制度問題
a:6774 t:1 y:0
「医療基本法」
「医療基本法」制定に向けて、各ステークホルダーや超党派の国会議員などが具体的法案を作成するなどして、前向きな議論を深めている。 今まで、市民団体は「患者の権利法」として成立させることを目標にしていたが、「医療基本法」はその“患者の権利”を柱とした医療のありかたの法整備となる。医療における現行の個別法に対して、その親法となるもの。現時点では未成立の法律で早急な成立が求められている。
改定を含むNEWS
2012年度診療報酬改定‐吉田易範 薬剤管理官に聞く [1] 12.3.16
(薬事日報 2012.3.16)
調剤報酬
診療報酬・薬価改定の実施を4月に控え、厚生労働省の吉田易範薬剤管理官に調剤報酬改定、病棟薬剤業務の評価、薬価制度見直しの考え方と今後の課題を聞いた。今回は第1弾として、調剤報酬改定の狙いや薬局への期待、新たな後発品使用促進策について語ってもらった。調剤報酬ではお薬手帳の積極活用などによって薬学的管理指導を充実させる重要性を強調した。後発品使用促進では、薬局による価格・在庫情報の提供や一般名処方の推進によって大きく普及することに期待感を示した。
薬学的管理指導を重視“顔の見える”薬剤師に
--今回の調剤報酬改定の基本的な考え方と薬局への期待は。
大きな課題は、▽在宅推進▽後発品のさらなる使用促進▽薬学的管理指導の充実--の三つだが、個人的には薬学的管理指導を重視している。医薬分業への風当たりが強い中で、患者のためになる部分を評価しようという意見が中央社会保険医療協議会で出ていた。 そこで、在宅医療や後発品のほかに、何が薬局のポイントかと言えば薬学的管理指導ということで、医薬品の適正使用につながる部分をメインに見直しを行った。
今回の改定に対する現場の受け止め方は様々かもしれないが、薬局・薬剤師が本来やるべきことをしっかりやれば評価される形になっている。これが即ち分業の評価につながり、逆にできなければ分業そのものに対する見方がますます厳しくなる。患者のメリットにつながることをやって、顔の見える薬剤師になってもらいたい。
例えば、在宅へ出向けば患者に接することになる。後発品使用促進で一般名処方が出てきた場合には患者と接点がなければ、そもそも調剤が始まらない。また、残薬を確認し、調剤の後には後発品に関する情報も提供し、ハイリスク薬があれば特に薬学的管理指導をしっかりやる。薬局の薬剤師がこれら全てを行えば、今までより患者に顔が見えるようなり、点数もつく。
「お薬手帳」の定着を
--薬歴管理の評価を引き上げますね。
薬剤服用歴管理指導料へ薬剤情報提供料を包括して財政中立にしようとすると、38~39点くらいになるが、それを41点にした意味は、残薬確認や後発品の情報提供をしっかり実施してもらおうということ。調剤報酬の引き上げ財源の多くをここに充てた。
お薬手帳は、東日本大震災で患者や他の医療機関・薬局との情報共有の媒体として有用性が再確認された。薬局にとっては薬剤服用歴管理指導料の算定が難しくなる不安があるかもしれないが、ある程度は強制的な仕組みにしないと普及しない。患者が手帳を忘れたらシールを渡して貼ってもらうことで構わないので、定着に向けて取り組んでほしい。
在宅薬剤業務 介護報酬にも対応
--在宅薬剤業務をどう推進するのか。
改定項目としては、▽在宅患者調剤加算の新設▽小規模薬局の連携の評価▽在宅患者訪問薬剤管理指導料の距離制限の設定▽無菌製剤処理加算の施設基準見直し--がある。本当はもっとやりたいことがあった。
介護報酬との同時改定ということで、介護施設の居住者に対する薬学的管理指導や在宅お薬連携手帳について中医協へ問題提起したが、今回は難しかった。在宅お薬連携手帳については、メリットがあまり理解されず残念だったが、点数がつくかどうかは別として現場で実践してもらいたい。
在宅患者調剤加算は、医療機関や福祉関係者へ在宅対応が可能なことを周知できていなかったり、医療材料・衛生材料も供給してほしいという意見があったので、これらを施設基準に定めた。
また、在宅患者訪問薬剤管理指導料の点数では不十分という声もあって15点をつけた。これまで言われていた問題点を克服できるインセンティブになり、フィー的な面も多少はカバーできる。本来なら薬学的管理指導の加算にするのが美しいが、介護報酬との関係もあって調剤料の加算になった。
調剤料につけておけば医療と介護のどちらで対応した場合も薬局は算定できる。
施設基準では、在宅患者訪問薬剤管理指導と介護の居宅療養管理指導、介護予防居宅療養管理指導を直近1年間で10回以上行っていることも条件にする。緊急訪問薬剤管理指導の機会もあるが、あらかじめ計画を立てて実施するものではないので、この3種類に限った。このほかに麻薬小売免許や開局時間外に対応できる体制の整備なども定める。
小規模薬局の連携については、薬剤師が1人か2人の薬局は在宅対応が難しいのでサポート薬局を評価しようという合理的なもの。無菌製剤は現実にそぐわない基準を見直し、専用室がなくてもクリーンベンチでよくする。在宅訪問の距離制限は医科の往診料を参考に設けた。半径16km以内に薬局があっても対応できず、在宅推進を阻害するという指摘もあるが、それは極めて例外的なケースに限られると考えている。
後発品の使用促進ほぼ全ての手を打つ
--新たな後発品の使用促進策は。
現在の後発品普及状況はかなり厳しいと言わざるを得ないので、考えられるほぼ全ての手を打った。総合的なパッケージで進めないと、薬局だけではダメ。医師や医療機関サイド、患者とそれぞれにドライビングフォースが働く対策をとらなければならない。
薬局は後発品調剤率が2極化しているので、遅れているところがあきらめないように、後発医薬品調剤体制加算の最低条件を現状と同レベルで残した。上の方は30%、35%に引き上げたので、進んでいるところがさらに大きく伸びることに期待したい。
薬剤情報提供文書を活用した後発品の情報提供は、患者へのメッセージとしてかなり効果があるのではないか。
保険者による差額通知のようなものを、薬を受け取るたびに毎回受け取ることになる。薬局は薬剤服用歴管理指導料を算定できるし、患者は後発品に興味を持つようになる。
患者にとっては、内用薬の初後発が10品目超の場合に薬価を先発品の6掛けにする仕組みを導入することも影響する。大型の場合は10品目を下ることは少ないので、主だった内用薬は安く供給され、患者が後発品を選ぶインセンティブとして働く。
医療機関サイドでは一般名処方加算の効果が大きい。医師がなるべく一般名で処方しようということになれば、薬局の在庫負担の軽減も期待できるし、個別銘柄が出てこないので患者の抵抗感も減る。
中医協の支払側は、医療機関に対する政策誘導効果があると考えて導入を認めてくれたのだと思う。療養担当規則については、仮に努力規定であっても強制的な意味合いが強いため、定着するまでは一般名処方を規定するのは難しい。このほかに、処方箋様式を変えたので変更調剤が行いやすくなる。品質に対する誤解を解くために、専門家向けの科学的見解も作成する。
--一般名処方は製薬企業にも影響するか。
定着してくると影響すると思う。今は医師が一般名になじみがないため、徐々にだとは思うが、定着してくると、長期収載品は本当に後発品に切り替わってくるのではないか。品質や安定供給に信頼性が高まってくると状況がかなり変わってくるだろう。
そうなると、薬価制度や先発品メーカーのあり方も問われる。特許期間中に新薬の開発コストを回収して、後発品が出たら切り替わっていくという世界へ向けた動きが加速する可能性は十分にあるのではと考えている。こうした面からも新薬創出・適応外薬解消等促進加算の環境も整うのではないか。
良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案参考資料
8/9号 「受診時定額負担」で4000億円削減、うち半分は受診抑制効果
2011年08月09日 (m3)
政府・与党社会保障改革検討本部が6月30日に、「社会保障・税の一体改革成案」を決定して以降、医療界では様々な議論が沸き起こっています。
注目点の一つが、「受診時定額負担」。中医協をはじめ、厚生労働省の各種審議会だけでなく、8月4日の民主党の「適切な医療費を考える議員連盟」でも問題視されています(『桜井財務副大臣、「受診時定額負担は絶対阻止」 』を参照)。
http://www.m3.com/iryoIshin/article/140193/
「受診時定額負担」とは、初再診時に、定率の窓口負担金とは別に、例えば、「100円」などの定額負担を、患者に求める仕組み。高額療養費制度を見直し、長期高額医療を受ける患者などの負担を軽減するための財源確保が目的です。
「社会保障・税の一体改革成案」では、「受診時定額負担」で約1300億円(公費)を捻出するとしています。8月4日の議連で、厚労省保険局総務課長の武田俊彦氏は、この約1300億円は、公費ベースであり、「医療費全体としては、約4000億円程度の影響があると考えている」と説明。
その根拠を確認したところ、以下のような回答でした。「年間の入院外の受診延日数は、医科(約16億日)と歯科(約4億日)を合わせ、約20億日なので、100円の定額負担を徴収すると、約2000億円。外来負担を引き上げると受診抑制が働くため、これまでの経験を踏まえ、その額は約2000億円と推計され、合わせて約4000億円の財政効果があると見込まれる。公費負担は医療費の約3割なので約1300億円になる」(厚労省保険局保険課)。この「20億日」は、メディアス(最近の医療費の動向)に基づく数字です。
実は、前述の8月4日の議連で、「1300億円」の根拠を同議連事務局長の梅村聡・参院議員が、質したものの、その場では回答は得られませんでした。梅村氏は、「受診時定額負担は、医療保険制度のコンセプトの転換にかかわる大きな問題。どんなシミュレーションを基に提案したのかを厚労省に提示してもらい、もう一度、議論する」としています。
他にも問題は多々あります。中医協委員を務める、京都府医師会副会長の安達秀樹氏は、現行の高額療養費制度は、「加入者間の共助」で成り立っていますが、受診者から徴収した「100円」を高額療養費の財源に充てる仕組みは、「受診者間の共助」であるとし、一つの制度に二つの考えを混在させる制度設計を問題視。そのほか、「受診時定額負担」で患者の負担増につながることなども懸念しています。
今後、さらに議論が活発化することが予想されるため、安達氏に問題点を整理していただきました。
受診時定額負担は「一時のがれ」にすぎず 国民皆保険を揺るがす問題多々、受診抑制の懸念も【医療維新】
http://www.m3.com/iryoIshin/article/140277/
..........................................
医事法
医療に関する法の総称
医療法
医療や医療機関に関する法律
薬事法
日本における医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器に関する運用などを定めた法律
医師法
医師に関する法律。
・第19条第1項【応召義務】「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。
・第19条第2項【証明文書の交付義務】「 診療を行った医師は診断書の交付の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」