医療界などから、TPPに参加すると公的医療保険適用の診療と適用外の自由診療を併用する「混合診療」が全面解禁され、国民皆保険制度が崩壊するとの懸念が示されている。食品安全では、農家や消費者団体などが残留農薬基準や遺伝子組み換え食品の表示義務の緩和につながると指摘。自民党は、国民皆保険制度と食品の安全基準の堅持を衆院選公約に盛り込み、2月にあらためて党方針として確認している。

 首相は、自由貿易推進の立場から「積極的に国際的なルールづくりに参加していくことが重要だ」と指摘した上で、TPP交渉参加の是非は「国益にかなう最善の道を求めていく」とした。参加した場合は「状況の進展に応じて、しっかりと国民に情報提供していく」と約束した。

 参院は首相の施政方針演説など政府4演説に対する2日目の各党代表質問を実施し、公明党の山口那津男氏への答弁。




核なき世界への出発点に 被爆国に特別の責務 「核の非人道性に関する国際会議」 13.3.6

(共同通信社 2013.3.6)

 核兵器の使用が人体や自然環境、国際経済にもたらす壊滅的影響を議論するため、ノルウェー政府主催の「核兵器の非人道性に関する国際会議」が3月4、5の両日、オスロ市内で開かれ、120カ国以上が参加した。核兵器の人道上の問題点に焦点を当てた多国間会議の開催は初めてだ。

 核戦争で生じた大量の粉じんが日光を遮ることで気温が低下、降水量も減って食料生産が10年間落ち込み、10億人が餓死する「核の飢餓」。原爆投下時の地獄絵を体験した被爆者が心的外傷後ストレス障害(PTSD)に陥り、生きる気力も失い自殺してしまう事例。放射線の遺伝的影響をめぐる調査が今も続く中、がん発症を懸念する被爆2世が抱える不安―。

 会議では科学的証拠に基づく具体的で、説得力ある議論が展開された。

 「私が45年も被爆者の研究をしてきたのは、影響が続いていたという点に尽きる。白血病の影響が1970年代で終わったと思っていたら、実は終わっていなかった。それこそが根源的問題だ」

 日本政府代表として医学的見地から核兵器の非人道性を報告した朝長万左男(ともなが・まさお)・日赤長崎原爆病院院長の言葉だ。朝長氏は壇上から、68年前に受けた遺伝子の損傷が被爆者を生涯苦しめる実態を説明し、核兵器を「遺伝子標的兵器」と指弾した。

 核爆発後は負傷者の救護が困難を極め、放射線量が高い爆心地周辺では救援活動が不可能なこと、さらにそんな状況を招来すること自体が国際人道法の原則にもとる点についても議論があった。

 ノルウェー政府で放射線防護対策を取り仕切るオロ・ハービッツ博士は取材に「われわれには原発事故に対処する能力はあるが、核兵器使用への備えはない。われわれの能力を超えている」と語り、核兵器の内包する"救護の不可能性"という非人道性に言及した。

 今回、核拡散防止条約(NPT)体制下で認められた米国など5核保有国と、NPT枠外の核保有国、北朝鮮とイスラエルは参加しなかった。

 また核兵器の開発・保有・使用を禁じる核兵器禁止条約を求める声が非核保有国から相次ぐ中、米国の「核の傘」の提供を受ける北大西洋条約機構(NATO)諸国はこの点で沈黙を保った。

 会議で明示された核使用が招く壊滅的で非人道的な帰結。その事実に七つの核保有国が向き合わなかったことで逆に、核兵器禁止条約へ向けた動きが一部の国の間で胎動する可能性が出てきた。今回の会議を「核なき世界」への新たな出発点にしなければならない。

 放射性物質の大量放出を招いた東京電力福島第1原発事故から2年。2度の原爆投下に遭った被爆国日本は、原子力民生利用が引き起こした核事故の体験者でもあり、核爆発のもたらす非人道的側面を世界に訴え続ける必要がある。そして、核ゼロへ向けて主体的に行動する特別の責務を人類全体に対して負っている。(オスロ)

胎盤、許可なく薬に 大分の89歳病院医師 13.3.6

(共同通信社 2013.3.6)

 大分岡病院(大分市)は5日、理事の男性医師(89)が2011年、提供者の許可なしに胎盤を使って軟こうや内服薬などをつくり、患者90人に投与していたと明らかにした。病院によると、健康被害はなかった。

 病院は「院内の倫理委員会にも諮っておらず、倫理的に問題があった」としている。ただ大分県医療政策課によると、許可を得ずに医師が胎盤を治療に使っても違法性はないという。

 病院によると、男性医師はがん患者や高齢者の慢性的な痛みを軽減するペインコントロールが専門。11年6月、関連病院の大分東部病院(大分市)で出産した女性1人の胎盤を本人の同意なしに入手。加熱して炭化させ、患者の鎮痛や保湿効果を高めるため、軟こうや内服薬、皮下注射として、同月~10月、90人に計111回投与した。

 患者には胎盤を使った薬を使うことを口頭でしか説明しておらず、病院は「文書で説明しなかったのも問題」としている。



徳田議員の意向に従わず病院解雇は「無効」判決 13.3.5

(読売新聞 2013.3.5)

 自民党の徳田毅衆院議員(41)が常務理事を務める医療法人徳洲会の系列病院を解雇された元事務局長の男性(66)が、解雇は不当だとして損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(西村康一郎裁判官)は5日、「議員が開いた政治集会に参加しなかったことを理由とした解雇は無効」として、法人側に約850万円の賠償を命じる判決を言い渡した。

 判決によると、法人は2011年12月、「病院業務をおろそかにした」などの理由で男性を懲戒解雇した。これに対し、男性は、徳田議員を中心に開催された環太平洋経済連携協定(TPP)反対集会に参加しなかったことが解雇の理由だったと主張した。

 判決も、解雇直前、徳洲会グループの幹部が男性に会い、集会への不参加を非難していたことなどから、「議員の意向に従わなかったことが真の解雇理由で、合理性を欠いている」と判断した。




(福岡)向精神薬処方、生活保護受給者678人が不適切 13.3.5

(読売新聞 2013.3.5)

 生活保護受給者に対する向精神薬の処方を巡り、県が、福岡、北九州、久留米3市を除く県内の実態を2010-12年度に調べたところ、複数の医療機関から処方を受けた受給者のうち、約8割が不適切な処方だったことがわかった。県は、医療機関の協力を得ながら改善を進めたいとしている。

 大阪府で向精神薬の不正転売事件が発覚したことを受け、厚生労働省が全国に調査を要請。県は、10年度に睡眠薬など約80種類、11、12年度は328種類に対象を拡大し、3市を除く医療機関から送られてくる診療報酬明細書について、医学的な観点から処方の適否をチェックした。

 その結果、10年度は重複処方を受けた37人のうち、不適切だったのは30人(81%)。11年度は422人中328人(78%)、12年度は421人中320人(76%)に上った。3か年度の合計は、880人のうち678人(77%)だった。

 県は昨年10月、県内8福祉事務所に、薬剤師数人を「適正受診指導員」として配置。不適切な処方が確認された場合、ケースワーカーや医療機関に指導や助言を行っている。

 複数処方を受ける受給者について、県は「薬を多くもらうことで精神のバランスを保とうとする傾向がある」と分析。そのためケースワーカーが適切な受診を求めると、落ち込んだり、反抗したりすることも少なくなく、対応に苦慮しているのが実情だという。

 県の昨年度の生活保護費は約912億3200万円。うち医療扶助費は約6割を占める。福岡市の実態調査でも、同じ3か年度に複数の医療機関から処方を受けた受給者のうち、約85%が不適切な処方だったことが判明した。




25病院に36回搬送断られる 埼玉の独居男性、死亡 13.3.5

(共同通信社 2013.3.5)

 埼玉県久喜市で1月、呼吸困難を訴え119番した男性(75)が、25病院から計36回救急搬送の受け入れを断られていたことが5日、久喜地区消防組合消防本部への取材で分かった。男性は通報の2時間半後に搬送先が決まったが、到着した病院で間もなく死亡が確認された。

 消防本部によると、男性は一人暮らしで、1月6日午後11時25分ごろ、「呼吸が苦しい」と自ら通報。自宅に到着した救急隊員が、各病院に受け入れが可能か照会すると「処置困難」や「ベッドが満床」などの理由で断られた。

 翌7日午前1時50分ごろ、37回目の連絡で、茨城県内の病院への搬送が決まり約20分後に到着した際、男性は心肺停止状態で、その後死亡が確認された。男性は当初、受け答えが可能だったが、次第に容体が悪化、救急隊員が心臓マッサージなどをしていた。

 消防本部は「正月明けの日曜日で当直医が不足していたのかもしれない。現場の隊員だけでなく、本部の指令課とも連携し、早期に病院が確保できるようにしたい」としている。

 総務省消防庁によると、重症患者の救急搬送で医療機関から20回以上受け入れを拒否されたケースは、2011年は47件。調査を始めた08年以降では、最高で08年に東京都の48回があるという。

 久喜市は、今回のケース後に市内の病院に救急患者の受け入れに努めてもらうよう要請した。



厚労省、医師の勤務環境改善に向け専門組織 13.3.5

(m3.com 2013.3.5)

 厚生労働省は4月、医師、看護師、薬剤師など医療従事者の勤務環境を改善するための専門組織「医療勤務環境改善推進室(仮称)」を設置する。3月4日開催の全国医政関係主管課長会議で、医政局総務課長の吉岡てつを氏が明らかにした。医療従事者の勤務環境改善に取り組む医療機関に対して、人材の確保や労働環境の改善にかかわる助言、先進事例の情報提供などを行う組織で、厚労省の医療と労働の組織枠を超えて「省を挙げて取り組みを進めていく」(吉岡氏)としている。

 新たな専門組織は総務課に設置する。総務課の医療安全推進室の職員を中心に、医政局看護課や労働基準局労働条件政策課などの職員が併任する方向で室長や人員数を調整している。室が推進する事業の予算は付けず、厚労省の来年度予算案で要求している基金や補助金を活用して、各都道府県による地域病院の雇用改善につながる施策を支援する。具体的には、失業者雇用を条件に事業内容を企画できる基金「重点分野雇用創造事業」を活用して地域の病院の雇用改善事業を企画したり、「医療提供体制推進事業費補助金」を用いてアドバイザー派遣などの経費や相談窓口経費について定額補助することなどを想定している。

 そのほか、2014年度から全国の医療機関での活用を想定している「雇用改善のマネジメントシステム」の構築も目指す。「雇用改善のマネジメントシステム」は、医療機関の責任者や医療従事者による協議で現状評価と課題の抽出、改善方針の決定を実施するためのシステムで、2013年度には同システムを活用するためのガイドラインを策定する。

 医療分野の勤務環境改善に向けて、厚労省は昨年末、省内にプロジェクトチームを設置し、その報告書を2月8日に公表(資料は厚労省のホームページ)。医療機関の責任者と医療従事者が自主的に勤務環境改善を促進するシステムを構築するとともに、行政が医療機関の取り組みを支援する方針を示していた。

医師確保のセンター設置の努力義務規定など創設

 全国医政関係主管課長会議では、「医療法等の一部を改正する法律案(仮称)」の概要も説明された。同改正法案には、医療機関が病床の医療機能を都道府県知事に報告する仕組みの創設、都道府県の医療計画における在宅医療の達成目標や医療連携体制の記載の義務付け、医師確保支援などを行う「地域医療支援センター(仮称)」の設置の努力義務規定創設などが盛り込まれている。



クロレラ、油症治療に効果 ダイオキシン類を排せつ 13.3.4

(共同通信社 2013.3.4)

 微細な緑藻類「クロレラ」の市販粒剤がカネミ油症患者の体内に残るダイオキシン類の排せつに効果があることが、福岡工業大環境科学研究所の長山淳哉(ながやま・じゅんや)客員研究員(環境分子疫学)らの研究で分かった。2日に同研究所の発表会で報告する。

 福岡と長崎の油症患者37人を2グループに分け、市販のクロレラ粒剤(0・2グラム)を毎食後10粒ずつ8カ月間飲んでもらった。その結果、血中のダイオキシン類の濃度が1グループで平均約7%、もう一方のグループで平均約20%減少したことが判明。油症の主な症状である全身の倦怠(けんたい)感や手足のしびれなどの自覚症状も改善した。

 長山研究員によると、クロレラに多く含まれる葉緑素がダイオキシン類を覆い、腸での吸収を抑制し、そのまま排せつさせるとみられる。

 長山研究員は厚生労働省の全国油症治療研究班の一員として油症治療に携わっており「30年以上研究してきたが、今回ほど大幅にダイオキシン類の血中濃度を下げた食品はなかった。治療法として大いに期待できる」と話している。




山林の生物、セシウム蓄積 福島、カエル6700ベクレル 食物連鎖の上位に高濃度 13.3.4

(共同通信社 2013.3.4)

 東京電力福島第1原発から西に約40キロ離れた福島県二本松市の山林で、カエルから1キログラム当たり最高6700ベクレル超のセシウム137が検出されるなど、食物連鎖の上位の生き物に高濃度の放射性物質が蓄積する傾向があることが2日、東京農工大と北海道大の研究チームの調査で分かった。

 境優(さかい・まさる)・農工大特任助教は「地面に落ちている葉などの濃度に応じて生物の濃度が高くなるほか、食物連鎖で濃縮している可能性がある」と指摘。陸の生物は、狩猟対象の鳥獣など一部を除きデータが少なく、調査結果は放射性物質が生物にどう蓄積するかを解明する手がかりになる。

 昨年8月、第1原発事故で放射性物質が降り注いだ二本松市の大沢川流域で生物を採取し、乾燥重量1キログラム当たりのセシウム137濃度を測った。

 その結果、カエル類は種類により2397~6732ベクレルを検出。サワガニが2843ベクレル、昆虫のカマドウマ類が4313ベクレル、オサムシ類が957ベクレルだった。カエルは食物連鎖で昆虫より上位にいる。現地の空間線量は昨年6月の航空機モニタリングで毎時1・0~1・9マイクロシーベルトだった。

 事故の影響を受けていない地域では、これだけ高い濃度のセシウムが検出されることは考えられないという。

 約180キロ離れた群馬県みどり市の山林でもカエル類で396~903ベクレル、カマドウマ類で403ベクレルなど比較的高いセシウム137を検出した。

 カマドウマ類とオサムシ類は生活環境が似ているが濃度に差があり、昆虫でも放射性物質の摂取や代謝の仕方が異なる可能性があるとみている。

 五味高志(ごみ・たかし)・農工大准教授は「土壌や河川での放射性物質の移動や食物連鎖を考慮すると、生物への影響は時間差で出る可能性がある」とし、継続的な調査が必要としている。

 環境省のプロジェクトの一環で5日に始まる日本生態学会で発表する。



バルサルタン 降圧剤論文撤回 京都府立医大、調査チーム設置へ 13.3.2 

(毎日新聞社 2013.3.2) [#ne8522c3]

 京都府立医大のチームによる降圧剤「バルサルタン」に関する臨床試験の論文3本が、「重大な問題がある」との指摘を受けて撤回された問題で、京都府立医大は1日、問題となった臨床試験の精度検証チームを早急に設置すると発表した。大学は予備調査で捏造(ねつぞう)などの不正を否定しているが、論文を掲載した日本循環器学会が再調査を求めていた。論文の責任著者で、辞職を申し出ていた松原弘明教授(55)は2月末付で退職した。




国保の担い手論、平行線 国民会議ヒアリング 13.3.1

(共同通信社 2013.3.1)

 有識者でつくる政府の社会保障制度改革国民会議は28日、市町村が運営し財政が悪化している国民健康保険(国保)の今後の運営方法などについて地方団体から意見を聞いた。全国市長会、町村会は運営を都道府県が担うよう要求。全国知事会は「責任は果たす」としながら具体論に言及せず、平行線に終わった。

 この日は前回に続いて団体からの意見聴取や質疑にとどまり、具体的な改革案の議論には踏み込まなかった。

 市町村側は現在の国保について、加入者の年齢構成が高く、医療費が多かったり、低所得者の急増で保険料収入が減ったりする構造的な赤字要因を挙げ「破綻状態」と指摘。都道府県が運営主体になる必要があると強調した。

 これに対し、知事会の福田富一(ふくだ・とみかず)・栃木県知事は「構造的な問題が解決できるなら積極的に責任を果たす」としたが、運営主体になるかどうかなどの具体的な内容については「議論が煮詰まっているわけでない」と明言を避けた。




都道府県が国保の保険者になる可能性、第5回社会保障制度改革国民会議 13.3.1

(m3.com 2013.3.1)

 社会保障制度改革国民会議(会長:清家篤・慶応義塾長)の第5回が2月28日、首相官邸で開かれ、全国知事会や全国市長会などからヒアリングを実施した。会見後に概要を説明した清家会長は、「都道府県の首長からは、国民健康保険の保険者になる用意がある思いが聞かれた」などの発言が出た。

 全国知事会の代表として出席した栃木県知事の福田富一氏は、全国市長会と全国町村長会とともにまとめた資料について説明。国民皆保険については、社会保障・税一体改革で国民健康保険に2200億円の公費の追加投入されることについて、「一定の効果はあるが、将来的に持続可能な制度が実現するとは考えられない」として、医療費適正化や公費投入などによって、持続可能な制度に向けた方針を、国が明確にするように求めた。後期高齢者医療制度について、現行の制度が定着していることを理由に、「必要な改善を加えながら、安定的な運営に努めるべき」という認識を示した上で、国民健康保険を含めた医療保険制度について、全国レベルの一本化を求めた。委員の一人で、野村総合研究所顧問の増田寛也氏は「国保の問題を解決するために都道府県が保険者になることを考えているのか」と問うと、福田氏は、財政問題の解決を前提条件とした上で「現時点では保険者になるとか、広域連合に参加するということにまで、議論が煮詰まっているわけではない。ただ、積極的に責任を果たしていくことを言っていく」と回答した。

 後期高齢者医療制度については、目白大学大学院生涯福祉研究科客員教授の宮武剛氏が「過渡期として、74歳以下の人が加入する都道府県の地域保険と、後期高齢者医療制度が存在することになるのか」と問うと、市長会の担当者が「現政権では、後期高齢者医療制度を残すか方針を明確にしていないので、分からない」と話した。

 自治医科大学学長の永井良三氏は、地方の首長から、脳外科を例に医師不足の問題を指摘する声が上がったことについて、「国際的に見ると脳外科は多く、医師の数だけで解決する問題ではない。医療においては、病診連携や他職種との連携などのチーム医療や総合診療医が必要」と話した。

 財務省財務制度等審議会の担当者も出席し、国の財政状況や、社会保障費の伸びなどについて説明。東京大学大学院経済学研究科教授の伊藤元重氏は、「先進国と比べて日本は税負担が高くはない。歳入が伸びる見込みはあるのか」と問い、同審議会の担当者は「応えられない。ただ、後期高齢者医療制度は、初めから公費で5割賄うことになっているが、このようなコントロールが適切かどうか考える必要がある」として、後期高齢者医療制度の設計に疑問を投げかけた。

 次回は3月13日に開かれ、2008年に開催された社会保障国民会議のシミュレーションなどを説明する方針。その後、医療や介護など、個別分野についての議論に入る予定。



二審は病院の過失認めず 女性死亡で賠償請求棄却 13.3.1

(共同通信社 2013.3.1)

 愛知県の岡崎市民病院で2007年、受診直後に子宮外妊娠による出血性ショックで死亡した女性=当時(36)=の遺族が、病院の不適切な処置が原因として岡崎市と医師に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は28日、市側の過失を認めて約6700万円の支払いを命じた一審名古屋地裁判決を取り消し、遺族の請求を棄却した。

 加藤幸雄(かとう・ゆきお)裁判長は判決理由で「女性は死亡した2日前の受診時、子宮外妊娠の可能性があると医師から説明されていた」と指摘。遺族の「医師が危険性を伝え早急な受診を勧めていれば救命できた」との主張に対し「子宮外妊娠による死亡率は10万人に対し0・2人で、すぐに再受診を促さなかったのが不適切とはいえない」として、医師らの過失を否定した。

 判決によると、女性は07年10月3日に岡崎市民病院で受診。翌4日に電話で腹痛を訴え、同日中に来院すると約束したが、腹痛により自宅で動けなくなった。来院しないことを心配した看護師が119番、女性は心肺停止状態で搬送され5日に死亡した。

 岡崎市民病院は「故人のご冥福をお祈りする。裁判は主張が認められて良かった」とのコメントを出した。




娘に睡眠薬の母親逮捕 傷害容疑、大阪府警 13.3.1

(共同通信社 2013.3.1)

 大阪府警東住吉署は28日、長女(6)に睡眠薬を飲ませ、急性薬物中毒で20日間入院させたとして、傷害の疑いで、大阪市東住吉区の母親(39)を逮捕した。

 同署によると、母親は長女に「ラムネ」と言い、自分に処方された睡眠薬を飲ませたとみられる。「自分が寝る時に一緒に眠ってほしかった」と供述している。

 長女は昨年9月15日、一人で立てない状態で母親と祖母に付き添われ、同市内の病院に入院。長女は、睡眠薬に含まれる成分が血液1ミリリットル中41・8マイクログラム検出された。成人の致死量は同65マイクログラムという。

 病院の通報を受け、同署が捜査。2011年秋と昨年1月にも同様の症状で入院しており、日常的に睡眠薬を飲ませていた疑いがある。

 大阪市こども相談センターによると、長女は9月20日に医療設備のある別の施設に移され、10月4日に退院。その後は児童養護施設に保護され、健康な状態だという。

 逮捕容疑は昨年9月ごろ、自宅などで長女に睡眠薬などを複数回飲ませ、入院が必要な急性薬物中毒にさせた疑い。




「リレンザ」で3人がショック、1人死亡 13.2.27

(読売新聞 2013.2.27)

 抗インフルエンザ薬の一つ「リレンザ」を2009-12年に使った患者3人がアレルギー性ショックを起こし、このうち1人が死亡したと、厚生労働省が27日発表した。

 薬の添付文書の副作用欄に「ショック」を書き加え、患者を十分に観察するよう医師に求めた。

 厚労省によると、死亡したのは30歳代の女性。12年、家族がインフルエンザに感染したため、医療機関で予防のために吸入したが、数分後に呼吸困難となり、間もなく死亡した。気管支ぜんそくの発症歴があり、当日は発熱や感染性胃腸炎の症状があった。

 09年には、インフルエンザと診断された10歳代の女性が、リレンザを吸入した6時間半後、一時的に意識を失った。もう1人は10歳代の男性で、同年、一時的に呼吸困難となった。




別の医療債販売で再逮捕へ 山梨の法人名義、詐欺疑い 13.2.27

(共同通信社 2013.2.27)

 医療法人社団「真匡会(しんこうかい)」(東京)の医療機関債不正販売事件で、大阪府警生活安全特捜隊は26日、山梨県の医療法人社団が発行した医療機関債も不正販売していた疑いが強まったとして、詐欺容疑で、真匡会を実質的に経営していた川野伝二郎(かわの・でんじろう)容疑者(47)らを、27日にも再逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で分かった。

 捜査関係者や法人登記簿によると、山梨県の法人は同県富士吉田市の「みらい会」。大阪市の販売会社などが2011~12年、一口50万円、年利約4%など真匡会とほぼ同じ条件で100人以上に販売し、被害総額は約4億3千万円に上るとみられる。

 山梨県によると、みらい会は05年9月設立。運営する医療機関がなく、山梨県はこれまで開設するよう指導していた。川野容疑者らが逮捕された後の今月14日に法人の認可を取り消した。

 みらい会の理事長は山梨県の調査に、医療機関債の販売について「よく分からない」と答えたという。

 川野容疑者ら11人は、真匡会名義の医療機関債に資金提供すれば配当が得られ、元本も保証されると偽って販売し、計約4600万円をだまし取ったとして、今月、大阪府警に詐欺容疑で逮捕されていた。




医学論文 捏造医師に罰則を 薬害オンブズマン、国へ要望書 13.2.25

(毎日新聞社 2013.2.25)
 医学論文の捏造(ねつぞう)や不正疑惑が相次ぎ発覚する事態を受け、民間の医薬品監視機関「薬害オンブズパースン会議」(代表・鈴木利広弁護士)が24日、第三者による調査体制の構築を求める要望書をまとめた。

 医学論文不正をめぐっては昨年6月、元東邦大准教授が執筆した少なくとも172本の論文に不正が発覚。また京都府立医大のチームが降圧剤の効果を調べた論文3本に不正の疑いが浮上し、相次いで撤回された。多くは患者を対象に薬や治療法の効果を調べる「臨床試験」に基づくもので、不正が薬害につながる恐れもある。

 要望書は不正の背景に、論文が昇進などを有利にする「成果主義」や倫理観不足があると指摘。研究者の所属機関や学会による内部調査だけでなく、第三者による調査制度を国主導で作るよう求めた。

 さらに不正が発覚した場合の懲戒処分に指針がないことも問題視。国が新たに指針を定め、悪質な不正を行った医師は厚生労働省医道審議会に諮り、医師免許取り消しなどの行政処分を行うべきだとしている。

 同会議事務局長の水口真寿美弁護士は「発覚した不正行為は氷山の一角で、医療界が自律的に再発防止に取り組む動きは鈍い。厳しく調査して処分すべきだ」と話す。要望書は26日、厚労相と文部科学相、日本医学会、日本学術会議に提出する。



薬物依存 : 医師処方、安心してた 向精神薬依存症の男性、覚醒剤の治療で「はまる」 13.2.22

( 毎日新聞社  2013.2.22)

 薬物乱用で新たな課題として浮上した処方薬による依存症。覚醒剤などの乱用に苦しみ精神科を受診した埼玉県 の男性(32)は治療用の向精神薬にもはまり、依存症の影響で窃盗などを繰り返した。「覚醒剤などより向精神薬依存が一番厄介だった」――。父親の印刷会 社を手伝う男性はこう振り返る。

 薬物にはまったのは20歳の時、アルバイト先の先輩から勧められた大麻がきっかけだ。合成麻 薬MDMAやコカインから覚醒剤へ。薬漬けで仕事も長続きしなかった。3日に1度は外国人から薬を購入。1回2万円の薬代のため、パチンコ店で置き引きを し、親に無断で自宅の電化製品を売り飛ばした。効き目が切れて「快楽」の世界から現実に引き戻されると、うつ状態に陥った。精神科で処方された抗不安薬や 睡眠薬を飲むと少し酔った感じになり落ち込みが防げた。医療機関を何カ所も受診して入手量を増やした。

 最初の乱用から3年後、コカインな どによる興奮状態のまま自宅近くの休業日の美容院に押し入り、建造物侵入などの容疑で捕まった。「二度とやらない」と裁判で誓ったが、執行猶予判決が出た 日に覚醒剤とMDMAを購入。1年もしないうちに置き引きで捕まり、執行猶予も取り消され2年半服役した。

 出所後の08年1月から、弁護士の勧めで群馬県の民間リハビリ施設に半年間入所し、覚醒剤など違法薬物を断つことができた。しかし、被害妄想など後遺症に悩まされ、治療のため処方薬だけはやめられなかった。男性は「医師が処方しているという安心感もあった」と話す。

  10年に再び窃盗容疑で逮捕。服役中に「信じて待っている」とつづられた母の手紙が届き、ようやく一念発起した。昨年1月の出所と同時に薬物依存症の専門病棟がある埼玉県立精神医療センターに入院。母親と一緒に病棟で鶴を折り、回復を祈った。約2カ月の治療を経て断薬に成功。イライラ感などは残るが、薬に頼らない生活を続けている。「ここでまた手を出せば元の木阿弥(もくあみ)ですから」と男性。今は「健康な体で普通に働くこと」がささやかな夢だ。

 男性の主治医の成瀬暢也(のぶや)・同センター副病院長は「処方される向精神薬には依存性の強いものもあり、違法ではないからと安易に使い続けるのは問題だ。盗癖があると向精神薬で助長されることもある」と指摘している。




薬物依存、向精神薬が2位に 覚醒剤に次ぎ 国立研究センター、10年調査 13.2.22

(毎日新聞社  2013.2.22)
 薬物依存症の原因として、精神科の医療機関などで処方される向精神薬が急増し、シンナーなど有機溶剤を初め て上回ったことが、国立精神・神経医療研究センター(東京都)の調査で分かった。覚醒剤に次ぐ2位で、乱用の対象が「捕まらない薬」にシフトしつつあるこ とを示した。同センターは「従来の司法だけの対応では限界がある」として、依存症対策の拠点となる精神保健福祉センターの態勢強化を訴えている。

  国立精神・神経医療研究センターは1987年から2年に1度、精神科病床がある全国の医療施設を対象にアンケートを実施(94年から偶数年に変更)。10 年は全国1612施設に同年9~10月に関わった患者の原因薬物などを尋ねた。回答があった1021施設(63・3%)の有効症例671を分析し、このほ ど結果がまとまった。

 それによると、薬物依存症の原因で最多の覚醒剤は53・8%(361例)。次いで睡眠薬と抗不安薬を合わせた向精神薬が17・7%(119例)に上り、シンナーやトルエンなど有機溶剤は8・3%(56例)だった。

 向精神薬は96年の5・6%から徐々に増える傾向にあり、08年の13%から4・7ポイント増加した。

 ◇患者の治療拠点 早急な整備必要

  処方薬による薬物依存の急増という新たな問題が浮上したことで注目されるのが、依存症対策を担う全国69の精神保健福祉センターの役割だ。回復に有効な 「認知行動療法」を依存症患者に受けさせ、正常な社会生活を送るためのマネジメントを担う施設として期待されているが、その態勢は十分とは言えない。

  再犯率の高い薬物事犯を減らすため、法務省が関連法案を今国会に提出する方針の「刑の一部執行猶予制度」でも、センターは依存症の治療拠点の一つに想定さ れている。だが、毎日新聞が全施設に実施したアンケートでは、7割超の52施設が「対応不可能」と回答。45施設が理由に「人員不足」を挙げ、42施設は 国による人員確保や専門研修などの態勢整備を求めた。

 今回の調査を担当した国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦・診断治療開発研究室長は「依存症からの脱却には認知行動療法を継続的に受けさせることが重要だ。精神保健福祉センターの態勢を早急に整える必要がある」と話している。



医師会「産んだ女性が母」 生殖補助医療で法律案 13.2.14

(共同通信社 2013.2.14)

 代理出産や精子、卵子の提供など夫婦以外の人が関わる生殖補助医療の法制化で、日本医師会は13日、産んだ女性を母とする民法の現行解釈に基づく規定などを盛り込んだ法律案の骨子をまとめ公表した。理事会で最終決定し、議員立法を目指す自民党などに、たたき台として提出する。

 案では、(1)生殖補助医療技術で生まれた子どもは、産んだ女性を母とし、実施を依頼した夫を父とする(2)医療を実施できるのは医師会が指定する医師に限る(3)精子、卵子、受精卵の売買を禁止する―などとした。

 生殖補助医療をめぐっては、代理出産に伴う子どもの法的地位や卵子などの提供に関して、明確でない課題が多くある。

 記者会見した今村定臣(いまむら・さだおみ)常任理事は「生殖補助医療については国民の間に見解の相違があり、国民的な同意を得ることが非常に難しい」として、規定の大枠の提案にとどめた。




偏見解消目指し国際会議 東京で世界精神医学会 13.2.13

(共同通信社 2013.2.13)

 精神障害への偏見、差別の解消を目指すアンチスティグマ国際会議が12日、東京都内で始まった。世界精神医学会の分科会で、スティグマ(偏見)の問題を真正面から取り上げる国際会議は日本で初めて。

 開会式には十数カ国から精神科医や当事者、家族らが参加した。3日間の日程で、テーマは「こころの絆 わたしたちのリカバリー(回復)」。初日は講演で、当事者が日本での偏見を報告し、家族が地道に取り組むアンチスティグマ活動を紹介した。

 会期中、東京電力福島第1原発事故とスティグマ、職場での理解と偏見、当事者の普及啓発など33のテーマでシンポジウムを開き、各国の経験を議論したり、偏見をなくしていくための有効な方策を検討したりする。

 国際会議の高橋清久(たかはし・きよひさ)会長は「この10年、精神障害に関する正しい知識の啓発が展開された。当事者が自分の病名を表明するカミングアウトも増えたが『まだ道遠し』の感がある。当事者のリカバリーを促すためにも、偏見をなくす運動を活発化させる機会としたい」と話している。




医薬品ネット販売懸念 厚労相 13.2.12

(共同通信社 2013.2.12)

 田村憲久厚生労働相は12日の記者会見で、一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売を認めた最高裁判決について「今、全くルールがない中で売られていることは大変心配している」と述べ、あらためて懸念を示した。

 ネット販売業者が副作用情報などを十分に提供しないケースがあるとされることに触れ「ちゃんと情報を流していないところがあるとすれば問題だ」と語った。

 厚労省は14日、利便性と安全確保を両立させる新ルールを策定する検討会を開催する。副作用のきつさや有効性によって第1類医薬品、第2類医薬品などと分類されており、厚労相は健康リスクに応じた規制の在り方も検討会のテーマになるとの考えを示した。




[診断書] 医療機関による診断書作成、簡単なもので平均2361円

13.2.8
(厚生政策情報センター 2013.2.8)

2012年 医療文書作成業務・文書料金実態調査(1/31)《医療経営情報研究所》

 医療経営情報研究所は1月31日に、2012年「医療文書作成業務・文書料金実態調査」の結果を公表した。

 調査はアンケート方式で2012年10月に行われ、421医療機関から回答があった。

 まず、医療文書料金の決定方法については、71.9%が「同じ地域の病院を参考にしている」ことが分かった。外部機関の調査資料を参考にする医療機関は5.1%にとどまり、ほかに「グループ病院で統一している」「条例で決定している(公的病院)」などの回答もあった(p4参照)。

 次に実際の料金を見てみると、以下のようになっており、医療機関によってばらつきが大きいことが分かる(p5~p6参照)。

(1)簡単な診断書は、1000円~1万1050円(平均2361円で、前年より1.2%上昇)

(2)複雑な診断書は、1000円~1万500円(平均3665円で、前年より0.7%上昇)

(3)医療費に関する証明書は、100円~1万6500円(平均1216円で、前年より0.5%上昇)

(4)年金関係の診断書は、1050円~1万2600円(平均5753円で、前年より2.4%上昇)

(5)介護保険における主治医意見書は、1050円~5250円(平均5125円で、前年より2.9%上昇)

(6)生命保険会社の所定用紙による診断書は、1050円~1万500円(平均4841円で、前年と同じ)

(7)自動車保険の所定用紙による自賠責診断書は、1500円~1万500円(平均で4763円、前年より2.5%上昇)

 また、地域別に見ても、簡単な診断書の平均料金は、関東で最も高く2962円、九州で最も低く1961円という具合にばらつきがある(p7参照)。
資料1 P1~P7(1.1M)




幹細胞治療 無許可投与「受けないで」 韓国医師会も声明 13.2.8

(毎日新聞社 2013.2.8)

 【ソウル】韓国の大韓医師協会は6日、無許可の幹細胞投与を受けないよう国民に求める声明を発表した。福岡市の「新宿クリニック博多院」で多くの韓国人が、自国では禁じられている幹細胞投与を受けていることを念頭に置いたものとみられる。

 声明は特に、「どんな難病でも治せる万能薬であるかのように広告したり、自らの幹細胞を(培養して)自分の身体に戻すのだから副作用などないと説明して難病患者を誤った方向に誘導する」ことへの憂慮を表明。「(安全性と効果が)検証されていない幹細胞投与で患者たちを惑わす行為が、これ以上なされてはならない」という見解を示した。

 韓国は、幹細胞治療薬3種を世界で初めて認可しているが、自身から取り出した幹細胞を培養して体内に戻す行為は禁じている。このため、韓国人患者が、韓国のバイオ企業と契約して規制のない日本へ渡っている。

 この問題を巡っては、韓国保健福祉省が先月、未許可の幹細胞治療を受けないように呼びかけ。韓国幹細胞学会も、「無分別な幹細胞治療」や「治療効果の誇張」を憂慮する声明を出した。




診療報酬の不正請求83億円、過去5年で最高 13.2.1

(m3.com: 2013.2.1)

 医療機関による診療報酬の不正請求が発覚し、2011年度に確定した不正請求分の返還金額は、前年度比9.9%増の82億9041万円だったことが、厚生労働省が1月31日に発表した「2011年度における保険医療機関等の指導・監査等の実施状況について」で明らかになった(資料は、厚労省の ホームページを参照)。過去5年で最高の返還額で、調査を担当した厚労省保険局医療課医療指導監査室は、不正請求が発覚すると返還額が高くなりやすい、診療報酬の施設基準の充足状況を訪問調査する「適時調査」の強化が影響しているとみている。

 返還額の内訳は、「適時調査」によるものが最も多く、前年度比74.4%増の55億8133万円、診療報酬の請求方法などを周知徹底する「指導」によるものが同23.9%減の20億7754万円、不正が疑われる場合に行う「監査」によるものが同60.6%減の6億3513万円。これまでは指導と監査による返還額のみを公表してきたが、「従来から適時調査も行っており、問い合わせも多いことから、今回から適時調査による返還額も公表することにした」(医療指導監査室)。

 実施状況は、保険医療機関等への適時調査が前年度比7.4%増の2274件、指導が同3.5%減の2万3143件(個別指導、新規個別指導、集団的個別指導の合計)、監査が1.3%増の161件。医療機関等の保険指定取り消し処分(取り消し相当を含む)は104.5%増の45件。

 保険医等への指導では、医師への個別指導の増加が目立ち、前年度比162.6%増の5993件だった。医師、歯科医師、薬剤師の登録取り消し処分(登録取り消し相当を含む)は70.0%増の計34人(医師10人、歯科医師21人、薬剤師3人)。

 発表資料ではそのほかに、施設基準を満たしていないにもかかわらず「特殊疾患病棟入院料1」を不正に請求し、2億2308万円を返還、保険医療機関の指定取り消し相当の処分を受けた北海道の病院など不正請求の事例が紹介されている。



薬剤師9人を業務停止 3年~1カ月、厚労省 13.2.6

(共同通信社 2013.2.6)

 厚生労働省は5日、有罪判決が確定するなどした薬剤師9人を業務停止3年~1カ月とする行政処分を決めた。発効は今月19日付。

 業務停止3年は、福岡市の女性(66)で、2005年9月~08年3月、勤務先の薬局で無資格者に薬の調剤をさせるなどした。11年5月に千葉市内で向精神薬を含む錠剤を他人に譲渡したとして、麻薬取締法違反罪で懲役1年、執行猶予3年が確定した千葉県君津市の男性(28)は業務停止1年とする。

 大阪府枚方市の男性(36)は11年11~12月、勤務先の病院で医薬品計390点(計約57万円相当)を盗んだ罪で有罪が確定し、業務停止3カ月。病気の治療に効果があるとうたって未承認の医薬品を販売し、罰金刑が確定した宇都宮市の女性(62)は業務停止1カ月とする。




バルサルタン : 降圧剤臨床、京都府医大の3論文撤回 日欧2誌「重大な問題」 13.2.6

(毎日新聞社 2013.2.6)

 京都府立医大のチームが09~12年に執筆した、降圧剤「バルサルタン」の効果に関する臨床試験の論文3本が、「重大な問題がある」などの理由で掲載後、相次いで撤回されたことが分かった。責任者の松原弘明教授は「データ集計の間違い」と説明しているが、単純ミスなら論文を修正するのが一般的で、撤回は極めて異例だ。

 臨床試験は高血圧患者約3000人を対象に、別の降圧剤とバルサルタンを併用した場合と、バルサルタンを使わない場合とで病状を比較した。

 チームは「併用群では脳卒中や狭心症が目立って減った」という結果を09年9月、欧州心臓病学会誌に発表。さらに、同じデータを使って心臓肥大の症状がある患者への効果(11年3月)▽糖尿病患者らの心臓病発症防止効果(12年9月)について分析した2本の論文を、日本循環器学会誌に掲載した。

 だが日本循環器学会誌は昨年12月27日付で2本を撤回。欧州心臓病学会誌も今年2月1日付で取り下げた。日本循環器学会は「データ解析に極めて多くの問題点があることが判明し、医学論文として成り立たない」と話す。この試験をめぐっては「国内外の同種の薬を使った臨床試験結果と合わない」「血圧値がそろいすぎている」など、専門家から不自然さが指摘されていた。

 大学側は昨年末、日本循環器学会の要請で調査を実施し、「研究に不正はなかった」と今年1月、報告した。毎日新聞の取材に松原教授は「データ集計の間違いで、故意(の捏造(ねつぞう)など)ではない」と書面で回答した。松原教授は現在、日本高血圧学会の理事で、日本循環器学会の理事も務めたことがある。

 バルサルタンの発売元のノバルティスファーマは「医師主導の試験で、解析などに一切関わっておらず、コメントする立場にない」としている。

 NPO法人「臨床研究適性評価教育機構」の桑島巌理事長は「一連の論文撤回で日本の臨床試験の信頼性が失われたことは重大な問題。不正の可能性もあり、真相究明のための一層の調査が必要だ」と指摘する。

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 ■ことば

 ◇バルサルタン

 ノバルティスファーマが商品名「ディオバン」として00年に国内発売した。血管を収縮させ血圧を上げる成分の働きを、阻害する効果がある。約100カ国で承認を受け、11年度の国内売上額は約1193億円。




肺がん検診 誤った手順で 40人に精密検査、横浜市が勧奨へ 13.2.5

(毎日新聞社 2013.2.5)

 横浜市の医療機関で実施した市の肺がん検診が正しい手順で実施されていなかった問題で、市は4日、受診した40人について精密検査の必要があると発表した。

 この問題は、市が検診を委託していた川久保診療所(同市神奈川区)が08年10月から昨年11月の間、本来は複数の医師で行うべきだったX線写真の判定を院長が誤って1人で行っていたもの。市は、既に写真がない2人を除く受診者309人を対象に、別の専門医に再判定を依頼。その結果、精密検査が必要とされたのは41人で、うち1人は肺がん以外の原因で死亡していた。40人には、紹介状を送り精密検査を勧める。

 残り268人(うち7人が既に死亡)は異常が見つからなかったという。



市販薬:ネット販売、業者次々再開 「規制無効」で解禁状態 自粛頼み、国苦悩 13.2.2

(毎日新聞 2013.2.2)

 一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売の規制を無効とした最高裁判決を受け、ネット販売が事実上の解禁状態となっている。判決で販売が認められたのは原告2社だけ。それ以外の業者についても「取り締まって訴えられたら敗訴は確実」と、厚生労働省は自粛を求めるしかなく現行の規制が空洞化している。薬害被害者らは速やかなルール整備を求めており、14日からの検討会ではスピード審議を目指したいところだが、道筋は見えない。

 判決は、リスクの高い順に1〜3類に分類した市販薬のうち、1、2類のネット販売を禁じた厚労省令について「一律禁止は違法」とした。

 判決を受け、多くのネット販売業者は取り扱いを再開。関西のある業者は「客の要望もあり、2類の人気商品のみ売っている」と話す。別の業者は「原告以外売れないというのは法の下の平等に反する」と、1、2類とも販売している。一方で、一部の大手通販会社は「1、2類の副作用リスクが高いのは事実で、ルールが決まるまで販売しない」との立場だ。

 厚労省の検討会には訴訟原告だった医薬品ネット販売「ケンコーコム」の後藤玄利(げんり)社長が業界団体代表として入るほか、薬害被害者らも参加する。田村憲久厚労相は「(規制緩和の)推進派と慎重派の両方がおり、共通認識を持つのにどれだけ時間がかかるか分からない」と話す。

 ネット通販と競合するドラッグストアの団体「日本チェーンドラッグストア協会」の幹部は「整合性ある規制をしてこなかったツケが出た。リスクが高くない2類のネット販売を認める省令改正が国民の理解を得やすい」とネット販売を一部容認する姿勢を見せる。

 これに対し、薬害オンブズパースン会議(代表・鈴木利広弁護士)は薬事法に禁止規定を設けることを主張。「対面販売の原則を変えるべきではない。市販薬販売の在り方を総点検すべきだ」と解禁に反対している。



大人は塩1日5グラム未満に WHOが健康指針 日本男性は11グラムも摂取 13.2.1

(共同通信社 2013.2.1)

 【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)は1月31日、塩の摂取量を成人は1日5グラム未満にするべきだとする新たな指針を公表した。日本は塩の取りすぎが以前から指摘され、厚生労働省によると、2011年の1日の平均摂取量は成人男性が11・4グラム、成人女性が9・6グラムと新指針を大きく上回っている。

 WHOの指針は高血圧や心臓病など慢性疾患を予防するためで、子供に関してはこれよりも確実に少なくするよう求めた。逆に、豆類やバナナに含まれるカリウムは摂取することで血圧の抑制や心臓病の危険軽減につながるとして、成人は最低でも1日3・51グラム取るよう推奨した。

 厚生労働省は、塩摂取量の15年までの現実的目標として、男性9グラム未満、女性7・5グラム未満を掲げ、さらに下げることが望ましいとしている。カリウムの摂取量は性別や年齢により2・7~3・0グラムを目標にしているが、11年の平均摂取量は成人男性が約2・3グラム、成人女性が約2・2グラムと不足している。

 慢性疾患による世界の死者は08年、死者全体の6割以上に当たる3610万人。25歳以上の大人のうち、高血圧と診断される人の割合は4人に1人とされる。WHOは対策として、適切な食事管理を挙げており、塩分摂取の指針も対策の一環。

 塩分の過剰摂取は心臓発作で死に至る危険があり、WHOでの実験で5グラム未満の場合、血圧の抑制が認められた。

 塩5グラム未満という摂取量は、多くの食品や飲料に含まれるナトリウムに換算すると約2グラム未満にあたる。WHOによると、ナトリウムは牛乳100グラム当たり約0・05グラム、卵には同0・08グラム、それぞれ含まれている。加工食品になると含有量は多くなり、ポップコーンなどスナック菓子には同1・5グラム含まれている。



低炭水化物ダイエット、死亡率高まる可能性 13.1.28

(読売新聞 2013.1.28)

 ご飯やパンなどの炭水化物の摂取が、長期にわたって少ない人は、多い人よりも死亡率が高まる可能性があるとする調査結果を、厚生労働省の研究班がまとめ、科学誌プロスワンに発表した。

 炭水化物の摂取を極力控えるダイエット法に一石を投じる成果として注目される。

 国立国際医療研究センターの能登洋・糖尿病代謝内分泌科医長らが、米国と欧州で、70代-30代の男女20万人以上を26-5年にわたり追跡した住民健康調査などのデータを解析した。その結果、総摂取カロリーに炭水化物が占める割合が40%以下と、低い人の死亡率は、炭水化物の摂取割合が高い人(同60%以上)の1・3倍だった。

 炭水化物を抑えた食事は、短期的には血糖値が下がり、コレステロールの値が改善するなど、心疾患のリスクを下げるとの報告がある。ところが、今回の解析では、長期間の低炭水化物食が、心疾患のリスクを下げる傾向は見られなかった。能登医長は「低炭水化物食は短期的には減量などに効果があっても、長年続けることには慎重になった方が良い」と指摘する。


自己注射薬、迷ったら打て…アレルギー女児死亡 13.1.27

(読売新聞 2013.1.27)

 東京都調布市の小学校で昨年12月20日、チーズにアレルギーのある5年生の女児(11)が給食の後に亡くなった。

 チーズ入り料理を食べたことによる「アナフィラキシーショック」の可能性が高い。この学校では9月にも、1年生の男児が給食後に救急搬送されていた。子供の命を救うことはできなかったのか。市教育委員会の調査結果から、問題点を検証する。

専用献立表

 「余っているよ、食べる人いない?」。5年生担任の男性教諭(29)はその日、給食時間の後半、チーズ入り「じゃがいものチヂミ」を持って教室内を回った。「ほしい」と声をかけたのが、その女児だった。

 女児は日頃からアレルギーに対応した特別食を食べているため、担任は「大丈夫か?」と尋ねた。

 「これ見ればわかる」。女児が担任に見せたのは、保護者が女児に持たせた献立表。食べられない料理にピンクの線が引かれていた。「じゃがいものチヂミ」には線がなかったので、担任はお代わりを渡した。

 だが、担任にはこの前に確認しなければならない別の資料があった。栄養士から渡された女児専用の献立表「除去食一覧表」だ。

 同校は女児にアレルギー原因食材を除いた「除去食」を提供しており、この日もチーズ抜きを1食分だけ調理して配膳。除去食一覧表では、女児が通常の「じゃがいものチヂミ」をお代わりできないことが、「×」印で示されていた。

迷ったら

 女児は給食終了から30分とたたない清掃時間中に、体調不良を訴えた。担任は女児のランドセルから、アナフィラキシーショックを抑える自己注射薬(商品名・エピペン)を取り出し、「これ打つのか」と尋ねたが、女児が「違う、打たないで」と答えたので、注射をやめた。女児はアレルギー原因食材を食べたことに気付いていなかったようだ。

 その後、養護教諭が駆け付けて救急車を要請。女児は立てない状態で、約10分後に校長がエピペンを打ったが、まもなく到着した救急隊員から「心肺停止」を告げられた。

 食物アレルギーに詳しい昭和大医学部の今井孝成講師はエピペンについて、「呼吸困難などの重い症状が出たら迅速に注射すべきだ。副作用は小さいので、迷ったら打て、と言いたい」と指摘。今井講師は「児童100人に2人程度の割合で食物アレルギー患者がおり、どこの学校で事故が起きてもおかしくない」と注意を呼びかけている。



「透明性GL」めぐり業界団体等と協議会設立--日医 13.1.24

(薬事ニュース 2013.1.24)

 日本医師会は1月9日の定例記者会見で、日本製薬工業協会が策定した「企業と医療機等関の関係の透明性を担保するガイドライン」(GL)を巡り、業界団体と合同で検討を進める協議会を設置すると発表した。個人情報保護の観点から、製薬協のGLに懸念を示す医師も多く、改めて業界側と意見交換を行う必要性があると判断。日本医学会の高久文麿会長を座長に据え、月1回のペースで会合を開き、4月を目途に一定の結論を出す方針だ。

 日医では昨年、企業との連携における対応のあり方や、GLの運用に関する判断基準などを検討するため、会内に「COI(利益相反)指針策定検討委員会」を設置。委員会内からは「企業の利益に不利になるような情報は開示せず、医師が受け取る金額だけを詳細に公表するのは方向性が一貫していない」など否定的な声が多く上がったという。また日本医学会も製薬協のGLを疑問視していたことから、日医と医学会の会長同士が話し合いを行い、製薬業界団体を含めた協議会を設けることに決めた。




母牛より子牛が高濃度 東北大、セシウム調査 13.1.24

(共同通信社 2013.1.24)

 東京電力福島第1原発事故で、原発から半径20キロ圏内に取り残された牛の内部被ばく調査を進める福本学(ふくもと・まなぶ)東北大教授(病理学)らの研究グループが、母牛よりも子牛の方に高濃度の放射性セシウムがたまっていたとの研究結果をまとめ、23日付の米オンライン科学誌プロスワンに発表した。

 福本教授は、子牛と母牛が全く同じ物を食べていたとは限らないとした上で「代謝が盛んな子どもの方が、放射性物質がたまりにくいとされるが、見直す必要があるのではないか」と話し、今回のデータはメカニズムの解明に向けた基礎データになるとしている。

 グループは2011年8~11月、当時警戒区域に指定されていた福島県南相馬市と川内村で、雌の成牛63頭(うち3頭が妊娠)、原発事故後に生まれた子牛13頭の計79頭を所有者の同意を得て、行政の殺処分後に解剖。骨格筋や各臓器、血液の放射性物質濃度を調べた。

 このうち、親子3組の放射性セシウム137の濃度を調べたところ、母牛は骨格筋1キログラム当たり平均649ベクレルだったのに対し、子牛は同956ベクレルだった。肝臓や腎臓など各臓器でも同様に、子牛の方が母牛よりも約1・5倍濃度が高い関係がみられた。

 また、母牛とその胎児の3組では、胎児の骨格筋や各臓器の放射性セシウム濃度は、母牛の約1・2倍だった。

 一方、部位ごとの1キログラム当たり平均放射性セシウム濃度をみると高い順に、骨格筋(626ベクレル)、舌(619ベクレル)、腎臓(361ベクレル)、心臓(311ベクレル)、ぼうこう(210ベクレル)、肝臓(207ベクレル)だった。

 血液は25ベクレルで、血液の放射性セシウム濃度を調べれば、各臓器の濃度を推計できるとしている。

※警戒区域の牛

 東京電力福島第1原発事故を受け、政府は2011年5月、原発から半径20キロの警戒区域(当時)に取り残された家畜を、所有者同意の上、殺処分するよう福島県に指示した。県によると、事故前に区域内にいた牛は約3500頭。12年末までに1395頭が殺処分され、ほかに多くの牛が餓死し、現在150頭ほどが野生化して生息しているとみられる。殺処分された牛の内部被ばく調査で、血液と骨格筋の放射性セシウム濃度に相関関係があると分かり、県は牛肉の放射性物質の濃度推計のため、一部で解体前に血液検査を行っている。




薬物依存症 やめるには治療必要:医療&健康ナビ 13.1.21

(毎日新聞社 2013.1.21)

 ◇生活管理し回復目指す

 まん延する脱法ハーブなどの薬物依存症。「やめられないのは意志が弱いから」と誤解されやすい。だが、これは精神疾患の一つで、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類に診断基準が定められている。専門家は「糖尿病など慢性疾患のように、依存症と付き合いながら回復を目指す必要がある」と指摘する。

 ◇精神疾患の一つ

 脱法ハーブや覚醒剤、麻薬など陶酔感や興奮作用がある依存性薬物を繰り返し「乱用」すると、脳内の神経系に異常をきたす。この場合の薬物乱用とは、社会規範から逸脱した目的や方法で薬物を自ら使用することを指し、1回の使用でも乱用にあたる。薬の効果が切れてくると再度使いたいという欲求がわき、乱用を繰り返すことで自己コントロールができずに再び薬物を使ってしまう「依存状態」になる。

 国立精神・神経医療研究センターの和田清・薬物依存研究部長によると、薬物依存症という病気になると、なんとしても薬物を手に入れようとする行動(薬物探索行動)が必ず見られるという。禁断症状が出る場合もある。

 ◇慢性中毒で妄想

 依存症でさらに薬物を使い続けると慢性中毒になり、被害妄想や幻聴などの症状が表れる。一方、依存していない状態でも、薬物が直接的に作用して命に危険を及ぼす急性中毒の恐れがある。

 薬物を体内に取り込むと、どうなるのか。和田部長は「『A10神経系』という脳内の神経細胞の一部に異常が生じる」と説明する。

 脳内の神経細胞は「シナプス」という部位で互いにつながり合っている。接合部分には「シナプス間隙(かんげき)」と呼ばれる5万分の1ミリほどの隙間(すきま)があり、細胞から細胞へ情報が伝わる時、この隙間を情報伝達物質が行き交う。

 例えば脳が快感を感じる場合、(1)神経細胞内で情報伝達物質の一種、ドーパミンが脳の興奮を促す信号Aを受け取る(2)細胞間の隙間に放出される(3)ドーパミンが別の神経細胞の表面の鍵穴「ドーパミン受容体」と結びつく(4)新たな信号Bとなり情報が伝達され、その結果脳が興奮(5)その後、鍵穴に結びついていたドーパミンは、細胞の穴「ドーパミントランスポーター」から元の神経細胞に吸収され、興奮が収まる――という順で反応が起こっている。

 ◇脳を強制的に興奮

 薬物を使用した場合は(6)覚醒剤では神経細胞内に入った成分が、信号Aがなくてもドーパミントランスポーターからドーパミンを逆に放出させる(7)コカインでは、その成分がドーパミントランスポーターと結合し、ドーパミンの再吸収を妨げる――という、通常とは異なる反応が起こる。(6)、(7)のいずれも、隙間のドーパミンが過剰になり、信号Bが増強されて脳が強制的に興奮させられる。これによって、外部からの刺激がなくても快感が長時間持続する。

 こうした反応が繰り返されて依存症になると、例えば覚醒剤ならばシナプス間隙のドーパミントランスポーター数が減少した状態になり、元に戻すことはできないと考えられている。このため、精神科の治療で幻覚や妄想を消すことはできるが、薬物に依存する状態を完全に治すことはできないという。和田部長は「慢性疾患の治療のように、薬物を再び使わないよう生活を管理しながら回復させることが大事だ」と指摘する。

 回復手段の一つとして、「認知行動療法」という外来集中プログラムがあり、海外では治療効果が確認されている。国内でも一部機関で、この療法を使った取り組みが始まっている。



生活保護、後発薬基本に 理由なければ保健指導 厚労省が検討 13.1.21

(共同通信社 2013.1.21)

 厚生労働省は19日、生活保護の医療費(医療扶助)を抑制するため、受給者に価格の安いジェネリック医薬品(後発薬)の服用を基本とする方向で検討に入った。特別の理由がなく拒否した場合には、福祉事務所の保健指導の対象にする。

 一方で、現在無料になっている医療費の一部自己負担化については「必要な受診を抑制する恐れがある」として見送る方向だ。

 生活保護費の総額は2012年度当初予算で3兆7千億円。うち医療費は半分近くを占めており、抑制策が課題となっている。

 厚労省は昨年4月に通知を出し、医師の判断で後発薬を使用しないよう指示した場合を除き、後発薬をいったん服用させ、服用後に本人の意向を再確認することを基本としている。

 しかし受給者の後発薬使用が進んでいないため、後発薬が基本であることを明確化。受給者が拒んだときは尊重するものの、正当な理由がなければ福祉事務所で専門の相談員が指導する。薬局にも後発薬の調剤に努めるよう求める。

 一部自治体は後発薬の使用義務化を求めているが、厚労省は医師の処方に関する裁量を侵害する可能性があり、患者の医薬品選択の権利も奪いかねないとして否定的な見解を示している。

 田村憲久厚労相は「事実上、後発薬に誘導できる政策を考える」と述べ、強制せずに使用を促す方策を検討していた。

※後発医薬品

 先発薬(新薬)の特許が切れた後につくられた薬。先発薬と同じ有効成分を含み、同じ効果があるとされる。先発薬に比べて開発期間が短いため、価格が安い。政府は医療費抑制のため普及率を2012年度末までに30%以上(数量ベース)に上げる目標を掲げている。現状は全体が23%(11年5月分)、生活保護受給者が21%(11年6月分)で、受給者の使用率が低い。



(青森)3回以上「たらい回し」36人 重症救急患者受け入れで  13.1.20

(読売新聞 2013.1.20)

 救急搬送されながら、病院への受け入れを3回以上断られた重症患者が昨年度1年間で36人いたことが県防災消防課のまとめでわかった。重症患者7165人の0・5%にとどまり、前年度とほぼ横ばいだが、6回にわたって「たらい回し」に遭った事例もあった。

 同課によると、県内14消防本部が2011年4月-12年3月に救急搬送した重症患者のうち、最初の打診で病院に搬送されたのは6546人(91・4%)。残りは受け入れ拒否されたケースで、1-2回断られたのが583人(8・1%)、3回以上が36人(0・5%)だった。

 受け入れを断られた理由は、治療に必要な設備がないなどの「処置困難」が23・5%で最多。次いで「手術中、患者対応中」(15・4%)、「専門外」(13・5%)、「ベッド満床」(9・8%)の順だった。

 3回以上断られた36件のうち、鰺ヶ沢消防本部管内では11年11月、心肺停止状態の男性(当時83歳)の搬送先が決まらず、かかりつけ医や自宅近くの病院などで計6回受け入れを拒否された。黒石消防本部管内では、自宅で転んで足をけがした男性(同75歳)の受け入れを病院5か所に拒まれ、搬送先が決まるまで25分を要した。

 救急搬送を巡っては、09年に消防法が改正され、患者のたらい回しを防ぐために搬送基準を作ることが都道府県に義務づけられた。青森県も、症状ごとに受け入れ可能な医療機関を分類した基準をまとめ、昨年度から運用を開始。医療機関や消防と毎年検証することにしている。

 総務省消防庁の統計(11年1-12月)では、3回以上の受け入れ拒否は全国平均で3・9%に上り、県内の0・4%は大きく下回っている。ただ、同課は「患者の生命や容体に影響を与えないよう可能な限り受け入れ拒否を減らしていきたい」としている。




65歳以上の高齢世帯、2035年には41%に 13.1.19

(読売新聞 20 13.1.19)

 国立社会保障・人口問題研究所は18日、「日本の世帯数の将来推計」を公表した。

 全世帯に占める「単独世帯」(一人暮らし)の割合は、晩婚・未婚や離婚の増加などを背景に、2010年の32%(1679万世帯)から、15年に33%(1764万世帯)、35年には37%(1846万世帯)に増えると予測している。

 一方で1980年代に4割以上だった「夫婦と子どもがいる世帯」は、35年に23%(1153万世帯)まで減少するとした。

 また、高齢化の進行に伴い、世帯主が65歳以上の高齢世帯は、10年の31%(1620万世帯)から、35年には41%(2022万世帯)に増える。高齢世帯のうちの単独世帯は、10年の498万世帯から、35年には1・5倍の762万世帯に膨らむとしており、一人暮らしの高齢者の介護や見守りなどの需要が高まることが予想される。

 一般世帯総数は10年が5184万世帯で、19年に5307万世帯とピークを迎え、その後は減少する。

 同研究所は5年ごとに推計を行っている。今回は10年の国勢調査をもとにした。




[医療扶助] 医療扶助の長期受給者等には、他医療機関の検診受診義務を 13.1.18

(厚生政策情報センター 2013.1.18)

社会保障審議会 生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会(第11回 1/16)《厚生労働省》

 厚生労働省は1月16日に、社会保障審議会の「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」を開催し、報告書を取りまとめた。

 長引く不況等を背景に、生活保護受給者が増加し、我が国の財政を圧迫するとともに、国力の減退を招いている。このため、特別部会では、生活困窮者対策と生活保護制度見直しに向けて総合的な取組みを議論してきた。

 報告書では、(1)経済社会の新しい条件に見合った生活支援の仕組みの導入(2)稼動年齢世代受給者の自立を支援する制度の導入―などが提言されている。

 とくに生活保護制度の中でも、「医療扶助」の適正化に注目してみる。医療扶助とは、生活保護受給者の医療費を全額補助するもの。昨今、「頻回・重複受診」や「医薬品の横流し」などの問題点がクローズアップされている。

 この医療扶助について報告書では、次のような提言等を行っている(p46~p49参照)。

(i)一部負担導入には賛否両論がある
(ii)後発品の使用促進も含めて、重複受診や医薬品の横流しに対応していく
(iii)福祉事務所が生活保護受給者の健康保持・増進に向けた支援を行う
(iv)福祉事務所が「医療の継続性等確認の必要性あり」(長期受給を含めて)と判断した場合には、他の医療機関の検診受診を指示する
(v)電子レセプト管理システムに適正化対象項目を容易に抽出できる機能を追加し、指定医療機関の重点的な点検指導を行う
(vi)指定医療機関について、指定の有効期間を導入する
(vii)指定医療機関に不正があった場合の対処方法を厳格化する

資料1 P1~P89(6.5M)
http://www.m3.com/tools/Document/WIC/pdf/201301_4/1939_2_1.pdf



「これ以上削れない」 祖母の介護で働けず 13.1.17

(共同通信社 2013.1.17)

 社会保障審議会生活保護基準部会の報告書では、低所得者の一般的な生活費に比べ、世帯人数が多いほど保護費の支給額の方が多い傾向が示された。多人数の受給世帯では「引き下げの影響が大きいのでは」と心配する声が上がっている。

 「これ以上何を節約したらいいのか。切り下げは絶対にやめてほしい」。認知症の祖母(84)を介護するために仕事を辞め、昨年2月から生活保護を受けている札幌市の女性(39)は訴える。

 祖母と娘(21)、公立高校の寮で暮らす息子(17)の4人家族。月10万~15万円の保護費に祖母の年金や娘のアルバイト代で補って暮らす。

 多人数ほど有利とされた食費や被服費の支給額は約14万円。安いスーパーを探して古古米を食べ、亡くなった父のお下がりを着て節約している。だが、息子の寮費4万円や約2万円掛かる祖母のおむつ代など、毎月減らせない支出がある。

 祖母は自分で歩けるため、おむつ代は支給されず、食費や被服費を圧迫している。女性は「極力減らしたおむつ交換の回数を削るわけにはいかない」と嘆く。

 自立のための就労も難しい。「祖母がデイサービスに行く週3日という条件では見つからない。娘も不況で短期の仕事しかない」のが現状だ。

 生活保護問題対策全国会議事務局長の小久保哲郎(こくぼ・てつろう)弁護士は「多人数世帯には子どものいる世帯が多い。削減のターゲットにすれば、貧困の連鎖を助長しかねない」と警鐘を鳴らしている。




孤独死は推計年1万5千人 13.1.17

(共同通信社 2013.1.17)

 孤独死(孤立死)は、社会の高齢化が進むのに伴い、日本各地で表面化している。

 民間の研究機関「ニッセイ基礎研究所」は65歳以上の孤独死者数の推計を2011年に公表。東京23区の発生数を基に算出した結果、死後4日以上経過して見つかったのは全国で1万5603人に上るとみている。

 女性よりも男性の方が、死亡から発見されるまでの日数が長い傾向にあることも分かった。

 しかし、国による全国的な統計がないため、詳しい実態は分かっていないのが現状だ。

 内閣府は12年版の高齢社会白書で孤独死を「誰にもみとられることなく息を引き取り、その後、相当期間放置されるような状態」と記しているが、「相当期間」の定義もない。プライバシーとの兼ね合いもあり、情報収集が難しい。




[医薬品等] 医師と製薬企業の望ましいあり方議論する協議会設置 : 日医 13.1.16

(厚生政策情報センター 2013.1.16)

医学関連COI問題協議会設置について(1/9)《日本医師会》

  日本医師会は1月9日の定例記者会見で、「医学関連COI問題協議会」を設置することを発表した。

  この協議会では、医師と製薬企業等のCOI(Conflict of Interest、利益相反)問題について検討し、「望ましい医師と製薬企業のあり方」について意見交換を行う。

  医師には、「優れた医薬品や医療技術を開発する研究者」の側面と、「患者の生命・健康を守る臨床医」の側面がある。両者には、時として衝突する場面が出てくる。

  たとえば、研究のためには製薬企業等からの資金提供が必要となってくるため、「成果を出さなければいけない」という企業等への義務が発生する。極論すれば、「企業に不利益なデータは公表しない」ことなども起こりうる。一方で、医師本来の「患者の安全を守る」という義務に鑑みれば、企業に不利益なデータの公開も必要となろう。

  このため、医師と製薬企業との利益相反(COI)は、今後の産学連携による新薬等の開発の中で、きわめて重要なテーマとなってくるのである。

  ところで、日本製薬工業協会が2011年3月に定めた「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」(p2-p4参照)では、医療機関等への資金提供(学術研究助成費や原稿執筆料等)について、その供与先や金額を公開することとしている。

  この点について日医は、「医師と製薬企業との関係について、社会からの疑惑を誘引し、医師が言われなき誹謗・中傷を受けるなどの弊害がもたらされる」と指摘。この問題も、上記の利益相反(COI)の一類型である。

  そこで、医療界(日本医学会や日医など)と製薬企業側が一堂に会し、「医師と製薬企業の望ましいあり方」について意見交換を行うために、本協議会が設置されるに至っているのだ(p1参照)。協議会の座長には、日本医学会の高久会長が就任する。

資料1 P1~P4(1.3M)
http://www.m3.com/tools/Document/WIC/pdf/201301_3/1937_4_1.pdf



終末期の透析見合わせ、提言案 日本透析医学会が提言案を公開、意見募集 13.1.11

(2013.1.11 日本透析医学会 )

 日本透析医学会の水口潤理事長は1月8日、「慢性血液透析療法の導入と終末期患者に対する見合わせに関する提言(案)」を公開した。ホームページに掲載し、学会事務局が3月31日まで意見を募集している。

 学会は今回の提言により、かねて議論してきた「慢性血液透析療法の適切な導入」「終末期患者に対する見合わせ(透析非導入、継続中止)」に一定の見解を与えることになる。

 提言では、基本理念として、「患者、家族と医療従事者に、尊厳生の立場で最善の医療とケアを作り上げる意思決定プロセスを示す」と掲げる。内容は大きく4つに整理し、(1)情報提供と自己決定の援助、(2)自己決定の尊重、(3)同意書の取得、(4)医療チームによる慢性血液透析療法の見合わせ、で構成した。

 学会は、当提言はあくまで学会の立場を表明するもので、エビデンスに基づいたガイドラインではないと位置付ける。提言に沿って透析療法を見合わせた場合も、法的責任を問われる可能性はなくならないと説明する。あえて医療経済の問題は切り離し、国民が平等に医療を受ける権利があるという立場から方針を考察したという。

 学会は日本初の「慢性血液透析療法ガイドライン」の策定を目指しており、その過程で、まず終末期患者への対応指針を示すべきという意見で一致していた。学会員へのアンケートでも約8割が指針を出すことに賛成しており、この度の提言案の作成、公開に踏み切ったと説明している。

 なお、資料の後半には、策定に関わったメンバーによる論文も掲載。日本尊厳死協会の井形昭弘氏による「人工透析中止と尊厳死」、弁護士の小川義龍氏による「透析非導入・中止における患者の自己決定権」などを読むことができる。

【関連リンク
「慢性血液透析療法の導入と終末期患者に対する見合わせに関する提言(案)」のご意見聴取について
http://www.jsdt.or.jp/info/1413.html




降圧薬2種+NSAID、腎障害リスク 13.1.11

(2013年01月11日 :BMJ )
カテゴリ: 循環器疾患 ・腎・泌尿器疾患 ・投薬に関わる問題

文献:Concurrent use of diuretics, angiotensin converting enzyme inhibitors, and angiotensin receptor blockers with non-steroidal anti-inflammatory drugs and risk of acute kidney injury: nested case-control study

 降圧薬使用者48万7372人を対象に、治療と急性腎障害の関連を症例対照分析による後ろ向きコホート研究で検討。利尿薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬のうち1剤+非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は急性腎障害増加と関連せず、降圧薬2剤+NSAIDの3剤併用で関連が見られた(率比1.31)。

原文(BMJ):
http://www.bmj.com/content/346/bmj.e8525



薬物依存症治療「保険での対応」求める意見相次ぐ--厚労省・検討会13.1.10

(薬事ニュース 2013.1.10)

 厚生労働省の「依存症者に対する医療及びその回復支援に関する検討会」は昨年12月21日に会合を開き、薬物やアルコールなどの依存症に関する現状について医療機関関係者からヒアリングを実施。会合では薬物依存症の治療向上に向けて、診療報酬上の手当てを求める声が相次いだ。  意見陳述に立った川副泰成委員(全国自治体病院協議会精神科特別部会運営委員)は、薬物依存症の治療を公衆衛生上の重要な課題と位置づけた上で、「(依存症治療を)普及するための基盤として診療報酬上の手当てが乏しい」と指摘した。紫藤昌彦委員(コスモス会紫藤クリニック院長)は「依存症者の家族が医療機関に来ても保険診療を受けられないため、適切に対応できないことがある。(医療機関が)気軽に家族の相談に応じられる(診療報酬上の)仕組みを考えるべき」と主張した。  また同日の会合で厚労省は、今後の議論の方向性を提示。▽気軽に医療機関に相談できる体制▽医療機関・行政・自助団体の連携体制▽当事者の状況に応じた回復プログラム▽地域における支援体制--などの整備に向けて検討を行うことを確認した。次回の会合では依存症の当事者・家族からヒアリングを行う予定。



[ドナー仲介で組長に実刑 臓器売買事件 13.01.09

(共同通信社 2013.01.09)

 宇和島徳洲会病院(愛媛県)で実施された生体腎移植手術で臓器提供者(ドナー)を仲介し見返りを受け取ったとして、臓器移植法違反罪などに問われた指定暴力団住吉会系組長坂巻松男(さかまき・まつお)被告(71)に東京地裁は9日、懲役2年6月、追徴金180万円(求刑懲役4年、追徴金800万円)の判決を言い渡した。

 細田啓介(ほそだ・けいすけ)裁判官は、見返りの800万円のうち180万円が被告に渡ったと認定。「病院側に手術の取り計らいを働き掛けるなど、重要な役割を果たした」と指摘した。

 判決によると、被告は腎不全を患っていた医師(57)=懲役3年が確定=に腎移植手術を受けさせるため、無職の男(22)=執行猶予付きの有罪が確定=をドナーとして紹介。2010年6~7月、親族間の移植を装うため医師と男に虚偽の養子縁組をさせ、見返りとして共犯者とともに800万円を受け取った。




ミカン毎日4個で、骨粗しょう症リスク92%減 13.1.7

(読売新聞 2013.1.7)

 ミカンを毎日4個程度食べる閉経後の女性は骨粗しょう症になりにくいことが、農研機構果樹研究所などの調査でわかった。

 果物や野菜に含まれるカロテノイド色素のうち、特にミカンに多く含まれる「β-クリプトキサンチン」が、健康な骨を維持するのに有効とみられるという。

 同研究所や浜松医科大学などは2003年度から、三ヶ日みかんの産地として知られる浜松市の旧三ヶ日町で栄養疫学調査を実施している。

 研究グループは05年、閉経した女性212人に協力してもらい、β-クリプトキサンチンの血中濃度を調査。ミカンを毎日4個程度食べる「高濃度グ ループ」、毎日1、2個食べる「中濃度グループ」、毎日は食べない「低濃度グループ」に分け、骨粗しょう症の発症率をそれぞれ調べた。また、4年後の09 年に追跡調査を実施し、新たに骨粗しょう症を発症した人について調べた。

 その結果、高濃度グループは低濃度グループに比べ、骨粗しょう症の発症リスクが92%低かった。中濃度のグループでは統計的に有意な結果は見られ なかったことから、ミカンを毎日継続して4個程度食べることで、骨粗しょう症を予防できる可能性があるという。「β-カロテン」など他の5種類のカロテノ イド色素も調査したが、骨粗しょう症と関連があるとみられる色素はなかった。

 β-クリプトキサンチンはビワや柿にも含まれるが、血中濃度を上げる要因としては、年間を通じてまとまった量を入手しやすいミカンを毎日食べること以外には考えづらいという。




ビタミン剤薬効個人差 iPSで確認…理研、目の難病再現 13.1.7

(読売新聞 2013.1.7)

 目の難病の一つ「網膜色素変性症」の患者に投与されているビタミン剤には、同じ病気でも逆効果になる場合があることを、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った実験で、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの高橋政代・プロジェクトリーダーらが突き止めた。病気の原因遺伝子が患者によって違うためだが、iPS細胞で具体的な〈薬効の個人差〉を確認できたのは初めてとみられる。他の病気でも同様の手法で薬効を確認できる可能性があり、iPS細胞の医療応用の一つとして注目される。

 網膜色素変性症には、原因となる遺伝子が40種類以上見つかっているが、根本的な治療法はない。

 高橋さんらは、患者5人の皮膚からそれぞれiPS細胞を作製。視細胞に変化させるなどし、視細胞数が減るなど同症の病態を再現した。こうして作った5人の視細胞に、治療効果があるとされる数種類のビタミン剤を投与し、比較。その結果、2人はビタミンEで視細胞の減少を抑えられたが、残る3人は逆に細胞の減少が速まり、症状を悪化させることが分かった。薬効のあった2人はいずれも「RP9」という遺伝子が欠損。害があった3人は、別の遺伝子に異常があった。

 高橋さんは、網膜の一部が傷んで視力が低下する「加齢黄斑変性」の患者に対し、iPS細胞を使った世界初の臨床研究を今年中にも実施する予定。今回の成果については、「多くの患者からiPS細胞を作って薬の効き具合に関するデータを蓄積し、遺伝子診断と組み合わせれば、患者一人ひとりに合った薬を選ぶ『テーラーメード医療』が実現できる可能性がある」と話す。

 iPS細胞の研究に詳しい国立成育医療研究センター研究所の阿久津英憲・室長の話「iPS細胞を、再生医療や創薬だけでなく、患者の診断や検査にも生かせるようになれば、効率的で無駄の少ない未来の医療の実現につながるだろう」

 ◆網膜色素変性症 目に入ってきた光を感知し、電気信号に変えて脳へ伝える網膜の「視細胞」が徐々に失われ、視野が狭まっていく病気で、失明することもある。人にぶつかりやすくなったり、暗いところでの見え方が悪くなったりして気づくことが多い。4000-8000人に1人の頻度で発症する。

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