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患者お助け事典

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患者お助け事典

[個人情報] 診療情報提供に際して、患者に開示理由を尋ねることは不適切

(厚生政策情報センター 2010.9.27)
 厚生労働省はこのほど、医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドラインの一部改正に関する通知を発出した。

 今回の改正は、医療機関や介護事業者が保有する個人データの開示等の求めについて、患者・利用者等の自由な求めを阻害しないために行われたもの。具体的には、医療・介護関係事業者において、(1)開示等の求めに係る書面に理由欄を設けることなどにより開示等を求める理由の記載を要求すること(2)開示等 を求める理由を尋ねること-は不適切であることが明示されている(p2参照)。

 資料には、ガイドラインの改正前後の対照表(p3-p5参照)および改正全文(p6-p68参照)が掲載されている。

http://www.m3.com/tools/Document/WIC/pdf/201009_5/1389_2_1.pdf

『インフォームド・コンセントって?』

インフォームド・コンセントとは、“患者の意思決定に必要な情報を、医師(医療者)が患者に、患者がわかる言葉で説明し、患者がそれを理解した上で、どのようにするかの諾否を決めること”です。簡単に「説明と同意」と一般に説明されていますが、短縮化した表現にしたとしても「充分な説明と、同意または拒否」とするのがより正確です。日常の受診時から、手術を含めた治療法まで、全てが患者の自己決定に必要な手続きとして保障される手続きのことです。

もし、医師らの説明や対応が不十分だと感じたら、『インフォームド・コンセントが不十分です。分かるように説明をしてください』とひとこと伝えるだけで、医師ら医療者の対応が改善される可能性が高くなります。このことばの位置づけは、患者の自己決定権を保障する基本的な権利の担保であり、患者と医師と双方向のコミュニケーションを図る『鍵』に匹敵するものです。

「インフォームド・コンセントの在り方に関する検討会報告書05.6.22」

「インフォームド・コンセントの在り方に関する検討会報告書」

『カルテ開示って?』

「カルテ開示」の意味は?

♣「カルテ開示」とは、通称の呼称で、正確には「診療記録の開示」を意味します。具体的には、診療記録を見せてもらうことや複写(コピー)をしてもらうことです。
 (ここでは、通称名「カルテ開示」としています。)
(「診療情報の提供指針」http://www.patient-rights.or.jp/024-1.htm
(積極活用を/患者の権利オンブズマンhttp://www.patient-rights.or.jp/letter024.htm
(参照:九州医療センターhttp://www.kyumed.jp/byoin/karute.html#

請求できるものは?

♣「診療記録」には、診療録(カルテのこと)、手術記録、麻酔記録、各種検査記録、検査成績表、エックス線記録、助産録、看護記録、その他診療過程で記録された書面、画像(CT・MRIなど)等の一切のものが含まれます。
 保存期間は、5年間となっています。医療機関によってはそれよりずっと長く保存しているところもありますが、受信が途絶えている場合は、保存されていない可能性もありますので注意が必要です。

請求出来る人は?

♣    1.患者本人(成人で判断能力がある人)
    (15歳以上の未成年者でも、疾病内容によっては本人の
     請求でも可能なときもある。)    
    2.法定代理人 
    3.患者本人から代理権を与えられた親族 
    4.患者が成人で判断能力が疑わしい場合、現実に患者の  
     世話をしてる親族、及びこれに匹敵する縁故者
    5.遺族

請求方法は?

♣医療機関の窓口で申請してください。
 たいていは、申請用紙がありますので、それを提出後、約1週間で開示されます。
 国立大学付属病院では、開示日を延長する場合、書面にてその理由を請求者に通知することになっています。
 なお、申請用紙には「申請理由」を書く覧がある場合がありますが、基本的には記入する必要はありません。強いて記入するなら「自分の健康情報を自分で持っていたいから」或は、「自分が必要だから」といったまともな理由がよく使われるようです。

費用は?

♣閲覧は、無料。(稀に手数料を取るところもあるようです。)
診療記録の複写(コピー)は、実費。(例えば、コピー一枚10円〜)
医療機関によっては、金額の違いがあります。

例外的に貰えない場合もあります


 1.患者本人以外の情報が記載されているなど、第三者の利益を 
  害する可能性があるときは、その部分。
 2.患者本人の心身の状況に大きな影響を与える心配があるとき。
 3.その他、不当な理由があるとき。

【 Q & A 】(敬称“さん”は省いています。)

【Q1】医師の説明が雑でよく分からないのですが。

■A:医師には患者に、説明する義務があります。「インフォームド・コンセント」(略してI.C)ということばがありますが、I.Cとは、「医師は患者に理解できることばで、治療法(薬も含む)の選択肢やそのリスクまでも患者に十分説明し、それを元に患者がその選択を受けるか断るかを決めること」を意味します。つまり、双方向の意思表示と合意が治療の前提となります。もし、医師の説明が不十分で、困ると思ったら、『インフォームド・コンセントをもっと丁寧にやってください。』と伝えてください。きっと、普通どの医師もこのことばの意味くらいは知っています。それでも、立腹して態度が変わらないようでしたら、ほかの医師に変えてもらうこともできます。
 但し、患者側も要領よく質問したり、説明する努力も必要です。
ぜひ、メモをもっと活用してください。

【Q2】そんなにたくさん要らないと思うのですが、たくさんの種類の薬を処方されて、困っています。

■A2:一般に、医師は殆ど丁寧な説明をすることなく「○○の薬を出しておきます。」とだけ言って処方します。患者は薬を受け取る段になってはじめて、薬の種類の多さに驚かされるということがよくあります。しかも、処方時に渡される「薬の説明」には、副作用について、重要な説明は殆ど書かれていません。
 患者は、医師が処方する時に、処方しようとしている薬の名前とその効能(何のために飲むのか)を、また多種類が出されようとしている時には、「それは、どうしても必要な薬ですか?」と質問することです。
 その時、医師が「私の処方に文句があるのか、疑うのか」といったような態度になったら、やはりその医師も減点です。しかし、それでも患者はQ1にあるように、医師にはインフォームド・コンセントの義務がありますし、患者は医師の説明を元に、自分で決めることができる“自己決定権”という最も基本的な権利がありますので、躊躇することなく、医師と交渉をしてください。患者の主張の趣旨が伝われば、必要最小限の薬に落着することと思います。

【Q3】自分の医療にかかった診療記録を自分で持って管理したいと思っています。そんなことできるのですか?

■A3:診療記録のことを、通称カルテと呼んでいます。正確にはカルテというのは、診療記録のひとつで医師が記入する個別患者の記録のことです。ひと昔前では、このカルテは誰のものかという論争までありましたが、今日では、“カルテは患者のもの”というのが常識になっています。もっと丁寧に言うなら、カルテになっているデータの控えは、医療機関のもので、そこに書かれている中身は、患者のものということになります。従って、当然患者はそのカルテのコピーは貰えます。カルテに限らず診療に関する全ての自分の記録は閲覧も複写もしてもらえます。これを『カルテ開示』正確には『診療記録の開示』といい、本人であれば、申請用紙提出後約一週間で開示されます。
 このカルテ開示の義務については、厚生労働省の通達や日本医師会のガイドラインでも示されています。「申請があったら積極的に開示すること」となっています。
 その一番の根拠となったのは、「個人情報保護法」ができて、自己情報コントロール権が保証されたことによります。
 ちなみに、遺族も開示できます。
(詳細は、『カルテ開示って?』を参照ください。)

【Q4】処方された薬は返却出来ますか?同じ薬が、家に飲まないでたくさん残っています。前回、痛みが強い時に飲むように言われて貰った薬が、未使用のままたくさん残っています。

A4:前回と同じ薬が未使用でたくさん家に残っているにもかかわらず、また同じ薬を医師から処方されていることが病院で会計を済ませた時点で気がついたという場合でも、会計で理由を言って、処方の取り消しと計算のし直し(返金)を求めることが出来ます。
 家に帰ってから、返品や返金を求めることは困難な場合が多いですが、だいたい、医師が処方時に患者に丁寧に説明していないために起きているので、患者のミスとは言えない場合が殆どだからです。
 解熱剤のたぐいは、高リスク、低有用性という理由からまず要りませんし、あれこれ理由を並べて、いわゆる「おまけ」的に大量の薬を処方される医師には、要注意です。
 やはり、一番は、はじめから【Q2】の Aにあるように、必要最小限度の薬を処方してもらうよう、患者が積極的に申し出ることが大切です。

 

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